(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工程(d)の中で使用される遷移金属触媒は白金、ロジウムまたはパラジウムのうちのいずれか1つである、請求項8〜11のいずれか1つに記載の表面処理組成物の製造方法。
二重焦点、三焦点および累進多焦点レンズ(それらは区画されていてもよいし、区画されていなくてもよい)の様な単一視または多重視レンズを含む、矯正および非矯正レンズから選択される、請求項15に記載の表面処理された物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来技術の問題を解決して、表面処理組成物を提供するものである。本発明は、様々な基材、特に反射防止フィルム、光学部材および眼鏡の表面に指紋、皮膚油、汗および化粧品のような湿気または汚れが付着するのを防ぎ、および、汚れや湿気が一端付着しても容易に拭き取られるようにする、耐久性の優れた低表面エネルギーの処理層を形成する表面処理組成物を提供するものである。
【0008】
本発明の別の目的は、高耐久性を有し、優れた低表面エネルギー層を形成することができる表面処理組成物の製造方法を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、高耐久性を有し、優れた低表面エネルギー層を容易に形成する方法を提供することである。
【0010】
更に本発明の目的は、高耐久性を有し、優れた低表面エネルギー層を備えた光学部材(例えば、反射防止フィルム、光学フィルター、光学レンズ、眼鏡レンズ、ビームスプリッター、プリズム、および鏡)および様々な基材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一般式(A):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(X’)
3−a(R
1)
a (A)
[式中、
qは1から3までの整数であり;m、nおよびoは、独立して、0から200までの整数であり;pは1または2であり;Xは酸素または二価の有機基であり;rは0から17までの整数であり;R
1は、不飽和脂肪族結合を有していないC
1−22の直鎖状または分岐状炭化水素基であり;aは0から2までの整数であり;また、X’は加水分解可能な基である。」
で表わされる有機珪素化合物を含んでなる表面処理組成物であって、
一般式(B)および(C):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−F (B)
[式中、q、m、nおよびoは上記と同義である。]、
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X−(CH
2)
r−CH=CHCH
3 (C)
[式中、q、m、n、o、p、rおよびXは、上記と同義である。]
で表わされる含フッ素化合物の表面処理組成物中における含量は、表面処理組成物基準で25mol%未満である表面処理組成物を提供する。
【0012】
本発明は特に、一般式(A)において、加水分解可能な基X’はアルコキシ(OR)基またはアルキルアミノ(NHRまたは−NR
2)基であり、ここで、Rは独立してC
1−C
22の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、2つのR基が環状アミンを形成してもよく、整数aは0である有機ケイ素化合物を含んでなる表面処理組成物を提供する。
【0013】
本発明は特に、一般式(A−1)、(A−2)および(A−3):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X −(CH
2)
r−C
3H
6−Si(OR)
3 (A−1)、
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(HNR
)3 (A−2)
および
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(NR
2)
3 (A−3)
[式中、q、m、n、o、p、Xおよびrは上記と同義である。また、Rは独立してC
1−C
22の直鎖状または分岐状アルキル基である。また、2つのR基が環状アミンを形成してもよい。]のいずれか1つで表わされる有機珪素化合物を含んでなる表面処理組成物を提供し、ここで、一般式(B)および(C)で表わされる含フッ素化合物の表面処理組成物中での含量は、表面処理組成物基準で25mol%未満である。
【0014】
本発明はより好ましくは、一般式(A)において、加水分解可能な基X’はアルコキシ(OR)基またはアルキルアミノ(NHRまたは−NR
2)基であり、ここで、Rは上記と同義であり、整数aは0であり、ここで、一般式(B)および(C)で表わされる含フッ素化合物の表面処理組成物中での含量は、表面処理組成物基準で25mol%未満である、有機ケイ素化合物を含んでなる表面処理組成物を提供する。
【0015】
本発明はより特別には、表面処理組成物を提供する。ここで一般式(A)で表わされる有機珪素化合物は、一般式(i−d−i)または(i−d−ii):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(HNR)
3 (i−d−i)
または
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(NR
2)
3 (i−d−ii)
[式中、q、m、n、o、rおよびRは、上記と同義である。]によって表わされ、および、一般式(B)および(C)で表わされる含フッ素化合物は、一般式(ii)および(i−c−d):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−F (ii)
および
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH=CHCH
3 (i−c−d)
によってそれぞれ表わされる。
【0016】
本発明は、有機珪素化合物を含んでなる表面処理組成物の製造方法であって、該製造方法は以下の工程:
(a)パーフルオロポリエーテルの酸フルオリド(D)および非反応性パーフルオロポリエーテル(E)を含んでなる混合物を還元剤と接触させて、酸フルオリドを反応させ、それによって、かくして生成したヒドロキシパーフルオロポリエーテル(F)および非反応性パーフルオロポリエーテル(E)を含んでなる反応混合物を製造する工程;
(b)工程(a)で製造された反応混合物をカラムクロマトグラフィーで精製して、精製された物質中におけるヒドロキシパーフルオロポリエーテル(F)の含量が、反応混合物中におけるヒドロキシパーフルオロポリエーテル(F)の含量よりも高い、精製された物質を製造する工程;
(c)
工程(b)において得られた精製された物質を、アリルハライドと接触させて、ヒドロキシパーフルオロポリエーテル(F)と反応させ、それによって、かくして生成したアリルパーフルオロポリエーテル(G)および非反応性パーフルオロポリエーテル(E)を含んでなる反応混合物を製造する工程;および
(d)工程(c)で得られた反応混合物を異性体削減剤および遷移金属触媒の存在下にヒドロシランと接触させて、アリルパーフルオロポリエーテルを反応させ、それによって、フッ素含有ポリエーテル鎖の一方の末端にアルコキシシラン官能基を有する有機珪素化合物(I)、非反応性パーフルオロポリエーテル(F)、およびアリルパーフルオロポリエーテル(G)の異性体(H)を含んでなり、非反応性パーフルオロポリエーテル(E)および異性体(H)の表面処理組成物中における含量が、表面処理組成物基準で25mol%未満である表面処理組成物を製造する工程
を含んでなる、表面処理組成物の製造方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、有機珪素化合物を含んでなる表面処理組成物の製造方法であって、該製造方法は:
(a)下記一般式(i)および(ii):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−C(=O)F (i)
[式中、qは1から3までの整数であり;m、nおよびoは、独立して、0から200までの整数である。];および
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−F (ii)
[式中、q、m、nおよびoは上記と同義である。]
で表わされる化合物を含む原料混合物を還元剤と接触させることにより、化合物(i)が反応して得られる下記一般式(i−b):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2OH (i−b)
[式中、q、m、nおよびoは上記と同義である。]
で表わされるアルコール;および一般式(ii)で表わされる化合物を含んでなる反応混合物を製造する工程;
(b)一般式(ii)で表わされる含フッ素化合物の少なくとも一部を除去するためにカラムクロマトグラフィーによって、前工程で得られた反応混合物を精製して、精製された物質中での一般式(i−b)で表わされる化合物の含量が、反応混合物中の含量より高い精製された物質をその結果として製造する工程;
(c)工程(b)の中で製造された精製された物質を
Z−(CH
2)
r−CH
2CH=CH
2
[式中、Zはハロゲン原子であり;rは、0から17までの整数である。]と接触させて化合物(i−b)を反応させ、その結果として、かくした得られた下記一般式(i−c):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH
