特許第5773889号(P5773889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エレクトリシテ・ドゥ・フランスの特許一覧

<>
  • 特許5773889-炭素質放射性廃棄物処理 図000002
  • 特許5773889-炭素質放射性廃棄物処理 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773889
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】炭素質放射性廃棄物処理
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/32 20060101AFI20150813BHJP
   G21F 9/10 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   G21F9/32 G
   G21F9/10 F
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-553488(P2011-553488)
(86)(22)【出願日】2010年2月4日
(65)【公表番号】特表2012-520452(P2012-520452A)
(43)【公表日】2012年9月6日
(86)【国際出願番号】FR2010050174
(87)【国際公開番号】WO2010103210
(87)【国際公開日】20100916
【審査請求日】2011年11月8日
(31)【優先権主張番号】0951517
(32)【優先日】2009年3月11日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】12/437,195
(32)【優先日】2009年5月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504462489
【氏名又は名称】エレクトリシテ・ドゥ・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール・ローラン
【審査官】 村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−121795(JP,A)
【文献】 特開2000−070678(JP,A)
【文献】 特表2003−511710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/00 − 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質放射性廃棄物を処理するための方法であって、
‐酸化炭素を得るために廃棄物を処理する第1処理と、
‐選択された元素と反応させることによって前記酸化炭素の固体沈殿物を得るための第2処理と、を含み、
‐前記第1及び第2処理の両方を適用する第1段階と、
‐前記第1処理のみを適用する第2段階と、を含み、
前記第1処理は、炭素質廃棄物の同位体14Cの酸化を同位体12Cと比較して促進するために、900℃より高くなるように制御された温度で実施される、方法。
【請求項2】
前記第2段階から得られた酸化炭素が、大気中に自由に放出されるように形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
‐前記選択された元素がカルシウムであり、
‐前記第2処理が炭酸化であり、
‐前記第1段階からの前記固体沈殿物が方解石であり、長期保管用にこん包されるよう意図された、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
‐前記第1段階における前記第1処理の適用を受けて得られた前記酸化炭素の放射線量を測定し、
‐前記放射線量が選択された閾値未満である場合に前記第2段階の適用を決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記廃棄物が放射性非炭素質元素を含み、前記廃棄物を破砕し、湿式工程を経由させ、前記非炭素質放射性元素を密閉し、前記湿式工程において処理し、前記酸化炭素の放射線量を前記湿式工程の外部に配置された分析器を使用して測定する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1処理が、少なくとも1つの水蒸気改質作業を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1処理が、前記第1段階において、不活性ガス中での焼成を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
‐処理される廃棄物の初期量、及び
‐前記第1処理を適用する間の酸化反応温度
