特許第5774073号(P5774073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774073
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/12 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   F16L37/12
【請求項の数】7
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2013-212574(P2013-212574)
(22)【出願日】2013年10月10日
(65)【公開番号】特開2015-75193(P2015-75193A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2014年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】592243553
【氏名又は名称】株式会社タカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122806
【弁理士】
【氏名又は名称】室橋 克義
(74)【代理人】
【識別番号】100168192
【弁理士】
【氏名又は名称】笠川 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100174311
【弁理士】
【氏名又は名称】染矢 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100182523
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 由賀里
(72)【発明者】
【氏名】山口 新矢
(72)【発明者】
【氏名】白武 史考
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−204793(JP,A)
【文献】 特開2010−230073(JP,A)
【文献】 特開2004−251319(JP,A)
【文献】 特開2001−324075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄側接続部を有する雄管と、
雌側接続部を有する雌管と、
クイックファスナーと、
上記クイックファスナーの外側に取り付けられたファスナー部材と、
上記雄管又は上記雌管に取り付け可能な装着部材と、
上記ファスナー部材の外側に正規状態で装着可能なアウター部材と、を備えており、
上記クイックファスナーが、上記雄側接続部と上記雌側接続部との正規接続状態を保持する係止状態と、上記正規接続状態の解除を許容する非係止状態とを実現可能であり、
上記係止状態と上記非係止状態との相互移行が、上記ファスナー部材の操作によって可能とされており、
上記装着部材が、上記操作を許容しつつ、上記非係止状態において上記ファスナー部材及び/又は上記クイックファスナーを保持可能であり、
上記装着部材又は上記アウター部材の一方が、係合溝を有しており、
上記装着部材又は上記アウター部材の他方が、係合突起を有しており、
上記係合溝と上記係合突起との係合により、上記アウター部材と上記装着部材との連結が達成されており、
上記アウター部材が、上記連結を維持したまま、上記正規状態と取り外し状態とを採りうる継手。
【請求項2】
上記係合突起が、上記係合溝の内部を移動することができ、
上記係合突起の移動に起因して、上記アウター部材の軸方向移動が可能とされており、
上記係合突起が、上記アウター部材の回転を可能とする回転許容部を有しており、
上記軸方向移動及び上記回転により、上記アウター部材は、上記装着部材に係合したまま、上記正規状態と上記取り外し状態とを採りうる請求項1に記載の継手。
【請求項3】
上記正規状態にあるときの上記アウター部材の姿勢が正規姿勢とされるとき、
上記軸方向移動において、上記正規姿勢が維持されうる請求項2に記載の継手。
【請求項4】
上記回転により、上記正規姿勢にある上記アウター部材が上記取り外し状態へと移行されうる請求項3に記載の継手。
【請求項5】
上記軸方向移動により、上記正規姿勢を維持したまま、上記アウター部材が円滑回転位置に移動しうる請求項3又は4に記載の継手。
ただし、上記円滑回転位置とは、上記正規姿勢から上記取り外し状態までの上記回転において、他部材と上記アウター部材との接触が回避されうるような軸方向位置である。
【請求項6】
上記装着部材が、上記正規状態にある上記アウター部材よりも上方に突出する上方突出部を更に有しており、
上記上方突出部が、アウター用係合部を有しており、
上記アウター部材が、欠落部を有しており、
上記アウター部材が上記正規状態にあるとき、上記欠落部の上縁が上記アウター用係合部に当接している請求項1から5のいずれかに記載の継手。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の継手を備える水栓器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手に関する。
【背景技術】
【0002】
クイックファスナーを用いた継手が知られている。特許第3711224号は、一動作(ワンアクション)で管の接続を行うことができる迅速管継手を開示する。特許第3711246号公報は、ワンタッチ動作で接続を行うことのできるワンタッチジョイントを開示する。特許第4335401号公報は、カム面を有する抜止クリップを有し、雄管の突出部が雌管の突出部よりも小径とされた迅速管継手を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3711224号公報
【特許文献2】特許第3711246号公報
【特許文献3】特許第4335401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クイックファスナーを用いた継手において、利便性及び信頼性を一層高めることが可能であることが判明した。
【0005】
本発明の目的は、利便性及び信頼性を高めうる継手の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る好ましい継手は、雄側接続部を有する雄管と、雌側接続部を有する雌管と、クイックファスナーと、上記クイックファスナーの外側に取り付けられたファスナー部材と、上記雄管又は上記雌管に取り付け可能な装着部材と、上記ファスナー部材の外側に正規状態で装着可能なアウター部材と、を備えている。上記クイックファスナーは、上記雄側接続部と上記雌側接続部との正規接続状態を保持する係止状態と、上記正規接続状態の解除を許容する非係止状態とを実現可能である。上記係止状態と上記非係止状態との相互移行が、上記ファスナー部材の操作によって可能とされている。上記装着部材が、上記操作を許容しつつ、上記非係止状態において上記ファスナー部材及び/又は上記クイックファスナーを保持可能である。上記装着部材又は上記アウター部材の一方が、係合溝を有している。上記装着部材又は上記アウター部材の他方が、係合突起を有している。上記係合溝と上記係合突起との係合により、上記アウター部材と上記装着部材との連結が達成されている。上記アウター部材は、上記連結を維持したまま、上記正規状態と取り外し状態とを採りうる。
【0007】
好ましくは、上記係合突起が、上記係合溝の内部を移動することができる。上記係合突起の移動に起因して、上記アウター部材の軸方向移動が可能とされている。好ましくは、上記係合突起が、上記アウター部材の回転を可能とする回転許容部を有している。上記軸方向移動及び上記回転により、上記アウター部材は、上記装着部材に係合したまま、上記正規状態と上記取り外し状態とを採りうる。
【0008】
上記正規状態にあるときの上記アウター部材の姿勢が正規姿勢とされる。好ましくは、上記軸方向移動において、上記正規姿勢が維持されうる。
【0009】
好ましくは、上記回転により、上記正規姿勢にある上記アウター部材が上記取り外し状態へと移行されうる。
【0010】
好ましくは、上記軸方向移動により、上記正規姿勢を維持したまま、上記アウター部材が円滑回転位置に移動しうる。ただし、上記円滑回転位置とは、上記正規姿勢から上記取り外し状態までの回転において、他部材と上記アウター部材との接触が回避されうるような軸方向位置である。
【0011】
好ましくは、上記装着部材が、上記正規状態にある上記アウター部材よりも上方に突出する上方突出部を更に有している。好ましくは、上記上方突出部が、アウター用係合部を有している。好ましくは、上記アウター部材が、欠落部を有している。好ましくは、上記アウター部材が上記正規状態にあるとき、上記欠落部の上縁が上記アウター用係合部に当接している。
【0012】
本発明の好ましい水栓器具は、上述した継手のいずれかを備える。
【発明の効果】
【0013】
クイックファスナーを用いた継手において、利便性及び信頼性が向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る継手の斜視図である。
図2図2は、図1の継手の斜視図である。図2の視点は、図1の視点と異なる。
図3図3は、図1の継手の側面図である。
図4図4は、図1の継手の正面図である。
図5図5は、図1の継手の分解斜視図である。
図6図6は、クイックファスナー及びファスナー部材の斜視図である。
図7図7は、クイックファスナーがファスナー部材に保持された状態を示す斜視図である。換言すれば、図7は、ファスナー組立部材の斜視図である。
図8図8(a)は、自然状態にあるファスナー組立部材の平面図であり、図8(b)は、拡開変形されたファスナー組立部材の平面図である。
図9図9は、係止可能状態にあるクイックファスナーを示す斜視図である。
図10図10は、係止状態にあるクイックファスナーを示す斜視図である。
図11図11(a)及び図11(b)は、アウター部材の斜視図である。図11(a)及び図11(b)は、斜め上方から見た斜視図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、アウター部材の斜視図である。図12(a)及び図12(b)は、斜め下方から見た斜視図である。
図13図13(a)は、装着部材上部の底面図であり、図13(b)は装着部材上部の斜視図である。図13(b)は、斜め下方から見た斜視図である。
図14図14(a)から(c)は、アウター部材と装着部材とを連結する手順を示す斜視図である。
図15図15は、装着部材下部の内部の構成を示すための斜視図である。図15において、装着部材下部は開状態にある。
図16図16は、雄管が挿入されていない継手の斜視図である。図16では、アウター部材は正規状態にある。
図17図17は、図16におけるアウター部材が軸方向上方に移動された状態を示す斜視図である。図17では、アウター部材は、非正規状態であって且つ正規姿勢にある。
図18図18は、図17におけるアウター部材が回転された状態を示す斜視図である。図18では、アウター部材は取り外し状態にある。
図19図19(a)は、アウター部材が正規状態にないときの、継手の側面図である。図19(b)は、アウター部材が正規状態にあるときの、継手の側面図である。
図20図20は、図19(a)の断面図である。
図21図21は、図19(b)の断面図である。
図22図22(a)は、ファスナー組立部材が係止位置にないときの、継手の斜視図である。図22(a)において、アウター部材は正規姿勢である。図22(b)は、ファスナー組立部材が拡開変形しているときの、継手の斜視図である。図22(b)において、アウター部材は正規姿勢である。
図23図23(a)は、ファスナー組立部材が係止位置にあるときの、継手の斜視図である。図23(a)において、アウター部材は取り外し状態にある。図23(b)は、ファスナー組立部材が拡開変形しているときの、継手の斜視図である。図23(b)において、アウター部材は取り外し状態にある。
図24図24は、雄管を取り外す手順を示す斜視図である。
図25図25は、継手の施工手順を示す斜視図である。
図26図26は、クイックファスナーの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0016】
なお、本願において周方向とは、雄管4及び雌管6の周方向を意味する。本願において軸方向とは、雄管4及び雌管6の軸方向を意味する。本願において、この軸方向に対して直角な方向が、軸垂直方向とも称される。
【0017】
本願では、典型的な使用状態を考慮して、「上」、「上側」、「下」、「下側」等の文言が用いられる。この典型的な使用状態では、雄管4が雌管6に対して上側に位置する。もちろん、本願における継手は非典型的な使用状態で使用されてもよい。例えば、本願における継手は、軸方向が水平な状態で用いられても良い。例えば、本願における継手は、雄管4が雌管6に対して下側に位置する状態で用いられても良い。
【0018】
図1及び図2は第一実施形態の継手2を示す斜視図である。図1は斜め上方から見た斜視図であり、図2は斜め下方から見た斜視図である。図3は、継手2の側面図である。図4は、継手2の正面図である。図1図2図3及び図4は、接続状態を示している。これら図1から図4において、雄管4と雌管6とは正規接続状態にある。図1から図4において、アウター部材14は正規状態にある。継手2は、例えば、水栓器具に用いられる。例えば、この水栓器具は、継手2と、水栓本体とを有する。継手2は、この水栓本体に接続されうる。後述される給水栓本体200は、水栓本体の一例である。
