特許第5774014号(P5774014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774014圧力センサ障害を来たしている油圧駆動システムを動作するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774014
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】圧力センサ障害を来たしている油圧駆動システムを動作するための方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 20/00 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   F15B20/00 Z
   F15B20/00 D
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-534312(P2012-534312)
(86)(22)【出願日】2010年10月13日
(65)【公表番号】特表2013-507597(P2013-507597A)
(43)【公表日】2013年3月4日
(86)【国際出願番号】US2010052448
(87)【国際公開番号】WO2011047006
(87)【国際公開日】20110421
【審査請求日】2013年10月15日
(31)【優先権主張番号】12/577,928
(32)【優先日】2009年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】ゲルホフ、ウェイド、エル
(72)【発明者】
【氏名】ショットラー、クリスト、ダブリュー
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−345568(JP,A)
【文献】 特開2003−238089(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0066417(US,A1)
【文献】 特表平7−509048(JP,A)
【文献】 米国特許第5829335(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0251705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11
F15B 20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサ異常の間に油圧駆動システム10を動作するための方法であって、前記油圧駆動システム10は、
要求流量に応じた流量を供給するために配置された圧力源14、流体を収容するために配置されたリザーバ12、第1ワークポート32及び第2ワークポート34を含んでおり、前記圧力源14は、前記リザーバ12と前記第1及び第2ワークポート32、34に流体連通しており
前記圧力源14と前記第1ワークポート32との間に配置された第1オリフィス22、前記圧力源14と前記第2ワークポート34との間に配置された第2オリフィス38、前記第1ワークポート32と前記リザーバ12との間に配置された第3オリフィス46、及び前記第2ワークポート34と前記リザーバ12との間に配置された第4オリフィス54を有し流量を制御することのできるバルブシステムと、
前記圧力源14により供給される流体の圧力(Ps)、前記第1ワークポート32に供給される流体の圧力(Pa)、及び、前記第2ワークポート34に供給される流体の圧力(Pb)を感知することのできる圧力センサシステムと
記要求流量及びPs、Pa、Pbと前記リザーバ12に戻される流体の圧力(Pt)との間で決定された圧力差に基づいて、前記圧力源14及び前記バルブシステムを調整するために配置されたコントローラ56と、を含んでおり、
前記方法は、
Paを感知するために配置された単一のセンサ24の異常を検知し、
前記第2オリフィス38及び前記第3オリフィス46を閉じ、
最大値Psに相当する流量を生成するために前記圧力源14を調整し、
前記コントローラ56によって、PsとPaとの間の前記圧力差において、通常運転時に取り得る範囲内の値に相当するPsとPaとの間の前記圧力差の一定値を割り当て、
この割り当てられたPsとPaとの間の前記圧力差の前記一定値を用いて、前記要求流量に応じて前記第1オリフィス22を調整し、かつ、
前記要求流量に応じて前記第4オリフィス54を調整し、Paを感知するように配置された前記センサ24の異常にもかかわらず、前記システムは動作し続けることを特徴とする圧力センサ異常の間に油圧駆動システム10を動作するための方法。
