特許第5773921号(P5773921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773921
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】型枠装置用の連結部材及び型枠装置
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/04 20060101AFI20150813BHJP
   B28B 7/06 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   B28B7/04
   B28B7/06
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-62912(P2012-62912)
(22)【出願日】2012年3月20日
(65)【公開番号】特開2013-193328(P2013-193328A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年10月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000154495
【氏名又は名称】株式会社福井鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】宇於崎 真
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−239716(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3017935(JP,U)
【文献】 実開平03−066705(JP,U)
【文献】 特開平10−119020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 7/00−7/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製品成形用の型枠装置を構成する複数の枠体のうち2つの枠体の端部同士を水密状態で連結するための連結部材であって、
断面三角形状の金属製の第1本体部及び第2本体部と、
前記第1本体部と前記第2本体部との隙間を封鎖するべく両本体部間に掛け渡される可撓性を有する板状部材とを備え、
前記第1本体部及び第2本体部の各々が、コンクリート製品の角部を成形するための成形面と、前記板状部材に接触する板状部材接触面と、前記枠体に接合する枠体接合面の3つの面からなり、
前記型枠を閉じた状態において、前記板状部材が平面状態になることを特徴とする連結部材。
【請求項2】
前記板状部材を第1本体部に固定するための第1座板及び第2本体部に固定するための第2座板を備え、
前記板状部材を前記第1座板及び第2座板を介したボルト締めにより前記第1本体部及び第2本体部に固定することを特徴とする請求項1に記載の連結部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の連結部材を用いたことを特徴とするコンクリート製品成形用の型枠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製品用型枠装置の枠体相互を連結するための連結部材及びこの連結部材を用いた型枠装置に関し、特に耐久性が高く、製造コストが低く且つコンクリート製品の角部の成形精度を高めることができる連結部材及び型枠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、コンクリート製品の型枠装置は内枠、外枠及び底枠(あるいは台座や台枠)によって内部に空間を有する箱状に形成されており、当該空間にコンクリートを注入し、養生した後、各枠体を適宜開放することで脱型する仕組みになっている。
また、各枠体の端部同士をゴム等の連結部材(パッキン)で封鎖することである程度の水密性を確保していることが多い。
【0003】
しかし、注入したコンクリートの圧力等により各枠体の端部間に隙間が生じることがあり、ここからトロ(水とモルタルの交じりあった液)の漏れが生じてしまうと、その硬化により枠体が開閉不能となる問題や、各枠体の端部同士の密着が妨げられ、トロ漏れを更に助長するという問題があった。
また、トロによってコンクリート製品の角部が設計どおりの直線に形成されないという問題もあるため、使用後は端部間のトロを十分に掃除しておく必要があるが、この掃除に手間を要するという問題や、連結部材の劣化速度が早まり、頻繁に交換する必要が生じるという問題があった。
【0004】
例えば特許文献1には、2つの外枠の端部を、可撓性を有する連結部材で連結した擁壁のコーナーブロック成形用型枠が開示されている。
