【実施例】
【0074】
IV. 例
実施例1
モノクローナル抗体11E10はStx2のA
1サブユニットを認識する。11E10のStx2への結合は、Stx2の細胞毒性および致死作用の両方を中和するが、成熟Aサブユニットのアミノ酸は同一性が55%かつ類似性が68%であるにもかかわらず、モノクローナル抗体はStx1に結合またはこれを中和しない。この研究では、我々は、11E10エピトープを構成するStx2上のセグメントを特定し、その領域の11E10による認識がどのように毒素の不活化につながるかを究明しようとした。これらの目的に向かって、我々はキメラStx1/Stx2分子のセットを産生し、次にこれらのハイブリッド毒素を認識するための11E10の能力をウェスタンブロット分析で、毒素の中和能力をVero細胞細胞毒性分析で評価した。我々は、11E10に対するStx2上の結合エピトープを予測できる可能性のある一連の相違点について、アミノ酸配列とStx1 およびStx2の結晶構造も比較した。これらの評価を通して、11E10エピトープはStx2活性部位を取り囲む3つの不連続領域から成ると我々は結論付けた。11E10がどのようにStx2を中和するかを知るために、我々は、リボソームを標的にするための11E10/Stx2複合体の能力を調べた。インビトロ分析では、11E10のStx2への結合は毒素がタンパク質合成を阻害するのを防止するが、Vero細胞のStx2の全体的細胞分布も変化させることを見出した。11E10モノクローナル抗体のStx2への結合は、毒素の作用の全部でなくても少なくとも一部を中和し、これは毒素がリボソームに達するまたは不活性化するのを防止することによって起こるのではないかと我々は考える。
【0075】
我々は、STEC感染に関連するStxsを中和するための受動免疫化戦略を調査した( Dowlingら (2005) Antimicrob. AgentsChemother. 49:1808-1812、Edwards ら (1998) In J. B. KaperおよびA. D. O'Brien (ed.)、Escherichia coli O157:H7 and other Shiga toxin-producing E. coli strains. ASM Press, Washington, DC.、Kimuraら (2002) Hybrid. Hybridomics. 21:161-168、Ma ら (2008) Immunol. Lett. 121:110-115, Mukherjee ら (2002) Infect. Immun. 70:612-619、Mukherjee ら (2002) Infect. Immun. 70:5896-5899.)。我々の受動免疫化戦略は、この研究室で開発された、Stx/Stx1 またはStx2に特異的に結合して中和するマウスモノクローナル抗体に基づく(Strockbineら (1985) Infect. Immun. 50:695-700、Perera ら (1988) J Clin. Microbiol. 26:2127-2131)。モノクローナル抗体11E10は、ホルムアルデヒド処理でトキソイド化されたStx2でのBALB/cマウスの免疫化によって産生した(Pereraら, 上記)。ウェスタンブロット分析によると、11E10モノクローナル抗体は、Vero細胞のために、マウスのStx2のA
1断片を特異的に認識し、Stx2を中和するが、Stx/Stx1には結合または中和しない(Edwards ら, 上記、Perera ら 上記)。マウス11E10モノクローナル抗体は、ヒト定常領域を含むように修飾して、抗体受容者が抗マウス抗体反応を起こす確率を減少させた。cαStx2と呼ばれるこのヒト/マウスキメラ抗体は、第一相臨床試験を成功裏に終えた(Dowling ら, 上記)。このレポートで、我々は、Stx2のAサブユニット上のマウス11E10モノクローナル抗体によって(さらに、従ってcαStx2によっても)認識されるStx2のAサブユニット上のエピトープを定義し、モノクローナル抗体がインビトロで毒素の酵素活性をブロックし、またVero細胞における毒素輸送を変化させることの証拠を示している。
【0076】
材料および方法
細菌の菌株、プラスミド、精製Stx1およびStx2、およびモノクローナル抗体11E10および13C4
細菌は、Luria-Bertani(LB)ブロス中またはLB寒天(Becton Dickinson and Company、メリーランド州スパークス)上、組み換えプラスミドの選択に対して必要に応じて100μg/mlのアンピシリンを補充して増殖させた。この研究で使用された細菌の菌株およびプラスミドは、表1に示されている。前述のように、Stx1 およびStx2は親和性クロマトグラフィーで精製され(Melton-CelsaおよびO'Brien (2000) p. 385-406. In Handbook of Experimental Pharmacology, vol. 145. Springer-Verlag, Berlin)、モノクローナル抗体11E10、11F11(Stx2に特異的(Perera ら,上記))、および13C4(Stx1に特異的(Strockbine ら (1985) Infect. Immun. 50:695-700))はこの研究室で産生されて、BEI Resources(バージニア州マナッサス)に寄託した。
