特許第5774050号(P5774050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774050ノルボルネン化合物のUV−VISスペクトルを、それを用いる重合法に相関させるための方法、並びに関連精製方法および組成物
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  • 特許5774050-ノルボルネン化合物のUV−VISスペクトルを、それを用いる重合法に相関させるための方法、並びに関連精製方法および組成物 図000006
  • 特許5774050-ノルボルネン化合物のUV−VISスペクトルを、それを用いる重合法に相関させるための方法、並びに関連精製方法および組成物 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774050
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】ノルボルネン化合物のUV−VISスペクトルを、それを用いる重合法に相関させるための方法、並びに関連精製方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/18 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   C08F210/18
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-96583(P2013-96583)
(22)【出願日】2013年5月1日
(62)【分割の表示】特願2009-520777(P2009-520777)の分割
【原出願日】2007年7月13日
(65)【公開番号】特開2013-173947(P2013-173947A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2013年5月2日
(31)【優先権主張番号】60/831,404
(32)【優先日】2006年7月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ラメージ,デービッド,エル.
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,サラ,エル.
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−045110(JP,A)
【文献】 特開2005−145855(JP,A)
【文献】 特開2005−314642(JP,A)
【文献】 特開2002−249521(JP,A)
【文献】 特開2002−284716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 10/00−10/14
C08F 110/00−110/14
C08F 210/00−210/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン、プロピレンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンを含む混合物の重合の「期待触媒効率パーセント」を決定するための方法であって:
(1)経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチリデン−2−ノルボルネンの生サンプルにおいて、不純物のレベルを以下のUV吸光度:320nmおよび343nmで測定し、かつこれら2つの吸光度の合計(SUM)を決定すること、および
(2)「期待触媒効率パーセント(% Expected Cat. Eff.)」を以下の式:% Expected Cat. Eff.=100×(1.185−0.749×SUM)に従って算出すること、を含み、
前記重合をバッチ反応器において行い、
前記重合を溶液中で行い、
前記重合を少なくとも1種類の拘束幾何触媒の存在下で行う、前記方法。
【請求項2】
320nmおよび343nmの吸光度の合計が0.31以下である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
320nmおよび343nmの吸光度の合計が0.25以下である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来の出願の参照
本願は、2006年7月17日出願の米国仮出願第60/831,404号(これは参
照によりここに完全に組み込まれる)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、5−エチリデン−2−ノルボルネンの純度を評価するための方法および不純
物レベルを、改善された触媒効率を含む、改善された重合反応に相関させるための方法に
関する。本発明は、精製方法並びに5−エチリデン−2−ノルボルネンおよび低レベルの
各不純物を含む組成物にも関する。加えて、本発明は、記載される重合方法並びにそのよ
うな方法およびそれを含む組成物から形成されるポリマーに関する。
【0003】
このジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)は、エチレン−プロピレン
−ジエン修飾(EPDM)ポリマーを溶液および気相重合で製造するのに重要な原料であ
る。これらの重合においては、エチレン、プロピレンおよびENBを三元重合させてEP
DMを生成する。典型的なEPDMにおいて、ENBの量は、製造される特定のポリマー
に依存して、約0.1重量パーセントから約15重量パーセントまで変化する。
【0004】
ENBは、典型的には、2工程プロセスで製造される。第1工程においては、シクロペ
ンタジエンおよびブタジエンをディールス・アルダー反応に処してビニルノルボルネンを
得る。第2工程においては、そのビニルノルボルネンを活性金属もしくは塩基性触媒でE
NBに異性体化する。この2工程プロセスの反応スキームを以下に示す。
【化1】
【0005】
ENBの品質はEPDM重合における良好な触媒効率に重要である。したがって、EN
Bは、触媒毒として作用し得る残留化合物(例えば、シクロペンタジエン)が非常に低い
レベルで存在するように製造および精製しなければならない。加えて、ENBは、それが
酸素と非常に反応し易く、ゴム形成(ポリENB)および酸化ENB誘導体につながるた
め、空気から保護されなければならない。ENBは、通常、その酸化安定性を維持するた
め、不活性雰囲気、例えば、窒素中で保存される。加えて、ラジカルスカベンジャーもし
くは阻害剤、例えば、4−tert−ブチルカテコール(TBC)および/または2,6
−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)をENBに添加して副反応を
阻害することができる。
【0006】
ENBの品質は様々な従来の分析、例えば、ガスクロマトグラフィー(GC)、比色分
析および水分析によって評価される。これらの従来のENB分析によって測定される特性
が、典型的には、適切な多くのENBの使用基準を設定するのに用いられる。しかしなが
ら、しばしば、典型的に用いられる分析のすべての基準を満たす多くのENBが、触媒重
合反応においては働きが不十分である。従来のENB分析の許容可能な触媒性能を生じる
ENBとそうではないENBとの区別の失敗は、これらの従来の分析の感度が不純物の阻
害レベルを検出するのに不十分であり、および/または、これらの従来の分析が触媒効率
を阻害するすべての不純物を測定するものではないことを示す。
【0007】
Applied Analytics, Inc.は、フォトダイオードアレー分光法
による5−エチレン−2−ノルボルネンにおける不純物の迅速なオンライン検出法を公表
した(Process Anaylzers Newsletter, Feb. 20
06)。この方法は、320nmの吸光度および343nmの内部参照を測定することに
より、不純物の存在を迅速に検出可能であるものとして開示された。しかしながら、重合
もしくは重合触媒効率に関して、5−エチレン−2−ノルボルネンの特徴付けは示されな
かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
典型的には一組で重合反応に用いられる、ENBの品質を評価するより高感度の特徴付
け方法を開発する必要性がある。そのような重合反応を最適化する必要性もある。加えて
、ENB精製プロセスを監視するそのような方法を開発するさらなる必要性がある。さら
に、現在の分析ツールが試験しない特定のENB不純物の効果(単数または複数)を試験
し、重合触媒効率に対して相関させる必要性もある。これらの問題および他のものは以下
の発明によって取り組まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、エチレン、少なくとも1種類のα−オレフィンおよび5−エチリデン−2−
