特許第5773920号(P5773920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773920
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20150813BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20150813BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   H02J7/10 A
   H02J7/00 301B
   H01M10/44 Q
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-62212(P2012-62212)
(22)【出願日】2012年3月19日
(65)【公開番号】特開2013-198262(P2013-198262A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 良治
(72)【発明者】
【氏名】田中 努
(72)【発明者】
【氏名】望月 衛
(72)【発明者】
【氏名】牧田 喬
【審査官】 石川 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−234355(JP,A)
【文献】 特開2011−244679(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0219790(US,A1)
【文献】 特開2007−068333(JP,A)
【文献】 特開2012−191744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/10
H02J 7/00
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニバーサルシリアルバスを介してポータブルデバイスを充電する充電装置であって、
電圧バス(VBUS)を通じて接続されているポータブルデバイスへ電流を供給する電源部と、
供給可能電流量を表わす信号をデータ線を通じて、接続されているポータブルデバイスへ通知する複数の利用可能電力指示回路と、
調整時に、前記接続されているポータブルデバイスから、前記ポータブルデバイスを識別する情報を取得する制御部と、
複数のポータブルデバイスについて、前記ポータブルデバイスを識別する情報と、利用可能電力指示回路との対応を定めたテーブルを記憶する記憶部と、
前記電圧バス(VBUS)を通じて前記ポータブルデバイスへ供給されている電流量を計測する計測部とを備え、
前記制御部は、前記取得した情報に基づいて、前記テーブルを参照して、利用可能電力指示回路を選択して、実動作時に、前記選択した利用可能電力指示回路のみを活性化し、
前記制御部は、前記接続されているポータブルデバイスから、前記ポータブルデバイスを識別する情報を取得しなかったとき、または、前記テーブルに取得した情報に対応する利用可能電力指示回路が定められていないときには、前記利用可能電力指示回路を1つずつ活性化し、前記電圧バス(VBUS)を通じて前記ポータブルデバイスへ供給されている電流量を前記計測部に計測させて、計測結果を前記記憶部に記憶し、
前記記憶部を参照して、前記供給されている電流量が最大である利用可能電力指示回路を選択し、実動作時に、前記選択した利用可能電力指示回路のみを活性化する、充電装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記活性化する利用可能電力指示回路に応じて、前記電圧バス(VBUS)を通じて供給する電流量の限界値を前記電源部に設定する、請求項記載の充電装置。
【請求項3】
前記制御部は、調整時に、前記活性化する利用可能電力指示回路に応じて、前記電圧バス(VBUS)を通じて供給する電流量の限界値を1または複数通りに設定し、各限界値
の下での前記ポータブルデバイスへの供給電流量を前記計測部に計測させて、計測結果を前記記憶部に記憶させ、
前記制御部は、前記記憶部を参照して、前記供給電流量が最大である利用可能電力指示回路および供給する電流量の限界値を選択し、実動作時に、前記選択した利用可能電力指示回路のみを活性化するとともに、前記供給する電流量の限界値を前記電源部に設定する、請求項記載の充電装置。
【請求項4】
ユニバーサルシリアルバスを介してポータブルデバイスを充電する充電装置であって、
電圧バス(VBUS)を通じて接続されているポータブルデバイスへ電流を供給する電源部と、
