特許第5774005号(P5774005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774005銅電極を有する薄膜トランジスタ(TFT)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774005
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】銅電極を有する薄膜トランジスタ(TFT)
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20150813BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20150813BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 616V
   H01L29/78 616U
   H01L21/28 301R
   H01L21/28 301B
   H01L29/50 M
【請求項の数】5
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-525923(P2012-525923)
(86)(22)【出願日】2010年8月25日
(65)【公表番号】特表2013-503459(P2013-503459A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】EP2010005191
(87)【国際公開番号】WO2011023369
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年4月2日
(31)【優先権主張番号】102009038589.4
(32)【優先日】2009年8月26日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】315003088
【氏名又は名称】ヘレーウス ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Deutschland GmbH&Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ザビーネ シュナイダー−ベッツ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン シュロット
【審査官】 棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/075281(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/081806(WO,A1)
【文献】 特開2011−049543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 29/417
H01L 21/28
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料と電極とを有するTFT構造であって、該半導体材料が酸化物半導体材料であり、少なくとも1つの電極が、少なくとも1つの合金元素を0.1〜10原子%の濃度で含むCu合金に基づく電極材料から形成されており、前記少なくとも1つの合金元素が、TFT構造の電極と酸化物半導体材料との間の界面で酸化物中間層を形成し、且つ、TFT構造が少なくとも、前記Cu合金から形成されているソース電極およびドレイン電極を含み
前記Cu合金の少なくとも1つの合金元素が、銅よりも高い酸素親和性を有し、
前記Cu合金が、Mg、Mn、Ga、Li、MoおよびWから選択される少なくとも1つの元素を0.1〜10原子%の濃度で含有し、且つ、
前記TFT構造が、さらなる電極材料として、少なくとも99.9%の純度を有する純粋なCu層をさらに含み、その際、前記Cu合金が中間層として、前記純粋なCu層の上および/または下に施与されており、且つ、該中間層は前記純粋なCu層よりも薄いことを特徴とする、TFT構造。
【請求項2】
ゲートが下にある構造またはゲートが上にある構造として構成される、請求項1に記載のTFT構造。
【請求項3】
酸化物半導体材料が、インジウム酸化物、亜鉛酸化物、銅酸化物の群からの少なくとも1つの酸化物に基づいて形成されているか、またはインジウム、亜鉛、銅の群からの少なくとも1つの金属に基づく混合酸化物に基づいて形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のTFT構造。
【請求項4】
前記酸化物半導体材料として、InとGaとZnとの酸化物またはCuとCrとの酸化物またはCuとAlとの酸化物を使用することを特徴とする、請求項3に記載のTFT構造。
【請求項5】
Cu合金の少なくとも1つの合金元素が、TFT構造の酸化物半導体材料の化学元素の少なくとも1つよりも高い酸素親和性を有することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載のTFT構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TFT構造が半導体材料およびそれに電気的に接続された電極を有する、薄膜トランジスタ/TFTトランジスタに関する。
【0002】
薄膜トランジスタは、とりわけ、平面ディスプレイで使用される(LCD、OLED、電子ペーパー、等)。とりわけ、大面積LCD−TVおよびOLED用途のためには、高速スイッチング回路並びに高電流が必要とされる。銅(Cu)は、ここで、現在主に使用されているAl電極もしくはAl合金電極に対して明らかな利点を有している。
【0003】
