【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様によれば、対象の皮膚および/または毛髪のメラニン色素沈着の調節方法であって、対象にALK6(SEQ ID 2)またはCdc42の活性または発現を調節することができる物質を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0009】
本発明の好適な実施形態では、その物質はALK6の活性を調節することによってCdc42の発現を調節する。
【0010】
本発明の好適な実施形態では、その方法は対象の皮膚および/または毛髪の外表面への組成物の塗布を含む。
【0011】
皮膚の色素沈着を調節するためには、主に2つのアプローチ:メラニン形成の調節およびメラニン転移の調節がある。本発明は、これらのアプローチの一方、他方または両方を含むことができる。しかしながら、本発明者らがメラニン転移を効果的に標的とすることができることを見出したので、メラニン転移を調節する方法はとくに興味深い。メラニン形成よりさらに「下流」のプロセスであることを考えると、悪影響を回避するという点でより魅力的な標的である。
【0012】
適切には、その方法は、皮膚および/または毛髪のメラニン色素沈着のレベルを調節することにより皮膚および/または毛髪の色を美容のために明るくするまたは暗くするのに有用な美容方法である。
【0013】
あるいは、その方法は、対象に一定の光防護を提供するのに用いることができる。メラニンが紫外線の損傷作用の多くから皮膚を保護することは周知である。従って、対象の皮膚におけるメラニンの量を増加させることは、日光誘発性損傷、例えば癌または早期老化を引き起こす可能性のある細胞の変異を低減するのに重要であり得る。
【0014】
別の代替方法では、その方法は、皮膚の異常な色素沈着に関連する病状を治療するのに用いることができる。こうした治療は治癒的であってもよく、症状を軽減するために用いられてもよい。治療することができる皮膚の異常な色素沈着に関連する疾病または病状としては、色素沈着過度(例えば、メラズマ(肝斑)、クロアズマ(肝斑)、老年性黒子、日光黒子、
そばかす、炎症後色素沈着過度)および色素沈着減少(例えば、白斑、炎症後色素沈着減少)ならびに皮膚損傷の結果としての色素沈着喪失が挙げられる。
【0015】
1つの実施形態では、その物質は正常な生理的レベルに対してALK6の活性または発現を増加させることができる、すなわちALK6作用薬である。特定の実施形態では、その物質は、メラニン転移を増加させるようにALK6の活性または発現を増加させることができる。ALK6活性の増加は皮膚および/または毛髪におけるメラニンの増加をもたらす。
【0016】
別の実施形態では、その物質は正常な生理的レベルに対してALK6の活性または発現を減少させることができる、すなわちALK6拮抗薬である。特定の実施形態では、その物質は、メラニン転移を減少させるようにALK6の活性または発現を減少させることができる。ALK6活性の減少は皮膚および/または毛髪におけるメラニンの減少をもたらす。
【0017】
1つの実施形態では、本発明の方法は、BMP6ポリペプチド(受入番号NM_001718;Seq ID 1)またはその断片もしくは変異体を含む組成物の塗布を含むが、該断片または変異体は機能的に活性である。
【0018】
断片または変異体は、ALK6を野生型BMP6と同じくらい効率的に少なくとも50%活性化することができる場合に機能的に活性であるということができるが、低活性レベルもまた有用であり得る。より好適には、こうした断片または変異体は、野生型BMP6の少なくとも75%活性、とくに野生型BMP6の90%活性でなければならない。とくに、この文脈において「活性」とは、後述の分析におけるメラニン細胞からケラチン細胞へのメラニンの転移を刺激する能力を意味することができる。
【0019】
「機能的に活性な」BMP6断片または変異体は、後述の分析を用いて決定されるように、メラニン形成またはメラニン転移を増加させる能力を示す。BMP6タンパク質、変異体および断片の機能的活性は、当業者に知られ(Current Protocols in Protein Science(1998)Coligan et al.,eds.,John Wiley & Sons,Inc.,Somerset,New Jersey)、さらに後述するような各種方法により決定することができる。
【0020】
ここでの目的のため、機能的に活性な断片としては、ドメインが所望の活性を有する場合、結合ドメインのようなBMP6の構造ドメインを1つ以上含む断片を挙げることができる。タンパク質ドメインはPFAMプログラムを用いて同定することができる(Baterman A.,et al.,Nucleic Acids Res,1999,27:260−2)。いくつかの実施形態では、好適な断片は、BMP6活性ドメインの少なくとも25個の連続したアミノ酸、好適には少なくとも50個、より好適には75個、もっとも好適には少なくとも100個の連続したアミノ酸を含む、機能的に活性な、ドメイン含有断片である。さらに好適な実施形態では、断片は機能的に活性なドメイン全体を含む。