前記電圧バス(VBUS)を通じて前記ポータブルデバイスへ供給されている電流量を計測する計測部と、
記憶部とを備え、
それぞれが、異なる電流供給能力を有し、供給可能電流量を表わす信号をデータ線を通じて、接続されているポータブルデバイスへ通知する複数の利用可能電力指示回路と、
調整時に、前記利用可能電力指示回路を1つずつ活性化し、前記電圧バス(VBUS)を通じて接続されているポータブルデバイスへの供給電流量を前記計測部に計測させて、計測結果を前記記憶部に記憶する制御部とを備え、
前記制御部は、前記記憶部を参照して、前記供給電流量が最大である利用可能電力指示回路を選択し、実動作時に、前記選択した利用可能電力指示回路のみを活性化する、充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関し、たとえばユニバーサルシリアルバスを介してポータブルデバイスを充電する充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、USBを介したポータブル機器の充電が一般的になりつつある。USB2.0ではポートから取り出せる最大電流は500mAに規定されており、高容量の二次電池を充電するには時間がかかるという問題がある。
【0003】
このような問題に対し、USB充電器(ホスト)側の給電能力を判定し、十分な給電能力を持った充電器からは500mAを超える電流を得る事が出来る仕組みが提案されている(たとえば、特許文献1〜6、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4695220号公報
【特許文献2】特許第4664362号公報
【特許文献3】米国特許7,581,119B2
【特許文献4】特許第3811704号公報
【特許文献5】米国特許7,170,259B2
【特許文献6】特開2005−6497号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Battery Charging v1.2 Specification, インターネット〈URL:http://www.usb.org/developers/devclass_docs〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、現状では、様々な規格が存在し、多くのポータブルデバイスは専用の充電器でのみ急速充電が可能となっている。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態の充電装置によれば、供給可能電流量を表わす信号をデータ線を通じて、接続されているポータブルデバイスへ通知する複数の利用可能電力指示回路を含む。制御部は、調整時に、接続されているポータブルデバイスから、ポータブルデバイスを識別する情報を取得する。記憶部は、複数のポータブルデバイスについて、ポータブルデバイスを識別する情報と、利用可能電力指示回路との対応を定めたテーブルを記憶する。制御部は、取得した情報に基づいて、テーブルを参照して、利用可能電力指示電力回路を選択して、実動作時に、選択した利用可能電力指示回路のみを活性化する。
【発明の効果】
【0009】
前記一実施の形態によれば、一つの充電器で複数の充電仕様のポータブルデバイスを急速充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態の充電器の構成を表わす図である。
図2】USBモジュール10の構成を表わす図である。
図3】利用可能電力指示回路Aの構成を表わす図である。
図4】利用可能電力指示回路Bの構成を表わす図である。
図5】利用可能電力指示回路Cの構成を表わす図である。
図6】データ線D+,D−上に同時に送信される充電器構成信号115の一例を表わす図である。
図7】テーブルの例を表わす図である。
図8】第1の実施形態の動作手順を表わすフローチャートである。
図9】第2の実施形態の動作手順を表わすフローチャートである。
図10】第2の実施形態の変形例による判定手順の例を表わす図である。
図11】第3の実施形態のフローチャートを表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施の形態の充電器の構成を表わす図である。
【0012】
図1を参照して、この充電器1は、電源IC(Integrated Circuit)2と、MCU(Micro Control Unit)3とを含む。
【0013】
電源IC2は、電圧バスVBUSを通じて接続されているポータブルデバイスへ電流を供給する。
【0014】
