特許第5774002号(P5774002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774002耐久性のある不織布アレルゲンバリア積層体
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  • 特許5774002-耐久性のある不織布アレルゲンバリア積層体 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774002
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】耐久性のある不織布アレルゲンバリア積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/26 20060101AFI20150813BHJP
   B32B 27/02 20060101ALI20150813BHJP
   D04H 1/4374 20120101ALI20150813BHJP
   D04H 1/4382 20120101ALI20150813BHJP
   D04H 1/593 20120101ALI20150813BHJP
   D04H 1/728 20120101ALI20150813BHJP
   D04H 3/14 20120101ALI20150813BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   B32B5/26
   B32B27/02
   D04H1/4374
   D04H1/4382
   D04H1/593
   D04H1/728
   D04H3/14
   B01D39/16 A
   B01D39/16 E
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-524777(P2012-524777)
(86)(22)【出願日】2010年8月10日
(65)【公表番号】特表2013-501657(P2013-501657A)
(43)【公表日】2013年1月17日
(86)【国際出願番号】US2010044942
(87)【国際公開番号】WO2011019675
(87)【国際公開日】20110217
【審査請求日】2013年8月9日
(31)【優先権主張番号】12/538,450
(32)【優先日】2009年8月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】カウカ ダリウス ヴロジミエシュ
【審査官】 岸 進
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−246144(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0120783(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0141886(US,A1)
【文献】 特開2009−106468(JP,A)
【文献】 特開2009−233550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
D04H 1/00−18/04
A47G 9/00−11/00
B01D39/00−41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルゲンバリア構造体として有用な積層体であって、
順に、
a)第一の熱可塑性ポリマーから作られる繊維を含み、少なくとも15g/m2の坪量を有する第一の不織布層、
b)6〜10g/m2の坪量を有し、かつ第二の熱可塑性ポリマーから作られ、100〜450nmの平均直径を有する繊維からなる不織布アレルゲンバリア層、および
c)第一の熱可塑性ポリマーから作られた繊維を含み、少なくとも15g/m2の坪量を有する第二の不織布層
を含み、
第二の熱可塑性ポリマーが第一の熱可塑性ポリマーよりも少なくとも30℃高い融点を有し、
前記層a)、b)、およびc)が、隣接した接合点間の最大間隔が2〜5mmの状態に、複数個の一定の間隔をあけた熱接合点で相互に熱的に点接合され、かつ
前記積層体が、1.6L/分までの気流における1μm粒子の攻撃に対して、15回の洗濯後にASTM F2638−07によって測定される95%以上の濾過効率を有する、
積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕およびマットレスのカバーのような用品を含む寝具用の洗濯できるカバーとして有用なアレルゲンバリア積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