に少なくとも応じて選択された時点で、前記第1段階から前記第2段階への切替えを選択する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記温度が1200℃以上である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記炭素質廃棄物が少なくとも黒鉛及び/または樹脂を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実施するための手段を備える炭素質放射性廃棄物処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に原子力発電原子炉内のその他の放射性廃棄物を捕捉するために使用される例えば黒鉛構造体(核燃料集合体を取り囲む「スリーブ」、または反射材または減速材として使用される「ブリック」)または有機樹脂(ビードまたはペレット形状であることが多い)などの炭素質放射性廃棄物の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
このような炭素質廃棄物では、トリチウム(H)、塩素36(36Cl)、及び特に炭素同位体、特に放射性同位体14C(以降は「炭素14」と称する)などの揮発性放射性核種の分離及び密閉保管を実施することが求められる。
【0003】
前記炭素質廃棄物の2種類の処理が構想される:
‐炭素元素が炭素14同位体である、例えば一酸化炭素及び/または二酸化炭素などの酸化炭素を得るための第1処理、及び
‐例えばカルシウムなどの選択された元素と反応させることによって固体沈殿物を得るために前記酸化炭素を処理する第2処理。
【0004】
この第2処理は「炭酸化」と呼ばれ、例えば生石灰(選択された元素がカルシウムである場合)を含有する溶液中に酸化炭素を吹き込むステップからなり、得られた固体沈殿物(典型的に、炭素元素が同位体14Cである方解石(カルサイト)CaCO)が、例えば山の下など、特定の深さを有する土地の下の地上または地下に収納された容器内に長期的に密閉及び保管され得る。この場合、酸化炭素をカルシウム以外の元素、例えばマグネシウム(またはその他の金属)と反応させてマグネサイトMgCOを得るステップからなる代替法が特定される。従って、第2処理の目的は、一般的に、炭素元素を含む炭酸塩及び/または塩の不溶性固体沈殿物を得ることであることに留意すべきである。
【0005】
通常、第2処理は、第1処理から得られる全ての酸化炭素に対して適用される。その結果、固体沈殿物は、廃棄物処理から得られる全ての酸化炭素から得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/064251号明細書
【特許文献2】特開第2000−070678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この方法は、少なくとも2つの理由から満足できるものではない。第一に、固体沈殿物(方解石またはその他のもの)のこん包、保管及び埋設は非常に高価である。第二に、環境を考慮すると、可能な限り少量の廃棄物を保管する必要性が求められる(特に前記廃棄物が破壊または処理に適する場合)。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の状況を改善することを目的とする。
この目的を達成するために、第1に、
‐前記第1及び第2処理の両方を適用する第1段階と、
‐前記第1処理のみを適用する第2段階と、
を含む方法を提案する。
【0009】
放射性同位体14Cは、おそらく原子結合の性質に起因して、非放射性炭素12C及び場合によっては同位体13C(無害または比較的無害)とは異なる特性を有し、第1処理の適用の間にその他の炭素同位体よりも高速に反応する傾向にある。
【0010】
この効果について以下で説明する。原子炉内では、熱中性子の流れにおいて、2つの反応が同位体14Cの原因となり得る。
‐第1反応13C(n,γ):14C及び
‐第2反応14N(n,p):14
【0011】
炭素は大部分が黒鉛マトリクスを形成する一方で、窒素は主に黒鉛の細孔内に存在するため、第1反応は第2反応に対して優勢である。
【0012】
計算によって、2種類の反応に由来する同位体14Cの反跳エネルギーが、グラファイトの構造を形成するグラフェン面内部の化学結合を破壊する程度に十分大きいことが示されている。実際、結合エネルギーは、ほとんどの場合1keVより大きく(同位体13Cから形成された同位体14Cの場合)、およそ40keV(同位体14Nから形成された同位体14Cの場合)である。従って、特に同位体14C原子の場合に、結合エネルギーが280eVに近いグラフェン面のC−C結合が破壊され、これらの原子が構造位置から移動する可能性が高い。原子炉では、これらの原子はその他の炭素原子または黒鉛中の不純物と新たな結合を形成し得るが、原子炉の作動温度は再度グラフェン面を形成する程度には高くない。
【0013】
その結果、前述の第1及び/または第2処理の間に、同位体14Cは同位体12Cより前に解放される。
言い換えると、第1廃棄物酸化処理段階において、炭素元素が放射性同位体14Cの濃度よりも高い酸化炭素が最初に基本的に解放され、基本的に12Cからなるために炭素元素の放射能が低いまたは無い酸化炭素がそれに続く。この非放射性酸化炭素は、固体沈殿物を得るための処理を行う必要がなく、大気中に直接放出することができることが理解される。
【0014】
より一般的な条件では、炭素質廃棄物が当初炭素14を含む場合には本発明による方法において、第1段階を受けて得られた固体沈殿物が基本的に炭素14を含むのに対して、第2段階からの酸化炭素が炭素14を含まないかその残存量のみを含み、その結果直接放出が可能である。従って、第2段階からの酸化炭素は、大気中に自由に放出され得る(または、一酸化炭素が大気中に放出されることを防止するために、例えば酸化によって二酸化炭素に形成され得る)。