【0019】
図5は継手2の分解斜視図である。継手2は、雄管4、雌管6及び継手用組立体を有する。この継手用組立体は、クイックファスナー8、ファスナー部材10、装着部材上部11、装着部材下部12及びアウター部材14を有する。クイックファスナー8は、雄管4と雌管6との正規接続状態を保持しうる。
【0020】
本実施形態では、装着部材mt1が、2つの部材を有している。すなわち、装着部材mt1が、装着部材上部11と装着部材下部12とを有する。装着部材mt1は、1つの部材により構成されていてもよい。
【0021】
装着部材下部12は開閉構造を有する。装着部材下部12は、第一部分12aと第二部分12bと回動連結部12c(後述)とを有する。第一部分12aと第二部分12bとが回動連結部12cによって連結されている。回動連結部12cは蝶番として機能する。回動連結部12cが開閉を可能としている。図5において、装着部材下部12は、開状態である。
【0022】
図5が示すように、装着部材下部12は、第一仕切り部w1、第二仕切り部w2、係合部a1、係合部b1及び方向規制部d1を有している。係合部a1と係合部b1とを係合させることで、閉状態が実現される。第一仕切り部w1は、第一部分12a及び第二部分12bのそれぞれに設けられている。第二仕切り部w2は、第一部分12a及び第二部分12bのそれぞれに設けられている。
【0023】
第一仕切り部w1と第二仕切り部w2との間には、隙間が形成されている。この隙間は、閉状態の装着部材下部12において、周溝を形成する。装着部材下部12が閉状態とされることで、フランジf2(後述)がこの周溝の内部に配置される。フランジf2と上記周溝との係合により、雌管6に対する装着部材下部12の軸方向における移動が規制される。また、装着部材下部12が閉状態とされることで、装着部材上部11の一部(後述の外方突出部11p)が装着部材下部12に挟み込まれる。よって、装着部材上部11が雌管6に取り付けられる。すなわち、装着部材mt1が雌管6に取り付けられる。
【0024】
装着部材mt1は、クイックファスナー8を、外部の接触から保護しうる。雄管4を雌管6に着脱するときに、装着部材mt1を取り外す必要はない。装着部材mt1が雌管6に取り付けられた状態で、雄管4は雌管6に着脱されうる。
【0025】
装着部材mt1は、ファスナー部材10を保持しうる。装着部材mt1は、ファスナー部材10の可動範囲の全ての位置において、ファスナー部材10を保持しうる。ファスナー部材10の保持は、直接的であってもよいし、間接的であってもよい。すなわち、装着部材mt1が、他の部材を介して間接的にファスナー部材10を保持していてもよい。後述するように、本実施形態では、ファスナー部材10は、装着部材mt1によって直接的に保持されている。装着部材mt1は、ファスナー部材10を直接的又は間接的に保持しているのが好ましい。
【0026】
クイックファスナー8は、ファスナー部材10に取り付けられている。クイックファスナー8は、ファスナー部材10に固定されている。ファスナー部材10が装着部材mt1に保持されていることにより、クイックファスナー8も装着部材mt1に保持される。なお、装着部材mt1は、ファスナー部材10のみを保持していてもよいし、クイックファスナー8のみを保持していてもよいし、ファスナー部材10及びクイックファスナー8を保持していてもよい。
【0027】
図5が示すように、雄管4は、雄側接続部4aを有している。雌管6は、雌側接続部6aを有している。雄側接続部4aが雌側接続部6aに接続される。雄側接続部4aは、雌側接続部6aに着脱可能である。正規接続状態において、雄側接続部4aは、雌側接続部6aの内側に挿入される。
【0028】
雄側接続部4aは、シール部材s1を有している(図5参照)。シール部材s1は、雄側接続部4aの外面に設けられた周溝に配置されている。このシール部材s1は、Oリングである。正規接続状態において、シール部材s1は、雌側接続部6aの内面に密着する。この密着は、水密性を向上させる。シール部材s1は、雌側接続部6aに設けられてもよい。水密性の観点から、雄側接続部4a又は雌側接続部6aがシール部材s1を有しているのが好ましい。
【0029】
雄管4は、雄側係止部k1を有する(図5参照)。雄側係止部k1は、軸垂直方向に延在している。雄側係止部k1は、リング状である。雄側係止部k1は、フランジである。雄側係止部k1は、フランジ以外の形状であってもよい。雄側係止部k1は、雄側接続部4aの上側に位置する。
【0030】
雌管6は、雌側係止部k2を有する(図5参照)。雌側係止部k2は、軸垂直方向に延在している。雌側係止部k2は、リング状である。雌側係止部k2は、フランジである。雌側係止部k2は、フランジ以外の形状であってもよい。雌側係止部k2は、雌側接続部6aの端部(上端部)を形成している。
【0031】
雄側係止部k1は、当接面t1を有する。当接面t1は、雄側係止部k1の下面である。雌側係止部k2は、当接面t2を有する。この当接面t2は、雌側係止部k2の上面である。この当接面t2は、雌管6の上端面である。正規接続状態において、この当接面t2は、上記雄管4の当接面t1に当接する。正規接続状態において、当接面t1は当接面t2に面接触している。
【0032】
雄側接続部4a及び雌側接続部6aは、シンプルな形状である。あらゆる軸方向位置において、雄側接続部4aの外面の断面形状は円形である。あらゆる軸方向位置において、雄側接続部4aの内面の断面形状は円形である。あらゆる軸方向位置において、雌側接続部6aの外面の断面形状は円形である。あらゆる軸方向位置において、雌側接続部6aの内面の断面形状は円形である。雄側接続部4aは、筒状部及びフランジのみからなる。雌側接続部6aは、筒状部及びフランジのみからなる。雄側接続部4aの側面に貫通孔は存在しない。雌側接続部6aの側面に貫通孔は存在しない。
【0033】
装着部材上部11(装着部材mt1)は、雄側接続部4aの通過を許容する通過孔11tを有する。通過孔11tの直径は、雄側係止部k1の外径よりも大きい。装着部材mt1は、雌管6に対する雄管4の着脱を阻害しない。
【0034】
図1図3等が示すように、装着部材上部11(装着部材mt1)は、上方突出部11wを有している。上方突出部11wは、正規状態にあるアウター部材14よりも上方に突出している。
【0035】
図1が示すように、上方突出部11wは、アウター用係合部11eを有する。図4が示すように、2つのアウター用係合部11eが設けられている。アウター部材14が正規状態にあるとき、アウター用係合部11eはアウター部材14よりも上側に位置する。
【0036】
図4の拡大部が示すように、係合部11eは、第一斜面SL1を有している。第一斜面SL1は、係合部11eの高さを、下方に行くにつれて高くしている。係合部11eの上端において、係合部11eの高さはゼロである。第一斜面SL1は、係合部11eの上端を含む。第一斜面SL1の上端において、係合部11eの高さはゼロである。
【0037】
図4の拡大部が示すように、係合部11eは、第二斜面SL2を有している。第二斜面SL2は、第一斜面SL1よりも下方に位置する。第二斜面SL2は、係合部11eの高さを、上方に行くにつれて高くしている。係合部11eの下端において、係合部11eの高さはゼロである。第二斜面SL2は、係合部11eの下端を含む。第二斜面SL2の下端において、係合部11eの高さはゼロである。
【0038】
図6は、クイックファスナー8とファスナー部材10とが示された分解斜視図である。
【0039】
図7は、ファスナー組立部材810の斜視図である。クイックファスナー8にファスナー部材10が取り付けられることにより、ファスナー組立部材810が得られる。クイックファスナー8は、ファスナー部材10に保持されている。
【0040】
図6が示すように、クイックファスナー8は、一対のアーム部として、第一アーム部8a及び第二アーム部8bを有する。更にクイックファスナー8は、連結部8cを有する。連結部8cは、第一アーム部8aと第二アーム部8bとを連結している。クイックファスナー8は、連結部8cとは逆側において開放されている。第一アーム部8aと第二アーム部8bとは互いに対向している。クイックファスナー8は、全体として、左右対称である。
【0041】
第一アーム部8aは、第一貫通孔h1と、外方延在部g1と、拡開用傾斜面p1とを有する。第二アーム部8bは、第二貫通孔h2と、外方延在部g2と、拡開用傾斜面p2とを有する。拡開用傾斜面p1は第一貫通孔h1の上側に設けられている。拡開用傾斜面p2は第二貫通孔h2の上側に設けられている。
【0042】
第一貫通孔h1の上側に、平板部j1が設けられている。平板部j1の上側に拡開用傾斜面p1が設けられている。第一貫通孔h1の下側に、曲面部r1が設けられている。曲面部r1の形状は、外側に向かって凸である。
【0043】
第二貫通孔h2の上側に、平板部j2が設けられている。平板部j2の上側に拡開用傾斜面p2が設けられている。第二貫通孔h2の下側に、曲面部r2が設けられている。曲面部r2の形状は、外側に向かって凸である。
【0044】
外方延在部g1は、第一アーム部8aの開放側の端部に設けられている。外方延在部g2は、第二アーム部8bの開放側の端部に設けられている。外方延在部g1と外方延在部g2との距離は、クイックファスナー8の開放端Tg(2箇所)に近づくに従って大きくされている。これら外方延在部g1及び外方延在部g2は、非係止状態8yから係止状態8xへの移行を円滑とする。
【0045】
ファスナー部材10は、貫通孔h10、h12を有している。第一貫通孔h10は、第一アーム10aに設けられている。第二貫通孔h12は、第二アーム10bに設けられている。
【0046】
第一貫通孔h10の設置領域は、クイックファスナー8の第一貫通孔h1に対応する設置領域の少なくとも一部を含む。よって、ファスナー組立部材として組み立てられたとき、第一貫通孔h10は、クイックファスナー8の第一貫通孔h1の少なくとも一部と重複する。この重複した部分は、継手接続状態を確認するための確認用窓として機能しうる。すなわち、第一貫通孔h1及び第一貫通孔h10を通して、継手接続部を外部から視認することが可能である。
【0047】
同様に、ファスナー組立部材として組み立てられたとき、第二貫通孔h12は、クイックファスナー8の第二貫通孔h2の少なくとも一部と重複する。この重複した部分は、継手接続状態を確認するための確認用窓として機能しうる。すなわち、第二貫通孔h2及び第二貫通孔h12を通して、継手接続部を外部から視認することが可能である。
【0048】
これらの確認用窓により、正規接続状態か否かを確認するための目視機能が高まる。
【0049】
クイックファスナー8は、弾性変形可能である。クイックファスナー8は、全体として、板バネのように変形しうる。クイックファスナー8の材質は、例えば、金属又は樹脂である。クイックファスナー8は、第一アーム部8aと第二アーム部8bとの間隔が拡がるように弾性変形しうる。本願において、この変形が拡開変形とも称される。拡開変形がなされると、クイックファスナー8は、自然状態に戻ろうとする付勢力を生じる。この付勢力が、係止状態8xを維持するのに寄与する。
【0050】
図6が示すように、ファスナー部材10は、全体として略U字状である。ファスナー部材10は、第一アーム10aと、第二アーム10bと、連結部10cとを有する。第一アーム10aと第二アーム10bとは互いに対向している。連結部10cは、第一アーム10aと第二アーム10bとを連結している。
【0051】
連結部10cは、ファスナー保持部10hを有する。ファスナー保持部10hは、クイックファスナー8を保持している。ファスナー保持部10hは、クイックファスナー8の連結部8cを保持している。
【0052】
図6が示すように、ファスナー部材10は、凸部10dを有している。左右一対の凸部10dが設けられている。各凸部10dは、軸方向に沿って延びている。これらの凸部10dは、連結部10cの外面に設けられている。
【0053】
ファスナー部材10は、ストッパ部st10、st20を有する。図6及び図7が示すように、第一アーム10aは、ストッパ部st10を有する。第二アーム10bは、ストッパ部st20を有する。ストッパ部st10は、第一アーム10aの開放側の端部に設けられている。ストッパ部st10は、この開放側の端部の上側に設けられている。ストッパ部st10は、上側に突出している。ストッパ部st10の突出の方向は、軸方向である。ストッパ部st20は、第二アーム10bの開放側の端部に設けられている。ストッパ部st20は、この開放側の端部の上側に設けられている。ストッパ部st20は、上側に突出している。ストッパ部st20の突出の方向は、軸方向である。
【0054】
なお、これらのストッパ部は、クイックファスナー8に設けられてもよい。
【0055】
図6及び図7が示すように、ストッパ部st10は、ストッパ面sm10を有する。ストッパ面sm10は、軸方向に沿って延びている。ストッパ部st20は、ストッパ面sm20を有する。ストッパ面sm20は、軸方向に沿って延びている。
【0056】
