特許第5774057号(P5774057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774057
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/00 20060101AFI20150813BHJP
   B66B 23/24 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   B66B31/00 A
   B66B23/24 A
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-120991(P2013-120991)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-237513(P2014-237513A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2013年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 雄太
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−075574(JP,A)
【文献】 特公平04−007518(JP,B2)
【文献】 特開2002−103815(JP,A)
【文献】 特開2007−191304(JP,A)
【文献】 特開2002−221920(JP,A)
【文献】 特開2005−206370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 23/24
B66B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結されて移動する複数のステップと、
前記ステップの左右両側に立設された左右一対の欄干と、
前記欄干の縁に沿って、前記ステップと同期して移動する手摺りベルトと、
前記手摺りベルトの表面に設けられた表示部と、
前記表示部に情報を表示させるための書き込み装置と、
前記表示部によって表示された前記手摺りベルトの前記情報を消去する消去装置と、
を有し、
前記書き込み装置は、客コンベアの一方の乗降口と他方の乗降口にそれぞれ設けられ、
前記消去装置は、前記欄干又はスカートガードに設けられている、
乗客コンベア。
【請求項2】
前記表示部が前記手摺りベルトの表面に設けられた磁気泳動方式の表示シートであり、
前記書き込み装置は、前記表示シートに前記情報に対応した磁気を与えて、前記情報を書き込む永久磁石、又は、電磁石であり、
前記消去装置は、前記表示シートの前記情報を磁気によって消去するための永久磁石、又は、電磁石である、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記書き込み装置が、
前記手摺りベルトと同期して回転しながら前記手摺りベルトに押圧される書き込みローラと、
前記書き込みローラの表面に、前記情報に対応した形状で設けられた永久磁石と、
を有する請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記書き込み装置が、
前記手摺りベルトの幅方向に設けられ、前記表示部に磁気を与える複数の電磁石からなる電磁石ユニット部と、
前記情報に対応したON又はOFFの磁化パターンを前記手摺りベルトの移動方向と幅方向に分けて、前記電磁石ユニット部の前記電磁石に個々に出力する指令部と、
を有する請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記表示シートは、表示したい色に着色された磁性粉と前記表示したい色と異なる色に着色された流体とを内包したマイクロカプセルと、
前記マイクロカプセルを挟持している一対のフィルムを有する、
請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記表示シートは、磁性粉と流体とを内包したマイクロカプセルと、
前記マイクロカプセルを挟持している一対のフィルムを有し、
前記磁性粉のS極とN極に分割して磁性化され、前記極毎に着色されている色が異なり、
前記流体の色が、前記S極又は前記N極の色に着色されている、
請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
