特許第5774056号(P5774056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774056
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】ワーク移載装置およびケーサーシステム
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/08 20060101AFI20150813BHJP
   B65B 35/36 20060101ALI20150813BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   B65B5/08
   B65B35/36
   B65G47/90 A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-114585(P2013-114585)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-234163(P2014-234163A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2013年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000223148
【氏名又は名称】株式会社トーワテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 知義
(72)【発明者】
【氏名】森 新二郎
(72)【発明者】
【氏名】西本 博之
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 泰弘
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−006155(JP,A)
【文献】 特開平09−118432(JP,A)
【文献】 特開昭57−160822(JP,A)
【文献】 特開昭57−114413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/08
B65B 35/36
B65G 47/80
B65G 47/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一位置において第一方向に列置された第一形態をなす複数のワークを、前記第一形態よりも多列且つ前記複数のワークが互いに接し得る状態で配置された第二形態へと配列変換して前記第一位置とは異なる第二位置へ移載し、または、前記第二位置において前記第二形態に配列された前記ワークを前記第一形態に配列変換して前記第一位置へ移載するワーク移載装置であって、
前記ワークを把持する第一チャック部および前記ワークを把持する第二チャック部を有するチャックユニットと、
前記チャックユニットに接続され、前記第一形態から前記第二形態へ、または、前記第二形態から前記第一形態へ前記ワークの配列を変換する配列変換部と、
前記配列変換部に接続され、前記チャックユニットを前記配列変換部ごと前記第一位置と前記第二位置との間で移動させるワーク搬送部と、
を備え、
前記配列変換部は、前記第一方向および前記第一方向に直交する第二方向によって規定される面を旋回面として前記旋回面に沿って前記第一チャック部を旋回動作させる旋回機構を有し、
前記旋回機構は、
前記第二チャック部が設けられた旋回本体と、
前記旋回本体側に設けられた第一軸線、および前記第一軸線から離間した第二軸線を有し、前記旋回本体に対して前記第一軸線回りに相対回動自在に接続されたスイングアームと、
前記第一軸線と同軸をなして前記スイングアームと一体に回動するように前記スイングアームに設けられたプーリと、
前記旋回本体に対して前記スイングアームを前記第一軸線回りに回動させるための動力が前記ワーク搬送部から伝達される回動軸部材と、
前記回動軸部材と前記プーリとに掛けられ前記回動軸部材の回転を前記プーリに伝達するベルトと、
前記スイングアームに対して前記第二軸線回りに回動可能に接続され前記第一チャック部を有する移動子と、
を有し、
前記ワーク搬送部は、
回転駆動力を発する動力源と、
前記動力源に設けられ前記回転駆動力により回転動作するプーリと、
前記第一方向及び前記第二方向に対して直交する第三方向から見たときに、前記第一位置と第二位置とを結ぶ直線方向に長く前記配列変換部が前記直線方向に自在に移動可能となるように前記配列変換部が取り付けられたガイドレールと、