【0077】
(表1)この研究で使用された細菌の菌株およびプラスミド
【0078】
キメラ毒素プラスミドの構築
stxA
1 および
stxA
2の両方の部分を含む6つのキメラ毒素遺伝子を、スプライス重複延長(SOE)プロトコルのPCRで生成し(Higuchi (1989) p. 61-70. IN H.A. Erlich (ed.), PCR Technology. Stockton Press, New York)、PCR産物をpBluescript II KS (-)(Stratagene、カリフォルニア州ラホヤ)に結合した。キメラ毒素遺伝子は天然プロモーターおよびシャイン・ダルガノ配列を含み、5つのクローンの毒素発現レベルはこれらの条件下十分であった。1つのクローン(pMJS11)のAサブユニットの発現レベルを増加させるために、二回目のPCRで毒素オペロンを増幅し、最適化されたシャイン・ダルガノ配列 [TA
AGGAGGACAGCTATG (最適化シャイン・ダルガノ配列はアンダーラインで、StxA2の翻訳開始部位は太字で示されている)配列番号:20]をstxA
2の上流に加えた。この後者のPCR産物は、イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導性プロモーターを持つpTrcHis2 C発現ベクター(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)に結合させた。この研究で使用したすべてのプライマーを表2に示す。この研究のために作られた各構築物のDNA配列は、使用前に確認した。
【0079】
(表2)この研究で使用された合成オリゴヌクレオチド・プライマー
a 制限酵素部位はアンダーラインで示される。
b変異原性コドン部位は太字で示される。
【0080】
5つの追加的His標識キメラ毒素が、B遺伝子のすぐ下流に6つのヒスチジンコドンを含むstx
1クローンから産生された(
図2A)。これらのキメラにより産生された毒素は、Stx1の相当配列の代わりに推定11E10モノクローナル抗体エピトープを含むStx2 Aサブユニットの1、2、または3個の領域(以下、領域A、BおよびCと呼ぶ)を含む。領域A、BおよびCは、それぞれ、Stx2 Aサブユニットのアミノ酸42〜49 (配列番号:1)、96〜100 (配列番号:2)、244〜259 (配列番号:3)を指す。作られた5つのキメラ毒素は以下のように命名した:Stx1 +A (配列番号:4に示されるキメラStx2 A配列を含む)、Stx1 +AB(配列番号:5に示されるキメラStx2 A配列を含む)、Stx1 +AC(配列番号:6に示されるキメラStx2 A配列を含む)、Stx1 +BC(配列番号:7に示されるキメラStx2 A配列を含む)、またはStx1 +ABC(配列番号:8に示されるキメラStx2 A配列を含む)。
【0081】
部分的トキソイド化Stx1 +ABCの産生および精製
Stx1 +ABC毒素は、SOEプロトコルにより、Aサブユニットの位置77のチロシン残基をセリン残基に変えることによって部分的にトキソイド化した。Y77S変異は、Vero細胞に対する50%細胞毒性用量(CD
50)を、誘導培養物1 mlあたり10
6から 10
2 CD
50に減少させた。Y77S変異導入後の細胞毒性のこの4桁の減少は、Stx1のY77S変異で以前報告されたものと類似している(Deresiewicz ら (1992) Biochemistry 31:3272-3280)。
Stx1 +ABCトキソイドは、前述のようにニッケル親和性カラムで精製した(Smithら (2006) Infect. Immun. 74:6992-6998)。トキソイドの濃度は、ビシンコニン酸分析(Pierce、イリノイ州ロックフォード)で決定した。ドデシル硫酸ポリアクリルアミドナトリウムゲルの銀染色により、他の小さなバンドが観察されるものの、キメラトキソイドのAおよびBサブユニットが存在する主な2つのバンドであることが判明した(データ非表示)。
【0082】
Stx2cおよびStx2d変異体クローンの構築
His標識Stx2cを発現したクローンは、Stx2で上述のように、PCRで産生した(Robinsonら (2006) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A 103:9667-9672)。stx
2dクローンは、PCRで大腸菌 EH250とプライマー2DFおよび2DRから産生した(Pierard ら (1998) J. Clin. Microbiol. 36:3317-3322)。PCR産物は発現ベクターpTrcHis2 Cに結合させた。stx
2cおよびstx
2dが正しく増幅されたことは配列分析で確認された。
【0083】
ウェスタンブロット分析
