【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、毛髪類の除去装置をヒートポンプの前処理として設置しても、除去装置において、分離した毛髪類を除去するための定期的なメンテナンスが必要となる。
例えば、ヘアキャッチャーを備える除去装置は、円筒型で側部と底部が金網またはパンチングプレート(多孔板)からなるバスケットを用い、その微小穴で排水をろ過するもので、上部が開放され、排水はその開放された上部から流入し、バスケットの内部から外部に向けてろ過する構造が一般的である。バスケットは一回り大きな容器に収納され、ろ液は当該収納容器の側面に取りつけられた配管から排出される。捕捉された毛髪類はバスケット内に貯まり、やがてろ過面が毛髪類で閉塞するため、収納容器からバスケットを取り出しバスケットを清掃する必要がある。清掃頻度はバスケットの形状やバスケットに流入する排水量、また毛髪類の混入比率等で相違するが、本発明者らが行った浴場排水の現場評価試験では、排水量最大毎時10m
3、バスケットの穴径φ1.5mm、穴ピッチ3mm、同外形が直径φ170mm、高さ175mmHで、1日に 2、3回のバスケット清掃が必要で、メンテナンスの手間が掛かり過ぎると判断された。
【0005】
又、ディスクフィルターを備える除去装置は、ドーナツ状で薄い肉厚のディスクを幾層にも重ね、そのディスク間の距離を任意に保持し、ろ過を積層ディスクの外側から内側に向けて行うものである。そして、外側のろ過面に毛髪類が貯まり、ろ過圧が高くなると内側から外側に向けてエアによる逆洗や水による逆洗を自動的に行うタイプのディスクフィルターがある。そのようなタイプのディスクフィルターを使用したが、毛髪類を多く含む浴場排水の場合には、逆洗で除去されない毛髪類がろ過面で成長し、結局ディスクフィルターを適宜分解し清掃する頻度が月に数回程度必要になり、かつ逆洗頻度が高く逆洗水量過多の弊害もあった。本発明者らが行った上述の浴場排水の現場評価試験では、ディスクフィルターの外形が直径φ150mm、高さ600mmHでディスク間距離が20μmと同100μm の2種類を使用したが、長期間の連続運転に耐えるものではなかった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱排水に含まれる毛髪類を確実に除去し、なおかつ、メンテナンスが不要ないしは長期間にわたり不要な、ヒートポンプへの熱排水の供給方法及び供給装置を提供することにある。
【0007】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0008】
(1)浴場等から排出された熱排水をヒートポンプに対して供給する方法であって、
前記ヒートポンプへの供給系配管に前処理槽を設置し、該前処理槽に、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡りばっ気式水中スクリーンを配置して、前記浴場等から排出された熱排水を流入させ、前記ばっ気式水中スクリーン下方から、前記ばっ気式水中スクリーンの全幅に渡りエアを吐出して幅方向の全体に渡り気泡を供給し、前記処理槽の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の均一な旋回流を発生させることにより、前記熱排水に含まれる毛髪類が、前記前処理槽内の熱排水に散在する状態を維持しながら、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出し、残余の熱排水を前記ばっ気式水中スクリーンにてろ過し、前記ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるヒートポンプへの熱排水の
供給方法。
【0009】
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、ヒートポンプへの供給系配管に設置した前処理槽に、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡り設置するばっ気式水中スクリーンにより、熱配水を濾過することで、浴場等から排出された熱排水に含まれる毛髪類が、ヒートポンプの供給系配管へと流入することを阻止するものである。又、ばっ気式水中スクリーン下方から、前記ばっ気式水中スクリーンの全幅に渡りエアを吐出して幅方向の全体に渡り気泡を供給し、前処理槽の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の均一な旋回流を発生させることにより、熱排水に含まれる毛髪類が、前処理槽内の熱排水に散在する状態を維持しながら、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0010】
(2)上記(1)項において、前記前処理槽に対する熱排水の流入量に対する吐出量が所定の割合を有する液体ポンプにより、単位時間当たり所定の割合の時間にだけ、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するヒートポンプへの熱排水の
供給方法。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、前処理槽に対する熱排水の流入量に対する吐出量が所定の割合を有する液体ポンプにより、単位時間当たり所定の割合の時間にだけ、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0011】
(
3)上記
(2)項において、前記前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、1/2〜1/20の割合の、前記前処理槽内の熱排水を排出するヒートポンプへの熱排水の供給方法(請求項
1)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、1/2〜1/20の割合の、前処理槽内の熱排水を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0012】
(
4)上記(
3)項において、1時間につき15分の割合で、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するヒートポンプへの熱排水の供給方法(請求項
2)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、1時間につき15分の割合で、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0013】
(5)上記(
3)
又は(4)項において、前記前処理槽に対する熱排水の流入量の半分ないし略半分の吐出量の液体ポンプにより、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するヒートポンプへの熱排水の供給方法(請求項
3)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、前処理槽に対する熱排水の流入量の半分ないし略半分の吐出量の液体ポンプにより、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。なお、本説明において、「半分ないし略半分」の語は、厳密に半分である必要はなく、諸条件を勘案して半分に近い値も含まれる意である。