【0021】
機能的に活性な断片または変異体は、BMP6コード化核酸によりコード化されるものを含む、組み換え型BMP6ポリペプチドおよびこれらの機能的に活性な断片または変異体を含む。
【0022】
機能的に活性なBMP6ポリペプチドは、理論的にはBMP6前駆体タンパク質(受入番号P22004)(SEQ ID 1)を含むことができる。成熟BMP6ポリペプチドはそのアミノ酸374〜513個を含むと考えられる。
【0023】
機能的に活性な断片は、BMP6前駆体(SEQ ID 1)のアミノ酸382〜513、388〜513および412〜513を含むポリペプチドを含むことができる。
【0024】
「BMP6コード化核酸」の語は、BMP6ポリペプチドをコード化するDNAまたはRNA分子を指す。
【0025】
好適には、BMP6ポリペプチドもしくは核酸またはこれらの変異体もしくは断片はヒト由来であるが、これらの同族体または誘導体とすることもできる。
【0026】
好適には、これらの前記変異体または断片は、ヒトBMP6またはBMP6をコード化する配列(NM001718)と少なくとも70%の配列同一性、好適には少なくとも80%、より好適には85%、さらにより好適には90%、もっとも好適には少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0027】
本明細書で用いる対象配列、または対象配列の特定部分に対する「配列同一性パーセント(%)」は、プログラムWU−BLAST−2.0al9(Altschul et al.,J.Mol.Biol.(1997)215:403−410)によりすべて初期値に設定した検索パラメーターを用いて生成される最大配列同一性パーセントを達成するため必要に応じて配列および導入ギャップを整列した後の、対象配列(またはその特定部分)におけるヌクレオチドまたはアミノ酸と同一の候補誘導配列におけるヌクレオチドまたはアミノ酸の割合と定義される。HSP SおよびHSP S2パラメーターは動的値であり、特定の配列の組成物および特定のデータベースの組成物に応じてプログラムそのものにより設定され、これに対して興味のある配列が検索されている。同一性%の値は、配列長さで割った一致する同一のヌクレオチドまたはアミノ酸の数により割り出され、これにより同一性パーセントが報告されている。「アミノ酸配列類似性パーセント(%)」は、アミノ酸配列同一性%を割り出すのと同じ計算を行うことにより割り出されるが、計算は同一アミノ酸に加えて保存アミノ酸置換を含む。
【0028】
保存アミノ酸置換は、アミノ酸をタンパク質の折り畳みまたは活性に大きな影響を及ぼさないように類似特性を有する別のアミノ酸と置き換えるものである。互いに置き換えることができる芳香族アミノ酸としてはフェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンがあり;置き換え可能な疎水性アミノ酸としてはロイシン、イソロイシン、メチオニン、およびバリンがあり;置き換え可能な極性アミノ酸としてはグルタミンおよびアスパラギンがあり;置き換え可能な塩基性アミノ酸としてはアルギニン、リシンおよびヒスチジンがあり;置き換え可能な酸性アミノ酸としてはアスパラギン酸およびグルタミン酸があり;置き換え可能な小アミノ酸としてはアラニン、セリン、トレオニン、システインおよびグリシンがある。
【0029】
あるいは、核酸配列は、SmithおよびWatermanの局所相同性アルゴリズム(Smith and Waterman,1981,Advances in Applied Mathematics 2:482−489;database:European Bioinformatics Institute;Smith and Waterman,1981,J.of Molec.Biol.,147:195−197;Nicholas et al.,1998,“A Tutorial on Searching Sequence Databases and Sequence Scoring Methods”(www.psc.edu)およびその引用文献;W.R.Pearson,1991,Genomics 11:635−650)により整列される。このアルゴリズムは、Dayhoff(Dayhoff:Atlas of Protein Sequences and Structure,M.O.Dayhoff ed.,5 suppl.3:353−358,National Biomedical Research Foundation,Washington,D.C.,USA)により開発され、Gribskov(Gribskov,1986,Nucl.Acids Res.14(6):6745−6763)により標準化された得点マトリックスを用いることによりアミノ酸配列に適用することができる。Smith−Watermanアルゴリズムは、得点に初期パラメーター(例えば、ギャップ開放ペナルティは12、ギャップ伸張ペナルティは2)を用いる場合に用いることができる。生成されたデータから、「一致」値は「配列同一性」を反映する。