2CH=CH
2 (i−c)
[式中、q、m、n、oおよびrは上記と同義である。]のアリル化合物および一般式(ii)で表わされる化合物を含んでなる反応混合物を製造する工程であって、ここで、一般式(ii)によって表される化合物のこの中間の組成物中での含量は、中間の組成物基準で
5mol%未満である反応混合物を製造する工程;および
(d)工程(c)で得られた反応混合物を、一般式(iii):
H−Si(X’)
3−a(R
1)
a (iii)
[式中、R
1、aおよびX’は上記と同義である。]
で表わされるヒドロシラン化合物と、遷移金属触媒
の存在下で接触させる工程、および、その後、要すれば、アルカリ金属アルコキシドと接触させて、化合物(i−c)を反応させ、その結果として、
一般式(i−d):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(X’)
3−a(R
1)
a (i−d)
[式中、q、m、n、o、a、r、X’およびR
1は、上記と同義である。]
で表わされる有機珪素化合物:および
一般式(ii)および:(i−c−d):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH=CHCH
3 (i−c−d)
[式中、q、m、n、oおよびrは上記と同義である。]
で表わされる含フッ素化合物を含んでなり、ここで、表面処理組成物中の、一般式(ii)および(i−c−d)で表わされる含フッ素化合物の含量は、表面処理組成物基準で25mol%未満である表面処理組成物を得る工程、
を含んでなる表面処理組成物の製造方法を提供する。
【0018】
本発明は特に、有機珪素化合物が一般式(i−d):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(X’)
3−a(R
1)
a (i−d)
[式中、rは0であり、X’は塩素またはアルコキシであり、aは0であり、またq、m、nおよびoは上記と同義である。]によって表わされ
:および
ヒドロシリル化反応は、トリクロロシラン(HSiCl
3)またはトリアルコキシシラン(HSi(OR)
3)と一般式(i−c):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH
2CH=CH
2 (i−c)
[式中、q、m、n、oおよびrは上記と同義である。]
で表わされる化合物との間で行なわれる、表面処理組成物の製造方法を特に提供する。
【0019】
本発明は、工程(d)が、異性体削減剤および遷移金属触媒の存在下、工程(c)で得られた反応混合物をトリクロロシラン(HSiCl
3)と接触させる工程、次いで、アルキルアミンと接触させ、それによ
り、一般式(i−d−i)または(i−d−ii):
F −(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O −(CH
2)
r−C
3H
6−Si−(HNR)
3 (i−d−i)または
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(NR
2)
3 (i−d−ii)
[式中、q、m、n、o、rおよびRは上記と同義である。]
で表わされる有機珪素化合物および一般式(ii)および(i−c−d)で表わされる含フッ素化合物を含んでなる表面処理組成物を製造する工程を
有してなる、表面処理組成物の製造方法をさらに特に提供する。
【0020】
本発明は、精製操作がシリカゲルと溶剤としてのフッ素化炭化水素とが充填されたカラムによって実施される表面処理組成物の製造方法を特に提供する。
【0021】
本発明は、表面処理組成物の使用により高耐久性を有する低表面エネルギー表面を提供する。
【0022】
本発明は表面処理組成物を含有してなる処理層を備えている光学部材、特に反射防止光学部材およびディスプレイ装置を提供する。
【0023】
本発明は、前述の表面を有する無機材料を含有する衛生陶器、自動車および航空機用眼鏡を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明者等は、表面処理組成物がレンズのような基材に適用される時、有機珪素化合物を含む従来の表面処理組成物の成分、および成分の各々の反応性を集中的に研究した。その結果、有機珪素化合物を含む従来の表面処理組成物が、(A)によって
表される有機珪素化合物に加えて、一般式(B)および(C):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−F (B)
[式中、q、m、nおよびoは上記と同義である。]、
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X−(CH
2)
r−CH=CHCH
3 (C)
[式中、q、m、n、o、p、rおよびXは、上記と同義である。]
で表わされる含フッ素化合物を大量に、一般に、表面処理組成物基準で約35〜60mol%含有すること、および含フッ素化合物は、有機珪素化合物の反応により基材上で生成する層が形成される表面処理組成物の層に比較的
遊離して含まれていること、および、したがって、含フッ素化合物は、防汚性の耐久性を減少させることが判明した。
【0025】
これに反して、本発明の表面処理組成物によって、組成中の含フッ素化合物(B)および(C)の含量は表面処理組成物基準で25mol%未満になる。したがって、この表面処理組成物の使用は、防汚特性の高品質および防汚特性の高い耐久性を与える。本発明は、上述の様に、ユニークな知見に基づいて本発明者等によって達成された。
【0026】
含フッ素化合物中で、
成分(ii)は、一般式(i):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−C(=O)F (i)
[式中、q、m、nおよびoは上記と同義である。]
で表わされる成分を含む出発原料混合物の中に既に存在する。
別の
成分(C)および/または(i−c−d):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X−(CH
2)
r−CH=CHCH
3 (C)
[式中、q、m、n、o、p、rおよびXは、上記と同義である];
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH=CHCH
3 (i−c−d)
[式中、q、m、n、oおよびrは上記と同義である]、
は、一般式(i−c):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH
2CH=CH
2 (i−c)
[式中、q、m、n、oおよびrは上記と同義である。]
で表わされる末端アリル化合物からヒドロシリル化中に製造された異性体副産物である。
【0027】
含フッ素化合物(B)および/または(ii)および(C)および/または(i−c−d)の、本発明の表面処理組成物中の含量は、むしろ25mol%未満(合計量基準で、以後、同じ)、好ましくは約20mol以下、より好ましくは約10mol%以下、および特に、5mol%未満である。含フッ素化合物中で、(C)および/または(i−c−d)の含量は、通常少なくとも0.1mol%、例えば
少なくとも1mol%、である。
【0028】
本発明の防汚層のための表面処理組成物は、一般式(A):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(X’)
3−a(R
1)
a (A)
で表わされる有機珪素化合物を含む。
【0029】
一般式(A)では、qは1から3までの整数であり;m、nおよびoは、独立して、0から200までの整数であり;pは1または2であり;Xは酸素または二価の有機基であり;rは0〜17の整数であり;R
1は、不飽和脂肪族結合を有していないC
1−C
22の直鎖状または分岐状炭化水素基であり;aは0から2までの整数であり;および、X’は独立して選択された加水分解可能な基である。
好ましくは、一般式(A)の中で、
m、nおよびoは、独立して、1から150までの整数であり、
Xは酸素原子、またはC
1−C
22の直鎖状または分岐状アルキレン基のような二価の有機基であり;
R
1はC
1−C
22の直鎖状または分岐状アルキル基であり、より好ましくはC
1−C
12の直鎖状または分岐状アルキル基であり;および
X’は、独立して、塩素原子、アルコキシ(OR)基、アルキルアミノ(NHRまたは−NR
2)基またはジアルキルイミノキシ(−O−N=CR
2)基から選択され、Rは独立してC
1−C
22の直鎖状または分岐アルキル基であり、および、2つのR基が環状アミンまたは環式ケトキシムを形成してもよく、および整数aは0である。一般式(A)の中で、−C
3H
6−は、−(CH
2)
3、−CH
2−CH(CH
3)−および、−C(CH
3)
2−を含む。
【0030】
一般式(A)の加水分解可能な基、X’は独立して選択され、以下の式の群が例示される:メトキシ、エトキシル、プロポキシおよびメトキシエトキシ基の様なアルコキシまたはアルコキシ置換アルコキシ基;アセトキシ、プロピオニルオキシおよびベンゾイルオキシ基のようなアシルオキシ基;イソプロペニルオキシ、イソブテニルオキシ基の様なアルケニルオキシ基、ジメチルケトキシム、メチル・エチルケトキシム、ジエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム基の様なイミノオキシ基、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジノおよびピペリジノ基のような置換アミノ基、N−メチル・アセトアミドおよびN−エチルアミド基の様なアミド基、ジメチルアミノキシおよびジエチルアミノキシ基の様な置換されたアミノオキシ基、クロロなどのハロゲン、等。