前記動力源に設けられたプーリと前記回動軸部材とに掛けられ且つ一部が前記ガイドレールに固定され、前記動力源からの駆動力を、前記回動軸部材の回動のための動力として前記回動軸部材に伝達し、且つ、前記ガイドレールに対する前記ワーク搬送部の移動のための動力として前記ワーク搬送部に伝達するベルトと、
前記動力源の動作と同期して前記ガイドレールを前記第三方向へ進退動作させる昇降手段と、
を有し、
前記動力源が発する前記回転駆動力は、前記ワーク搬送部を前記ガイドレールに沿って直線移動させる動力と、前記回動軸部材を回動させ前記第一チャック部を旋回移動させる動力とになることを特徴とするワーク移載装置。
【請求項2】
前記ベルト及び前記プーリは、歯付きである請求項1に記載のワーク移載装置。
【請求項3】
前記昇降手段は、水平方向の移動を担う動力源とは別の動力源により駆動されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワーク移載装置。
【請求項4】
前記旋回機構の前記回動軸部材は、前記ベルトを介して回転することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のワーク移載装置。
【請求項5】
前記動力源は、サーボモータであって当該サーボモータの加速度を制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記ワークを移載するための前記ワークの軌跡の一部が半円弧状となるように前記ワークの移動を制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のワーク移載装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のワーク移載装置と、
前記ワークを前記第一形態で前記第一位置に配置するワーク供給部と、
前記ワークを前記第二形態で収容するためのケースを前記第二位置に搬送するケース搬送部と、
を備えることを特徴とするケーサーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク移載装置およびケーサーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体飲料を充填した紙パック容器やペットボトル、ビール壜、牛乳壜およびアイスクリームやヨーグルトなどを充填したカップ容器等(以下「ワーク」と称する。)は、所定個数ずつプラスチックやダンボール箱等の流通箱(以下「ケース」と称する。)に箱詰めされて出荷されている。
【0003】
ワークをケースへ移載する技術としては、例えば、コンベア上に一列に流れてきたワークを所定個数ずつプッシャで押し出すことにより、ワークを整列・集積させてワークの配列をケースの形状に適した配列に変換することが知られている。また、このような技術としては、所定の行および列に集積されたワークを、ヘッドにより捕捉して持ち上げて別のコンベアによって供給されたケース上に移動し、ワークをケースに箱詰めすることが知られている。この際、ワークを捕捉したヘッドを降下させる方法、及びワークに対してケースを上昇させる方法が知られている。
【0004】
このようにワークをケースに箱詰めする方法として、複数個のワーク間のピッチを変換して移載する際に、簡単な機構でワークを移載するワーク移載装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のワーク移載装置によっては、装置を小型化するとともに、ワークの増加等への対応を容易にできる。
【0005】
また、ワークをケースに箱詰めする方法として、第1、第2の駆動源と、第1、第2のベルト・プーリと、移動プーリ部と、ガイド部とを備えるワーク移載装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載のワーク移載装置では、第1、第2の駆動源が独立して駆動する。第1、第2のベルト・プーリは、第1、第2のベルトが走行可能なように第1、第2の駆動源に連結されている。移動プーリ部は、第1のベルトと第2のベルトとの間に配置され且つ第1のベルトと第2のベルトが交差するように掛け回されている。ガイド部は、移動プーリ部を直線上に移動自在に案内する。
特許文献2に記載のワーク移載装置によっては、リンク部材機構を移動させる機構として移動機構を使用することにより、構造がシンプルになり、小型化及び低コスト化を図れる。
【0006】
そして、ワークをケースに箱詰めする方法として、垂直多関節ロボットのリンク部材と部材ピッチ変換装置とを同時に動作させるワーク移載装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3に記載のワーク移載装置では、連結パンタグラフ機構を支持補強する支持部材をパンタグラフ機構の連結方向に平行に設けている。また、このワーク移載装置では、支持部材は、連結パンタグラフ機構の伸縮長さ内において連結パンタグラフ機構の伸縮に合わせて一体に伸縮する。
