特許第5773965号(P5773965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5773965ヒートポンプへの熱排水の供給方法及び供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5773965
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】ヒートポンプへの熱排水の供給方法及び供給装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 27/02 20060101AFI20150813BHJP
   B01D 35/027 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   F25B27/02 Q
   B01D35/02 J
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-227058(P2012-227058)
(22)【出願日】2012年10月12日
(65)【公開番号】特開2014-81085(P2014-81085A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2012年10月12日
【審判番号】不服2014-4801(P2014-4801/J1)
【審判請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】596136316
【氏名又は名称】株式会社ウェルシィ
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 達郎
(72)【発明者】
【氏名】駒形 淳
(72)【発明者】
【氏名】蛯名 教介
【合議体】
【審判長】 千壽 哲郎
【審判官】 小野 孝朗
【審判官】 紀本 孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−29870(JP,A)
【文献】 実開昭58−10805(JP,U)
【文献】 国際公開第2002/060554(WO,A1)
【文献】 特開昭62−110717(JP,A)
【文献】 特開平6−319918(JP,A)
【文献】 特開2010−125364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D35/02
F25B27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴場等から排出された熱排水をヒートポンプに対して供給する方法であって、
前記ヒートポンプへの供給系配管に前処理槽を設置し、該前処理槽に、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡りばっ気式水中スクリーンを配置して、前記浴場等から排出された熱排水を流入させ、
前記ばっ気式水中スクリーン下方から、前記ばっ気式水中スクリーンの全幅に渡りエアを吐出して幅方向の全体に渡り気泡を供給し、前記処理槽の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の均一な旋回流を発生させることにより、前記熱排水に含まれる毛髪類が、前記前処理槽内の熱排水に散在する状態を維持しながら、
前記前処理槽に対する熱排水の流入量に対する吐出量が所定の割合を有する液体ポンプにより、単位時間当たり所定の割合の時間にだけ、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出することにより、前記前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、1/2〜1/20の割合で、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出し、
残余の熱排水を前記ばっ気式水中スクリーンにてろ過し、前記ヒートポンプへの供給系配管へと流出させることを特徴とするヒートポンプへの熱排水の供給方法。
【請求項2】
1時間につき15分の割合で、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出することを特徴とする請求項記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法。
トポンプへの熱排水の供給方法。
【請求項3】
前記前処理槽に対する熱排水の流入量の半分ないし略半分の吐出量の液体ポンプにより、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出することを特徴とする請求項1又は2記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法。
【請求項4】
前記前処理槽の前記ばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部から、前記液体ホンプにより、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出することを特徴とする請求項からのいずれか1項記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法。
【請求項5】
浴場等から排出された熱排水をヒートポンプに対して供給する装置であって、
前記ヒートポンプへの供給系配管に設置され、前記浴場等から排出された熱排水を流入させる前処理槽を有し、
該前処理槽に、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡り配置されるばっ気式水中スクリーンと、前記ばっ気式水中スクリーン下方から、前記ばっ気式水中スクリーンの全幅に渡りエアを吐出して幅方向の全体に渡り気泡を供給し、前記処理槽の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の均一な旋回流を発生させる散気管と、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出する直排水配管と、