Knoffらの米国特許出願公開第2008/0120783号明細書は、アレルゲンバリア布と、アレルゲンバリア布を含むマットレス、枕、ベッドカバー、およびライナとを開示している。この特許出願は、それらのアレルゲンバリア布が、その様々な布層の機械的分離または層間はく離なしに少なくとも10回の洗濯、さらには50回までの洗濯にも耐えることができることを開示しているが、どのようにしてそのような布が常に多数回の洗濯に耐え、しかもなおそれらの濾過効率によって測定されるバリア材料としてのそれらの主たる機能を維持することができるのかに関しては何の示唆もない。多くの寝具は日常的な洗濯を必要とするので、アレルゲンバリアの機械的耐久性と濾過性能耐久性の組合せが真に必要性である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態において本発明は、アレルゲンバリア構造体として有用な積層体に関し、この積層体は、順に、a)第一の熱可塑性ポリマーから作られた繊維を含み、少なくとも15g/m2の坪量を有する第一の不織布層と、b)6〜10g/m2の坪量を有し、かつ第二の熱可塑性ポリマーから作られ、平均直径100〜450nmの繊維からなる不織布アレルゲンバリア層と、c)第一の熱可塑性ポリマーから作られた繊維を含み、少なくとも15g/m2の坪量を有する第二の不織布層とを含み、これらの層a)、b)、およびc)は、隣接した接合点間の最大間隔が2〜5mmの状態に、複数個の一定の間隔をあけた熱接合点で相互に熱的に点接合され、かつこの積層体は、1.6L/分までの通気において1μmの粒子の攻撃に対してASTM F2638−07によって測定される15回の洗濯後の95%以上の濾過効率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】耐久性のある不織布アレルゲンバリア積層体をもたらす複数個の一定の間隔をあけた熱接合点を有する幾つかの接合パターンを示す図である。
図2】耐久性のある不織布アレルゲンバリア積層体をもたらす複数個の一定の間隔をあけた熱接合点を有する幾つかの接合パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
一実施形態において本発明は、寝具用の洗濯できるカバーとして有用な積層体に関する。この積層体は、35〜70g/m2、好ましくは35〜45g/m2の総坪量を有し、かつASTM F2638−07によって測定される1μmの粒子の攻撃および1.6L/分までの通気を用いて試験した場合に、15回の洗濯後に95%以上の濾過効率を保持するアレルゲンバリア構造体である。この積層体は、順に、第一の熱可塑性ポリマーから作られる繊維を含み、かつ少なくとも15g/m2の坪量を有する第一の不織布層と、6〜10g/m2の坪量を有し、かつ100〜450nmの平均直径を有する繊維からなる不織布アレルゲンバリア層と、第一の熱可塑性ポリマーから作られる繊維を含み、かつ少なくとも15g/m2の坪量を有する第二の不織布層とを含む。
【0006】
さらに、これらの3層は、隣接した接合点間の最大間隔が2〜5mmである複数個の一定の間隔をあけた熱接合点で相互に熱的に点接合される。幾つかの好ましい実施形態では隣接した接合点間の間隔は3〜4mmである。この積層体が改良されたアレルゲン性能と耐久性を有する一つの理由は、少なくとも6g/m2の坪量を有する不織布アレルゲンバリア積層体を高密度の熱的な点接合と組み合わせることであると考えられる。この耐久性の別の理由は、積層体の2枚の外側の層が、同一の熱可塑性ポリマーから作られた繊維を含むことであり、これが相次いでの各洗濯による外側の2枚の不織布層のふぞろいな層収縮を減らし、貼り合わされた層間の分離または構造的皺を引き起こす恐れのある積層体中の局部的応力をなくすのに役立つ。
【0007】
これら外側の不織布層は、熱的な点接合によってアレルゲンバリア層に取り付けられる。これは、1個または複数個のニップ部とエンボシングパターンを有する1本または複数本の熱ロールとを備えた通常のポイントボンダーを使用することにより達成することができる。好ましい方法は超音波接合によるものである。便宜上、アレルゲンバリア層を第一の不織布層上で予め合わせるか、または第一の不織布層上へ紡糸し、ロールによってボンダーの一方の巻出装置へ供給することができ、一方、第二の不織布層のロールはボンダーの第二の巻出装置へ供給される。次いでこれら2枚のシートを、アレルゲンバリア層がその中間にある状態で合わせ、ボンダーの少なくとも1個のニップ部で点接合して積層体を形成する。別法ではボンダーは3台の巻出装置を使用することもできる。次いで第一、第二、および第三の巻出装置は、それぞれ第一の不織布層のロール、アレルゲンバリア層のロール、および第二の不織布層のロールを有することになる。次いでこれら3枚のシートを、アレルゲンバリア層がその中間にある状態で合わせ、ボンダーの少なくとも1個のニップ部で点接合することになる。接合後、ロールに巻き上げる前に、必要に応じて積層体を冷却することができる。
