特許第5773936号(P5773936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5773936仮設足場用壁つなぎ金具及び壁つなぎ金具の連結工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773936
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】仮設足場用壁つなぎ金具及び壁つなぎ金具の連結工法
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/04 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   E04G5/04 C
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-92686(P2012-92686)
(22)【出願日】2012年4月16日
(65)【公開番号】特開2013-221294(P2013-221294A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2014年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】593014082
【氏名又は名称】株式会社ユハラコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】柚原 茂
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−000640(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3128263(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3166365(JP,U)
【文献】 特開2000−018436(JP,A)
【文献】 実開昭56−089849(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプの内部に長さ調整ナットが固定され該パイプの一端部に壁面固定用の固定ボルトを備えた壁つなぎパイプと、仮設足場に連結するクランプ金具の本体に回転自在に連結され、壁つなぎパイプの他端部から内部に挿入して長さ調整ナットにネジ止めする長ボルトとを備え、長ボルトに対する壁つなぎパイプの回転で壁つなぎパイプからクランプ金具までの長さが伸縮自在に構成された壁つなぎ金具において、
長ボルトのクランプ金具がわ端部に、電動ドライバーに装着せしめる電動操作用ボルト頭部を形成し、
クランプ金具の本体に揺動自在に設けられ、縦パイプに巻着する蓋体を本体に連結せしめる締付ボルトの端部に、電動操作用ボルト頭部と同形状の外形を有する電動操作用締付ナットをネジ止めし、
長ボルトと壁つなぎパイプとを覆うパイプカバーが設けられ、該パイプカバーと長ボルトの側面を貫通せしめる連結軸を設け、該連結軸にて長ボルトにパイプカバーを連結し、電動操作用ボルト頭部の回転操作にてパイプカバーごと長ボルトを回転させるように構成したことを特徴とする仮設足場用壁つなぎ金具。
【請求項2】
パイプの内部に長さ調整ナットが固定され該パイプの一端部に壁面固定用の固定ボルトを備えた壁つなぎパイプと、仮設足場に連結するクランプ金具の本体に回転自在に連結され、壁つなぎパイプの他端部から内部に挿入して長さ調整ナットにネジ止めする長ボルトと、を備え、長ボルトの回転で壁つなぎパイプに対して長ボルトが伸縮自在に構成された壁つなぎ金具であって、長ボルトのクランプ金具がわ端部に、電動ドライバーに装着せしめる電動操作用ボルト頭部を形成し、クランプ金具の本体に揺動自在に設けられ、縦パイプに巻着する蓋体を本体に連結せしめる締付ボルトの端部に、電動操作用ボルト頭部と同形状の外形を有する電動操作用締付ナットをネジ止めした仮設足場用壁つなぎ金具の連結工法において、
建物の壁面にアンカーRを埋設するアンカー埋設工程と、
該アンカーに壁つなぎ金具の固定ボルトをネジ止めして壁面に壁つなぎ金具を連結する固定ボルト連結工程と、
壁面に連結された壁つなぎ金具の電動操作用ボルト頭部を電動ドライバーにて回転させる際に、壁面のアンカーに連結された壁つなぎパイプを持ちながら、電動操作用ボルト頭部を電動ドライバーにて回転させることで壁つなぎ金具の長さを調整する長さ調整工程と、