精製されたStx1、Stx2またはキメラStx1/Stx2毒素を発現した細菌の超音波溶解物を、ドデシル硫酸ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)にかけ、次に前述のようにウェスタンブロットで分析した(Smith ら、 上記)。Stx1、Stx2Aまたはキメラ毒素を含む超音波溶解物中のAサブユニットの濃度は以下のように推定した。第一に、それぞれStx1 またはStx2の精製Aサブユニットを検出したウサギ抗Stx1 および抗Stx2ウサギポリクローナル抗体の、比較的同等レベルまでの特定希釈を、NIH Image Jソフトウェア(
http://rsb.info.nih.gov/nih-image)を使用して決定した。第二に、キメラ含有超音波溶解物をSDS-PAGEで分離し、結果得られたゲルをニトロセルロースに移し、上記で決定されたように希釈されたウサギ抗Stx1 および抗Stx2ウサギポリクローナル抗体の混合物でこれらのブロットをプローブした。第三に、各レーンのキメラAサブユニットに対応するバンドをNIH Image Jプログラムで定量化して、各溶解物試料中の毒素濃度を決定した。第四に、2つの追加的ポリアクリルアミドゲルに、精製Stx1、Stx2またはキメラを含む正規化溶解物の試料を(ステップ3で決定されたように)同等濃度を含むように添加した。次に毒素調製物をSDS-PAGEにかけ、その後ウサギ抗Stx1とウサギ抗Stx2ポリクローナル抗体の混合物(
図1B上のパネル)(ブロット1)または11E10モノクローナル抗体(
図1B下のパネル)(ブロット2)でウェスタンブロット分析を行った。これらのウェスタンブロットで使用された二次抗体は、ブロット1では1:15,000希釈(
図1B上のパネル)の西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)抱合ヤギ抗ウサギ免疫グロブリンG(IgG) (Bio-Rad、カリフォルニア州 ハーキュリーズ)、およびブロット2では1:3,000希釈(
図1B下のパネル)のHRP抱合ヤギ抗マウスIgG(Bio-Rad、カリフォルニア州 ハーキュリーズ)であった。結合された二次抗体は、ECL-Plusウェスタンブロット検出キットを使った化学発光で検出した(Amersham Bioscience、イギリス、バッキンガムシャー州リトルチャルフォント)。
【0084】
ウェスタンブロットは、Stx2、 Stx2c、Stx2d、Stx2d
actまたはStx2eを発現したクローンの超音波溶解物についても実施した。まず、これらの毒素試料からのAサブユニットの濃度は、ウサギ抗Stx2ポリクローナル抗体をプローブとして使用したことを除いては、上記と同様に決定した。2つの追加的ポリアクリルアミドゲルに、正規化試料の同等量を添加し、一次抗体としてウサギ抗Stx2ポリクローナル抗体または11E10モノクローナル抗体のどちらかを使用してウェスタンブロットを行った。二次抗体および検出方法は上記と同様である。
【0085】
Vero細胞でのインビトロ中和分析
Stx1、Stx2、キメラStx1/Stx2毒素、Stx2c、Stx2d、Stx2d
act、またはStx2eを含む細菌からの超音波溶解物のインビトロ中和分析は、前述のように11E10を使ってVero細胞(ATCC、バージニア州マナッサス)で実施した((Marquesら (1986) J Infect. Dis. 154:338-341; Smithら., 上記)。つまり、イーグル最小必須培地(EMEM)中の毒素(1〜3個のCD
50s)およびEMEM中の精製11E10モノクローナル抗体(0.5 mg/ml)を含む試料の同量を混合して、37℃ および5% CO
2で2時間培養した。次に毒素抗体混合物を、96ウェルプレートのサブコンフルエントVero細胞に重ねて、48時間培養した。その後Vero細胞を固定、染色し、600 nm (OD
600)での吸光度を測定した。これらの中和実験は重複して少なくとも2回行った。超音波溶解物の毒素の細胞毒性作用を中和するための11E10モノクローナル抗体の能力は、毒素のみまたは毒素と抗体を加えたウェルの細胞生存を比較することによって決定した。抗体による毒素の中和パーセントは、以下の式で計算した。中和パーセント:[(毒素+抗体ウェルの平均OD
600 - 毒素のみのウェルの平均OD
600 )/(細胞のみのウェルの平均OD
600- 毒素のみのウェルの平均OD
600)] x 100。11E10モノクローナル抗体は、野生型活性の約65%までStx2を中和した。11E10モノクローナル抗体による毒素誘導体の中和パーセントのレベルを比較しやすくするために、11E10によるStx2の中和量が100%に設定されるようにデータを正規化し、他の毒素の中和レベルはStx2のレベルに対して計算した。
【0086】
マウスの免疫化および抗原投与
