(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備え、複数の前記階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の前記車両を上方の前記領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える前記車両を下方の前記領域へ搬送する機械式駐車装置のリフト搬送機制御装置であって、
前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する重量推定手段と、
前記予め定められた重量を1つ以上設定し、前記領域を2つ以上に分け、前記予め定められた重量によって区分けされる重量範囲と前記領域とが対応づけられたグループ決定データを検索し、前記車両を載せて搬送するパレットのうち、前記車両の載置されていないパレットである空きパレットを、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に対応する前記領域の情報を読み出し、読み出した該領域から取り出すパレット決定手段とを備え、
入庫させる前記車両を載置したパレットを前記空きパレットを取り出した前記領域に搬送し、
前記車両の識別情報と、前記車両の重量の情報とが対応付けられたユーザデータの前記車両の重量の情報を所定時間間隔で重量順に並び替えて、並び替えられた前記ユーザデータの前記車両の重量の分布に応じて、前記グループ決定データの前記重量範囲を変更するリフト搬送機制御装置。
複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備え、複数の前記階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の前記車両を上方の前記領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える前記車両を下方の前記領域へ搬送する機械式駐車装置のリフト搬送機制御装置であって、
前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する重量推定手段と、
前記予め定められた重量を1つ以上設定し、前記領域を2つ以上に分け、前記予め定められた重量によって区分けされる重量範囲と前記領域とが対応づけられたグループ決定データを検索し、前記車両を載せて搬送するパレットのうち、前記車両の載置されていないパレットである空きパレットを、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に対応する前記領域の情報を読み出し、読み出した該領域から取り出すパレット決定手段とを備え、
入庫させる前記車両を載置したパレットを前記空きパレットを取り出した前記領域に搬送し、
入出庫を繰り返す前記車両が入庫された回数と、前記車両の識別情報と、前記車両の重量の情報とが対応付けられたユーザデータに基づいて、前記回数が全ての前記車両の平均入出庫回数より多い場合には値が大きくなり、前記回数が前記平均入出庫回数より少ない場合には値が小さくなる補正重量を算出し、該補正重量に基づいて前記グループ決定データの前記重量範囲を設定するリフト搬送機制御装置。
複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備え、複数の前記階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の前記車両を上方の前記領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える前記車両を下方の前記領域へ搬送する機械式駐車装置のリフト搬送機制御装置であって、
前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する重量推定手段と、
前記予め定められた重量を1つ以上設定し、前記領域を2つ以上に分け、前記予め定められた重量によって区分けされる重量範囲と前記領域とが対応づけられたグループ決定データを検索し、前記車両を載せて搬送するパレットのうち、前記車両の載置されていないパレットである空きパレットを、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に対応する前記領域の情報を読み出し、読み出した該領域から取り出すパレット決定手段と、
前記車両の入出庫に必要とされるエネルギー量を算出する算出手段を備え、
入庫させる前記車両を載置したパレットを前記空きパレットを取り出した前記領域に搬送し、
前記算出手段は、下方の前記階から前記空きパレットを検索し、選定された前記空きパレットに前記車両を載置して搬送した場合に必要とされる第1エネルギー量を算出し、前記パレット決定手段によって選定された前記空きパレットに前記車両を載置して搬送した場合に必要される第2エネルギー量を算出し、前記第1エネルギー量及び前記第2エネルギー量を出力するリフト搬送機制御装置。
前記パレット決定手段は、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に前記空きパレットがない場合には、前記車両の重量が含まれる前記重量範囲より1つ軽い前記重量範囲に対応する前記領域から前記空きパレットを取り出す請求項1から請求項3の何れか1項記載のリフト搬送機制御装置。
前記重量推定手段は、前記車両の入庫時において、前記車両が載置された前記リフト搬送機を上昇させた際に前記モータが発生させるトルクに基づいて、前記車両の重量を推定する請求項1から請求項8の何れか1項記載のリフト搬送機制御装置。
前記重量推定手段は、前記車両の入庫時において、前記車両が載置されたパレットを所定の基準位置から所定量上昇させる昇降モータに流れる電流値に基づいて、前記車両の重量を推定する請求項1から請求項9の何れか1項記載のリフト搬送機制御装置。
複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備え、複数の前記階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の前記車両を上方の前記領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える前記車両を下方の前記領域へ搬送する機械式駐車装置のリフト搬送機制御方法であって、
前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する第1工程と、
前記予め定められた重量を1つ以上設定し、前記領域を2つ以上に分け、前記予め定められた重量によって区分けされる重量範囲と前記領域とが対応づけられたグループ決定データを検索し、前記車両を載せて搬送するパレットのうち、前記車両の載置されていないパレットである空きパレットを、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に対応する前記領域の情報を読み出し、読み出した該領域から取り出す第2工程と、
入庫させる前記車両を載置したパレットを前記空きパレットを取り出した前記領域に搬送する第3工程と、
前記車両の識別情報と、前記車両の重量の情報とが対応付けられたユーザデータの前記車両の重量の情報を所定時間間隔で重量順に並び替えて、並び替えられた前記ユーザデータの前記車両の重量の分布に応じて、前記グループ決定データの前記重量範囲を変更する第4工程と
を有するリフト搬送機制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、リフト搬送機の速度及び加減速度は、車両の重量(車重)にかかわらず、定格重量(最も重い重量)により決定された固定値であるため、車重の軽い車両に対しては、リフト搬送機を昇降させるモータの性能に余裕があり、モータの性能を有効に使用していなかった。すなわち、車重の軽い車両に対しては、リフト搬送機を昇降させる速度の上昇が可能であった。
【0007】
また、
図12に示されるように、リフト搬送機を近距離移動させる場合、遠距離移動の場合のように速度が一定となる期間を経ずに、高速指令と低速指令とが切り替えられる場合がある。このため、急激な加速度の変化が発生するので、リフト搬送機の速度にオーバーシュートが発生するので、リフト搬送機を予め定められた階に停止させる停止精度を高く確保するために、低速度の区間を大きくとる必要があり、リフト搬送機の昇降時間が長くなっていた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、車両が載置されたリフト搬送機の昇降時間を短縮することができるリフト搬送機制御装置、機械式駐車装置、及びリフト搬送機制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のリフト搬送機制御装置、機械式駐車装置、及びリフト搬送機制御方法は、以下の手段を採用する。
【0010】
すなわち、本発明の参考例に係るリフト搬送機制御装置は、複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備える機械式駐車装置のリフト搬送機制御装置であって、前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する重量推定手段と、前記重量推定手段によって推定された前記車両の重量に基づいて、前記リフト搬送機を昇降させる加速度、減速度、及び最高速度を導出する導出手段と、前記導出手段によって導出された前記加速度に基づいて、前記車両が載置されて停止している前記リフト搬送機を加速させ、前記導出手段によって導出された前記最高速度に達した後、前記導出手段によって導出された前記減速度に基づいて前記リフト搬送機を減速させることで、予め指定された前記階に前記リフト搬送機を停止させるように前記モータを制御するモータ制御手段と、を備える。
【0011】
本発明の参考例によれば、リフト搬送機制御装置は、複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備える機械式駐車装置に設けられる。なお、車両は、パレットに載置された状態で、リフト搬送機によって昇降される。
【0012】
そして、重量推定手段によって、前記車両を入庫させる場合に、リフト搬送機に載置された車両の重量が推定され、導出手段によって、重量推定手段によって推定された車両の重量に基づいて、リフト搬送機を昇降させる加速度、減速度、及び最高速度が導出される。
これにより、本発明の参考例は、車両の重量に適したリフト搬送機の速度を得ることができる。
【0013】
さらに、モータ制御手段によって、導出された加速度に基づいて、車両が載置されて停止しているリフト搬送機を加速させ、導出された最高速度に達した後、導出された減速度に基づいてリフト搬送機を減速させることで、予め指定された階にリフト搬送機を停止させるようにモータが制御される。
【0014】
以上のように、本発明の参考例は、車両の重量に適した加速度、減速度、及び最高速度に基づいてリフト搬送機を昇降させるモータを制御するので、該モータの性能を有効に活用することが可能となり、その結果、リフト搬送機の昇降時間を短縮することができる。