【0014】
(6)上記(
3)から(
5)項において、前記前処理槽の前記ばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部から、前記液体ホンプにより、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するヒートポンプへの熱排水の供給方法(請求項
4)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、前処理槽内の熱排水に散在する状態を維持する毛髪類が比較的少ない、前処理槽のばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部から、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、液体ホンプに毛髪類が絡みつくことを可能な限り回避するものである。
【0015】
(7)浴場等から排出された熱排水をヒートポンプに対して供給する装置であって、前記ヒートポンプへの供給系配管に設置され、前記浴場等から排出された熱排水を流入させる前処理槽を有し、該前処理槽に、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡り配置されるばっ気式水中スクリーンと、前記ばっ気式水中スクリーン下方から、前記ばっ気式水中スクリーンの全幅に渡りエアを吐出して幅方向の全体に渡り気泡を供給し、前記処理槽の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の均一な旋回流を発生させる散気管と、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出する直排水配管とを含むヒートポンプへの熱排水の
供給装置。
【0016】
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、ヒートポンプへの供給系配管に設置した前処理槽に、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡り設置するばっ気式水中スクリーンにより、熱配水を濾過することで、浴場等から排出された熱排水に含まれる毛髪類が、ヒートポンプの供給系配管へと流入することを阻止するものである。又、散気管により、ばっ気式水中スクリーン下方から、ばっ気式水中スクリーンの全幅に渡りエアを吐出して幅方向の全体に渡り気泡を供給し、処理槽の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の均一な旋回流を発生させる。この旋回流により、熱排水に含まれる毛髪類が、前処理槽内の熱排水に散在する状態を維持しながら、前処理槽内の熱排水の一部を排出する直排水配管により、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0017】
(8)上記(7)項において、前記直排水配管に設置され、前記前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、所定の割合の吐出量を有する液体ポンプと、該液体ポンプを、単位時間当たり所定の割合の時間にだけ、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するよう運転制御する制御手段とを含むヒートポンプへの熱排水の
供給装置。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、直排水配管に設置され、前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、所定の割合の吐出量を有する液体ポンプを、制御手段により運転制御するものである。この際、制御手段は、液体ポンプを、単位時間当たり所定の割合の時間にだけ、前処理槽内の熱排水の一部を排出するよう運転制御することで、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0018】
(
9)上記(
8)項において、前記制御手段は、前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、1/2〜1/20の割合の、前記前処理槽内の熱排水を排出するよう、前記液体ポンプを運転制御するヒートポンプへの熱排水の供給装置(請求項
5)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、制御手段により、前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、1/2〜1/20の割合の、前処理槽内の熱排水を排出するよう、液体ポンプを運転制御することで、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0019】
(
10)上記(
9)項において、前記制御手段は、1時間につき15分の割合で、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するよう、前記液体ポンプを運転制御するヒートポンプへの熱排水の供給装置(請求項
6)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、制御手段により、1時間につき15分の割合で、前処理槽内の熱排水の一部を排出するよう、液体ポンプを運転制御することで、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0020】
(11)上記
(9)(10)項において、前記液体ポンプは、前記前処理槽に対する熱排水の流入量の半分ないし略半分の吐出量を有するヒートポンプへの熱排水の供給装置(請求項
7)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、前処理槽に対する熱排水の流入量の半分ないし略半分の吐出量を有する液体ポンプを用いることで、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0021】
(12)上記(
9)から(11)項において、前記直排水配管が、前記前処理槽の前記ばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部に設置されているヒートポンプへの熱排水の供給装置(請求項
8)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、直排水配管が、前処理槽のばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部に設置されていることで、前処理槽内の熱排水に散在する状態を維持する毛髪類が比較的少ない、前処理槽のばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部から、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。そして、液体ホンプに毛髪類が絡みつくことを可能な限り回避するものである。