【0031】
そのような加水分解可能な基の中で、アセトキシ(OAc)、ジメチルケトキシム(ON=CMe
2)、メトキシ(OCH
3)、エトキシル(OC
2H
5)、ジメチルアミノ(−N(CH
3)
2)、ジエチルアミノ(−N(C
2H
5)
2)およびジイソプロピルアミノ(−N(iC
3H
7)
2))の様な、アシルオキシ、イミノキシ、アルコキシおよびジアルキルアミノが望ましく、およびメトキシ(OCH
3)およびジメチルアミノ(−N(CH
3)
2)が、特に望ましい。ジメチルアミノ(−N(CH
3)
2)はさらにより好ましい。そのような加水分解可能な基は、1つの種、または2つ以上の種の組合せとして本発明の表面処理組成物の有機珪素化合物に含むことができる。
【0032】
一般式(C)で表わされる含フッ素化合物の含量は、表面処理組成物に基づき、1.0mol%以上である。
【0033】
一般式(B)および(C)で表わされる含フッ素化合物の含量には、15mol%未満が好適である。
【0034】
一般式(A)および(C)において、pは1であり、また、Xは酸素であり、それは一般式(i−d)および(i−c−d):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(X’)
3−a(R
1)
a (i−d)
[式中、q、m、n、o、a、r、X’およびR
1は、上記と同義である。]、
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH=CHCH
3 (i−c−d)
[式中、q、m、n、oおよびrは上記と同義である。
]
をそれぞれ表わす。
【0035】
一般式(A)、(B)、(C)および(i−c−d)の中で、優先的に、qは3であり、mは10から200までの整数であり、nは1であり、oは0であり、pは1であり、Xは酸素であり、rは0であり、aは0または1である。
【0036】
一般式(A)において、m、nおよびoの合計は好ましくは5以上であり、および特に10以上が好ましい。Xは好ましくは酸素であり、また、rは好ましくは0である。一般式(A)の中で、aは好ましくは0である。
【0037】
本発明はまた、有機珪素化合物を含んでなる表面処理組成物の製造方法であって、該製造方法は:
(a)一般式(i):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−C(=O)F (i)
[式中、q、m、n、oおよびaは前記と同義である。]
で表わされる酸フルオリド化合物;および
および一般式(ii):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−F (ii)
[式中、q、m、nおよびoは前記と同義である。]
で表わされる含フッ素ポリマーを含む原料混合物から、かくして得られる下記一般式(i−b):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2OH (i−b)
[式中、q、m、nおよびoは上記と同義である。]
で表わされるアルコール、および一般式(ii)で表わされる含フッ素ポリマー
を含んでな
る反応混合物を得るアルコール生成反応;
(b) 一般式(ii)で表わされる含フッ素化合物の少なくとも一部を除去するためにカラムクロマトグラフィーによって、工程(a)で得られた反応混合物を精製する工程;
(c) 工程(b)で得られた精製された物質を
Z(CH
2)r−CH
2CH=CH
2
[Zおよびrは前記と同義である。]
で表わされる化合物によるアリル化反応に付して、かくし
て生成した下記一般式(i−c):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH
2CH=CH
2 (i−c)
[式中、q、m、n、oおよびrは上記と同義である。]
で表わされる化合物および一般式(ii)で表わされる含フッ素化合物を含んでなる反応混合物を得る工程;および
(d) 工程(c)で得られた反応混合物を、一般式(iii):
H−Si(X’)
3−a(R
1)
a (iii)
[式中、R
1、aおよびX’は上記と同義である。]
で表わされるヒドロシラン化合物および異性体減少化剤とでヒドロシリル化反応に付す工程、および、その後、要すれば、(d−1)中和剤存在下に脂肪族アルコールでのアルコキ
シ化反応に付すか、または、(d−2)アルコキシ基を有するアルカリ金属アルコキシドとのアルコキシ化反応に付して、
一般式(i−d):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(X’)
3−a(R
1)
a (i−d)
[式中、q、m、n、o、a、r、X’およびR
1は、上記と同義である。]
で表わされる有機珪素化合物、および一般式(ii)および(i−c−d):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−F (ii)
[式中、q、m、nおよびoは前記と同義である。]、
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH=CHCH
3 (i−c−d)
[式中、q、m、n、oおよびrは上記と同義である。]
で表わされる含フッ素化合物を含んでなる反応混合物を得る工程を
有してなり、
ここで、表面処理組成物中の、一般式(ii)および(i−c−d)で表わされる含フッ素化合物の含量は、表面処理組成物基準で25mol%未満である、表面処理組成物
の製造方法を提供する。
【0038】
工程(a)
において、原料混合物は一般に、式(i):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−C(=O)F (i)
[式中、q、m、nおよびoは上記と同義である。]
で表わされる酸フッ化物のみならず、一般式(ii)で表わされる化合物も含んでなる。原料物質混合物中において、一般式(i)で表わされる化合物の割合は、例えば、約45〜85mol%、および、典型的には約65〜75mol%であり、一般式(ii)で表わされる化合物の割合は、例えば、約25〜35mol%、および典型的に、約25〜30mol%である(但し、それらが合計で100mol%を超えないないという条件で)。一般式(i)で表わされる化合物が、一般式(ii)で表わされる化合物の沸点に近い沸点を有するので、原料混合物を蒸留操作に付すことによって一般式(ii)の化合物を
留去するのは非常に難しい。したがって工程(a)の中の反応混合物の中に一般式(ii)の化合物を含んでおり、それは次の精製工程(b)で精製されることになる。
【0039】
アルコール生成反応は、NaBH
4、ジボラン複合体およびLiAlH
4のような還元剤の存在下に行なわれる。その反応は、
非プロトン性溶媒の中、特に、エーテル、例えば、ジグライム(ジエチレングリコール・ジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンおよびヒドロフルオロエーテルの中
で行な
うことが好ましい。一般式(i)で表わされる酸フッ化物に対する還元剤のモル比は、0.9〜4.0、好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは、1.05〜1.5である。反応温度は、10〜250℃、好ましくは20〜200℃、より好ましくは、40〜150℃の範囲にある。反応時間は、1〜24時間、好ましくは3〜20時間、より好ましくは5〜12時間である。
【0040】
工程(b)にお
いて、工程(a)で得られた反応混合物は、カラムクロマトグラフィーを使用した精製操作に付される。一般式(i−b):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2OH (i−b)
[式中、q、m、nおよびoは上記と同義である。]
で表されるアルコールは、一般式(ii)の化合物の極性とは異なる極性を持っているから、カラムクロマトグラフィーの使用によって一般式(ii)の化合物を除去することができる。そのような精製操作によって、一般式(ii)で表わされる化合物は少なくとも部分的に取り除かれ、また、一般式(i−b)で表わされる化合物の、精製された物質中での含量が、上記の反応物質中の含量よりも高い精製された物質が得られる。精製された物質中における一般式(i−b)で表わされる化合物の割合は、例えば約80〜100mol%、および典型的に、約90〜100mol%であり、一般式(ii)で表わされた化合物の割合は、例えば、約0〜20mol%、および典型的に、約0〜10 mol%である(但し、合計で100mol%を超えないという条件で)。しかし本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
精製操作は、固体の吸
着性物質(例えばシリカゲル、表面修飾シリカゲル、活性アルミナ、酸化マグネシウム)のような材料が充填されたカラムによって行なわれてもよい。反応混合物のための溶剤は例えばフルオロカーボンとヒドロフルオロエーテルである。また、溶離溶剤は、例えば、バートレル(登録商標)のようなヒドロフルオロカーボンに基づく液体、パーフルオロヘキサン、HFE(登録商標)のようなヒドロフルオロエーテルである。