【0015】
また、本発明の参考例のリフト搬送機制御装置は、前記モータ制御手段が、前記リフト搬送機の速度が前記最高速度に達した場合に、前記最高速度で所定時間保った後、前記減速度に基づいて前記リフト搬送機を減速させてもよい。
【0016】
本発明の参考例によれば、リフト搬送機の速度が最高速度に達した場合に、最高速度で所定時間保った後、リフト搬送機を減速させるので、リフト搬送機が加速から減速に至る過程において、急激な加速度の変化(トルク変動)を防止することができる。
【0017】
従って、急激な加速度変化の発生によるリフト搬送機の速度のオーバーシュートが発生しないので、停止精度を確保するために、低速度の区間を大きくとる必要がなくなり、本発明は、リフト搬送機の昇降時間を短縮することができる。
【0018】
また、本発明の参考例のリフト搬送機制御装置は、前記格納棚に格納した前記車両に関する情報と、前記重量推定手段で推定された該車両の重量の情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備え、前記導出手段が、前記リフト搬送機で昇降させる前記車両の重量の情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した該情報に基づいて、前記リフト搬送機を昇降させる加速度、減速度、及び最高速度を導出してもよい。
【0019】
本発明の参考例によれば、記憶手段によって、格納棚に格納した車両に関する情報と、重量推定手段で推定された該車両の重量の情報とが対応付けて記憶されるので、重量が記憶されている車両に関しては、入庫する毎に重量を推定する必要がなくなる。このため、本発明は、車両の入庫に要する時間を短縮することができる。
【0020】
また、本発明の参考例リフト搬送機制御装置は、前記導出手段が、車両を出庫させる場合に、出庫させる前記車両の重量の情報を前記記憶手段から読み出し、読み出した該情報に基づいて、前記リフト搬送機を昇降させる加速度、減速度、及び最高速度を導出してもよい。
【0021】
本発明の参考例によれば、車両を出庫させる場合に、出庫させる車両の重量の情報が記憶手段から読み出されるので、車両を出庫させる場合であっても、車両の重量に適した加速度、減速度、及び最高速度に基づいてリフト搬送機を昇降させるモータを制御することができる。
【0022】
また、本発明の参考例のリフト搬送機制御装置は、前記モータ制御手段が、前記車両の入庫及び前記車両の出庫の少なくとも一方の場合において、前記車両の重量に基づいたトルクを発生した後に、前記車両が載置されて停止している前記リフト搬送機を加速させるように前記モータを制御してもよい。
【0023】
本発明の参考例によれば、モータは、車両の重量に基づいたトルクを発生した後に、車両が載置されて停止しているリフト搬送機を加速させるので、モータの起動時の衝撃が削減される。従って、本発明は、リフト搬送機を昇降させるときに生じる騒音を抑制すると共に、機械部品の寿命を長くすることができる。
【0024】
また、本発明の参考例のリフト搬送機制御装置は、前記導出手段が、前記重量推定手段によって推定された前記車両の重量に基づいて、前記リフト搬送機を昇降させる加速度、減速度、及び最高速度と共に、加加速度及び減減速度を導出し、前記モータ制御手段が、前記導出手段によって導出された前記加速度及び前記加加速度に基づいて、前記車両が載置されて停止している前記リフト搬送機を加速させ、前記導出手段によって導出された前記最高速度に達した後、前記導出手段によって導出された前記減速度及び前記減減速度に基づいて、前記リフト搬送機を減速させることで、予め指定された前記階に前記リフト搬送機を停止させるように前記モータを制御してもよい。
【0025】
本発明の参考例によれば、リフト搬送機の昇降において所謂S字制御が行われるので、急激な加速度変化をより抑制することができ、リフト搬送機等に加わる衝撃が抑制されこととなる。従って、本発明は、リフト搬送機を昇降させるときに生じる騒音を抑制すると共に、機械部品の寿命を長くすることができる。
【0026】
また、本発明のリフト搬送機制御装置は、前記重量推定手段が、前記車両の入庫時において、前記車両が載置された前記リフト搬送機を上昇させた際に前記モータが発生させるトルクに基づいて、前記車両の重量を推定してもよい。
【0027】
本発明によれば、車両が載置されたリフト搬送機を上昇させた際にモータが発生させるトルクに基づいて、車両の重量が推定される。従って、本発明は、簡易な構成で車両の重量を推定できる。
【0028】
また、本発明のリフト搬送機制御装置は、前記重量推定手段が、前記車両の入庫時において、前記車両が載置されたパレットを所定の基準位置から所定量上昇させる昇降モータに流れる電流値に基づいて、前記車両の重量を推定してもよい。
【0029】
本発明によれば、車両が載置されたパレットを所定の基準位置から所定量上昇させる昇降モータに流れる電流値に基づいて、車両の重量が推定される。従って、本発明は、簡易な構成で車両の重量を推定できる。
【0030】
また、本発明の
参考例のリフト搬送機制御装置は、複数の前記階が、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の前記車両を上方の前記領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える前記車両を下方の前記領域へ搬送してもよい。本発明によれば、車重の軽い車両は加速度、減速度及び最高速度が大きくなり、運転時間が短くなるので、上方階に格納しても入出庫待ち時間が短縮も可能となる。
【0031】
一方、本発明
の参考例に係る機械式駐車装置は、複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機と、前記リフト搬送機を昇降させるモータと、前記リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚と、上記記載のリフト搬送機制御装置と、を備える。
【0032】
また、本発明
の参考例に係るリフト搬送機制御方法は、複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備える機械式駐車装置のリフト搬送機制御方法であって、前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する第1工程と、推定した前記車両の重量に基づいて、前記リフト搬送機を昇降させる加速度、減速度、及び最高速度を導出する第2工程と、導出した前記加速度に基づいて、前記車両が載置されて停止している前記リフト搬送機を加速させ、導出した前記最高速度に達した後、導出した前記減速度に基づいて前記リフト搬送機を減速させることで、予め指定された前記階に前記リフト搬送機を停止させるように前記モータを制御する第3工程と、を含む。
【0033】
また、本発明に係るリフト搬送機制御
装置は、複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備え、複数の前記階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の前記車両を上方の前記領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える前記車両を下方の前記領域へ搬送する機械式駐車装置のリフト搬送機制御装置であって、前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する重量推定手段と、前記予め定められた重量を1つ以上設定し、前記領域を2つ以上に分け、前記予め定められた重量によって区分けされる重量範囲と前記領域とが対応づけられたグループ決定データを検索し、前記車両を載せて搬送するパレットのうち、前記車両の載置されていないパレットである空きパレットを、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に対応する前記領域の情報を読み出し、読み出した該領域から取り出すパレット決定手段とを備え、入庫させる前記車両を載置したパレットを前記空きパレットを取り出した前記領域に搬送し、前記車両の識別情報と、前記車両の重量の情報とが対応付けられたユーザデータの前記車両の重量の情報を所定時間間隔で重量順に並び替えて、並び替えられた前記ユーザデータの前記車両の重量の分布に応じて、前記グループ決定データの前記重量範囲を変更する。
このように、所定間隔で車重範囲が見直されるので、入庫される車両の車重が決まっておらず、運転の開始時において仮値が入れられている場合であっても、実際の車重分布に適合させることができる。これにより、車重に適した領域から空きパレットが取り出され、搬送されることとなり、高性能となる。
また、本発明に係るリフト搬送機制御装置は、複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備え、複数の前記階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の前記車両を上方の前記領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える前記車両を下方の前記領域へ搬送する機械式駐車装置のリフト搬送機制御装置であって、前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する重量推定手段と、前記予め定められた重量を1つ以上設定し、前記領域を2つ以上に分け、前記予め定められた重量によって区分けされる重量範囲と前記領域とが対応づけられたグループ決定データを検索し、前記車両を載せて搬送するパレットのうち、前記車両の載置されていないパレットである空きパレットを、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に対応する前記領域の情報を読み出し、読み出した該領域から取り出すパレット決定手段とを備え、入庫させる前記車両を載置したパレットを前記空きパレットを取り出した前記領域に搬送し、入出庫を繰り返す車両の入庫された回数と、前記車両の識別情報と、前記車両の重量の情報とが対応付けられたユーザデータに基づいて、前記回数が全ての前記車両の平均入出庫回数より多い場合には値が大きくなり、前記回数が前記平均入出庫回数より少ない場合には値が小さくなる補正重量を算出し、該補正重量に基づいて前記グループ決定データの前記重量範囲を設定する。
このように、車両の入出庫頻度を加味した補正重量を算出し、補正重量によって車重範囲の見直しを行うので、頻度に適した最適な空きパレットの選定ができる。