特許文献3に記載のワーク移載装置によっては、コンパクトなサイズにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−121093号公報
【特許文献2】特開2011−240444号公報
【特許文献3】特開2010−274388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1、特許文献2、特許文献3は、いずれも、ワークの配列変換と移載とを同時に行え且つワークの配列変換と移載とを同一の動力源で行うことができない。
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたもので、ワークの配列変換と移載とを同時に行え且つワークの配列変換と移載とを同一の動力源で行うことができるワーク移載装置及びケーサーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様は、第一位置において第一方向に列置された第一形態をなす複数のワークを、前記第一形態よりも多列且つ前記複数のワークが互いに接し得る状態で配置された第二形態へと配列変換して前記第一位置とは異なる第二位置へ移載し、または、前記第二位置において前記第二形態に配列された前記ワークを前記第一形態に配列変換して前記第一位置へ移載するワーク移載装置であって、前記ワークを把持する第一チャック部および前記ワークを把持する第二チャック部を有するチャックユニットと、前記チャックユニットに接続され、前記第一形態から前記第二形態へ、または、前記第二形態から前記第一形態へ前記ワークの配列を変換する配列変換部と、前記配列変換部に接続され、前記チャックユニットを前記配列変換部ごと前記第一位置と前記第二位置との間で移動させるワーク搬送部と、を備え、前記配列変換部は、前記第一方向および前記第一方向に直交する第二方向によって規定される面を旋回面として前記旋回面に沿って前記第一チャック部を旋回動作させる旋回機構を有し、前記旋回機構は、前記第二チャック部が設けられた旋回本体と、前記旋回本体側に設けられた第一軸線、および前記第一軸線から離間した第二軸線を有し、前記旋回本体に対して前記第一軸線回りに相対回動自在に接続されたスイングアームと、前記第一軸線と同軸をなして前記スイングアームと一体に回動するように前記スイングアームに設けられたプーリと、前記旋回本体に対して前記スイングアームを前記第一軸線回りに回動させるための動力が前記ワーク搬送部から伝達される回動軸部材と、前記回動軸部材と前記プーリとに掛けられ前記回動軸部材の回転を前記プーリに伝達するベルトと、前記スイングアームに対して前記第二軸線回りに回動可能に接続され前記第一チャック部を有する移動子と、を有し、前記ワーク搬送部は、回転駆動力を発する動力源と、前記動力源に設けられ前記回転駆動力により回転動作するプーリと、前記第一方向及び前記第二方向に対して直交する第三方向から見たときに、前記第一位置と第二位置とを結ぶ直線方向に長く前記配列変換部が前記直線方向に自在に移動可能となるように前記配列変換部が取り付けられたガイドレールと、前記動力源に設けられたプーリと前記回動軸部材とに掛けられ且つ一部が前記ガイドレールに固定され、前記動力源からの駆動力を、前記回動軸部材の回動のための動力として前記回動軸部材に伝達し、且つ、前記ガイドレールに対する前記ワーク搬送部の移動のための動力として前記ワーク搬送部に伝達するベルトと、前記動力源の動作と同期して前記ガイドレールを前記第三方向へ進退動作させる昇降手段と、を有し、前記動力源が発する前記回転駆動力は、前記ワーク搬送部を前記ガイドレールに沿って直線移動させる動力と、前記回動軸部材を回動させ前記第一チャック部を旋回移動させる動力とになることを特徴とするワーク移載装置である。
【0011】
なお、上記のワーク移載装置において、前記ベルト及び前記プーリは、歯付きであってもよい。
【0012】
また、上記のワーク移載装置において、前記昇降手段は、水平方向の移動を担う動力源とは別の動力源により駆動されてもよい。
【0013】
また、上記のワーク移載装置において、前記旋回機構の前記回動軸部材は、前記ベルトを介して回転してもよい。
【0014】
また、前記動力源は、サーボモータであって当該サーボモータの加速度を制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、前記ワークを移載するための前記ワークの軌跡の一部が半円弧状となるように前記ワークの移動を制御してもよい。