【0042】
工程(c)
において、上記の工程(b)で得られた精製された物質は、一般式:
Z−(CH
2)
r−CH
2CH=CH
2
[式中、Zとrは上記と同義である。]
で表わされる化合物によるアリル化反応に付され、かくして得られた一般式(i−c):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH
2CH=CH
2 (i−c)
[式中、q、m、n、oおよびrは上記と同義である。]
で表わされる化合物、および一般式(ii)で表わされる含フッ素化合物、を含む反応混合物を得ることができる。
【0043】
アリル化反応ではハロゲン化水素が発生する
ので、反応を加速するために、無機または有機塩基のようなアルカリ性物質が、好ましくは使用される。塩基の例は、NaOH、KOH、Et
3N、i−Pr
3N、n−Bu
3N、i−Bu
3N、t−Bu
3Nおよびn−Octyl
3Nである。反応は溶媒、例えば、ハイドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、1,3−ビス−トリフルオロメチルベンゼンを用いて実施される。反応温度は、20〜120℃、好ましくは40〜90℃、より好ましくは50〜80℃の範囲にある。反応時間は1〜24h、好ましくは3〜20h、より好ましくは5〜12hである。
【0044】
工程(d)において、工程(c)で得られた反応混合物は遷移金属触媒の存在下、一般式(iii):
H−Si(X’)
3−a(R
1)
a(iii)
[式中、R
1、aおよびX’は、上記と同義である。]
で表わされるヒドロシラン化合物と異性体削減剤でヒドロシリル化反応に付される。工程(c)の反応混合物の中で、一般式(i−c):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH
2CH=CH
2 (i−c)
[式中、q、m、n、oおよびrは上記と同義である。]
で表わされる末端オレフィン化合物だけがヒドロシラン化合物と反応することができ、および、その後、要すれば、中和剤の存在下にC
1−C
22の直鎖状または分岐状の脂肪族アルコールによるアルコキシ化(d−1)の後に、またはC
1−C
22の直鎖状または分岐状脂肪族アルコキシル基を有するアルカリ金属アルコキシドによるアルコキシ化(d−2)の後に、
一般式(i−d):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−C
3H
6−Si(X’)
3−a(R
1)
a (i−d)
[式中、q、m、n、o、r、a、X’およびR
1は、上記と同義である。]
で表わされる有機珪素化合物が得られる。
【0045】
異性体削減剤および遷移金属触媒の存在下に、トリクロロシランと一般式(i−c)によって表わされる化合物の間でヒドロシリル化反応が行なわれることは特に望ましい。また、その後、要すれば、ヒドロシリル化に引き続いて、アルコール(例えばメタノール、エタノール:アルコキシ化反応)による脱塩化水素によってトリアルコキシシラン末端を有する有機珪素化合物(i−d)
を形成することができる。
【0046】
望ましい化合物は次の反応スキームによって製造される。
【0047】
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−
p−X−CH
2(CH
2)CH=CH
2+HSiCl
3→
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X(CH
2)3−SiCl
3
↓+3CH
3OH−3HCl
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X−(CH
2)
3−Si(OCH
3)
3
【0048】
上記の反応スキームでは、qは1から3までの整数であり;m、nおよびoは、独立して、0から200までの整数であり;pは1または2であり;Xは酸素または二価の有機基である。他の望ましい化合物は、上記の反応スキームのHSiCl
3の代わりにHSi(OMe)
3またはHSi(OEt)
3を用いることにより調製され、この方法は、別の工程として脱塩化水素を必要としないという追加利点を有する。
【0049】
脱塩化水素は、トリス(アルキルアミノ)シリル末端を有する有機珪素化合物(i−d)の形成
を与えるアルキルアミン(例えばモノ−、ジ−メチルアミン、モノ−、ジ
−エチルアミン、モノ−、ジ−イソプロピルアミン:アミノ化反応)の使用により好ましくは実施される。
【0050】
具体的には、特に望ましい化合物は次の反応スキームによって製造される。
【0051】
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−
p−X−CH
2(CH
2)CH=CH
2+HSiCl
3→
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X−(CH
2)
3−SiCl
3
↓+3HN(CH
3)
2−3HCl
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−(CH
2)
p−X−(CH
2)
3−Si(N(CH
3)
2)
3
【0052】
上記の反応スキームにおいて、q、m、n、o、pおよびXは上記と同義である。
【0053】
アルコキシ化の場合には、ナトリウムメトキシドまたはトリメチルオル
トギ酸エステルのような酸捕捉剤の使用が脱塩化水素
を促進するために好ま
しい。
他方、アミノ化の場合には
、アルキルアミン自体
が酸捕捉剤として
働き、したがって、アルキルアミンの量は塩素原子の2モル
当量を超える当量であるべきである。
【0054】
ヒドロシリル化中の触媒的VIII族遷移金属には白金またはロジウムが好適である。最も好ましいのは白金である。塩化白金酸
として、または1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの白金錯体として白金を供給すること、またはトリス(トリフェニルホスフィノ)Rh
IClとし
てロジウムを供給することが好ましい。
異性体削減剤もヒドロシリル化工程の間に使用される。ある実施態様において、異性体削減剤はカルボン酸化合物を含有する。カルボン酸化合物は(a)カルボン酸、(b)カルボン酸無水物、(c)シリル化されたカルボン酸、および/または(d)本方法
の反応
において、反応または分解を通じて前述のカルボン酸化合物(つまり、(a)、(b)および/または(c))を生成する物質を含有してよい。これらのカルボン酸化合物の1つ以上の混合物が異性体削減剤として
使用されてもよいことが認識されるべきである。例えば、シリル化されたカルボン酸は、異性体削減剤としてカルボン酸の無水物と組合せて
使用されてもよい。さらに、1種以上
のカルボン酸化合物
の混合物が異性体削減剤として
使用されてもよい。例えば、2つの異なるシリル化されたカルボン酸が協
同して
使用されてもよい。または、2つのシリル化されたカルボン酸が、カルボン酸無水物と協力して
使用されてもよい。
異性体削減剤が(a)カルボン酸を含む場合、カルボキシル基がある
いずれかのカルボン酸も
使用してもよい。カルボン酸の好適例は飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、モノカルボン酸およびジカルボン酸を含む。飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、水素原子などは、これらのカルボン酸中のカルボキシル基以外の構成部分として通常選択されている。適切なカルボン酸の
具体例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、ラウリン酸およびステアリン酸のような飽和モノカルボン酸
;シュウ酸
およびアジピン酸のような飽和ジカルボン酸;安息香酸
およびp‐フタル酸のような芳香族カルボン酸;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、p−クロロ安息香酸およびトリメチルシリル酢酸のような、これらのカルボン酸の炭化水素基の水素原子が、ハロゲン原子または有機シリル基と置き換えられたカルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸およびオレイン酸のような不飽和脂肪酸;およびカルボキシル基に加えて水酸基、カルボニル基またはアミノ基を
有する化合物(すなわち乳酸のようなヒドロキシ酸、アセト酢酸のようなケト酸、グリオキシル酸のようなアルデヒド酸、およびグルタミン酸のようなアミノ酸)などである。
異性体削減剤がカルボン酸の無水
物(b)を含んでなる場合、カルボン酸の無水物の好適例は無水酢酸、無水プロピオン酸および無水安息香酸を含む。カルボン酸のこれらの無水
物は反応系での反応
または分解によって得られてもよく、
反応系は、塩化アセチル、ブチリル塩化物、塩化ベンゾイル、および他のカルボン酸ハロゲン化物、亜鉛10酢酸塩および酢酸タリウムのようなカルボン酸金属塩、および2−ニトロベンジルプロピオ
ネートのような光または熱によって分解されるカルボン酸エステル
を含む。
異性体削減剤がシリル化されたカルボン酸(c)を含んでなる実施態様において、シリル化されたカルボン酸の好適例は、トリアルキルシリル化されたカルボン酸、例えば、トリメチルシリルフォーメート、トリメチルシリルアセテート、トリエチルシリル・プロピオ
ネート、トリメチルシリル・ベンゾ