【0015】
第1段階から第2段階へと切り替え、その結果酸化炭素を大気中に放出する好ましい時は、以下の通り決定され得る。
‐第1段階における第1処理の適用を受けて得られた酸化炭素の放射線量を測定する
‐放射線量が選択された閾値未満である場合に第2段階の適用を決定する
【0016】
しかしながら、このような実施形態を完了するためには、第1処理段階において酸化炭素のみが放射性であるべきであることを確実にする必要がある。それにもかかわらず、処理される廃棄物は、炭素以外のその他の元素、例えばトリチウム(H)または塩素同位体36(36Cl)などの前記非炭素質揮発性元素、またはその他のものを含み得る。本発明との関連において標準的であるが有利な構成では、廃棄物は破砕され、湿式工程を通され、非炭素質放射性元素が湿式工程に閉じ込められ、処理される一方で、酸化炭素は湿式工程から揮発性の形態で抽出される。従って、適当に配置された放射線分析器を使用することが有利である。この場合、酸化炭素における放射線量は、湿式工程の外部に配置された分析器を使用して測定することが有利である。この分析器は、典型的に、第1処理からの酸化炭素放射能に場合によっては含まれる炭素14のβ放射能を測定することができる。
【0017】
ここで、前述の「第1処理」の目的が、廃棄物を分解して、酸化炭素、典型的に一酸化炭素Coまたは二酸化炭素COを得ることであることが特定される。放射性廃棄物処理の分野において、酸化炭素を得るためのいくつかの方法が知られている。
‐特許文献1に記載されたような水蒸気改質による方法
‐不活性ガス中での焼成による方法
【0018】
水蒸気改質は、C+HO→CO+Hという反応による、過熱蒸気に基づく処理であり、該反応は、以下に示すとおり、好ましくは900℃程度またはそれ以上、及び本発明においては好ましくは1200℃以上の温度で起こる。
【0019】
不活性ガス(例えば窒素N)中での焼成もまた、以下の反応によって、900℃程度またはそれ以上、及び本発明においては好ましくは1200℃以上の温度で好ましくは実施される。
C+1/2O→CO及び/またはC+O→CO及び/または上記と同じ反応
C+HO→CO+H(湿式工程(水媒体において)から得られる水と)
【0020】
本発明では、図2を参照して以下で詳細に説明されるように、炭素14が非放射性炭素12Cよりも先に反応して酸化物CoまたはCOを形成する効果が、反応温度(またはより一般的には炭素質廃棄物)が上昇するにつれて次第に際立つことを証明したことが確認されたため、これらの反応を900℃超(これらの反応に通常使用される温度)の温度で実施することが特に求められる。この場合、本発明による方法を実施するための廃棄物処理設備において、900℃の温度を超過することが可能な炉が好ましくは使用される。
【0021】
従って、第1段階の間に生成する酸化炭素の放射能分析器の使用に加えて、または代替として、酸化反応温度によって、酸化炭素発散物を野外に解放することができる時を決定するための図表を有することが有利であり得る。従って、そのような実施形態では、
‐処理される廃棄物の初期量、及び
‐第1処理を適用する間の酸化反応温度
に少なくとも応じて選択された時点で、第1段階から第2段階へと切り替えることが可能である。
【0022】
さらに、
‐(この場合は、外気中に放出することなく、得られた酸化炭素に炭酸化を適用することによって)焼成すること、及び
‐(残留する酸化炭素を大気中に自由に放出する前に、所定の時間だけ炭酸化を適用することによって)水蒸気改質による廃棄物処理を継続すること、
によって炭素酸化処理を開始することが有利である。
【0023】
従って、より一般的には、第1処理は、第1段階において、不活性ガス中での焼成を含み、第1及び第2段階において、水蒸気改質を含む。
【0024】
本発明はまた、炭素質放射性廃棄物処理設備に関し、前記設備は、本発明による方法を実施するための手段を有する。これらの手段は以下において詳細に説明される。
【0025】
さらに、本発明のその他の特徴及び利点は、以降の詳細な説明及び添付の図面を参照することによって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による廃棄物処理設備の概略図である。
図2】さまざまな反応温度に対して、時間に応じて酸化物の形態で反応した炭素14の割合のさまざまな変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照すると、粉砕機BRが水の存在下で黒鉛を粉砕する(典型的にセンチメートル程度の粒径)ことが示されている。炭素質廃棄物の量Qは、この場合では焼成のために、好ましくは1200℃の温度で、第1「不活性ガス下」酸化作業のために、湿式工程(HO)を経て第1炉へと送られる。炉FO1における反応は、以下の通りであり得る。
C+α/2O→COα ここでα=1または2
【0028】
次いで、以下のような炭酸化反応が適用される。
X(OH)+CO→XCO+HO ここでX=CaまたはMg、あるいはその他の場合、例えば石灰水中に吹き込む(ここでX=Ca)。
【0029】
この場合、特許文献2に記載されているように、炭酸化の可能な代替例は、炭素の同位体分離の適用からなる。
【0030】