また、特許文献2には、バネ鋼製で弾性を有する断面L字状の連結部材(連結板)を外枠及び台座に取り付けた型枠装置が開示されている。
また、特許文献3には、弾力を有する断面略コ字状の連結部材(連結板)を外枠及び台枠に取り付けた型枠装置が開示されている。この連結部材は中央の平面部分をコンクリート製品の成形面として利用するものであり、いわば連結部材に枠体としての機能も持たせたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平8−4248号公報
【特許文献2】特開平9−290414号公報
【特許文献3】特開2001−287214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記各特許文献に開示されたような従来の技術では以下のような問題があった。
すなわち、図7に示すように、特許文献1の連結部材100は断面L字状の2つの取付金具101、102の短辺101a、102a相互をウレタンゴム103で連結したものである。取付金具の長辺101b、102bを外枠104の端部に接合することで2つの外枠の端部における水密性を確保しているが、ウレタンゴムが屈曲して成形精度が低下するおそれがあるため、ウレタンゴムと取付金具(金属)とを溶着等により強固に密着させる必要があり、製造コストが高くなるという問題があった。
【0007】
また、ウレタンゴムの表面を外枠と面一にしてコンクリート製品の角部を成形するための枠体としての機能を持たせたために、注入したコンクリートの圧力等によりウレタンゴムの角部が外側に膨らみ、結果的にコンクリート製品の角部が丸まってしまうことから成形精度の低下という問題もあった。
また、このような枠体としての使用にも耐えうる程度の品質を備えるウレタンゴムが高価なことも連結部材の製造コストが高くなる要因であった。
【0008】
また、特許文献2の連結部材は水平部材と垂直部材とからなり、外枠を閉鎖した状態ではこれら2つの部材が成すコーナー角度がほぼ90°のL字状になっており、脱型時に外枠を開放するとコーナー角度が小さくなるという構成になっている。したがって、外枠の開放によって生じる応力が屈曲部分に集中し、連結部材の耐久性が低下するという問題があった。
また、特許文献3の連結部材は弾力を有する連結部材を枠体の一部として機能させるものであるため、特許文献1と同様に注入したコンクリートの圧力等により平面部分(成形面)が外側に膨らんでしまい、コンクリート製品の成形精度が低下するという問題があった。また、断面が略コ字状であるため、特許文献2と同様に屈曲部分に負担がかかるという問題があった。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑み、耐久性が高く、製造コストが低く且つコンクリート製品の角部の成形精度を高めることができるコンクリート製品の型枠用の連結部材及びこれを使用した型枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の連結部材は、コンクリート製品成形用の型枠装置を構成する複数の枠体のうち2つの枠体の端部同士を水密状態で連結するための連結部材であって、断面三角形状の金属製の第1本体部及び第2本体部と、前記第1本体部と前記第2本体部との隙間を封鎖するべく両本体部間に掛け渡される可撓性を有する板状部材とを備え、前記第1本体部及び第2本体部の各々が、コンクリート製品の角部を成形するための成形面と、前記板状部材に接触する板状部材接触面と、前記枠体に接合する枠体接合面の3つの面からなり、前記型枠を閉じた状態において、前記板状部材が平面状態になることを特徴とする
【0011】
また、前記第1本体部及び第2本体部の各々が、前記成形面、前記板状部材接触面及び枠体接合面の3つの面からなる断面三角形状であり、前記型枠を閉じた状態において、前記板状部材が平面状態になることを特徴とする。
また、前記板状部材を第1本体部に固定するための第1座板及び第2本体部に固定するための第2座板を備え、前記板状部材を前記第1座板及び第2座板を介したボルト締めにより前記第1本体部及び第2本体部に固定することを特徴とする。
また、本発明のコンクリート製品成形用の型枠装置は上記連結部材を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の連結部材は、板状部材が第1本体部と第2本体部に掛け渡された状態で固定されており、第1本体部の成形面と第2本体部の成形面によって角部を成形する。
ここで、両本体部は金属製であり、成形面も当然金属製となるため変形しにくく、従来のように成形面をゴム等の弾性や可撓性を有する部材で構成する場合と比較して、注入したコンクリートの圧力等の影響をほとんど受けずにコンクリート製品の成形精度を高めることができると共に連結部材の耐久性を向上させることができる。