【請求項2】
前記第4オリフィス54を調整することは、前記第4オリフィス54を経由して前記第1ワークポート32及び前記第2ワークポート34の面積比によって増加された前記要求流量に相当する流量を生成することによって、遂行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、Paを感知するために配置された前記センサ24の異常を検知することに応じて、異常信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、Pbを感知するように配置された単一のセンサ40の異常を検知し、
前記第2オリフィス38及び第3オリフィス46を閉じ、
Ps>Paに相当する流量を生成するように前記圧力源14を管理し、
前記コントローラ56によって、PbとPtとの間の圧力差において、通常運転時に取り得る最大値に相当するPbとPtとの間の圧力差の一定値を割り当て、
この割り当てられたPbとPtとの間の圧力差の前記一定値を用いて、前記要求流量に応じて前記第1オリフィス22を調整し、かつ、
前記要求流量に応じて前記第4オリフィス54を調整し、前記システムは、Pbを感知するように配置された前記センサ40の異常にもかかわらず動作し続けることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第4オリフィスを調整することは、Paを、最大値またはその最大値未満に維持することによって遂行されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらに、Pbを感知するように配置された前記センサ40の異常を検知することに応じて、異常信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記圧力センサシステムは、圧力Ptを感知できる圧力センサ48を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
圧力センサ異常の間に油圧駆動システム10を動作するためのシステムであって、前記システムは、
要求流量に応じた流量を供給するために配置された圧力源14、流体を格納するために配置されたリザーバ12、第1ワークポート32及び第2ワークポート34を含んでおり前記圧力源14は、前記リザーバ12と前記第1及び第2ワークポート32、34に流体連通しており
前記圧力源14と前記第1ワークポート32との間に配置された第1オリフィス22、前記圧力源14と前記第2ワークポート34との間に配置された第2オリフィス38、前記第1ワークポート32と前記リザーバ12との間に配置された第3オリフィス46、及び前記第2ワークポート34と前記リザーバ12との間に配置された第4オリフィス54を有し流量を制御することのできるバルブシステム
前記圧力源14により供給される流体の圧力(Ps)、前記第1ワークポート32に供給される流体の圧力(Pa)、前記第2ワークポート34に供給される流体の圧力(Pb)、及び、前記リザーバ12に戻される流体の圧力(Pt)を感知することのできる圧力センサシステムと、
前記要求流量及びPs、Pa、PbとPtとの間で決定された圧力差に基づいて、前記圧力源14及び前記バルブシステムを調整するために配置されたコントローラ56と、を含んでおり、
前記コントローラ56は、
を感知するために配置された単一のセンサ24の異常を検知し、
前記第2オリフィス38及び前記第3オリフィス46を閉じ、
最大値Psに相当する流量を生成するために前記圧力源14を調整し、
前記コントローラ56によって、PsとPaとの間の前記圧力差において、通常運転時に取り得る範囲内の値に相当するPsとPaとの間の前記圧力差の一定値を割り当て、
この割り当てられたPsとPaとの間の前記圧力差の前記一定値を用いて、前記要求流量に応じて前記第1オリフィス22を調整し、
前記要求流量に応じて前記第4オリフィス54を調整し、前記油圧駆動システム10はPaを感知するように配置された前記センサ24の異常にもかかわらず動作し続け、かつ、
Paを感知するために配置された前記センサ24の異常を検知することに応じて異常信号を生成する、ように構成され、
前記第4オリフィス54は、前記第4オリフィス54を経由して前記第1ワークポート32及び前記第2ワークポート34の面積比によって増加された前記要求流量に相当する流量を生成することによって調整される、ことを特徴とする圧力センサ異常の間に油圧駆動システム10を動作するためのシステム。
【請求項9】
前記コントローラ56は、