MCU3は、CPU(Central Processing Unit)4と、ADC(Analog to Digital Converter)5と、メモリ7と、USB(Universal Serial Bus)モジュール10とを含む。
【0015】
図2は、USBモジュール10の構成を表わす図である。
USBモジュール10は、SIE(Serial Interface Engine)11と、トランシーバ12と、利用可能電力指示回路Aと、利用可能電力指示回路Bと、利用可能電力指示回路Cと、スイッチSW1A,SW2A,SW1B,SW2B,SW1C,SW2Cとを備える。
【0016】
SIE11は、ローレベルUSBプロトコルの詳細を処理する論理回路である。
トランシーバ12は、USBの物理的な送受信機能を処理する。
【0017】
利用可能電力指示回路A,B,Cは、供給可能電流量を表わす信号をデータ線を通じて、接続されているポータブルデバイスへ通知する。
【0018】
図3は、利用可能電力指示回路Aの構成を表わす図である。
図3を参照して、利用可能電力指示回路Aは、抵抗322,326,330を含む。DC PWR(たとえば、5.0V)が抵抗322,326,330によって分圧される。ノード324から分圧された電圧VDPが端子P1へ出力される。端子P1は、スイッチSW1Aを介してデータ線D+へ接続される。ノード328から分圧された電圧VDMが端子P2へ出力される。端子P2は、スイッチSW2Aを介してデータ線D−へ接続される。電圧VDP,VDMによって、接続されているポータブルデバイス側は、充電器1の電流供給能力を認識する。
【0019】
図4は、利用可能電力指示回路Bの構成を表わす図である。
この利用可能電力指示回路Bは、USBの電源仕様である「Battery Charging Specification」におけるデディケーテッドチャージングポート(Dedicated charging port、以降DCP)に対応するものである。DCPは、最大で1.5Aの電流供給能力を有するポートである。
【0020】
図4に示すように、端子P3と端子P4との間は、抵抗R11(たとえば、最大で200Ω)で接続される。ポータブルデバイスは、データ線D+に電圧を印加する。利用可能電力指示回路Bは、データ線D+と接続される端子P3から電圧を受ける。抵抗R11によって受信した電圧は降圧されて、端子P4からデータ線D−へ出力される。ポータブルデバイスは、データ線D−上の電圧の大きさによって、接続されているポータブルデバイス側は、充電器1の電流供給能力を認識する。つまり、データ線D−上の電圧の大きさが所定値以上の場合に、充電器1の電流供給能力が1.5Aであると認識する。これに対して、「Battery Charging Specification」における500mAの電流供給能力を有するスタンダードダウンストリームポート(Standard downstream port、以降SDP)では、データ線D+で接続された端子から受けた電圧をデータ線−へ戻す機構がない。それゆえ、ポータブルデバイスは、データ線D−上の電圧の大きさが所定値以下の場合に、充電器1の電流供給能力が500mAであると認識する。
【0021】
図5は、利用可能電力指示回路Cの構成を表わす図である。
図5に示すように、利用可能電力指示回路Cは、特開2005−6497号公報に記載されている信号生成器114に相当する。
【0022】
この利用可能電力指示回路Cは、デジタルタイマ310と、スイッチング回路312と、RC回路314〜316とを備える。
【0023】
利用可能電力指示回路Cは、以下のように動作する。充電器構成信号115の周波数とデューティサイクルとが、RC回路314〜316内の抵抗器の値およびキャパシタの値を選択することにより調整され得る。
【0024】
デジタルタイマ310は、たとえば、標準タイマICであり得る。デジタルタイマ310は、RC回路314〜316内の抵抗器の値およびキャパシタの値を変化させることによってチューニングされ得るタイマ出力信号318を生成する。RC回路314〜316は、デジタルタイマ310の放電(DIS)入力と閾値(THR)入力との間に結合される。
【0025】
タイマ出力信号318は、スイッチング回路312内の2つのトランジスタ対320と322、および324と326の入力として結合される。スイッチング回路312は、端子P5およびP6からデータ線D+,D−へ出力されるピーク電圧およびインピーダンスを調整する。
【0026】
図6は、データ線D+,D−上に同時に送信される充電器構成信号115の一例を表わす図である。図6(a)は、データ線D+上の充電器構成信号115を、時間軸に沿ってプロットしたものである。図6(b)は、データ線D−上の充電器構成信号115を、時間軸に沿ってプロットしたものである。