エートおよびトリメチルシリルトリフルオロアセテート
;ならびに、ジ−、トリ−、または、テトラカルボキシシリレート、例えば、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジ−t−ブトキシジアセトキシシランおよびシリコン・テトラベンゾ
エート
を含む。
異性体削減剤は、一般式(i−c)で表わされる末端オレフィン化合物の合計量基準で、0.001〜20
重量%、それに代えて0.01〜5
重量%、それに代えて0.01〜1重量
%の量
で典型的に
使用される。異性体削減剤として適切な市販のシリル化されたカルボン酸の例は、ミシガン州・ミッドランドのDow Corning株式会社から入手可能な、DOW CORNING(登録商標)ETS 900およびXIAMETER(登録商標)OFS−1579シランである。
【0055】
ヒドロシリル化反応は、異性体削減剤および反応完結まで反応を加速させる十分な遷移金属触媒の存在下に、水素化珪素の過剰で、適切な時間および温度で、一般式(i−c)で表される化合物を反応させることにより進行する。
任意に、適切な溶剤が、混合を促進するために添加されてもよい。核磁気共鳴または赤外分光学のような様々な機器分析方法が、反応進行をモニターするために使用される。例えば、好ましい条件は、
フッ素化合物(i−c)の量基準
で、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの白金錯体として供給された触媒、つまりVIII族遷移金属として、0.001〜10mmolのPt、および0.01〜1重量
%の異性体削減剤を使用して、フッ素化合
物1mol当たり1.05〜30molのトリクロロシランで1〜10時間30〜90℃の条件である。
過剰の水素化珪素
は、容易に減圧蒸留によって反応生成物から取り除くことができる。
【0056】
トリクロロシランがヒドロシリル化に使用される場合、第2の反応(アルコキシ化)は、最初の反応で得られた化合物の1mol当たりオル
トギ酸メチルエステルとメタノールの混合物の0.05〜10モル過剰量を1〜10時間、30〜70℃で反応させることにより好ましくは行なわれる。核磁気共鳴または赤外分光
のような様々な
機器分析法が、反応進行をモニターするために使用することができる。
過剰のオル
トギ酸メチルエステルとメタノール
を、容易に減圧蒸留によって反応生成物から取り除くことができる。別の反応としてアミノ化の場合には、アルキルアミンの6モル当量を超える量が必要である。
なぜなら、3モル当量のアミンが塩素原子の置換反応用に、および更なる3モル当量のアミンがSiCl
3の1モル当たり脱離する3モル当量のHClの中和用に必要だからである。
【0057】
一般式(ii):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−F (ii)
[式中、q、m、nおよびoは上記と同義である。]
で表わされる含フッ素化合物は、ヒドロシラン化合物
と反応することができない。したがって、それは反応混合物において反応しないままである。
【0058】
ヒドロシリル化反応では、一般式(i−c)で表わされる末端オレフィンの化合物のある程度の部分が、一般式(i−c−d):
F−(CF
2)
q−(OC
3F
6)
m−(OC
2F
4)
n−(OCF
2)
o−CH
2O−(CH
2)
r−CH=CHCH
3 (i−c−d)
[式中、q、m、n、oおよびrは上記と同義である。]
で表わされる内部オレフィン化合物に異性化されることが
判明した。
ヒドロシラン化合物
に対するこの内部オレフィン化合物の反応性は非常に低い。したがって、この化合物は一般に反応混合物において反応しないままで、耐久特性を減少させ得る。ヒドロシリル化工程からの内部オレフィン化合物(i−c−d)の副生量は、表面処理組成物基準で約10〜20mol%であ
ってよい。
したがって、本発明では、含フッ素化合物(B)+(C)、または(ii)+(i−c−d)の合計含有量は表面処理組成物基準で25mol%未満であるようにコントロールされるべきである。
【0059】
本発明による表面処理組成物は、カップリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、均染剤(レベリング剤)、色素
、触媒のような適切な他の
成分を含んでいてよい。
【0060】
本発明の別の
態様によれば、表面処理された物品が提供され、それは
基材、および
基材の表面上で本発明の表面処理組成物によって形成された層(または薄膜)
を
有してなる。
【0061】
基材の表面上で表面処理組成物によって形成された層にはよい防汚性(または汚れ抵抗性)特性および高い耐久性がある。さらに、この層が
透明性および光透過率
のような高い透過率を示すので、本発明の表面処理組成物は透光度を要求する
光学材料の使用に適している。
【0062】
もし本発明の表面処理組成物によって表面改質を促進するために必要ならば、
任意の触媒を使用することができる。これらの触媒は、有機珪素官能基と基材表面
の間の反応を促進する。これらは、単独で、または、2種以上の組合せとして使用でき、本発明の表面改質組成物を形成する。好適な触媒化合物の例としては、
酸、塩基、ジブチル錫オクトエート、ステアリン酸鉄、オクタン酸鉛などのような有機酸の金属塩、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラブチルのようなチタン酸エステル、アセチルアセトナト・チタンのようなキレート化合物などが挙げられる。
任意の触媒を、有機珪素化合物100重量部に対して、好ましくは0〜5重量部、より好ましくは0.01〜2重量部の範囲の量
で使用する。
【0063】
本発明の表面処理組成物は、有機溶媒のような液媒を含んでいてもよい。有機珪素化合物とフッ素化合物を含んでなる表面処理組成物の濃度は、重量で0.01〜80%が好適である。有機溶媒は、有機溶媒が本発明の組成物に含まれる成分(特に、
反応性有機シリコーン化合物)と反応しない限りにおいて、有機シリコーン化合物を溶解することが好ましいさまざまな溶媒であってよい。有機溶媒の例としては、含フッ素アルカン、含フッ素ハロアルカン、含フッ素芳香族化合物および含フッ素エーテル(例えばヒドロフルオロエーテル(HFE))のような含フッ素溶媒を含む。
【0064】
表面処理層を形成するために本発明の表面改質組成物で処理される基材は、特に限定されない。基材の例としては、無機基材、例えば、ガラス板、無機層を
有して成るガラス板、セラミック;ならびに、有機基材、例えば、透明プラスチック基材、および無機層を
有して成る透明プラスチック基材;などを
有してなる光学部材が挙げられる。その様な材料を含んでなることができる光学部材
は限定されず、また、例として、反射防止フィルム、光学フィルター、光学レンズ、眼鏡レンズ、ビームスプリッター、プリズム、鏡など
を挙げることができる。
【0065】
無機材料の例はガラス板を含む。無機層を
有してなるガラス板を形成するための無機化合物の例は、金属酸化
物(シリコン酸化物(二酸化ケイ素、一酸化
ケイ素など)、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化ナトリウム、酸化アンチモン、
酸化インジウム
、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、ITO(インジウム錫オキサイド)
など)を含む。
【0066】
そのような無機化合物を含んで成る無機層または無機
材料は、単一層または、多層であってよい。無機層は反射防止層として働き、既知の方法、例えば湿潤被覆、PVD(物理蒸着)、CVD(化学蒸着)によって形成できる。湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、および類似の方法が挙げられる。PVD法の例としては、真空蒸着、反応性析出、イオンビーム補助析出、スパッタリング、イオン表面被覆および類似の方法が挙げられる。
【0067】
使用可能な有機基材の中で、透明プラスチック基材の例としては、さまざまな有機ポリマーを含んで成る基材が挙げられる。透明度、屈折率、分散性および類似の光学的性質ならびにさまざまな他の特性(例えば耐衝撃性、耐熱性および耐久性)の観点から、光学部材として使用する基材は、通常、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン66など)、ポリスチレン、
ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、アクリル、セルロース(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロハンなど)またはこれら有機ポリマーのコポリマーを含んで成る。これらの基材は、本発明で処理できる透明プラスチック基材の例として挙げることができる。特に、これらの材料は眼科要素のような光学部品
に含まれてよい。眼科用要素の非限定的例は、二重焦点レンズ、三焦点レンズおよび累進多焦点レンズ(それらは区分けされてもよいし、区分けされなくてもよい)のような、単一視または多重視レンズを含む矯正用および非矯正用レンズを含み、同様に、
限定的にコンタクトレンズ、眼内レンズ、