【0013】
また、両成形面の角部がほぼ接触した状態(ほとんど隙間がない状態)となるように設計すれば、両成形面が金属製なのでコンクリート注入後の養生から脱型まで隙間がない状態を維持でき、コンクリート製品の角部の成形精度を高めることができると共に角部からのトロの漏出を抑制できる。
さらに、板状部材が両成形面の角部にいわゆる裏当てとして固定配置されるので、トロの漏出を更に抑えることができる。
また、第1本体部と第2本体部は可撓性を有する板状部材で繋がっているのみなので、2つの枠体のコーナー角度の変化に柔軟に対応できる。
【0014】
また、板状部材を成形面として使用しないので、板状部材を耐久性等に優れた高価な材料で製造する必要が無く、製造コストを抑えることができる。
また、第1本体部及び第2本体部の断面が三角形状であり、型枠を閉じた状態で板状部材が平面状態になるように板状部材接触面を設計することにすれば、板状部材に屈曲箇所が存在しなくなるので、枠体の開閉等の影響による連結部材の耐久性低下を防止できる。また、型枠を閉じた状態、すなわち養生から脱型までの間、特に角部において板状部材と板状部材接触面とが完全に密着した状態を保つことができるので、板状部材と板状部材接触面との間にコンクリートが進入し得る程度のわずかな隙間も生じさせずに、コンクリート製品の角部の成形精度をより高めることができる。
【0015】
また、第1座板及び第2座板を用いて板状部材を第1本体部及び第2本体部に固定することにすれば、板状部材はその表裏両面全体が各座板及び各本体部によって挟まれた状態になるので、枠体の開閉時に板状部材に面内応力が発生した場合でも、板状部材の面方向の伸縮を抑制でき、この伸縮に起因する板状部材の撓みを防止できる。
また、第1座板及び第2座板を介したボルト締めにより板状部材を第1本体部及び第2本体部に固定することにすれば、板状部材の交換をボルトの脱着作業で行うことができるので、作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】型枠装置の平面図である。
図2】外面成形枠の側面図である。
図3】センタポストと内面成形枠の連結部を内側から見た図である。
図4】連結部材の構造を示す横断面図(a)及び(b)である。
図5】連結部材の他の構造例を示す横断面図である。
図6】連結部材の他の構造例を示す横断面図である。
図7】従来の連結部材の構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の連結部材の実施の形態について説明する。
本発明の連結部材はコンクリート製品成形用の型枠装置に使用するものであり、成形するコンクリート製品の種類・用途は問わないが、本実施の形態では、擁壁のコーナーブロックを成形するための型枠装置を例にして説明する。
【0018】
図1図3に示す擁壁のコーナーブロック成形用型枠装置本体1は広く知られているものと同様であるため詳しい説明は省略するが、基台2、基台2に立設された円筒状のセンタポスト3、センタポスト3の中心に垂直方向に架設された枢支軸4、左右2枚一組の内面成形枠5及び外面成形枠(枠体)6、2枚の外面成形枠6相互を連結する連結部材10、内面成形枠5と外面成形枠6を水平面内で一体的に開閉した状態で固定するための固定手段7、内面成形枠5と外面成形枠6の間に介装された底枠(図示略)等から概略構成されている。
【0019】
そして、成形するコーナーブロックの形状に合うように内面成形枠5及び外面成形枠6のコーナー角度を調整した後、固定手段7を用いて内面成形枠5および外面成形枠6を固定し、両端に小口板(図示略)を配置し、コンクリートを注入することで擁壁のコーナーブロックを成形する。
【0020】
次に、連結部材10の構造について詳しく説明する。
上述の通り、本実施の形態では連結部材10を、左右2つの外面成形枠6の端部同士を水密状態で連結するために使用する。
図4(a)、(b)に示すように連結部材10は第1本体部20、第2本体部30、板状部材40、第1座板50及び第2座板60を備える。
【0021】
第1本体部20及び第2本体部30はコンクリート製品の角部を成形するための成形面21、31と、板状部材40に接触する板状部材接触面22、32と、外面形成枠の端部に接合する枠体接合面23、33の3つの面によって断面三角形状に形成された金属製の部材である。各本体部は外面形成枠の長手方向(上下方向)の長さとほぼ同じ長さを有している。
【0022】
成形面21、31は外面形成枠の内面と面一になるように設計されており、また、第1本体部20の成形面21と第2本体部30の成形面31は角部においてほぼ接触するように設計されている。