ストッパ部st10及びストッパ部st20の機能については後述される。
【0057】
図示されないが、ファスナー保持部10hは、隙間を形成している。この隙間は下方に開放されている。この隙間に、連結部8cが挿入されている。この隙間の寸法は、完全に挿入された連結部8cを保持しうるように設定されている。結果として、連結部8cはファスナー保持部10hに挟み込まれる。
【0058】
図8(a)は自然状態のファスナー組立部材810を示す平面図である。図8(b)は、拡開変形されたファスナー組立部材810の平面図である。
【0059】
図6が示すように、第一アーム10aは、端保持部th1を有している。同様に、第二アーム10bは、端保持部th2を有している。
【0060】
第一アーム部8aの端部は、端保持部th1によって保持されている(図7図8(a)及び図8(b)参照)。同様に、第二アーム部8bの端部は、端保持部th2によって保持されている。本実施形態では、クイックファスナー8の第1の開放端Tgが端保持部th1によって保持されており、クイックファスナー8の第2の開放端Tgが端保持部th2によって保持されている。2つの開放端Tgがファスナー部材10によって保持されているため、クイックファスナー8とファスナー部材10が一体的に拡開変形しやすい。
【0061】
このように、クイックファスナー8の複数箇所がファスナー部材10によって保持されている。図8(b)が示すように、クイックファスナー8が拡開変形されると、ファスナー部材10も拡開変形される。拡開変形に関して、クイックファスナー8とファスナー部材10とは一体的に変形する。
【0062】
上述の通り、クイックファスナー8はファスナー部材10に固定されている。ファスナー部材10が操作されると、クイックファスナー8はファスナー部材10とともに移動する。ファスナー部材10がスライド移動されると、クイックファスナー8もスライド移動される。つまり、ファスナー組立部材810が一体的にスライド移動される。このスライド移動により、第一位置(係止位置)と第二位置(解除位置)との間の相互移行が可能とされている。方向規制部d1は、ファスナー組立部材810の移動方向を規制している。
【0063】
図9及び図10は、係止状態8xを説明するための図である。理解を容易とするため、図9及び図10では、ファスナー部材10、装着部材上部11、装着部材下部12及びアウター部材14の記載が省略されている。
【0064】
図9が示すように、使用状態において、クイックファスナー8は、雌管6に係止されている。換言すれば、クイックファスナー8は、雌側接続部6aにおいて係止位置にある。この状態が、係止可能状態8zとも称される。係止可能状態8zでは、雌側係止部k2が第一貫通孔h1及び第二貫通孔h2に入り込んでいる。換言すれば、係止可能状態8zでは、雌側係止部k2は、第一貫通孔h1から外側に突出し、且つ、第二貫通孔h2から外側に突出している。クイックファスナー8を拡開変形させる外力が加えられない限り、係止可能状態8zは維持される。
【0065】
この係止可能状態8zにあるクイックファスナー8は、雄管4の挿入に伴い、拡開変形を起こす。本願では、雌管6に雄管4が挿入される動きが、雄管挿入とも称される。拡開用傾斜面p1及び拡開用傾斜面p2は、雄管挿入に伴う上記拡開変形を起こすように構成されている。拡開用傾斜面p1及び拡開用傾斜面p2は、円錐面に略沿った形状である。係止可能状態8zにおいて、拡開用傾斜面p1の上端と拡開用傾斜面p2の上端とは、雄側係止部k1の受入が可能な程度の離間距離を有している。雄管挿入により、雄側係止部k1は、拡開用傾斜面p1の内面及び拡開用傾斜面p2の内面に当接する(図示省略)。更に雄管挿入を進行させると、雄側係止部k1が、拡開用傾斜面p1及び拡開用傾斜面p2を押圧する。この押圧により、上記拡開変形が起こる。更に雄管挿入を進行させると、雄側係止部k1が第一貫通孔h1及び第二貫通孔h2に入り込むと同時に、クイックファスナー8の縮閉変形が起こる。縮閉変形とは、拡開変形とは逆の変形である。縮閉変形は、クイックファスナー8の弾性的な復元力によって起こる。この縮閉変形により、係止状態8xが実現される。
【0066】
このように、雄管4を挿入するだけで、係止状態8xが実現される。換言すれば、ワンアクションで、雄管4と雌管6との接続が達成される。クイックファスナー8を移動させることなく、雄管4と雌管6とが接続されうる。図9にはファスナー部材10及び装着部材mt1が描かれていないが、これらファスナー部材10及び装着部材mt1が存在していても、このワンアクションでの接続が達成される。この接続の詳細は、後述される。
【0067】
図10は、係止状態8xにあるクイックファスナー8を示している。図10が示すように、この係止状態8xでは、雄側係止部k1及び雌側係止部k2の両方が、第一貫通孔h1及び第二貫通孔h2に入り込んでいる。換言すれば、係止状態8xでは、雄側係止部k1及び雌側係止部k2は、第一貫通孔h1から外側に突出し、且つ、第二貫通孔h2から外側に突出している。クイックファスナー8を拡開変形させる外力が加えられない限り、係止状態8xは維持される。第一貫通孔h1及び第二貫通孔h2により、雌管6からの雄管4の離脱は阻止される。第一貫通孔h1の軸方向幅は、雄側係止部k1の厚みと雌側係止部k2の厚みとの和に略等しい。第二貫通孔h2の軸方向幅は、雄側係止部k1の厚みと雌側係止部k2の厚みとの和に略等しい。
【0068】
フランジk1の受入を容易としつつ、拡開用傾斜面p1、p2の軸方向高さを抑制する観点から、拡開用傾斜面p1、p2の傾斜角度は、20°以上が好ましく、30°以上がより好ましい。雄管挿入の抵抗を抑制する観点から、拡開用傾斜面p1、p2の傾斜角度は、60°以下が好ましく、45°以下がより好ましい。本実施形態では、拡開用傾斜面p1、p2の傾斜角度は39°とされた。この傾斜角度は、軸方向に対する角度である。
【0069】
このように、係止状態8xにあるとき、雄側係止部k1及び雌側係止部k2が、第一貫通孔h1を貫通している。同時に、係止状態8xにあるとき、雄側係止部k1及び雌側係止部k2が、第二貫通孔h2を貫通している。なお、係止状態8xにおいて、クイックファスナー8は、自然状態であってもよいし、自然状態に対して拡開変形されていてもよい。
【0070】
図11(a)及び図11(b)は、アウター部材14の斜視図である。図11(a)及び図11(b)は、斜め上方から見た斜視図である。
【0071】
図12(a)及び図12(b)は、アウター部材14の斜視図である。図12(a)及び図12(b)は、斜め下方から見た斜視図である。
【0072】
アウター部材14は、上面部14a、第一側面部14b、第二側面部14c、前面部14d及び後面部14eを有する。アウター部材14の下側は開放されている。
【0073】
図12(a)及び図12(b)が示すように、アウター部材14は、下端面14gを有する。下端面14gは、全体として一平面である。第一側面部14bの下端面は、上記下端面14gである。第二側面部14cの下端面は、上記下端面14gである。前面部14dの下端面は、上記下端面14gである。後面部14eの下端面は、上記下端面14gである。
【0074】
アウター部材14は、欠落部k14を有する。欠落部k14は、上面部14aから前面部14dにまで連続している。
【0075】
上面部14aは、欠落縁kaを有する。欠落縁kaは、上面部14aの前縁から後面部14eに向かって延びている。欠落縁kaの一部と欠落縁kaの他の一部とが互いに対向している。前面部14dは、欠落縁kdを有する。欠落縁kaと欠落縁kdとは連続している。左右の欠落縁kdが互いに対向している。欠落縁kaと欠落縁kdとが連続することによって、欠落部k14が形成されている。前方側に開放された欠落部k14が形成されている。
【0076】
このように、アウター部材14は、欠落部k14を有している。この欠落部k14により、雄管4との干渉が回避されうる。雄管4の存在下において、アウター部材14の着脱が可能とされている。
【0077】
正規状態のアウター部材14において、上方突出部11wは、欠落部k14に配置される。上方突出部11wは、互いに対向する欠落縁kaの間に配置される(図1参照)。上方突出部11wは、欠落縁ka同士が近づくようなアウター部材14の変形を抑制しうる。上方突出部11wは、正規状態におけるアウター部材14の変形を抑制しうる。
【0078】
正規状態のアウター部材14において、一対の凸部10dは、互いに対向する欠落縁kdのそれぞれに当接している(図1参照)。これら凸部10dは、欠落縁kd同士が近づくようなアウター部材14の変形を抑制しうる。凸部10dは、正規状態におけるアウター部材14の変形を抑制しうる。
【0079】
図12(a)及び図12(b)が示すように、アウター部材14は、下方延在部14fを有する。下方延在部14fは、欠落部k14における、後面部14e側の端部に位置している。下方延在部14fは、第一部分140と第二部分142とを有する。第一部分140は、第二部分142よりも下方にまで延びている。第一部分140の両側に第二部分142が配置されている。正規接続状態であって且つアウター部材14が正規状態にあるとき、下方延在部14f(第一部分140)の端面は、雄管4の雄側係止部k1に当接しうる。
【0080】
更にアウター部材14は、係合突起Etを有する。この係合突起Etは、アウター部材14と装着部材mt1とを連結しうる。この係合突起Etは、蝶番として機能しうる。なお、係合突起Etは、アウター部材14又は装着部材mt1のいずれか一方に設けられていればよい。よって係合突起Etは、装着部材mt1に設けられていても良い。
【0081】
係合突起Etは、係合スライド部Et1と、回転許容部Et2とを有している。更に係合突起Etは、係合安定部Et3と、挿入ガイド部Et4とを有している。更に係合突起Etは、接続部Et5を有している。挿入ガイド部Et4は、突起側当接部Et40を有する。突起側当接部Et40は、挿入ガイド部Et4の外側面に設けられている。突起側当接部Et40は、挿入ガイド部Et4の両側の側面に設けられている。この突起側当接部Et40は、溝側当接部(後述)に当接している。各部の機能の詳細は、後述される。
【0082】
この係合突起Etは、正規状態のアウター部材14を許容し、且つ、取り外し状態のアウター部材14をも許容する。後述するように、アウター部材14が取り外し状態にあるとき、係合突起Etは、アウター部材14と装着部材mt1との連結を維持しうる。
【0083】
本願では、係合突起Etに関して、第一状態E1及び第二状態E2が定義される。アウター部材14が取り外し状態にあるときの係合突起Etの状態が、第一状態E1と定義される。アウター部材14が正規状態にあるときの係合突起Etの状態が、第二状態E2と定義される。図11(a)において、係合突起Etは第一状態E1にある。図11(b)において、係合突起Etは第二状態E2にある。図12(a)において、係合突起Etは第一状態E1にある。図12(b)において、係合突起Etは第二状態E2である。これら第一状態E1及び第二状態E2の詳細は、後述される。
【0084】
図13(a)は、装着部材上部11の底面図である。図13(b)は、装着部材上部11の斜視図である。図13(b)は、斜め下方から見た図である。
【0085】
前述の通り、装着部材上部11は、通過孔11t、上方突出部11w及びアウター用係合部11eを有している(図5参照)。更に、図13(a)及び図13(b)が示すように、装着部材上部11は、下部貫通孔11h、ガイド壁11g、係合溝11v及びストッパ面sm11を有している。更に、装着部材上部11は、外方突出部11pを有する。外方突出部11pは、装着部材上部11の下端部に位置している。外方突出部11pは平板状である。前述の通り、外方突出部11pは、装着部材下部12と係合しうる。この係合により、装着部材上部11の軸方向移動が規制される。この係合により、装着部材上部11が、装着部材下部12を介して、雌管6に取り付けられる。
【0086】
係合溝11vは、溝側当接部11cを有する。溝側当接部11cは、溝開口110(後述)において互いに対向する2つの側面である。この2つの側面の間の隙間が、溝開口110を形成している。溝側当接部11cは、突起側当接部Et40に当接している。突起側当接部Et40と溝側当接部11cとの当接により、スライド移動における挿入ガイド部Et4の姿勢は維持されている。挿入ガイド部Et4は、溝側当接部11c(溝開口110)に沿って移動する。突起側当接部Et40と溝側当接部11cとの当接により、係合溝11vに対する係合突起Etの径方向への移動が規制されている。この径方向とは、係合突起Etのスライド移動の方向に対して垂直であり、且つ、装着部材mt1の中心から外側に向かう方向に対して垂直である。突起側当接部Et40と溝側当接部11cとの当接により、係合溝11vからの係合突起Etの外れが規制されている。突起側当接部Et40と溝側当接部11cとの当接により、係合溝11vは、係合溝11vの延在方向における係合突起Etの移動が可能な状態で、係合突起Etを保持している。突起側当接部Et40と溝側当接部11cとの当接により、スライド移動中における係合突起Etの姿勢は一定である。突起側当接部Et40と溝側当接部11cとの当接は、面当接でもよいし、線当接でもよいし、点当接でもよい。各当接部の耐久性及び耐傷性を高める観点から、面当接が好ましい。なお、面当接とは、当接部分が面であることを意味し、線当接とは、当接部分が線であることを意味し、点当接とは、当接部分が点であることを意味する。