【0027】
充電器構成信号115は、定周波数(1/T)と定デューティサイクル(TH/T)とを有する周期デジタル信号である。充電器構成信号115の周波数(1/T)およびデューティサイクル(TH/T)は、充電器1の電流供給能力を示すように設定される。定周波数(1/T)と定デューティサイクル(TH/T)によって、接続されているポータブルデバイス側は、充電器1の電流供給能力を認識する。
【0028】
再び、図1を参照して、メモリ6は、複数のポータブルデバイスについて、ポータブルデバイスを識別する情報と、利用可能電力指示回路および供給電流量の限界値(最大供給電流量)との対応を定めたテーブルを記憶する。
【0029】
図7は、テーブルの例を表わす図である。ポータブルデバイスを識別する情報として、ベンダID(V_ID)と、プロダクトID(P_ID)が用いられる。
【0030】
CPU4は、調整段階であるエニュメレーション時に、接続されているポータブルデバイスから、ポータブルデバイスを識別する情報を取得する。エニュメレーションとは、ホスト(充電器1)がUSBに接続されているポータブルデバイスを識別するための手続きである。エニュメレーションでは、ポータブルデバイスが、自身の構成をホスト(充電器1)に報告する。ホスト(充電器1)が、ポータブルデバイスの構成が認識された時点で、ホストによるポータブルデバイスの使用が可能になる。
【0031】
CPU4は、取得した情報に基づいて、テーブルを参照して、利用可能電力指示電力回路を選択して、実動作時に、選択した利用可能電力指示回路のみを活性化するとともに、活性化した利用可能電力指示回路に接続されているスイッチのみをオンにする。また、CPU4は、テーブルを参照して、取得した識別情報に対応する供給する電流量の限界値を電源IC2に設定する。
【0032】
(動作)
図8は、第1の実施形態の動作手順を表わすフローチャートである。
【0033】
まず、CPU4は、利用可能電力指示回路A,B,Cをすべて非活性化し、利用可能電力指示回路A,B,Cと接続するすべてのスイッチSW1A,SW2A,SW1B,SW2B,SW1C,SW2Cをオフにする(ステップS101)。
【0034】
次に、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS102)。
【0035】
次に、CPU4は、エニュメレーションを実行し、SIE11を通じて、ポータブルデバイスの接続の有無の検出、接続されているポータブルデバイスを識別する情報(ベンダID、プロダクトID)を取得する(ステップS103)。
【0036】
取得したポータブルデバイスを識別する情報が、テーブルに登録されていない場合には(ステップS104でNO)、接続されているポータブルデバイスは、充電器1を通常のUSBモジュールであると認識し、500mA以下で充電する(ステップS105)。
【0037】
取得したポータブルデバイスを識別する情報が、テーブルに登録されている場合には(ステップS104でYES)、CPU4は、電源IC2に対して電圧バスVBUSを通じた電流の供給を停止する(ステップS106)。
【0038】
CPU4は、実動作時には、テーブルを参照して、取得した識別情報に対応する利用可能電力指示回路を活性化し、取得した識別情報に対応する利用可能電力指示回路と接続するスイッチをオンにする。また、CPU4は、テーブルを参照して、取得した識別情報に対応する供給する電流量の限界値を電源IC2に設定する(ステップS107)。
【0039】
次に、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS108)。
【0040】
次に、接続されているポータブルデバイスは、活性化された利用可能電力指示回路によって、充電器の電流供給量を認識し、充電を行なう(ステップS109)。
【0041】
以上のように、本実施の形態によれば、接続されているポータブルデバイスの種別を知ることによって、その種別にあった利用可能電力指示回路を活性化し、接続されているポータブルデバイスに充電器の電流供給量を認識させることができる。その結果、本実施の形態によれば、一つの充電器で複数の充電仕様に対応することができ、各種ポータブルデバイスを急速充電することができる。
【0042】
[第2の実施形態]
第2の実施形態が、第1の実施形態と相違する点は、以下である。
【0043】
ADC5は、電圧バス(VBUS)を通じてポータブルデバイスへ供給されている電流量を計測する。
【0044】
CPU4は、調整時に、利用可能電力指示回路を1つずつ活性化し、電圧バス(VBUS)を通じて接続されているポータブルデバイスへの供給電流量をADC5に計測させて、計測結果をメモリ6に記憶する。