前記書き込み装置は、前記情報を所定間隔毎に示シートに書き込む、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項8】
前記情報が、前記ステップの移動方向を示す矢印である、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項9】
前記情報が、前記乗降口への進入禁止を示すマークである、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエスカレータや動く歩道などの乗客コンベアにおいて、踏段やパレットなどのステップの移動方向を乗客に示す表示装置としては、乗客コンベアの正面スカートガードに表示部を設けたり、乗降口付近に表示装置を設けている。
【0003】
また、乗客コンベアの手摺りベルトの表面に、移動方向を示す矢印に対応した凹部を設けた技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−276976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、手摺りベルトに凹部を設けて矢印を形成する場合には、その矢印の方向を書き換えることが困難であり、乗客コンベアの移動方向を例えば上りから下りに転換できないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明の実施形態は、上記問題点に鑑み、手摺りベルトに情報を簡単に表示できる乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、無端状に連結されて移動する複数のステップと、前記ステップの左右両側に立設された左右一対の欄干と、前記欄干の縁に沿って、前記ステップと同期して移動する手摺りベルトと、前記手摺りベルトの表面に設けられた表示部と、前記表示部に情報を表示させるための書き込み装置と、を有する乗客コンベアである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1のエスカレータの側面図である。
図2】エスカレータの平面図である。
図3】手摺りベルトを表したエスカレータの側面図である。
図4】手摺りベルトの縦断面図である。
図5】下階側書き込み装置の縦断面図である。
図6】書き込みローラの斜視図である。
図7】実施形態2の手摺りベルトを表したエスカレータの側面図である。
図8】書き込み装置の斜視図である。
図9】エスカレータのブロック図である。
図10】書き込み装置によって書き込まれる情報を表した表である。
図11】矢印が表示された手摺りベルトの平面図である。
図12】実施形態2のフローチャートである。
図13】実施形態3の手摺りベルトを表示したエスカレータの側面図である。
図14図13におけるI−I線断面図である。
図15】手摺りベルトの平面図である。
図16】矢印を表示する部分の手摺りベルトの縦断面図である。
図17】禁止マークを表示する部分の手摺りベルトの縦断面図である。
図18】実施形態4の手摺りベルトの状態を表したエスカレータの側面図である。
図19】下階側書き込み装置の縦断面図である。
図20】伝熱ローラの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、無端状に連結されて移動する複数のステップと、前記ステップの左右両側に立設された左右一対の欄干と、前記欄干の縁に沿って、前記ステップと同期して移動する手摺りベルトと、前記手摺りベルトの表面に設けられた表示部と、前記表示部に情報を表示させるための書き込み装置と、前記表示部によって表示された前記手摺りベルトの前記情報を消去する消去装置と、を有し、前記書き込み装置は、客コンベアの一方の乗降口と他方の乗降口にそれぞれ設けられ、前記消去装置は、前記欄干又はスカートガードに設けられている、乗客コンベアである。
【実施形態1】
【0010】
以下、実施形態1のエスカレータ10を図1図6に基づいて説明する。
【0011】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の構造について、図1に基づいて説明する。図1はエスカレータ10を側面から見た説明図である。
【0012】
エスカレータ10のトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を介して支持されている。トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、駆動装置18が設けられている。