体重が14〜16 gのCD-1雄マウス(Charles River Laboratories、マサチューセッツ州ボストン)から免疫前血清を採取した。これらの血清試料は、マウスがStx1またはStx2への既存の力価を持っているかどうかを判断するために、酵素免疫吸着法(ELISA)で使用した。どのマウスも、研究の開始時にはどちらの毒素にも免疫反応を示さなかった。次にマウスは、疑似接種グループ(以下陰性対照グループと呼ぶ)およびキメラトキソイドで免疫されたグループの2つのグループに分けた。陰性対照グループのマウスは、PBSとTiterMax(油中水アジュバント)(TiterMax, USA Inc.、ジョージア州ノークロス)の混合物で腹腔内免疫した。第二のグループのマウスは、TiterMaxと混合した1 ugのトキソイドで、腹腔内免疫した。マウスには、3週間ごとに合計4回追加接種をおこなった。最後の追加接種から2週間後に、陰性対照グループのマウス5匹とトキソイド免疫マウスの5匹に対してStx1の50%致死量(LD
50)の10倍 (1,250 ng)を腹腔内に抗原投与し、陰性対照グループの29匹およびトキソイド免疫マウスの34匹には、Stx2のLD
50の5倍(5 ng)を抗原投与した。
【0087】
インビトロタンパク質合成阻害分析
ウサギ網状赤血球溶解物、蛍ルシフェラーゼmRNA、およびルシフェリン基質は、Promega Corporation(ワイオミング州マジソン)から購入した。Stx2 (4 ng/μl) を同量の抗体(4 または40 ng/μlで)と混合し、この毒素/抗体混合物の1 μl を網状赤血球溶解物9 μl と混合した。混合物を30℃で培養して、毒素に溶解物中のリボソームを不活化させた。1時間後、ルシフェラーゼmRNAの1アリコートおよび70℃で2分加熱しておいたアミノ酸を加え、溶液をさらに90分間培養して、インビトロのタンパク質合成を進行させた。すべての分析は、3回行った。ルシフェラーゼ活性は、溶解物混合物1 μl を透明96ウェル(Fisher Scientific、ペンシルバニア州ピッツバーグ)の20 μlのルシフェリン基質 に加えることによって測定した。発光は、10分露光下Kodak Image Station 440CFで検出した。発光シグナルは、単一ウェルに対応する円形領域内の合計シグナル強度の総和によって分析した。
【0088】
中毒細胞中の11E10の局在
8ウェル組織培養スライド(Thermo Fisher Scientific、ニューヨーク州ロチェスター)に、1 X 10
5 細胞/mlの濃度で Vero細胞を播種し、5% CO
2の雰囲気下、37℃で24時間接着させた。Stx2 (10 ng/mlの0.2 ml ) を10 ngの精製11E10モノクローナル抗体と混合、または陰性対照としてPBSと混合した。抗体/毒素またはPBS/毒素溶液をVero細胞と6時間培養し、その後細胞を緩衝化ホルマリン(Formalde-Fresh, Fisher Scientific, Pittsburg, PA)で固定し、PBS中0.001% Triton-X100 (Pierce、イリノイ州ロックフォード)で透過処理した。すべての免疫染色手順は、3%ウシ血清アルブミン(BSA, Sigma、ミズーリ州セントルイス)を含むPBS中で行なわれた。細胞中のモノクローナル抗体11E10の存在は、Alexa-Fluor 488標識ロバ抗マウスIgG(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)で検出した。中毒細胞中の合計Stx2をウサギ抗Stx2ポリクローナル抗体で標識して、Alexa-Fluor 488抱合ロバ抗ウサギIgGが二次抗体(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)として使用した。Stx2およびエンドソームの二重標識は、それぞれ抗Stx2モノクローナル抗体11F11 (Perera ら, 上記), BEI Resources、バージニア州マナッサス)および抗EEA1 (C-15)ヤギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology、カリフォルニア州サンタクルーズ)、並びにAlexa-Fluor標識二次抗体で行った。適切な一次および二次抗体と培養した後、37℃で20分間細胞をホルマリンで固定し、スライドをSlowFade培地(Invitrogen、カリフォルニア州カースルバッド)と共に乗せた。反射光蛍光アタッチメント付きOlympus顕微鏡およびSpot CCDデジタルカメラ(Diagnostic Instrument Products、ミシガン州スターリングハイツ)で、結合フルオロフォア標識二次抗体の40倍拡大イメージを取得した。蛍光イメージはAdobe Photoshop(Adobe Systems、カリフォルニア州サンノゼ)で処理して重ね合わした。
【0089】
結果
初期キメラ毒素のモノクローナル抗体11E10との相互作用
11E10モノクローナル抗体と相互作用するStx2の部分を決定するために、我々はstxA
1の領域に対応する位置に挿入されたstxA
2遺伝子の異なる領域を含む6つのキメラ毒素オペロンの初期セットを構築した(