拡大鏡、および保護レンズまたはサンバイザーを含む、矯正用、保護用、または視力増強用に用いられる他の要素を含む。眼科要素の好ましい材料は、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエチレン・テレフタレートおよびポリカーボネート共重合体、ポリオレフィン、特にポリノルボルネン、ジエチレン・グリコール−ビス(アリルカーボネート)ポリマー(CR39として知られている)および共重合体、(メタ)アクリルポリマーおよび共重合体、特に(メタ)アクリルポリマーおよび共重合体、ビスフェノールAに由来する共重合体、チオ(メタ)アクリルポリマーおよび共重合体、ウレタンおよびチオウレタンポリマー、また共重合体、エポキシ・ポリマーおよび共重合体、およびエピスルフィドポリマーおよび共重合体から選ばれた1つ以上のポリマーを含む。
【0068】
使用可能な材料の例は、既知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、潤滑
剤、着色剤、抗酸化剤、難燃剤を、有機ポリマーに添加することによって製造されたものを含む。
【0069】
無機層を有機基材の上に形成することによって製造された基材を、本発明の基材としての使用することが可能である。この場合、無機層は、反射防止層として働いて、上記のような方法によって有機基材の上に形成できる。
【0070】
処理すべき無機基材または有機基材は、特に限定されない。光学部材として使用する透明プラスチック基材は、通常、フイルムまたはシートの形態である。フイルムまたはシートの形態のこの
ような基材をも、本発明の基材として使用できる。フイルムまたはシートの形態の基材は、単層体または複数の有機ポリマーの積層体であってよい。厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.01〜5mmである。
【0071】
ハードコート層は、基材の表面の硬度を改良し、更には基材の表面を平坦にしおよび滑らかにし、このようにして、透明プラスチック基材と無機層との間の接着力を高める。従って、鉛筆および類似の負荷によって生じる引っ掻き傷を防止できる。さらに、ハードコート層は透明プラスチック基材の屈曲によって生じる無機層のひび割れを防止することができる。このように、光学部材の機械的強度を改良できる。
【0072】
透明度、適当な硬度および機械強度を有する限り、ハードコート層の材料は特に限定されない。例えば、熱硬化性樹脂、および電離放射線または紫外線照射によって硬化する樹脂を使用可能である。紫外線硬化アクリル樹脂、有機シリコーン樹脂および熱硬化性ポリシロキサン樹脂が特に好ましい。このような樹脂の屈折率は、好ましくは透明プラスチック基材の屈折率に等しいかまたは接近している。
【0073】
上記のような基材を、本発明の反射防止光学部材の透明基材として使用できる。特に、表面上の反射防止層を有して成るそのような基材は、反射防止層を有して成る透明基材であ
ってよい。本発明の反射防止光学部材は、防汚層をそのような基材の表面の上に形成することによって得ることができる。
【0074】
そのような光学部材に加えて、本発明の表面改質組成物は、自動車または航空機用の窓部材に適用でき、高度な機能を
与える。更に表面硬度を改良するために、本発明の表面改質組成物とTEOS(テトラエトキシシラン)との組合せを使用するいわゆるゾル−ゲル法によって表面改質を行うことも可能である。
【0075】
ナノインプリント法における離型剤として本発明の表面改質組成物を用いると、精密な離型を容易に達成できる。表面を本発明の表面改質組成物で処理する場合に、改質剤はほぼ単層の状態に拡散し、その結果、得られる層はわずか数ナノメートルの厚さを有する。そのような厚さにもかかわらず、以下に実施例に示すように、表面を110度以上の水の接触角を有し、5度以下の水の転落角を有する表面を形成することが可能である。
【0076】
本発明の表面処理組成物は、優れた撥液性を有しており、リソグラフィーおよびデバイス形成に応用できる。
【0077】
さらに、セラミック材料の表面を処理することによって、メンテナンス容易な衛生陶磁器および外壁を製造することも可能である。
【0078】
処理層を形成する方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法および乾燥被覆法を使用できる。
【0079】
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング
法、スピンコーティング
法、フローコーティング
法、スプレーコーティング
法、ロールコーティング
法、グラビアコーティング
法および類似の方法が挙げられる。
【0080】
乾燥被覆法の例としては、真空蒸着
法、スパッタリング
法、CVD
法および類似の方法が挙げられる。真空蒸着法の具体例としては、抵抗加熱
法、電子ビーム
法、高周波加熱
法、イオンビーム
法および類似の方法が挙げられる。CVD
法の具体例としては、プラズマ−CVD
法、光学CVD
法、熱CVD
法および類似の方法が挙げられる。
【0081】
さらに、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
【0082】
湿潤被覆法を使用するときに、使用可能な希釈溶媒は特に限定されない。組成物の安定性および揮発性の観点から、次の化合物が好ましい:5〜12の炭素原子を有するパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);
ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);
ポリフルオロ脂肪族炭化水素、パーフルオロブチルメチルエーテルおよび類似のHFEなど。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。
【0083】
湿潤被覆法は、複雑な形状および/または大面積を有する基材のために使用することが好ましい。
【0084】
一方では、防汚層を形成する時の作業環境を考慮して、希釈溶媒を必要としない乾燥被覆法が好ましい。真空蒸着法が特に好ましい。
【0085】
乾燥または湿潤被覆法によって防汚層を基材の上に形成した後に、必要に応じて、加熱、加湿、光照射、電子線照射などを行うことができる。
【0086】
本発明の防汚剤を用いて形成した防汚層の厚さは、特に限定されない。防汚性の点から1〜30nm、が好ましく、1〜10ナノメートルの範囲が、光学部材の光学性能および耐引っ掻き性の点から、より好ましい。
【0087】
本発明は、特に次の例によってさらに説明されが、本発明はこれらの例に制限されない。
【0088】
本明細書中の有機珪素化合物または含フッ素化合物の組成は、以下の様に分析される。
ポリマー組成(
1H−NMR、
19F−NMR、IRによる)
平均分子量は
19F−NMR測定の結果から計算される。また、混合物でのそれぞれの
成分のモル比(mol%)は、
1H−NMR測定の結果から計算される。本明細書中の全体にわたる「平均分子量」は、数平均分子量を意味する。
収率は、有機珪素化合物および含フッ素化合物の両方の前駆体に関しての理想的な場合においては、反応性のある含フッ素化合物の前駆体が全て狙った反応生成物へ転化するとして100%として
設定される条件付きで計算される。
【実施例】
【0089】
実施例1
本実施例は、上述した本発明による表面処理組成物及びそれを製造する方法に関する。
【0090】
工程(a):
使用した原料混合物は下記化学式:
F−(CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2−COF
で表わされるω−フルオロポリパーフルオロオキセタンアシルフルオリド(平均分子量:4000)の700g(0.175モル)、および、下記化学式:
F−(CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
3
で表わされるパーフルオロポリオキセタンの300g(0.075モル)(平均分子量:4200)の混合物であった。
【0091】
窒素気流下、攪拌機、滴下漏斗、還流コンデンサーおよび温度計を装備した3.0Lの4つ口フラスコに、330gのジグライムを充填した。また、11.4gのNaBH
4(0.3モル)を攪拌下にそれに添加した。上記の原料混合物を、10mL/分の割合でそれに滴下した。滴下の完了後、液相の温度を約110℃まで上げ、この反応温度で8時間反応を進行させた。反応の後、フラスコ内容物を40℃以下に冷却して、700gのパーフルオロヘキサンをそれに添加して、引き続き10分間攪拌を継続した。それを5℃以下までさらに冷却して
、イオン交換水140mLを滴下した。次に、1000gの3N−HCl溶液を滴下した後、液相を、分液漏斗を使用して2相(上相および下相)
に分離して、下相(有機相)を分離して得た。かくして得られた有機相を、3N−HCl溶液/アセトン(340g/340g)で3回洗浄した。減圧下での蒸留により揮発性の部分を完全に除去した結果、950gの反応混合物(収率95%)を得た。
【0092】
得られた反応混合物のIR分析によって、−C(=O)Fに由来する1890cm
ー1の吸収が完全に消失して、−CH
2OHに由来する3300cmの
−1の吸収が新しく現われた。したがって、反応混合物は
下記化学式:
CF
3CF
2CF
2−(OCF
2CF
2CF
2)
a−O−CF
2CF
2−CH
2OH
で表わされるパーフルオロポリオキセタンアルコール、および、下記化学式:
CF
3CF
2CF
2−(OCF
2CF
2CF
2)
a−O−CF
2CF
3
で表わされるパーフルオロポリオキセタンの混合物と認められた。
【0093】