長さ調整後、クランプ金具の電動操作用締付ナットを電動ドライバーにて回転させ縦パイプに巻着する蓋体を本体に連結するように電動操作用締付ナットを締め付け固定するナット締付工程と、を有することを特徴とする仮設足場用壁つなぎ金具の連結工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設用の仮設足場を建物に連結する際に使用する仮設足場用壁つなぎ金具に係り、特に、建物と仮設足場との距離に合わせる壁つなぎ金具の長さ調整が極めて容易な仮設足場用壁つなぎ金具及び壁つなぎ金具の連結工法に関する。
【背景技術】
【0002】
戸建住宅等の建築施工やマンション等の補修工事などに仮設足場が構築される。この仮設足場を建物の周囲に配置する際に、仮設足場の転倒を防ぐため壁つなぎ金具が使用される。この壁つなぎ金具は、一方を仮設足場の縦パイプにクランプで連結し、他方を建物の壁面に埋設したアンカーに固定ネジでネジ止めすることで、壁面に仮設足場を固定するものである。
【0003】
特許文献1には、一般に使用されているタイプの壁つなぎ金具が記載されている。すなわち、パイプ部材の内部にナットが挿入されており、このパイプ部材の一端部から挿入された進退ネジ軸をナットに螺着したものである。そして、この進退ネジ軸を回転することによりパイプ部材に対して進退ネジ軸が進退自在になる。更に、この進退ネジ軸の一端部に仮設足場用のクランプが設けられると共に、パイプ部材の他端部に、建造物の壁面に固定する固定ボルトを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−205120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載のような従来の壁つなぎ金具を使用するには、この金具の長さを調整する作業に多くの手間を要する課題があった。すなわち、この壁つなぎ金具は、建物の壁面の中で、固定に適した位置を選定し、仮設足場の縦パイプから水平に連結できる位置にアンカーを埋設する。次に、このアンカーから縦パイプまでの距離に合わせて壁つなぎ金具の長さを調整し、調整後、壁つなぎ金具の固定ボルトをアンカーにネジ止めし、クランプを縦パイプに連結するといった手順になる。
【0006】
このとき、壁つなぎ金具の長さの調整は、クランプ金具を装着した進退ネジ軸に対してパイプ部材を回転させることで全体の長さを調整している。ところが、このパイプ部材を回転させる作業は手作業になり、しかも、壁つなぎ金具は、一つの仮設足場を固定するために多数本使用されるものなので、この長さ調整作業は極めて多くの手間を要するものであった。しかも、固定ボルトをアンカーにネジ止めした後は、再び壁つなぎ金具の長さを微調整するといった二度の手間も要していた。
【0007】
そこで本発明は、上述の課題を解決すべく案出されたもので、建物と仮設足場との距離に合わせて壁つなぎ金具の長さを簡単に調整することができ、しかも、調整後、仮設足場に合理的に連結することができる仮設足場用壁つなぎ金具及び壁つなぎ金具の連結工法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の手段は、パイプの内部に長さ調整ナット11が固定され該パイプの一端部に壁面Q固定用の固定ボルト12を備えた壁つなぎパイプ10と、仮設足場に連結するクランプ金具30の本体31に回転自在に連結され、壁つなぎパイプ10の他端部から内部に挿入して長さ調整ナット11にネジ止めする長ボルト20と、を備え、長ボルト20に対する壁つなぎパイプ10の回転で壁つなぎパイプ10からクランプ金具30までの長さが伸縮自在に構成された壁つなぎ金具において、
長ボルト20のクランプ金具30がわ端部に、電動ドライバーPに装着せしめる電動操作用ボルト頭部21を形成し、
クランプ金具30の本体31に揺動自在に設けられ、縦パイプに巻着する蓋体32を本体に連結せしめる締付ボルト33の端部に、電動操作用ボルト頭部21と同形状の外形を有する電動操作用締付ナット34をネジ止めし、
長ボルト20と壁つなぎパイプ10とを覆うパイプカバー40が設けられ、該パイプカバー40と長ボルト20の側面を貫通せしめる連結軸41を設け、該連結軸41にて長ボルト20にパイプカバー40を連結し、電動操作用ボルト頭部21の回転操作にてパイプカバー40ごと長ボルト20を回転させるように構成したことにある。
