特許第5773946号(P5773946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773946
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】挟持装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 55/00 20060101AFI20150813BHJP
   D06F 57/00 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   D06F55/00 E
   D06F57/00 310C
   D06F55/00 F
   D06F57/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-121855(P2012-121855)
(22)【出願日】2012年5月29日
(65)【公開番号】特開2013-244330(P2013-244330A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】512140212
【氏名又は名称】桜木 太平
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】桜木 太平
(72)【発明者】
【氏名】坂井 普
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−137488(JP,U)
【文献】 特開2008−30129(JP,A)
【文献】 特開平8−71293(JP,A)
【文献】 特開平10−52597(JP,A)
【文献】 特開2007−21187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 55/00、57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の挟持部材の中間部分を互いに対向するV字状または互いに交差するX字状の接合部とし、この接合部を支軸で枢支して開閉可能とすると共に、その接合部にバネを設けて前記挟持部材が閉じる方向に付勢し、前記挟持部材の一方端は先端が少し開口した挟持部を構成し、挟持部材の他方端は把手部とし、前記挟持部には、ラチェット機構によって前記挟持部の開口側から支軸側への一方向にのみ回転するようにした無端状の挟持ベルトからなる所定長さで互いに平行する挟持機構を形成し、対向する挟持部の挟持機構間に物品を挟定可能としたことを特徴とする挟持装置。
【請求項2】
把手部の一方に別に設ける支持杆に取り付けるための回転取付軸を設けて、この回転取付軸を中心に回転可能とした請求項1記載の挟持装置。
【請求項3】
上記挟持部の挟持機構は、挟持部の側板に所定の間隔をおいて取り付ける2つの歯車体と、この歯車体間に回転可能に架設する無端状の挟持ベルトと、一方の歯車体に取り付けるラチェット機構とからなり、挟持ベルトの表面に、ベルトの進行方向と直角に多数の突条を設けた請求項1または請求項2記載の挟持装置。
【請求項4】
上記挟持機構の両歯車体間の所定位置に、広範囲の可動域を有するように球形支軸を介して、表面に多数の突起を有する補助球体を複数取り付けた請求項記載の挟持装置。
【請求項5】
上記ラチェット機構は、一方の歯車体の側面に垂直面とその頂点から一方向のみに傾斜する傾斜面を複数交互に設けてなる係止部を形成し、この係止部と対応する形状を有する係止突出部を有する係止板を挟持部の側板に設け、前記係止部と係止突出部とが互いに噛合するようにして歯車体が一方向にのみ回転するようにしたものである請求項3又は4記載の挟持装置。
【請求項6】
上記挟持部材の一方の支軸を枢支する部分を支軸が摺動可能な長孔とした請求項1から請求項5のいずれか1項記載の挟持装置。
【請求項7】
上記把手部に挟持部材を開閉するための開閉機構を設けた請求項1から請求項6のいずれか1項記載の挟持装置。
【請求項8】
上記挟持部材の開閉機構が、支軸を介して揺動自在に取り付けた正逆回転切換可能なモーターと、このモーターの回転軸に調節ネジを介して取り付けた長さ調節可能な伸縮シャフトと、この伸縮シャフトの先端に設けるネジ部と螺合可能で把手部の長さ方向に摺動可能に取り付けたネジ受け部とからなり、モーターの正逆回転にともなうネジ部の回転によって挟持部材を開閉するようにしたものである請求項7記載の挟持装置。