【0087】
下部貫通孔11hには、雌管6が挿通される。下部貫通孔11hは、装着部材上部11を雌管6に取り付けるのに役立つ。
【0088】
ガイド壁11gは、挿入される雄管4を雌管6に案内しうる。ガイド壁11gは、雄管4の傾斜を抑制する。雄管4が大きく傾斜することなく雌管6に挿入されることで、正規接続状態が実現しやすい。ガイド壁11gは、正規接続状態の実現を促進しうる。装着部材上部11は、開閉構造及び分離構造ではない。よって、力を加えた際に、開きや分割は生じない。この装着部材上部11に設けられたガイド壁11gは、より確実に雄管4を案内する。一体部材である装着部材上部11が用いられることで、非正規接続状態の発生がより効果的に抑制される。また、この一体部材としての装着部材上部11は、ファスナー組立部材810を操作するための力によって開いたり分割したりしない。よってこの装着部材上部11は、ファスナー組立部材810のスライド移動の精度を高めうる。
【0089】
ストッパ面sm11は、ファスナー部材10のストッパ部st10、st20に当接しうる。ファスナー組立部材810が引き出された際に、この当接が生じる。この当接により、ファスナー組立部材810の脱落が抑制されている。
【0090】
図13(a)及び図13(b)が示すように、係合溝11vは、溝開口110と、上方ストッパ部112と、下方開口114とを有する。
【0091】
溝開口110は、軸方向に沿って延びている。溝開口110の幅は一定である。溝開口110の幅は、係合溝11vの内部空間の最大幅よりも狭い。
【0092】
上方ストッパ部112は、係合溝11vの上端部に設けられている。上方ストッパ部112は、係合溝11vの上方開口の一部を閉塞している。上方ストッパ部112は、係合突起Etの可動範囲の上限を画定している。
【0093】
下方開口114により、係合溝11vは、下方に開放されている。
【0094】
なお、係合溝11vは、アウター部材14又は装着部材mt1のいずれか一方に設けられていればよい。よって係合溝11vは、アウター部材14に設けられていても良い。
【0095】
図14は、アウター部材14と装着部材mt1とを連結する手順を示している。ステップ(a)、ステップ(b)及びステップ(c)の順で、連結が完了する。なお、この図14では、装着部材mt1が逆さまに図示されている。
【0096】
この連結作業では、好ましくは、係合突起Etが第一状態E1とされる。第一状態E1とされた係合突起Etは、係合溝11vに挿入されやすい。
【0097】
係合スライド部Et1が係合溝11vに挿入されることにより、係合溝11vと係合突起Etとの係合が達成される。この係合により、アウター部材14と装着部材mt1との連結が達成される。
【0098】
前述の通り、係合溝11vは下方開口114を有する。この下方開口114から、係合スライド部Et1が係合溝11vに挿入される。係合スライド部Et1よりも先行して、挿入ガイド部Et4が係合溝11vに挿入される(図14のステップ(b)参照)。係合スライド部Et1よりも先行して係合溝11vに挿入されうるように、挿入ガイド部Et4は突出している(図14(b)参照)。
【0099】
挿入ガイド部Et4は、係合スライド部Et1の幅方向中央部から延びている(図11(a)参照)。この幅方向とは、スライド方向に対して垂直である。このスライド方向は、上記軸方向である。挿入ガイド部Et4の幅は、係合スライド部Et1の幅よりも小さい。挿入ガイド部Et4は、係合突起Etのスライド方向に対して平行に延びている。挿入ガイド部Et4は、係合スライド部Et1の挿入を円滑とするガイド機能を有する。
【0100】
図14のステップ(c)は、係合スライド部Et1の挿入が完了した状態を示す。この状態は挿入完了状態である。係合溝11vの溝開口110の幅は係合スライド部Et1の幅よりも狭い。よって、係合スライド部Et1が溝開口110を通過することはない。
【0101】
図14のステップ(c)が示すように、係合スライド部Et1が挿入された状態において、係合安定部Et3は、装着部材mt1の外面に面接触している。この面接触により、係合突起Etの姿勢が安定し、円滑なスライドが実現しうる。
【0102】
挿入ガイド部Et4のスライド方向長さは、係合スライド部Et1よりも長い。この長さに起因して、挿入ガイド部Et4の姿勢は、係合溝11vの内部において変動しにくい。よって係合スライド部Et1の姿勢も変動しにくい。係合スライド部Et1の姿勢が安定しているため、係合スライド部Et1のスライド移動が円滑とされている。
【0103】
挿入完了状態において、接続部Et5は、溝開口110を貫通している(図14の(c)参照)。よって、アウター部材14の状態に関わらず、装着部材mt1とアウター部材14との連結が維持されうる。また溝開口110は上記スライド移動の方向に延在しているため、上記スライド移動を阻害しない。
【0104】
図15は、装着部材mt1と雌管6との連結状態を説明するための図である。図5と同様に、図15において、装着部材下部12は開状態にある。
【0105】
装着部材下部12は開閉構造を有する。図15及び図5が示すように、装着部材下部12は、第一部分12aと第二部分12bとを有する。更に、図15が示すように、装着部材下部12は、回動連結部12cを有する。回動連結部12cは、第一部分12aと第二部分12bとを回動可能に連結している。この回動連結部12cは、蝶番として機能している。この回動連結部12cは、弾性変形可能な材質よりなる。具体的には、回動連結部12cは、薄い樹脂である。装着部材下部12の開閉を許容するように、回動連結部12cは変形可能である。
【0106】
装着部材下部12は、閉状態を維持するための維持機構を有している。
【0107】
この維持機構は、係合部a1と係合部b1とを有する(図15及び図5参照)。閉状態において、係合部a1と係合部b1とが係合する。本実施形態では、係合部a1が孔を有しており、係合部b1が凸部を有している。孔の代わりに凹部が設けられても良い。係合部b1の凸部が係合部a1の孔に嵌ることで、係合が達成される。なお、係合を解除するには、例えば、係合部a1を弾性変形させる。
【0108】
装着部材下部12が閉状態とされることで、雌管6及び装着部材上部11の挟み込みが達成される。この挟み込みにより、雌管6は装着部材上部11から抜けることがない。雌管6に対する装着部材mt1の軸方向移動は規制される。装着部材下部12が閉状態とされることで、雌管6が装着部材mt1から抜けることがない。ただし、雌管6に対する装着部材上部11の軸回転は自由である。雌管6に対する装着部材mt1の軸回転は自由である。
【0109】
上記挟み込みを可能とする構造として、上記開閉構造の他、分離構造(図示省略)が例示される。分離構造の場合、好ましい装着部材は、2分割構造である。この場合、装着部材は、第一部分と第二部分とを有する。第一部分は、第二部分と合体するための第一係合部を有する。第二部分は、第一部分と合体するための第二係合部を有する。好ましくは、第一係合部は凸部又は凹部である。凹部は孔であってもよい。好ましくは、第二係合部は凸部又は凹部である。凹部は孔であってもよい。第一係合部が第二係合部に係合することにより、第一部分が第二部分と合体した合体状態が維持される。上記第一係合部及び上記第二係合部は、この合体状態を維持する維持機構の一例である。
【0110】
上記挟み込みが達成されると、装着部材下部12の第一仕切り部w1が、係合溝11vの下方開口114を閉塞する(図15参照)。この閉塞により、下方開口114からの係合スライド部Et1の抜けが防止されている。
【0111】
図16は、正規状態にあるアウター部材14を示す。図17は、軸方向上方に移動されたアウター部材14を示す。
【0112】
上述の通り、係合スライド部Et1は軸方向にスライド移動しうる。よって、アウター部材14は、装着部材mt1との連結を維持したまま、軸方向に移動しうる。この軸方向移動において、係合突起Etの状態は限定されない。アウター部材14の軸方向移動において、係合突起Etは第一状態E1を維持しうる。アウター部材14の軸方向移動において、係合突起Etは第二状態E2を維持しうる。アウター部材14の軸方向移動において、係合突起Etは中間状態E3であってもよい。中間状態E3とは、第一状態E1と第二状態E2との間の状態を意味する。
【0113】
図18は、取り外し状態にあるアウター部材14を示す。図18において、係合突起Etは第一状態E1にある。図16及び図17では、係合突起Etは第二状態E2にある。
【0114】
図17図18との対比から理解されるように、係合突起Etは、アウター部材14の回転R14を可能としている。このアウター部材14の回転R14は、係合突起Etを回転中心とする回転である。より詳細には、この回転中心は、回転許容部Et2である。この回転許容部Et2が、蝶番として機能している。本実施形態の回転許容部Et2は、薄い樹脂である。回転許容部Et2は、薄い樹脂であるため、容易に変形する。この樹脂の変形により、アウター部材14の回転R14が達成されている。
【0115】
なお、回転許容部Et2は、アウター部材14の上記回転R14を許容できる構造であればよい。薄い樹脂の回転許容部Et2は例示にすぎない。
【0116】
装着部材mt1と装着部材上部11との連結構造の他の例として、ボールジョイント状の連結構造が例示される。この連結構造では、係合突起が、球状の先端部と、この先端部から延びる延在部とを有する。この延在部の太さは、上記先端部の直径よりも小さい。また、この連結構造において、係合溝は、内部空間と溝開口とを有する。係合溝の内部空間は、上記先端部を収容することができる。更に、この内部空間は軸方向(上下方向)に延在しており、上記先端部は上記内部空間を軸方向にスライドしうる。溝開口は上記先端部の直径よりも細くなっているため、上記先端部が上記溝開口を通過することはできない。一方、上記延在部の太さは上記溝開口の幅よりも小さいため、当該延在部は、溝開口を軸方向に移動しうる。例えば、このような連結構造も可能である。
【0117】
回転許容部Et2は、係合突起Etの他の部分とともに一体成形されている。よって、回転許容部Et2を含む係合突起Etの構造はシンプルである。この構造はコストの低減に寄与する。
【0118】
本願では、アウター部材14について、以下の用語が用いられる。
・[正規状態]:アウター部材14が正規位置及び正規姿勢にある状態
・[非正規状態]:上記正規状態以外の状態
・[非正規位置]:上記正規位置以外の位置
・[取り外し状態]:係合突起Etを除き、アウター部材14が他の部材から離れた状態
・[非正規姿勢]:上記正規姿勢以外の姿勢
【0119】
上記非正規状態は、上記取り外し状態を含む概念である。
【0120】
図16では、アウター部材14が正規状態にある。換言すれば、図16では、アウター部材14は、正規位置にあり、且つ正規姿勢にある。本実施形態では、正規位置は、アウター部材14の軸方向移動の下限位置である。本実施形態では、下端面14gが下側且つ水平である姿勢が、正規姿勢である。アウター部材14は、正規状態にあるときに、ファスナー組立部材810を良好に保護しうる。この正規状態において、係合突起Etは、可動範囲の下限位置にある。
【0121】
図17では、アウター部材14が非正規状態にある。図17では、アウター部材14は、正規位置にはないが、正規姿勢にある。図17において、アウター部材14は、正規位置よりも軸方向上方に位置する。図17において、係合突起Etは、可動範囲の上限位置にある。
【0122】
図16及び図17が示すように、アウター部材14は、正規姿勢を維持しながら、軸方向に移動しうる。この軸方向移動では、アウター部材14は、係合突起Etとともに移動する。すなわち、アウター部材14の軸方向移動は、係合突起Etの軸方向移動を伴う。この軸方向移動において、アウター部材14と装着部材mt1との係合は維持されている。
【0123】
図18では、アウター部材14が非正規状態にある。図17では、アウター部材14は、取り外し状態にある。図18では、アウター部材14は、非正規姿勢にある。図18において、係合突起Etは、可動範囲の上限位置にある。
【0124】
正規状態(図16)では、アウター部材14は、ファスナー組立部材810を覆っている。アウター部材14の大型化を避ける観点から、アウター部材14と他部材(ファスナー組立部材810及び装着部材上部11)との隙間は小さい。このため、正規状態にあるアウター部材14を回転させて取り外し状態に移行させるのは難しい。この場合、この移行の過程で、アウター部材14と他部材との間に干渉が生じやすい。
【0125】
本実施形態では、正規姿勢を維持したまま、アウター部材14を軸方向に移動させることができる。すなわち、アウター部材14は、上記正規姿勢を維持したまま上記軸方向移動が可能である。よって、アウター部材14の上記軸方向移動が円滑になされうる。更に、アウター部材14が、上記干渉が抑制されうる位置に移動しうる。よって、アウター部材14の回転R14が容易となる(図17及び図18参照)。すなわち、取り外し状態への移行が容易となる。
【0126】