しかしながら、石灰石からの方解石の生成(X=Ca)は、長期間保管することができる(例えば選択された場所の下に埋めることによって)、炭酸塩を年間数mしか生成しないため、この場合炭酸化が好ましい。このステップにおいて、黒鉛廃棄物に含まれる炭素14のおよそ30%が既に処理される。さらに、リチウムの80%がこのステップで処理される。焼成ステップの間に汚染除去に適する炭素14由来の廃棄物を可能な限り排出するために、焼成ステップは、選択的に数サイクル反復され得る。
【0031】
発明の実施のために、追加の量Q’(ここでQ’=αQ 式中α<1)が、再度湿式工程HOにおいて第2炉FO2へと送られる。第2炉FO2において、以下の反応の生成からなる水蒸気改質反応が適用される。
C+HO→CO+H
【0032】
この反応は、過熱水蒸気圧入法を使用して、この場合では1200℃以上で好ましくは実施される。次いで、第1段階において、炭酸塩沈殿物XCO(例えば石灰水、ここでX=Ca)を得るための反応に対して酸化炭素が回収される。本発明による方法を利用して、酸化炭素(気体形態で)が大気中に直接放出される第2段階に切り替えるために炭酸化を中断する時点を最適化することによって、山の下に埋められる固体廃棄物の形態における炭酸塩の量は、数百m/年程度であることが特定される。
【0033】
特に、本発明の1実施形態では、湿式工程の外部のβ放射線分析器が酸化炭素発散物中の炭素14の存在を検出する。分析器ANが、酸化炭素発散物中に所定の閾値THR(例えば1%程度)未満の炭素14を検出した場合、酸化炭素発散物は大気中に直接放出され得、炭酸化作業が中断され得る。
【0034】
この湿式工程の外部での測定は、処理される廃棄物の他の放射性元素を湿式工程中に閉じ込めたままであり、前記水蒸気改質ステップにおいて抽出されない点において有利である。これは特に、分析器ANがそれら放射線を検出せずに、蒸気中の炭素14からの放射線のみを検出するように、β放射線を放出する傾向にあるが湿式工程中に閉じ込められたままである、トリチウムH、及び36Cl、の場合であり、第1炭酸化段階から第2自由放出段階への切り替えの時点の実時間測定を可能にする。
【0035】
最後に、炭素14以外の廃棄物中の放射性元素(特に、トリチウム、塩素36、セシウム、コバルト、鉄及びその他の金属)は、最終的に回収されて長期間保管されるために、湿式工程において処理され、そこに捕捉される。
【0036】
図2を参照して、焼成作業(必要であれば数サイクル)を実施する利点、及び特に従来技術による温度に対して高温(たいてい約900℃以下)での水蒸気改質作業について説明する。
【0037】
発明者は、知る限りでは初めて、焼成反応の間、及び水蒸気改質反応の間に、炭素14が炭素のその他の同位体より前に大部分として反応したことを発見した。この効果は、おそらく、その他の同位体に対する炭素14の原子下都合の性質に起因するものである。この効果は、酸化反応温度が上昇するにつれて次第に顕著になる。従って、図2を参照すると、既に反応した炭素14の割合を示す曲線が実質的に凸型(炭素14がその他の同位体より前に大部分として反応するため)であり、とりわけ、曲線の凸状は、反応温度が上昇するにつれて次第に顕著となる。その結果、大量貯蔵用に適する炭酸塩を生成するために全ての酸化炭素を反応させるよりもむしろ、それを超える量の気体酸化炭素の形態で大気中に解放される傾向にある炭素14の量が無視できるかまたは少なくとも衛生及び環境影響の観点で許容される量である閾値THRが決定される。
【0038】
図2に示すように、反応温度が高い場合、この閾値THRにずっと早く達する。従って、900℃の温度を適用することが知られていた従来技術と比較して、炉FO2の温度は1200℃程度が好ましい。炉に耐久性があるのであれば、さらに高い温度、例えば1500℃が特に有利であるだろう。いかなる場合においても、炭酸化段階から酸化炭素発散物自由放出段階へと切り替えることができる時点t1200℃は、低温よりも高温の場合のほうがずっと短いことがわかる。
【0039】
さらに、時間に応じて、酸化物の形態において反応した炭素の割合の凸状の曲線が、焼成反応及び水蒸気改質酸化反応の両方において観察されることに留意しなければならない。
【0040】
しかしながら、原則としては、炉FO1における焼成ステップでは、酸化炭素発散物の自由放出が想定されない。従って、ここで説明された実施例では、この作業は水蒸気改質処理のために残してあるため、第2自由放出段階への切り替えが想定されない。
【0041】
当然ながら、本発明は、例として先に記載された実施形態に限定されず、その他の代替実施形態まで拡張される。
【0042】
例えば、図1を参照した上述の方法においてトリチウムまたは塩素36を捕捉する方法が詳細に説明されていないが、本発明がむしろ炭素質廃棄物中の炭素14の処理に関することを理解されたい。それにもかかわらず、これらの元素は湿式工程からの水中に捕捉されたままであることが観察された。さらには、焼成ステップは、C+α/2O→COα、ここでα=1または2、あるいはC+HO→CO+Hなどの複数の反応を含み得るが、原則として、全て酸化炭素がもたらされる。上記の後者の反応に含まれる水(HO)は、湿式工程から得ることができる(残留形態またはその他)。過熱蒸気が廃棄物上に自発的に注入される水蒸気改質ステップとは異なって、焼成ステップは単に酸化によって廃棄物を分解し、これは高温(約1200℃以上)で実施されることに留意されたい。また、この焼成ステップを数サイクル適用することによって実施することが有利であることにも留意されたい。
図1
図2