(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
50[mm/分]の引張速度で引張試験を行うことにより測定した引張強さ[MPa]と破断時の伸び量[%]との積である抗張積が7500以上である直鎖低密度ポリエチレンを含み、
且つ、前記直鎖低密度ポリエチレンは、施工対象物への施工が終了した時点では架橋されており、ゲル分率が30[%]以上であることを特徴とするライニング用組成物。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力発電プラントなどにおいては、冷却用の媒体として海水が用いられる。この海水が流通する配水管は長期間の使用を前提として金属配水管が用いられるが、コストの観点から炭素鋼が使用される例が多い。従って、海水によって配水管の腐食が発生するおそれがあり、このような腐食を防止するため、配水管内面全体をライニングで覆うなどしている。
【0003】
このようなライニングに用いられる部材、即ちライニング用組成物としては、ゴムやポリオレフィンが適用される。特にポリオレフィンの中でもポリエチレンは水分透過率が小さく、また化学的に安定した材料であるため、炭素鋼等よりなる配水管の腐食防止に有効であることが知られている。またポリエチレンの中でも特に直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)は、分岐鎖の少ない分子構造を有し、分子が比較的密にパッキングされている。このため分子間の隙間が小さく、低密度ポリエチレン(LDPE)と比較して水分透過が少ない等のため、近年はライニング用組成物にはこの直鎖低密度ポリエチレンが適用されることが多くなっている。
【0004】
ところで、海水の流通する上記配水管内には海水の流量を調整する弁が設けられることがあり、このような弁の下流側では配水管内(の水中)でキャビテーションが生じることがある。そして、このキャビテーションが崩壊する際の衝撃波によって引き起こされる壊食、即ちキャビテーションエロージョンによって、ライニングに損傷が発生してしまうという問題があった。
【0005】
ここで、特許文献1には、引張り強度等の機械的物性に優れたポリエチレンが開示されている。このポリエチレンはメタロセン触媒を用いて合成され、従来のチーグラー触媒を用いて合成されたものと比較すると、ポリエチレンの分子量分布が狭い範囲に収まり、シャープな分布となるため、結果として機械的物性を向上することが可能となっている。
【0006】
またここで、プラスチックの物性とキャビテーションエロージョン特性の関係については、非特許文献1及び非特許文献2において言及されている。
非特許文献1には、エラスチックモジュラス(=引張弾性率)が小さいプラスチックがキャビテーションエロージョンに対する耐性が高いことが示されている。また、非特許文献2には、σ
B2/(2E)やσ
Bが大きいほうがキャビテーションエロージョンに対する耐性が高いことが示されている。σ
Bは圧縮強さ、Eは圧縮弾性率である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、特許文献1のポリエチレンをライニング用組成物として用いることによって機械的物性を向上することが可能となるため、ライニングの性能向上を図ることができるものの、上述したキャビテーションエロージョンに対する耐性についての言及は特許文献1にはなかった。
さらに、非特許文献1と非特許文献2とは、明らかに異なる知見を示しており、あえて言えば逆の知見を示しているように思われる。
従って、プラスチックの物性とキャビテーションエロージョンに対する耐性との相関性については明確な理論がまだ構築されてないのが現状であり、キャビテーションエロージョンによるライニングの損傷を確実に防止することは難しかった。
【0010】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、水分遮断性、化学的安定性を有するとともに、耐キャビテーションエロージョン性を向上したライニング用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係るライニング用組成物は、50[mm/分]の引張速度で引張試験を行うことにより測定した引張強さ[MPa]と破断時の伸び量[%]との積である抗張積が7500以上である直鎖低密度ポリエチレンを含
み、且つ、前記直鎖低密度ポリエチレンは、施工対象物への施工が終了した時点では架橋されており、ゲル分率が30[%]以上であることを特徴とする。
また、本発明に係るライニング用組成物は、50[mm/分]の引張速度で引張試験を行うことにより測定した引張強さ[MPa]と破断時の伸び量[%]との積である抗張積が7500以上である直鎖低密度ポリエチレンを含み、且つ、前記直鎖低密度ポリエチレンは、密度が0.935以上、0.940以下であることを特徴とする。
【0012】
発明者らは、特性の異なるポリエチレンに関して試験を実施し、ポリエチレン関しては、抗張積とキャビテーションエロージョンに対する耐性との間に、相関性があることを見出した。即ち、抗張積が大きければ大きいほどキャビテーションエロージョンが発生しにくいこととなる。従って、ライニング用組成物の抗張積を7500以上とすることで、確実にキャビテーションエロージョンの発生を抑制することが可能となる。