【0030】
対象核酸分子の誘導核酸分子は、BMP6をコード化する核酸配列にハイブリダイズする配列を含む。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーションおよび洗浄中の温度、イオン強度、pH、およびホルムアミドのような変性剤の存在により調節することができる。通常用いられる条件は、容易に入手可能な手順書(例えばCurrent Protocol in Molecular Biology,Vol.1,Chap.2.10,John Wiley & Sons,Publishers(1994);Sambrook et al.,Molecular Cloning,Cold Spring Harbor(1989))に記載されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明の核酸分子は高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下でBMP6のヌクレオチド配列を含有する核酸分子へハイブリダイズすることができるが、その条件とは:6倍単一強度クエン酸塩(SSC)(1倍SSCは0.15MのNaCl、0.015Mのクエン酸Na;pH7.0)、5倍デンハルト溶液、0.05%ピロリン酸ナトリウムおよび100g/mのニシン精子DNAを含む溶液中での65℃で8時間から一晩の、核酸を含有するフィルターのプレハイブリダイゼーション;6倍SSC、1倍デンハルト溶液、100μg/mlの酵母tRNAおよび0.05%ピロリン酸ナトリウムを含有する溶液中での65℃で18〜20時間のハイブリダイゼーション;ならびに0.1倍SSCおよび0.1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含有する溶液中での65℃で1時間のフィルターの洗浄である。
【0032】
他の実施形態では、中程度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件が用いられるが、その条件とは:35%ホルムアルデヒド、5倍SSC、50mMのトリス−HCL(pH7.5)、5mMのEDTA、0.1%PVP、0.1%フィコール、1%BSA、および500μg/mlの変性サケ精子DNAを含有する溶液中での40℃で6時間の核酸を含有するフィルターの前処理;35%ホルムアルデヒド、5倍SSC、50mMのトリス−HCl(pH7.5)、5mMのEDTA、0.02%PVP、0.02%フィコール、0.2%BSA、100μg/mlのサケ精子DNA、および10(重量/体積)%硫酸デキストランを含有する溶液中での40℃で18〜20時間のハイブリダイゼーション;その後の2倍SSCおよび0.1%SDSを含有する溶液中での55℃で1時間の2回の洗浄である。
【0033】
あるいは、低ストリンジェンシー条件を用いることができるが、その条件とは:20%ホルムアルデヒド、5倍SSC、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5倍デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの変性せん断サケ精子DNAを含む溶液中での37℃で8時間から一晩のインキュベーション;同じ緩衝液中での18〜20時間のハイブリダイゼーション;ならびに1倍SSC中での約37℃で1時間のフィルターの洗浄である。
【0034】
別の実施形態では、その方法は、BMP6に結合し、不活性化することができる化合物を含む組成物の塗布を含む。従って、本発明はBMP6の拮抗薬に関するものであり得る。例えば、化合物は、BMP6に結合することができる抗体またはその断片であってもよい。
【0035】
とくにBMP6ポリペプチドを結合する抗体は、既知の方法を用いて生成することができる。好適には、その抗体はBMP6ポリペプチドの哺乳類オルソログ、より好適にはヒトBMP6に特有である。抗体は、ポリクロナール、モノクロナール(mAb)、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)
2断片、FAb発現ライブラリーにより生成される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および上記のいずれかのエピトープ結合断片であってもよい。例えば、BMP6ポリペプチドの抗原性の通常のスクリーニングにより、またはタンパク質の抗原性領域を選択する理論的方法(Hopp and Wood(1981),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:3824−28;Hopp and Wood,(1983)Mol.Immunol.20:483−89;Sutcliffe et al.,(1983)Science 219:660−66)をBMP6のアミノ酸配列に適用することにより、とくに抗原性を有するBMP6のエピトープを選択することができる。説明されている標準手順(Harlow and Lane,supra;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(2d ed)Academic Press,New York;ならびに米国特許第4,381,292号;4,451,570号;および4,618,577号)により、10