ノルボルネンを含む混合物の重合方法であって、エチレンおよび少なくとも1種類のα−
オレフィンを5−エチリデン−2−ノルボルネンの存在下で重合させ、前記5−エチリデ
ン−2−ノルボルネンは、以下の波長:320nmおよび343nmのUV吸光度により
、経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチリデン−2−ノルボルネンの
生サンプルにおいて測定される、低レベルの不純物を含み;並びに5−エチリデン−2−
ノルボルネンをUV吸光度によって監視し、0.31以下の320nmおよび343nm
の吸光度の合計を有する5−エチリデン−2−ノルボルネンを重合用に選択することを含
む方法を提供する。
【0010】
本発明は、混合物がエチレンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンを含むことを除
く、上述の重合方法も提供する。本発明は、混合物が5−エチリデン−2−ノルボルネン
を含むことを除く、上述の重合方法も提供する。
【0011】
本発明は、エチレン、少なくとも1種類のα−オレフィンおよび5−エチリデン−2−
ノルボルネンを含む混合物の重合において触媒の効率を高める方法であって、エチレンお
よび少なくとも1種類のα−オレフィンを5−エチリデン−2−ノルボルネンの存在下で
重合させ、前記5−エチリデン−2−ノルボルネンは、以下の波長:320nmおよび3
43nmの吸光度により、経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチリデ
ン−2−ノルボルネンの生サンプルにおいて測定される、低レベルの不純物を含み、並び
に5−エチリデン−2−ノルボルネンをUV吸光度によって監視し、0.31以下の32
0nmおよび343nmの吸光度の合計を有する5−エチリデン−2−ノルボルネンを重
合用に選択することを含む方法も提供する。
【0012】
本発明は、5−エチリデン−2−ノルボルネンの精製方法であって、前記5−エチリデ
ン−2−ノルボルネンを、任意に減圧下で、熱的に処理して精製5−エチリデン−2−ノ
ルボルネンを形成することを含み、前記精製5−エチリデン−2−ノルボルネンは、以下
の波長:320nmおよび343nmの吸光度により、経路長1cmの石英サンプルホル
ダに収容される5−エチリデン−2−ノルボルネンの生サンプルにおいて測定される、低
レベルの不純物を含み、並びに320nmおよび343nmの吸光度の合計が0.31以
下である方法も提供する。
【0013】
本発明は、5−エチリデン−2−ノルボルネンの精製方法であって、5−エチリデン−
2−ノルボルネンをカラムを通過させて精製5−エチリデン−2−ノルボルネンを形成す
ることを含み、前記精製5−エチリデン−2−ノルボルネンは、以下の波長:320nm
および343nmの吸光度により、経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−
エチリデン−2−ノルボルネンの生サンプルにおいて測定される、低レベルの不純物を含
み、並びに320nmおよび343nmの吸光度の合計が0.31以下である方法も提供
する。
【0014】
本発明は、5−エチリデン−2−ノルボルネンの精製方法であって、5−エチリデン−
2−ノルボルネンを化学的に処理して精製5−エチリデン−2−ノルボルネンを形成する
ことを含み、前記精製5−エチリデン−2−ノルボルネンは、以下の波長:320nmお
よび343nmのUV吸光度により、経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5
−エチリデン−2−ノルボルネンの生サンプルにおいて測定される、低レベルの不純物を
含み、並びに320nmおよび343nmの吸光度の合計が0.31以下である方法も提
供する。
【0015】
本発明は、エチレン、プロピレンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンを含む混合
物の重合の「期待触媒効率パーセント」を決定するための方法であって:
(1)経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチリデン−2−ノルボル
ネンの生サンプルにおいて、不純物のレベルを以下のUV吸光度:320nmおよび34
3nmで測定し、かつこれら2つの吸光度の合計(SUM)を決定することと、
(2)「期待触媒効率パーセント(% Expected Cat. Eff.)」を
以下の等式:% Expected Cat. Eff.=100×(1.185−0.
749×SUM)に従って算出することと、を含む方法も提供する。さらなる実施形態に
おいては、5−エチリデン−2−ノルボルネンをUV吸光度によって監視し、0.31以
下の320nmおよび343nmの吸光度の合計を有する5−エチリデン−2−ノルボル
ネンを重合用に選択する。
【0016】
本発明は、エチレン、α−オレフィンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンを含む
混合物の重合の「期待触媒効率パーセント」を決定するための方法であって:
(1)経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチリデン−2−ノルボル
ネンの生サンプルにおいて、不純物のレベルを以下のUV吸光度:320nmおよび34
3nmで測定し、かつこれら2つの吸光度の合計(SUM)を決定することと、
(2)「期待触媒効率パーセント(% Expected Cat. Eff.)」を
以下の等式:% Expected Cat. Eff.=100×(A−B×(SUM
))に従って算出し、式中、係数AおよびBは320nmおよび343nmのUV吸光度
の合計(SUMS)が変化する5−エチリデン−2−ノルボルネンを用いる重合反応から
測定される触媒効率の直線回帰から算出されることとを含む、方法も提供する。さらなる
実施形態においては、5−エチリデン−2−ノルボルネンをUV吸光度によって監視し、
0.31以下の320nmおよび343nmの吸光度の合計を有する5−エチリデン−2
−ノルボルネンを重合用に選択する。
【0017】
本発明は、5−エチリデン−2−ノルボルネン並びに320nmに吸収を有する不純物
および/または343nmに吸収を有する不純物を含む組成物であって、320nmおよ
び343nmの吸光度の合計が5−エチリデン−2−ノルボルネンの0.31以下である
組成物も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】バッチ反応器触媒効率の、5−エチリデン−2−ノルボルネンの320nmおよび343nmの吸光度の合計との相関を表す。
図2】不純物のレベルが比較的高いENBサンプルのUV−VIS吸光度スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明はENB中の不純物レベルを評価するためのUV−Vis法を指向する。本発明
はENBの精製方法およびEPDMポリマーの重合の触媒効率レベルを予測するための方
法も指向する。本発明は重合方法および組成物も指向する。UV−Vis分光法がENB
中の不純物の検出により良好な感度をもたらすことが予想外に発見されており、他の分析
の基準は満たすが、UV−Vis分光法に基づく吸光度レベルに対して設定された基準は
満たしていない数組のENBが触媒重合反応において不十分にしか機能しないことも発見
されている。触媒効率の低下の原因である、ENB中の特定の不純物もそれらのUV吸収
波長によって評価した。UV−VIS吸収を監視するあらゆる分析を本発明において用い
ることができる。
【0020】
上で論じられるように、本発明は、エチレン、少なくとも1種類のα−オレフィンおよ
び5−エチリデン−2−ノルボルネンを含む混合物の重合方法であって、エチレンおよび
α−オレフィンを5−エチリデン−2−ノルボルネンの存在下で重合させ、前記5−エチ
リデン−2−ノルボルネンは、以下の波長:320nmおよび343nmの吸光度により
、経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチリデン−2−ノルボルネンの
生サンプルにおいて測定される、低レベルの不純物を含み、並びに5−エチリデン−2−
ノルボルネンをUV吸光度によって監視し、0.31以下の320nmおよび343nm
の吸光度の合計を有する5−エチリデン−2−ノルボルネンを重合用に選択することを含
む方法を提供する。以下の波長:320nmおよび343nmの吸光度によって決定され
る「低レベルの不純物」は320nmおよび343nmの吸光度の合計から決定される。
別の実施形態において、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0.25以下であ
る。別の実施形態において、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0.18以下