図18が示すように、取り外し状態においても、アウター部材14と装着部材mt1との連結は維持されている。よって、アウター部材14の紛失が防止される。更に、アウター部材14の装着忘れが抑制される。
【0127】
上述したように、ファスナー組立部材810は一体で拡開変形しうる(図8参照)。即ち、クイックファスナー8が拡開変形されると、ファスナー部材10も拡開変形される。ファスナー組立部材810が拡開変形されると、ファスナー組立部材810をアウター部材14の内側に収容できない。ファスナー組立部材810が拡開変形した状態では、アウター部材14とファスナー組立部材810とが干渉するため、アウター部材14を正規状態とすることができない。非正規接続状態にある場合、クイックファスナー8が拡開変形され、ファスナー組立部材810も拡開変形される。非正規接続状態にある場合、アウター部材14を正規状態とすることができない。よって、非正規接続状態が明確となる。このように、ファスナー部材10がクイックファスナー8と共に拡開変形することで、非正規接続状態が確実に検知されうる。ファスナー組立部材810は、クイックファスナー8の拡開変形をアウター部材14に検知させる検知機能Aを奏しうる(図22(b)及び図23(b)参照)。
【0128】
図19(a)は、アウター部材14が非正規状態(非正規位置)にあるときの、継手2の側面図である。図19(b)は、アウター部材14が正規状態にあるときの、継手2の側面図である。図20は、図19(a)の断面図である。図21は、図19(b)の断面図である。図20では、雄管と雌管6とが非正規接続状態にある。図21では、雄管と雌管6とが正規接続状態にある。
【0129】
正規接続状態と比較して雄管4が雌管6から離れているとき、下方延在部14fは、雄側係止部k1に当接する(図20参照)。換言すれば、雌管6に対する雄管4の挿入が不十分であるとき、下方延在部14fは雄側係止部k1に当接する。この当接に起因して、アウター部材14を正規位置にまで下げることができない。つまり、非正規接続状態では、アウター部材14を正規状態に配置することはできない。一方、正規接続状態では、アウター部材14を正規位置に下げることができる(図21参照)。このように、アウター部材14は、雄管4と雌管6との正規接続状態の可否を検知しうる検知機能Bを有する。
【0130】
典型的には、この検知機能Bの発現は、次の現象(G1)及び(G2)に基づく。
(G1)雌管6に対する雄管4の挿入が不十分であるとき、雄側係止部k1は、拡開用傾斜面p1、p2に当接しうる位置に存在しうる。この場合、下方延在部14fが雄側係止部k1を押圧すると、雄側係止部k1が拡開用傾斜面p1、p2を押圧する。
(G2)拡開用傾斜面p1、p2が押圧されると、ファスナー組立部材810は拡開変形しようとするが、アウター部材14(特に第一側面部14b及び第二側面部14c)によってこの拡開変形が阻害される。よって、雄側係止部k1が拡開用傾斜面p1、p2を押圧しても、ファスナー組立部材810は拡開変形できない。このため、雄側係止部k1は下方に移動することができず、アウター部材14は正規位置に下がらない。
【0131】
前述のとおり、ガイド壁11gにより、雄管4の大きな傾斜は抑制されている。ただし、雌管6に対する雄管4の挿入が極端に不十分である場合、雄管4の大きな傾斜は生じることがある。この大きな傾斜が生じた状態でアウター部材14が下方に押し込まれると、下方延在部14fが異常な状態で雄側係止部k1に当接する。例えばこの場合、傾斜した雄側係止部k1を、下方延在部14fと他の部分(例えばファスナー組立部材810)とが挟み込む。結果として、下方延在部14fの当接によって、雄側係止部k1の傾斜状態が保持される。この状態において、ファスナー組立部材810の外側に第一側面部14b及び第二側面部14cが位置しているため、上記現象(G2)が生じる。よって、上記検知機能Bが発現する。また、雄管4が大きく傾斜している場合、雄側係止部k1が傾斜する。この場合、下方延在部14fのいずれかの部分(第一部分140又は第二部分142)は、雄管4のいずれかの部分(雄側係止部k1等)に当接しうる。この異常な当接により、アウター部材14を正規位置にまで下げることができない。この場合も、上記検知機能Bが発現する。このように、上記検知機能Bは、雄管4の軸方向位置の他、雄管4の姿勢をも検知しうる。
【0132】
図12が示すように、下方延在部14fの端面(下端面)は、雄管4の雄側係止部k1に沿うような円弧形状を有している。雄管4の姿勢が軸方向に沿っているとき、下方延在部14fの端面は、雄側係止部k1の上面に面接触しうる。一方、雄管4の姿勢が傾斜しているとき、下方延在部14fの端面は、雄側係止部k1の上面に面接触できない。よって、雄管4の姿勢が精度よく検知されうる。アウター部材14が正規状態にあるとき、雄管4と雌管6とは正規接続状態にあり、且つ、下方延在部14fの端面は雄側係止部k1の上面に面接触している。
【0133】
図19(a)が示すように、アウター部材14が非正規状態(非正規位置)にあるとき、装着部材下部12と側面部14b、14cとの間に、ファスナー部材10が視認される。図19(a)では図示されないが、アウター部材14が非正規状態(非正規位置)にあるとき、装着部材下部12と後面部14eとの間にも、ファスナー部材10が視認される。一方、図19(b)が示すように、アウター部材14が正規状態にあるとき、装着部材下部12と側面部14b、14cとの間に隙間は存在せず、装着部材下部12と後面部14eとの間にも、隙間は存在しない。アウター部材14が正規状態にあるとき、アウター部材14の下端面14g(図19(a)参照)が、装着部材mt1(装着部材下部12)の上向き面12gに当接する。上向き面12gは、軸垂直方向に延在している。本実施形態では、上向き面12gは平面である。本実施形態では、上向き面12gはスライド面12sである。この上向き面12gに、アウター部材14の下端面14gが当接する。この当接により、アウター部材14の軸方向移動における下限位置が決定される。この当接により、アウター部材14の正規姿勢が定まる。
【0134】
アウター部材14が正規状態にあるとき、装着部材下部12と側面部14b、14cとの間からファスナー部材10を視認することはできない。このように、アウター部材14の状態(位置)に起因して、視覚的に大きな相違が生ずる。更に、触覚的にも大きな相違が生ずる。正規状態に至ったアウター部材14の下端面14gは、装着部材下部12の上面に面接触する。この面接触は、触覚によって感知される。図19(a)と図19(b)との対比から理解されるように、アウター部材14が正規状態にあるか否かの判断は容易である。上記検知機能Bは、視覚及び触覚により検知されうる。
【0135】
前述の通り、装着部材上部11(装着部材mt1)は、上方突出部11wを有している。更にこの上方突出部11wは、アウター用係合部11eを有している(図4参照)。図19(b)が示すように、アウター部材14が正規状態にあるとき、上方突出部11wがアウター部材14の上側に突出する。アウター部材14が正規位置にあるとき、上方突出部11wは、アウター部材14によって隠蔽されない。アウター部材14が正規位置にあるとき、上方突出部11wは、アウター部材14よりも上方に突出する。上方突出部11wの見え方によって、正規状態か否かが確認されうる。上方突出部11wは、アウター部材14が正規状態か否かを視覚的に検知する検知機能Cを奏しうる。
【0136】
図20では、アウター部材14の上面が、上方突出部11wの上端面と面一となっている。この状態が、面一状態とも称される。典型的な非正規接続状態では、正規姿勢にあるアウター部材14が、上記面一状態となりやすい。図20が示すように、この面一状態では、下方延在部14fが雄管4の雄側係止部k1に当接している。この当接により、アウター部材14の更なる下方への移動が規制されている。典型的な非正規接続状態では、雄管4が係止位置のクイックファスナー8に接触しているものの、正規接続状態は達成されていない。押し込み力などの外力が作用していない自然状態において、雄管4がクイックファスナー8に接触した状態が、典型的な非正規接続状態である。雌管6への押し込みが充分でない状態で、押し込みの外力が解除されると、雄管4は、通常、この典型的な非正規接続状態に戻される。上記面一状態により、典型的な非正規接続状態が視覚的に認識されやすい。よって、上記検知機能Cが高められている。
【0137】
図22(a)は、ファスナー組立部材810が係止位置にない状態を示す斜視図である。図22(a)において、ファスナー組立部材810は解除位置にある。図22(b)は、ファスナー組立部材810が拡開変形している状態を示す斜視図である。図22(a)及び図22(b)において、アウター部材14は正規姿勢である。
【0138】
図23(a)は、ファスナー組立部材810が係止位置にある状態を示す斜視図である。図23(a)では、アウター部材14は取り外し状態にある。図23(b)は、ファスナー組立部材810が拡開変形した状態を示す斜視図である。図23(b)では、アウター部材14は取り外し状態にある。図23(a)及び図23(b)において、アウター部材14の係合突起Etは、可動範囲の上限位置にある。
【0139】
クイックファスナー8が係止位置以外の位置にあるとき、アウター部材14は正規状態に装着不能である。図22(a)が示すように、クイックファスナー8(ファスナー組立部材810)が解除位置にある場合、非正規位置にあるアウター部材14を正規位置に移動させることができない。アウター部材14は、クイックファスナー8及びファスナー部材10(ファスナー組立部材810)が解除位置(第二位置)あることを検知しうる検知機能Dを有する。この検知機能Dは、クイックファスナー8が係止状態8xか否かを検知しうる。この検知機能Dも、正規接続状態の確認に寄与しうる。
【0140】
クイックファスナー8が、係止状態8xと比較して拡開変形しているとき、この変形に伴い、ファスナー部材10も拡開変形される。この場合、アウター部材14がファスナー組立部材810に干渉する。図22(b)が示すように、クイックファスナー8(ファスナー組立部材810)が拡開変形している場合、非正規位置にあるアウター部材14を正規位置に移動させることができない。また、図23(b)が示すように、クイックファスナー8(ファスナー組立部材810)が拡開変形している場合、取り外し状態にあるアウター部材14を正規状態に移行させることができない。すなわち、図23(b)の場合、アウター部材14を正規姿勢へと回転させることは可能であるが、この正規姿勢となったアウター部材14を、正規位置へと下げることができない(図22(b)参照)。クイックファスナー8が拡開変形している場合、少なくとも、第一側面部14b又は第二側面部14cのいずれかが、ファスナー組立部材810に干渉する。よって、アウター部材14は、正規状態に設置され得ない。このように、アウター部材14は、クイックファスナー8(ファスナー組立部材810)が拡開変形していることを検知しうる検知機能Eを有する。この検知機能Eも、クイックファスナー8が係止状態8xか否かを検知しうる。この検知機能Eは、正規接続状態か否かを検知しうる。
【0141】
前述の通り、装着部材mt1は、上方突出部11wを有する。上方突出部11wは、アウター部材14が正規状態に設置されることを阻害しない。上方突出部11wは、正規状態にあるアウター部材14に干渉しない。
【0142】
図24は、正規接続状態を解除する手順を示している。
【0143】
この解除では、先ず、正規状態にあるアウター部材14が、正規姿勢を維持したまま、軸方向に移動される(ステップST1)。上述の通り、この軸方向移動により、アウター部材14の回転R14が容易な状態となる。
【0144】
次に、アウター部材14は回転される(ステップST2)。この回転R14により、アウター部材14は取り外し状態に移行される。欠落部k14に起因して、雄管4は、上記回転R14を阻害しない。正規接続状態が維持されたまま、上記回転R14がなされうる。
【0145】
次に、ファスナー組立部材810が、第一位置(係止位置)から第二位置(解除位置)に移動される(ステップST3)。
【0146】
次に、雄管4が雌管6から引き抜かれる(ステップST4)。
【0147】
これらのステップST1からステップST4を逆に進めることにより、雄管4の正規接続状態が達成される。この逆の手順では、アウター部材14が取り外し状態とされ且つファスナー組立部材810が第二位置(解除位置)とされた状態を起点として、雄管4が雌管6に挿入され(ステップST4)、ファスナー組立部材810が第二位置から第一位置に移動され(ステップST3)、アウター部材14が取り外し状態から正規姿勢となるように回転され(ステップST2)、更にアウター部材14が正規状態となるように移動される(ステップST1)。ただし、後述の通り、雄管4の挿入は、ファスナー組立部材810が第一位置(図25(d)参照)にある状態で行うこともできる。
【0148】
図24の(c)が示すように、ファスナー組立部材810が第二位置にあるとき、装着部材mt1の内部が視認されうる。よって、雄管4と雌管6との接合状態が視認されうる。したがって、正規接続状態であるか否かが、目視によって確認されうる。また、装着部材mt1及びファスナー組立部材810は、雌管6及び雄管4に対して相対回転しうる。よって、あらゆる方向から、正規接続状態であるか否かを目視によって確認することができる。