【0013】
駆動装置18は、モータ20、このモータ20に連結された減速機19、減速機の出力軸に取り付けられた出力スプロケット21を有し、出力スプロケット21と駆動スプロケット24との間には駆動チェーン22が掛け渡され、駆動チェーン22により駆動スプロケット24が駆動される。上階側の機械室14内部には、制御装置50が設けられている。トラス12の下端部にある下階側の機械室16内には、従動スプロケット26が設けられ、駆動スプロケット24と従動スプロケット26との間に踏段チェーン28が掛け渡され、踏段チェーン28には複数の踏段30が等間隔で連結されている。
【0014】
踏段30は、その前後に前輪30a及び後輪30bが取り付けられ、これら前輪30a及び後輪30bが、トラス12内に設けられた不図示の往路ガイドレール、帰路ガイドレール及び反転ガイドレールからなるガイドレールによって案内されることにより、複数の踏段(ステップ)30は、踏段チェーン28の移動と連動して循環走行する。
【0015】
踏段30が反転する位置の上部が利用者の乗降口であり、乗降口には上階側の乗降板32、下階側の乗降板34が設けられている。
【0016】
トラス12の左右両側には、左右一対の欄干36,36が立設されている。この欄干36の上部には手摺レール39が設けられ、手摺レール39を手摺りベルト38と手摺り移動ベルト60が移動する。すなわち、手摺りベルト38の内側に手摺り移動ベルト60が配され、この手摺り移動ベルト60は、欄干36の下方でトラス12内部に引き出されている。引き出された手摺り移動ベルト60には、手摺りスプロケット64が取り付けられている。また、この手摺りスプロケット64と、駆動スプロケット24の回転軸と同軸に設けられた駆動出力スプロケット62との間に手摺り駆動チェーン66が掛け渡されている。
【0017】
駆動装置18によってモータ20が回転し、減速機19で所定の速度で出力スプロケット21が回転し、駆動チェーン22が回転する。この駆動チェーン22が回転すると、駆動スプロケット24が回転し、踏段チェーン28が移動する。また、駆動スプロケット24が回転すると、駆動出力スプロケット62も回転し、手摺り駆動チェーン66によって手摺りスプロケット64が回転する。手摺りスプロケット64が回転すると、手摺り移動ベルト60が移動し、この手摺り移動ベルト60の外周に設けられている手摺りベルト38も移動する。これによって、踏段30と手摺りベルト38が同期して移動する。
【0018】
欄干36の上階側の正面下部を覆う正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には、下階側の正面スカートガード42が設けられ、正面スカートガード40,42の正面から、手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48が突出している。欄干36の側面下部には、スカートガード44が設けられている。また、上階側の正面スカートガード40には、上階側の操作盤52が設けられ、この近くのスカートガード44には、上階側のスピーカ54が設けられている。下階側の正面スカートガード42にも下階側の操作盤56が設けられ、その近くのスカートガード44には、下階側のスピーカ58が設けられている。
【0019】
(2)表示を行うための構成
本実施形態のエスカレータ10の左右一対の手摺りベルト38,38にエスカレータ10の移動方向を示す矢印Aを図2に示すように表示する。その表示を行うための構成について説明する。
【0020】
図3に示すように、エスカレータ10の上階側の左右一対の正面スカートガード40,40内部には、手摺りベルト38に下り用矢印Aを書き込むための上階側書き込み装置68が設けられている。下階側の左右一対の正面スカートガード42,42にも手摺りベルト38に上り用矢印Aを書き込むための下階側書き込み装置70が設けられている。上階と下階の途中にあるスカートガード44内部には、書き込まれた矢印Aを消去する消去装置72が設けられている。
【0021】
まず、本実施形態の手摺りベルト38の構造について図4に基づいて説明する。
【0022】
無端状の手摺りベルト38は、ゴムや合成樹脂で形成されたシート状であり、その両側部が下方に屈曲し、C型に形成されている。手摺りベルト38の表面には、磁気泳動方式の表示シート74が積層されている。表示シート74は、図4に示すように、上下一対の合成樹脂製のフィルム76,78の間に複数のマイクロカプセル80が挟持されている。マイクロカプセル80内部には、矢印Aを表示したい色(例えば、黒色)に着色された磁性粉82と、矢印Aの表示する色とは異なる色(例えば、白色)に着色した流体84が内包されている。