である。さらなる実施形態においては、5−エチリデン−2−ノルボルネンのUV吸光度
をUV−VIS分光計を用いて監視する。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、エチレン、プロピレンおよび5−エチリデン−2−
ノルボルネンを含む混合物の重合方法であって、エチレンおよび少なくとも1種類のα−
オレフィンを5−エチリデン−2−ノルボルネンの存在下で重合させ、前記5−エチリデ
ン−2−ノルボルネンは、以下の波長:320nmおよび343nmの吸光度により、経
路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチリデン−2−ノルボルネンの生サ
ンプルにおいて測定される、低レベルの不純物を含み、並びに5−エチリデン−2−ノル
ボルネンをUV吸光度によって監視し、0.31以下の320nmおよび343nmの吸
光度の合計を有する5−エチリデン−2−ノルボルネンを重合用に選択することを含む方
法を提供する。以下の波長:320nmおよび343nmの吸光度によって決定される「
低レベルの不純物」は320nmおよび343nmの吸光度の合計から決定される。別の
実施形態において、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0.25以下である。
別の実施形態において、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0.18以下であ
る。さらなる実施形態においては、5−エチリデン−2−ノルボルネンのUV吸光度をU
V−VIS分光計を用いて監視する。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、エチレンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネン
を含む混合物の重合方法であって、エチレンを5−エチリデン−2−ノルボルネンの存在
下で重合させ、前記5−エチリデン−2−ノルボルネンは、以下の波長:320nmおよ
び343nmの吸光度により、経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチ
リデン−2−ノルボルネンの生サンプルにおいて測定される、低レベルの不純物を含み、
並びに5−エチリデン−2−ノルボルネンをUV吸光度によって監視し、0.31以下の
320nmおよび343nmの吸光度の合計を有する5−エチリデン−2−ノルボルネン
を重合用に選択することを含む方法を提供する。以下の波長:320nmおよび343n
mの吸光度によって決定される「低レベルの不純物」は320nmおよび343nmの吸
光度の合計から決定される。別の実施形態において、320nmおよび343nmの吸光
度の合計は0.25以下である。別の実施形態において、320nmおよび343nmの
吸光度の合計は0.18以下である。さらなる実施形態においては、5−エチリデン−2
−ノルボルネンのUV吸光度をUV−VIS分光計を用いて監視する。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、5−エチリデン−2−ノルボルネンを含む混合物の
重合方法であって、5−エチリデン−2−ノルボルネンを重合させ、前記5−エチリデン
−2−ノルボルネンは、以下の波長:320nmおよび343nmの吸光度により、経路
長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチリデン−2−ノルボルネンの生サン
プルにおいて測定される、低レベルの不純物を含み、並びに5−エチリデン−2−ノルボ
ルネンをUV吸光度によって監視し、0.31以下の320nmおよび343nmの吸光
度の合計を有する5−エチリデン−2−ノルボルネンを重合用に選択することを含む方法
を提供する。別の実施形態において、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0.
25以下である。別の実施形態において、320nmおよび343nmの吸光度の合計は
0.18以下である。以下の波長:320nmおよび343nmの吸光度によって決定さ
れる「低レベルの不純物」は320nmおよび343nmの吸光度の合計から決定される
。さらなる実施形態においては、5−エチリデン−2−ノルボルネンのUV吸光度をUV
−VIS分光計を用いて監視する。
【0024】
本発明の重合には、α−オレフィンは、好ましくは、C3−C20 α−オレフィン、
C3−C12 α−オレフィンおよびC3−C8 α−オレフィンからなる群より、より
好ましくは、C3−C8 α−オレフィンより選択される。さらなる態様において、α−
オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2
−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテンおよび
1−オクテンからなる群より選択される。好ましくは、α−オレフィンはプロピレン、1
−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンから選択され、より好ましくは、α−オレフ
ィンはプロピレンである。
【0025】
別の実施形態においては、重合を溶液中で行う。さらに別の実施形態においては、重合
を気相において行う。さらに別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類の拘束幾
何触媒の存在下で行う。
【0026】
別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のチーグラー・ナッタ触媒の存在下
で行う。別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のシングルサイト触媒の存在
下で行う。別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のマルチサイト触媒(mult
iple-site catalyst)の存在下で行う。
【0027】
別の実施形態においては、重合をバッチ反応器において行う。さらに別の態様において
は、重合をパイロットプラント反応器、実験室規模反応器、高出力重合反応器および商業
用反応器からなる群より選択される反応器において行う。
【0028】
別の実施形態においては、5−エチリデン−2−ノルボルネンをUV吸光度により、重
合反応器の前に配置される、「オンライン」UVもしくはUV−VTS分光計を用いて監
視する。
【0029】
本発明の重合は本明細書で説明される2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを含
むことができる。
【0030】
本発明は、本明細書で説明される本発明の重合から形成されるポリマーも提供する。本
発明のポリマーは本明細書で説明される2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを含
むことができる。
【0031】
本発明は、本明細書で説明される本発明の重合から形成されるポリマーを含む組成物も
提供する。本発明の組成物は本明細書で説明される2つまたはそれ以上の実施形態の組み
合わせを含むことができる。
【0032】
本発明は、エチレン、少なくとも1種類のα−オレフィンおよび5−エチリデン−2−
ノルボルネンを含む混合物の重合において触媒の効率を高める方法であって、エチレンお
よびα−オレフィンを5−エチリデン−2−ノルボルネンの存在下で重合させ、前記5−
エチリデン−2−ノルボルネンは、以下の波長:320nmおよび343nmの吸光度に
より、経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチリデン−2−ノルボルネ
ンの生サンプルにおいて測定される、低レベルの不純物を含み、並びに5−エチリデン−
2−ノルボルネンをUV吸光度によって監視し、0.31以下の320nmおよび343
nmの吸光度の合計を有する5−エチリデン−2−ノルボルネンを重合用に選択すること
を含む方法も提供する。別の実施形態において、320nmおよび343nmの吸光度の
合計は0.25以下である。別の実施形態において、320nmおよび343nmの吸光
度の合計は0.18以下である。以下の波長:320nmおよび343nmの吸光度によ
って決定される「低レベルの不純物」は320nmおよび343nmの吸光度の合計から
決定される。さらなる実施形態においては、5−エチリデン−2−ノルボルネンのUV吸
光度をUV−VIS分光計を用いて監視する。
【0033】
別の実施形態において、α−オレフィンはC3−C20 α−オレフィン、C3−C1
2 α−オレフィンおよびC3−C8 α−オレフィンからなる群より、好ましくは、C
3−C8 α−オレフィンより選択される。さらなる態様において、α−オレフィンは、
プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−
ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテンおよび1−オクテンか
らなる群より選択される。好ましくは、α−オレフィンはプロピレン、1−ブテン、1−
ヘキセンおよび1−オクテンから選択され、より好ましくは、α−オレフィンはプロピレ
ンである。
【0034】
別の実施形態においては、重合を溶液中で行う。さらに別の実施形態においては、重合
を気相において行う。さらに別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類の拘束幾
何触媒の存在下で行う。
【0035】
別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のチーグラー・ナッタ触媒の存在下
で行う。別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のシングルサイト触媒の存在
下で行う。別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のマルチサイト触媒の存在
下で行う。
【0036】
別の実施形態においては、重合をバッチ反応器において行う。さらに別の実施形態にお
いては、重合をパイロットプラント反応器、実験室規模反応器、高出力重合反応器および
商業用反応器からなる群より選択される反応器において行う。
【0037】
別の実施形態においては、5−エチリデン−2−ノルボルネンをUV吸光度により、重
合反応器の前に配置される、「オンライン」UVもしくはUV−VTS分光計を用いて監
視する。
【0038】
本発明の方法は本明細書で説明される2つまたはそれ以上の実施形態の組み合わせを含
むことができる。
【0039】
本発明は、5−エチリデン−2−ノルボルネンの精製方法であって、5−エチリデン−
2−ノルボルネンをカラムを通過させて精製5−エチリデン−2−ノルボルネンを形成す
ることを含み、前記精製5−エチリデン−2−ノルボルネンは、以下の波長:320nm
および343nmの吸光度により、経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−
エチリデン−2−ノルボルネンの生サンプルにおいて測定される、低レベルの不純物を含
み、並びに320nmおよび343nmの吸光度の合計が0.31以下、好ましくは0.
25以下、より好ましくは0.18以下である方法も提供する。カラムには、これらに限
定されるものではないが、シリカ系カラム、アルミナ系カラムおよび当分野において公知
の他のカラムが含まれる。さらなる実施形態においては、UVをUV−VIS分光計を用
いて監視する。
【0040】
本発明は、5−エチリデン−2−ノルボルネンの精製方法であって、前記5−エチリデ
ン−2−ノルボルネンを、任意に減圧下で、熱的に処理して精製5−エチリデン−2−ノ
ルボルネンを形成することを含み、前記精製5−エチリデン−2−ノルボルネンは、以下
の波長:320nmおよび343nmの吸光度により、経路長1cmの石英サンプルホル
ダに収容される5−エチリデン−2−ノルボルネンの生サンプルにおいて測定される、低
レベルの不純物を含み、並びに320nmおよび343nmの吸光度の合計が0.31以
下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.18以下である方法も提供する。別の
態様においては、5−エチリデン−2−ノルボルネンを大気圧もしくは高圧下で熱的に処
理する。さらなる実施形態においては、UVをUV−VIS分光計を用いて監視する。減
圧は大気圧を下回る圧力であり、150トール未満の適切な圧力をこの精製方法において
用いることができる。別の実施形態においては、5−エチリデン−2−ノルボルネンを、
大気圧を僅かに上回る圧力で熱的に処理する。
【0041】
本発明は、5−エチリデン−2−ノルボルネンの精製方法であって、5−エチリデン−
2−ノルボルネンを化学的に処理して精製5−エチリデン−2−ノルボルネンを形成する
ことを含み、前記精製5−エチリデン−2−ノルボルネンは、以下の波長:320nmお
よび343nmの吸光度により、経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エ
チリデン−2−ノルボルネンの生サンプルにおいて測定される、低レベルの不純物を含み
、並びに320nmおよび343nmの吸光度の合計が0.31以下、好ましくは0.2
5以下、より好ましくは0.18以下である方法も提供する。さらなる実施形態において
は、UVをUV−VIS分光計を用いて監視する。
【0042】
本発明の精製方法は本明細書で説明される1またはそれ以上の適切な実施形態の組み合
わせを含むことができる。
【0043】
本発明は、エチレン、α−オレフィンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンを含む
混合物の重合の「期待触媒効率パーセント」を決定するための方法であって:
(1)経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチリデン−2−ノルボル
ネンの生サンプルにおいて、不純物のレベルを以下のUV吸光度:320nmおよび34
3nmで測定し、かつこれら2つの吸光度の合計(SUM)を決定することと、
(2)「期待触媒効率パーセント(% Expected Cat. Eff.)」を
以下の等式:% Expected Cat. Eff.=100×(A−B×(SUM
))に従って算出し、式中、係数AおよびBは320nmおよび343nmのUV吸光度
の合計(SUMS)が変化する5−エチリデン−2−ノルボルネンを用いる重合反応から
測定される触媒効率の直線回帰から算出されることと、を含む方法も提供する。さらなる
実施形態においては、UV吸光度をUV−VIS分光計を用いて測定する。上記式におい
て、Bは傾きであり、Aは回帰直線の切片である。
【0044】
当業者は、式% Expected Cat. Eff.=100×(A−B×(SU
M))の係数が重合触媒、重合法および、α−オレフィンを含む、関連変数に依存するこ
とを認める。
【0045】
直線回帰の実行に用いることができるソフトウェアの適切な例には、Synergy
Softwareから入手可能なKaleidaGraph(登録商標)(バージョン4
.0)ソフトウェア中の「linear curve fit」およびMicroSof
t(登録商標)から入手可能なEXCEL(バージョン2003)ソフトウェア中の「t
rend line linear regression」が含まれる。
【0046】
別の実施形態においては、重合をバッチ反応器において行う。さらに別の実施形態にお
いては、重合をパイロットプラント反応器、実験室規模反応器、高出力重合反応器および
商業用反応器からなる群より選択される反応器において行う。
【0047】
別の実施形態において、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0.31以下で
ある。別の実施形態においては、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0.25
以下である。別の実施形態においては、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0
.18以下である。
【0048】
別の実施形態においては、重合を溶液中で行う。別の態様においては、重合を気相中で
行う。別の態様においては、重合を少なくとも1種類の拘束幾何触媒の存在下で行う。
【0049】
別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のチーグラー・ナッタ触媒の存在下
で行う。別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のシングルサイト触媒の存在
下で行う。別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のマルチサイト触媒の存在
下で行う。
【0050】
さらに別の実施形態において、本発明は、エチレン、プロピレンおよび5−エチリデン
−2−ノルボルネンを含むモノマー混合物の重合の「期待触媒効率パーセント」を決定す
るための方法であって:
(1)経路長1cmの石英サンプルホルダに収容される5−エチリデン−2−ノルボル
ネンの生サンプルにおいて、不純物のレベルを以下のUV吸光度:320nmおよび34
3nmで測定し、かつこれら2つの吸光度の合計(SUM)を決定することと、
(2)「期待触媒効率パーセント(% Expected Cat. Eff.)」を
以下の等式:% Expected Cat. Eff.=100×(1.185−0.