【0015】
また、本発明の一態様は、前記ワーク移載装置と、前記ワークを前記第一形態で前記第一位置に配置するワーク供給部と、前記ワークを前記第二形態で収容するためのケースを前記第二位置に搬送するケース搬送部と、を備えることを特徴とするケーサーシステムである。
【0016】
また、上記のケーサーシステムにおいて、前記ケース搬送部の軌道上に位置し前記ケースに梱包された前記ワークが格納される格納手段を備えてもよい。
【0017】
また、上記のケーサーシステムにおいて、前記格納手段は、前記ワークが要冷蔵の場合は、前記ワークを冷蔵する冷蔵庫を有してもよい。
【0018】
また、上記のケーサーシステムにおいて、前記格納手段は、前記ワークが要冷凍の場合は、前記ワークを冷凍する冷凍庫を有してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ワークの配列変換と移載とを同時に行え且つワークの配列変換と移載とを同一の動力源で行うことができるワーク移載装置及びケーサーシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態のワーク移載装置およびケーサーシステムのレイアウトを示す概略構成図である。
図2】同ケーサーシステムにおけるワーク移載装置を拡大して示す正面図である。
図3】同ワーク移載装置を拡大して示す右側面図である。
図4】同ワーク移載装置を拡大して示す平面図である。
図5】同ワーク移載装置の要部の拡大正面図である。
図6】同ワーク移載装置の要部の拡大平面図である。
図7】同ワーク移載装置の工程を説明する要部の拡大平面図である。
図8】同ワーク移載装置の工程を説明する要部の拡大平面図である。
図9】同ワーク移載装置の速度制御を説明するワークの軌跡図である。
図10】同ワーク移載装置の速度制御を説明するワークの移動チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態のワーク移載装置およびワーク移載装置を搭載するケーサーシステムについて図1から図10を参照して説明する。図1は、本実施形態のワーク移載装置を搭載するケーサーシステムのレイアウトを示す図である。
図1に示すように、ケーサーシステム1は、液体飲料等が充填された紙容器(カートン)がワークWであり、所定個数のワークWをまとめてケースCに収容するための設備である。本実施形態では、ワークWの形状として、牛乳などの飲料を充填するために広く用いられているゲーブルトップ型の容器形状を示しているが、ワークWの形状はこれに限られるものではない。
【0023】
本実施形態では、12個で一列の配列を有する第一形態AのワークWを、4個×3列の行列で配列する第二形態BにしてケースCに収容する装置構成について説明する。
【0024】
ケーサーシステム1は、ワークWを供給するワーク供給部20と、ワークWを収容するためのケースCを搬送するケース搬送部40と、ワークWをケースCに移載するワーク移載装置60と、を備えている。
【0025】
本実施形態では、ワーク供給部20は、ワークWに液体を充填する液体充填装置であり、周知の液体充填装置を適宜採用することができる。また、ワーク供給部20は、ワークWをワーク移載装置60へ搬送するためのワーク供給コンベア21を備えている。ワーク供給コンベア21には、周知のコンベア装置を適宜採用することができる。
【0026】
ケース搬送部40は、所定のケース保管位置Dと所定の製品保管庫Eとの間に軌道を有する周知のコンベア装置を適宜採用することができる。また、ケース搬送部40は、新規なケースCあるいは回収されたリサイクルケースC(以下、あわせてケースCと称する。)などを搬送可能である。そして、軌道上にはワーク移載装置60が配置されている。
【0027】
ワーク移載装置60には、ワーク供給コンベア21が接続されてワークWが供給される第一位置Fと、ケース搬送部40の軌道上に位置してワークWをケースCに収容する位置である第二位置Gとが設定されている。
【0028】
図2は、ケーサーシステム1におけるワーク移載装置60を拡大して示す正面図である。図3は、ワーク移載装置60を拡大して示す右側面図である。図4は、ワーク移載装置60を拡大して示す平面図である。なお、以下の説明において、第一方向Hとは、ワークWの搬送方向と同方向を意味し、第二方向Iとは、第一方向Hに直交する方向を意味し、第三方向Jとは、第一方向H及び第二方向Iに直交する方向を意味する。
図2図3図4に示すように、本実施形態のワーク移載装置60は、フレーム61と、制御部62と、チャックユニット63と、配列変換部64と、ワーク搬送部65とを備える。