板状部材接触面22、32は成形面21、31の角部側の端部から左右方向にのびる平面である。型枠装置1を閉じた段階で2つの板状部材接触面22、32がほぼ段差なく連続して一つの平面が形成されるように設計することが好ましいが、本実施の形態のように外面成形枠6のコーナー角度を自在に調節できる構造の場合は、型枠装置1を閉じた状態でできるだけ2つの板状部材接触面22、32で形成される面が平面に近い状態になるように設計することが好ましい。
枠体接合面23、33は、連結部材10を外面成形枠6に取り付けるために用いられ、成形面21、31に対して直交するように設計されている。本実施の形態では枠体接合面23、33と外面成形枠6の間にプレート70を介在させ、ボルト等の周知の締結手段によりこれらを連結しているが、プレート70を用いずに枠体接合面23、33を直接外面成形枠6に接合してもよい。
【0023】
板状部材40は2つの成形面21、31の角部に生じる隙間を封鎖するべく第1本体部20と第2本体部30の間に掛け渡される可撓性を有する部材である。
板状部材40の材質としては可撓性を有していれば特に制限されず、合成樹脂、プラスチック、金属、天然樹脂等であってもよいが、入手の容易さ、価格及び耐久性等を考慮すると合成樹脂製のゴムが好ましい。
【0024】
第1座板50は板状部材40を第1本体部20に固定するためのものであり、第2座板60は板状部材40を第2本体部30に固定するためのものである。本実施の形態では両座板共に金属製のアングル材を使用している。
板状部材40の固定方法としては、両板状部材接触面22、32同士が連続的に段差なく連続するように第1本体部20と第2本体部30を左右に並べた状態で、両板状部材接触面22、32に板状部材40の表面を接触させ、更に板状部材40の裏面に第1座板50及び第2座板60を配置し、その後方からボルト51、61によって固定すればよい。なお、第1本体部20及び第2本体部30には予めボルト51、61を受けるための雌ねじを上下方向に所定間隔で設けておき、さらに板状部材40にも予め雌ねじの位置に対応した開口を設けておくものとする。
【0025】
なお、上記実施の形態では擁壁のコーナーブロックを成形するための型枠装置1であって、外面成形枠6が鉛直方向にのびており、これを水平方向に開閉する構造を備えたものに連結部材10を使用する場合について説明したが、これに限らず、例えばU字溝ブロックを成形するための型枠装置であって、外枠の基部が台座部分に回転可能な状態で軸支されており、外枠を上下方向に開閉するタイプにも本発明の連結部材10を適用できる。
この場合、例えば第1本体部20の枠体接合面23を台座部分に接合し、第2本体部30の枠体接合面33を外枠の下端部に接合すればよい。なお、第1本体部20の成形面21と第2本体部30の成形面31からなる角部が正面視した場合に外枠の軸支箇所と同軸上に位置するように設計するのが好ましい。
【0026】
また、第1本体部20及び第2本体部30の各々が成形面21、31、板状部材接触面22、32及び枠体接合面23、33の3つの面からなる断面三角形状としたが、少なくともこれら3つの面を有する多角形状であればよく、例えば図5に示すような四角形状であってもよい。
また、板状部材40を第1座板50及び第2座板60を介したボルト締めにより第1本体部20及び第2本体部30に固定するものとしたが、第1座板50及び第2座板60を備えない構成であってもよい。この場合には板状部材40を裏面側から直接ボルト等で固定することになるので、板状部材40の厚みを増加させたり、材料を変更する等の設計変更により、注入するコンクリートの圧力等の影響を受けて板状部材40が外側に膨らまない程度の固さ(撓みにくさ)を持たせるのが好ましい。
また、図6に示すように一本のボルト52、62で各座板50、60、板状部材40、各本体部20、30及びプレート70を外面成形枠6の端面に固定することにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、耐久性が高く、製造コストが低く且つコンクリート製品の角部の成形精度を高めることができるコンクリート製品の型枠用の連結部材及びこれを使用した型枠に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0028】
1 コーナーブロック成形用型枠装置本体
2 基台
3 センタポスト
4 枢支軸
5 内面成形枠
6 外面成形枠(枠体)
7 固定手段
10 連結部材
20 第1本体部
21 成形面
22 板状部材接触面
23 枠体接合面
30 第2本体部
31 成形面
32 板状部材接触面
33 枠体接合面
40 板状部材
50 第1座板
51 ボルト
52 ボルト
60 第2座板
61 ボルト
62 ボルト
70 プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7