749×SUM)に従って算出することと、を含む方法を提供する。さらなる実施形態に
おいては、UV吸光度をUV−VIS分光計を用いて測定する。
【0051】
直線回帰の実行に用いることができるソフトウェアの適切な例には、Synergy
Softwareから入手可能なKaleidaGraph(登録商標)(バージョン4
.0)ソフトウェア中の「linear curve fit」およびMicroSof
t(登録商標)から入手可能なEXCEL(バージョン2003)ソフトウェア中の「t
rend line linear regression」が含まれる。
【0052】
別の実施形態においては、重合をバッチ反応器において行う。さらに別の実施形態にお
いては、重合をパイロットプラント反応器、実験室規模反応器、高出力重合反応器および
商業用反応器からなる群より選択される反応器において行う。
【0053】
別の実施形態において、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0.31以下で
ある。別の実施形態においては、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0.25
以下である。別の実施形態においては、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0
.18以下である。
【0054】
別の実施形態においては、重合を溶液中で行う。別の実施形態においては、重合を気相
中で行う。別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類の拘束幾何触媒の存在下で
行う。
【0055】
別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のチーグラー・ナッタ触媒の存在下
で行う。別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のシングルサイト触媒の存在
下で行う。別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のマルチサイト触媒の存在
下で行う。
【0056】
さらなる実施形態において、本発明は、5−エチリデン−2−ノルボルネン並びに32
0nmに吸収を有する不純物および/または343nmに吸収を有する不純物を含む組成
物であって、320nmおよび343nmの吸光度の合計が0.31以下、好ましくは0
.25以下、より好ましくは0.18以下である組成物も提供する。さらなる実施形態に
おいては、UV吸光度をUV−VIS分光計を用いて測定する。UV−VIS吸光を監視
するあらゆる分析を本発明において用いることができる。
【0057】
本発明の重合方法は本明細書で説明される2つまたはそれ以上の実施形態を含むことが
できる。
【0058】
本発明の精製方法は本明細書で説明される2つまたはそれ以上の実施形態を含むことが
できる。
【0059】
触媒効率を高めるための方法は本明細書で説明される2つまたはそれ以上の実施形態を
含むことができる。
【0060】
触媒効率を決定するための方法は本明細書で説明される2つまたはそれ以上の実施形態
を含むことができる。
【0061】
本発明のポリマーは本明細書で説明される2つまたはそれ以上の実施形態を含むことが
できる。
【0062】
本発明の組成物は本明細書で説明される2つまたはそれ以上の実施形態を含むことがで
きる。
【0063】
本明細書で論じられる2つの波長(320nmおよび343nm)の吸光度は各々指定
された波長の吸光度であり、最大ピークを伴う吸光度である必要はない。U
V−VIS吸
収を監視するあらゆる分析を本発明において用いることができる。
【0064】
上で論じられるように、本発明は、ENBモノマーを取り込むEPDMポリマーの重合
にプロセスの改善をもたらす。そのようなポリマーには、これらに限定されるものではな
いが、Nordel(商標)IPおよびNordel(商標)MGが含まれる。本発明は
、触媒効率の増加、ENB精製床寿命の増加、反応器安定性の増加に対する備えがあり、
かつより高いレベルでENBが取り込まれたポリマーの製造を容易にする。これらの改善
は、320nmおよび343nm波長のUV−Vis吸収の原因である低レベルの不純物
を含むENBを監視および選択することによって得られる。より具体的には、ENBをU
V−Vis分光計もしくはプロセスアナライザーを用いて分析するとき、これらの波長の
吸光度の合計が0.31未満、より好ましくは0.25未満、最も好ましくは0.18吸
光度単位未満である。
【0065】
原理的には、375nm未満(石英透明度の限界まで)の多くの波長をENB品質の評
価に用いることができる。320および343nmの2つの波長は「1cm経路長」セル
中のENBの生サンプルを分析するために選択した。320nm未満の波長を、それらの
波長で透明である処理溶媒によって希釈されたENBのサンプルとの、もしくは経路長が
より短いセルを用いる、類似の相関の開発に用いることができる。それらの条件の下では
、343nm周辺を中心とする吸収の強度は有用性に劣る。同様に、約343nmの幾つ
かの波長が、1センチメートルまたはそれ以上の経路長のセルを用いるとき、有用であり
得る。本発明は上述の実施における変形を取り込む。
【0066】
本明細書で説明される本発明の方法は取り込まれる(incoming)ENBに仕様を与える
のに用いることができる。本発明の方法は、精製プロセス、例えば、ENBの蒸留におけ
るENBの純度レベルの監視にも用いることができる。ここで、ENBの最終蒸留物は、
吸光度の合計が上に示される望ましい閾値の1つを下回るように制御することができる。
これは、ENB最終カラムの排出口をサンプリングすることにより、最も好ましくは、オ
ンラインUV−Visプロセスアナライザーを用いることにより達成することができる。
【0067】
本発明は、インターポリマーの重合における触媒効率に対するENB不純物レベルの相
対効果を見積もる方法も提供する。例えば、上で論じられるように、本発明は、混合物の
重合の「期待触媒効率パーセント」を決定するための方法であって、前記混合物がエチレ
ン、α−オレフィンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンを含む方法を提供する。
【0068】
本発明は、EPDMポリマー、例えば、Nordel(商標)ポリマーの重合における
触媒効率に対するENB不純物レベルの相対効果を見積もる方法も提供する。上で論じら
れるように、この方法は触媒効率を320nm(A320)および343nm(A343
)の吸光度の合計と式(I):
% Expected Cat. Eff.=100(1.185−0.749×(A
320+A343)) (I)
を用いて相関させる。この式は吸光度の合計をバッチ反応器触媒効率に相関させることに
よって展開した。
【0069】
本発明のプロセスもしくは方法または本発明の組成物がα−オレフィンを必要とすると
き、好ましくは、C3からC20 α−オレフィン、C3からC12 α−オレフィンお
よびC3−C8 α−オレフィンからなる群より、より好ましくは、C3−C8 α−オ
レフィンより選択される。さらなる実施形態において、α−オレフィンは、プロピレン、
1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、1−
ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテンおよび1−オクテン、好ましくは、
プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群より選択される。