また、本発明に係るリフト搬送機制御装置は、複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備え、複数の前記階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の前記車両を上方の前記領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える前記車両を下方の前記領域へ搬送する機械式駐車装置のリフト搬送機制御装置であって、前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する重量推定手段と、前記予め定められた重量を1つ以上設定し、前記領域を2つ以上に分け、前記予め定められた重量によって区分けされる重量範囲と前記領域とが対応づけられたグループ決定データを検索し、前記車両を載せて搬送するパレットのうち、前記車両の載置されていないパレットである空きパレットを、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に対応する前記領域の情報を読み出し、読み出した該領域から取り出すパレット決定手段と、前記車両の入出庫に必要とされるエネルギー量を算出する算出手段を備え、入庫させる前記車両を載置したパレットを前記空きパレットを取り出した前記領域に搬送し、前記算出手段は、下方の前記階から前記空きパレットを検索し、選定された前記空きパレットに前記車両を載置して搬送した場合に必要とされる第1エネルギー量を算出し、前記パレット決定手段によって選定された前記空きパレットに前記車両を載置して搬送した場合に必要される第2エネルギー量を算出し、前記第1エネルギー量及び前記第2エネルギー量を出力する。
これにより、利用者に従来の方法である下方階から空きパレットを取り出し、搬送した場合に必要となる第1エネルギー量と、本発明のパレット決定手段を使用して空きパレットを取り出し、搬送した場合に必要となる第2エネルギー量とを比較できるので、省エネルギーの効果を定量的に、かつ、視覚的に訴えることができる。また、提示には、例えば、操作盤に数値やイラストで省エネルギー量を表示させる、紙のレポートで定期的に出力させる等の方法がある。
【0034】
車両を載置するための空きパレットは、入庫させる車両の重量が含まれる重量範囲に対応付けられた領域から取り出され、車両を載置後に、パレットが取り出された領域に搬送される。このように、重い重量範囲に含まれる車両の入庫の場合には比較的下方の領域に搬送され、軽い重量範囲に含まれる車両は比較的上方の領域に搬送されるので、入庫運転時のエネルギーが最小化され、省エネルギーとなる。
【0035】
また、本発明のリフト搬送機制御装置の前記パレット決定手段は、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に前記空きパレットがない場合には、前記車両の重量が含まれる前記重量範囲より1つ軽い前記重量範囲に対応する前記領域から前記空きパレットを取り出してもよい。
【0036】
軽い重量範囲の領域に一時的に車両を退避させ、重い重量範囲の領域の空きパレットを確保(つまり、車両が入庫できる領域を確保)しておくことにより、後から重量の重い車両が入庫された場合であっても、軽い重量範囲の領域しか空いていないため重い車両が上方へ搬送されてしまう場合と比較して、重い重量範囲の領域を有効活用でき、入庫時に使用するエネルギーも最小化される。
また、従来は、車重を考慮せずに機械式駐車装置の下方から順に入庫させていたので、機械式駐車装置の下方が先に入庫済みとなり、重い車重の車両が、時間的に後から入庫され上方に格納されていた。そのような場合には、入庫時に使用するエネルギーが大きくなり、特に、高揚型(高さ45m以上)の機械式駐車装置では、その影響が大きくなる傾向があったが、本発明によれば、軽い重量範囲が割り当てられる領域である上方を優先的に使用するので、従来のような重い車重の車両の入庫により無駄にエネルギーを使用することを防ぐことができる。
【0037】
また、本発明のリフト搬送機制御装置は、
前記車両の識別情報と、前記車両の重量の情報とが対応付けられたユーザデータの前記車両の重量の
情報を所定
時間間隔で重量順に並び替えて
、並び替えられた前記ユーザデータの前記車両の重量の分布に応じて、
前記グループ決定データの前記
重量範囲を変更してもよい。
【0038】
所定間隔で車重範囲が見直されるので、入庫される車両の車重が決まっておらず、運転の開始時において仮値が入れられている場合であっても、実際の車重分布に適合させることができる。これにより、車重に適した領域から空きパレットが取り出され、搬送されることとなり、高性能となる。
【0039】
また、本発明のリフト搬送機制御装置は、
入出庫を繰り返す前記車両が入庫された回数
と、前記車両
の識別情報と、前記車両の重量
の情報と
が対応付けられたユーザデータに基づいて、前記回数が全ての前記車両の平均入出庫回数より多い場合には値が大きくなり、前記回数が前記平均入出庫回数より少ない場合には値が小さくなる補正重量を算出し、該補正重量に基づいて
前記グループ決定データの前記
重量範囲を設定してもよい。
【0040】
このように、車両の入出庫頻度を加味した補正重量を算出し、補正重量によって車重範囲の見直しを行うので、頻度に適した最適な空きパレットの選定ができる。
【0041】
また、本発明のリフト搬送機制御装置は、
前記車両を入庫させる場合に、入庫させる前記車両の
識別情報としての固有番号を取得し、
過去に入出庫させた前記車両の識別情報としての固有番号と前記車両の重量とが対応付けられたユーザデータを参照し、前記車両の
識別情報としての固有番号に対応する前記車両の重量の情報がある場合には、前記車両の
識別情報としての固有番号に対応する前記車両の重量を含む
前記車両の重量範囲に対応する前記領域
を前記グループ決定データから読み出し、読み出した前記領域から前記空きパレットを取り出してもよい。
【0042】
過去に入出庫させた車両の固有番号と重量とが対応付けられているので、時間貸しで運営する機械式駐車装置であっても、複数回利用する利用者は、固有番号から重量を特定できるので、省エネルギーを考慮した位置からパレットを取り出し、搬送され、エネルギーの無駄がない。また、車両の固有番号とは、車両番号標(ナンバープレート)の番号であり、例えば、カメラで撮像する、手動でユーザにより入力させる等の方法によって取得できる情報である。
【0043】
また、本発明のリフト搬送機制御装置は、前記予め定められた前記重量によって区分けされる重量範囲の中で、前記車両
のうち、ハイルーフ車や普通車といった種類毎に
前記グループ決定データの前記
重量範囲をそれぞれ設定してもよい。
【0044】
車両の種類(例えば、ハイルーフ、普通車等)によって車重範囲が適切に区分けされ、かつ、重い重量範囲は、軽い重量範囲より下方の領域が割り当てられるので、車種が異なっていても、平等に適切な領域が割り当てられることとなる。
【0045】
また、本発明のリフト搬送機制御装置は、前記車両の入出庫に必要とされるエネルギー量を算出する算出手段を備え、前記算出手段は、下方の前記階から前記空きパレットを検索し、選定された前記空きパレットに前記車両を載置して搬送した場合に必要とされる第1エネルギー量を算出し、前記パレット決定手段によって選定された前記空きパレットに前記車両を載置して搬送した場合に必要される第2エネルギー量を算出し、前記第1エネルギー量及び前記第2エネルギー量を出力してもよい。
【0046】
これにより、利用者に従来の方法である下方階から空きパレットを取り出し、搬送した場合に必要となる第1エネルギー量と、本発明のパレット決定手段を使用して空きパレットを取り出し、搬送した場合に必要となる第2エネルギー量とを比較できるので、省エネルギーの効果を定量的に、かつ、視覚的に訴えることができる。また、提示には、例えば、操作盤に数値やイラストで省エネルギー量を表示させる、紙のレポートで定期的に出力させる等の方法がある。
【0047】
本発明は、上記何れか1項記載のリフト搬送機制御装置
と、複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機と、前記リフト搬送機を昇降させるモータと、前記リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚と、を備えた機械式駐車装置を提供する。
【0048】
本発明は、上記の機械式駐車装置と、前記機械式駐車装置と情報の授受可能に接続される端末と、を具備する機械式駐車システムを提供する。
このような構成によれば、保守員が機械式駐車装置の備えられている現地に出向き、機械式駐車装置と端末(例えば、点検用端末)とを直接接続して保守作業を行うことができる。また、機械式駐車装置と端末との情報の授受は、例えば、専用のケーブル、ネットワークケーブル等により行われる。
【0049】
本発明は、通信ネットワークを介して相互に接続される前記機械式駐車装置と前記端末とが遠隔に配置されている機械式駐車システムを提供する。
このような構成によれば、機械式駐車装置とは物理的に離れた遠隔地に設けられる端末(例えば、点検用端末)をネットワーク等で通信可能に接続しておくことにより、保守員が通信ネットワークを介して遠隔地から、保守作業を行うことができる。
【0050】
本発明は、上記何れか1項記載の機械式駐車装置を複数備え、入出庫させる前記車両と該車両の重量とを対応づけた情報をユーザデータとし、複数の前記機械式駐車装置間で共通の前記ユーザデータを有する機械式駐車システムを提供する。
複数の機械式駐車装置間において、車両と車両の重量とを対応付けたユーザデータを共有することにより、車重や入出庫頻度に適した機械式駐車装置を選定させることができ、入出庫待ち時間が短縮する、かつ、省エネルギーとなる。これにより、環境に優しい機械式駐車システムを提供することができる。
また、本発明に係るリフト搬送機制御方法は、複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備え、複数の前記階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の前記車両を上方の前記領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える前記車両を下方の前記領域へ搬送する機械式駐車装置のリフト搬送機制御方法であって、前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する第1工程と、前記予め定められた重量を1つ以上設定し、前記領域を2つ以上に分け、前記予め定められた重量によって区分けされる重量範囲と前記領域とが対応づけられたグループ決定データを検索し、前記車両を載せて搬送するパレットのうち、前記車両の載置されていないパレットである空きパレットを、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に対応する前記領域の情報を読み出し、読み出した該領域から取り出す第2工程と、入庫させる前記車両を載置したパレットを前記空きパレットを取り出した前記領域に搬送する第3工程と、前記車両の識別情報と、前記車両の重量の情報とが対応付けられたユーザデータの前記車両の重量の情報を所定時間間隔で重量順に並び替えて、並び替えられた前記ユーザデータの前記車両の重量の分布に応じて、前記グループ決定データの前記重量範囲を変更する第4工程とを有する。