【0045】
CPU4は、メモリ6を参照して、供給電流量が最大である利用可能電力指示回路を選択し、実動作時に、選択した利用可能電力指示回路のみを活性化するとともに、活性化した利用可能電力指示回路に接続されているスイッチのみをオンにする。また、CPU4は、活性化する利用可能電力指示回路に対応する供給する電流量の限界値を電源IC2に設定する。
【0046】
図9は、第2の実施形態の動作手順を表わすフローチャートである。
図9を参照して、まず、CPU4は、利用可能電力指示回路Aのみを活性化し、利用可能電力指示回路Aと接続するスイッチSW1A,SW2Aをオンにし、残りのスイッチSW1B,SW2B,SW1C,SW2Cをオフにする。CPU4は、利用可能電力指示回路Aに対応する(規格Aに対応する)供給電流量の限界値を電源IC2に設定する(ステップS201)。
【0047】
次に、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS202)。
【0048】
次に、ADC5は、電圧バスVBUSを通じて供給されている電流量を一定時間計測する。CPU4は、ADC5で検出された電流量の最大値をメモリ6に保存する(ステップS203)。
【0049】
次に、CPU4は、電源IC2に対して電圧バスVBUSを通じた電流の供給を停止させる(ステップS204)。
【0050】
次に、CPU4は、利用可能電力指示回路Bのみを活性化し、利用可能電力指示回路Bと接続するスイッチSW1B,SW2Bをオンにし、残りのスイッチSW1A,SW2A,SW1C,SW2Cをオフにする。CPU4は、利用可能電力指示回路Bに対応する(規格Bに対応する)供給電流量の限界値を電源IC2に設定する(ステップS205)。
【0051】
次に、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS206)。
【0052】
次に、ADC5は、電圧バスVBUSを通じて供給されている電流量を一定時間計測する。CPU4は、ADC5で検出された電流量の最大値をメモリ6に保存する(ステップS207)。
【0053】
次に、CPU4は、電源IC2に対して電圧バスVBUSを通じた電流の供給を停止させる(ステップS208)。
【0054】
次に、CPU4は、利用可能電力指示回路Cのみを活性化し、利用可能電力指示回路Cと接続するスイッチSW1C,SW2Cをオンにし、残りのスイッチSW1A,SW2A,SW1B,SW2Bをオフにする。CPU4は、利用可能電力指示回路Cに対応する(規格Cに対応する)供給電流量の限界値を電源IC2に設定する(ステップS209)。
【0055】
次に、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS210)。
【0056】
次に、ADC5は、電圧バスVBUSを通じて供給されている電流量を一定時間計測する。CPU4は、ADC5で検出された電流量の最大値をメモリ6に保存する(ステップS211)。
【0057】
次に、CPU4は、電源IC2に対して電圧バスVBUSを通じた電流の供給を停止させる(ステップS212)。
【0058】
次に、CPU4は、メモリに保存されたデータを参照して、最大の電流量を供給した利用可能電力指示回路を選択する(ステップS213)。
【0059】
次に、CPU4は、実動作時には、選択した利用可能電力指示回路を活性化し、選択した利用可能電力指示回路と接続するスイッチをオンにする。また、CPU4は、選択した利用可能電力指示回路に対応する供給電流量の限界値を電源IC2に設定する(ステップS214)。
【0060】
次に、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS215)。
【0061】
次に、接続されているポータブルデバイスは、活性化された利用可能電力指示回路によって、充電器の電流供給量を認識し、充電を行なう(ステップS216)。
【0062】
以上のように、本実施の形態によれば、ポータブルデバイス側で利用できる電流が最大となるような利用可能電力指示回路が選択することができる。その結果、一つの充電器で複数の充電仕様に対応することができ、接続されているポータブルデバイスを急速に充電することができる。また、電源ICから供給される電流量の限界値をポータブルデバイスに合わせて設定することができる。
【0063】
[第2の実施形態の変形例]
本変形例では、CPU4は、調整時に、活性化する利用可能電力指示回路に応じて、電圧バス(VBUS)を通じて供給する電流量の限界値を1または複数通りに設定する。CPU4は、各限界値の下での電圧バスVBUSを通じたポータブルデバイスへの供給電流量を一定時間ADC5に計測させて、計測された電流量の最大値をメモリ6に記憶させる。