【0023】
下階側書き込み装置70は、上り用矢印Aを書き込むための装置であって、図5に示すように、上下一対の書き込みローラ86と支持ローラ88とより構成され、書き込みローラ86と支持ローラ88の間を表示シート74を有する手摺りベルト38が移動する。なお、書き込みローラ86が表示シート74側に設置されている。書き込みローラ86の外周面には、図6に示すように、矢印Aの形状に形成された永久磁石からなる磁石部90が所定間隔毎に設けられている。
【0024】
上階側書き込み装置68は、下り用矢印Aを書き込むための装置であって、矢印形状の磁石部を有する書き込みローラ92と支持ローラ94とより構成され、書き込みローラ92と支持ローラ94の間を表示シート74を有する手摺りベルト38が移動する。
【0025】
消去装置72は、永久磁石板96と支持板98とを有し、永久磁石板96と支持板98との間を表示シート74を有する手摺りベルト38が通過する。この場合に、手摺りベルト38側に永久磁石板96が配置され、表示シート74側に支持板98が配置されている。そして、消去装置72は、表示シート74を有する手摺りベルト38が、スカートガード44内部を移動して途中(帰路の途中)で、上階側書き込み装置68又は下階側書き込み装置70によって書き込まれた矢印Aを永久磁石板96で消去する。
【0026】
(3)表示方法
次に、上記で説明した矢印Aの表示方法について説明する。
【0027】
まず、エスカレータ10が上り運転を行っている場合について説明する。
【0028】
上り運転を行っているときは、表示シート74を有する手摺りベルト38は、往路では欄干36の上部を下階から上階へ移動する。そのため、下階側書き込み装置70によって、表示シート74の表面に上り用矢印Aが書き込まれる。
【0029】
図4に示すように、書き込みローラ86の矢印A形状の磁石部90の磁気によって、磁気泳動方式の表示シート74のマイクロカプセル80に内包された黒色の磁性粉82が表示シート74の表面に集まり、図2に示すように、表示シート74の表面に黒色の矢印Aが浮かび上る。この場合に矢印A以外の部分は白色である。そして、書き込みローラ86と支持ローラ88は、手摺りベルト38の移動と共に同期して回転するため、矢印Aの書き込みは所定間隔毎に行われる。
【0030】
下階側の乗降口にいる乗客は、その表示された上り用矢印Aを見ると、エスカレータ10が上り運転を行っていることが一目で判る。
【0031】
手摺りベルト38が上階側に到達すると、上り用矢印Aが表示された表示シート74には、上階側書き込み装置68によって下り用矢印Aも書き加えられる。しかし、この表示シート74は、帰路においてはスカートガード44内部を移動し、乗客の目に触れない。そして、表示シート74が消去装置72の位置に至ると、永久磁石板96がマイクロカプセル80内部の磁性粉82を表示シート74の表面から裏面側に移動するように吸着する。そのため、表示シート74の表面は白色の流体84が移動し表示シート74に浮かび上がっている下り用矢印Aと上り用矢印Aが両方共に消去される。
【0032】
そして、上り用矢印Aと下り用矢印Aが消去された表示シート74は、下階側書き込み装置70の位置に至ると、再び上り用矢印Aのみが書き込まれ、欄干36の上部を移動する。
【0033】
エスカレータ10が下り運転を行っている場合には、上り運転とは逆に上階側書き込み装置68が表示シート74に下り用矢印Aを書き込み、表示シート74を有する手摺りベルト38は、欄干36の上部を上階から下階へ移動する。下階側まで来ると下階側書き込み装置70によって上り用矢印Aも書き込まれるが、帰路においてスカートガード44内部を移動するため乗客の目に付かない。消去装置72が、上り用矢印Aと下り用矢印Aの両方共を消去し、再び上階側書き込み装置68が下り用矢印Aが書き込む。
【0034】
(4)効果
上記実施形態のエスカレータ10であると、上り運転の場合には下階側書き込み装置70が表示シート74に上り用矢印Aが書き込み、下り運転の場合には上階側書き込み装置68が下り用矢印Aが書き込む。
【0035】
また、スカートガード44内部に設けられた消去装置72が、上り用矢印Aと下り用矢印Aの両方共に消去する。
【0036】