好ましい実施形態において、α−オレフィンはプロピレンである。
【0070】
一実施形態においては、重合を溶液中で行う。さらに別の実施形態においては、重合を
気相中で行う。
【0071】
別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類の拘束幾何触媒の存在下で行う。
【0072】
別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のチーグラー・ナッタ触媒の存在下
で行う。別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のシングルサイト触媒の存在
下で行う。別の実施形態においては、重合を少なくとも1種類のマルチサイト触媒の存在
下で行う。
【0073】
別の実施形態において、本発明は、5−エチリデン−2−ノルボルネン並びに320n
mに吸収を有する不純物および/または343nmに吸収を有する不純物を含む組成物で
あって、320nmおよび343nmの吸光度の合計が0.31以下である組成物を提供
する。さらなる実施形態において、320nmおよび343nmの吸光度の合計は0.2
5以下である。さらなる実施形態において、320nmおよび343nmの吸光度の合計
は0.18以下である。
【0074】
本発明のインターポリマーはその内部で重合するエチレン、少なくとも1種類のα−オ
レフィンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンを有する。α−オレフィンは、好まし
くは、C3−C20脂肪族化合物、より好ましくは、C3−C12脂肪族化合物、さらに
より好ましくは、C3−C8脂肪族化合物である。好ましいα−オレフィンには、プロピ
レン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチ
ル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンおよび1−ドデセンが含ま
れる。より好ましいα−オレフィンには、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび
1−オクテン、およびより好ましくは、プロピレンが含まれる。別の実施形態において、
インターポリマーはその内部で重合するエチレンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネ
ンを有する。
【0075】
「インターポリマー」という用語は、本明細書で用いられる場合、少なくとも2つの異
なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、一般用語
インターポリマーには、2つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すの
に通常用いられるコポリマーおよび2つを上回る異なるタイプのモノマーから調製される
ポリマーが含まれる。
【0076】
「5−エチリデン−2−ノルボルネン(もしくはENB)」という用語は、本明細書で
用いられる場合、5−エチリデン−2−ノルボルネンの2つの異性体形態((E)−5−
エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンおよび(Z)−5−エチリデンビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)を指す。5−エチリデン−2−ノルボルネン(も
しくはENB)の商業製品は、典型的には、95wt%から99.9wt%の範囲の純度
を有し、その純度のレベルは5−エチリデン−2−ノルボルネンの2つの異性体形態の量
に基づく。
【0077】
「不純物」という用語は、320nmおよび343nmのUV吸光度を参照して本明細
書で用いられる場合、5−エチリデン−2−ノルボルネンと化学的に等価ではないが32
0nmおよび/または343nmにUV吸収を有する、1またはそれ以上の化合物を指す
【0078】
「5−エチリデン−2−ノルボルネンの生サンプル」という用語は、ここで用いられる
場合、5−エチリデン−2−ノルボルネンの化学合成および形成された5−エチリデン−
2−ノルボルネンの引き続く精製(単数または複数)から形成され、化学合成および/ま
たは精製(単数または複数)から生じたものではないいかなる追加人工化学物質(単数ま
たは複数)も含まない、化学製品(5−エチリデン−2−ノルボルネン)を指す。しかし
ながら、この用語は、酸化防止剤として5−エチリデン−2−ノルボルネンに通常添加さ
れる化学物質(単数または複数)、例えば、BHTおよびTBCを含み得る。典型的には
、ただ1種類の酸化防止剤が200ppm未満(5−エチリデン−2−ノルボルネンに加
えて酸化防止剤の総重量を基準とする)で添加される。
【0079】
一実施形態において、本発明のインターポリマーは、モノマー構成要素の合計重量を基
準にして、20から95重量パーセントまで、より好ましくは30から93重量パーセン
ト、最も好ましくは35から90重量パーセントのエチレン含有率を有する。インターポ
リマーは、少なくとも1種類のα−オレフィンを、モノマー構成要素の合計重量を基準に
して、5から80重量パーセント、より好ましくは7から70重量パーセント、最も好ま
しくは10から65重量パーセントのレベルで含むこともできる。
【0080】
別の実施形態において、本発明のインターポリマー中のENBの量は、モノマー構成要
素の合計重量を基準にして、0.1から15重量パーセント、好ましくは0.25から1
0重量パーセント、より好ましくは0.5から8重量パーセントである。
【0081】
別の実施形態において、本発明のインターポリマー中のENBの量は、モノマー構成要
素の合計重量を基準にして、0.5から15重量パーセント、好ましくは1から10重量
パーセント、より好ましくは2から8重量パーセントである。
【0082】
一般には、重合はチーグラー・ナッタもしくはカミンスキー・シン型重合反応について
当分野において周知の条件、すなわち、0℃から250℃、好ましくは、30℃から20
0℃の温度および大気圧から10,000気圧の圧力で達成することができる。
【0083】
重合は、懸濁、溶液、スラリーもしくは気相重合またはそれらの組み合わせを用いて行
うことができる。好ましい実施形態においては、重合を溶液反応器内で、もしくは気相反
応器内で行う。好ましい実施形態においては、1またはそれ以上の触媒の溶液を重合反応
器内で、かつ、例えば、溶液重合もしくは気相重合で用いる。別の実施形態においては、
触媒もしくは触媒の組み合わせが支持体、例えば、シリカ、アルミナもしくはポリマー(
特には、ポリ(テトラフルオロエチレン)もしくはポリオレフィン)上に支持され、その
ような支持体上に噴霧乾燥することができ、かつ支持された形態で重合反応器内に導入さ
れる。
【0084】
重合はあらゆる適切なタイプの反応器、好ましくは、当業者が触媒効率を決定すること
を可能にする反応器デザインにおいて行うことができる。反応器には、これらに限定され
るものではないが、バッチ反応器、連続反応器、パイロットプラント反応器、実験室規模
反応器、高出力重合反応器および他のタイプの商業用反応器が含まれる。
【0085】
不活性液体が重合に適する溶媒である。例には、直鎖および分岐鎖炭化水素、例えば、
イソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンおよび
それらの混合液;環状および脂環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン
、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタンおよびそれらの混合液;過フッ化炭化水