この反応混合物では、パーフルオロポリオキセタンアルコール(平均分子量4000)の含量は70mol%であった。また、パーフルオロポリオキセタン(平均分子量4200)の含量は30mol%であった。
【0094】
工程(b):クロマトグラフィーによる精製工程:
工程(a)から得られた反応混合物を、シリカゲル(溶媒:DuPontからのバートレル(登録商標)XF)が充填されたカラムによるクロマトグラフィー分離にかけた。その結果として、化学式:
CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)a−O−CF
2CF
2−CH
2OH
によって表わされるパーフルオロポリオキセタンアルコールから本質的に成る、660gの精製された物質(純度98mol%)を得た。精製された物質中において、下記の化学式:
CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)a−O−CF
2CF
3
によって表わされるパーフルオロポリオキセタンの含量は2mol%であった。
【0095】
工程(c):アリル化反応: 窒素気流下、攪拌機、滴下漏斗、還流コンデンサーおよび温度計を装備した3.0Lの4つ口フラスコに、500g(0.125、mol)の混合物(CF
3CF
2CF
2−(OCF、
2CF
2CF
2)
a−O−CF
2CF
2−CH
2OH/CF
3CF
2CF
2−(OCF、
2CF
2CF
2)
a−O−CF
2CF
3=98mol%/2mol%)を加え、攪拌下に、300gの1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを添加した。10gの水酸化ナトリウム(0.25mol)を添加した後に、液相の温度を約65℃まで上げ、この反応温度で4時間反応を進行させた。4時間の後、30gの臭化アリル(0.24mol)を添加した。臭化アリルの添加の後、65℃で8時間反応を進行させた。反応の後、フラスコ内容物を40℃以下に冷却し、200gのパーフルオロヘキサンをそれに添加して、10分間、攪拌を継続した。それを5℃以下にさらに冷却し、150gの3N−HCl溶液を滴下し、液相は分液漏斗を使用して2相(上相および下相)に分離し、および、下相(有機相)を分離して得た。かくして得られた有機相
を、3N−HCl溶液/アセトン(150g/150g)で3回洗浄した。減圧下での蒸留による揮発性部分の完全除去の結果、480gの反応混合物(96%収率)を得た。
1H−NMRおよび
19F−NMR分析によって、得られた反応混合物は、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
22OCF
2CF
2CH
2OCH
2CH=CH
2およびCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
22OCF
2CF
3(比率は98mol%/2mol%である)の混合物と認められた。
【0096】
工程(d)(1)
:トリクロロシランによるシリル化、続いてアルコキシ化:
磁気攪拌子、水還流冷却器、温度制御および空間部乾燥窒素パージを装備した300mLの3つ口フラスコに、80.0gのCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH
2CH=CH
2およびCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
3(混合率は98mol%/2mol%、FWは4521g/モルである)、40.0gの1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、0.24gのDow Corning(登録商標)ETS900、および4.06gのトリクロロシランを添加した。内容物を60℃まで加熱し、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサンで錯体化されたPt金属
を80分間で徐々に添加した。内容物を、さらに120分間65℃で維持して、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH
2CH
2CH
2SiCl
3、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH=CHCH
3およびCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
3の混合物を得た。残余のトリクロロシランおよび溶剤を反応混合物から真空下で留去した後に、10.0gのオル
トギ酸トリメチルエステル、10.0gのメタノールおよび20.0gの1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを添加した。フラスコの内容物を、クロロシランのメトキシ化を促進するために3時間60℃で維持した。過剰の試薬は真空下で留去した。活性炭(4.0g)を添加した。生成物を、0.5ミクロンの
膜上のセライト濾過助剤床を通して濾過した。混合生成物(X):
CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH=CHCH
3およびCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
3(混合率は、81mol%/17mol%/2mol%である。)を濾液として分離した。赤外線と核磁気共鳴スペクトル測定法による分析は、CH
2=CHCH
2OおよびSiCl官能基の完全な消失を示した。
【0097】
下記工程(i)〜(iii)は、眼科用レンズの防汚性処理、およびその結果として得られるレンズに関する。
【0098】
(i)眼科用レンズの前処理:
コーティング
をCR39.RTMベースの眼科用レンズである基板上で
行い、該レンズはその両面に特許公報EP614957の中の実施例3に対応するポリシロキサン型の
耐摩耗コーティングを有してなる。レンズ
を超音波洗浄器中で洗浄
し、100℃の温度で最小3時間スチーム処理
する。こうして、レンズの処理準備が整う。処理されるレンズは円形レンズである。
【0099】
(ii)レンズの
調製(反射防止および疎水性/親油性コーティングを有するレンズの製造):
使用する真空処理機械は、ジュール効果を
有し、電子銃、イオン銃および蒸発源を備えるLeybold光学からのSyrus3型機である。イオン銃、蒸発源
に面する凹面、および
処理すべきレンズ
を収容することを意図した環状開口部を備える
カルーセルにレンズを置
く。
第2の真空に到達するまで、真空引き
を行
う。
次いで、連続的蒸発
を電子銃
により行い、4つの反射防止光学層が生成する;高指数(IH)、低指数(BI)、HI、BI:ZrO
2、SiO
2、ZrO
2、SiO
2。
最後に、上記で得られた反応混合物(X)
の疎水性で親油性のコーティング層を蒸発によっ
て析出させる。
上記で得られた反応混合物(X)の所定量を、ジュール効果ルツボ(タンタル・ルツボ)中の直径18mmの銅カプセル中に置く。疎水性で親油性のコーティングが1〜5nmの厚みで、蒸発によって析出する。
析出した厚さは石英モニターを使用して測定する。
続いて、囲いを再び加熱し、また、処理室
を大気圧に戻す。
その後、レンズを上下逆さまにして、凸面を処理領域の方へ向かせる。凸面を凹面と同一に処理する(上記の工程(ii)を
繰り返す)。
【0100】
(iii)試験および測定:
(iii−1)耐久性操作A:
FACOLからの「マイクロファイバーM840S 30X40」を1分間25℃で水に浸漬し、次に、空気中へ取り出す。次いで、このマイクロファイバーを使用して、撥水性被膜を有するプラスチックレンズの表面を、3.5kgの荷重をかけ
ながら(25℃の空気、40〜60%の湿度の中で)前進および後退動作(1サイクルは、1前進プラス1後退に対応する)
によって、1200回(すなわち600のサイクル)、2400回(すなわち1200サイクル)、3600回(すなわち1800サイクル)、4800回(すなわち2400サイクル)、および6000回(すなわち3000のサイクル)機械的に摩擦し、および、静的接触角
を600の摩擦サイクルごとに測定する。機械的摩擦装置は、7分で600サイクルに達する様に設定する。
(iii−2)耐久性操作B:
FACOLからの「マイクロファイバーM840S 30X40」を1分間25
℃で水に浸漬し、次に、空気
中へ取り出す。次いで、このマイクロファイバーを使用して、撥水性被膜を有するプラスチックレンズの表面を、3.5kgの荷重をかけ(25℃の空気、40〜60%の湿度の中で)前進および後退動作(1サイクルは、1前進プラス1後退に対応する)
によって、2400回(すなわち1200サイクル)、4800回(すなわち2400サイクル)、7200回(すなわち3600サイクル)、9600回(すなわち4800サイクル)、および12000回(すなわち6000のサイクル)機械的に摩擦し、および、静的接触角
を1200の摩擦サイクルごとに測定する。機械的摩擦装置は、14分で1200サイクルに達する様に設定する。
(iii−3):水に対する静的接触角:
接触角メーター(KRUSS Advancing Surface Scienceによっ
て製造されたDSA100)を用い、4マイクロリットルの体積を有する水滴を、25
℃で針を使用してレンズの凸面の最上部の部分に置く。液滴と表面の間の角度が「水に対する静的接触角」として定義される。この角度は、DSA100の「液滴形状分析」ソフトウェアを使用して測定される。この技術とこの装置を使用して、測定中の不確実性は+/−1.3°である。