図1A)。精製Stx1、Stx2または6つの異なるキメラStx1/Stx2毒素を発現する大腸菌DH5αの溶解物のウェスタンブロットを、11E10モノクローナル抗体でプローブした。抗体は、Stx2およびStx2 Aサブユニットの29〜297、1〜158、および29〜128領域からのアミノ酸を含むキメラ毒素と強く反応した(
図1B)。11E10によって認識されるStx2の最小部分を持つキメラ毒素は、弱くではあるが、StxA2、領域42〜49からの8つのアミノ酸のみを含んでいた。
【0090】
次に、Stx1、Stx2または6つの初期キメラ毒素の1つを含む細菌溶解物の毒性を中和するための11E10モノクローナル抗体の能力をVero細胞について調査した。予測されたように、11E10モノクローナル抗体はStx2を中和したが、Stx1は中和しなかった(
図1C)。しかし、Stx2と比較して、StxA2の領域1〜158 または29〜297を持つハイブリッド毒素は11E10によって約85%中和され、その結果、11E10エピトープの重要成分はStx2の残基29〜158の間にあることが示唆された。対照的に、Stx2からのアミノ酸29〜128を持つキメラ毒素は、免疫ブロットでは強く認識されたが、Stx2のレベルの約32%のみ中和された。これらの知見を合わせると、11E10中和エピトープは、ウェスタンブロットにおける11E10の Stx1(2A
29〜128)への結合に要求されるよりも多数のアミノ酸を含み、このため、中和エピトープの一部がこのハイブリッドから欠如していることが示唆される。ウェスタンブロット分析で11E10モノクローナル抗体によって弱く検出された他の3つのキメラ毒素は、Stx2中和の正規化レベルと比較した場合、11E10によって適切に中和されなかった(15%未満)。これらの結果を合わせると、Stx2上の11E10中和エピトープの重要成分の1つ以上がアミノ酸 29〜76の外側に存在することが示される。
【0091】
Stx1とStx2の間のAサブユニットアミノ酸配列と結晶構造の差異分析
キメラ毒素の第一のセットのウェスタンブロットおよび中和分析では、11E10エピトープは、毒素検出のためにStx2 Aサブユニットのアミノ酸42〜49(配列番号:1)を少なくとも必要とすることが示されたが、完全な認識および毒素中和のためには追加的アミノ酸が必要であることも判明した。従って、Stx1およびStx2からの成熟Aサブユニットのアミノ酸配列は、11E10によるStx2の認識および中和に関与する可能性のあるアミノ酸の追加的固有ストレッチを特定するように整列した。次に、Stx (Fraser ら (1994), 上記)とStx2 (Fraserら (2004), 上記)の結晶構造(Protein Data Bankの受入番号はそれぞれ1RQ4および1R4P)をDeep View/Swiss-PDBビューアーを使用して比較し、三次元構造中の毒素間での配列の領域の位置の違いとこのような領域のお互いの近接性を評価した。前述のように、Stx2 Aサブユニットの残基42〜49にわたる8つのアミノ酸は11E10結合部位の一部を形成し、以下、領域Aまたは配列番号:1と称する(
図2A、領域A強調アミノ酸)。領域Aからの8つのアミノ酸をStx2結晶構造の中で見ると、それらは毒素構造の中で大きな屈曲を形成しているように見え(
図2Bにおいて緑色で示され、黒矢印によって示され、また
図2Cにおいても同様に示されている)、さらに、それらはStx2の外面上の、アミノ酸167の周りの活性部位の裂け目の近くにあった。
【0092】
Stx1およびStx2のAサブユニットの間の第二の相違領域は、これらの2つの毒素のアミノ酸配列および結晶構造を比較した時に特定され、これは我々が領域Bまたは配列番号:2と呼ぶセグメントであった(
図2A、領域B強調アミノ酸)。領域BはStx2のAサブユニットの5つの残基(
96THISV
100)(配列番号:2)にわたり、この領域の5つのアミノ酸のうち4つはStx1 と Stx2とで異なる(
図2A)。領域Bは領域Aからアミノ酸約50個分離れているが、アミノ酸のこの部分は Stx2結晶構造の領域Aに向かって伸びている(
図2Bで、領域Bは青色で示され、グレーの矢印で示されている)。三次元構造での領域Aの領域Bへの近接性は、空間充填モデルではより明白である(
図2C)。
【0093】
我々が領域Cまたは配列番号:3と名付けたStx1 とStx2のAサブユニット間の第三の相違領域は、Stx2の残基246の周りのフリン切断部位に重なる(
図2A、領域C強調アミノ酸)。領域Cは、その位置のStx1とStx2の間のアミノ酸配列の違いのみだけでなく、領域C(
図2Cで青緑色で示され、白い矢印で示される)が領域AおよびBに空間的に近接していることを示したStxとStx2の結晶構造の比較によっても特定された。Stx およびStx2の結晶構造の分析から、領域A、B、およびCは触媒活性部位の比較的近くにあるStx2の同じ面上に群がっていると我々は結論付けた(
図2Cで最もよくわかる)。
【0094】
第二世代キメラ毒素のモノクローナル抗体11E10との相互作用
領域BおよびCが11E10エピトープの一部であるかどうかを判断するために、Stx1上の対応する領域の代わりに、Stx2の領域A、BまたはCのさまざまな組み合わせを含むキメラ毒素の第二のセットを産生した(