また、本発明に係るリフト搬送機制御方法は、複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備え、複数の前記階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の前記車両を上方の前記領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える前記車両を下方の前記領域へ搬送する機械式駐車装置のリフト搬送機制御方法であって、前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する第1工程と、前記予め定められた重量を1つ以上設定し、前記領域を2つ以上に分け、前記予め定められた重量によって区分けされる重量範囲と前記領域とが対応づけられたグループ決定データを検索し、前記車両を載せて搬送するパレットのうち、前記車両の載置されていないパレットである空きパレットを、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に対応する前記領域の情報を読み出し、読み出した該領域から取り出す第2工程と、入庫させる前記車両を載置したパレットを前記空きパレットを取り出した前記領域に搬送する第3工程と、入出庫を繰り返す前記車両の入庫された回数と、前記車両の識別情報と、前記車両の重量の情報とが対応付けられたユーザデータに基づいて、前記回数が全ての前記車両の平均入出庫回数より多い場合には値が大きくなり、前記回数が前記平均入出庫回数より少ない場合には値が小さくなる補正重量を算出し、該補正重量に基づいて前記グループ決定データの前記重量範囲を設定する第4工程とを有する。
また、本発明に係るリフト搬送機制御方法は、複数の階を有する構造物内に設置され、載置された車両と共に昇降するリフト搬送機、該リフト搬送機を昇降させるモータ、及び該リフト搬送機が昇降する昇降路に沿って複数の前記階に配設された格納棚を備え、複数の前記階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の前記車両を上方の前記領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える前記車両を下方の前記領域へ搬送する機械式駐車装置のリフト搬送機制御方法であって、前記車両を入庫させる場合に、前記リフト搬送機に載置された前記車両の重量を推定する第1工程と、前記予め定められた重量を1つ以上設定し、前記領域を2つ以上に分け、前記予め定められた重量によって区分けされる重量範囲と前記領域とが対応づけられたグループ決定データを検索し、前記車両を載せて搬送するパレットのうち、前記車両の載置されていないパレットである空きパレットを、入庫させる前記車両の重量が含まれる前記重量範囲に対応する前記領域の情報を読み出し、読み出した該領域から取り出す第2工程と、前記車両の入出庫に必要とされるエネルギー量を算出する第3工程と、入庫させる前記車両を載置したパレットを前記空きパレットを取り出した前記領域に搬送する第4工程と、下方の前記階から前記空きパレットを検索し、選定された前記空きパレットに前記車両を載置して搬送した場合に必要とされる第1エネルギー量を算出し、前記第2工程によって選定された前記空きパレットに前記車両を載置して搬送した場合に必要される第2エネルギー量を算出し、前記第1エネルギー量及び前記第2エネルギー量を出力する第5工程とを有する。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、車両が載置されたリフト搬送機の昇降時間を短縮することができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に、本発明に係るリフト搬送機制御装置、機械式駐車装置、及びリフト搬送機制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0054】
〔第1の参考例〕
図1は、本第1の参考例に係る機械式駐車装置10の概略図である。
図1に示されるように、機械式駐車装置10は、複数の階を有する構造物内に設置され、車両12を昇降させるリフト搬送機14、リフト搬送機14が昇降する昇降路16に沿って複数の階に配設された格納棚18、及びリフト搬送機14により把持され、入出庫させる車両12を載置するパレット20を備える。
【0055】
本第1の参考例では、機械式駐車装置10を90°旋回型の機械式駐車装置として説明するが、旋回角度は90°に限定されず、例えば30°や180°であってもよい。なお、90°旋回型とは、車両10を入出庫させる乗入階22に車両12を入庫させる向きと格納棚18に格納される向きとが90°異なり、格納棚18に格納する場合に、乗入階22の車両を90°旋回させる方式である。また、本第1の参考例に係る機械式駐車装置10、乗入階22が1階に設けられるが、乗入階の配設位置は特に限定されない。
【0056】
図1に示されるように、機械式駐車装置10は、最下階である1階に乗入階22を備え、出入口を介して乗入階22に車両12を入庫させ、乗入階22の上部にある格納棚18に格納させる。また、機械式駐車装置10は、出庫させる車両12を格納棚18から取り出し、出入口を介して乗入階22から出庫させる。
【0057】
図2は、リフト搬送機14の昇降を制御するためのリフト搬送機制御装置30の電気的構成を示した機能ブロック図である。
【0058】
リフト搬送機制御装置30は、車両12を入庫する操作及び出庫する操作を受け付ける操作盤32に対する利用者による操作内容に基づいて、機械式駐車装置10を制御する地上制御盤34、及びリフト搬送機14を昇降させる昇降モータ36を制御するモータ制御部38(インバータ装置)を備えている。
【0059】
地上制御盤34は、CPU(Central Processing Unit)である制御部40、各種データを記憶する記憶部42、ゼロ補正部44、及び電源装置46を備える。
【0060】
制御部40は、パレット20に載置された車両12の重量(車重)に基づいて、リフト搬送機14の昇降を制御する。このために、制御部40は、重量推定部48を備え、重量推定部48は、車両12の入庫時において、車両12が載置されたリフト搬送機14を上昇させた際(掬い上げ時)に昇降モータ36が発生させるトルク(以下、「負荷トルク」という。)に基づいて、車重を推定する。
具体的には、重量推定部48は、モータ制御部38が昇降モータ36へ出力するトルク電流値が入力され、入力されたトルク電流値から、昇降モータ36が発生させる負荷トルクを求め、該負荷トルクと車重との関係を示す対応情報に基づいて、車重を推定する。なお、対応情報は、車重と負荷トルクとの関係を数式によって示した情報であってもよいし、車重と負荷トルクとの関係を一覧(テーブル形式)で示した情報であってもよく、記憶部42に記憶されている。
【0061】
ゼロ補正部44は、昇降モータ36が発生させる負荷トルクに基づいて推定されるパレット20の重量と、記憶部42に格納されている基準となるパレット20の重量とを比較する。
具体的には、パレット20に車両12が載置されていない場合に、ゼロ補正部44は、昇降モータ36が発生させる負荷トルクと、対応情報におけるパレット20の重量に対応する負荷トルクとを比較する。そして、比較の結果、一致していなければ、ゼロ補正部44は、パレット20のみの重量に対応する昇降モータ36が発生させる負荷トルクに基づいて対応情報を補正する。
ゼロ補正部44による補正は、入庫又は出庫が完了するたび毎に行われることとしてもよいし、所定期間(例えば、1日、2週間、1カ月等)毎に行うこととしてもよい。
【0062】
また、制御部40は、推定した車重に応じて、格納棚18の位置を選定することが好ましい。具体的には、車重を所定の重量と比較し、所定の重量より車重が重い車両12ほど乗入階22からの距離が短い、空きの格納棚18を選定し、所定の重量より車重が軽い車両12ほど乗入階22からの距離が長い、空きの格納棚18を選定する。これは、車重が重いほど負荷トルクが大きくなるので、車重が重い車両12を移動させる場合の方が、車重の軽い車両12を移動させる場合よりも大きなトルクが必要となる。このことから、車重が重い車両12の移動距離を短くするべく格納棚18を選定することにより、機械式駐車装置10の電力消費量を低減することができる。また、乗入階22が下方の階(例えば、
図1のような機械式駐車装置10の1階)にある場合には、車重の重い車両12が下方階に置かれ、車重の軽い車両12が上方階に置かれるので、車重の軽い車両12は加速度、減速度及び最高速度が大きくなり、運転時間が短くなるので、上方階に格納しても入出庫待ち時間が短縮も可能となる。
具体的には、複数の階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の車両を上方(上方階)の領域へ搬送し、該予め定められた重量を超える車両を下方(下方階)の領域へ搬送する。なお、予め定められた重量を一つ設定し、上記領域を2つに分けてもよいし、予め定められた重量を2つ以上設定し、上記領域を3つ以上に分けてもよい。
【0063】
また、車重の軽い車両12が上方階に、車重の重い車両12が下方階に置かれるので、地震が発生した場合に機械式駐車装置10にかかる力を低減することができる。
【0064】
また、制御部40は、推定した車重とリフト搬送機14で搬送可能な重量(定格重量)とを比較し、推定した車重が定格重量を超える場合に、リフト搬送機14による搬送を中止することが好ましい。これにより、定格重量以上の重量の車両12の誤入庫を未然に防ぐことができ、リフト搬送機14等の機器の破損や故障を回避できる。
【0065】
さらに、制御部40は、重量推定部48によって推定された車量に基づいて、リフト搬送機14を昇降させる加速度、減速度、及び最高速度を導出し、導出した加速度、減速度、及び最高速度の値をモータ制御部38へ出力する。なお、記憶部42には、車重毎の加速度、減速度、及び最高速度を示したデーブル情報(以下、「デシジョンテーブル」という。)が記憶されており、制御部40は、デシジョンテーブルに基づいて、車重に応じた加速度、減速度、及び最高速度を導出する。
【0066】
そして、制御部40は、リフト搬送機14を高速で運転させるための高速指令、又は低速で運転させるための低速指令をモータ制御部38へ出力する。
モータ制御部38は、制御部40からの高速指令が入力されると、高速で昇降させるように昇降モータ36を制御する一方、制御部40からの低速指令が入力されると、リフト搬送機14を低速で昇降させるように昇降モータ36を制御する。
【0067】
また、制御部40には、パルスジェネレータ50から、昇降モータ36の回転数に基づいて検出されたリフト搬送機14の現在位置を示す現在位置情報が入力される。
【0068】
電源装置46は、機械式駐車装置10に電源を投入することによって、リフト搬送機14の昇降モータ36や制御部40等の制御装置に電力を供給する。
【0069】