フレーム61は、ワーク移載装置60の全体を支持する。制御部62は、後述する動力源82及び動力源90に電気的に接続される。チャックユニット63は、ワークWを把持する第一チャック部66と、ワークWを把持する第二チャック部67と、ワークWを把持する第三チャック部68とを有する。配列変換部64は、チャックユニット63に接続され、第一形態Aから第二形態BへワークWの配列を変換する。ワーク搬送部65は、配列変換部64に接続され、チャックユニット63を配列変換部64ごと第一位置Fと第二位置Gとの間で移動させる。
【0029】
図5は、ワーク移載装置60の要部の拡大正面図である。図6は、ワーク移載装置60の要部の拡大平面図である。図5図6に示すように、配列変換部64は、第一方向H及び第二方向Iによって規定される面を旋回面として旋回面に沿って第一チャック部66及び第三チャック部68を旋回動作させるための旋回機構69を有する。
【0030】
旋回機構69は、第二チャック部67が設けられた旋回本体70を有する。旋回機構69は、旋回本体70側に設けられた第一軸線K及び第一軸線Kから離間した第二軸線Lを有し、旋回本体70に対して第一軸線K回りに相対回動自在に接続されたスイングアーム71を有する。旋回機構69は、スイングアーム71とともに平行リンク機構を形成するリンク部材72を有する。旋回機構69は、第一軸線Kと同軸をなしてスイングアーム71と一体に回動するようにスイングアーム71に設けられたプーリ73を有する。旋回機構69は、旋回本体70に対してスイングアーム71を第一軸線K回りに回動させるための動力がワーク搬送部65から伝達される回動軸部材74を有する。旋回機構69は、回動軸部材74とプーリ73とに掛けられ回動軸部材74の回転をプーリ73に伝達するベルト75を有する。旋回機構69は、スイングアーム71に対して第二軸線L回りに回動可能に接続され第一チャック部66を有する移動子76を備える。ベルト75は、歯付きである。プーリ73は、ベルト75と同様に歯付きである。
【0031】
また、旋回機構69は、旋回本体70側に設けられた第一軸線M及び第一軸線Mから離間した第二軸線Pを有し、旋回本体70に対して第一軸線M回りに相対回動自在に接続されたスイングアーム77を有する。旋回機構69は、スイングアーム77とともに平行リンク機構を形成するリンク部材78を有する。旋回機構69は、第一軸線Mと同軸をなしてスイングアーム77と一体に回動するようにスイングアーム77に設けられたプーリ79を有する。旋回機構69は、回動軸部材74とプーリ79とに掛けられ回動軸部材74の回転をプーリ79に伝達するベルト80を有する。ベルト80は、歯付きである。旋回機構69は、スイングアーム77に対して第二軸線P回りに回動可能に接続され第三チャック部68を有する移動子81を有する。
【0032】
図3に示すように、ワーク搬送部65は、配列変換部64に固定され回転駆動力を発する動力源82を有する。動力源82は、サーボモータである。動力源82は、制御部62によって加速度を制御される。この加速度制御については後述する。
図6に示すように、ワーク搬送部65は、動力源82に設けられ回転駆動力により回転動作するプーリ83を有する。ワーク搬送部65は、第三方向Jから見たときに第一位置Fと第二位置Gとを結ぶ直線方向に長く、配列変換部64が直線方向に自在に移動可能となるように配列変換部64を取り付けたガイドレール84を有する。ワーク搬送部65は、動力源82に設けられたプーリ83と回動軸部材74とに掛けられ且つ固定部85においてガイドレール84に固定されたベルト86を有する。ベルト86は、プーリ83と回動軸部材74とを繋ぐ長円形の軌道を有する無端ベルトである。また、本実施形態では、ベルト86は、歯付きである。
図2に示すように、ワーク搬送部65は、動力源82の動作と同期してガイドレール84を第三方向Jへ進退動作させるための本発明の昇降手段としての昇降機構87を有する。
【0033】
図3に示すように、昇降機構87は、タワー88と、タイミングベルト89と、動力源90とを有する。動力源90は、制御部62に電気的に接続されている。昇降機構87は、制御部62から送られてきた電流により動力源90が駆動され、ガイドレール84を第三方向Jへ進退させる。昇降機構87の動力源90は、水平方向の移動を担う動力源82とは別体である。
【0034】
次に、本実施形態のケーサーシステム1及びワーク移載装置60の工程について説明する。図7は、ワーク移載装置60の工程を説明する要部の拡大平面図である。図8は、ワーク移載装置60の工程を説明する要部の拡大平面図である。
まず、図1に示すワーク供給部20においてワークWに適宜の加工(液体の充填、開口部の封止等)が施され、ワークWがワーク供給コンベア21によってワーク移載装置60に搬送される。ワークWは、ワーク移載装置60において流れを止められ、ワークWが第一形態Aで配列されるワーク供給工程を行う。このとき、必要に応じて、図示しない姿勢修正機構によってワークWが直列状態となるように整列されてもよい。