Pbを感知するために配置された単一のセンサ40の異常を検知し、
前記第2オリフィス38及び前記第3オリフィス46を閉じ、
Ps>Paに相当する流量を生成するように前記圧力源14を管理し、
前記コントローラ56によって、PbとPtとの間の圧力差において、通常運転時に取り得る最大値に相当するPbとPtとの間の圧力差の一定値を割り当て、
この割り当てられたPbとPtとの間の圧力差の前記一定値を用いて、前記要求流量に応じて前記第1オリフィス22を調整し、かつ、
前記要求流量に応じて前記第4オリフィス54を調整し、前記システム10は、Pbを感知するように配置された前記センサ40の異常にもかかわらず動作し続ける、ように、さらに構成されることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第4オリフィス54は、Paを最大値またはその最大値未満に維持することによって調整されることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧駆動システムに関し、さらに具体的には、圧力センサ障害を来たしている機械において用いられる油圧駆動システムに対する動作モードに関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械のような、積替え装置においてリフトアームと動作するために用いられる油圧駆動システムは、対象機械のリフトアームを制御するために、一般にポンプのような圧力源、流体タンク、及び少なくともひとつの流体シリンダーを含む。
【0003】
このような油圧駆動システムの動作を制御するために圧力センサを利用することは、当該技術分野で公知である。一般的に、圧力センサは、荷重に基づいて、流体シリンダーと、圧力源及び流体タンクとの間の流量を管理するバルブの制御において用いられる。しかし、このような圧力センサは、機能不全を来たし、システムを動作不能にすることが考えられる。
【発明の概要】
【0004】
圧力センサ機能不全の間に油圧駆動システムを動作するための方法が開示される。油圧駆動システムは、要求流量に応じて流量を供給するように配置されたポンプのような圧力源、流体を収容するために配置されたリザーバ、及び第1、第2ワークポートを含む。圧力源は、リザーバ及び第1、第2ワークポートに流体連通している。
【0005】
油圧駆動システムは、流量を制御することが可能なバルブシステムをさらに含む。バルブシステムは、圧力源と第1圧力チャンバとの間に配置された第1オリフィス、圧力源と第2圧力チャンバとの間に配置された第2オリフィス、第1圧力チャンバとリザーバとの間に配置された第3オリフィス、及び第2圧力チャンバとリザーバとの間に配置された第4オリフィスを有する。
【0006】
油圧駆動システムは、圧力源により供給される流体の圧力(Ps)、第1圧力チャンバに供給される流体の圧力(Pa)、及び、第2圧力チャンバに供給される流体の圧力(Pb)を感知できる圧力センサシステムもまた含む。さらに油圧駆動システムは、要求流量及びPs、Pa、Pbとリザーバに戻される流体の圧力(Pt)との間で決定された(圧力)差に基づいて、圧力源及びバルブシステムを調整するために配置されたコントローラを含む。
【0007】
この方法は、Paを感知するために配置された単一のセンサの異常を検知し、第2、第3オリフィスを閉じ、かつ、最大値Psに相当する流量を生成するために圧力源を調整することを含む。さらに、この方法は、2つの圧力間の差に対して実現可能な範囲内の値に相当するこのPsとPaとの間の差の値を割り当てることを含む。また、要求流量に応じて第1オリフィス及び第4オリフィスを調整することも含まれ、システムは、Paを感知するように配置されたセンサの異常にもかかわらず動作し続ける。
【0008】
この方法によると、第4制御バルブを調整することは、第4オリフィスを経由して第1、第2ワークポートの面積比によって増加された要求流量に相当する流量を生成することによって、遂行されることができる。さらに、異常信号は、前述のPaを感知するために配置されたセンサの異常を検知することに応じて生成される。
【0009】
この方法は、Pbを感知するように配置された単一のセンサの異常を検知し、第2、第3オリフィスを閉じ、Ps>Paに相当する流量を生成するように圧力源を管理し、かつ、実質的に実現可能な最大値に相当するPbとPtとの間の差の値を割り当てることをさらに含む。このような場合には、この方法は、要求流量に応じて第1オリフィスを調整し、Pbを生成するために第4オリフィスを調整することをも含み、システムは、Pbを感知するように配置されたセンサの異常にもかかわらず動作し続ける。さらに、第4オリフィスを調整することは、最大値以下にPaを維持することによって遂行される。この方法は、前述のPbを感知するように配置されたセンサの異常を検知することに応じて異常信号を生成することをも含む。