【請求項9】
把手部に上記モーター及び伸縮シャフトを格納する格納部を設けた請求項8記載の挟持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、種々の物品を挟んで吊り下げたり、持ち上げたりするための挟持装置についての発明であって、様々な大きさの物品に広く適用できるようにした挟持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品を挟んで吊り下げたり、持ち上げたりする道具、装置は、小さなものから大規模のものまで種々の大きさのものが存在するが、最も基本的な構造として、例えば、洗濯ばさみが例示される。
【0003】
洗濯ばさみの一般的な構造は、一対のくの字状部材の中間の山の部分を支点として、一方端をつまみ部、他方端を挟持部とし、バネ等の弾性力によって挟持部が互いに接近して、該部に洗濯物を挟み込むものである。即ち、つまみ部を指先で互いに近接させることで他方端の挟持部が開き、該部に洗濯物を挟んで前記つまみ部を離せば、バネ等の弾性力で挟持部が閉じて洗濯物を挟持し吊り下げたりすることができる。
【0004】
他方、物を挟むものとしては、ペンチやプライヤーといった治具を例示することもできる。これらの治具は、一般に、一方端を挟持部、他方端を把手部とした一対の部材の中間部分を交差して枢支した構造であり、上記した洗濯ばさみと異なり、把手部を開くと挟持部も開き、把手部を閉じると挟持部も閉じるようになっており、主に物品を挟んで曲げたり、潰したりするために用いる。更に、大型の建設機械等のクリップ装置のように、油圧等を利用した複雑な装置も存在する。
【0005】
そして、これらの挟持のための道具等における先端の挟持部は、従来、多数の三角突条を列設して構成されたものであり、摩擦係数を大きくして物品を確実に挟めるようにしたものがほとんどで、ほとんど改良されていないのが実情である。
【0006】
そのような実情の中、洗濯ばさみにおいては、例えば特許文献1や特許文献2にみられるように、挟持部の先端にローラーや所定形状の回転体を設けたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−71293号公報
【特許文献2】特開平10−52597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記両文献に記載の洗濯ばさみは、いずれも、挟持した洗濯物を取り外す際の利便性を追求したものである。即ち、従来、乾いた洗濯物を外す場合、一つ一つの洗濯ばさみを開いて外すという動作を繰り返す必要があったのを、ローラーや回転体を設けることで、洗濯物を下方へ引っ張ることで、ローラーや回転体が回転して一気に洗濯物を取り外すことができるようになったものである。従って、これら洗濯ばさみの構造は、洗濯ばさみのみに適用できる構成であって、挟持した物を確実に挟み持って、落とすことがないことを要求される一般的な挟持装置には、適用できない構造である。
【0009】
また、一般的な洗濯ばさみ等については、本来的な別の問題も残されている。即ち、従来の洗濯ばさみは、物を挟む、或いは、取り外すという動作の場合、つまみ部を指先で互いに近接させることが必要である。しかし、身体の一部が不自由な人や高齢者にとって、かかる作業が困難な場合があるのである。上記特許文献1、2においては、取り外す際は洗濯物を引っ張るだけでよいから、この問題は生じないが、洗濯物を挟んで取り付ける際の問題は、なお解決できていないのである。
【0010】
本発明は、かかる実情に鑑みて、まったく別の視点からこの問題を解決しようとするもので、挟持装置において、物を挟んで吊り下げる際にも、また、その挟んだ物を取り外す際にも、極めて簡単な動作で、障害者や高齢者等であっても簡単に作業ができるようにすることを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明は、挟持装置として、一対の挟持部材の中間部分を互いに対向するV字状または互いに交差するX字状の接合部とし、この接合部を支軸で枢支して開閉可能とすると共に、その接合部にバネを設けて前記挟持部材が閉じる方向に付勢し、前記挟持部材の一方端は先端が少し開口した挟持部を構成し、挟持部材の他方端は把手部とし、前記挟持部には、ラチェット機構によって前記挟持部の開口側から支軸側への一方向にのみ回転するようにした無端状の挟持ベルトからなる所定長さで互いに平行する挟持機構を形成し、対向する挟持部の挟持機構間に物品を挟定可能とするという手段を採用した。