【0035】
図6に示すように、続いて、各チャック部66、67、68のそれぞれが開状態で、チャックユニット63がワーク搬送部65の昇降によって所定のチャック位置まで搬送される。このとき、ワークWは、第一形態Aになっている。なお、所定のチャック位置は、ワークWの形状の差異(例えば容器の容量の違いによる形状の差異など)によって予め設定されており、ワークWの種類によって切り換えて動作可能である。
【0036】
続いて、各チャック部66、67、68のそれぞれが閉動作され、各チャック部66、67、68のそれぞれによってワークWの頂部が把持されるワーク把持工程を行う。
【0037】
図7に示すように、次に、ワーク搬送部65は、動力源82の駆動によりプーリ83を回転させ、ベルト86を介して回動軸部材74を回動させることにより、ワークWの配列変換を行う。回動軸部材74の回動に伴い、各スイングアーム71、77は、第一軸線K、M回りに回動を開始する。各スイングアーム71、77は、リンク部材72、78とともに回動する。ここで、各移動子76、81は、平行リンク機構によって旋回本体70に対して平行状態を保ちつつ旋回する。
動力源82が発する回動駆動力によってプーリ83が回転すると、プーリ83が歯付きのベルト86に噛み合うことにより、プーリ83はベルト86の軌道方向へとベルト86を移動させようとする。しかしながら、本実施形態では、ベルト86はガイドレール84に固定されているので、プーリ83がベルト86を回転させる力は、ワーク搬送部65を、ガイドレール84に対して、ガイドレール84に沿って進退移動させるように作用する。すなわち、本実施形態において、動力源82は、プーリ83及びベルト86並びにワーク搬送部65に駆動力を伝達することにより、ワーク搬送部65をガイドレール84に沿って移動させる作用を有する。
【0038】
このとき、ワーク搬送部65は、昇降機構87の動力源90の駆動によってチャックユニット63及びガイドレール84を第三方向Jへ上昇させる。そのため、各チャック部66、67、68によって把持されている第一形態AのワークWは、空中に引き上げられる。そして、ワークWの底部および胴体部は、ワーク供給コンベア21から離間する。これにより、チャックユニット63は、第一位置Fから第二位置Gまで搬送される。
【0039】
図8に示すように、ワーク搬送部65によってチャックユニット63が第一位置Fから第二位置Gに搬送される間に、各チャック部66、67、68は、互いに平行な3列に配列変換される。これにより、各チャック部66、67、68に把持されているワークWは、4個×3列の第二形態Bに整列、集積される。
各チャック部66、67、68の配列変換は、ベルト86を介してプーリ83から回動軸部材74へ伝達された駆動力がスイングアーム71,77を回動させることによって行なわれる。そして、本実施形態において、プーリ83を回転させるのは、ワーク搬送部65をガイドレール84に沿って移動させる作用を有する上述の動力源82である。
このように、本実施形態では、ワークWの配列変換は、ワーク搬送部65の移動のための駆動力を発する動力源82からの駆動力の一部を利用して行なわれている。
そして、ワーク搬送部65は、4個×3列の第二形態Bに整列、集積されたワークWをケースCに収容するワーク移載工程を行う。
すなわち、本実施形態では、ワークWを第一位置Fから第二位置Gまで搬送するワーク搬送工程中に、ワークWの配列を変化する配列変換工程が行なわれる。
【0040】
このように、ワーク移載装置60では、動力源82の発生する回転駆動力は、ワーク搬送部65をガイドレール84に沿って直線移動させる動力と、回動軸部材74を回動させて第一チャック部66及び第三チャック部68を旋回移動させる動力とになる。
【0041】
ワーク移載装置60は、ワークW及びケースCの供給されている間に上述の一連の工程を繰り返し、ワークWをケースCのそれぞれに対して順次収容する。ワークWが収納されたケースCは、図1に示すケース搬送部40によって製品保管庫Eの所定の位置まで搬送される。製品保管庫Eは、ワークWに適した特性を有する格納方法を採用することができる。具体的には、常温保管が好ましいワークWに対しては常温保管庫を、例えば、飲料等であって冷蔵保管が好ましいワークWに対しては冷蔵庫をそれぞれ備えることができる。さらに例えば、アイスクリーム等であって冷凍保管が好ましいワークWに対しては冷凍庫を備えることができる。
【0042】