【0010】
油圧駆動システム内で用いられるリザーバが既知の最小圧力より上で動作する場合、圧力センサシステムは圧力Ptを感知できる圧力センサをさらに含むことができる。
【0011】
上記の方法は、油圧駆動システムによって操作される機械に適用されることができる。機械の油圧駆動システムは、上述により制御された流量に応じて機械のアームを動作するように配置された、対向する第1、第2圧力チャンバを有するアクチュエータを用いる。
【0012】
上述の特徴と利点、および本発明の他の特徴と利点は、添付した図面と関連して本発明を実施するための以下の最良の形態の詳細な説明から容易に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、システムの機能を制御するための圧力センサを備えたバルブを用いた油圧駆動システムを説明している回路図であり、
【0014】
図2図2は、第2圧力センサ障害を来たしている油圧駆動システムを制御するための方法のフローチャートであり、かつ、
【0015】
図3図3は、第3圧力センサ障害を来たしている油圧駆動システムを制御するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照すると、各図にわたって同様の参照番号は同様または類似の構成要素に対応しており、図1は、システムの機能を制御するためのバルブシステム及び圧力センサを用いた油圧駆動システム10を図解する回路図を示す。油圧駆動システム10は、ロード(荷重)を移動させるために機械のアームを上昇及び/または下降させる土木機械または建設機械(図に示さず)において一般に用いられる。
【0017】
油圧駆動システム10は、流体通路13を経由して流体ポンプ14のような圧力源に流体連通した流体リザーバ12を含む。圧力源14は、流体通路16を経由して第1圧力センサ18に流体連通する。センサ18は、圧力源14によって供給される流体の圧力Psを感知するために配置される。センサ18は、流体通路20を経由してオリフィス22に流体連通する。オリフィス22は、第2圧力センサ24に流体連通する。圧力センサ24は、流体通路26を経由して油圧アクチュエータ28へ供給される流体の圧力Paを感知するために配置される。
【0018】
油圧アクチュエータ28は、ピストンヘッド30a及びピストンロッド30bを含む移動可能なピストン30を含む。ピストン30は、ピストンヘッド30a側の第1ワークポートまたは圧力チャンバ32、と、ピストンロッド30b側の第2ワークポートまたは圧力チャンバ34とに油圧アクチュエータを区画している。具体的には、圧力センサ24によって感知される圧力Paは、第1圧力チャンバ32内部の流体の圧力に相当する。
【0019】
センサ18は、流体通路36を経由してオリフィス38にさらに流体連通する。オリフィス38は、第3圧力センサ40に流体連通する。圧力センサ40は、流体通路42を経由して油圧アクチュエータ28へ供給される流体の圧力Pbを感知するために配置される。具体的には、圧力センサ40によって感知される圧力Pbは、第2圧力チャンバ34内部の流体の圧力に相当する。
【0020】
センサ24もまた、流体通路44を経由してオリフィス46に流体連通する。オリフィス46は、第4圧力センサ48に流体連通する。圧力センサ48は、流体通路50を経由してリザーバ12へ戻される流体の圧力Ptを感知するために配置される。オリフィス22及びオリフィス46は、圧力源14、リザーバ12と第1圧力チャンバ32との間の流量を調整するために構成された別々の制御バルブとするか、または、単一の制御バルブ機構に組み合わせることができる。
【0021】
センサ40もまた、流体通路52を経由してオリフィス54に流体連通する。オリフィス54は、圧力センサ48に流体連通する。オリフィス38及びオリフィス54は、圧力源14、リザーバ12と第2圧力チャンバ34との間の流量を調整するために構成された別々の制御バルブとするか、または、単一の制御バルブ機構に組み合わせることができる。
【0022】
オリフィス22、38、46及び54は、組み合わされて、油圧駆動システム10を通じて流量を管理するためのバルブシステムを形成する。電子制御ユニット(ECU)のようなコントローラ56は、圧力源14及びオリフィス22、38、46、54を調整するためにプログラミングされている。当業者によって理解されるように、コントローラ56は、要求流量に従うのと同様に、コントローラによって算出される圧力Ps、Pa、Pb、及びPt間の圧力差に基づいて、圧力源14及びオリフィス22、38、46、54を調整する。要求流量は、建設機械のオペレータからの要求によって、例えば特定のロードを上げるか下げるために、一般に設定される。