8M
−1、好適には10
9M
−1〜10
10M
−1またはそれより強い親和性を有するモノクロナール抗体を作成することができる。
【0036】
抗体は、BMP6の粗細胞抽出物またはほぼ精製したその断片に対して生成することができる。BMP6断片を用いる場合、それらは好適にはBMP6タンパク質の連続したアミノ酸少なくとも10個、より好適には少なくとも20個を含む。BMP6特異抗原および/または免疫原は、免疫反応を刺激する担体タンパク質に結合することができる。例えば、対象ポリペプチドはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)担体に共有結合され、共役体は免疫反応を向上させる完全フロインドアジュバント中で乳化される。実験用ウサギまたはマウスのような適切な免疫系は従来の手順に従って免疫される。
【0037】
BMP6特異抗体の存在は、対応する固定化BMP6ポリペプチドを用いる固相酵素結合免疫吸着分析(ELISA)のような適切な分析によって評価される。放射免疫分析または蛍光分析のような他の分析を用いることもできる。
【0038】
BMP6ポリペプチド特異的キメラ抗体は、異なる動物種からの異なる部分を含有するように作成することができる。例えば、ヒト免疫グロブリン定常領域はマウスmAbの各種領域と結合していてもよく、抗体はその生物学的活性をヒト抗体から、その結合特異性をマウス断片から誘導する。キメラ抗体は、それぞれの種からの適切な領域をコード化する遺伝子を組み換えることにより生成される(Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(1984)81:6851〜6855;Neuberger et al.,Nature(1984)312:604−608;Takeda et al.,Nature(1985)31:452−454)。
【0039】
キメラ抗体の一形態であるヒト化抗体は、組み換えDNA技術によりマウス抗体の相補性決定領域(CDR)(Carlos,T.M.,J.M.Harlan,1994,Blood 84:2068−2101)をヒトフレームワーク領域および定常領域に移植することにより生成することができる。ヒト化抗体はマウス配列およびヒト配列を含有し、よって抗体特異性を保持しながら免疫原性をさらに低減または解消する(Co MS,and Queen C.1991 Nature 351:501−501;Morrison SL.1992 Ann.Rev.Immun.10:239−265)。ヒト化抗体およびそれらの生成方法は当技術分野では周知である(米国特許第5,530,101号、5,585,089号、5,693,762号、および6,180,370号)。
【0040】
アミノ酸架橋によってFv領域の重鎖および軽鎖断片を結合することにより形成される組み換え型一本鎖ポリペプチドであるBMP6特異的一本鎖抗体は、当技術分野で知られる方法により生成することができる(米国特許第4,946,778号;Bird,Science(1988)242:423−426;Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1988)85:5879−5883;およびWard et al.,Nature(1989)334:544−546)。
【0041】
他の好適な抗体生成技術は、リンパ球の抗原ポリペプチドへのin vitro露出またはあるいはファージもしくは類似ベクターの抗体ライブラリーの選択を含む(Huse,et al.,Science(1989)246:1275−1281)。
【0042】
本発明のポリペプチドおよび抗体は、改良の有無にかかわらず用いることができる。しばしば、抗体は、検出可能なシグナルを提供する、または標的タンパク質を発現する細胞に対して毒性がある物質を共有または非共有結合することにより標識される(Menard S,et al.,Int J.Biol Markers(1989)4:131−134)。さまざまな標識および共役技術が知られ、科学および特許文献の両方において広く報告されている。適切な標識としては、放射性核種、酵素、物質、共同因子、阻害因子、蛍光部分、蛍光発光ランタニド金属、化学発光部分、生物発光部分、磁性粒子、等が挙げられる(米国特許第3,817,837号;3,850,752号;3,939,350号;3,996,345号;4,277,437号;4,275,149号;および4,366,241号)。また、組み換え型免疫グロブリンを生成することができる(米国特許第4,816,567号)。細胞質ポリペプチドに対する抗体を送達し、膜透過性タンパク質毒素との共役によりそれらの標的に到達させることができる(米国特許第6,086,900号)。