図3A)。次に、Stx1、Stx2またはキメラ毒素のウェスタンブロットを11E10でプローブした(
図3B、下のパネル)。11E10モノクローナル抗体は、領域Aを含むすべての毒素を検出した(Stx2、Stx1 +A、Stx1 +AB、Stx1 +AC、およびStx1 +ABC)(
図3B、下のパネル)。領域Aを持たない毒素は11E10モノクローナル抗体では検出されず(Stx1およびStx1 +BC)、これは、領域Aが11E10エピトープの必須成分であることを確認する知見である。しかし、領域AおよびB(Stx1 +AB またはStx1 +ABC)を取り込んだ2つのキメラ毒素は、11E10モノクローナル抗体によって、領域Aのみまたは領域Aと領域Cの組み合わせを含むキメラ毒素よりも強く検出されるように思われた(
図3B、下のパネル)。これらの結果をまとめると、領域AおよびBは両方とも毒素の完全11E10認識にとって重要であることを示す。
【0095】
我々は、次に、5つの第二世代キメラ毒素(
図3A)のそれぞれの超音波溶解物を、11E10モノクローナル抗体でインビトロ中和について分析した。抗体は、領域A、BおよびC(Stx1 +ABC)を含むキメラ毒素を、 Stx2中和レベルの約65%まで中和した。対照的に、領域AとB(Stx1 +AB)のみ、またはAとC(Stx1 +AC)のみを含むキメラ毒素は、Stx1 +ABCキメラの中和レベルの約半分まで中和された(
図3C)。11E10による感知できるほどの中和はStx1 +A またはStx1 +BCキメラ毒素に対して観察されなかった(それぞれ約6.9および4.3%)。キメラ毒素のより広範な(> 50%)中和にはStx2からの領域A、B、およびCを必要とすることから、11E10による50%を超える中和には3つの領域すべて(A、B、およびC)が必要であると我々は結論付けた。
【0096】
Stx2とStx2変異体および11E10モノクローナル抗体のウェスタンブロットおよびインビトロ中和分析の結果
11E10によってStx2変異体のどれが認識および/または中和されるかを判断するために、Stx1、Stx2、またはStx2変異体(Stx2c、Stx2d、Stx2d
actおよびStx2e)をウェスタンブロットで分析した。Stx2およびすべてのStx2変異体は11E10によって認識されたが、Stx2eはより少ない程度で検出された(
図4A、下のパネル)。ウェスタンブロット形式での11E10によるStx2eのこの弱い検出は、コロニーブロットで11E10はStx2e産生株を検出できなかったという我々の以前の報告と一致している(Perera ら, 上記)。Stx2eは、Stx2と比較して、領域Bに2つの保存アミノ酸の相違点を持つ(THISV (配列番号:2)よりはむしろAHISL (配列番号:19))。また、領域Aに直接隣接するいくつかのアミノ酸配列の相違点もある(示されていない)。これらの相違点は、ウェスタンブロット上での11E10によるStx2eの認識が低下したためではないかと我々は推測する。
【0097】
Stx2変異毒素に対するモノクローナル抗体11E10の中和能力を評価した際、11E10はすべてのStx2変異毒素を、Stx2の中和レベルの60%以上まで中和することがわかった(
図4B)。ウェスタンブロット形式での11E10によるStx2eの認識が限られていることから、観察されたStx2eの11E10による中和レベルは驚きであった(
図4A、下のパネル)。しかし、この研究での11E10によるStx2eの中和は、11E10が部分的にStx2eを中和することを示した我々の以前の結果と一致する(Pereraら, 上記)。
【0098】
マウスにおけるStx1 +ABCトキソイドの免疫および保護反応
次に我々は、Stx1 +ABCハイブリッド分子のトキソイド化誘導体が、マウスのStx2に対して血清中和または保護反応を誘発するかどうかを解明しようとした。マウスのグループをキメラトキソイドまたは対照としてPBSで免疫した。次に、5匹のトキソイド免疫マウスおよび5匹のPBS免疫マウスの血清を、抗Stx1中和反応について評価した。PBS免疫マウスの血清はどれもStx1中和活性を含んでいなかった。以前の研究から予測されるように、5匹のトキソイド免疫マウスすべてがStx1に対する中和抗体を持っていた(Smith ら (2006) Vaccine 24:4122-4129、Wen ら, 上記)。これらの5匹のマウスの血清に対する抗Stx1中和力価の平均は、バックグランドより4.0 ± 0.9ログ上であった。残りの34匹のトキソイド免疫マウスの血清のうち11個がStx2に対する中和反応をいくらか持っていたが、29匹のPBS免疫マウスの血清のどれも抗Stx2反応を示さなかった(データ非表示)。
【0099】
最後の追加接種から2週間後に、陰性対照グループのマウス5匹とトキソイド免疫マウスの5匹に対して、Stx1のLD
50の10倍量を腹腔内投与した。以前の研究の結果から予測されるように、陰性対照グループのすべてのマウスが死亡したが、すべてのトキソイド免疫マウスは致死的攻撃を生き延びた(表3)(Smith ら, 上記、Wenら 上記)。さらに、Stx1で抗原投与されたトキソイド免疫マウスの生存は、これらのマウスのインビトロ中和力価に直接相関していた。