【0008】
積層体は、その積層体の全体にわたって一定の間隔をあけた複数個の離れた接合領域を有する。隣接した接合点間の最大間隔は2〜5mm、好ましくは3〜4mmである。図1は、円形接合点2を含む四角形配列に配置された一組の一定の間隔をあけた熱接合点を含む一つの可能性のある接合パターン1の小さなセグメントを表す。この型の四角形パターンにおいて「隣接した接合点」とは、コンパス上の北、南、東、および西の方向の場合のように、ある接合点のすぐ隣りに直交する4つの接合点を含むことを意味する。四角形接合パターンにおいて互いに斜めの接合点は、本明細書中で定義する隣接した接合点とはみなさない。図1に示すように点間の斜距離「A」は、この図中で点の配列において垂直の向きに合わせた距離「B」によって表される点間の直交距離よりも常に長いことになる。別法では「B」をこの配列において水平の向きに合わせて示すこともでき、同じ結果になる。基本的幾何形状では四角形配列における点間の直交距離は斜距離よりも常に短い。したがって四角形接合パターンにおける隣接した接合点間の最大間隔は、一方の点の外側からもう一方の点の外側までを測った隣接した点間の最大垂直または水平距離である。幾つかの好ましい実施形態では四角形配列において配列中の水平な点間の距離は、配列中の垂直な点間の距離に等しい。
【0009】
図2は、円形接合点4を含む三角形または中心線を外した配列に配置した一組の一定の間隔をあけた熱接合点を含む代替の接合パターン3の小さなセグメントを表す。この型の三角形パターンにおいて「隣接した接合点」とは、ある接合点の斜めすぐ隣りに4つの接合点を含むことを意味する。図2に示すように点間の水平距離「C」は隣接した点間の斜距離「D」よりも短いこともあるが、本明細書における目的ではこの型の配列における隣接した接合点は互いに斜めの点であり、接合点の配列において互いに左斜めまたは右斜めのどちらかとしての向きに合わせることができる。したがってこの型の三角形接合パターンにおける隣接した接合点間の最大間隔は、一方の点の外側からもう一方の点の外側までを測った配列中の点間の最大斜距離である。幾つかの好ましい実施形態ではこの三角形または中心線を外した配列では配列中のすべての隣接した点間の斜距離が等しい。
【0010】
幾つかの実施形態ではこれら複数個の熱接合点は、1mm〜2mmの有効直径を有する点である。幾つかの実施形態ではこれら接合点は中実の丸形を有するが、楕円形、ダイヤモンド形、四角形、三角形、および他の幾何学的形状を含めた他の中実形状も可能である。有効直径とはその接合点形状の実測外周に等しい外周を有する円の直径を意味する。
【0011】
幾つかの実施形態では積層体のはく離強度は0.5ポンド/インチ以上である。これは、積層体が十分に全体として接着されることを保証し、多数回にわたる洗濯/乾燥サイクルに対する十分な洗濯および機械的耐久性の指標である。はく離強度が0.3ポンド/インチ以下の積層体は、洗濯の間の大規模な層間はく離があることが分かっている。はく離強度が0.3ポンド/インチを超えるが0.5ポンド/インチ未満の積層体は、多数回の洗濯による大規模な層間はく離は少ない傾向があるが、小規模または局部的な層間はく離を示す肌理表面の徴候を示す。
【0012】
幾つかの実施形態では積層体の通気度は5立方フィート/分以上である。幾つかの好ましい実施形態では積層体の通気度は、25立方フィート/分以上である。これにより、そのバリア積層体によって完全に包まれる寝具を実際に使用するのに必要な積層体を通り抜ける十分な量の通気性が与えられる。バリア積層体を通り抜ける高い通気性は、すっぽり包まれた寝具の過剰な昇圧およびバルーニングを防ぎ、また寝具中の局部的ヒートストリークの発生をできるだけ少なくすることによって、枕などの寝具における適切な通風管理を可能にする。5立方フィート/分未満の通気度を有する積層体も改良されたバリアを示すと考えることができるが、その積層体の通気度が十分でない場合、寝具は使用中に、例えば人が枕の上に頭を載せるという行為によって昇圧するようになることになる。これは、枕の中の空気を、バリア材料を通してではなくジッパーおよび/または縫い目を通して強制的に絞り出す。これは、ジッパーおよび縫い目が積層体よりもはるかに劣る濾過をもたらす傾向があるので望ましくない。