さらに、前記抗張積を有する直鎖低密度ポリエチレンに架橋反応を発生させて分子間を架橋させることで、分子構造に立体網目構造が形成される。その結果、引張強さが向上して抗張積が増大するため、耐摩耗性、及び耐キャビテーションエロージョン性の向上が可能となる。
あるいは、前記抗張積を有する直鎖低密度ポリエチレンの密度が高くなるとポリエチレンの結晶性が向上し、相対的に非昌質部分が減少するため、引張強さが向上し、抗張積向上に繋がる。従って、直鎖低密度ポリエチレンの密度が0.935以上、0.940以下であることで、耐キャビテーションエロージョン性のさらなる向上が可能となる。
【0013】
また、前記抗張積が10000以上であってもよい。
【0014】
このように抗張積の数値を規定することで、より確実にキャビテーションエロージョンの発生を抑制することが可能となる。
【0015】
さらに、前記直鎖低密度ポリエチレンは、メタロセン触媒によって合成されていてもよい。
【0016】
このように直鎖低密度ポリエチレンがメタロセン触媒によって合成されていることで、分子構造が分岐鎖の少ないものとなり、分子量の分布が狭い範囲に収まることとなる。従って、他の触媒を用いて合成されている場合と比較して引張強さや破断時の伸びを向上でき、この結果、引張強さと破断時の伸び量との積である抗張積の数値を増大させ、キャビテーションエロージョンの発生をさらに抑制できる。
【0017】
また、本発明に係るライニング用組成物は、酸化防止機能を有する添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0018】
このような添加剤によって、直鎖低密度ポリエチレンの酸化を防止することが可能となり、耐キャビテーションエロージョン性の向上に加え、耐久性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のライニング用組成物によると、直鎖低密度ポリエチレンを含み、さらに抗張積を規定したことで水分遮断性、化学的安定性を有するとともに、耐キャビテーションエロージョン性を向上することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係るライニング用組成物について説明する。
図1に示すように、ライニング用組成物は、腐食防止を図るために配水管(施工対象物)1の内面全体を覆うように設けられるライニング2に適用されるものである。そして、このライニング用組成物の粉体を用いた粉体成形や、予め筒状に形成したライニング用組成物を挿入することによって、配水管1の内面へのライニング2の施工が行なわれる。なおライニング用組成物は、配水管1のみへの適用には限定されない。
【0026】
そして、ライニング用組成物は、抗張積が7500以上の直鎖低密度ポリエチレンを含んでいる。
【0027】
ここで、直鎖低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと称する。)とは、重合触媒によってエチレンとα−オレフィンとを共重合させた高分子化合物である。また、本実施形態における抗張積とは、50mm/分の引張試験を行うことにより測定した引張強さ[MPa]と破断時の伸び量[%]との積を示す。この抗張積は一般的には、高分子化合物の破断エネルギーの尺度として用いられるものである。
【0028】
さらに、ライニング用組成物は、抗張積が10000以上のLLDPEを含んでいてもよい。
【0029】
また、ライニング用組成物は、抗張積が7500以上のLLDPEを含んでいるとともに、このLLDPEは、重合触媒の一種であるメタロセン触媒を用いて合成されたもの(以下、メタロセンLLDPEと称する。)であってもよい。
【0030】
ここでメタロセン触媒とは、ジルコノセンとメチルアルミノキサンとを組み合わせたものであり、エチレンに対して高い重合活性を示す。即ち、メタロセンLLDPEにおいては分子構造が分岐鎖の少ないものとなり、分子量の分布が狭い範囲に収まることとなる。このため、例えばチーグラー触媒等の他の触媒を用いてLLDPEが合成されている場合と比較して、引張強さや破断時の伸びを向上でき、この結果、上記抗張積が増大したLLDPEを合成することが可能である。
【0031】
本発明で使用されるメタロセンLLDPEはエチレン−α−オレフィン共重合体であり、モノサイト触媒の存在下でエチレンと炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜8のα−オレフィンとを共重合して得られるポリマーを表す。
コモノマーとしての3〜30の炭素原子を有するα−オレフィンの例としてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドコセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−アイコセン〔sic〕、1−ドコセン〔sic〕、1−テトラコセン〔sic〕、1−ヘキサコセン〔sic〕、1−オクタコセン〔sic〕及び1−トリアコンタセンを挙げることができる。これらのα−オレフィンは単独でも良いし、2種類以上を併用しても良い。
市販のものとしては、例えば、「ハーモレックス(登録商標)」(日本ポリエチレン株式会社)、「ユメリット(登録商標)」(宇部丸善ポリエチレン株式会社)、「エボリュー(登録商標)」(株式会社プライムポリマー)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