【0100】
(表3)Stx1またはStx2での致死的攻撃に対する免疫マウスの保護
a LD
50は、Stx1およびStx2に対してそれぞれ125 および1 ng/マウスとして過去に決定した。
b 抗原投与された時のマウスの平均体重は 47.1 gであった。
c フィッシャーの直接確率検定を用いて、グループCおよびD中の生存割合を比較し、p値は0.2667であった。
【0101】
トキソイド免疫グループで低いStx2中和抗体力価が観察されたため、残りのマウスにはStx2のLD
50の5倍量のみで抗原投与することにした。29匹の陰性対照マウスのうち6匹(20.7%)がStx2での抗原投与を生き延びた一方、34匹のトキソイド免疫マウスのうち12匹(35.3%)が生き延びた(表3)。これは統計的には有意でないが、キメラトキソイドはStx2からのいくらかの保護を提供したことを示唆する知見である。
【0102】
インビトロタンパク質合成阻害分析
11E10エピトープがStx2活性部位の切れ目の周りの表面ループから成っているようであるという我々の知見から、11E10はタンパク質合成を阻害する毒素の能力をブロックすることによってStx2を中和するという仮説を立てた。したがって、我々は、ルシフェラーゼmRNAを添加したウサギ網状赤血球タンパク質合成分析で、11E10モノクローナル抗体がStx2のリボソーム不活化作用を中和できるかどうかを評価した。ルシフェラーゼ・レポータータンパク質からのシグナルを、毒素を添加しなかった時に測定されたシグナルと比較して約60%減少させた毒素の濃度が選択された(
図5)。分析への11E10の添加によって、Stx2が存在する場合でもウサギ網状赤血球溶解物中でタンパク質合成を起こすことができたが、アイソタイプ適合の無関係な抗体では起こらなかった(
図5)。
【0103】
モノクローナル抗体11E10は、Vero細胞中のStx2の全体的分布を変化させる
インビトロタンパク質合成分析で、モノクローナル抗体11E10は、Stx2によるタンパク質合成阻害を防止することがわかったが、我々はさらに、11E10はStx2が中毒Vero細胞の細胞質中のリボソームに達するのを妨げるかもしれないという仮説を立てた。従って、我々は、モノクローナル抗体11E10が標的細胞中のStx2局在を変化させるかどうかを判断しようとした。(11E10結合Stx2はVero細胞に結合でき、11E10はVero細胞に結合したStx2に付着できることを我々は以前見出した(データ非表示))。Stx2を11E10またはPBSと混合して、抗体/毒素またはPBS/毒素混合物をVero細胞と共に培養した。次に、ウサギポリクローナル抗体抗Stx2およびフルオロフォア標識抗ウサギIgG二次抗体で、標的細胞中のStx2の分布を可視化した(
図6)。Stx2は、11E10が存在しない場合は細胞質全体に渡って分布されているように見える(
図6A)が、11E10の存在下では大部分が核周囲体に集中したままに見える(
図6B)。毒素/11E10混合物と共に培養した細胞を抗マウスIgGで染色した時、11E10はStx2と同じ核周囲点状構造で観察された(図 6C)11E10モノクローナル抗体は、毒素が存在しない場合には細胞に入ることができなかった(
図6D)。核の周りの点状体内の11E10結合Stx2の局在は、抗体毒素複合体は細胞に入ったが細胞質へは入らなかったことを示唆した。従って我々は、中毒細胞を早期エンドソームマーカー・モノクローナル抗体EEA-1で免疫染色することによって、Stx2または11E10結合Stx2は早期エンドソーム内で局在化しているかを確かめた。染色パターンを重ねた時に橙黄色で示されるように、11E10結合Stx2で中毒させた細胞のStx2の多くは、早期エンドソームマーカーと共局在化した(
図6E〜G)。対照的に、Vero細胞をStx2飲みと培養した場合は、毒素は細胞質全体に渡って見られ、少量のみが早期エンドソームマーカーと共局在化した(
図6H〜J)。
【0104】
考察
結果から、11E10モノクローナル抗体エピトープは立体配座であり、結晶構造の毒素の活性部位に近いと思われるStx2 Aサブユニットの3つの非直線領域を含むことが示される(
図2C)。11E10エピトープを特定する我々の戦略には、キメラStx1/Stx2毒素の産生を含み、これは、Stx2配列をStx1骨格に配置することにより抗体エピトープの三次元三次構造が維持され、11E10モノクローナル抗体による認識が可能になるという仮説に基づいていた。ウェスタン分析で11E10による認識を可能にしたStxA2の最小領域は、8つのStx2アミノ酸(
42NHTPPGSY