また、磁気泳動方式の表示シート74であるので、上り運転や下り運転に関わらず矢印Aを表示でき、手摺りベルト38の構造が複雑にならない。
【0037】
(5)変更例
上記実施形態では、黒色と白色の組み合わせであったが、これに限らず例えば、赤色と白色の組み合わせもよい。
【0038】
また、書き込む情報も矢印に限らず、広告の文字や絵、その他の情報でもよい。
【実施形態2】
【0039】
次に、実施形態2のエスカレータ10について図7図12に基づいて説明する。
【0040】
本実施形態と実施形態1の異なる点は、矢印Aの表示方法が異なる点である。なお、手摺りベルト38と表示シート74の構成については実施形態1と同様である。
【0041】
本実施形態では、実施形態1における上階側書き込み装置68、下階側書き込み装置70及び消去装置72に代えて、図7に示すように、上階側の正面スカートガード40内部に、上り用矢印Aと下り用矢印Aを書き込む書き込み装置100と、手摺りベルト38の移動距離を測定する距離センサ102が設けられ、スカートガード44内部には矢印Aを消去する消去装置104が設けられている。
【0042】
(1)表示を行うための構成
まず、書き込み装置100の構成について図7図8に基づいて説明する。
【0043】
書き込み装置100は、手摺りベルト38の表示シート74側に設けられ、図8に示すように、基台106の上に、複数個(例えば8個)の電磁石M1〜M8が幅方向に一列設けられ、電磁石ユニット部108を構成している。電磁石ユニット部108の各電磁石M1〜M8は、表示制御部114からの磁化パターンによってそれそれON/OFFすることにより個々に磁化される。
【0044】
距離センサ102は、図7に示すように、手摺りベルト38の移動と共に回転する不図示の手摺りローラに設けられた検出片の回転角度、回転数によって、手摺りベルト38の移動距離を測定する。また、手摺りローラと同軸に設けられたエンコーダによってその移動距離を測定してもよい。
【0045】
消去装置104は、図7に示すように、電磁石板110と支持板112とから構成され、電磁石板110と支持板112との間を、表示シート74を有する手摺りベルト38が通過する。なお、電磁石板110は、手摺りベルト38側に設けられている。
【0046】
(2)表示を行うための電気的構成
次に、上記表示を行うための表示制御部114の電気的構成について図9のブロック図に基づいて説明する。図9に示すように、表示制御部114は、移動距離判定部116、記録部118、指令部120からなる。移動距離判定部116には、距離センサ102が接続され、指令部120には、移動距離判定部116、記録部118、書き込み装置100、消去装置104及び制御装置50が接続されている。
【0047】
移動距離判定部116は、距離センサ102からの出力信号に基づいて、手摺りベルト38の移動距離を算出する。距離センサ102がエンコーダの場合には、回転数とその回転角度から移動距離を算出する。
【0048】
記録部118には、図10に示すように、上り用矢印A又は下り用矢印A毎に、手摺りベルト38の幅方向及び移動方向に対応した電磁石M1〜M8のON/OFF状態を示す磁化パターンが記録されている。
【0049】
指令部120は、制御装置50から運転方向信号(上り運転又は下り運転かを示す信号)が入力する。指令部120は、上り運転の場合には、記録部118から上り用矢印Aを書き込むための磁化パターンを呼び出し、書き込み装置100に移動距離判定部116からの移動距離に合わせて出力し、また、下り運転の場合には、記録部118から下り用矢印Aを書き込むための磁化パターンを呼び出し、書き込み装置100に移動距離判定部116からの移動距離に合わせて出力する。また、指令部120は、書き込み装置100によって矢印Aが書き込まれている間は上り運転であっても下り運転であっても消去装置104の電磁石板110を作動させ、矢印Aを消去する。
【0050】
(3)表示方法
次に、表示制御部114が、表示シート74に矢印Aを書き込み装置100で書き込む表示方法について図10図11に基づいて説明する。図10は、表の横方向が手摺りベルト38の幅方向を示し、縦方向は手摺りベルト38の移動方向をセル番号で示し、各電磁石M1〜M8のON/OFF状態を示している。図11は、手摺りベルト38の表示シート74の平面図であり、矢印Aを複数の黒色の点で表示(ドット表示)している。そして、書き込み装置100は、図10図11に示すように、手摺りベルト38の移動距離に合わせて、1列の電磁石M1〜M8が個々にON/OFFすることにより、表示シート74にドット表示を行う。