【0149】
更に、ファスナー組立部材810が第一位置にあるときでも、装着部材mt1の内部が視認されうる。前述の通り、ファスナー部材10の第一貫通孔h10は、クイックファスナー8の第一貫通孔h1の少なくとも一部と重複している。この重複した部分は、継手接続状態を確認するための確認用窓として機能しうる。同様に、ファスナー部材10の第二貫通孔h12は、クイックファスナー8の第二貫通孔h2の少なくとも一部と重複している。この重複した部分も、継手接続状態を確認するための確認用窓として機能しうる。これらの確認用窓により、ファスナー組立部材810が第一位置にあるときでも、装着部材mt1の内部が視認されうる(図24(b)参照)。
【0150】
図25は、継手2が施工される手順を示す。ここでは、継手2は、給水栓本体200に接続されて用いられる。
【0151】
先ず、装着部材mt1を有する雌管6が給水栓本体200に接続される(ステップSTP1)。アウター部材14は正規状態にある。
【0152】
次に、アウター部材14が軸方向に移動される(ステップSTP2)。この軸方向移動では、正規姿勢が維持されている。
【0153】
次に、アウター部材14が回転される(ステップSTP3)。この回転R14(正回転)により、係合突起Etは、第二状態E2から第一状態E1へと移行する。この回転R14により、アウター部材14は、正規姿勢から非正規姿勢へと移行する。この回転R14により、アウター部材14は、取り外し状態へと移行する。
【0154】
次に、雄管4が雌管6に挿入され、雄管4と雌管6とが接続される(ステップSTP4)。上述の通り、ファスナー組立部材810を第一位置(係止位置)としたまま、ワンアクションで、接続が可能である。
【0155】
次に、アウター部材14が回転される(ステップSTP5)。この回転R14は、上記ステップSTP3の回転R14とは逆の回転である。この回転R14(逆回転)により、係合突起Etは、第一状態E1から第二状態E2へと移行する。この回転R14により、アウター部材14は、非正規姿勢から正規姿勢へと移行する。この回転R14により、アウター部材14の取り外し状態が解消する。
【0156】
次に、アウター部材14が軸方向に移動される(ステップSTP6)。この移動は、下方への移動である。この移動において、アウター部材14の正規姿勢が維持されうる。よって、装着部材mt1及びファスナー組立部材810がアウター部材14の移動を妨げることはない。
【0157】
次に、アウター部材14が正規状態とされる(ステップSTP7)。アウター部材14を下限位置まで移動させることにより、正規状態が達成される。
【0158】
図25(b)及び図25(f)が示すように、アウター部材14の軸方向移動において、上記正規姿勢が維持されている。
【0159】
図25(b)及び図25(c)が示すように、アウター部材14の上記回転R14により、上記正規姿勢にある上記アウター部材が上記取り外し状態へと移行しうる。
【0160】
上記軸方向移動により、上記正規姿勢にある上記アウター部材14は、円滑回転位置に移動しうる。図25(b)及び図25(f)は、円滑回転位置にあるアウター部材14を示している。
【0161】
上記円滑回転位置とは、上記正規姿勢から上記取り外し状態までの回転R14において、他部材とアウター部材14との接触が回避されうるような軸方向位置である。この他部材とは、アウター部材14以外の部材を意味する。
【0162】
正規状態にあるアウター部材14を回転させようとしても、アウター部材14は装着部材上部11等に接触してしまう。すなわちアウター部材14の回転R14は、装着部材mt1によって阻害される。アウター部材14を上方に移動させるほど、この阻害が抑制され、アウター部材14の回転R14が円滑となる。本実施形態では、上記円滑回転位置までの移動が可能であるため、極めて円滑にアウター部材14を取り外し状態に移行させることができる。
【0163】
本願では、アウター部材14の軸方向移動の可動距離D1が定義される。この可動距離D1は、アウター部材14の正規姿勢が維持されたときの可動距離である。この可動距離D1は、図25(b)において両矢印で示されている。この可動距離D1は、係合スライド部Et1の可動距離に等しい。この可動距離D1は、軸方向に沿って測定される。
【0164】
本願では、軸方向高さHsが定義される。この高さHsは、装着部材mt1において、上記正規状態のアウター部材14に収容される部分の軸方向高さである。
【0165】
更に好ましくは、上記比(D1/Hs)は1以上とされる。可動距離D1は、上記高さHs以上であるのが好ましい。
【0166】
以下、アウター用係合部11eの機能について説明する。
【0167】
図1が示すように、アウター部材14が正規状態にあるとき、アウター用係合部11eはアウター部材14の上側に位置する。アウター部材14が正規状態にあるとき、アウター用係合部11eは外部から視認される。アウター用係合部11eは、アウター部材14が正規状態にあるか否かを視覚的に示す機能を有する(機能1)。
【0168】
この機能1は、図19(a)と図19(b)との対比からも明らかである。
【0169】
前述のとおり、アウター部材14は、正規姿勢のまま、軸方向に移動しうる。正規状態にあるアウター部材14を、正規姿勢のまま軸方向に移動させると、アウター部材14の欠落部k14が変形する。この変形の仕組みの詳細については、後述される。
【0170】
図4及び図11(a)において両矢印Dxで示されるのは、互いに対向する欠落縁kaの対向距離である。図4において両矢印Dyで示されるのは、左右のアウター用係合部11eの頂点間距離である。図4が示すように、距離Dyは対向距離Dxよりも大きい。このため、欠落部k14の上記変形が生じる。
【0171】
アウター部材14の上記移動に伴い、互いに対向する欠落縁kaの対向距離が、左右のアウター用係合部11eによって押し広げられる。欠落縁kaがアウター用係合部11eを乗り越えると、この変形が解消される。このように、欠落縁kaがアウター用係合部11eを乗り越える際にアウター部材14が変形する。この変形は、アウター部材14を操作する人間の指に触覚として伝達されうる。
【0172】
アウター用係合部11eと欠落縁kaとの当接は、アウター部材14の軸方向移動に抵抗を与える。この抵抗により、触覚としての抵抗感が生じる。アウター用係合部11eの乗り越えが完了すると、上記抵抗が消滅する。この消滅により、触覚としての解放感が生じる。この解放感により、アウター部材14が正規状態に移行したことが判断されうる。
【0173】
正規状態へと向かう軸方向移動において、アウター部材14はアウター用係合部11eを乗り越える。この乗り越えによりアウター部材14が変形しうる。この乗り越えによりアウター部材14が振動してもよい。この変形又は振動が、触覚により人体に伝達される。このように、アウター用係合部11eは、アウター部材14が正規状態に移行したことを触覚的に示す機能を有する(機能2)。
【0174】
正規状態から非正規状態へと向かう軸方向移動においても、アウター部材14はアウター用係合部11eを乗り越える。この乗り越えによりアウター部材14が変形しうる。この乗り越えによりアウター部材14が振動してもよい。この変形又は振動が、触覚により人体に伝達される。よってアウター用係合部11eは、アウター部材14の正規状態が解除されたことを触覚的に示す機能を有する(機能3)。
【0175】
上述の通り、正規状態へと向かう軸方向移動において、アウター部材14はアウター用係合部11eを乗り越える。この乗り越えが完了した瞬間に、音が生じてもよい。アウター部材14の弾性変形が解除された瞬間に、音が生じてもよい。下端面14gとスライド面12sとの衝突により、音が生じてもよい。このように、アウター用係合部11eは、アウター部材14が正規状態に移行したことを音により示す機能を有していてもよい(機能4)。
【0176】
上述の通り、正規状態から非正規状態へと向かう軸方向移動においても、アウター部材14はアウター用係合部11eを乗り越える。この乗り越えが完了した瞬間に、音が生じてもよい。アウター部材14の弾性変形が解除された瞬間に、欠落縁kaが上方突出部11wに衝突することで、この音が生じてもよい。このように、アウター用係合部11eは、アウター部材14の正規状態に移行したことを音により示す機能を有していてもよい(機能5)。
【0177】
アウター部材14が正規状態にあるとき、欠落部k14(欠落縁ka)の上縁がアウター用係合部11eに当接している(図1図16図19(b)、図25(g)等参照)。この当接により、正規状態が確実に維持されている。このように、アウター用係合部11eは、当接によってアウター部材14の正規状態を維持する機能を有する(機能6)。
【0178】
左右一対の箇所で、欠落縁kaとアウター用係合部11eとが当接している。よって、当接が1箇所である場合と比較して、上記機能6が高められている。また、継手2において、欠落縁ka及びアウター用係合部11eは左右対称に配置されている。よって、上記機能6がバランス良く達成されている。
【0179】
上述の通り、アウター用係合部11eを乗り越える場合に、アウター部材14が変形しうる。この変形を可能とするような力が加えられない限り、アウター部材14の正規状態が維持されうる。
【0180】
アウター用係合部11eを乗り越える際に生じる上記変形は、弾性変形である。アウター部材14は、この弾性変形が可能なように構成されている。例えばアウター部材14は、上記弾性変形が可能な材質及び寸法を有する。適度な外力で弾性変形が得られるとの観点から、アウター部材14の好ましい材質の一例は、樹脂である。
【0181】
上述の通り、アウター用係合部11eは第一斜面SL1を有する(図4参照)。この第一斜面SL1により、正規状態に向かうときの上記乗り越えが円滑になされうる。また、上述の通り、アウター用係合部11eは第二斜面SL2を有する(図4参照)。この第二斜面SL2により、正規状態が解除されるときの上記乗り越えが円滑になされうる。
【0182】
上記乗り越えの際には、アウター部材14の変形と共に、上方突出部11wの変形も生じうる。本実施形態では、アウター部材14の変形量は、上方突出部11wの変形量よりも大きい。上記乗り越えの際の抵抗力を適度に設定する観点から、上方突出部11wが変形しやすくされてもよい。例えば、上方突出部11wにスリット(切れ込み)が設けられても良い。このスリットとアウター用係合部11eとの距離を調整することで、上記乗り越えの際における上方突出部11wの変形量を調整することができる。
【0183】
ところで、外力が付与されていない自然状態において、係合突起Etは、第二状態E2とはならない。外力が付与されていない自然状態では、係合突起Etは、第一状態E1にあるか、又は、第一状態E1と第二状態E2との間の状態にある。これは、自然状態における回転許容部Et2の形状に基づく。したがって、係合突起Etには、自然状態に戻るような復元力が作用している。この復元力は、アウター部材14の正規状態を解除する方向に働く。アウター用係合部11eは、係合突起Etの上記復元力に抗して、アウター部材14を正規状態に維持している。換言すれば、アウター用係合部11eと欠落縁kdとの当接により、上記回転R14を阻止するモーメント(阻止モーメント)が生じうる。
【0184】
アウター用係合部11eは、係合突起Etから遠い位置に配置されている。図19(a)において両矢印DZで示されるのは、上記回転R14の回転中心軸と継手2の中心軸との距離である。図19(a)において両矢印DEで示されるのは、上記回転R14の回転中心軸とアウター用係合部11eとの距離である。これら距離DZ及び距離DEは、軸垂直方向に沿って測定される。この距離DEは、上記距離DZよりも大きい。アウター用係合部11eが回転中心軸から遠くされることで、上記阻止モーメントが高められている。よって、上記機能6が一層向上している。
【0185】
図26は、クイックファスナー8の平面図である。図26において、最小幅Wxが示されている。この幅Wxは、非係止状態8yから係止状態8xへの移行において、雌管6又は雄管4と当接しうる当接部分の最小幅である。この幅Wxは、自然状態のクイックファスナー8において測定される。
【0186】
雄管4又は雌管6において、ファスナー拡開幅Wy(図示省略)が定義される。ファスナー拡開幅Wyは、非係止状態8yから係止状態8xへの移行においてクイックファスナー8と当接する部分の最大幅である。非係止状態8yから係止状態8xへの移行の途中において、クイックファスナー8における幅Wxが、幅Wyに拡開される。本実施形態では、この当接する部分が、雄側係止部k1及び雌側係止部k2である。本実施形態では、雄側係止部k1及び雌側係止部k2の外径が、ファスナー拡開幅Wyに該当する。係止状態8xの維持の観点から、幅Wxは幅Wyよりも小さく設定される。
【0187】
クイックファスナー8は、非係止状態8yと係止状態8xとの相互移行が可能なように弾性変形しうる。ファスナー部材10は、クイックファスナー8の非係止状態8y及び係止状態8xが可能なように弾性変形しうる。非係止状態8yから係止状態8xへの移行において、幅Wxの部分が幅Wyとなった拡張状態が経由される。
【0188】