前記直排水配管に設置され、前記前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、所定の割合の吐出量を有する液体ポンプと、該液体ポンプを、単位時間当たり所定の割合の時間にだけ、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するよう運転制御し、前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、1/2〜1/20の割合の、前記前処理槽内の熱排水を排出する制御手段とを含むことを特徴とするヒートポンプへの熱排水の供給装置。
【請求項6】
前記制御手段は、1時間につき15分の割合で、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するよう、前記液体ポンプを運転制御することを特徴とする請求項記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置。
【請求項7】
前記液体ポンプは、前記前処理槽に対する熱排水の流入量の半分ないし略半分の吐出量を有することを特徴とする請求項5又は6項記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置。
【請求項8】
前記直排水配管が、前記前処理槽の前記ばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部に設置されていることを特徴とする請求項からのいずれか1項記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプへの熱排水の供給方法及び供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の省エネルギー化の要請から、ヒートポンプの熱源として、外気温度よりも高温の排水(以下、本説明では「熱排水」という。)を、下水道に排出する前にそれらの排熱を利用する、熱回収システムが普及している。又、この熱排水には、例えば、浴場、温水プール循環水、理髪店排水、美容院排水、健康・エステ店排水、病院・動物病院排水、クリーニング排水等の使用が可能である。しかしながら、これらの熱排水には、毛髪や糸くず(以下、「毛髪類」という。)が混入している。従って、熱排水をヒートポンプに供給する前に毛髪類を除去しないと、ヒートポンプの熱交換器や配管に毛髪類が絡みついて流路を閉塞し、絡みついた毛髪類を除去する清掃作業が必要不可欠となる。そこで、毛髪類の除去装置をヒートポンプの前処理として設置する手法が検討されており、例えば、ヘアキャッチャー(例えば、特許文献1)、ディスクフィルター(例えば、特許文献2)等を用いる除去装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−319918号公報
【特許文献2】特開2010−125364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、毛髪類の除去装置をヒートポンプの前処理として設置しても、除去装置において、分離した毛髪類を除去するための定期的なメンテナンスが必要となる。
例えば、ヘアキャッチャーを備える除去装置は、円筒型で側部と底部が金網またはパンチングプレート(多孔板)からなるバスケットを用い、その微小穴で排水をろ過するもので、上部が開放され、排水はその開放された上部から流入し、バスケットの内部から外部に向けてろ過する構造が一般的である。バスケットは一回り大きな容器に収納され、ろ液は当該収納容器の側面に取りつけられた配管から排出される。捕捉された毛髪類はバスケット内に貯まり、やがてろ過面が毛髪類で閉塞するため、収納容器からバスケットを取り出しバスケットを清掃する必要がある。清掃頻度はバスケットの形状やバスケットに流入する排水量、また毛髪類の混入比率等で相違するが、本発明者らが行った浴場排水の現場評価試験では、排水量最大毎時10m、バスケットの穴径φ1.5mm、穴ピッチ3mm、同外形が直径φ170mm、高さ175mmHで、1日に 2、3回のバスケット清掃が必要で、メンテナンスの手間が掛かり過ぎると判断された。
【0005】
又、ディスクフィルターを備える除去装置は、ドーナツ状で薄い肉厚のディスクを幾層にも重ね、そのディスク間の距離を任意に保持し、ろ過を積層ディスクの外側から内側に向けて行うものである。そして、外側のろ過面に毛髪類が貯まり、ろ過圧が高くなると内側から外側に向けてエアによる逆洗や水による逆洗を自動的に行うタイプのディスクフィルターがある。そのようなタイプのディスクフィルターを使用したが、毛髪類を多く含む浴場排水の場合には、逆洗で除去されない毛髪類がろ過面で成長し、結局ディスクフィルターを適宜分解し清掃する頻度が月に数回程度必要になり、かつ逆洗頻度が高く逆洗水量過多の弊害もあった。本発明者らが行った上述の浴場排水の現場評価試験では、ディスクフィルターの外形が直径φ150mm、高さ600mmHでディスク間距離が20μmと同100μm の2種類を使用したが、長期間の連続運転に耐えるものではなかった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱排水に含まれる毛髪類を確実に除去し、なおかつ、メンテナンスが不要ないしは長期間にわたり不要な、ヒートポンプへの熱排水の供給方法及び供給装置を提供することにある。
【0007】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0008】
(1)浴場等から排出された熱排水をヒートポンプに対して供給する方法であって、