【0101】
実施例2
上記のプロセスに従って実験を行なった。3つのレンズを、上記の耐久性試験法Aを使用して試験した。また、各工程の各レンズについては、3回の静的な接触角測定を行った。表1は、3つのレンズ上で行われた3回の測定を使って計算した平均値を示す:
【0102】
備考:「@3.5kg」は、サイクル毎に適用された荷重を意味する。
【0103】
この実施例は、防汚性コーティングが600サイクルの後に少々損傷を受けたことを示すが、しかしながら、この実施例は、コーティングの非常に高い耐久性を実証している。実に、接触角は1200〜3000サイクルまで安定していて、高い水準にとどまっている。
【0104】
比較例1
実施例1と同様の操作によって混合生成物(XX)を得た。但し、工程(b)は実施せずに、工程(a)から得られた反応混合物を、工程(b)から得られた精製された物質の代わりに工程(c)で使用し、また、そこから得た反応混合物を工程(d)に使用し、その際にDow Corning(登録商標)ETS900は添加しなかった。
【0105】
混合生成物(XX)の中で、シラン官能性パーフルオロポリエーテルの含量は28mol%、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
22OCF
2CF
3の含量は30mol%、およびCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
22OCF
2CF
2CH
2O−CH=CHCH
3の含量は42mol%であった。
【0106】
実施例3
混合生成物(XXX)を、実施例1と同様の操作によって得た。含まれていた混合生成物(XXX)は、
CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH=CHCH
3およびCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
3(混合率は、77mol%/21mol%/2mol%である。)であった。
【0107】
比較例1からの混合生成物(XX)、または実施例3からの混合生成物(XXX)を使用した以外は、表面処理レンズを実施例2と同じ操作によって製造した。耐久性操作Bを、処理を比較するために使用した。結果を表2に示す。
【0108】
備考:「@3.5kg」は、サイクル毎に適用された荷重を意味する。
【0109】
表2において、混合生成物(XXX)を使用する実施例2と比較例1(混合生成物(XX))の結果とを比較することによって、精製工程(b)が、防汚層の表面エネルギーを低下させ、および耐久性を増加させることに対して非常に寄与することが明白に理解される。
【0110】
実施例4
工程(d)(1)中のアルコキシ化反応を、以下のようにアミノ化反応と置き替えた以外は、実施例1と同様の操作によって反応混合物(YY)を得た:
工程(d)(1):トリクロロシランによるシリル化、その後、アミノ化:
磁気攪拌子、水還流冷却器、温度制御および空間部乾燥窒素パージを装備した100mLの3つ口フラスコ中に、36.78gのCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH
2CH=CH
2およびCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
3(混合率は、98mol%/2mol%、FWは4070g/モルである。)、18.91gの1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、0.0879gのDow Corning(登録商標)ETS900および7.72gのトリクロロシランを添加した。内容物を60℃まで加熱し、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサンで錯体化されたPt金属上に3.25時間で徐々に添加した。内容物を更に30分間60℃で維持して、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH
2CH
2CH
2SiCl
3、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH=CHCH
3およびCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
3の混合物を得た。残余のトリクロロシランおよび溶剤を反応混合物から真空下で留去した。
その混合物を、磁気攪拌子、ドライアイス(CO
2)冷却還流冷却器、温度計および空間部乾燥窒素パージを装備した250mLの3つ口フラスコに87.04gのパーフルオロヘキサンと共に移し、その後、37gの無水のジメチルアミン中で縮合させて、7℃まで反応混合物を冷却した。ドライアイスは蒸発するに任せ、内容物を一晩かけて室温まで暖め、その結果、過剰のジメチルアミンはパージされた。活性炭(0.33g)を添加した。生成物は、5ミクロンの
膜上のセライト濾過助剤床を通して濾過した。混合生成物(YY):
CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(NMe
2)
3、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
3、および
CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH=CHCH
3(混合率は、85mol%/2mol%/13mol%である。)を、濾液として分離した。赤外線と核磁気共鳴スペクトル測定法による分析は、CH
2=CHCH
2OおよびSiCl官能性の完全な消失を示した。
【0111】
実施例5
合成は、追加の工程でメトキシ化しなくてはならないことを回避するために、トリメトキシシランによって
工程(d)のヒドロシリル化を行ったことを除いて、実施例1の操作に従って繰り返した。
磁気攪拌子、水還流冷却器、温度制御および空間部乾燥窒素パージを装備した100mLの3つ口フラスコ中に、20.5gのCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH
2CH=CH
2およびCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
3(混合率は、98mol%/2mol%、FWは4521g/モル、である。)、10.0gの1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、0.06gのDow Corning(登録商標)ETS900および1.94gのトリメトキシシランを添加した。内容物を60℃まで加熱し、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサンで錯体化されたPt金属上に0.5時間、徐々に添加した。内容物をさらに50分の間60℃で維持して、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH=CHCH
3およびCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
3の混合物を製造した。残余のトリメトキシシランおよび溶媒を反応混合物から真空下に留去した後に、1.1gの活性炭を添加した。生成物は、0.5ミクロン
膜上のセライト濾過助剤床を通して濾過した。混合生成物:
CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3、CF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
2CH
2OCH=CHCH
3およびCF
3CF
2CF
2(OCF
2CF
2CF
2)
xOCF
2CF
3(混合率は、81mol%/17mol%/2mol%である。)を、濾液として分離した。赤外線と核磁気共鳴スペクトル測定法による分析は、CH
2=CHCH
2O官能性の完全な消失を示した。
【0112】
実施例4からの反応混合物(YY)を使用したこと以外は、実施例2と同じ操作によって表面処理レンズを製造した。3つのレンズを、上記の耐久性操作Bを使用して試験した。また、各工程の各レンズについては、3回の静的接触角測定を行なった。表3は、3のレンズ上で行われた3回の測定を使用して計算された平均値を示す:
【0113】
備考:「@3.5kg」は、各サイクルに適用された荷重を意味する。
【0114】
表3の結果は、コーティングの非常に高い耐久性を実証している。実に、接触角は1200〜6000のサイクルまで安定していて、高水準に留まっている。
【0115】
さらに、光学機能部材に、本発明の反射防止光学部材または光学要素を結合することによって得られた光学機能部材(例えば、偏光板)は、その表面上に形成された、上述の優れた機能および高い耐久性を有する処理層を有している。したがって、例えば、さまざまなディスプレイ(液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、映像ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネセンスディスプレイなど)のディスプレイスクリーンの前パネルに結合されるときに、本発明の高い画像認識性が備わった表示装置を提供する。
【0116】
更に、本発明の表面処理組成物を使用して、材料表面上で形成された処理層は非常に薄く、かくして、非常に正確な加工可能性および優れたミクロ機械加工特性を有している。