次に、本第1の参考例に係る機械式駐車装置10において実行される、入庫時におけるリフト搬送機14に対する制御について説明する。
【0070】
図3は、本第1の参考例に係る制御部40で実行される、入庫時におけるリフト搬送機14の加速度、減速度、及び最高速度を導出する入庫時速度導出処理の流れを示すフローチャートである。入庫時速度導出処理は、記憶部42に記憶されている入庫時速度導出プログラムが実行されることによって行われる。なお、本第1の参考例に係る機械式駐車装置10は、乗入階22が1階であり、乗入階22の上部に格納棚18が備えられているため、入庫時には車両12が載置されたリフト搬送機14が上昇することとなる。
【0071】
まず、ステップ100では、車両12が載置されたリフト搬送機14を所定距離だけ掬い上げる運転(以下、「掬い上げ運転」という。)を行う。
【0072】
次のステップ102では、掬い上げ運転においてモータ制御部38から出力されたトルク電流値に基づいて、昇降モータ36が発生させる負荷トルクを求め、該負荷トルクからリフト搬送機14に載置された車両12の車重を推定する。なお、本ステップ102によって推定された車重は、車両12に関する情報(例えば、車両12を格納する格納棚の番号や車両12の識別番号等)に関連付けて、記憶部42に車重情報として記憶される。
【0073】
次のステップ104では、記憶部42に記憶されているデシジョンテーブルから、ステップ102で推定した車重に応じたリフト搬送機14の加速度、減速度、及び最高速度を導出する。
【0074】
次のステップ106では、リフト搬送機14の移動距離からリフト搬送機14の運転速度の最大値を算出する。なお、リフト搬送機14の移動距離は、乗入階22から入庫対象の車両12を格納する予め指定された階までの距離である。すなわち、ステップ104で導出した加速度と移動距離とを乗算することによって、運転速度の最大値が算出される。
【0075】
次のステップ108では、ステップ106で算出した運転速度の最大値がステップ104で導出した最高速度よりも速いか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ110へ移行し、否定判定の場合は、ステップ112へ移行する。
【0076】
ステップ110では、ステップ104で導出した最高速度を用いて、加速されたリフト搬送機14の減速位置を算出し、ステップ114へ移行する。
なお、減速位置は、リフト搬送機14が車両12を格納する階へ到着するために、加速されたリフト搬送機14を減速させるための位置である。減速位置は、後述するように、リフト搬送機14の運転速度が最高速度に達した場合に、運転速度を最高速度で所定時間保つ時間も加味して算出される。
【0077】
ステップ112では、ステップ106で算出した運転速度の最大値をリフト搬送機14の最高速度に設定し、ステップ106で算出した運転速度の最大値を用いてリフト搬送機14の減速位置を算出し、ステップ114へ移行する。
【0078】
ステップ114では、リフト搬送機14の加速度、減速度、及び最高速度をモータ制御部38へ出力すると共に、高速指令に切り替え、入庫時速度導出処理を終了する。
【0079】
図4は、本第1の参考例に係る制御部40による制御に基づいた、入庫時におけるリフト搬送機14の速度パターンである。
【0080】
図4の近距離移動の速度パターンに示されるように、まず、制御部40からモータ制御部38へ低速指令が出力され、リフト搬送機14は低速で上昇される。このときに、制御部40は、入庫時速度導出処理を行う。
【0081】
そして、制御部40によって入庫時速度導出処理が行われた後に、高速指令がモータ制御部38へ出力されると、モータ制御部38は、制御部40から入力された加速度(最適加速度)でリフト搬送機14が上昇するように、昇降モータ36を制御する。
【0082】
リフト搬送機14の運転速度が制御部40から入力された最高速度に達した場合、モータ制御部38は、所定時間の間、リフト搬送機14の運転速度が最高速度で保たれるように、昇降モータ36を制御する。
【0083】
制御部40は、上記所定時間が経過し、パルスジェネレータ50から入力された現在位置情報に基づいてリフト搬送機14が減速位置に達したと判定したら、モータ制御部38へ低速指令を出力する。モータ制御部38は、低速指令が入力されると制御部40から入力された減速度(最適減速度)で減速しながらリフト搬送機14が上昇するように、昇降モータ36を制御する。
【0084】
このように、本第1の参考例に係る機械式駐車装置10は、リフト搬送機14の運転速度が最高速度に達した場合に、最高速度で所定時間保った後、リフト搬送機14を減速させるので、リフト搬送機14が加速から減速に至る過程において、急激な加速度の変化(トルク変化)を防止することができる。従って、急激な加速度変化の発生によるリフト搬送機14の運転速度のオーバーシュートが発生しないので、停止精度を確保するために、低速度の区間を大きくとる必要がなくなり、機械式駐車装置10は、リフト搬送機14の昇降時間を短縮することができる。
【0085】
そして、モータ制御部38は、停止精度を確保するために所定の低速度でリフト搬送機14が上昇するように昇降モータ36を制御する。その後、リフト搬送機14が停止する階に対応する停止用ドグによって、リフト搬送機14が検出されたら、制御部40は、モータ制御部38への低速指令をオフすることによって、ブレーキをかけさせ、リフト搬送機14を停止させる。
【0086】
なお、入庫時における遠距離移動の速度パターンも、上記近距離移動の速度パターンと同様である。
【0087】
次に、本第1の参考例に係る機械式駐車装置10において実行される、出庫時におけるリフト搬送機14に対する制御について説明する。
【0088】
図5は、本第1の参考例に係る制御部40で実行される、出庫時におけるリフト搬送機14の加速度、減速度、及び最高速度を導出する出庫時速度導出処理の流れを示すフローチャートである。出庫時速度導出処理は、記憶部42に記憶されている出庫速度導出プログラムが実行されることによって行われる。なお、本第1の参考例に係る機械式駐車装置10は、乗入階22が1階であり、乗入階22の上部に格納棚18が備えられているため、出庫時には車両12が載置されたリフト搬送機14が下降することとなる。
また、
図5における
図3と同一のステップについては
図3と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0089】
まず、ステップ200では、記憶部42に記憶されている車重情報から、出庫対象の車両12の車重を読み出す。
【0090】
次のステップ202では、ステップ200で読み出した車重に基づいて、該車重の車両12をリフト搬送機14に載置した場合に要する負荷トルク(以下、「トルクバイアス値」という。)を算出する。トルクバイアス値を車重から算出すためには、例えば、車重をトルクバイアス値に換算する換算比を予め記憶部42に記憶し、読み出した車重に該換算比を乗算することによって、トルクバイアス値を算出する。
【0091】
次のステップ204では、トルクバイアス値をモータ制御部38へ出力し、ステップ104へ移行する。
【0092】
図6は、昇降モータ36で発生させるトルクの時間変化を示したグラフである。
図6に示されるように、モータ制御部38は、リフト搬送機14を運転している間、トルクバイアスを加味した負荷トルクを発生するように昇降モータ36を制御する。
すなわち、本第1の参考例に係る昇降モータ36は、車重に基づいたトルクバイアスを発生した後に、車両12が載置されて停止しているリフト搬送機14を加速させる。これにより、昇降モータ36は、車重に耐える負荷トルクを予め発生させるため、リフト搬送機14は、昇降モータ36の起動時(車両12が載置されたリフト搬送機14の下降開始時)の衝撃が削減される。従って、本第1の参考例に係る機械式駐車装置10は、リフト搬送機14を下降させるときに生じる騒音を抑制すると共に、機械部品の寿命を長くすることができる。
【0093】
図7は、本第1の参考例に係る制御部40による制御に基づいた、出庫時におけるリフト搬送機14の速度パターンである。
【0094】
まず、制御部40によって出庫時速度導出処理が行われ、高速指令がモータ制御部38へ出力されると、モータ制御部38は、
図7の近距離移動の速度パターンに示されるように、制御部40から入力された加速度(最適加速度)でリフト搬送機14が下降するように、昇降モータ36を制御する。
【0095】
リフト搬送機14の運転速度が制御部40から入力された最高速度に達した場合、モータ制御部38は、所定時間の間、リフト搬送機14の運転速度が最高速度で保たれるように、昇降モータ36を制御する。
【0096】
制御部40は、上記所定時間が経過し、パルスジェネレータ50から入力された現在位置情報に基づいてリフト搬送機14が減速位置に達したと判定したら、モータ制御部38へ低速指令を出力する。モータ制御部38は、低速指令が入力されると制御部40から入力された減速度(最適減速度)で減速しながらリフト搬送機14が下降するように、昇降モータ36を制御する。
【0097】
そして、モータ制御部38は、停止精度を確保するために所定の低速度でリフト搬送機14が下降するように昇降モータ36を制御する。その後、乗入階22に対応する停止用ドグによって、リフト搬送機14が検出されたら、制御部40は、モータ制御部38への低速指令をオフすることによって、ブレーキをかけさせ、リフト搬送機14を停止させる。
【0098】
なお、出庫時における遠距離移動の速度パターンも、上記近距離移動の速度パターンと同様である。
【0099】
以上説明したように、本第1の参考例に係る機械式駐車装置10は、車重に適した加速度、減速度、及び最高速度に基づいてリフト搬送機14を昇降させる昇降モータ36を制御するので、昇降モータ36の性能を有効に活用することが可能となり、その結果、リフト搬送機14の昇降時間を短縮することができる。
【0100】
〔第2の参考例〕
以下、本発明の第2の参考例について説明する。
【0101】
なお、本第2の参考例に係る機械式駐車装置10及びリフト搬送機制御装置30の構成は、
図1,2に示す第1の参考例に係る機械式駐車装置10の構成と同様であるので説明を省略する。
【0102】
本第2の参考例に係る制御部40は、重量推定部48によって推定された車重に基づいて、リフト搬送機14を昇降させる加速度、減速度、及び最高速度と共に、加加速度及び減減速度を導出し、導出したこれらの値をモータ制御部38へ出力する。なお、加加速度及び減減速度の導出方法は、第1の参考例で説明した加速度及び減速度の導出方法と同様であるので、その説明を省略する。
そして、本第2の参考例に係るモータ制御部38は、制御部40によって導出された加速度及び加加速度(後述する
図8,9の例では、加速度、加加速度、及び減減速度)に基づいて、車両12が載置されて停止しているリフト搬送機14を加速させ、導出された最高速度に達した後、導出された減速度及び減減速度(後述する
図8,9の例では、減速度、減減速度、及び加加速度)に基づいて、リフト搬送機を減速させることで、予め指定された階にリフト搬送機を停止させるように昇降モータ36を制御(所謂、S字制御)する。