前記ヒートポンプへの供給系配管に前処理槽を設置し、該前処理槽に、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡りばっ気式水中スクリーンを配置して、前記浴場等から排出された熱排水を流入させ、前記ばっ気式水中スクリーン下方から、前記ばっ気式水中スクリーンの全幅に渡りエアを吐出して幅方向の全体に渡り気泡を供給し、前記処理槽の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の均一な旋回流を発生させることにより、前記熱排水に含まれる毛髪類が、前記前処理槽内の熱排水に散在する状態を維持しながら、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出し、残余の熱排水を前記ばっ気式水中スクリーンにてろ過し、前記ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるヒートポンプへの熱排水の供給方法。
【0009】
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、ヒートポンプへの供給系配管に設置した前処理槽に、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡り設置するばっ気式水中スクリーンにより、熱配水を濾過することで、浴場等から排出された熱排水に含まれる毛髪類が、ヒートポンプの供給系配管へと流入することを阻止するものである。又、ばっ気式水中スクリーン下方から、前記ばっ気式水中スクリーンの全幅に渡りエアを吐出して幅方向の全体に渡り気泡を供給し、前処理槽の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の均一な旋回流を発生させることにより、熱排水に含まれる毛髪類が、前処理槽内の熱排水に散在する状態を維持しながら、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0010】
(2)上記(1)項において、前記前処理槽に対する熱排水の流入量に対する吐出量が所定の割合を有する液体ポンプにより、単位時間当たり所定の割合の時間にだけ、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するヒートポンプへの熱排水の供給方法。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、前処理槽に対する熱排水の流入量に対する吐出量が所定の割合を有する液体ポンプにより、単位時間当たり所定の割合の時間にだけ、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0011】
)上記(2)項において、前記前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、1/2〜1/20の割合の、前記前処理槽内の熱排水を排出するヒートポンプへの熱排水の供給方法(請求項)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、1/2〜1/20の割合の、前処理槽内の熱排水を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0012】
)上記()項において、1時間につき15分の割合で、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するヒートポンプへの熱排水の供給方法(請求項)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、1時間につき15分の割合で、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0013】
(5)上記(又は(4)項において、前記前処理槽に対する熱排水の流入量の半分ないし略半分の吐出量の液体ポンプにより、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するヒートポンプへの熱排水の供給方法(請求項)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、前処理槽に対する熱排水の流入量の半分ないし略半分の吐出量の液体ポンプにより、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。なお、本説明において、「半分ないし略半分」の語は、厳密に半分である必要はなく、諸条件を勘案して半分に近い値も含まれる意である。
【0014】
(6)上記()から()項において、前記前処理槽の前記ばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部から、前記液体ホンプにより、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するヒートポンプへの熱排水の供給方法(請求項)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給方法は、前処理槽内の熱排水に散在する状態を維持する毛髪類が比較的少ない、前処理槽のばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部から、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、液体ホンプに毛髪類が絡みつくことを可能な限り回避するものである。
【0015】