【0064】
CPU4は、メモリ6を参照して、供給電流量が最大である利用可能電力指示回路および供給する電流量の限界値を選択し、実動作時に、選択した利用可能電力指示回路のみを活性化するともに、供給する電流量の限界値を電源IC2に設定する。
【0065】
図10は、第2の実施形態の変形例による判定手順の例を表わす図である。
まず、利用可能電力指示回路Aが選択され、電源IC2の供給電流量の限界値が0.5Aに設定される。このときに、電圧バスVBUSを通じてポータブルデバイスへ供給される電流量の一定時間内の最大値が0.1Aであると計測される。次に、電源IC2の供給電流量の限界値が0.8Aに変更される。このときに、電圧バスVBUSを通じてポータブルデバイスへ供給される電流量の一定時間内の最大値が0.1Aであると計測される。次に、電源IC2の供給電流量の限界値が1.8Aに変更される。このときに、電圧バスVBUSを通じてポータブルデバイスへ供給される電流量の一定時間内の最大値が1.2Aであると計測される。
【0066】
次に、利用可能電力指示回路Bが選択され、電源IC2の供給電流量の限界値が1.8Aに設定される。このときに、電圧バスVBUSを通じてポータブルデバイスへ供給される電流量の一定時間内の最大値が0.1Aであると計測される。次に、電源IC2の供給電流量の限界値が2.1Aに変更される。このときに、電圧バスVBUSを通じてポータブルデバイスへ供給される電流量の一定時間内の最大値が0.1Aであると計測される。
【0067】
次に、利用可能電力指示回路Cが選択され、電源IC2の供給電流量の限界値が1.8Aに設定される。このときに、電圧バスVBUSを通じてポータブルデバイスへ供給される電流量の一定時間内の最大値が0.1Aであると計測される。
【0068】
以上の結果、利用可能電力指示回路がAで、電源IC2の供給電流量の限界値が1.8Aの場合に、電圧バスVBUSを通じてポータブルデバイスへ供給される電流量の一定時間内の最大値が最大となる。したがって、実動作時には、利用可能電力指示回路がAのみが活性化され、電源ICに供給する電流量の限界値として1.8Aが設定される。
【0069】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第1の実施形態による利用可能電力指示回路の選択と、第2の実施形態による利用可能電力指示回路の選択とを組み合わせたものである。
【0070】
図11は、第3の実施形態のフローチャートを表わす図である。
図11を参照して、まず、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS301)。
【0071】
次に、CPU4は、エニュメレーションを実行する。ポータブルデバイスからの応答がない場合には、ステップS305に移行する。
【0072】
ポータブルデバイスからの応答があった場合において、接続されているポータブルデバイスを識別する情報(ベンダID、プロダクトID)を取得する。取得した識別情報がテーブルに登録されていない場合には(ステップS303でNO)、ステップS305に移行する。
【0073】
CPU4は、取得した識別情報がテーブルに登録されている場合には(ステップS303でYES)、テーブルを参照して、取得した識別情報に対応する利用可能電力指示回路を特定する(ステップS304)。
【0074】
次に、CPU4は、電源IC2に対して電圧バスVBUSを通じた電流の供給を停止する(ステップS318)。
【0075】
CPU4は、実動作時には、特定した利用可能電力指示回路を活性化し、特定した利用可能電力指示回路と接続するスイッチをオンにする。また、CPU4は、テーブルを参照して、取得した識別情報に対応する供給電流量の限界値を電源IC2に設定する(ステップS319)。
【0076】
次に、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS320)。
【0077】
次に、接続されているポータブルデバイスは、活性化された利用可能電力指示回路によって、充電器の電流供給量を認識し、充電を行なう(ステップS321)。
【0078】
一方、ステップS302でポータブルデバイスからの応答がない場合、およびステップS303で取得した識別情報(ベンダID、プロダクトID)がテーブルに登録されていない場合には、以下の処理が行なわれる。
【0079】
CPU4は、電源IC2に対して電圧バスVBUSを通じた電流の供給を停止させる(ステップS305)。