【0013】
積層体の濾過効率は、ASTM F2638−07によって測定される1μm粒子の攻撃および1.6L/分までの気流を用いて試験した場合に、15回の洗濯後に95%以上である。ある種のアレルゲンは1μmしかない(すなわち、ネコのふけ、分裂したより大型のアレルゲンなど)小さなサイズである可能性があり、アレルゲン布は寝具由来の予想されるアレルゲンの大部分に対しても同等の難易度で効果的なフィルター媒体であるべきであるので、このレベルの濾過効率が適切な保護およびバリア特性を与えると考えられる。通気レベルは、アレルゲン布/組立品の濾過効率にある程度の影響を与える可能性があり、1.6L/分までの気流は、通常のヒトの睡眠中の動作の間に一般に受けるよりもわずかに高い空気の移動を表し、したがって積層体性能のより厳しい試験である。
【0014】
この積層体は、少なくとも第一の不織布層と第二の不織布層を備え、これら両層は第一の熱可塑性ポリマーから作られた繊維を含み、かつ両層が少なくとも15g/m2の坪量を有する。幾つかの実施形態ではこれら層の少なくとも一方が少なくとも18g/m2の坪量を有し、また幾つかの実施形態では両層が少なくとも18g/m2の坪量を有する。
【0015】
「不織布」とは、製織または編成することなく生産できる可撓性シート材料を形成し、(i)その繊維の少なくとも一部の機械的インターロック、(ii)その繊維の一部のうちの少なくとも一部分の融着、または(iii)バインダー材料の使用によるその繊維の少なくとも一部の接合のいずれかによってつなぎ合わせた繊維の網状組織を意味する。不織布には、フェルト、スパンレース(または水流絡合)不織布またはシート、フラッシュスパン不織布またはシート、スパンボンドおよびメルトブローン不織布またはシートなどが挙げられる。幾つかの好ましい実施形態では不織布は、スパンボンド不織布である。このタイプの布の例には、これらには限定されないが、Kolonから入手できるスパンボンドMerabon(登録商標)型Q2017NWまたはQ2020NWポリプロピレン不織布、Kolonから入手できるFinon(登録商標)型C3020NW、K2020NW、またはK2030NWポリエステルスパンボンド不織布、Toray Saehan Inc.から入手できるスパンボンド15.3または18g/m2ポリプロピレン不織布、およびCerex Advanced Fabrics,Inc.から入手できるCerex(登録商標)0.5〜2オンス/平方ヤードナイロン不織布が挙げられる。Kolonの所在地は、Kwacheon−city,Kyunggi−do South Koreaである。Toray Saehan Inc.の所在地は、Seoul,South Koreaである。Cerex Advanced Fabrics,Inc.の所在地は、Cantonment,FLである。
【0016】
幾つかの実施形態では第一および第二の不織布層は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される第一の熱可塑性ポリマーから作られる繊維を含む。幾つかの好ましい実施形態ではポリマーはポリプロピレンである。
【0017】
幾つかの実施形態では、例えば外側の不織布層がナイロン、特にナイロン6,6、またはポリテレフタル酸エステルであり、アレルゲンバリア層がポリプロピレンまたはポリウレタンである場合のように、第一の熱可塑性ポリマーが第二の熱可塑性ポリマーよりも少なくとも30℃高い融点を有する。これは、外部不織布層の結合点での貫通融解の必要性なしに、表面および裏面不織布の内側に機能的アレルゲンバリア層を耐久的に取り付けることを可能にする。これにより最終積層体の快適性(すなわち柔軟性、平坦性)および見た目(すなわち結合点パターンが何もない)の美しさを向上させることができる。
【0018】
幾つかの好ましい実施形態では、外側の不織布層がポリプロピレンであり、アレルゲンバリア層がナイロンである場合のように、第二の熱可塑性ポリマーが第一の熱可塑性ポリマーよりも少なくとも30℃高い融点を有する。これは、機能的アレルゲンバリア層の貫通融解の必要性なしに、外部不織布層の結合点での貫通融解により積層体の凝集強さと、洗濯および/または機械的耐久性とを増大または改善することを可能にする。これは、過剰の圧縮およびその層を通る空気流れの減少を引き起こす恐れのある機能的アレルゲンバリア層の接合点での貫通融解が存在しないので、最終積層体のバリアおよび機能的属性を向上させることができる。
【0019】