係止状態8xが容易に解除されることを防止する観点から、差(Wy−Wx)は、4mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましい。良好な係止フィーリング及び解除フィーリングを得る観点からも、これらの数値範囲が好ましい。係止フィーリングとは、非係止状態8yから係止状態8xに移行するときに触覚によって得られる感覚である。解除フィーリングとは、係止状態8xから非係止状態8yに移行するときに触覚によって得られる感覚である。係止状態8xと非係止状態8yとの間の相互移行を円滑とする観点から、差(Wy−Wx)は、7mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましい。上記実施形態では、幅Wxが13mmとされ、幅Wyが19mmとされた。
【0189】
図26において両矢印θで示されるのは、クイックファスナー8の先端開き角度である。本実施形態では、この角度θは、直線L1と直線L2との成す角度である。この角度θは、図26のような平面視において測定される。直線L1は外方延在部g1の内面に沿った直線である。直線L2は外方延在部g2の内面に沿った直線である。
【0190】
非係止状態8yから係止状態8xへの移行を円滑とする観点から、角度θは、60°以上が好ましく、70°以下が好ましい。なお、外方延在部g1及び外方延在部g2を長くすれば、角度θが小さくても、非係止状態8yから係止状態8xへの移行は円滑とされうる。この観点から、上記角度θは、45°以上であってもよい。ただし、装置の小型化の観点から、外方延在部g1及び外方延在部g2は短いほうが好ましい。この場合、上記角度θは、60°以上70°以下が好ましい。
【0191】
図8(a)において両矢印Wzで示されるのは、拡開用傾斜面p1、p2とファスナー部材10との最小隙間距離である。ファスナー組立部材810の組み立てにおいて、クイックファスナー8がファスナー部材10に装着される。距離Wzが小さい場合、拡開用傾斜面p1、p2がファスナー部材10に当接しやすい。この当接により、外方延在部g1、g2と端保持部th1、th2との間に大きな力が作用しやすい状態となる。この状態では、装着作業が行いにくい。この観点から、距離Wzは、0.4mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.6mm以上がより好ましい。全体的な小型化の観点から、距離Wzは、1mm以下が好ましく、0.9mm以下がより好ましく、0.8mm以下がより好ましい。
【0192】
上記実施形態では、装着部材mt1が装着部材上部11と装着部材下部12とに分割されている。本実施形態では、開閉しない装着部材上部11が、ガイド壁11gを有している(図13(a)及び図13(b)参照)。ガイド壁11gは、挿入される雄管4を正確に雌管6に案内しうる。ガイド壁11gは、雄管4の傾斜を抑制する。雄管4が大きく傾斜することなく雌管6に挿入されることで、正規接続状態が実現しやすい。ガイド壁11gは、正規接続状態の実現を促進しうる。装着部材上部11は、全体として一体成形されている。装着部材上部11は、開閉構造及び分離構造ではない。よって、力を加えた際に開きや割れは生じない。この装着部材上部11に設けられたガイド壁11gは、より確実に雄管4を案内する。一体部材である装着部材上部11が用いられることで、非正規接続状態の発生がより効果的に抑制される。また、この一体部材としての装着部材上部11は、ファスナー組立部材810を操作するための力によって開いたり割れたりしない。よってこの装着部材上部11は、ファスナー組立部材810のスライド移動の精度を高めうる。
【0193】
なお、装着部材mt1が全体として一つの部材であってもよいことは当然である。この場合、装着部材mt1の全体が、上記開閉構造又は上記分離構造を有しているのが好ましい。
【0194】
装着部材mt1は、雌管6に対して回転可能な状態で、雌管6に取り付けられている。上述した係合及び当接の全ては、雌管6に対する装着部材mt1の回転を阻害しない。この相対回転は、ファスナー部材10を操作する際の自由度を高める点で好ましい。また、この相対回転により、装着部材mt1の向きを変更できるため、狭い場所に継手2を設置する場合に有利である。
【0195】
本実施形態では、装着部材mt1と雌管6との相対回転は自由回転である。本実施形態では、装着部材mt1と雌管6との相対回転角度は360°である。本実施形態では、全周にわたって上記相対回転が可能である。本実施形態では、装着部材mt1は、雌管6に対して自由に相対回転可能である。装着部材mt1、ファスナー組立部材810及びアウター部材14は、雄管4及び雌管6に対して、自由な回転Rが可能である(図1等の両矢印R参照)。この自由な相対回転Rにおいて、正規接続状態及び係止状態8xが維持されている。
【0196】
雌管6と装着部材mt1との相対回転は、周方向の一部範囲であってもよい。換言すれば、装着部材mt1と雌管6との相対回転角度は360°未満であってもよい。周方向の一部範囲であっても、上記相対回転により、ファスナー部材10の操作性が向上しうる。この操作性の観点から、装着部材mt1と雌管6との相対回転角度は、90°以上が好ましく、180°以上がより好ましく、270°以上が更に好ましい。
【0197】
ファスナー組立部材810のスライド方向位置に関わらず、ファスナー組立部材810及び装着部材mt1は、雌管6に対して回転可能である。換言すれば、ファスナー組立部材810のスライド方向位置に関わらず、継手用組立体は、雌管6に対して回転可能である。雄管4と雌管6とが正規接続状態にあるとき、継手用組立体は、雄管4及び雌管6に対して回転可能である。
【0198】
ファスナー組立部材810のスライド方向位置に関わらず、ファスナー組立部材810及び装着部材mt1は、雌管6に対して回転可能である。換言すれば、ファスナー組立部材810のスライド方向位置に関わらず、継手用組立体は、雌管6に対して回転可能である。雄管4と雌管6とが正規接続状態にあるとき、継手用組立体は、雄管4及び雌管6に対して回転可能である。
【0199】
クイックファスナー8が係止状態8xであっても、継手用組立体は、雌管6に対して回転可能である。クイックファスナー8が非係止状態8yであっても、継手用組立体は、雌管6に対して回転可能である。クイックファスナー8が係止可能状態8zであっても、継手用組立体は、雌管6に対して回転可能である。従って、ファスナー部材10の操作の自由度は高い。
【0200】
上述した特許第3711224号公報及び特許第3711246号公報では、雌管とクイックファスナーとの相対回転が不能である。特許第3711246号公報では、抜止クリップ72及びカバー88が設けられているが(図4及び図6参照)、これら抜止クリップ72及びカバー88は、雌管46に対して回転することができない。また、特許第3711246号公報において、抜止クリップ72及びカバー88が雌管46に対して回転した場合、係止状態が解除され、抜止クリップ72及び/又はカバー88が破損するおそれがある。特許第4335401号公報では、ストッパ爪がストッパ面に当たるためには、抜け止めクリップの向きが一方向に限定されている。
【0201】
本実施形態では、上述のような不都合が存在しない。本実施形態では、装着部材mt1が雌管6に対して回転しても、係止状態は維持され、破損等の不都合は生じない。正規接続状態を維持したまま、クイックファスナー8、ファスナー部材10及び装着部材mt1は周方向に回転可能である。また後述するように、クイックファスナー8のストッパ機構は、クイックファスナー8の向きに関わらず作用しうる。同様に、ファスナー部材10のストッパ機構は、ファスナー部材10の向きに関わらず作用しうる。
【0202】
アウター部材14は、ファスナー組立部材810を保護しうる。図1等が示すように、正規状態にあるアウター部材14は、ファスナー部材10の一部を覆っている。正規状態にあるアウター部材14は、第一アーム10aの全体を覆っている。正規状態にあるアウター部材14は、第二アーム10bの全体を覆っている。更に、正規状態にあるアウター部材14は、連結部10cの一部を覆っている。アウター部材14が正規状態にあるとき、ファスナー部材10を操作することは困難である。アウター部材14により、ファスナー部材10の意図しない操作が防止されうる。アウター部材14は、係止状態8xの維持に寄与しうる。アウター部材14は、正規接続状態の維持に寄与しうる。
【0203】
継手2は、ファスナー組立部材810の脱落を抑制する係合機構Xを有する。図5及び図13(b)が示すように、装着部材mt1(装着部材上部11)は、ストッパ面sm11を有している。図24(c)及び図24(d)が示すように、この係合機構Xは、ストッパ部st10、st20とストッパ面sm11との係合である。より詳細には、この係合機構Xは、ストッパ面sm10、sm20とストッパ面sm11との係合である。この係合機構Xは、ファスナー組立部材810の脱落を規制している。また、この係合機構Xは、ファスナー組立部材810のスライド可能範囲を画定している。この係合機構Xにより、ファスナー組立部材810の脱落が効果的に規制されている。
【0204】
図18図8(a)及び図8(b)が示すように、ファスナー部材10は、係合部10sを有している。係合部10sは、左右それぞれに設けられている。この係合部10sは、凸部である。ファスナー組立部材810が第二位置(解除位置)にあるとき、係合部10sは、方向規制部d1に当接する。
【0205】
係合部10s及び方向規制部d1は、ファスナー組立部材810の解除位置を保持しうる係合機構Yを構成している。ファスナー組立部材810が解除位置にあるとき、係合部10sが方向規制部d1に係合しうる。本実施形態では、この係合は、方向規制部d1と係合部10sとの当接である(図24(c)参照)。この当接により、2つの係合部10sが、ファスナー部材10の中央側に押圧される。この押圧により、ファスナー部材10は、第一アーム10aと第二アーム10bとが近づくように変形される。この変形は弾性変形である。この弾性変形の復元力により、係合部10sが方向規制部d1を押圧する。この押圧により、係合部10sと方向規制部d1との間に作用する静止摩擦力が高められている。この静止摩擦力により、ファスナー組立部材810の解除位置が保持されうる。なお、係合部10sと方向規制部d1との係合は、例えば、凹凸係合であってもよい。
【0206】
上述の通り、装着部材mt1及びファスナー組立部材810は、雌管6に対して回転可能である。装着部材mt1及びファスナー組立部材810の向きに関わらず、係合機構Xは機能しうる。よって、ファスナー組立部材810は、操作しやすく、且つ、脱落しにくい。
【0207】
図5図18図24(c)及び図24(d)が示すように、装着部材mt1(装着部材下部12)は、方向規制部d1を有する。本実施形態では、2つの方向規制部d1が設けられている。これらの方向規制部d1は、ファスナー組立部材810(ファスナー部材10)の両側に位置する。より詳細には、第一の方向規制部d1が第一アーム10aの外側に位置し、第二の方向規制部d1が第二アーム10bの外側に位置する。
【0208】
方向規制部d1は、装着部材mt1(装着部材下部12)のスライド面12sに設けられている(図5参照)。方向規制部d1は、突起である。方向規制部d1は、上側に突出している。
【0209】
図24が示すように、上記ステップST3では、ファスナー組立部材810が、第一位置(係止位置)から第二位置(解除位置)に移動される。この移動のために、引っ張り方向(図24(c)の矢印の方向)に沿った力が、ファスナー組立部材810に加えられる。しかし、この引っ張り方向以外の力がファスナー組立部材810に加わることがある。この場合、ファスナー組立部材810が変形しうる。この変形は、ファスナー組立部材810の脱落を促進しうる。方向規制部d1は、ファスナー組立部材810の変形を規制しうる。方向規制部d1により、ファスナー組立部材810の脱落が効果的に抑制されうる。
【0210】
上述した引っ張り方向以外の力は、操作ミス、他の物体との衝突等によって生じうる。この力による変形が、方向規制部d1によって抑制されうる。
【0211】
上記変形により、ストッパ部st10が、ストッパ面sm11に係合し得ない位置に変位する可能性がある。上記変形により、ストッパ部st20が、ストッパ面sm11に係合し得ない位置に変位する可能性がある。仮に、方向規制部d1が存在しない場合、これらの変位により、上記係合機構Xが失効しうる。方向規制部d1は、この係合機構Xの失効を抑制しうる。
【0212】
ファスナー組立部材810は、スライド面12sの上をスライドしている。方向規制部d1は、ファスナー組立部材810がスライド面12sから外れることを効果的に抑制しうる。
【0213】
図25(d)において、第一位置(係止位置)にあるクイックファスナー8は、上記係止可能状態8zである。雄管4は、装着部材上部11の通過孔11tを通過して、雌管6に差し込まれる。雄管4を差し込むだけで、雌管6は雄管4に接続される。即ち、ワンアクションで、雄管4は雌管6に接続される。この接続において、クイックファスナー8及びファスナー部材10の操作は不要である。もちろん、この接続において、装着部材上部11及び装着部材下部12は雌管6に取り付けられたままである。このように、クイックファスナー8及びファスナー部材10が第一位置とされたまま、雄管4が雌管6に接続される。