次に、ワーク移載装置60における制御部62の制御動作について説明する。図9はワーク移載装置60の速度制御を説明するワークWの軌跡図である。図10は、ワーク移載装置60の速度制御を説明するワークWの移動チャートである。
図9図10に示すように、各チャック部66、67、68が加減速する際に、ワークWには、移載の方向Qとは反対方向に慣性力が作用する。従って、ワークWには、水平方向(x軸,本実施形態における第一方向Hあるいは第二方向I)の加減速に対して横揺れが生じる。また、水平方向(x軸,本実施形態における第一方向Hあるいは第二方向I)もしくは上下方向(z軸,本実施形態における第三方向J)の加減速に対してフレーム61を揺らす力が生じる。これらの揺れを軽減する目的で、ワーク移載装置60では、水平方向(x軸)と上下方向(z軸,本実施形態における第三方向J)との動きを同期させて、円弧の軌跡を描いて各チャック部66、67、68を移動させている。
ここで、移載の速度制御としては、P0、P1間が等加速直線運動となり、P1、P2間が等加速円運動となり、P2、P3間が等速円運動となり、P3、P4間が等速直線運動となり、P4、P5間が等減速直線運動となる。このように、本実施形態のワーク移載装置60によれば、ワークWを第一位置Fから第二位置Gへと移動させる工程におけるワークWの移動軌跡がP1からP3の間で半円弧を描き、第一位置Fと第二位置Gとの間において、ワークWを停止させる必要がない。このため、本実施形態では、第一位置FからワークWの移動を開始するタイミングと、第二位置GにおいてワークWが停止するタイミングとの2度のみ、ワークW及びフレーム61が揺れるような負荷がかかる。
すなわち、ワークWの垂直上昇、ワークWの水平移動、そしてワークWの垂直下降という軌跡を描く従来の移載装置が、ワークWの移動方向が変化するたびにワークW及びフレームに揺れを与えることと比較して、本実施形態のワーク移載装置60は、ワークWおよびフレーム61への負荷を減らすことができるという効果を奏する。
さらに、上記の各軌跡を描いてワークWが移動した場合、ワークWの垂直上昇、ワークWの水平移動、そしてワークWの垂直下降という軌跡を描く従来の移載装置と比較して、ワークWの水平方向の加速度成分を小さくすることができるため、移載中のワークWの横揺れを軽減することができる。
【0043】
ここで、等加速円運動を行う角度θは、下記の要素で決定される。
要素1は、等加速運動における加速度である。
要素2は、等速運動における速度(等加速度運動を行う時間)である。
処理能力を増加させるためには、加速度、最大速度を増加させればよいが、これらを増加させると、移載中のワークWの横揺れが起こりやすくなる。そのため、ワーク移載装置60では、処理能力と移載中のワークWの横揺れの程度のバランスを考えて、これらのパラメータを決定している。
すなわち、71mm角の1Lゲーブルトップ型紙容器を例に挙げると、処理能力=3600秒/時÷5.10秒×12個=8470個/時となる。従って、ワーク移載装置60では、移載中のワークWの横揺れを極力抑えながら、約8500個/時の高い処理能力を得ることができた。なお、現在、市販されている充填機の最大能力が、8000個/時/列であるため、上記の能力は、必要十分であると考察する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のワーク移載装置60によれば、ワークWの配列変換と移載とを同時に行え且つワークWの配列変換と移載とを同一の動力源82で行うことができる。
【0045】
また、ワーク移載装置60によれば、ベルト75、80、86にタイミングベルトが採用され、プーリ73、79、83にタイミングプーリが採用されているので、バックラッシュがなく、位置ずれを起こすことがない。
【0046】
そして、ワーク移載装置60によれば、ワークの配列変換と移載を同一の動力源で行っており、ワーク搬送部および配列変換部に載せる動力源が一つで済むため、水平移動するユニットの全体重量を軽量化できる。
【0047】
また、従来、ワークの配列を変換することとワークを移動させることとが組み合わされた移載装置が知られているが、このような従来の移載装置では、例えばワークの配列を変換するための動力が故障した状態でワークを移動させることもできてしまう。この場合、例えば、ワークの配列変換が完了していないのにワークがケースに無理に押し込まれてしまうなど、ワークを損傷させたりワークに負荷がかかったりするリスクがある。これに対して、本実施形態では、ワークの配列変換とワークの移動とを、同一の動力源から駆動力を機械的に分配することによって賄っているので、ワークの配列変換の状態とワークの移動時の位置とが一対一に対応した状態が常に維持され、常に一定の軌跡でワークが移載されることになり、故障時におけるワークとケースとの衝突、移載装置の構造物に対するワークの衝突、あるいはその他ワークに対するリスクを予防できる。