【0012】
かかる構成によれば、挟持部に、ラチェット機構によって所定の一方向にのみ回転するようにした挟持ベルトからなる挟持機構を形成しているので、開口部から物品を差し込むだけで当該挟持部に確実に挟定され、物品が落下することを確実に防止する。
【0013】
また、把手部の一方に別に設ける支持杆に取り付けるための回転取付軸を設けて、この回転取付軸を中心に回転可能とするという手段を採用した。
【0014】
そして、上記挟持部の挟持機構は、挟持部の側板に所定の間隔をおいて取り付ける2つの歯車体と、この歯車体間に回転可能に架設する無端状の挟持ベルトと、一方の歯車体に取り付けるラチェット機構とからなり、挟持ベルトの表面に、ベルトの進行方向と直角に多数の突条を設けるという手段を採用した。
【0015】
さらに、上記挟持機構の両歯車体間の所定位置に、広範囲の可動域を有するように球形支軸を介して、表面に多数の突起を有する補助球体を複数取り付けるという手段を採用した。
【0016】
また、上記ラチェット機構は、一方の歯車体の側面に垂直面とその頂点から一方向のみに傾斜する傾斜面を複数交互に設けてなる係止部を形成し、この係止部と対応する形状を有する係止突出部を有する係止板を挟持部の側板に設け、前記係止部と係止突出部とが互いに噛合するようにして歯車体が一方向にのみ回転するようにしたものであるという手段を採用した。
【0017】
そして、上記挟持部材の一方の支軸を枢支する部分を支軸が摺動可能な長孔とするという手段を採用した。
【0018】
また、別に、上記把手部に挟持部材を開閉するための開閉機構を設けるという手段を採用した。
【0019】
そして、上記挟持部材の開閉機構が、支軸を介して揺動自在に取り付けた正逆回転切換可能なモーターと、このモーターの回転軸に調節ネジを介して取り付けた長さ調節可能な伸縮シャフトと、この伸縮シャフトの先端に設けるネジ部と螺合可能で把手部の長さ方向に摺動可能に取り付けたネジ受け部とからなり、モーターの正逆回転にともなうネジ部の回転によって挟持部材を開閉するようにしたものであるという手段を採用した。
【0020】
また、把手部に上記モーター及び伸縮シャフトを格納する格納部を設けるという手段を採用した。
【発明の効果】
【0021】
上記構成にかかる本発明の挟持装置は、挟持部に、ラチェット機構によって所定の一方向にのみ回転するようにした無端状の挟持ベルトからなる所定長さで互いに平行する挟持機構を形成しているので、開口部から物品を差し込むだけで当該挟持部に確実に挟定され、物品が落下することを確実に防止する。また、把手部を指先で僅かに開くだけで挟持部の挟定が解除され、物品を容易に取り外すことが可能となる。従って、手指の不自由な障害者や高齢者であっても、きわめて容易に物品の吊り下げや取り外しが可能となる優れた発明である。
【0022】
また、回転取付軸を中心に回転可能であるので、物品を取り付けると、その自重によって自然に180度回転し、吊り下げ状態とすることができ便利である。
【0023】
また、挟持部の挟持機構は、表面に多数の突条を有する無端状の挟持ベルトが、一方向のみに回転可能に設けられているので、物品を確実に挟持すると共に、自重によって外れることも確実に防止できる。
【0024】
また、挟持機構に設けた複数の補助球体によって、挟持ベルトの断裂や脱落の際の補佐が可能で、安全性が高く、さらに、不定型な物品も撓みを吸収して確実に挟定できるものである。
【0025】
更に、挟持ベルトは、複数の垂直面と傾斜面とで構成する係止部と係止突出部の噛合によって、確実に一方向のみに回転させることが可能であり、挟定した物品を落下させることがない。
【0026】
また、接合部の支軸の枢支部分に長孔を設けた場合には、挟持機構の間隔を広くできるので、大きな物品を挟持することが可能となる。
【0027】
また、装置が大型となる場合には、把持部に挟持部材を開閉するための開閉機構を設けることができるので、便利である。
【0028】
そして、この開閉機構をモーターとネジ部を有する伸縮シャフトで構成することによって、より確実に、かつ自動的に挟持部材を開閉することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る挟持装置の実施形態を示す側面図である。
図2】挟持装置が、180度回転した状態を示す側面図である。
図3】(A)は、挟持機構の拡大説明図、(B)はその一部切欠正面図、(C)は補助球体の取り付け状態の説明図である。