(7)浴場等から排出された熱排水をヒートポンプに対して供給する装置であって、前記ヒートポンプへの供給系配管に設置され、前記浴場等から排出された熱排水を流入させる前処理槽を有し、該前処理槽に、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡り配置されるばっ気式水中スクリーンと、前記ばっ気式水中スクリーン下方から、前記ばっ気式水中スクリーンの全幅に渡りエアを吐出して幅方向の全体に渡り気泡を供給し、前記処理槽の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の均一な旋回流を発生させる散気管と、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出する直排水配管とを含むヒートポンプへの熱排水の供給装置。
【0016】
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、ヒートポンプへの供給系配管に設置した前処理槽に、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡り設置するばっ気式水中スクリーンにより、熱配水を濾過することで、浴場等から排出された熱排水に含まれる毛髪類が、ヒートポンプの供給系配管へと流入することを阻止するものである。又、散気管により、ばっ気式水中スクリーン下方から、ばっ気式水中スクリーンの全幅に渡りエアを吐出して幅方向の全体に渡り気泡を供給し、処理槽の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の均一な旋回流を発生させる。この旋回流により、熱排水に含まれる毛髪類が、前処理槽内の熱排水に散在する状態を維持しながら、前処理槽内の熱排水の一部を排出する直排水配管により、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。これにより、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0017】
(8)上記(7)項において、前記直排水配管に設置され、前記前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、所定の割合の吐出量を有する液体ポンプと、該液体ポンプを、単位時間当たり所定の割合の時間にだけ、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するよう運転制御する制御手段とを含むヒートポンプへの熱排水の供給装置。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、直排水配管に設置され、前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、所定の割合の吐出量を有する液体ポンプを、制御手段により運転制御するものである。この際、制御手段は、液体ポンプを、単位時間当たり所定の割合の時間にだけ、前処理槽内の熱排水の一部を排出するよう運転制御することで、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0018】
)上記()項において、前記制御手段は、前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、1/2〜1/20の割合の、前記前処理槽内の熱排水を排出するよう、前記液体ポンプを運転制御するヒートポンプへの熱排水の供給装置(請求項)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、制御手段により、前処理槽に対する熱排水の流入量に対し、1/2〜1/20の割合の、前処理槽内の熱排水を排出するよう、液体ポンプを運転制御することで、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0019】
10)上記()項において、前記制御手段は、1時間につき15分の割合で、前記前処理槽内の熱排水の一部を排出するよう、前記液体ポンプを運転制御するヒートポンプへの熱排水の供給装置(請求項)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、制御手段により、1時間につき15分の割合で、前処理槽内の熱排水の一部を排出するよう、液体ポンプを運転制御することで、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0020】
(11)上記(9)(10)項において、前記液体ポンプは、前記前処理槽に対する熱排水の流入量の半分ないし略半分の吐出量を有するヒートポンプへの熱排水の供給装置(請求項)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、前処理槽に対する熱排水の流入量の半分ないし略半分の吐出量を有する液体ポンプを用いることで、前処理槽内の熱排水と、前処理槽に新たに流入する熱排水とが混合されながら、熱排水に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽内を回流する。そして、残余の熱排水をばっ気式水中スクリーンにてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーンの表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管へと流出させるものである。
【0021】
(12)上記()から(11)項において、前記直排水配管が、前記前処理槽の前記ばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部に設置されているヒートポンプへの熱排水の供給装置(請求項)。