別の好ましい実施形態では、外側の不織布層およびアレルゲンバリア層がすべて同じポリマー、例えばすべてナイロン、すべてポリプロピレン、またはすべてポリエステルの積層体から作られている場合のように、第一の熱可塑性ポリマーおよび第二の熱可塑性ポリマーの融点は同一または実質上同一である。これは、異なるポリマーから層が作られている場合、固有の熱変形または熱収縮特性の違いによって引き起こされる個々の層間の接合点における潜在応力の減少をもたらすことができる。
【0020】
アレルゲンバリア層は6〜10g/m2(gsm)の坪量を有する。6gsm未満の坪量は、積層体の層間はく離を助長すると考えられ、また少なくとも15回の洗濯に対する十分な機械的整合性がないと考えられる。10gsmを超える坪量は、実質上性能の改良を追加するとは考えられず、付加的な好ましくないコストを加える。
【0021】
アレルゲンバリア層は、100〜450nmの平均直径を有する繊維からなる不織布である。本明細書中で使用される平均直径とは、不織布中の個々の繊維の数平均繊維径を意味する。幾つかの実施形態ではアレルゲンバリア層は、第一および第二の不織布層に使用される第一の熱可塑性ポリマーとは異なる第二の熱可塑性ポリマーから作られる繊維を含む。他の実施形態ではアレルゲンバリア層は、第一および第二の不織布層に使用される第一の熱可塑性ポリマーと同一の第二の熱可塑性ポリマーから作られる繊維を含む。幾つかの実施形態ではアレルゲンバリア層は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーから作られた繊維からなる。幾つかの実施形態ではアレルゲンバリア層は、ポリウレタン、ポリオレフィン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーから作られた繊維からなる。幾つかの好ましい実施形態では不織布はナイロンから作られた繊維を含む。
【0022】
幾つかの実施形態ではアレルゲンバリア層は、3.5m3/分/m2以上のフラジール通気度を有する。幾つかの好ましい実施形態では通気度は5m3/分/m2以上であり、また幾つかの最も好ましい実施形態では通気度は8m3/分/m2以上である。本発明のナノファイバー層を通る高い空気の流れは、依然として低レベルのアレルゲン透過を維持したままで、それらの通気性に起因して使用者に快適さを与えるアレルゲンバリア布をもたらす。
【0023】
幾つかの実施形態ではアレルゲンバリア層として使用される高分子ナノファイバー含有ウェブは、エレクトロスピニングまたはエレクトロブローイングなどの技術によって生産することができる。エレクトロスピニングおよびエレクトロブローイングの両方の技術は、そのポリマーが比較的穏やかな紡糸条件下で、すなわち実質上周囲温度および圧力の条件において溶媒に可溶である限り、種々様々なポリマーに適用することができる。そのポリマー溶液は、そのポリマーに適した溶媒を選択することによって調製される。好適な溶媒には、アルコール類、ギ酸、ジメチルアセトアミド、およびジメチルホルムアミドを挙げることができる。ポリマー溶液は、関連ポリマーと相溶性の任意の樹脂、可塑剤、紫外線安定剤、架橋剤、硬化剤、反応開始剤、染料および顔料などの着色剤等を含めて他の添加剤を含むことができる。所望に応じてかつ/または必要に応じてポリマーまたは添加剤の溶解を助けるために加熱を使用することもできる。
【0024】
エレクトロスピニング法では、ポリマー溶液と標的表面の間に高電圧を印加してナノファイバーおよび不織マットを作り出す。多くの配置が可能だが、基本的には電荷が液滴の表面張力に打ち勝つまで電荷を溶液の液滴上に蓄積して液滴を引き伸ばし、標的表面に向かって「紡糸」される繊維状材料を形成する。代表的なエレクトロスピニング法は、例えば米国特許第4,127,706号明細書および同第6,673,136号明細書中に開示されている。
【0025】
エレクトロブローイング法では、ポリマーと溶媒の溶液を紡糸口金内の紡糸ノズルに供給する。その紡糸ノズルに高電圧を印加し、それによりポリマー溶液を放出する。その一方で紡糸ノズルの側面または周囲に配置された空気ノズルから、任意選択で加熱した圧縮ガス、一般には空気を流出する。この空気は、それを取り囲む吹出ガス流として一般には下方に向けられ、紡糸ノズルからのポリマー溶液を進め、繊維ウェブの形成を助ける。一般には複数個の紡糸口金が使用され、それら紡糸口金は多重繊維ウェブを形成し、ウェブは真空チャンバーの上方にある一般には多孔性回収ベルトである電気的にアースされた標的上にマットとして回収される。一つの代表的なエレクトロブローイング法は、国際公開第2003/080905号(米国特許出願第10/822,325号)パンフレット中に開示されている。この方法は、1g/m2以上の坪量を有するウェブを製造することができる。