図4】歯車体に設けるラチェット機構の一例の説明図である
図5】挟持部の部分拡大図で、接合部の支軸に設ける長孔の例を示すものである。
図6】把持部に開閉機構を設けた例を示す側面図である。
図7】挟持部材の接合部の変更例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る挟持装置の好ましい幾つかの実施形態を添付した図面に従って説明する。
【0031】
(実施形態 その1)
図1は、本発明の挟持装置を洗濯ばさみとして具現化した実施形態を示している。図1において、1、1’は略S字状の一対の挟持部材であって、その中間部分を互いに交差するX字状の接合部1aとして支軸2で枢支して、互いに対向して開閉可能としたものである。3は挟持部材1、1’間に設ける板バネで、部材が閉じる方向に付勢力を付与している。この構成は、基本的に従来の各種挟持用の治具と変わりなく、例えば、板バネ3の形状や設置位置は一例であり、従来公知の他の手段を採用することもある。
【0032】
上記挟持部材1、1’の一方端には互いに対向して先端が少し拡開した挟持部4、4’を構成し、他方端は把手部5、5’とする。この挟持部4、4’には、下述するように、一方向にのみ回転する無端状の挟持ベルト63等からなる所定長さで互いに平行する挟持機構6、6’を形成し、対向する挟持部4、4’の挟持機構6、6’間に洗濯物を挟定して確実に保持するものである。この挟持機構6、6’の各構成は同じものであるが、互いに平行した対称形となっている。7は別に設ける支持杆(P)に上記把手部5の一方を取り付けるための回転取付軸で、当該回転取付軸7を中心にこの洗濯ばさみは回転可能であり、上記挟持部4、4’に洗濯物を挟持させたとき、図2に示すように、その重さにより自然に180度回転し、上下が逆になるようにしている。8は把手部5の外側側面に突出して設けたストッパーで、これと対応して前記支持杆(P)に設けた嵌合孔(P1)に嵌入して、洗濯ばさみの回転を一時的に規制している。
【0033】
上記構成の洗濯ばさみは、通常は挟持部4、4’を上方に向けて支持杆(P)に取り付けている。そして、上方の拡開した開口部分から洗濯物(図示せず)を挟持部4、4’間に差し込んでいくと、一方向のみに回転する挟持機構6、6’の挟持ベルト63の作動により、洗濯物が支軸2側に進行し確実に挟持される。そうすると、この洗濯ばさみは下方に重力を受けるので、その自重により、前記ストッパー8の規制が解かれ、洗濯ばさみ自体が洗濯物と一緒に180度回転する。このとき、洗濯物は挟持部4、4’に確実に挟定されているので落下するおそれはない。これにより、洗濯物を吊下した状態で乾燥させることができる。また、洗濯物が乾燥すれば、指先で把手部5を板バネ3の付勢力に反して少し開いてやれば、反対側の挟持部4、4’も簡単に開くので、洗濯物は自然落下して取り込むことができる。従って、障害者や高齢者であっても、極めて簡単な動作で洗濯物を挟んだり外したりすることができる。
【0034】
続いて、上記挟持部4、4’における挟持機構6、6の具体的構成について、図3、4に従って説明する。図4(A)はその側面図、(B)は一部切欠した正面図である。図において、61、62は所定の距離を置いて挟持部4の側板41に回転可能に取り付けた歯車体で、この歯車体61、62間に無端の挟持ベルト63を架設してベルト63が回転するようにしている。即ち、ベルト63の裏側には、上記歯車61、62の歯と噛合する多数の溝63aを刻設してあり、歯車61、62の回転に従って、挟持ベルト63も回転する。また、ベルト63の表側には、ベルト63の進行方向と直角に多数の任意形状の突条63bを設け、この突条63bによって洗濯物を確実に挟持できるようにしている。即ち、挟持ベルト63は所定長さで互いに平行して設けられるので、当該突条63bを有する長い平面によって洗濯物を確実に挟持できるものである。
【0035】
64、64は、上記両歯車体61、62間の所定位置に取り付けた、表面に多数の突起64aを有する補助球体であり、その突起64aが前記ベルトの溝63aに噛合してベルト63の回転を補助するもので、ベルト63が断裂したり歯車体61、62から脱落したりすることを防止すると共に、万が一、断裂や脱落があった場合の補佐の役割を果たすものである。この補助球体64は、図3(C)に示すように、挟持部4の側板41に設ける球形凹部41a対して嵌入する球形支軸64bを有し、広範囲な可動域を有するように取り付けて、不定形物がベルト63間に挟持されるときに、ベルト63の不定型な撓みを吸収するようになっている。