【0010】
第2の手段の連結工法は、パイプの内部に長さ調整ナット11が固定され該パイプの一端部に壁面Q固定用の固定ボルト12を備えた壁つなぎパイプ10と、仮設足場に連結するクランプ金具30の本体31に回転自在に連結され、壁つなぎパイプ10の他端部から内部に挿入して長さ調整ナット11にネジ止めする長ボルト20と、を備え、長ボルト20の回転で壁つなぎパイプ10に対して長ボルト20が伸縮自在に構成された壁つなぎ金具であって、長ボルト20のクランプ金具30がわ端部に、電動ドライバーPに装着せしめる電動操作用ボルト頭部21を形成し、クランプ金具30の本体31に揺動自在に設けられ、縦パイプに巻着する蓋体32を本体に連結せしめる締付ボルト33の端部に、電動操作用ボルト頭部21と同形状の外形を有する電動操作用締付ナット34をネジ止めした仮設足場用壁つなぎ金具の連結工法において、建物の壁面QにアンカーRを埋設するアンカー埋設工程100と、該アンカーRに壁つなぎ金具の固定ボルト12をネジ止めして壁面Qに壁つなぎ金具を連結する固定ボルト連結工程200と、
壁面Qに連結された壁つなぎ金具の電動操作用ボルト頭部21を電動ドライバーPにて回転させ該壁つなぎ金具の長さを調整する際に、壁面Qの前記アンカーRに連結された壁つなぎパイプ10を持ちながら、電動操作用ボルト頭部21を電動ドライバーPにて回転させることで壁つなぎ金具の長さを調整する長さ調整工程300と、長さ調整後、クランプ金具30の電動操作用締付ナット34を電動ドライバーPにて回転させ縦パイプに巻着する蓋体32を本体に連結するように電動操作用締付ナット34を締め付け固定するナット締付工程400と、を備えた連結工法にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1の如く、長ボルト20のクランプ金具30がわ端部に、電動ドライバーPに装着せしめる電動操作用ボルト頭部21を形成したことで、これまで、手作業で行ってきた長さ調整作業を電動ドライバーPにて簡単にすることができる。この結果、一つの現場で多数本使用される壁つなぎ金具の長さ調整を合理的且つ短時間で行うことができるものである。
【0013】
しかも、クランプ金具30の本体31に揺動自在に設けられ、縦パイプに巻着する蓋体32を本体に連結せしめる締付ボルト33の端部に、電動操作用ボルト頭部21と同形状の外形を有する電動操作用締付ナット34をネジ止めしたことにより、長さを調整した後、そのまま電動ドライバーPを使用して電動操作用締付ナット34を締め付けることができるので、本発明金具の装着作業を極めて簡略化することができる。したがって、これまで、固定ボルトをアンカーにネジ止めした後に再び壁つなぎ金具の長さを微調整するといった二度の手間も不要になった。
【0014】
また、長ボルト20と前記壁つなぎパイプ10とを覆うパイプカバー40が設けられ、該パイプカバー40と長ボルト20の側面を貫通せしめる連結軸41を設け、該連結軸41にて長ボルト20にパイプカバー40を連結し、前記電動操作用ボルト頭部21の回転操作にてパイプカバー40ごと長ボルト20を回転させるように構成したことで、長ボルト20に連結したクランプ金具30とパイプカバー40とは直接連結されず、長ボルト20を介した状態で連結されるものとなる。しかも、クランプ金具30は、長ボルト20を回転自在に連結しているので、このクランプ金具30を足場に固定する際に、長ボルト20やパイプカバー40に規制されにくく、遊びが生じた状態で連結することができる。このような長ボルト20をパイプカバー40で保護した構成の壁つなぎ金具であっても、電動ドライバーPにて容易に長さ調整することができるものである。
【0015】
請求項3のごとく、建物の壁面QにアンカーRを埋設するアンカー埋設工程100と、該アンカーRに壁つなぎ金具の固定ボルト12をネジ止めして壁面Qに壁つなぎ金具を連結する固定ボルト連結工程200と、壁面Qに連結された壁つなぎ金具の電動操作用ボルト頭部21を電動ドライバーPにて回転させ該壁つなぎ金具の長さを調整する長さ調整工程300と、長さ調整後、クランプ金具30の電動操作用締付ナット34を電動ドライバーPにて回転させ縦パイプに巻着する蓋体32を本体に連結するように電動操作用締付ナット34を締め付け固定するナット締付工程400と、を備えた連結工法により、建物と仮設足場との距離に合わせて壁つなぎ金具の長さを簡単に調整することができ、しかも、調整後、縦パイプS1に合理的に連結することができる。