【0103】
図8は、本第2の参考例に係る制御部40による制御に基づいた、入庫時におけるリフト搬送機14の速度パターンである。
【0104】
図8の近距離移動の速度パターンに示されるように、まず、制御部40からモータ制御部38へ低速指令が出力され、リフト搬送機14は低速で上昇される。このときに、制御部40は、入庫時速度導出処理を行う。
【0105】
そして、制御部40によって入庫時速度導出処理が行われた後に、高速指令がモータ制御部38へ出力されると、モータ制御部38は、制御部40から入力された加速度(最適加速度)でリフト搬送機14が上昇するように、昇降モータ36を制御する。このとき、制御部40から入力された加加速度(最適加加速度)で、最適加速度に達するまで徐々に加速度を上昇させる。
【0106】
そして、本第2の参考例に係るモータ制御部38は、リフト搬送機14の運転速度が制御部40から入力された最高速度に達する前の所定速度において、制御部40から入力された減減速度(最適減減速度)で加速度を減少させ、リフト搬送機14の運転速度が最高速度に達すると共に、加速度が零(0)となるようにする。その後、モータ制御部38は、所定時間の間、リフト搬送機14の運転速度が最高速度で保たれるように、昇降モータ36を制御する。
【0107】
制御部40は、上記所定時間が経過し、パルスジェネレータ50から入力された現在位置情報に基づいてリフト搬送機14が減速位置に達したと判定したら、モータ制御部38へ低速指令を出力する。モータ制御部38は、低速指令が入力されると制御部40から入力された減減速度で、制御部40から入力された減速度(最適減速度)に達するまで減速し、最適減速度で減速しながらリフト搬送機14が上昇するように、昇降モータ36を制御する。
【0108】
そして、モータ制御部38は、停止精度を確保するために所定の低速度でリフト搬送機14が上昇するように昇降モータ36を制御する。リフト搬送機14の運転速度を上記低速度とする場合、モータ制御部38は、最適加加速度で加速させることによって、リフト搬送機14の加速度が零となるように、昇降モータ36を制御し、上記低速度とする。その後、制御部40は、リフト搬送機14が停止する階に対応する停止用ドグによって、リフト搬送機14が検出されたら、制御部40は、モータ制御部38への低速指令をオフすることによって、ブレーキをかけさせ、リフト搬送機14を停止させる。
【0109】
なお、入庫時における遠距離移動の速度パターンも、上記近距離移動の速度パターンと同様である。
【0110】
一方、
図9は、本第2の参考例に係る制御部40による制御に基づいた、出庫時におけるリフト搬送機14の速度パターンである。
【0111】
まず、制御部40によって出庫時速度導出処理が行われ、高速指令がモータ制御部38へ出力されると、
図9の近距離移動の速度パターンに示されるように、モータ制御部38は、制御部40から入力された加速度(最適加速度)でリフト搬送機14が下降するように、昇降モータ36を制御する。このとき、制御部40から入力された加加速度(最適加加速度)で、最適加速度に達するまで徐々に加速度を上昇させる。
【0112】
そして、本第2の参考例に係るモータ制御部38は、リフト搬送機14の運転速度が制御部40から入力された最高速度に達する前の所定速度において、制御部40から入力された減減速度(最適減減速度)で加速度を減少させ、リフト搬送機14の運転速度が最高速度に達した場合に、加速度が零(0)となるようにする。その後、モータ制御部38は、所定時間の間、リフト搬送機14の運転速度が最高速度で保たれるように、昇降モータ36を制御する。
【0113】
制御部40は、上記所定時間が経過し、パルスジェネレータ50から入力された現在位置情報に基づいてリフト搬送機14が減速位置に達したと判定したら、モータ制御部38へ低速指令を出力する。モータ制御部38は、低速指令が入力されると制御部40から入力された減減速度で、制御部40から入力された減速度(最適減速度)に達するまで減速し、最適減速度で減速しながらリフト搬送機14が下降するように、昇降モータ36を制御する。
【0114】
そして、モータ制御部38は、停止精度を確保するために所定の低速度でリフト搬送機14が下降するように昇降モータ36を制御する。リフト搬送機14の運転速度を上記低速度とする場合、モータ制御部38は、最適加加速度で加速させることによって、リフト搬送機14の加速度が零(0)となるように、昇降モータ36を制御し、上記低速度とする。その後、制御部40は、リフト搬送機14が乗入階22に対応する停止用ドグによって、リフト搬送機14が検出されたら、制御部40は、モータ制御部38への低速指令をオフすることによって、ブレーキをかけさせ、リフト搬送機14を停止させる。
【0115】
なお、出庫時における遠距離移動の速度パターンも、上記近距離移動の速度パターンと同様である。
【0116】
本第2の参考例に係る機械式駐車装置10によれば、リフト搬送機14の昇降においてS字制御を行うので、急激な加速度変化をより抑制することができ、リフト搬送機14等に加わる衝撃が抑制され、リフト搬送機14を昇降させるときに生じる騒音を抑制すると共に、機械部品の寿命を長くすることができる。
【0117】
〔第3の参考例〕
以下、本発明の第3の参考例について説明する。
【0118】
なお、本第3の参考例に係る機械式駐車装置10及びリフト搬送機制御装置30の構成は、
図1,2に示す第1の参考例に係る機械式駐車装置10の構成と同様であるので説明を省略する。
【0119】
本第3の参考例に係るモータ制御部38は、車両12の入庫の場合においても、車重に基づいたトルクバイアスを発生した後に、車両12が載置されて停止しているリフト搬送機14を加速させるように昇降モータ36を制御する。
図10は、本第3の参考例に係る入庫時速度導出処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図10における
図3と同一のステップについては
図3と同一の符号を付して、その説明を一部又は全部省略する。
【0120】
まず、ステップ100では、車両12が載置されたリフト搬送機14を所定距離だけ掬い上げる運転(以下、「掬い上げ運転」という。)を行う。
【0121】
次のステップ102では、掬い上げ運転においてモータ制御部38が昇降モータ36へ出力したトルク電流値から求められる昇降モータ36が発生させる負荷トルクから、車重を推定する。
【0122】
次のステップ300では、リフト搬送機14の運転を停止させる。
【0123】
次のステップ302では、車重からトルクバイアス値を算出する。
【0124】
次のステップ304では、トルクバイアス値をモータ制御部38へ出力し、リフト搬送機14の運転を再開させ、ステップ104へ移行する。
【0125】
モータ制御部38は、トルクバイアス値と共に、リフト搬送機14の運転の再開指令が入力されると、リフト搬送機14を運転している間、トルクバイアスを加味した負荷トルクを発生するように昇降モータ36を制御する。
【0126】
従って、本第3の参考例に係る機械式駐車装置10は、車両12が載置されたリフト搬送機14を上昇させ際の衝撃が削減されるので、リフト搬送機14を上昇させるときに生じる騒音を抑制すると共に、機械部品の寿命を長くすることができる。
【0127】
以上、本発明を、上記各参考例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記参考例に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各参考例に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0128】
例えば、上記各参考例では、昇降モータ36が発生させる負荷トルクに基づいて、車重を推定する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、車両12の入庫時において、車両12が載置されたパレット20を所定の基準位置から所定量上昇させる際に昇降モータに流れる電流値に基づいて、車重を推定する形態としてもよい。
具体的には、機械式駐車装置10は、
図11に示されるように、車両12を入出庫する乗入階に設けられ、車両12が載置されたパレット20を旋回させる旋回装置60を備える。そして、車両12の入庫時において、旋回装置60は、車両12が載置されたパレット20を格納棚18に格納する向きに旋回させる場合に、昇降モータ(不図示)によって所定の基準位置からパレット20とパレット20に載置される車両とを上昇させる。このとき制御部40は、昇降モータに流れる電流に基づいて、車両12の重量を推定する。
【0129】
また、上記各参考例では、機械式駐車装置10に初めて車両12を入庫する場合と出庫する場合の制御方法を例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、住居用の機械式駐車装置10において、所定の格納棚18に格納される車両12が予め決定されている場合には、記憶部42に記憶されている車重情報から該車両12の車重を読み出し、加速度、減速度、及び最高速度等の導出を行うこととしてもよい。
これにより、車両12の格納先の棚が決定されているような場合には、車重の推定を省略することができるので、速やかに車両12の入庫作業が行えることとなる。
【0130】
また、上記各参考例で説明した入庫時速度決定処理や出庫時速度決定処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0131】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
なお、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10の構成は、
図1に示す第1の参考例に係る機械式駐車装置10の構成と同様であるので説明を省略する。
機械式駐車装置10に設けられる複数の階は、高さ方向に複数の領域に分けられ、予め定められた重量以下の車両12を上方(上方階)の領域へ搬送し、予め定められた重量を超える車両12を下方(下方階)の領域へ搬送する。なお、本実施形態においては、予め定められた重量が、5つ設定されていることとし、領域を5つに分けた機械式駐車装置10を例に挙げて説明する。
本実施形態においては、契約を結んだ利用者が機械式駐車装置を直接操作し、また、操作する機械式駐車装置が予め決められているような場合を想定して説明する。
【0132】
図13は、本第1実施形態に係るリフト搬送機制御装置30の構成を示している。
リフト搬送機制御装置30は、前述の実施形態に記載の各部に加え、パレット決定部(パレット決定手段)61、データ管理部62、及び算出部63を備えている。
パレット決定部61は、車両を載せて搬送するパレット20のうち、車両12の載置されていないパレット20である空きパレットを、入庫させる車両12の重量が含まれる重量範囲に対応する領域から取り出す。重量範囲は、予め定められた重量によって区切られる重量の範囲であり、機械式駐車装置10を高さ方向に複数の領域に分けた場合の各領域に対応付けられる。また、機械式駐車装置10の比較的下方階の領域は重い重量範囲と対応付け、比較的上方階の領域は軽い重量範囲と対応づけることが望ましい。