【0023】
感知されてコントローラ56へ伝達される圧力データは、アクチュエータ28の2つのチャンバ32及び34のどちらがロードを受けるかを決定するためにさらに用いられる。ロードを上げるために、油圧駆動システム10は、チャンバ32内部で発生する圧力がチャンバ34で見られる圧力を超えるように、チャンバ32へ流体を供給するように調整される。当業者によって知られているように、ロードが上昇されるための速度は、Pa、Pb、PsとPtとの圧力差によって制御される。特定のロードを上げるときに、チャンバ32は、そのロードを動かすために重力に逆らって動作するように必要とされ、つまりそのロードは“受動的”であり、このように、圧力源14に連結する上流のワークポートを動作することがさらに理解される。このような状況において、チャンバ34は、リザーバ12への流体流に連結する下流のワークポートとして動作する。その一方で、ロードを下げるときに、重力はチャンバ32の動作をアシストし、つまり、ロードは“オーバーラン”し、このようにチャンバ32は下流のワークポートとして動作する一方で、チャンバ34は上流のワークポートとして動作する。
【0024】
圧力センサ18、24、40、及び48の少なくともひとつは、好適には、加圧流体の温度を検知しこのデータをコントローラ56へ供給するために、温度センサ(図に示さず)を含む。このような温度データを有することは、コントローラ56が流体の粘度を算出することを可能にする。当業者によって理解されるように、流体粘度と、既知の各特定のオリフィスの位置及び各特定のオリフィス間の圧力低下を利用して、各オリフィス間の流量を算出することができる。伝達された要求流量と組み合わせて、各特定のオリフィス間の算出された流量は、流量を調整するためにコントローラ56によって用いられ、このようにして圧力Psは圧力源14によって供給される。油圧駆動システム10の動作は、圧力源14の最大流量の容量または性能に依存する。したがって、拡張されたシステムにおける他のアクチュエータへの流量と同様に、アクチュエータ28への流量は、圧力源の最大容量を超えないことを確実にするために減らされ、特定のロードを動かすための機械オペレータの要求は、満たされる。
【0025】
図2及び図3は、圧力センサ24または40のどちらかが異常を来たす事象において、油圧駆動システム10を動作するためのそれぞれの方法100及び200を示す。典型的に、圧力調整による制御ロスに伴う流量の制御が同様に失われるために、センサ24及び40のひとつからのデータのロスが、油圧駆動システム10の不作動化をもたらす。さらに、このデータのロスに伴って、このロードを克服し移動するために必要とされる圧力Psの量を決定する性能である、ロードが受動的であるかまたはオーバーランしているかどうかを認識する性能が同様に失われる。一方、方法100及び200は、チャンバ32、34両方を流量制御モードに入れることによって、つまり両方のチャンバへの流量は最小限に能動的に制御され、機械のオペレータに進行中の作業を完了することを可能にする。
【0026】
図2に示される方法100は、センサ24の異常が検知されるフレーム102で始まる。センサ24の異常は、そうでなければ継続的にコントローラに伝達される圧力信号の損失を記録することにより、あるいは予想される範囲外である信号を記録することにより、コントローラ56によって検知される。フレーム102の次に、この方法は、オリフィス38及び46が閉じられるフレーム104に進む。続いて、オリフィス38及び46を閉じた後に、この方法は、圧力源14が最大値Psに相当する流量を生成するように調整されるフレーム106に進む。最大値Psは、圧力源14が供給することのできる最大圧力である。
【0027】
フレーム106から、この方法は、PsとPaとの間の差、つまり(Ps―Pa)が、この2つの圧力間の差に対して実現可能な範囲内の値に相当する値に設定されるフレーム108に進む。この(Ps―Pa)の設定値は、コントローラ56によって用いるために(Ps―Pa)の未知値の代わりに仮定され、割り当てられる。この(Ps―Pa)の設定値は、おそらく(Ps―Pa)の実値ではないが、選択された値は、コントローラ56が油圧駆動システム10を調整し続けることを可能にする認識に基づいて選択される。この(Ps―Pa)の値は、既定値として、この圧力差に対して実現可能な範囲の平均値または中間値に設定されることができる。フレーム108に続いて、この方法はフレーム110に進む。