【0016】
更に、壁面QのアンカーRに連結された状態で壁つなぎパイプ10を持ちながら、電動操作用ボルト頭部21を電動ドライバーPにて回転させることで壁つなぎ金具の長さを調整する連結工程により、本発明つなぎ金具を極めて安定した状態で長さ調整することができる。したがって、高所における長さ調整作業でも安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明壁つなぎ金具の一実施例を示す正面図である。
図2】本発明の壁つなぎパイプと長ボルトとを示す要部切欠正面図である。
図3】本発明のクランプ金具と長ボルトとを示す要部切欠正面図である。
図4】本発明の電動操作用ボルト頭部を電動ドライバーで回転させる状態を示す説明図である。
図5】本発明の電動操作用締付ナットを電動ドライバーで回転させる状態を示す説明図である。
図6】本発明壁つなぎ金具の使用状態を示す概略図である。
図7】本発明壁つなぎ金具連結工法の連結工程を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明によると、建物と仮設足場との距離に合わせて壁つなぎ金具の長さを簡単に調整することができ、しかも、調整後、仮設足場に合理的に連結することができるなどといった当初の目的を達成した。
【実施例】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の構成を詳細に説明する。本発明つなぎ金具は、仮設足場Sを建築物の壁面Qに固定するために使用するものである(図6参照)。本発明つなぎ金具の基本構成は、壁つなぎパイプ10、長ボルト20、クランプ金具30、パイプカバー40にて構成されている(図1参照)。
【0020】
壁つなぎパイプ10は、パイプの内部に長さ調整ナット11が固定され該パイプの一端部に壁面固定用の固定ボルト12を備えたパイプ部材である(図1参照)。図示の固定ボルト12は、壁つなぎパイプ10を貫通する連結軸13に連結されている。
【0021】
長ボルト20は、壁つなぎパイプ10の他端部から内部に挿入して長さ調整ナット11にネジ止めするボルト状の部材で、仮設足場Sに連結するクランプ金具30の本体31に回転自在に連結されている(図3参照)。そして、この長ボルト20に対して壁つなぎパイプ10を回転させると、壁つなぎパイプ10からクランプ金具30までの長さが伸縮自在になるように構成されている(図2参照)。
【0022】
本発明では、長ボルト20のクランプ金具30がわ端部に、電動ドライバーPに装着せしめる電動操作用ボルト頭部21を形成している(図4参照)。そして、電動ドライバーPのソケットビットP1にて回転操作するように設けている。この電動操作用ボルト頭部21を回転操作することで、長ボルト20が回転してクランプ金具30から壁つなぎパイプ10までの長さが伸縮自在になるものである。図示の電動操作用ボルト頭部21は、六角形状を成し、電動操作用ボルト頭部21と長ボルト20との境界部分にフランジ21Aを形成している。そして、電動ドライバーPのソケットビットP1端部がこのフランジ21Aに当接するものである。
【0023】
クランプ金具30は、仮設足場Sの縦パイプS1に連結する部材で、本体31、蓋体32、締付ボルト33、電動操作用締付ナット34にて構成されている(図5参照)。本体31は、長ボルト20を回動自在に連結する部材で、この本体31の両端部に蓋体32と締付ボルト33が設けられている。蓋体32は、本体31に揺動自在に設けられ、縦パイプS1に巻着する部材である。締付ボルト33は、この蓋体32を本体に連結せしめるボルト部材で、この締付ボルト33にネジ止めしたナットを蓋体32の端部に突設してある係止部32Aに係止させて緊締する。
【0024】
電動操作用締付ナット34は、この係止部32Aに係止するナット部材である。この電動操作用締付ナット34の外形は、前述した電動操作用ボルト頭部21の外形と同寸法、同形状に設けられたものである。図示例では、電動操作用ボルト頭部21及び電動操作用締付ナット34の外形を同寸法の六角形状に形成することで、電動操作用ボルト頭部21を回転させたソケットビットP1と同じソケットビットP1にて回転操作できるように設けている。
【0025】