本項に記載のヒートポンプへの熱排水の供給装置は、直排水配管が、前処理槽のばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部に設置されていることで、前処理槽内の熱排水に散在する状態を維持する毛髪類が比較的少ない、前処理槽のばっ気式水中スクリーンから離間したコーナ部から、前処理槽内の熱排水の一部を排出する。そして、液体ホンプに毛髪類が絡みつくことを可能な限り回避するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明はこのように構成したので、熱排水に含まれる毛髪類を確実に除去し、なおかつ、メンテナンスが不要ないしは長期間にわたり不要な、ヒートポンプへの熱排水の供給方法及び供給装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係るヒートポンプへの熱排水の供給装置の構成を示す模式図であり、(a)は流れ方向の断面図、(b)は流れ方向と直交する方向の断面図である。
図2】(a)は、図1に示される前処理槽に設置されたばっ気式水中スクリーン及び散気装置を示す側面図、(b)は、ばっ気式水中スクリーン単体を、側面及び正面から示した図である。
図3】本発明の実施の形態に係るヒートポンプへの熱排水の供給装置の、応用例の構成を示す模式図あり、(a)は流れ方向の断面図、(b)は流れ方向と直交する方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、従来技術と同一部分若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
本発明の実施の形態に係るヒートポンプへの熱排水の供給装置1は、浴場等から排出された熱排水をヒートポンプ2に対して供給する装置であり、ヒートポンプ2への供給系配管12〜14に設置され、浴場等から排出された熱排水11を、排水流入管13から流入させる前処理槽8を有している。この前処理槽8には、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡り配置される、ばっ気式水中スクリーン5と、ばっ気式水中スクリーン5の下方から、その幅方向の全体に渡り気泡Aを供給する散気管4と、前処理槽8内の熱排水の一部を排出する直排水配管10とを含んでいる。この直排水配管10は、前処理槽8のばっ気式水中スクリーン5から離間したコーナ部に設置されている。前処理槽8の寸法は、例えば、長さ1,000mm、高さ1,300mm、幅1,000mmを有している。
【0025】
ばっ気式水中スクリーン5は、例えば、図2に示されるように、パンチングプレート501と、パンチングプレート501を支持するフレーム502とで構成されている。パンチングプレート501は、例えば、穴径φ2mmの穴が、穴ピッチ3mmで複数開口したものである。そして、ばっ気式水中スクリーン5は、図1(b)に示されるように、前処理槽8に対して、断面コ字状で幅が約50mmのガイドレール7a、7bによって、幅方向の両側が保持され、上部を排水流入方向に向け鉛直角度5°に傾けて設置されている。又、ばっ気式水中スクリーン5は、ガイドレール7a、7bの上方から、上下方向に着脱自在となっている。
【0026】
ばっ気式水中スクリーン5の最下部に設けられた散気管4には、ばっ気式水中スクリーン5の全幅に渡り、エアを吐出するための穴4aが等間隔に配されている。そして、例えば、散気管4の直径は20mm、穴4aの穴径は排水流量が毎時10mの条件で 直径φ2mm、穴ピッチは20mm、パンチングプレート501の有効面積は1m、散気管4からの送気量、すなわち散気管4にエアを供給するブロワ3の空気吐出量は6m/時の条件で、気泡Aが供給される。そして、散気管4から気泡Aを吐出し、気泡Aを利用し毛髪類に浮力を作用させることで、毛髪類がパンチングプレート501を通過しないように構成されたものである。又、前処理槽8の幅方向の全体に渡る、深槽及び水面間の旋回流6を発生させることが可能である。
前処理槽8の下流には、前処理槽8に隣接して処理水槽12が配置されている。処理水槽12の寸法は、例えば、長さ500mm、高さ1,300mm、幅1,000mmを有している。そして、ばっ気式水中スクリーン5によって毛髪類が取り除かれた熱排水が、前処理槽8とろ過水槽12との間の隔壁を越流して処理水槽12に流れ込み、処理水槽12から、ヒートポンプ2の供給系配管19に設けられた液体ポンプ16 によりヒートポンプ2へと供給される。そして、ヒートポンプ2で排熱回収された排水は、ヒートポンプ2の排出系配管17を介して、排水流出管14へと放流される。
【0027】
又、本発明の実施の形態では、直排水配管10に設置され、前処理槽8に対する熱排水11の流入量に対し、所定の割合の吐出量を有する液体ポンプ9を備えている。ここで、水中ポンプを使用すると、ポンプの吊り上げ、吊り下のためのロープまたはチェーン等に毛髪類が多量に絡みつくことが懸念されるため、液体ポンプ9には、容積型の陸上ポンプが用いられる。又、液体ポンプ9の吐出量は、例えば、前処理槽8に対する熱排水11の流入量の半分ないし略半分の吐出量を有するものが用いられる。
又、本発明の実施の形態に係るヒートポンプへの熱排水の供給装置1は、液体ポンプ9を、単位時間当たり所定の割合の時間にだけ、前処理槽8内の熱排水の一部を排出するよう運転制御する制御手段18を含むものである。制御手段18は、適宜、パーソナルコンピュータのような汎用の演算器や、専用の制御盤等が用いられる。
【0028】
そして、制御手段18は、1時間につき15分の割合で、前処理槽8内の熱排水11の一部を排出するよう、液体ポンプ9を運転制御するものである。ここで、液体ポンプ9の運転パターンは、本装置の運転環境等を考慮して、適宜決定されるものであり、たとえば、1時間につき15分の連続運転と45分の連続休止期間とを繰り返すパターンや、5分の連続運転と15分の連続休止期間とを繰り返すパターン等、様々に選択されるものである。
更に、制御手段18は、前処理槽8に対する熱排水11の流入量に対し、1/2〜1/20の割合の、前処理槽8内の熱排水を排出するように、液体ポンプ9を運転制御するものである。
【0029】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