【0026】
この積層体は、これらに限定されないが枕およびマットレスの布団地、枕およびマットレスの当て材、枕およびマットレスのカバー、シーツ、マットレスパッド、掛け布団、および羽毛掛け布団を含めた寝具用および室内装飾材料用の布用途の範囲内で有用である。
【0027】
試験方法
濾過効率試験―濾過性能は、ASTM F2638−07(サロゲート微生物バリアとしての多孔質包装材料の性能を測定するためにエアロゾル濾過を使用するための標準試験方法)によって指示される方法を用いて1μmの攻撃について求めた。
【0028】
繊維径は下記のように求めた。各ナノファイバー層の試料の10枚の倍率5,000倍の走査電子顕微鏡(SEM)画像を撮った。11個のはっきり区別できるナノファイバーの直径を写真から測定し、記録した。欠陥部(すなわち、ナノファイバーの塊、ポリマーの滴、ナノファイバーの交差点)は含めなかった。各試料の平均(算術平均)繊維径を計算した。
【0029】
通気度―試料の洗濯耐久性に関連する何らかの構造変化を調べるために最低限35回の洗濯/乾燥サイクルの前後に積層体のフラジール通気度を求めた。フラジール通気度は、多孔性材料の通気度の尺度であり、立方フィート/分/平方フィートの単位で記録される。これは、0.5インチ(12.7mm)の水の圧力差において材料を通過する気流の体積を測定する。試料を通過する気流を測定可能な量に制限するためにオリフィスを真空系内に設ける。オリフィスのサイズは材料の多孔度によって決まる。フラジール透過度は、目盛り付きオリフィスを有するScherman W.Frazier Co.ジュアルマノメーターを用いて立方フィート/分/平方フィートの単位で測定し、m3/分/m2に変換した。すべての洗濯した積層体および洗濯していない積層体は、標準的な市販のFX3300通気度試験機(Frazier)を用いて125Paで38cm2の面積に対して数ヶ所で5回測定された。
【0030】
洗濯耐久性―すべての積層体は、一般的なGEトップロード家庭用洗濯機で洗濯し、一般的なGE家庭用空気乾燥器中で乾燥した。洗濯耐久試験には5個の積層体試料を用いた。洗濯耐久試験は15回の洗濯サイクルからなり、各洗濯サイクルは熱水/温水の選択(熱水温度は140oFに設定された)での洗濯(およそ60分)、続いて40分間の低〜中温空気乾燥からなり、すべての試料は一般的な市販の容易に入手可能な洗剤で洗濯された。各洗濯済み試料を、層間はく離または肌理(すなわち、局部的な層間はく離を示唆する表面皺)のどのような徴候についても検査された。
【0031】
坪量はASTM D−3776によって求め、g/m2の単位で記録した。
【0032】
すべての積層体は、国際公開第2003/080905号パンフレット中に開示されている方法を用いて作製されたナイロン6,6ナノファイバーからなるアレルゲンバリア層を使用した。下記の実施例において数字項目(例えば1−1、1−2)は本発明の実施形態を例示し、一方、英字項目(例えば1−A、1−B)は比較を例示する。
【0033】
実施例1
この実施例は、15回の洗濯後の積層体の構造的整合性を例示する。2枚のスパンボンドポリプロピレン不織布の外層が公称繊維サイズ300nmの6g/m2ナノファイバーアレルゲンバリア層に超音波接合された三層積層体を作製した。
【0034】
具体的にはこれら積層体は、1枚のスパンボンドポリプロピレン不織布層上にナノファイバーアレルゲンバリア層を堆積し、次いでその露出したナノファイバーアレルゲンバリア層上に第二のスパンボンドポリプロピレン不織布層を置き、すべての層を市販の超音波設備を用いて相互に超音波接合することによって作り出した。項目1−1および1−2については、両面のスパンボンドポリプロピレン不織布層の坪量が18g/m2であった。項目1−3については、一方のスパンボンドポリプロピレン不織布層の坪量が15.3g/m2であり、もう一方の坪量が18g/m2であった。次いで15回の洗濯の前後のこれらの試料について濾過効率、通気度、および構造的整合性を評価した。表1に示すように15回の洗濯の後にこれらの積層体は、少なくとも95%の濾過効率を保持し、良好な通気度を維持し、また構造的整合性試験に合格した。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例1−A