【0051】
まず、1列目の点(ドット)の表示状態(第1セル)を実現するためには、図10に示すように、表示制御部114が、電磁石M1〜M3はOFF状態、M4とM5はON状態、M6〜M8はOFF状態にすることにより、ON状態の電磁石が磁化されて、マイクロカプセル80に内包されている磁性粉82が表示シート74の表面に移動して黒色に変化し、矢印Aの第1セルの表示状態が実現できる。
【0052】
次に、表示制御部114が、手摺りベルト38が第1の設定値L1以上移動すると、第2セルの状態を表示する。すなわち、図10に示すように、電磁石M1とM2がOFF状態、M3〜M6がON状態、M7とM8がOFF状態とすることにより、ON状態の電磁石が磁化されて、マイクロカプセル80に内包されている磁性粉82が表示シート74の表面に移動し、矢印Aの第2セルの表示状態が実現できる。以下同様に、手摺りベルト38が第1の設定値L1が移動する毎に次のセルの状態に、電磁石M1〜M8をON/OFFさせ、第8セルまで表示させると、1つの矢印Aが表示される。
【0053】
次に、表示制御部114は、1つの矢印Aを書き込んだ後、手摺りベルト38が第2設定値L2移動すると、次の矢印Aを上記と同様の方法で表示シート74に書き込む。これにより、表示シート74には第2設定値L2毎に矢印Aが表示される。
【0054】
(4)表示制御部114の動作状態
次に、上記で説明した表示制御部114の動作状態について、図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0055】
ステップS1において、表示制御部114の指令部120に、制御装置50から上り運転の信号が入力すると、指令部120は消去装置104を駆動させ、手摺りベルト38の表示シート74に表示されている矢印Aを消去していき、ステップS2に進む。
【0056】
ステップS2において、指令部120は、移動判定部116からの移動距離に基づいて、無端の手摺りベルト38が1周したか否かを測定し、1周していればステップS3に進み(Yesの場合)、1周していなければステップS2を続ける(Noの場合)。
【0057】
ステップS3において、指令部120は、手摺りベルト38が1周して消去装置104によって全ての矢印Aが消去されたため、消去装置104の消去用電磁石板110を停止させステップS4に進む。
【0058】
ステップS4において、指令部120は、記録部118に記録されている上り用矢印の磁化パターンのセル数(移動方向の数)を呼び出して、その数をmとして記憶し、ステップS5に進む。
【0059】
ステップS5において、指令部120は、n=1としてステップS6に進む。ここで、nとは、セルの番号を示す。
【0060】
ステップS6において、指令部120は、記録部118に記録されている第nセルの磁化パターンを書き込み装置100に出力し、書き込む装置100は、例えば、第1セルにおいて図10に示すように、電磁石M1〜M3をOFFし、M4とM5をONし、M6〜M8をOFFし、表示シート74に第1セルの磁化パターンを書き込み、ステップS7に進む。
【0061】
ステップS7において、指令部120は、m=nとなったか否かを判断し、m=nであれば一つの上り用矢印Aが書き込まれたのでステップS10に進み(Yesの場合)、m>nであれば上り用矢印Aがまだ全て書き込まれていないのでステップS8に進む(Noの場合)。
【0062】
ステップS8において、指令部120は、n=n+1としてステップS9に進む。
【0063】
ステップS9において、指令部120は、前回のセルの書き込みから手摺りベルト38が第1の設定値L1以上移動したか否かを移動判定部116からの移動信号に基づいて判断し、移動していればステップS6に戻り(Yesの場合)、移動距離が第1の設定値L1に達していなければステップS9を続ける(Noの場合)。
【0064】
ステップS10において、起動開始時から指令部120は、手摺りベルト38が2周したか否かを判断し、2周していれば手摺りベルト38の周囲に全て新たに矢印Aが書き込まれたとして終了し(Yesの場合)、2周していなければステップS11に進む(Noの場合)。
【0065】
ステップS11において、指令部120は、第mセルの書き込み完了から手摺りベルト38が第2の設定値L2以上移動しているか否かを判断し、移動していれば次の上り用矢印Aを書き込むためにステップS5に進み(Yesの場合)、移動していなければ間隔を開けるためにステップS10に戻る(Noの場合)。