標準的に使用されるa−Si技術(アモルファスシリコン)は、Cu技術と組み合わせることが困難であり、なぜなら、Cuはゲート酸化膜の堆積の際、もしくは積層物のパッシベーションのための次のCVD段階の際に、400℃までの温度に晒され、その際、例えばソース/ドレインコンタクトとSiとが拡散反応を示すからである。その上、銅は付着性が悪い。この理由により、適したバリア層/付着層が模索されており、それらはCuと一緒に同時に良好にエッチング可能でなければならない。バリア層を使用するという可能性以外に、合金元素、例えばMg、Mo、WまたはMnを添加するCu合金を使用するという試みもあり、前記合金元素は、層成長または後に続く焼戻し段階の際に層の境界で排除され、従ってバリアおよび付着層がイントリンシックに形成される。しかし、今まで、製造に使用できる解決策はここから生まれていない。主な問題は、排除される元素の良好な付着機能およびバリア機能のために、常に酸素が必要とされることであり、なぜなら、a−Si層自体は表面に純粋なSiしか有していないからである。この問題をすり抜ける試みは、非常に煩雑であり、なぜなら、例えばまず、a−Siトランジスタのin−situでの表面酸化を行わなければならないからである。その上、このやり方は、絶縁された境界層が得られるという危険をはらんでおり、その際、前記境界層は、Cu電極との望ましいオーミックコンタクトを妨げる。
【0004】
a−Si層の際のさらなる問題は、揺らぎ且つ低すぎる電流増幅である。これは、とりわけOLEDの際に問題である。
【0005】
従って、本発明の課題は、Cuに基づく回路と組み合わせた、改善されたTFT−トランジスタ/改善されたTFT構造のための層の組み合わせを探索することである。
【0006】
該課題は、本発明によれば、主請求項の特徴部によって解決される。有利な実施態様は、下位請求項に記載されている。
【0007】
半導体材料と電極とを有する本発明によるTFT構造は、該半導体材料が酸化物半導体材料であること、および、少なくとも1つの電極が、Cu合金に基づく電極材料から形成されていることを特徴とする。有利には、少なくともソース電極およびドレイン電極が、Cu合金から形成されている。殊に、Cuに基づく電極からの少なくとも1つの合金元素が、TFT構造の電極と酸化物半導体材料との間の界面で、酸化物中間層を形成することができる。該TFT構造を、ゲートが下にある構造またはゲートが上にある構造として構成することもできる。有利には、酸化物半導体材料は、インジウム酸化物、亜鉛酸化物、銅酸化物の群からの少なくとも1つの酸化物に基づいて形成されているか、または、インジウム、亜鉛、銅の群からの少なくとも1つの金属に基づく混合酸化物に基づいて形成されている。殊に、InとGaとZnとの酸化物、CuとCrとの酸化物またはCuとAlとの酸化物を使用できる。
【0008】
TFT構造において、Cu合金の少なくとも1つの合金元素が、銅よりも高い酸素親和性を有することが合理的である。有利には、さらに、Cu合金の少なくとも1つの合金元素は、TFT構造の酸化物半導体材料の化学元素の少なくとも1つよりも高い酸素親和性を有する。殊に、本発明によるTFT構造を、Cu合金がMg、Mn、Ga、Li、Mo、Wの少なくとも1つの元素を、濃度0.1〜10原子%で含有するように構成することができる。さらなる電極材料として、有利にはCu層を少なくとも99.9%の純度で使用することができ、その際、Cu合金は中間層として、純粋なCu層の上および/または下に施与されており、且つ、該中間層はCu層よりも薄い。
【0009】
従って、本発明は、なかでも、酸化物半導体と、電極用に銅よりも高い酸素親和性を有し且つ好ましくは銅よりも高い自己拡散係数を有する合金元素を有するCu合金とを含有する、積層物によって特徴付けられる。従って、該TFT構造は、Cuベースの電極と接続されている(とりわけソース/ドレインコンタクト)酸化物半導体に基づき形成されており、その際、該電極はCu合金からなり、Cuマトリックス中の合金添加物は銅よりも高い酸素親和性を有し、且つ、銅よりも高い自己拡散係数を有し、且つ、この合金は、酸化物トランジスタの酸素と一緒に良好に付着した伝導性の中間層を形成し、それは場合によってはなお、バリア機能も満たす。酸化物半導体、例えばInとGaとZnとの酸化物は、a−Siの興味深い代替であり、なぜなら、それはアモルファス成長するからである。そのことから、非常に均質なエッチング性、予想外に良好な電子移動度、および均一な電流増幅がもたらされる。
【0010】
酸化物半導体としては、以下が考慮の対象になる:
・ インジウム(In)ベースの酸化物半導体
・ 亜鉛ベースの酸化物半導体
・ さらなる酸化物添加剤を有するInとZnとの酸化物に基づく酸化物半導体
・ InとGaとZnとの酸化物に基づく半導体
・ CuとCrとの酸化物またはCuとAlとの酸化物に基づく半導体、
並びに、電極材料としては、少なくとも1つの合金元素を濃度0.1〜10原子%で有するCu合金が考慮の対象となり、該合金元素は、酸化物半導体の表面の酸素原子よりも酸素に対する親和性が高いので、該合金元素は表面で反応し、且つ、良好に付着した電気伝導層を形成する。特に、
・ Cu:Mo
・ Cu:W
・ Cu:Mn
・ Cu:Mg
・ Cu:Ga
・ Cu:Li。
【0011】
その際、酸化物TFTトランジスタを、ゲートが下にある(英語の「ボトムゲート」)トランジスタと同様に、ゲートが上にある(英語の「トップゲート」)構造としても構成できる。
【0012】
実施例:
ガラス基板上に、まず、Cu:Mn 1原子%からの電極をスパッタによって堆積し、そして構造形成した。引き続き、その上にSi34からのゲート酸化膜を、CVDによって施与する。次に、半導体として、InとGaとZnとの酸化物からの層を堆積させ、その際、該金属は原子比で50:37:13原子%が選択された。再度、Cu:Mn 1原子%からのソース/ドレイン電極を介してコンタクト形成を行った。そのように製造された積層物を、CVDによってSi34層でパッシベーション処理した。CVD段階の際、300〜450℃の範囲の温度を使用した。
【0013】
そのように製造された積層物は、少なくとも10cm2/V*sの高い電子移動度を有する。Cu電極は、付着に対するテープ試験(DIN EN ISO 2409)を剥離せずに乗り越え、ソース領域およびドレイン領域に対して良好なオーミックコンタクトを有し、且つ、温度処理後、<3.5μΩ*cmの比抵抗を有する。