実施例1の項目1−1を繰り返したが、超音波接合の前にスパンボンドポリプロピレン不織布層の一方をポリコットン平織布(65%PET/355cc綿)で置き換えた。接合パターンおよびアレルゲンバリア層は同一であり、またもう一方の外層は18g/m2の坪量を有するスパンボンドポリプロピレン不織布層であった。試験した場合、この積層体は洗濯前にはすぐれた濾過効率を有したが、洗濯時に層間はく離を起こし、さらなる試験を不可能にした。
【0037】
実施例1−B
間隔を10.7mm離した2mm直径の接合点を用いた改変超音波接合パターンによることを除いて、実施例1−Aを繰り返した。試験した場合、この積層体は洗濯前にはすぐれた濾過効率を有したが、洗濯時に層間はく離を起こし、さらなる試験を不可能にした。
【0038】
実施例2
アレルゲンバリア層の坪量を6g/m2に対して5g/m2に減らしたことを除いて実施例1の項目1−1を繰り返した。これを比較項目2−Aと呼ぶ。次いで超音波接合の前にスパンボンドポリプロピレン不織布層の一方をポリコットン平織布(65%PET/355cc綿)で置き換えたことを除いて、第二の積層体を項目2−Bとして作製した。次いで15回の洗濯の前後のこれらの試料について濾過効率、通気度、および構造的整合性を評価した。表2に示すように、2種類のスパンボンド不織布の外層を用いて作製した試料は、15回の洗濯の後の十分な構造的整合性を有したが、十分な濾過性能を保持しなかった。1枚のポリコットン織布の外層および1枚のスパンボンド不織布の外層を有する試料は、15回洗濯した場合に層間はく離を起こし、また構造的整合性試験に合格しなかった。
【0039】
【表2】
【0040】
項目2−Aの材料を使用したが、異なる接合パターンを使用して2種類の追加の積層体を作製した。項目2−Cは、間隔を10.7mm離した直径2mmの接合点を使用した。
項目2−Dは、辺の長さが45mmの菱形またはダイヤモンド形を形成する一連の接合点からなり、それらダイヤモンド形の辺の内部に直径1.5mmのサイズの、間隔を直線上で6mm離した接合点を有するダイヤモンド形キルトパターンを使用した。両試料とも15回洗濯した場合に局部的層間はく離を示し、また構造的整合性試験に合格しなかった。
次に、本発明の態様を示す。
1. アレルゲンバリア構造体として有用な積層体であって、
順に、
a)第一の熱可塑性ポリマーから作られる繊維を含み、少なくとも15g/m2の坪量を有する第一の不織布層、
b)6〜10g/m2の坪量を有し、かつ第二の熱可塑性ポリマーから作られ、100〜450nmの平均直径を有する繊維からなる不織布アレルゲンバリア層、および
c)第一の熱可塑性ポリマーから作られた繊維を含み、少なくとも15g/m2の坪量を有する第二の不織布層
を含み、
前記層a)、b)、およびc)が、隣接した接合点間の最大間隔が2〜5mmの状態に、複数個の一定の間隔をあけた熱接合点で相互に熱的に点接合され、かつ
前記積層体が、1.6L/分までの気流における1μm粒子の攻撃に対して、15回の洗濯後にASTM F2638−07によって測定される95%以上の濾過効率を有する、積層体。
2. 前記隣接した接合点間の間隔が3〜4mmである、上記1に記載の積層体。
3. 前記複数個の熱接合点が、1mm〜2mmの有効直径を有する点を含む、上記1に記載の積層体。
4. 前記第一の熱可塑性ポリマーが、前記第二の熱可塑性ポリマーと同一である、上記1に記載の積層体。
5. 前記第一の熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーである、上記1に記載の積層体。
6. 前記第二の熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーである、上記1に記載の積層体。
7. 前記第二の熱可塑性ポリマーが、ポリウレタン、ポリオレフィン、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーである、上記1に記載の積層体。
8. 層a)またはc)が、少なくとも18g/m2の坪量を有する、上記1に記載の積層体。
9. 層a)およびc)が、少なくとも18g/m2の坪量を有する、上記1に記載の積層体。
10. 前記積層体の前記通気度が5立方フィート/分以上である、上記1に記載の積層体。
11. 前記積層体の前記通気度が、25立方フィート/分以上である、上記10に記載の積層体。
12. 前記第一の熱可塑性ポリマーが、前記第二の熱可塑性ポリマーよりも少なくとも30℃高い融点を有する、上記1に記載の積層体。
13. 前記第二の熱可塑性ポリマーが、前記第一の熱可塑性ポリマーよりも少なくとも30℃高い融点を有する、上記1に記載の積層体。
14. 前記第一の熱可塑性ポリマーと前記第二の熱可塑性ポリマーが、同一または実質上同一の融点を有する、上記1に記載の積層体。
図1
図2