【0066】
(5)効果
以上により本実施形態のエスカレータ10であると、書き込み装置100によって上り用矢印A又は下り用矢印Aを書き込むことができ、この動作は起動時にのみ行えばよい。また、記録部118の内容を変更すれば、矢印Aに限らず、どの様な情報でも表示シート74に書き込むことができる。
【実施形態3】
【0067】
実施形態3のエスカレータ10について、図13図18に基づいて説明する。
【0068】
実施形態1では、書き込みローラ86に設けられた磁石部90によって矢印Aが表示シート74に書き込まれたが、本実施形態ではこの表示シート74の代わりに、予め決められた表示内容を表示する磁気泳動方式の表示内容構成型の表示シート122を用いる。
【0069】
本実施形態は、図13に示すように、上り運転に用いられる下階側書き込み装置124、下り運転に用いられる上階側書き込み装置126、欄干36の上部に設けられた降り口用書き込み装置128から構成される。
【0070】
表示シート122は、図15に示すように、上り用矢印A1、下り用矢印A2、乗り込み禁止マークA3が順番に表示されている。なお、以下の説明では、上り運転時に下階側書き込み装置124によって表示シート122に与えられる磁気の磁極をN極とし、下り運転時に上階側書き込み装置126によって表示シート122に与えられる磁極をS極とし、表示シート122に表示したい内容、すなわち上り用矢印A1、下り用矢印A2、乗り込み禁止マークA3を黒色、それ以外の非表示部分を白色で表現する。
【0071】
表示シート122は、フィルム130とフィルム132との間にマイクロカプセル134又はマイクロカプセル136が挟持されている。マイクロカプセル134は上り用矢印A1の部分に挟持され、禁止マークA3の部分にはマイクロカプセル136が挟持されている。図16に示すように、上り用矢印A1におけるマイクロカプセル134の内部の磁性粉134aがS極を黒色、N極を白色で分割して着色され、流体136bが白色で着色されている。下り用矢印A2のマイクロカプセルについては図示しないが、マイクロカプセル内部の磁性粉の着色は上記とは逆でS極を白色、N極を黒色で着色し、流体が白色で着色されている。禁止マークA3におけるマイクロカプセル136は、図17に示すように、磁性粉136aがS極とN極共に白色で着色され、すなわち、磁性粉136a全部が白色で着色され、流体136bが黒色で着色されている。
【0072】
下階側書き込み装置124について図15図16に基づいて説明する。下階側書き込み装置124は板状の永久磁石を有し、上り運転のときに下階側書き込み装置124の永久磁石により表示シート122にN極の磁気が与えられ、上り用矢印A1は図15図16に示すようにマイクロカプセル134内部の磁性粉134aの黒色に着色したS極側が表示シート122の表面側に引き付けられ、上り用矢印A1が表示される。また、禁止マークA3は、マイクロカプセル136内の白色に着色した磁性粉134aが引き付けられることで禁止マークA3が表示されない。
【0073】
上階側書き込み装置126について図15に基づいて説明する。上階側書き込み装置126は板状の永久磁石を有し、下り運転のときに上階側書き込み装置126の永久磁石により表示シート122にS極の磁気が与えられ、下り用矢印A2は図15に示すようにマイクロカプセル内部の磁性粉の黒色に着色したN極側が表示シート122の表面側に引き付けられ、下り用矢印A2が表示される。また、禁止マークA3は、マイクロカプセル136内の白色に着色した磁性粉134aが引き付けられることで禁止マークA3が表示されない。
【0074】
降り口用書き込み装置128について図14に基づいて説明する。欄干36の上端部に設けられた手摺りレール138の上部を覆うように手摺りベルト38と手摺り移動ベルト60が移動する。そして、手摺りレール138の中央部分には、降り口用永久磁石140が配されている。この降り口用永久磁石140は、手摺りレール39の中央部から突出した支持脚142に支持されている。
【0075】
上記のように下階側書き込み装置124によって上り用矢印A1が書き込まれた表示シート122は、手摺りベルト38によって移動し、上階と下階の途中に設けられた降り口用書き込み装置128の上部を通過する。この場合に、降り口用永久磁石140の磁力によってS極、N極共に白色で着色された磁性粉136aが、マイクロカプセル136の下方側に引き付けられ、黒色で着色された流体136bが上部に移動し、禁止マークA3が表示される。したがって、上り運転において手摺りベルト38が上階側に到着すると、表示シート122の正面には禁止マークA3が表示されているため、乗り込み禁止であることを乗客に知らせることができる。