【0036】
65は、一方の歯車体62に取り付けたラチェット機構で、歯車体62が一方向にしか回転しないようにしたものである。これにより、歯車体61、62に架設した挟持ベルト63は一方向にしか回転しない。この場合、挟持ベルト63は、挟持部4、4’の開口側から中心(支軸)側への一方向にのみ回転するようにする。これにより、洗濯物を挟持部4、4’の開口部側から差し込めば、それに従って挟持ベルト63が回転し、洗濯物は進行するが、反対方向、即ち取り出す方向に引っ張っても、前記ラチェット機構65の作用により挟持ベルト63が逆方向に回転しないので、洗濯物が脱落することを確実に防止できるものである。
【0037】
図4は、上記ラチェット機構65の一例を示すものである。即ち、歯車体62の側面に、垂直面66aとその頂点から一方向にのみ傾斜する傾斜面66bを有する複数(図では4つ)の突出部からなる係止部66を形成している。そして、挟持部4の側板41には、これと対応する形状を有する係止突出部42aを設けた係止板42が設けられる。係止部66と係止突出部42aは互いに噛合することになる。この構造によれば、歯車体62が回転するとき、垂直面66aの頂点は、係止板42の傾斜面を摺動しながら回転することができるが、頂点を越えると垂直面66aで落下し、これに阻止されて、逆方向に回転、進行することができなくなる。かかる作用によって、歯車体62、及び、挟持ベルト63は一方向にのみ回転させることができるのである。なお、かかるラチェット機構65はこの構造に限定されるものではなく、必要に応じて従来公知の他のラチェット機構に置換することが可能である。
【0038】
図5は上記実施形態の変形例を示すもので、接合部1aの支軸2の位置を変更可能としたものである。即ち、挟持部材1の一方の支軸2を枢支する部分を支軸2が摺動可能な長孔2aとしている。これにより挟持部4、4’の開閉の支点の位置を変更できるので、挟持部4、4’の開口幅を変更できる。よって、比較的厚みの厚いものにも対応して挟持することができるようになる。
【0039】
以上述べたように、本発明に係る挟持装置としての洗濯ばさみによれば、洗濯物を上方の開口部から挟持部4、4’に差し込むだけでラチェット機構65によって一方向のみに回転する挟持機構6、6’に挟持することができ、その後、洗濯物の重さによって180度回転し、洗濯物を吊下して乾燥させることができるものである。
【0040】
(実施形態 その2)
図6は、本発明に係る挟持装置を、比較的大きなものを吊下可能な大型の機器として適用する例を示したものである。装置の基本的構成は前述した洗濯ばさみに適用する場合と同じであるので、同じ作用を奏する部位については同じ番号を付して説明する。
【0041】
図6において、1、1’は略S字状の一対の挟持部材であって中間部分を交差させて支軸2で枢支して、互いに対向して開閉可能としたものである。3は挟持部材1、1’間に設ける板バネで、部材が閉じる方向に付勢力を付与している。上記挟持部材1、1’の一方端には互いに対向して先端が少し拡開した挟持部4、4’を構成し、他方端は把手部5、5’とする。この挟持部4、4’には、一方向にのみ回転する挟持ベルト63等からなる挟持機構6、6’を形成し、対向する挟持部4、4’の挟持機構6、6’間に対象となる被挟持物を挟定して確実に保持するものである。なお、挟持機構6、6’の構成は前記実施形態と同じであるので、詳細な説明は省略する。また、必要に応じて、支軸2部分に長孔2aを設けることがあることも前記と同様である。
【0042】
続いて、9は挟持部材1、1’を開閉させるための開閉機構である。この開閉機構9において、91はダイレクトモーターで、図示しないスイッチにより正逆に回転切換可能としたものである。このダイレクトモーター91は、支軸92を介して一方の把手部5に揺動可能に取り付けられる。93は伸縮シャフトで、上記ダイレクトモーター91の回転軸に対して調節ネジ91aを介して長さ調節可能に接続されている。即ち、調節ネジ91aにより伸縮シャフト93の長さを変更することが可能である。この伸縮シャフト93の先端にはネジ部93aを設け、もう一方の把手部5’に設けるネジ受け部94に螺合している。このネジ受け部94は、把手部5’に対して、回転可能で且つ長さ方向に摺動可能に取り付けられている。これにより、下述するように、ダイレクトモーター91により伸縮シャフト93を回転させると、ネジ部93aと螺合するネジ受け部94が把手部5’に沿って摺動し、把手部5’を開閉することができる。即ち、このネジ受け部94の構成により、シャフト93の直線運動と把手部5’の回転運動とを変更、整合させ、力の移動を行っている。なお、かかる構成の基本的原理は、従来から採用されているものである。また、必要に応じて、このネジ部93aの螺合を解いて、ダイレクトモーター91及び伸縮シャフト93を支軸92を中心に回動させ、把手部5に設けた格納部5aに格納することができるようにしている。