さらに、ライニング用組成物は、LLDPEに加え、酸化防止機能を有する添加剤を含んでいてもよい。そして、このLLDPEはメタロセンLLDPEであることがより好ましい。
【0033】
ここで酸化防止機能を有する添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、セミヒンダードフェノール系化合物、レスヒンダードフェノール系化合物および一般にHALSと略称されるヒンダードアミン系化合物が挙げられる。また、酸化防止剤の酸化防止機能の向上のため、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が知られている。さらに、フェノール系化合物とリン系化合物の両方の特徴が組み合わさったフェノール系化合物も近年では知られている。ただし、これらに限定されるものではない。これら酸化防止剤は単独でも良いし、2種以上を併用しても良い。そして、酸化防止剤の配合量はLLDPE(又はメタロセンLLDPE)100重量部に対して通常0.005重量部から1.0重量部が好ましい。
【0034】
また、ライニング用組成物は、架橋されたLLDPEを含んでいてもよい。そして、このLLDPEはメタロセンLLDPEであることがより好ましい。
【0035】
ここで架橋とは、分子間を連結して分子構造に立体網目構造が形成させる反応のことであり、例えば架橋剤である有機過酸化物を用いた架橋や、電子線架橋、水架橋等が知られている。
【0036】
架橋剤である有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド(DCP)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(DBP)、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキシン−3(25YB)、ジ−t−アミルパーオキサイド(DAM)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、架橋剤の配合量はLLDPE(又はメタロセンLLDPE)100重量部に対して通常0.5重量部から10重量部が好ましい。これは、0.5重量部未満では架橋度が小さすぎて効果が発現しにくく、10重量部を超えると架橋度が大きくなり過ぎて、伸縮性が低下し、ライニング2が脆くなってしまうおそれがあるためである。
【0037】
なお、ライニング2の施工に際しては、ライニング組成物の粉体を用いた粉体成形法を用いてライニング層を形成した後に、架橋反応を促進させるよう、重合禁止剤を添加して誘導期間を設定してもよい。そしてこのような重合禁止剤としては、フェノール系化合物又は多環芳香族構造を有する化合物であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。フェノール系化合物としては、例えば、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、4−tert−ブチルカテコール、4−メトキシフェノール等が挙げられる。また、多環芳香族構造を有する化合物としては、例えば、4−メトキシ−1−ナフトール、「キノパワー(登録商標)LSN、及びATR」(川崎化成工業株式会社)等が挙げられる。そして、上記誘導期間としては、ライニング組成物の粉体が熱溶融しライニング層がほぼ平滑になるまでの時間を設定することが好ましい
【0038】
電子線架橋は、母材となる配水管1の内面に、粉体成形法を用いてライニング層を形成した後に、電子線を照射して架橋させる手法である。
【0039】
水架橋は、LLDPEに有機シラン化合物を混合し、又は、LLDPEを有機シラン化合物で編成したものを用いてライニング層を形成した後に、触媒の存在下で水又は水蒸気を浸透させて架橋させる手法である。
【0040】
本実施形態のライニング組成物によると、後述する実施例によって、抗張積とキャビテーションエロージョンに対する耐性との間に高い相関性があることが見出された。これは即ち、抗張積が大きければ大きいほどキャビテーションエロージョンが発生しにくいことを示している。
【0041】
従って、ライニング用組成物が、抗張積が7500以上となるLLDPEを含むものとしたことで、水分遮断性及び化学的安定性を有するとともに、確実にキャビテーションエロージョンの発生を抑制することが可能となる。
【0042】
また、ライニング用組成物が、抗張積を10000以上としたLLDPEを含むことで、キャビテーションエロージョンの発生をさらに抑制することができる。
【0043】
そして、ライニング用組成物が、メタロセンLLDPEを含むことで、抗張積の数値を増大することが可能となり、キャビテーションエロージョンの発生の抑制効果をさらに向上することができる。
【0044】
また、ライニング用組成物が、LLDPEに加え、酸化防止機能を有する添加剤を含むことで、LLDPEの酸化防止を図ることができ、耐キャビテーションエロージョン性の向上に加え、耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0045】
さらに、ライニング用組成物が、LLDPEが架橋されているものを含んでいることで、耐キャビテーションエロージョン性の向上に加え、耐摩耗性の向上が可能となる。
【実施例】
【0046】