【0043】
別の実施形態では、その方法は、ALK6に結合し、その活性を活性化または阻害することができる化合物を含む組成物の塗布を含む。例えば、こうした化合物は、ALK6に結合することができる抗体またはその断片であってもよい。こうしたものとして、本発明は、ALK6の作用薬または拮抗薬を含むことができる。例えば、抗体はALK6を結合し、BMP6の結合を防止し、よってBMP6がALK6を活性化し、メラニン形成またはメラニン転移を促進するのを防止することができる。抗体生成の周知技術の詳細については上述している。
【0044】
別の実施形態では、その方法は、ALK6もしくはCdc42またはその機能部分をコードするDNAまたはRNAとの相互作用によってALK6またはCdc42の発現を調節することができる核酸を含む組成物の塗布を含む。好適な実施形態では、核酸はRNA分子、とくにALK6またはCdc42をコード化するmRNAに対する標的アンチセンス相互作用またはRNA干渉をすることができるRNA分子である。例えば、Cdc42 mRNAを標的とする好適なRNAi分子は、5’−GAUAACUCACCACUGUCCATT−3’および5’−UGGACAGUGGUGAGUUAUCTT−3’オリゴリボヌクレオチドであり;または5’−GACUCCUUUCUUGCUUGUUTT−3’および5’−AACAAGCAAGAAAGGAGUCTT−3’オリゴリボヌクレオチド、もしくは他のこうした適切な特定の配列を用いてCdc42を阻害することができる。ALK6またはCdc42に対するRNAiを示す他の適切な配列を決定することは、当業者の技術の範囲内である。
【0045】
RNAiは、配列が抑制遺伝子と相同である二本鎖RNA(dsRNA)により開始される、動物および植物における配列特異的転写後遺伝子抑制プロセスである。C.エレガンス、キイロショウジョウバエ、植物、およびヒトの抑制遺伝子に対してRNAiを用いることに関連する方法が知られている(Fire A,et al.,1998 Nature 391:806−811;Fire,A.Trends Genet.15,358−363(1999);Sharp,P.A.RNA interference 2001.Genes Dev.15,485−490(2001);Hammond,S.M.,et al.,Nature Rev.Genet.2,110−1119(2001);Tuschl,T.Chem.Biochem.2,239−245(2001);Hamilton,A.et al.,Science 286,950−952(1999);Hammond,S.M.,et al.,Nature 404,293−296(2000);Zamore,P.D.,et al.,Cell 101,25−33(2000);Bernstein,E.,et al.,Nature 409,363−366(2001);Elbashir,S.M.,et al.,Genes Dev.15,188−200(2001);国際公開第01/29058号;同第99/32619号;Elbashir SM,et al.,2001 Nature 411:494−498;Novina CD and Sharp P.2004 Nature 430:161−164;Soutschek J et al 2004 Nature 432:173−178)。
【0046】
核酸調節因子は、研究試薬、診断用薬、および治療薬としてよく用いられる。例えば、特定の遺伝子の機能を解明するのに、優れた特異度で遺伝子発現を阻害することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いることが多い(例えば、米国特許第6,165,790号参照)。核酸調節因子は、例えば、生物学的経路の各種メンバーの機能を識別するのにも用いられる。例えば、アンチセンスオリゴマーは、動物および人間の病状の治療における治療部分として用いられ、多数の臨床試験において安全かつ有効であることが示されている(Milligan JF,et al,Current Concepts in Antisense Drug Design,J Med Chem.(1993)36:1923−1937;Tonkinson JL et al.,Antisense Oligodeoxynucleotides as Clinical Therapeutic Agents,Cancer Invest.(1996)14:54−65)。
【0047】
1つの実施形態では、その方法は、後述するALK6またはCdc42に影響を及ぼす物質の同定方法により同定される組成物の塗布を含む。
【0048】
本発明の好適な実施形態では、その物質はALK6の拮抗薬である。本発明に用いるのに適切であり得るいくつかのALK6拮抗薬としては、スクレロスチン、コーディン等およびホリスタチン関連タンパク質(FSRP)が挙げられる。とくに好適な実施形態では、拮抗薬はスクレロスチン(SEQ ID 3)である。