【0214】
図24(c)及び図24(d)では、クイックファスナー8及びファスナー部材10が第二位置(解除位置)にある。図24(b)の状態から、ファスナー部材10は引き出されうる。ファスナー部材10が引き出されることにより、図24(c)の状態が実現しうる。図24(c)において、ファスナー部材10は第二位置にある。クイックファスナー8は、ファスナー部材10と一体で移動する。図24(c)において、クイックファスナー8も第二位置にある。このクイックファスナー8の移動により、第一貫通孔h1が雄側係止部k1及び雌側係止部k2から外れる。同様に、第二貫通孔h2が雄側係止部k1及び雌側係止部k2から外れる。結果として、ファスナー部材10が引き出されることにより、クイックファスナー8は、係止状態8xから非係止状態8yへと移行しうる。逆に、第二位置にあるファスナー部材10を押し込むことにより、クイックファスナー8は、非係止状態8yから係止状態8xへと移行しうる。このように、係止状態8xと非係止状態8yとの間の相互移行は、ファスナー部材10の操作によって達成される。クイックファスナー8及びファスナー部材10は、ファスナー組立部材810として、一体で移動する。ファスナー部材10を操作するだけで、クイックファスナー8も移動しうる。
【0215】
上述の通り、ファスナー組立部材810は、スライド面12sの上をスライド移動する。クイックファスナー8が係止状態8xにあるとき、ファスナー組立部材810の下端面は、スライド面12sに当接している。スライド面12sは平面である。スライド面12sは軸垂直方向に延在している。ファスナー組立部材810の下端面とスライド面12sとの当接により、ファスナー組立部材810の傾斜が抑制されている。更に、ファスナー組立部材810の上端面と装着部材上部11の下向き面11k(図13(b)参照)との当接により、ファスナー組立部材810の傾斜が抑制されている。よって、非正規接続状態が起こりにくい。更に、スライド面12sとファスナー組立部材810との当接により、ファスナー組立部材810の軸方向位置が定まる。この当接により、ファスナー組立部材810の軸方向位置が正規位置となる。よって、非正規接続状態が効果的に抑制されている。
【0216】
なお、ファスナー部材10とクイックファスナー8とが一体成形されていてもよい。即ち、ファスナー組立部材810が全体として一体成形されてもよい。例えば、板バネ状の部材に、クイックファスナー8に相当する部分とファスナー部材10に相当する部分とが設けられても良い。また、弾性変形しうる樹脂によって、ファスナー部材10とクイックファスナー8とが一体成形されてもよい。
【0217】
上記実施形態では、装着部材mt1は、雌管6に取り付けられている。これとは異なり、装着部材mt1は、雄管4に取り付けられても良い。より好ましい形態は、上記実施形態のように、装着部材mt1は雌管6に取り付けられる。通常の使用形態では、雌管6に装着部材mt1を取り付けて、雄管4を出し入れするほうが、着脱操作が容易である。また通常、雄管4に比べて雌管6は太い。通過孔11tを小さくして接続部の保護効果を高める観点からも、装着部材mt1は雌管6に取り付けられるのが好ましい。
【0218】
装着部材mt1が、開閉構造又は分離構造を含まなくても良い。例えば、雌管6を装着部材に圧入することで、雌管6を装着部材に装着する構成も可能である。ただしこの場合、装着部材mt1の材質が、弾性変形が容易な材質に限定されうる。よって装着部材mt1の剛性が不足する恐れがある。また、装着部材mt1の材料の自由度が低下しうる。また、上記実施形態に比較すると、装着部材の取り付けが行いにくい。更に、上記弾性変形の繰り返しにより、装着部材に破損又は摩耗が生じうる。
【0219】
上記実施形態では、開閉構造によって雌管6を挟み込んでいるため、弾性変形を伴うことなく、容易な取り付けが可能である。また、装着部材mt1の材料選択の自由度が高い。更に、装着部材mt1を雌管6に取り付けるための取り付け構造の設計自由度が高い。
【0220】
雄管4を雌管6に挿入することによってクイックファスナーを拡開変形させる場合、雌管の内側において雄管をクイックファスナーに当接させる必要がある。この当接を実現させるには、例えば、雌管の周方向の2箇所に孔を設け、この2箇所の孔を挟むようにしてクイックファスナーを設けることが考えられる。そして、この2箇所の孔から、クイックファスナーを、雌管の内側に突出させる。この突出した部分には、雌管に挿入された雄管が当接しうる。この当接により、クイックファスナーを拡開変形させることが可能となる。このような構成が採用される場合、雄管を雌管に挿入することでクイックファスナーの拡開変形が実現される。このような構造は、上述した特許第3711224号公報及び特許第3711246号公報において採用されている。
【0221】
ただし、この構成は、いくつかの問題を有する。第一の問題は、2箇所の孔を設けることにより、雌管6の構造が複雑となることである。この場合、水密性に係る部分に孔を設けることになり、水密性に影響が出るような寸法誤差等が生じうる。また、この複雑化は、製造コストを上昇させうる。第二の問題は、装着部材に回転力が作用した場合の耐久性である。この構成では、クイックファスナー8の回転(雌管6の中心軸回りの回転)が不能であり、このクイックファスナー8を保持する装着部材の回転も不能である。回転不能な装着部材に回転力が作用した場合、いずれかの部位又は部品において、変形又は破損が生じうる。上記実施形態では、装着部材mt1及びクイックファスナー8の回転が許容されているため、このような問題は生じない。
【0222】
また、本実施形態では、ファスナー組立部材810(ファスナー部材10)の回転が許容されているため、周方向におけるあらゆる方向からファスナー部材10を操作することができる。よって、設置場所が狭い場合においても、操作が容易である。
【0223】
クイックファスナー8の材質は限定されない。強度の観点から、クイックファスナー8の材質は金属が好ましく、弾性(バネ性)の観点からバネ鋼がより好ましい。また、防錆性の観点から、クイックファスナー8の材質は、ステンレス系金属が好ましく、ステンレス鋼がより好ましい。例えば、SUS304が好ましい。上記実施形態では、クイックファスナー8の材質として、「SUS304−CSP−3/4H」を用いた。
【0224】
ファスナー部材10の材質は限定されない。成形の自由度及び操作性の観点から、ファスナー部材10の材質として、樹脂が好ましい。この樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)等が挙げられる。それほど高い強度は必要ないので、ポリプロピレン(PP)、ABS等の汎用樹脂が好適に用いられうる。上記実施形態では、低コストの観点から、ポリプロピレンが用いられた。
【0225】
装着部材mt1(装着部材上部11、装着部材下部12)の材質は限定されない。成形の自由度の観点から、装着部材mt1の材質として、樹脂が好ましい。この樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)等が挙げられる。ヒンジ状構造の可動性及び耐久性の観点、及び低コストの観点から、上記実施形態では、装着部材上部11及び装着部材下部12の材質として、ポリプロピレンが用いられた。
【0226】
なお、装着部材上部11と装着部材下部12とで異なる材質が用いられても良い。ファスナー組立部材810のスライド移動のガイド機能、及び、挿入時における雄管4のガイド機能を考慮すると、装着部材上部11には、比較的剛性の高い材質が好ましい。一方、装着部材下部12に関しては、回動連結部12cにおける蝶番機能の観点から、比較的剛性の高い材質が好ましい。これらの観点から、装着部材上部11の材質の剛性が、装着部材下部12の材質の剛性よりも高くされてもよい。
【0227】
アウター部材14の材質は限定されない。アウター部材14として、過度に高い強度は不要である。成形の自由度をも考慮すると、アウター部材14の材質として、樹脂が好ましい。この樹脂として、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)等が挙げられる。装着部材mt1との係合を容易とする観点及び低コストの観点から、上記実施形態では、ポリプロピレンが用いられた。
【0228】
係合突起Etの好ましい材質は、上記アウター部材14の好ましい材質と同じである。回転許容部Et2の好ましい材質は、上記アウター部材14の好ましい材質と同じである。
【0229】
回転許容部Et2の厚みは限定されない。上記回転R14を繰り返し行う場合の耐久性を考慮すると、回転許容部Et2の厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.35mm以上がより好ましく、0.4mm以上がより好ましい。回転許容部Et2の変形が容易であると、上記回転R14が円滑になされうる。また、回転許容部Et2が過大であると、割れが生じやすい場合がある。これらの観点から、回転許容部Et2の厚みは、0.7mm以下が好ましく、0.6mm以下がより好ましく、0.5mm以下がより好ましい。
【0230】
上記実施形態では、継手の着脱の際にクイックファスナー8が保持されているため、クイックファスナー8の取り付け忘れ及び紛失が防止されうる。また、クイックファスナー8の移動がファスナー部材10の操作によってなされるため、クイックファスナー8の装着が容易である。また、クイックファスナー8が装着部材mt1及びファスナー部材10によって覆われているため、クイックファスナー8が異物に引っかかる事態が防止される。よって、意図しないクイックファスナー8の外れが防止される。更に、ファスナー部材10によって、非正規接続状態が検知されうる。更に、アウター部材14によって、非正規接続状態の検知精度が向上しうる。このように、クイックファスナーの装着及び継手接続の不具合が高い精度で検知されうる。
【0231】
上記実施形態では、継手の着脱の際にアウター部材14が保持されている。よって、アウター部材14の取り付け忘れ及び紛失が防止されうる。アウター部材14は、装着部材mt1に係合されたまま取り外し状態を採ることができる。よってアウター部材14は、継手の着脱において邪魔にならない。
【0232】
アウター部材14は、正規状態にあるときと同じ姿勢のまま、軸方向移動が可能である。よって、アウター部材14を回転しやすい位置にまで移動させることが可能である。この位置でアウター部材14を回転させることで、アウター部材14を取り外し状態とすることが容易である。
【0233】
本願には、独立形式請求項に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成等は、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
【0234】
例えば、本願には、雄管4及び雌管6を構成要件としない発明も記載されている。例えば、本願には、継手用組立体の発明が記載されている。この継手用組立体の発明の例として、次の発明Aが挙げられる。
【0235】
[発明A]
クイックファスナーと、
上記クイックファスナーの外側に取り付けられたファスナー部材と、
上記雄管又は上記雌管に取り付け可能な装着部材と、
上記ファスナー部材の外側に正規状態で装着可能なアウター部材と、を備えており、
上記クイックファスナーが、上記雄管と上記雌管との正規接続状態を保持する係止状態と、上記正規接続状態の解除を許容する非係止状態とを実現可能であり、
上記係止状態と上記非係止状態との相互移行が、上記ファスナー部材の操作によって可能とされており、
上記装着部材が、上記操作を許容しつつ、上記非係止状態において上記ファスナー部材及び/又は上記クイックファスナーを保持可能であり、
上記装着部材又は上記アウター部材の一方が、係合溝を有しており、
上記装着部材又は上記アウター部材の他方が、係合突起を有しており、
上記係合溝と上記係合突起との係合により、上記アウター部材と上記装着部材との連結が達成されており、
上記アウター部材が、上記連結を維持したまま、上記正規状態と取り外し状態とを採りうる継手用組立体。
【0236】
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。
【産業上の利用可能性】
【0237】
以上説明された方法は、あらゆる用途の継手に用いられ得る。
【符号の説明】
【0238】
2・・・継手
4・・・雄管
4a・・・雄側接続部
6・・・雌管
6a・・・雌側接続部
8・・・クイックファスナー
10・・・ファスナー部材
11・・・装着部材上部
11w・・・上方突出部
11e・・・アウター用係合部
11v・・・係合溝
12・・・装着部材下部
14・・・アウター部材
Et・・・係合突起
E1・・・係合突起の第一状態(アウター部材が取り外し状態にあるときの、係合突起の状態)
E2・・・係合突起の第二状態(アウター部材が正規状態にあるときの、係合突起の状態)
Et2・・・回転許容部
k1・・・雄側係止部(フランジ)
k2・・・雌側係止部(フランジ)
mt1・・・装着部材
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