ここで、複数の異なる材料よりなる試験片の抗張積及びキャビテーションエロージョン特性の試験、測定を行い、抗張積とキャビテーションエロージョン特性との間の相関性について検証を行なった。
【0047】
(試験1)
引張試験を行い、各々の試験片の引張強さ[MPa]と、破断時の伸び[%]とを測定し、これらの積である抗張積を算出した。
【0048】
試験に用いた試験片については、表1に示すように、
参考例1
、実施例1から実施例3、及び比較例1から比較例3を試験片1から試験片7として準備した。試験片1から試験片6については、各々の粉体材料を165℃の温度で圧縮成形して厚さ2mmのシートとし、これらのシートからJIS K 7113に従って作成した2号試験片となっている。また、試験片2及び試験片3についてはシート成形後に
架橋の為に200℃で1時間保持したものとなっており、さらに試験片7は、厚さ2mmの加硫したクロロプレンゴムシートからJIS K6251に従って作成した3号試験片となっている。
【表1】
【0049】
また試験においては、JISの規定に従って試験片1から6については引張速度を50[mm/分]とし、また試験片7については引張速度を500[mm/分]とした。
【0050】
(試験2)
次に、キャビテーションエロージョン試験を行なって壊食深さ[mm]を測定し、これをキャビテーションエロージョン特性の指標とした。なお、壊食深さをキャビテーション暴露時間(例えば24時間)で割ることで、単位時間当たりの壊食深さである壊食速度をキャビテーションエロージョン特性の指標としてもよい。
【0051】
試験に用いた試験片については、表1に示すように、試験片1から6については各々の粉体材料を165℃の温度で圧縮成形して厚さ5mmのシートとし、このシートから直径12mmの円盤状の部材を切り出したものとなっている。ここで、試験片2及び3についてはシート成形後に200℃で1時間保持したものとっており、さらに試験片7は、厚さ5mmの加硫したクロロプレンゴムシートから直径12mmの円盤状の部材を切り出したものとなっている。
【0052】
また試験は、ASTM G134−95の規定に従って、キャビテーション数は0.025、流速は150[m/秒]として、各々の試験片を金属治具に熱融着させて行なった。
【0053】
(結果)
上記引張試験及びキャビテーションエロージョン試験によって得られた各試験片の抗張積と壊食深さをプロットして
図2のグラフを作成した。
図2に示すように、抗張積が大きければ大きいほど壊食深さが小さくなって、キャビテーションエロージョンが生じにくいことが確認でき、抗張積とキャビテーションエロージョンに対する耐性との間に相関性があることが見出された。そして、各プロットの近似曲線Aを確認すると、抗張積が10000を超える辺りから急激に壊食深さが小さくなり、20000を超えるとほぼ0に近い値となっている。なお、非特許文献2ではキャビテーションエロージョン特性は、σ
B2/(2E)に相関性が高い(相関係数0.701)とされていたが、
図2の相関係数は0.942となり、ポリエチレンのキャビテーションエロージョン特性は抗張積への相関性がより高いことがわかった。
【0054】
ここで、試験片1と試験片5とを比較した場合には、試験片5の方がメタロセン触媒を用いた直鎖低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)は、チーグラー触媒を用いた直鎖低密度ポリエチレン(チーグラーLLDPE)と比較して、耐キャビテーションエロージョン性が高く、メタロセンLLDPEの方がライニング用組成物としてより好ましいことがわかる。
【0055】
さらに、試験片2及び試験片4の結果から、これらは抗張積が20000程度となり、耐キャビテーションエロージョン性に優れている。即ち、ポリエチレンを架橋させることや、高密度とすることによって耐キャビテーションエロージョン性の向上が可能となることが確認できた。
【0056】
また、いずれもメタロセンLLDPEである試験片2と試験片3とを比較した場合には、ゲル分率75%の試験片2では抗張積が20000程度となり、耐キャビテーションエロージョン性に優れていることがわかった。一方で、ゲル分率30%の試験片3では、試験片2と比較して抗張積が小さくなっており、架橋による耐キャビテーションエロージョン性向上を十分に得ることができていない。即ち、LLDPE(又はメタロセンLLDPE)を架橋する場合には、ゲル分率を30%以上とし、好ましくは70%以上とすることで、架橋による耐キャビテーションエロージョン性向上の効果を十分に得ることが可能となる。
【0057】
そして、試験片6及び試験片7においては抗張積が10000に満たず、試験片1から試験片5と、試験片6及び試験片7とを比較すると、試験片6及び試験片7の耐キャビテーションエロージョン性は極端に低いことがわかる。即ち、LLDPEは、低密度ポリエチレン(LDPE)やクロロプレンゴムと比べて、耐キャビテーションエロージョン性に優れていることが確認できた。
【0058】
なお、LLDPE(又はメタロセンLLDPE)の分子量を大きくすることや、密度を大きくすることで、抗張積25000以上のライニング用組成物を作成することができ、これによって耐キャビテーションエロージョン性のさらなる向上が可能であると考える。しかし、抗張積が大きすぎると環境応力割れ等が発生し易くなり、ライニング2の施工も難しくなることも想定されるため、抗張積の上限値の目安は30000、好ましくは25000程度と考えられる。