すなわち、本発明の実施の形態に係る、熱排水の供給装置1にて実行される、ヒートポンプ2への熱排水11の供給方法は、ヒートポンプ2への供給系配管12〜14に設置した前処理槽8に、上流側から下流側へ向かう方向と直交する方向に、かつ、幅方向の全体に渡り設置するばっ気式水中スクリーン5により、熱配水11を濾過する。従って、浴場等から排出された熱排水11に含まれる毛髪類が、ヒートポンプ2の供給系配管19へと流入することを阻止することが可能である。
【0030】
又、ばっ気式水中スクリーン5の下方から、ばっ気式水中スクリーン5の全幅に渡りエアを吐出して幅方向の全体に渡り気泡Aを供給し、前処理槽8の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の均一な旋回流6を発生させる。これにより、熱排水11に含まれる毛髪類が、前処理槽8内の熱排水11に散在する状態を維持しながら、前処理槽8内の熱排水11の一部を(直排水配管10により)排出する。これにより、前処理槽8内の熱排水11と、前処理槽8に新たに流入する熱排水11とが混合されながら、熱排水11に含まれる毛髪類は塊状に成長することなく、前処理槽8内を回流する。そして、残余の熱排水11をばっ気式水中スクリーン5にてろ過する際に、ばっ気式水中スクリーン5の表面においても、毛髪類が塊状に成長することなく、熱排水11から毛髪類を除去して、ヒートポンプへの供給系配管16へと流出させることが可能となる。
【0031】
又、1時間につき15分の割合で、前処理槽8内の熱排水11の一部を排出するよう、液体ポンプ9を運転制御するものである。この際、制御手段18は、前処理槽8に対する熱排水11の流入量に対し、1/2〜1/20の割合の、前処理槽内8の熱排水を排出するように、液体ポンプ9を運転制御する。
しかも前処理槽8内の熱排水11に散在する状態を維持する毛髪類が比較的少ない、前処理槽8の、ばっ気式水中スクリーン5から離間したコーナ部から、前処理槽8内の熱排水11の一部を、直排水配管10により排出することで、液体ホンプ9に毛髪類が絡みつくことを可能な限り回避することが可能である。
【0032】
一方、上述の構成を有する本発明の実施の形態と異なり、ばっ気式水中スクリーン5の下方から幅方向の全体に渡り気泡Aを供給せず、前処理槽8の幅方向の全体に渡る、深層及び水面間の不均一な旋回流6を発生させると、このとき、パンチングプレート5の排水流入側に貯まる毛髪類が絡み合い、球状またはだ円状の塊りに成長し、月に2〜3 回、或いはそれ以上の頻度で、直径150mm〜300mm程度の大きな塊り状の毛髪類を大型のフォーク等で排除する必要がある。その防止策として前処理槽8の横から少量ずつ毛髪類をオーバーフロー配管(図示なし)で排出しても、数時間で直径50mm〜70mm程度の毛髪類の大きな塊りを生じ、排出用のオーバーフロー配管の入り口部分が数日で閉塞する等の弊害を生じることが、本発明者らによって確認されている。
【0033】
本発明者らは、ばっ気式水中スクリーン5において、毛髪類が絡み合い塊り状になる原因が、前処理槽8内に不規則な流体流れが生じることによることを突き止め、ばっ気方法を、本発明の実施の形態の如くすることで、毛髪類が長時間塊り状態にならず、熱排水11内に散在状態とすることが可能であることを見出した。すなわち、ばっ気式水中スクリーン5を支持する両サイドのガイド7a、7bがばっ気無しの状態になると、前処理槽8の水面の流れを平面的に捉えた場合、前処理槽8の中心位置が最も旋回流6が強く、ばっ気式水中スクリーン5の両端に近づくに連れ旋回流が弱くなり、ガイド7a、7bの部分では旋回流が無い状態、すなわち全体として旋回速度が一定しない不規則な流れが存在し、それが毛髪類の絡み合いを増幅するものである。
【0034】
そこで、規則的な旋回流をばっ気式水中スクリーン5の全体に生じさせるために、上述のごとく、前処理槽8に設けられたばっ気式水中スクリーン5に対して、散気管4の両端を延長し、前処理槽8の幅方向の全体に均一なばっ気を可能としたものである。その結果、前処理槽8の幅方向の全体に渡り、同一速度になる規則的な旋回流6が発生し、毛髪類の塊り形成が抑制され、毛髪類が塊りにならず散在することとなった。しかしながら、半日以上の連続運転をすると、同様に毛髪類の塊りが形成されることとなった。
【0035】
そこで、本発明者らは、更に、上述の如く液体ポンプ9の運転インターバルを適正条件にすることで、メンテナンスフリーの状態が発現できることを見出した。
効果の検証は、排水流入管13の水量が最大10m/時に対して、5m/時の液体ポンプ9を使用した。又、液体ポンプ9の運転条件として、インターバルは1時間につき15分間の連続運転条件であり、熱排水11の流入量(最大10m/時)に対し約1/8 の量の熱排水11を排出することを、約半年間にわたって行った。かかる検証試験の結果、1時間に約15分間の連続ポンプ運転をすることで、ヒートポンプ2はもとより、ばっ気式水中スクリーン5、液体ポンプ9及び直排水配管10メンテナンスは一度も実施せず、安定運転が行われた。又、ばっ気式水中スクリーン5の処理水槽12を毎日1回以上点検したところ、小さな糸クズはリークするが、毛髪のリーク数はゼロの状態を維持することができた。
【0036】
なお、図3には、図1に示されるヒートポンプへの熱排水の供給装置1の応用例として、ヒートポンプ2への供給系配管がU字型側溝15である場合が示されている。そして、この応用例においても、上記と同様の作用効果が得られるものである。
【符号の説明】
【0037】
1:ヒートポンプへの熱排水の供給装置、2:ヒートポンプ、4:散気管、5:ばっ気式水中スクリーン、501:パンチングプレート、6:旋回流、8:前処理槽、9:液体ポンプ、10:直排水配管、11:熱排水、12:処理水槽、13:ヒートポンプへの供給系配管(排水流入管)、14:ヒートポンプへの供給系配管(排水流出管)、15:U字型側溝、18:制御手段、19:ヒートポンプの流入系配管、A:気泡
図1
図2
図3