49) (配列番号:1)からのみ構成されることを我々は見出した。しかし、Stx2(領域A)からのこれらの8つのアミノ酸のみを持つキメラStx1/Stx2は、11E10モノクローナル抗体によって中和されなかった。11E10はStx2を中和するので、我々が特定した8つのアミノ酸は11E10エピトープの必須領域から成るものの、完全な中和エピトープを含まないと考えた。我々はさらに、Stx1 とStx2のアミノ酸配列および結晶構造両方における相違を分析し、11E10の認識および中和に関与している可能性のあるStx2上の追加的領域を特定しようとした。これらの比較を通して、11E10エピトープに寄与する可能性のあるStx2のセグメントの2つ以上を特定した。実際に、これらの領域がStx1上の対応セグメントを置換するために使用される場合、11E10による最も完全な認識および中和のためには、3つの領域すべてが必要であることを我々は見出した。
【0105】
モノクローナル抗体は、ウェスタンブロットの推定上の変性状態下でStx2を認識するので、完全11E10中和エピトープはStx2上の3つの非連続領域を含むという我々の結論はおそらく驚きであろう。この後者の観察に対するいくつかの説明が考えられる。これらには、ウェスタン反応が主に11E10と領域A(
42NHTPPGSY
49)の相互作用による、または別の研究(Smithraら (2006) Infect. Immun. 74:6992-6998)でモノクローナル抗体13C4に対して観察されたように、Aサブユニットの部分的な再折り畳みがウェスタンブロットプロセスの間に起こる、というものが含まれる可能性がある。
【0106】
Stx2上の11E10モノクローナル抗体中和エピトープを形成する3つの表面ループの配列は、Stx2変異体の中に保存されている。ヒト分離物ではめったに見られない2つの毒素である、Stx2d およびStx2eのこれらの領域中で異なるアミノ酸が2、3ある(Melton-Celsa ら (2005), 上記)。しかし、11E10モノクローナル抗体は、Stx2およびこのレポートで分析されたStx2変異体のすべて(Stx2c、Stx2d、Stx2d
act、およびStx2e)の細胞毒性活性を検出し、これを部分的に中和した。Vero細胞上Stx2eは11E10によって中和されるが、ウェスタン形式ではStx2と比べてあまり認識されないという知見は、Stx2 と Stx2eの間で異なる領域Bの配列は、中和に対するよりもウェスタンブロットでの認識にとってより重要であるということを示す可能性がある。しかし、11E10がこれらの変異毒素のすべてを中和する能力を持つという事実は、これがヒトにおいてStx2 およびStx2関連毒素で媒介される疾患を治療するための良い候補である可能性を示唆する。実際、疾患の毒血症(Stx2)モデル(Sauterら (2008) Infect. Immun. 76:4469-4478)およびStx2d
actを産生する株の疾患の経口給餌マウスモデル(Edwardsら, 上記)で、11E10は保護的であることを我々は見出した。我々は現在、11E10、cαStx2のヒト化バージョンの進行中の実験室評価に関与しており、これの第 I 相安全性試験が完了している(Dowling ら, 上記)。
【0107】
我々は、11E10エピトープを含むStx2からの29のアミノ酸のみを含むトキソイド化キメラ Stx1分子で免疫することにより、Stx2抗原投与からマウスを守ろうとした。免疫マウスはStx1に対する保護反応を起こしたが、Stx2中和抗体を産生したマウスはわずかであり、これらの力価は低かった。Stx2に対する反応は、キメラトキソイドのさらなる追加免疫で改善された可能性がある。
【0108】
11E10はインビトロでStx2の酵素活性をプロックし、これは毒素活性部位に11E10エピトープが近接していることに基づいて我々が予測した事実である。さらに、11E10が細胞内の毒素の全体的分布を変化させたことも観察され、この知見は異なるStxA2モノクローナル抗体(5C12)によるStx2中和でのデータ(Krautz-Petersonら ( (2008) Infect. Immun. 76:1931-1939)により報告)に類似している。これらの研究者は、モノクローナル抗体5C12がStxA2に結合すると、毒素の細胞内輸送パターンを変化させると結論付けた(Krautz-Peterson ら, 上記)。我々のデータは、一旦11E10/Stx2複合体が宿主細胞に結合してこの中に入ると、抗体は、細胞質ゾルの標的リボソームへの毒素の輸送を妨げる可能性があることを示している。しかし、11E10がインビトロで毒素の酵素機能を妨げることが示されたので、11E10と複合されたStx2のAサブユニットが細胞質ゾル中のその酵素標的に達した場合、毒素は細胞を殺すことができないであろうと我々は予測した。
【0109】
他の実施態様
記述された本発明の方法および組成物のさまざまな変更およびバリエーションは、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者にとっては明らかである。本発明は、特定の望ましい実施態様に関連して記述されているが、当然のことながら、請求されている本発明はこのような特定の実施態様に不当に制限されるべきではない。
【0110】
この明細書で言及されるすべての特許、特許出願、および刊行物は、それぞれの個別の刊行物が参照により具体的かつ個別に組み込まれるのと同じ程度に、参照によって本書に組み込まれる。