【0049】
小分子は、酵素機能でタンパク質の機能を調節することがしばしば好ましく、および/またはタンパク質相互作用ドメインを含有する。当技術分野では「小分子」化合物と称される化学剤は、一般的には最大10,000、好適には最大5,000ダルトン、より好適には最大1,000、もっとも好適には最大500ダルトンの分子量を有する有機非ペプチド分子である。このクラスの調節因子としては、化学的に合成した分子、例えば、組み合わせ化学ライブラリーからの化合物が挙げられる。合成化合物は、ALK6タンパク質の既知または推定特性に基づいて合理的に設計または同定することができ、または化合物ライブラリーをスクリーニングすることにより同定することができる。このクラスの適切な代替調節因子は、天然物、とくに植物または菌類のような有機体からの二次代謝産物であり、化合物ライブラリーをALK6調節活性スクリーニングすることにより同定することもできる。化合物の生成および調達方法は当技術分野では周知である(Schreiber,SL,Science(2000)151:1964−1969;Radmann J and Gunther J,Science(2000)151:1947−1948)。
【0050】
後述するスクリーニング分析から同定される小分子調節因子を、候補臨床化合物を設計、最適化、および合成することができるリード化合物として用いることができる。候補小分子調節剤の活性は、さらに後述する反復二次機能の有効化、構造決定、ならびに候補調節因子の改良および試験によって数倍向上させることができる。また、候補臨床化合物は、とくに臨床的および薬理学的特性に関して生成される。例えば、医薬開発のため試薬はin vitroおよびin vivo分析を用いて誘導体化および再スクリーニングし、活性を最適化し、毒性を最小化することができる。
【0051】
ALK6の拮抗薬は、メラニン細胞からケラチン細胞へのメラニンの転移を阻害し、これにより皮膚および/または毛髪の色素沈着を低減することができるものであってもよい。一方で、ALK6の作用薬は、メラニン細胞からケラチン細胞へのメラニンの転移を促進し、これにより皮膚および毛髪の色素沈着を増加させることができるものであってもよい。美容の観点からするとこれらの作用の両方が望ましくあり得、さらにこうした作用からの医学的利点があり得る。例えば、現在西欧および米国(ならびにその他の地域)では、美容上の理由で日焼けした外観を有することが望ましい。アジアのいくつかの国では、美容上の理由で比較的色白な外観を有することが望ましい。さらに、メラニンが日光の損傷作用からの皮膚の保護に関わることを考えれば、保護の観点から皮膚のメラニン含量を増加させることが望ましくあり得る。
【0052】
対象は哺乳類、好適には霊長類、とくにヒトであることが好ましい。
【0053】
別の態様では、本発明は、対象の皮膚および/または毛髪の色素沈着の調節に用いるALK6またはCdc42の活性または発現を調節することができる物質を含む組成物を提供する。適切な物質の詳細については上述しており、調節は美容または治療目的であってもよい。
【0054】
とくに好適な物質としては、BMP6または機能的に活性なその変異体あるいは断片、およびスクレロスチンが挙げられる。
【0055】
別の態様では、本発明は、皮膚の異常な色素沈着に関連する疾病の治療用の薬剤の製造におけるALK6またはCdc42の活性または発現を調節することができる物質を含む組成物の使用を提供する。こうした治療は治癒的であってもよく、症状を軽減するためのものであってもよい。
【0056】
本発明による組成物は、皮膚への局所塗布に適していることが一般的に望ましい。溶液、懸濁液、ジェル、クリーム、または軟膏等のような、いずれかの一般的な局所製剤を用いることができる。こうした局所製剤の調製については、例えばGennaro et al.(1995)Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishingが示すように、薬剤製剤技術分野において説明されている。局所塗布について、組成物は、粉末またはスプレーとして、とくにエアロゾル形態で投与することもできる。
【0057】
さらなる態様によれば、本発明は、物質のメラニン細胞からケラチン細胞への、または潜在的にはケラチン細胞からケラチン細胞へのメラニンの転移を調節する能力の評価方法を提供するが、その方法は:
−試験物質を用意する工程;および
−試験物質のALK6と相互作用する能力を決定する工程
を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、その方法は、物質のALK6に結合する能力を決定することを含む。ALK6は細胞上にあってもよく、支持体上に備わっていてもよい。
【0059】
好適には、その方法は、ALK6を発現する細胞を用意し、試験物質の該細胞により発現したALK6、とくに細胞の表面上に発現したALK6と相互作用する能力を決定することを含む。