【0133】
データ管理部62は、棚データ、ユーザデータ、及びグループ決定データの各種情報を格納している。以下に、データ管理部62に格納される各種情報について説明する。
グループ決定データには、機械式駐車装置10が重量によって区分けされる重量範囲と領域とが対応づけられている。例えば、
図14に示されるように、予め定められた重量が、2300Kg、1900Kg、1600Kg、1300Kg、及び1000Kgとした場合には、重量範囲1901Kgから2300Kgまでを領域Aとし、重量範囲1601Kgから1900Kgまでを領域Bとし、重量範囲1301Kgから1600Kgまでを領域Cとし、重量範囲1001Kgから1300Kgまでを領域Dとし、及び重量範囲1000Kg以下を領域Eとして対応づけられる。
【0134】
ユーザデータは、車両12の識別情報を示すユーザIDと、車両12の車重の情報とが対応づけられている。例えば、ユーザデータは
図15のように示される。また、ユーザデータの車重の情報は、第1の参考例から第3の参考例で説明したように、制御部40の重量推定部48により取得される推定した車両12の重量情報である。重量情報は、リフト搬送機制御装置30に取得されると、記憶部42に格納されるとともに、車両12の識別情報と対応づけられてユーザデータに格納されるようになっている。また、ユーザデータのユーザIDは、例えば、暗証番号、ICカード、リモコン等の情報であり、機械式駐車装置10を使用する場合に、ユーザ認証するキー(鍵)として使用される情報である。
【0135】
棚データには、重量範囲によって区分けされた領域と、機械式駐車装置10の各階とが対応付けられている。例えば、
図16に示されるように、15階建ての機械式駐車装置10を、
図14で示された領域Aから領域Eまでの5つの領域に分ける場合に、第1階から第3階を領域Aとし、第4階から第6階を領域Bとし、第7階から第9階を領域Cとし、第10階から第12階を領域Dとし、第13階から第15階を領域Eとして対応づけられる。ここで、本実施形態においては、機械式駐車装置10が15階建てであり、重量範囲を5つに分けている場合を例に挙げているが、機械式駐車装置の階数及び重量範囲の領域数は特に限定されない。また、重量範囲を区分けする予め定められた重量の値も、特に限定されない。
【0136】
また、棚データには、格納棚の識別情報と、各格納棚に対する車両12の在車状態(車両12が入庫しているか否か)を示す情報とが対応づけられている。これにより、棚データが参照されることにより、車両12が格納されている格納棚18が把握できるとともに、車両が載置されていないパレット20である空きパレットの有無が把握できる。また、在車状態を示す情報は、入出庫が行われ、格納棚の使用状況の変化にともなって書きかえられる(更新される)情報である。
【0137】
算出部63は、車両12の入出庫に必要とされるエネルギー量を提示する。具体的には、算出部63は、下方の階から空きパレットを検索し、選定された空きパレットに車両12を載置して搬送した場合に必要とされる第1エネルギー量Eaを算出し、パレット決定部によって選定された空きパレットに車両12を載置して搬送した場合に必要される第2エネルギー量Ebを算出し、第1エネルギー量Ea及び第2エネルギー量Ebを出力する。より具体的には、以下の(1),(2)式を用いて、必要なエネルギー量を算出し、数値等によって比較可能に提示する。
また、算出部63は、第1エネルギーEa、第2エネルギーEb、及び省エネ量(省エネルギー量;第1エネルギーEaと第2エネルギーEbとの差分)等の省エネ化データをデータ管理部62に格納させる。
【0138】
第1エネルギー量Ea=地上から空きパレットのある階までの高さh1〔m〕×計測した車重〔kg〕×重力加速度〔9.8m/s
2〕 (1)
第2エネルギー量Eb=地上から空きパレットのある階までの高さh2〔m〕×計測した車重〔kg〕×重力加速度〔9.8m/s
2〕 (2)
省エネ量=(第1エネルギーEa)−(第2エネルギー量Eb) (3)
【0139】
ここで、上記高さh1は、機械式駐車装置の下段から順に空きパレットを検索して求め、空きパレットがある階(位置)を示す高さである。高さh2は、本発明に係る方法により車重を考慮して割り当てられた各領域で順次空きパレットを検索し、空きパレットがある階(位置)を示す高さである。即ち、高さh1と高さh2とは、高さ決定の方法が異なることを示している。
【0140】
以下に、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10において実行される、入庫時におけるリフト搬送機14に対する制御について説明する。
図17は、本第1実施形態に係るリフト搬送機制御装置30で実行される、入庫時におけるパレット20の取り出し処理の流れを示すフローチャートである。
入庫する車両12が乗入階22に配置され、ユーザによって操作盤32を介してユーザIDが入力されると、データ管理部62のユーザデータが検索され、入庫する車両12の識別情報(ユーザID)に対応する車重データの有無が判定される(ステップSA1)。
【0141】
入庫する車両12の車重データがない場合には、下方階(例えば、1階から15階の機械式駐車装置である場合には、1階)から順に、空きパレットが検索される(ステップSA2)。空きパレットの有無が判定され、空きパレットがある場合には(ステップSA3のYes)、その空きパレットが、車両12を入庫させるパレット20として決定され(ステップSA4)、初回入庫を完了する。また、空きパレットがない場合には、検索した下方階の1つ上の階に対して空きパレットを検索するように、下方階から上方階に向けて順に空きパレットの有無の検索が繰り返される(ステップSA3のNo)。
【0142】
また、入庫させる車両12の識別情報に対応する車重データがある場合には、グループ決定データが検索され、入庫させる車両12の車重データが含まれる車重範囲に対応する領域の情報が読み出される(ステップSA5)。読み出された領域の情報に基づいて、機械式駐車装置10において、該当領域に空きパレットがあるか否かが判定される(ステップSA6)。空きパレットがある場合には、該当領域の空きパレットが、車両12を入庫させるパレット20として決定され(ステップSA7)、本処理を終了する。空きパレットがない場合には、次の重量範囲に対応する領域の情報が読みだされ(ステップSA8)、次の重量範囲に対応する領域における、空きパレット有無の判定が、空きパレットが見つかるまで繰り返される。
【0143】
また、空きパレットの検索対象である「次の重量範囲」とは、検索対象範囲となっている重量範囲よりも「1つ軽い重量範囲」とし、「1つ軽い重量範囲」に空きパレットがない場合には、「さらに1つ軽い重量範囲」を空きパレットの検索領域として選定する。また、このように、順に軽い重量範囲を検索対象としても空きパレットがない場合には、元の重量範囲より「1つ重い重量範囲」を空きパレットの検索領域とし、「1つ重い重量範囲」に空きパレットが無い場合には、「さらに1つ重い重量範囲」を空きパレットの検索領域として選定する。このように、入庫する車両12の重量が含まれる重量範囲に空きパレットがない場合には、軽い重量範囲を優先的に検索させて空きパレットを検索することにより、重い重量範囲に対応する駐車領域の空き状態を確保して、一時的に軽い重量範囲に車両12を格納させることで、重量の重い範囲を有効活用することができる。
【0144】
空きパレットを取り出す重量範囲が決定されると、該当する重量範囲から空きパレットが取り出され、取り出された空きパレットに車両12が載置され、さらに、空きパレットを取り出した格納棚18に車両12を載置したパレット20が格納される。
また、取り出す空きパレットの選定後、車両12が格納棚18に格納されるまでの過程においては、第1の参考例から第3の参考例に上述した方法により、車両12の重量が推定され、推定された重量に基づいて速度調整等が行われる。
【0145】
次に、算出部63によってエネルギーの情報が算出され、提示される過程について、
図18のフローチャートを示して説明する。
まず、入庫させる車両がある場合に、従来方式の機械式駐車装置に入庫させた場合に必要となるエネルギー量Eaを算出する。従来方式の機械式駐車装置によって車両が入庫される場合には、機械式駐車装置の現在の格納台数に基づいて、入庫可能な空きパレットが配置されている格納棚が検索され、機械式駐車装置の下段から数えた場合の段数が参照される(ステップSB1)。車両の入庫に使用する空きパレットの配置位置(下段からの段数)が決まったら、その位置に車両を入庫させる場合に必要となる第1エネルギー量Eaが算出される(ステップSB2)。
【0146】
一方、上述した本実施形態にかかるパレット決定部61により入庫パレットが検索されて空きパレットを決定した場合の、空きパレットが配置されている格納棚が検索され、段数が参照される(ステップSB3)。車両の入庫に使用する空きパレットの配置位置が決まったら、その位置に車両を入庫させる場合に必要となる第2エネルギーEbが算出される(ステップSB4)。続いて、上記(3)式に基づいて、第1エネルギー量Eaと第2エネルギー量Ebとの差を算出し、省エネ量が算出される(ステップSB5)。
【0147】
省エネルギー量、第1エネルギー量、及び第2エネルギー量の情報が算出されると、これら算出結果は、操作盤32に画面表示して機械式駐車装置10のオーナーに対し数値で提示させたり、外部の出力装置等を介して視覚的に提示させたり(例えば、CO
2換算値等で示す)、印刷装置等を介して紙製のレポートに出力させる等の方法によって提示される(ステップSB6)。
【0148】
以上説明してきたように、本第1実施形態にかかるリフト搬送機制御装置10によれば、重い重量範囲に含まれる車両12の入庫の場合には比較的下方の領域に搬送され、軽い重量範囲に含まれる車両は比較的上方の領域に搬送されるので、入庫運転時のエネルギーが最小化され、省エネルギーとなり、待ち時間を短縮できる。また、本発明のリフト搬送機制御装置10のパレット決定部61は、入庫させる車両12の重量が含まれる重量範囲に空きパレットがない場合には、車両12の重量が含まれる重量範囲より1つ軽い重量範囲に対応する領域から空きパレットを取り出すことにより、軽い重量範囲の領域に一時的に車両を退避させ、重い重量範囲の領域の空きを確保(つまり、重い重量範囲の車両12が入庫できる領域を確保)できる。これにより、後から重い重量の車両12が入庫され、軽い重量範囲の領域しか空いていないため重い車両12が上方へ搬送されてしまう場合と比較すると、重い重量範囲の領域を有効活用でき、入庫時に使用するエネルギーも最小化できる。
【0149】