【0076】
上階側書き込み装置126を通過するときに、上階側書き込み装置126の永久磁石が、N極側の黒色を引き付けるため、表示シート122の表面にある上り用矢印Aが消去される。手摺りベルト38が下階側までスカートガード44内部を移動すると、下階側書き込み装置124によって再び上り用矢印Aが書き込まれる。
【0077】
運転方向を下り運転とした場合にも上記とは逆の作用により、上階側書き込み装置126のN極の磁力によって下り用矢印A2が表示され、上り用矢印A1及び禁止マークA3は表示されない。そして、手摺りベルト38が下り方向に移動し降り口用書き込み装置128を通過するときに禁止マークA3が表示される。
【0078】
手摺りベルト38が下階側に到着すると、下階側書き込み装置124によって下り用矢印A2と禁止マークA3の表示が消去される。
【0079】
なお、上記説明では、下り運転時に用いられる上階側書き込み装置126の永久磁石をS極とし、上り運転時に用いられる下階側書き込み装置124の永久磁石をN極としたが、これを逆にしてもよい。但し、この場合には表示シート122に表示される上り用矢印A1と下り用矢印A2を構成するマイクロカプセル内の磁性粉のS極とN極の着色を黒白逆にする必要がある。
【実施形態4】
【0080】
次に、実施形態4のエスカレータ10について、図18図20に基づいて説明する。
【0081】
本実施形態と実施形態1の異なる点は、手摺りベルト38の構造にあり、本実施形態では手摺りベルト38の表面にサーモクロミック塗料によって形成された塗布部144が形成されている。また、図18に示すように、上階側の正面スカートガード40内部には上階側書き込み装置158が設けられ、下階側の正面スカートガード40内部には下階側書き込み装置156が設けられている。
【0082】
下階側書き込み装置156は、図18図19に示すように、伝熱ローラ146と支持ローラ148とより形成され、塗布部144を有する手摺りベルト38が伝熱ローラ146と支持ローラ148との間を通過する。この場合に、伝熱ローラ146側を塗布部144が通過する。伝熱ローラ146は、矢印Aに対応して熱容量の小さい材料で形成された伝熱部150を有し、他の部分はこの熱容量の小さい伝熱部150よりも大きい熱容量の材料で形成されている。そして、ヒータ片152を有するヒータ部154が設けられ、ヒータ部154によって加熱された熱が金属製のヒータ片152を通じて伝熱ローラ146の伝熱部150に熱を伝える。これによって、伝熱部150が所定温度以上に加熱される。矢印Aの形状の伝熱部150が所定温度以上に加熱された伝熱ローラ146が、手摺りベルト38の塗布部144に押圧されると、サーモクロミック塗料で形成された塗布部144が矢印Aの形状に色が変化し進行方向を表示する。なお、上階側書き込み装置158も同様の構造を有する。
【0083】
上り運転の場合には、下階側書き込み装置156のヒータ部154のスイッチ160をONさせ、上階側書き込み装置158のヒータ部154のスイッチ160をOFFにすることにより、上り用矢印Aが塗布部144に浮かび上がる。
【0084】
逆に、下り運転の場合には、上階側書き込み装置158のヒータ部154のスイッチ160をONし、下階側用書き込み装置156のヒータ部154のスイッチ160をOFFにすることにより、下り用矢印Aが浮かび上がる。なお、手摺りベルト38に表示された矢印Aは自然冷却されることにより、降り口側に行く前に自然に消える。
【0085】
本実施形態においても、手摺りベルト38の表面に上り用矢印A又は下り用矢印Aを表示できる。
【変更例】
【0086】
上記実施形態では、エスカレータ10で説明したが、無端状のパレット(ステップ)が移動する動く歩道においても同様に適用できる。
【0087】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
10・・・エスカレータ、36・・・欄干、38・・・手摺りベルト、50・・・制御装置、68・・・上階側書き込み装置、70・・・下階側書き込み装置、72・・・消去装置、74・・・表示シート、30・・・踏段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20