素、例えば、過フッ化C4−C10 アルカン;並びに芳香族およびアルキル置換芳香族
化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンが含まれる。適切
な溶媒には、モノマーもしくはコモノマーとして作用し得る液体オレフィンも含まれ、こ
れにはブタジエン、シクロペンテン、1−ヘキセン、4−ビニル−シクロヘキセン、ビニ
ルシクロヘキサン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1,4−ヘ
キサジエン、1−オクテン、1−デセン、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルベンゼン
およびビニルトルエン(単独の、もしくは混合状態にある、すべての異性体を含む)が含
まれる。前述のものの混合液も適切である。所望であれば、通常は気体状のオレフィンを
圧力の印加によって液体に変換し、本明細書で用いることができる。
【0086】
触媒
本明細書での使用に適する触媒には、米国特許第5,272,236号および第5,2
78,272号(これらは両者とも参照により本明細書に完全に組み込まれる)に開示さ
れる拘束幾何触媒が好ましく含まれる。米国特許第5,026,798号(その教示は参
照により本明細書に組み込まれる)に教示されるモノシクロペンタジエニル遷移金属オレ
フィン重合触媒も本発明の触媒として適切である。
【0087】
前記触媒は、元素周期律表のランタナイド系列の3−10族の金属および拘束誘導部分
で置換される非局在化π−結合部分を含む金属配位錯体を含むものとしてさらに説明する
ことができ、前記錯体は、金属での非局在化置換π−結合部分の重心と少なくとも1つの
残りの置換基の中心との角度がそのような拘束誘導置換基を欠く類似のπ−結合部分を含
む類似の錯体におけるそのような角度より小さくなるよう、金属原子周囲に拘束された幾
何を有する。加えて、2以上の非局在化置換π−結合部分を含むそのような錯体では、そ
の錯体の各金属原子についてそれらの1つのみが環状非局在化置換π−結合部分である。
触媒は活性化共触媒をさらに含む。
【0088】
好ましい触媒錯体は下記構造Iに相当する:
【化2】
【0089】
構造Iにおいて、Mは元素周期律表の3−10族もしくはランタナイド系列の金属であ
り;
Cpはη5結合様式でMに結合するシクロペンタジニエルもしくは置換シクロペンタ
ジエニル基であり;
Zは、ホウ素もしくは元素周期律表の14族のメンバーおよび、任意に、イオウもしく
は酸素を含む部分であって、20個までの非水素原子を有する部分であり、任意に、Cp
およびZは一緒に融合環系を形成し;
Xは、各々の出現で独立に、30個までの非水素原子を有する、アニオン性配位子基も
しくは中性ルイス塩基配位子基であり;
nは0、1、2、3もしくは4であり、かつMの原子価より2少なく;並びに
Yは、窒素、リン、酸素もしくはイオウを含み、20個までの非水素原子を有する、Z
およびMに結合するアニオン性もしくは非アニオン性配位子基であり、任意に、Yおよび
Zは一緒に融合環系を形成する。より具体的な錯体は米国特許第5,272,236号お
よび第5,278,272号(これらは参照により本明細書に組み込まれる)に記載され
る。
【0090】
具体的な化合物には以下が含まれる:(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η
5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(te
rt−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタン
ジイルチタンジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエ
ニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)(テトラメ
チル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エ
チルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−メチレンチタンジクロロ
、(tertブチルアミド)ジベンジル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)
シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シ
クロペンタジエニル)シランチタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5
−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタン−1,3−ペンタジエン、(フ
ェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル η5−シクロペンタジエニル)シランジル
コニウムジベンジル、(tertブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロ
ペンタジエニル)シランチタンジメチル等。
【0091】
これらの錯体は、金属Mの誘導体およびシクロペンタジエニル化合物のI族金属誘導体
もしくはグリニヤール誘導体を溶媒中で接触させ、塩副生物を分離することによって調製
することができる。金属錯体の調製において用いるのに適する溶媒には、これらに限定さ
れるものではないが、脂肪族もしくは芳香族液体、例えば、シクロヘキサン、メチルシク
ロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンもしくはそれらの混合液が含まれる。
【0092】
本明細書で用いるのに適する共触媒には、ポリマー状もしくはオリゴマー状アルミノキ
サン、特には、メチルアルミノキサンに加えて、不活性適合性非配位性イオン形成性化合
物が含まれる。いわゆる修飾メチルアルミノキサン(MMAO)も共触媒としての使用に
適する。そのような修飾アルミノキサンを調製するための技術の1つが米国特許第5,0
41,584号に開示され、その教示は参照により本明細書に組み込まれる。アルミノキ
サンは米国特許第5,542,199号;第4,544,762号;第5,015,74
9号;および第5,041,585号に開示されるように製造することもでき、それらの
各々は参照により本明細書に完全に組み込まれる。好ましい共触媒は不活性非配位性ホウ
素化合物もしくはアルミノキサンである。
【0093】
拘束幾何触媒に加えて、本明細書での使用に適するさらなるシングルサイト触媒系およ
びマルチサイト触媒系にはメタロセン触媒系およびポストメタロセン触媒系が含まれる。
上で論じられるように、チーグラー・ナッタ触媒系を本明細書で用いることもできる。本
明細書での使用に好ましい触媒系は低レベルのアルミノキサンもしくは他のアルミニウム
アルキルを必要とする。
【0094】
分析法
本発明の一実施形態においては、最終カラム排出口からの生ENBもしくは取り込まれ
るENBのサンプルをUV−Vis分光計によって分析する。サンプルを、空気に晒すこ
となく、エアフリーサンプリング技術を用いることによって収集する。次に、そのサンプ
ルを経路長1センチメートルの石英キュベットに不活性雰囲気下で入れた後、キュベット
を空気の浸入に対して密封し、UV−Vis分光計によって分析する。最も好ましくは、
同様の分析をENB製造者の最終蒸留カラムの排出口に位置するオンラインプロセスアナ
ライザーによって行う。オンラインアナライザーの経路長は、1センチメール、もしくは
個々の吸光度と異なるサンプルで得られるバッチ反応器触媒効率との関係が十分に線形で