パイプカバー40は、長ボルト20と壁つなぎパイプ10とを覆うパイプ部材である(図1参照)。このパイプカバー40には、パイプカバー40と長ボルト20との側面を貫通せしめる連結軸41を設けてあり、この連結軸41にて長ボルト20にパイプカバー40を連結したものである(図3参照)。したがって、長ボルト20の電動操作用ボルト頭部21を電動ドライバーPで回転操作すると、このパイプカバー40ごと長ボルト20が回転するものである。図示例では、パイプカバー40の回転を容易にするため、パイプカバー40と長ボルト20との間に補助リング42を介している。
【0026】
次に、本発明つなぎ金具を使用した壁つなぎ金具の連結工法について説明する。本発明連結工法は、アンカー埋設工程100、固定ボルト連結工程200、長さ調整工程300、ナット締付工程400といった四つの工程を有するものである(図7参照)。
【0027】
アンカー埋設工程100は、建物の壁面QにアンカーRを埋設する工程である。この工程では、まず、建物の壁面Qの中で、固定に適した位置を選定する。次に、仮設足場Sの縦パイプS1から水平に連結できる位置にマーキングし、この位置にアンカーRを埋設する。アンカーRを埋設できない箇所は、このアンカーRに代わる任意の部材を使用することも可能である。
【0028】
固定ボルト連結工程200は、壁面Qの所定位置に既に埋設されているアンカーRに壁つなぎ金具の固定ボルト12をネジ止めして壁つなぎ金具を連結する工程である。この工程では、従来のつなぎ金具のように、予め、壁面Qから縦パイプS1までの距離に合わせて、おおよその長さに調整する必要はなく、あるがままの長さでアンカーRに固定ボルト12を連結する作業になる。壁面Qの強度が十分な場合は、予め、各アンカーRにそれぞれ本発明壁つなぎ金具を連結しておくことも可能である。
【0029】
長さ調整工程300は、壁面Qに連結された壁つなぎ金具の電動操作用ボルト頭部21を電動ドライバーPにて回転させて、壁つなぎ金具の長さを調整する工程である(図4参照)。電動操作用ボルト頭部21に電動ドライバーPのソケットビットP1を当てて回転させることで、長ボルト20の長さが調整され、これに伴ってクランプ金具30の位置を縦パイプS1の位置に合わせることができるものである。より具体的には、壁つなぎパイプ10の端部は、既に固定ボルト12にて壁面Qに固定されているので、この壁つなぎパイプ10を一方の手で支えながら、電動操作用ボルト頭部21にソケットビットP1を当てて回転させる操作になる。このような操作のみで、クランプ金具30の位置を縦パイプS1の位置に簡単にしかも正確に合わせることができる。
【0030】
ナット締付工程400は、長さ調整後、クランプ金具30を縦パイプS1に連結する工程である(図5参照)。クランプ金具30を連結するには、仮設足場Sの縦パイプS1に巻着せしめるクランプ金具30の蓋体32を、クランプ金具30の本体31に連結する。このとき、本体31に揺動自在に設けられた締付ボルト33の端部に、電動操作用ボルト頭部21と同形状の外形を有する電動操作用締付ナット34をネジ止めしており、この電動操作用締付ナット34を蓋体32の係止部32Aに係止させるときに、電動操作用締付ナット34を電動ドライバーPのソケットビットP1にて回転させるものである。このソケットビットP1は、長ボルト20の電動操作用ボルト頭部21に使用した同じソケットビットP1を使用する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明つなぎ金具の利用方法は、特に、戸建住宅等の建築工事や改修工事に好適であるが、ビル建築における作業の安全性を確保することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
P 電動ドライバー
P1 ソケットビット
Q 壁面
R アンカー
S 仮設足場
S1 縦パイプ
10 壁つなぎパイプ
11 長さ調整ナット
12 固定ボルト
13 連結軸
20 長ボルト
21 電動操作用ボルト頭部
21A フランジ
30 クランプ金具
31 本体
32 蓋体
32A 係止部
33 締付ボルト
34 電動操作用締付ナット
40 パイプカバー
41 連結軸
42 補助リング
100 アンカー埋設工程
200 固定ボルト連結工程
300 長さ調整工程
400 ナット締付工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7