【0048】
さらにまた、ワーク移載装置60によれば、制御部62によって、ワークWの揺れを最小限に抑え且つ高速に移載できる速度制御を行うことができる。
【0049】
加えて、ワーク移載装置60によれば、制御部62によって、ワークWの揺れを抑える運転軌跡及び速度制御を行うことにより、ワークWを保護することができる。
【0050】
また、本実施形態のケーサーシステム1によれば、ワークWの配列変換と移載とを同時に行え且つワークWの配列変換と移載とを同一の動力源82で行うことができる。
【0051】
そして、本実施形態のワーク移載方法によれば、ワークWの配列変換と移載とを同時に行え且つワークWの配列変換と移載とを同一の動力源82で行うことができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
一例を挙げると、上述の実施形態では各スイングアーム71、77と各リンク部材72、78とが四節平行リンク機構である場合を挙げたが、本発明は四節平行リンク機構を備えた構造には限定されない。例えば、旋回本体70と各チャック部66、68との間に一対の収縮ロッドを取り付けて伸縮ロッドの長さを調整することにより第1形態AにあるワークWを第2形態Bに配列変換することもできる。また、本発明のワーク移載装置は、四節平行リンクに限らず、他の複数対のリンク機構を有していてもよい。
【0053】
また、本発明のワーク移載装置は、上述の実施形態において説明したゲーブルトップ型の容器以外のワークを移載する装置にも適用することができる。例えば、アイスクリームやヨーグルト等を充填したカップ容器をケースに移載する装置に本発明を適用する場合には、チャックユニット63における各チャック部66、67、68に代えて、上記カップ容器の一部に吸着可能な吸着ヘッドを備えればよい。このような吸着ヘッドは、例えば真空エゼクタ(SMC ZH10BS−06−01)あるいはバキュームパット(妙徳 PJG−40−S)などの部品で構成することができる。また、各チャック部66、67、68に代えてワークWを把持する二つ割のチャックを採用することで、牛乳壜をケースCに移載するワーク移載装置にも本発明を適用することができる。
【0054】
また、上述の実施形態においてワークWの配列の第一形態Aは、ワークWが1列に計12個配列された形態を示し、ワークWの配列の第二形態Bは、ワークWが4×3の行列に計12個配列された形態を示した。しかし、第一形態と第二形態とのそれぞれにおけるワークWの数量及び配列は適宜選択することができる。例えば、上述の平行リンク機構の数を増やすことで1列から4列、あるいは1列から5列のような配列変換や、2列から3列、あるいは2列から4列のような配列変換も一動作で行うことができる。
【0055】
また、上述の実施形態では、コンベア上を流れてきたワークの配列を変換しつつワークをケースへと移載する例を説明したが、逆に、ケース内に収納されたワークを取り出して、コンベア上に移動しつつワークの配列を変換することもできる。
【0056】
また、ワークを移載するためのワークの軌跡は、垂直上昇を開始してから最高の位置まで到達するまでの1/4円弧状の軌跡と、前記最高の位置からワークを水平に移動させる直線状の軌跡と、ワークの水平移動からワークの垂直下降に変化する1/4円弧状の軌跡との組み合わせであってもよい。
また、ワークを移載するためのワークの軌跡は、ワークの進行方向が屈曲することなくなめらかな曲線状につながる一連の自由曲線であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 ケーサーシステム
20 ワーク供給部
21 ワーク供給コンベア
40 ケース搬送部
60 ワーク移載装置
61 フレーム
62 制御部
63 チャックユニット
64 配列変換部
65 ワーク搬送部
66 第一チャック部
67 第二チャック部
68 第三チャック部
69 旋回機構
70 旋回本体
71、77 スイングアーム
72、78 リンク部材
73、79、83 プーリ
74 回動軸部材
75、80、86 ベルト
76、81 移動子
82 動力源
84 ガイドレール
85 固定部
87 昇降機構(昇降手段)
88 タワー
89 タイミングベルト
90 動力源
A 第一形態
B 第二形態
C ケース
D ケース保管位置
E 製品保管庫
F 第一位置
G 第二位置
H 第一方向
I 第二方向
J 第三方向
K 第一軸線
L 第二軸線
M 第一軸線
P 第二軸線
Q 移載の方向
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10