【0080】
次に、CPU4は、利用可能電力指示回路Aのみを活性化し、利用可能電力指示回路Aと接続するスイッチSW1A,SW2Aをオンにし、残りのスイッチSW1B,SW2B,SW1C,SW2Cをオフにする。CPU4は、利用可能電力指示回路Aに対応する供給電流量の限界値を電源IC2に設定する(ステップS306)。
【0081】
次に、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS307)。
【0082】
次に、ADC5は、電圧バスVBUSを通じて供給されている電流量を一定時間計測する。CPU4は、ADC5で検出された電流量の最大値をメモリ6に保存する(ステップS308)。
【0083】
次に、CPU4は、電源IC2に対して電圧バスVBUSを通じた電流の供給を停止させる(ステップS309)。
【0084】
次に、CPU4は、利用可能電力指示回路Bのみを活性化し、利用可能電力指示回路Bと接続するスイッチSW1B,SW2Bをオンにし、残りのスイッチSW1A,SW2A,SW1C,SW2Cをオフにする。CPU4は、利用可能電力指示回路Bに対応する電流量の最大値を電源IC2に設定する(ステップS310)。
【0085】
次に、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS311)。
【0086】
次に、ADC5は、電圧バスVBUSを通じて供給されている電流量を一定時間計測する。CPU4は、ADC5で検出された電流量の最大値をメモリ6に保存する(ステップS312)。
【0087】
次に、CPU4は、電源IC2に対して電圧バスVBUSを通じた電流の供給を停止させる(ステップS313)。
【0088】
次に、CPU4は、利用可能電力指示回路Cのみを活性化し、利用可能電力指示回路Cと接続するスイッチSW1C,SW2Cをオンにし、残りのスイッチSW1A,SW2A,SW1B,SW2Bをオフにする。CPU4は、利用可能電力指示回路Cに対応する供給電流量の最大値を電源IC2に設定する(ステップS314)。
【0089】
次に、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS315)。
【0090】
次に、ADC5は、電圧バスVBUSを通じて供給されている電流量を一定時間計測する。CPU4は、ADC5で検出された電流量の最大値をメモリ6に保存する(ステップS316)。
【0091】
次に、CPU4は、メモリに保存されたデータを参照して、最大の電流量を供給した利用可能電力指示回路を選択する(ステップS317)。
【0092】
次に、CPU4は、電源IC2に対して電圧バスVBUSを通じた電流の供給を停止させる(ステップS318)。
【0093】
次に、CPU4は、実動作時には、選択した利用可能電力指示回路を活性化し、選択した利用可能電力指示回路と接続するスイッチをオンにする。また、CPU4は、選択した利用可能電力指示回路の最大電流量を電源IC2の電流制限値に設定する(ステップS319)。
【0094】
次に、CPU4は、電源IC2に電圧バスVBUSを通じて電流をポータブルデバイスへ供給させる(ステップS320)。
【0095】
次に、接続されているポータブルデバイスは、活性化された利用可能電力指示回路によって、充電器の電流供給量を認識し、充電を行なう(ステップS321)。
【0096】
以上のように、本実施の形態によれば、ポータブルデバイスからの識別情報が利用できる場合には、識別情報を用いて利用可能電力指示回路を選択し、ポータブルデバイスからの識別情報が利用できない場合には、ポータブルデバイス側で利用できる電流が最大となるような利用可能電力指示回路が選択することができる。その結果、一つの充電器で複数の充電仕様に対応することができ、接続されているポータブルデバイスを急速に充電することができる。
【0097】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0098】
1 充電器、2 電源IC、3 MCU、4 CPU、5 ADC、6 メモリ、10 USBモジュール、11 SIE、12 トランシーバ、A,B,C 利用可能電力指示回路、322,326,330,R1〜R6,RA,RB,R11 抵抗、324,328 ノード、P1〜P6 端子、SW1A,SW1B,SW1C,SW2A,SW2B,SW2C スイッチ、310 デジタルタイマ、312 スイッチング回路、115 充電器構成信号、318 タイマ出力信号、320 トランジスタ対。
図1
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