【0060】
好適には、ALK6を発現する細胞はメラニン細胞である。
【0061】
試験物質のALK6と相互作用する能力を決定することにより、メラニン転移またはメラニン形成の調節に有効である可能性を有する物質を同定することが可能である。
【0062】
好適には、本発明の方法は、試験物質のALK6の活性および/または発現を調節する能力を決定することを含む。
【0063】
1つの実施形態では、その方法は、試験物質のALK6を活性化する能力を決定すること、すなわち試験物質がALK6の作用薬であるかを決定することを含むことができる。
【0064】
代替実施形態では、その方法は、試験物質のALK6を不活性化する能力を決定すること、すなわち試験物質がALK6の拮抗薬であるかを決定することを含むことができる。
【0065】
試験物質がALK6の活性を調節することができるかを当業者が決定することができる方法は多数ある。例えば、ALK6活性化により生じる下流シグナル伝達分子に対する試験物質の作用を決定することが可能である。あるいは、ALK6活性化により生じるmRNAまたはタンパク質の発現に対する試験物質の作用を決定することが可能である。これは、例えば、a)R−Smad(受容体調節Smad、Smad−1、−5、−8)の動員およびその後ALK6に結合する際のそのリン酸化反応;b)抑制型Smad(I−Smad)、例えばSmad6および7によるR−Smadの活性化の阻害;またはc)Smurf(Smadユビキチン化調節因子)によるALK6の選択的分解を決定することを含むことができる。
【0066】
当業者が物質のALK6の発現を増加させる能力を決定することができる方法も多数ある。例えば、当業者は細胞中のALK6 mRNAレベルを(例えば定量的rtPCRを用いて)定量的に測定することができ、または細胞の表面上のタンパク質発現を(例えば免疫蛍光測定技術、ELISA、二次元電気泳動または質量分光法を用いて)定量的に測定することができる。
【0067】
1つの実施形態では、その方法は、試験物質のCdc42の発現または活性化、好適にはCdc42の発現への作用を決定することにより、試験物質のALK6と相互作用する能力を決定する工程を含むことができる。Cdc42の発現の決定方法は、細胞中または細胞上のCdc42タンパク質の量を測定すること、またはCdc42タンパク質合成の前駆体、例えばCdc42をコードするmRNAの量を測定することを含む。Cdc42タンパク質の発現レベルまたはCdc42 mRNAレベルを測定するのに必要な技術は、当業者には明らかである。タンパク質レベルを測定する技術は、免疫染色(例えば、免疫蛍光、ウエスタンブロッティング)、ELISA、二次元電気泳動または質量分光法を含むことができる。mRNAレベルを測定する技術は、ノーザンブロッティング、逆転写PCR、定量PCR、マイクロアレイまたはAffymetrix(登録商標)チップを含むことができる。
【0068】
とくに、本発明は、メラニン形成またはメラニン転移に影響を及ぼすようにALK6と相互作用することができる物質に関する。従って、試験物質のメラニン形成またはメラニン転移への作用を決定することがとくに望ましい。これを達成する方法、例えば物質のメラニン細胞からケラチン細胞へ、または潜在的にはケラチン細胞からケラチン細胞へ転移したメラノソーム数への作用を決定することについて、本出願において詳しく説明する。これは、本出願に記載する免疫染色技術を用いて達成することができる。
【0069】
本発明の方法は、BMP6を用意する工程を含むことができる。その方法においてBMP6を用意することにより、試験物質のALK6の活性をその生物学的配位子存在下で調節する能力を決定することが可能である。こうした方法は、化合物のBMP6と競合してALK6と相互作用する能力を評価するので、生理学的条件で用いるのにより有用であり得る。
【0070】
さらなる態様では、本発明は、物質のメラニン細胞からケラチン細胞へ、または潜在的にはケラチン細胞からケラチン細胞へのメラニンの転移を調節する能力の評価方法を提供するが、その方法は:
−試験物質を用意する工程;
−Cdc42を発現する細胞を用意する工程;ならびに
−試験物質のCdc42の活性および/または発現を調節する能力を決定する工程
を含む。
【0071】
好適には、Cdc42を発現する細胞はメラニン細胞またはケラチン細胞、より好適にはメラニン細胞である。
【0072】
その方法は、試験物質で処理した細胞におけるCdc42の活性および/または発現を対照細胞におけるCdc42の活性および/または発現と比較することを含むことができる。
【0073】
Cdc42の発現レベルは、当業者には明らかである多くの方法により測定することができる。本発明の実施形態では、発現は、免疫蛍光、ウエスタンブロッティングを用いて、またはCdc42 mRNAのレベルを測定することにより決定することができる。上記のとおり、他の適切な方法は当業者には明らかである。
【0074】
ここで本発明の実施形態について、ほんの一例として、添付の図面を参照しながら説明する。