【0028】
フレーム110において、オリフィス22は、機械のオペレータによる指示のとおりに要求流量に応じてコントローラ56により調整される。フレーム110の後に、この方法は、オリフィス54が第4オリフィスを通って第1チャンバ32と第2チャンバ34の面積比による要求流量オフセットに相当する流量を生成するように、コントローラ56により調整されるフレーム112に進む。言い換えれば、オリフィス54での流量は、第1チャンバ32と第2チャンバ34の面積比によって増加された要求流量に設定される。このチャンバ32と34の面積比は既知の定量である。方法100の実行の結果として、センサ24の異常にもかかわらず、油圧駆動システム10は、アクチュエータ28を動作し、かつ、ロードを支持するかまたは建設機械のアームを伸ばすように制御される。
【0029】
図3に示される方法200は、センサ40の異常が検知されるフレーム202に始まる。上記のセンサ24の異常と同様に、センサ40の異常は、そうでなければ継続的にコントローラに伝達される圧力信号の損失を記録することを経てか、それとも予想される範囲の外である信号を記録することを経て、コントローラ56によって検知される。フレーム202の次に、この方法は、オリフィス38及び46が閉じられるフレーム204に進む。オリフィス38及び46を閉じた後に、この方法はフレーム206に進む。
【0030】
フレーム206において、圧力源14は、圧力源14によって生成される流体圧力がセンサ24で見られる圧力よりも大きいように、つまりPs>Paに相当する流量を生成するように調整される。センサ24で見られる圧力よりも大きく圧力源14の圧力を設定することで、圧力源14により生成される圧力が第1圧力チャンバ32でロードを支持するのに十分であることを確実にすることを可能にする。フレーム206から、この方法はフレーム208に進む。
【0031】
フレーム208において、PbとPtとの間の差に対する値、つまり(Pb−Pt)は、この圧力差に対して最大の実現可能な値に設定される。(Pb−Pt)の最大値は、仮定され、コントローラ56にプログラムされている。おそらく(Pb―Pt)の実値ではないが、選択された値は、コントローラ56が油圧駆動システム10を調整し続けることを可能にする認識に基づいて、(Pb―Pt)の最大値が選択される。フレーム208に続いて、この方法はフレーム210に進む。
【0032】
フレーム210において、オリフィス22は、建設機械のオペレータによる指示のとおりに要求流量に応じてコントローラ56によって調整される。フレーム210の後に、この方法は、オリフィス54が許容できる最大圧力値かまたはそれ以下にPaを保つようにコントローラ56により調整されるフレーム212に進む。このように、方法200は、“交差軸式”制御と呼ばれる、チャンバ34内の圧力を調整するためにこの圧力Paの制御を用いる。方法200の実行の結果として上述の方法100と同様に、センサ40の異常にもかかわらず、油圧駆動システム10は、アクチュエータ28を動作し、ロードを支持するかまたは建設機械のアームを伸ばすように制御される。
【0033】
方法100及び200は、仮定された圧力差を割り当てることによって油圧駆動システム10を制御することを可能にするため、圧力チャンバ32及び34で生成されるそれぞれの圧力は、扱われるロードに正確にマッチしない。油圧駆動システム10の動作を制御するために仮定値を用いる結果として、アクチュエータ28内部のピストン30の運動量及びピストンが移動する速度は、期待される結果からいくらか異なる。このような正確さの損失は、概して油圧駆動システムの動作効率の悪化をもたらす。それにもかかわらず悪化した効率での動作は、建設機械の機能性を維持し、かつ、その機械が、圧力センサ異常を来たしているにもかかわらず、所定のタスクを完了することを可能にする。
【0034】
圧力センサ24か圧力センサ40のどちらかの異常にもかかわらず、油圧駆動システム10の動作を維持しながら、方法100と200の両方は、機械オペレータへ異常信号の発生を供給することができる。このような異常信号は、望ましくはこの対象機械のインストルメントパネルに、視覚的かつ/または音声的な警報として表示されることができる。
【0035】
本発明を実施するための最良の形態を詳細にこれまで説明してきたが、本発明に関連する技術に熟知した者であれば、添付した請求の範囲内で本発明を実施するための様々な代案デザイン及び実施の形態を認識するであろう。
図1
図2
図3