あるような経路長でなければならない。ユニット内のフローセルの構成の材料は石英でな
ければならない。
【0095】
本発明の別の実施形態においては、この分析法を他の精製法と共に用いることができ、
この他の精製法には、これらに限定されるものではないが、液体もしくは気体蒸留法、他
のクロマトグラフィー法、化学反応もしくは化学相互作用法またはそれらの組み合わせが
含まれる。加えて、この分析法は1工程精製法もしくは多工程精製法において用いること
ができる。UV−Vis分光計は1工程もしくは多工程精製法における1またはそれ以上
の位置に配置することができる。
【0096】
当業者は、サンプルホルダの経路長が用いられる分析法、装置および/またはENBの
希釈のレベルに依存して変化し得ることを認める。経路長はENB中の注目される不純物
が検出可能であることを保証するのに十分な長さでなければならない。UV−Vis分光
計は近紫外領域、典型的には、200nmから380nmで作動可能でなければならない
【0097】
以下の例は本発明を説明するが、明白でも言外でも、それを限定するものではない。
【0098】
実験
ENBサンプルのUV−Vis分析
分析しようとするENBのサンプルを、空気露出を回避する技術を用いて、慎重に集め
た。これらの技術は、プロセスサンプリング点に取り付けられたLeur Lockアダ
プタ、針およびゴムもしくはTeflon裏打ち隔壁で蓋をされた乾燥窒素充填ボトルの
使用を含んでいた。隔壁は、サンプルを保護するため、サンプリング後数時間以内に、ド
ライボックス内でポリプロピレン裏打ちハードキャップと交換した。
【0099】
UV−VisスペクトルはBeckman Coulter DU(登録商標)640
Spectro−photometerで収集した。Teflonで裏打ちされたスク
リューキャップを有する石英キュベット(VWR Internationalから入手
、Cat.No.14222−710)をサンプルの保持に用いた。ドライボックス内で
、Isopar−E(登録商標)(3ml)を石英キュベットに移して蓋をした。このI
sopar−E(登録商標)サンプルは(バックグランド対照用の)ブランクとしての役
割を果たした。ENB(3ml)を別の石英キュベットに入れ、蓋をした。ブランクおよ
びENBサンプルをボックスの外に出し、それらのスペクトルを収集した。分光計は約2
00nmから約800nmまでのUV−Vis吸収スペクトルの査定を記録し、320n
mおよび343nmの吸光度を報告する数値出力が生成された(数値出力用に選択される
波長はオペレータによって設定される)。320nmの吸収は、典型的には、有意に高い
強度のピークのショルダーに存在する。343nmの吸収は、典型的には、有意に低い強
度のピークの最大に存在する。各々の波長、320nmおよび343nmの吸収は指定さ
れた波長で測定される吸収であり、ピーク最大を伴う吸収である必要はない。320nm
および343nmのUV吸光度を記録した。UV−VIS吸収スペクトルの例を図2に示
す。UV−VIS吸収を監視するあらゆる分析を本発明において用いることができる。
【0100】
Beckman Coulter DU(登録商標)640 Spectrophot
ometerおよび上記方法の再現性を研究した。3つの異なるENBサンプル、A、B
およびCを用いた。ブランクのスペクトルを一度集めた後、サンプルAからCのスペクト
ルを収集した。サンプルAからCのスペクトルはその順番(最初にA、次にB、次にC;
次いでA、次にB、次にC;等)で5回以上収集した。
【0101】
各々の分析について、320nmおよび343nmの吸光度を記録した。それらの結果
を下記表1に示す。これらの結果から見ることができるように、この分析の再現性は優秀
であり、各々の系列の標準偏差は低いものであった(≦0.007)。
【表1】
【0102】
UV−Vis吸光度合計のバッチ反応器において決定された触媒効率との相関
サンプルの説明
異なるレベルの320nmおよび343nmのUV吸光度を有する幾つかのENBサン
プルを収集した。
【0103】
「標準」ENB(サンプルNo.6)は外部源からのENBの流入流から充填されてい
るB−28シリンダーにおいて保存した。このサンプルは供給系の一点で、酸化防止剤阻
害物質がそのサンプルから除去された後に採取した。このサンプルを一連のバッチ反応器
重合における標準ENBとして用いた。この相関において用いられるENBの2つのサン
プル、サンプルNo.5およびサンプルNo.7は品質のベンチマークとみなした。これ
らのサンプルは不活性雰囲気下で保存した。
【0104】
酸化防止剤阻害物質の除去
相関研究において用いられるサンプルの幾つかは酸化防止剤阻害物質で阻害されていた
。これらのサンプルは、ドライボックス内で、バッチ重合反応におけるそれらの使用に先
立ち、活性化中性アルミナのパッドを通過させた。このカラム精製からの最初の「25m
l」ENB溶出液は廃棄し、バッチ反応器試験用のサンプルは第2の「25ml」ENB
溶出液から採取した。この手順は酸化防止剤阻害物質の濃度をその典型的なレベルから検
出不可能なレベルに低下させることが公知である。
【0105】
バッチ反応器の結果および相関
表2に列挙される10サンプルの各々のアリコートを、各々、エチレンおよびプロピレ
ンと重合させてEPDMポリマーを形成した。重合は、液相、バッチ反応器において、標
準拘束幾何触媒(CGC)触媒系を用いて行った。各々の実験サンプルは、標準ENBサ
ンプルでの施行の間に重合させた。各実験サンプルを用いる重合の触媒効率を決定し、標
準サンプルを用いる重合の触媒効率の平均(2回の施行の平均)のパーセントとして表し
た。実験サンプルのバッチ反応器触媒効率を表2に示す。標準は従来の分析仕様によって
は十分に許容し得るものであったが、このサンプルは、幾つかの実験サンプルが有意に高
い触媒効率で重合したという事実によって示されるように、最適を下回る(suboptimal)
品質のものであった。
【表2】
% of Std.=100×{(実験施行の触媒効率)/(各々ENBの標準サンプル
を用い、かつ、それぞれ、実験施行の直前および直後に施行した、2回の標準施行の触媒
効率の平均)}
【0106】
下の図1は、バッチ反応器触媒効率の320nmおよび343nmの吸光度の合計との
相関を示す。図1からの相関式(% Std. Catalyst Efficienc
y=148.4−98.89×SUM)は、ENBのサンプルから期待される触媒効率を
、その320nmおよび343nmの吸光度の合計(SUM=A320+A343)を用
いて見積もるのに用いることができる。
【0107】
標準ENBが最適を下回る品質のものであったため、期待触媒効率を予測する式を、よ
り望ましいレベルの効率として、標準を用いて生じる触媒効率の125.2%を採用する
ことによって展開した。したがって、上記表2におけるすべての触媒効率を1.252で
割り、生じる指数連動化データを線形フィットさせて式を得た:% Expected
Cat. Eff.=100(1.185−0.749×SUM)。この形態の式を用い
ると、0.31以下のSUMを示すENBが望ましい効率レベルの95%を上回る触媒効
率を生じる。より好ましくは、0.25以下のSUMを示すENBサンプルが望ましい効
率レベルの99.7%を上回る触媒効率を生じる。最も好ましくは、0.18以下のSU
Mを示すENBサンプルが望ましい効率レベルの105%を上回る触媒効率を生じる。
【0108】
本発明を前述の具体的な実施形態によりある低度詳細に説明したが、この詳細は主とし
て説明を目的とするものである。当業者は、以下の請求の範囲に記載される本発明の精神
および範囲から逸脱することなしに、多くの変形および変更をなすことができる。
図1
図2