【0043】
この(実施形態 その2)における挟持装置の動作について説明すると、初期状態では挟持部4、4’が図6のように閉じている。この状態で、挟持部4、4’に所望の物品を挟持させる。物品の大きさによっては、挟持部4、4’を少し開いたり、支軸2の長孔2aを利用して挟持部4、4’の隙間の間隔を調節する。挟持部4、4’に物品を挟持させるとき、下から差し込むと、一方向にのみ回転する挟持ベルト63等からなる挟持機構6、6’により物品は確実に挟持され、落下することはない。このとき、ダイレクトモーター91を回転させると、挟持部4、4’を開閉することが可能であるので、挟持部4、4’が閉まる方向にダイレクトモーター91を操作すれば、挟持力はより強固となる。このような状態で、各種物品を吊り上げたり、持ち運んだりすることができる。また、物品を挟持部4、4’に対して差し込むのではなく、大きな物品に対しては、挟持部4、4’を物品に近付けて挟持部間に差し込まれるように押し込んで操作することも可能である。
【0044】
次ぎに、物品を外す場合、上記ダイレクトモーター91を逆転させ、ネジ部93aの回転によって把手部5、5’が開くように作動させる。そうすると、連動して把持部4、4’も開くことになるので、物品は自然に落下する。
【0045】
この(実施形態 その2)では、装置の大きさを特に限定するものではなく、持ち上げたりする物品の大きさによって、その大きさが適宜選定されることになる。
【0046】
(実施形態の変更例)
続いて、図7は、上記各実施形態において、接合部材1、1’の接合関係を変更した例を示すものである。即ち、接合部材1、1’をX字状に交差させる形態に変えて、互いに対向するV字状の接合部1aとしたものである。かかる構成もまた、従来の各種挟持用の治具に採用されている構成である。接合部1a以外の構成については変わるところがないので、各部位は同じ番号を付している。
【0047】
かかる構成を洗濯ばさみとして適用した場合、前記実施形態と同様に、洗濯物を上方の開口部から挟持部4、4’に差し込むだけでラチェット機構65によって一方向のみに回転する挟持機構6、6’に挟持することができ、その後、洗濯物の重さによって180度回転し、洗濯物を吊下して乾燥させることができるものである。この場合、洗濯物が乾燥すれば、指先で把手部5を板バネ3の付勢力に反して閉じる方向に押してやれば、反対側の挟持部4、4’が簡単に開くので、洗濯物は自然落下して取り込むことができる。従って、さきの実施形態と同様に、障害者や高齢者であっても、極めて簡単な動作で洗濯物を挟んだり外したりすることができる。なお、前記と同様に、この構成は大型の機器にも適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上述したように、本発明に係る挟持装置は、一対の挟持部材によって物を挟んで保持することができるものであり、その応用範囲は極めて広い。即ち、洗濯ばさみに適用するように、小さなものから、プライヤー等の治具として適用してもよく、さらに、工事現場や災害復旧現場等におけるクレーンなどの大型建設機械等のパワーハンドやクリップ装置として応用することも可能となる。従って、本発明装置の適用範囲は広汎にわたるものである。
【符号の説明】
【0049】
1、1’ 挟持部材
1a 接合部
2 支軸
2a 長孔
3 板バネ
4、4’ 挟持部
41 側板
41a 球形凹部
42 係止板
42a 係止突出部
5、5’ 把手部
5a 格納部
6、6’ 挟持機構
61 歯車体
62 歯車体
63 挟持ベルト
63a 溝
63b 突条
64 補助球体
64a 突起
64b 球形支軸
65 ラチェット機構
66 係止部
66a 垂直面
66b 傾斜面
7 回転取付軸
8 ストッパー
9 開閉機構
91 ダイレクトモーター
91a 調節ネジ
92 支軸
93 伸縮シャフト
93a ネジ部
94 ネジ受け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7