また、利用者に対し、従来の方法である下方階から空きパレットを取り出し、搬送した場合に必要となる第1エネルギー量Eaと、本発明のパレット決定部61を使用して空きパレットを取り出し、搬送した場合の第2エネルギー量Ebとを比較することにより、省エネルギーの効果を定量的に、かつ、視覚的に訴えることができる。また、提示には、例えば、操作盤32に数値やイラストで省エネ化データを表示させることにより、リアルタイムに省エネルギーの効果をアピールすることもできるし、紙のレポートで定期的に出力させ、記録として残す等もできるので、省エネルギーの結果を様々な角度から把握することができる。
【0150】
なお、グループ決定データは、所定間隔において、車重情報を重量順に並び替え(ソーティング)して、並び替えられた重量情報に基づいて、重量範囲が見直され、変更されることとしてもよい。
このように、所定間隔で重量の分布に応じて車重範囲が見直されることにより、実際に格納される車両の重量の分布に適合させることができる。これにより、車重に対応する適切な領域から空きパレットが取り出され、搬送されるので、機械式駐車装置10の搬送制御が高性能となる。
【0151】
また、データ管理部62に格納される棚データ、ユーザデータ、グループ決定データ等の運用データの情報、及び車重情報をソーティングする車重分布の解析等は点検用端末等を介して保守作業されることにしてもよい。また、保守作業は、保守員が機械式駐車装置10が備えられている現地に出向き、機械式駐車装置10と点検用端末とを直接接続して行われることとしてもよいし、機械式駐車装置10とは物理的に離れた遠隔地に設けられる点検用端末をネットワーク等で通信可能に接続しておき、保守員がネットワークを介して遠隔地から行うこととしてもよい。
以上、本発明を、データ管理部62に格納される棚データ、ユーザデータ、グループ決定データの3つを用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記3つのデータには限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記データに多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0152】
〔第1実施形態の変形例〕
また、リフト搬送機制御装置30は、車両12の種類毎に車重範囲をそれぞれ設定することとしてもよい。車両の種類(例えば、ハイルーフ車、普通車等)によって車重範囲が適切に区分けされる場合において、
図19に示されるように、グループ決定データは、ハイルーフ車の各重量範囲(一覧表の網掛け部)に応じて領域Aから領域Dとし、普通車の各重量範囲(一覧表の白抜き部)に応じて領域Eから領域Hとする。また、これらの領域Aから領域Hの格納棚の割り当ては、車両12の種類毎に車重範囲を偏らせるのでなく、例えば、
図20に示されるように、2つの領域毎に車種を交互に割り当てることにより、車両12の車種が異なっていても、平等に適切な領域が割り当てられることとなる。これにより、車種によって待ち時間が異なる事態を防ぐことができる。
【0153】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、本第2実施形態に係る機械式駐車装置10の構成は、
図1に示す第1の参考例に係る機械式駐車装置10の構成と同様であり、リフト搬送機制御装置30の構成は、
図13に示す第1実施形態にかかる機械式駐車装置10の構成と同様である。ここでは、上述した実施形態と異なる点について主に説明する。本第2実施形態においては、車両の入出庫回数を考慮して、取り出す空きパレットを選定し、入庫位置が決定される点で上記と異なる。
【0154】
リフト搬送機制御装置30は、第1実施形態の構成に加え、回数計数部(図示せず)を備えている。回数計数部は、各車両が入出庫された回数を計数しており、計数された入出庫回数の情報と車両の識別情報とを対応づけ、ユーザデータとして格納させる。
ユーザデータは、車両12の識別情報を示すユーザID、車両12の車重の情報、車両の入出庫回数の情報、及び補正重量が対応づけられている(例えば、
図21参照)。ユーザデータとして格納される車両12の車重の情報は、上述した第1の参考例から第3の参考例で説明したように、制御部40の重量推定部48により取得される推定した車両12の重量情報である。
【0155】
グループ決定データは、暫定的な補正重量(例えば、2500)に対し、頻度の重みづけを示す倍率(例えば、2.0倍、0.6倍など)を乗算することにより算出される補正重量範囲(重量範囲)と、領域とを対応づける(
図22参照)。なお、グループ決定データに格納されるデータが増えてきた場合(即ち、各車両の入出庫回数の計数が上がり、ある程度の分布が把握できるようなった場合)には、以下のように補正重量を所定の計算式に基づいて算出し、グループ決定データの補正重量範囲となる閾値を見直し、変更することが好ましい。
なお、頻度の重みづけを示す倍率は、固定値が設定されていることとしてもよいし、保守員等が外部から入力することにより、状況に応じて設定変更できるようにしてもよい。
【0156】
補正重量の閾値を見直す方法について説明する。算出される補正重量は、下記(4)式で示されるように、所定期間内において車両12が入出庫された回数と、全ての車両12の平均入出庫回数とに基づいて算出される。
補正重量=計測重量〔Kg〕×入出庫回数/全車両の平均入出庫回数 (4)
上記(4)式から示されるように、補正重量は、例えば、計測重量が同じであって、入出庫回数が少ない場合には値が小さくなり、入出庫回数が大きい場合には値が大きくなるように設定される。
このように、車両の入出庫頻度を考慮した補正重量によって車重範囲を見直すことにより、頻度に適した最適な空きパレットの選定ができる。
【0157】
以下に、本第2実施形態に係る機械式駐車装置10において実行される、入庫時におけるリフト搬送機14に対する制御について説明する。
図23は、本第2実施形態に係るリフト搬送機制御装置で実行される、入庫時におけるパレット20の取り出し処理の流れを示すフローチャートである。
入庫する車両12が乗入階22に配置され、ユーザによって操作盤を介してユーザIDが入力されると、データ管理部62のユーザデータが検索され、入庫する車両12の識別情報(ユーザID)に対応する補正重量の情報の有無が判定される(ステップSC1)。
【0158】
入庫する車両12の補正重量の情報がない場合には、下方階(例えば、1階から15階の機械式駐車装置である場合には、1階)から順に、空きパレットが検索される(ステップSC2)。空きパレットの有無が判定され、空きパレットがある場合には(ステップSC3のYes)、その空きパレットが、車両12を入庫させるパレットとして決定され(ステップSC4)、回数係数部によって入庫回数が1インクリメントされて、初回入庫を完了する。また、空きパレットがない場合には、検索した下方階の1つ上の階に対して空きパレットを検索するように、下方階から上方階に向けて順に空きパレットの有無の検索が繰り返される(ステップSC3のNo)。
【0159】
また、入庫させる車両12の識別情報に対応する補正重量の情報がある場合には、グループ決定データが検索され、入庫させる車両12に対応する、補正重量が含まれる補正重量範囲(
図22に示される各領域に対応づけられた重量範囲)に対応する領域の情報が読み出される(ステップSC5)。読みだされた領域の情報に基づいて、機械式駐車装置10において、該当領域に空きパレットがあるか否かが判定される(ステップSC6)。空きパレットがある場合には、該当領域の空きパレットを車両12を入庫させるパレットに決定し、回数計数部によって入庫回数が1インクリメントされて、本処理を終了する(ステップSC7)。
【0160】
空きパレットがない場合には、次の補正重量範囲に対応する領域の情報が読みだされ(ステップSC8)、次の補正重量範囲に対応する領域における、空きパレットの有無を判定し、空きパレットが見つかるまで繰り返される。
ここで、「次の補正重量範囲」とは、検索対象範囲となっている補正重量範囲よりも「1つ小さい補正重量範囲」を空きパレットの検索対象領域とし、「1つ小さい補正重量範囲」に空きパレットがない場合には、「さらに1つ小さい補正重量範囲」を空きパレットの検索対象領域として選定する。また、このように、順に小さい補正重量範囲を検索対象としても空きパレットがない場合には、元の補正重量範囲より「1つ大きい補正重量範囲」を空きパレットの検索領域とし、「1つ大きい補正重量範囲」に空きパレットが無い場合には、「さらに1つ大きい補正重量範囲」を空きパレットの検索領域として選定する。
【0161】
また、取り出す空きパレットの選定後、車両12が格納棚18に格納されるまでの過程においては、第1の参考例から第3の参考例に上述した方法により、車両12の重量が推定され、推定された重量に基づいて速度調整等が行われる。
【0162】
このように、入庫する車両12の補正重量が含まれる補正重量範囲に空きパレットがない場合には、小さい補正重量範囲(即ち、入出庫頻度は少なく重量は軽い車両)に対応する領域を優先的に空きパレットを検索することにより、大きい補正重量範囲(即ち、入出庫頻度は多く重量は重い車両)に対応する駐車領域の空き状態を確保して補正重量範囲の大きい範囲を有効活用し、また、一時的に小さい補正重量範囲に車両12を格納させることで、車重の並び替えしやすい状態を作る。
【0163】
以上説明してきたように、本第2実施形態にかかるリフト搬送機制御装置10によれば、車両の入出庫頻度と車重とを加味する補正重量に基づいて入庫位置が決定されるので、省エネルギー運転となる。また、補正重量によって車重範囲の見直しを行うので、頻度と車重とに最適な空きパレットの選定ができる。
【0164】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
なお、本第3実施形態に係る機械式駐車装置10の構成は、
図1に示す第1の参考例に係る機械式駐車装置10の構成と同様であり、リフト搬送機制御装置30の構成は、
図13に示す第1実施形態にかかる機械式駐車装置10の構成と同様である。ここでは、上述した実施形態と異なる点について主に説明する。上記実施形態においては、契約した利用者が使用する機械式駐車装置が予め決められていることを想定し、車両12の識別情報としてユーザIDを利用する場合を例に挙げて説明していたが、本第3実施形態においては、ユーザが決まっておらず、識別情報として車両の固有番号を使用する点で上記と異なる。また、本実施形態においては、時間貸し機械式駐車装置に適用する場合を例に挙げて説明することとする。
【0165】
ユーザデータは、識別情報として取得した各車両の固有番号を、車重の情報と対応づけて格納している。車両の固有番号とは、車両番号標(ナンバープレート)に記載されている番号であり、例えば、車両の入出庫待機位置に予め配置したカメラ等の撮像装置によって撮像処理することにより得ることができる。これにより、入出庫が行われる車両の識別情報を簡便に取得でき、ユーザデータに番号情報として格納できる。
【0166】
車両12を入庫させる場合には、カメラ等の撮像処理によって入庫させる車両12の固有番号が取得されると、過去に入出庫させた車両12の固有番号と車両12の重量とが対応付けられたユーザデータが参照され、過去に入出庫したことのある車両か否かが判定される。ユーザデータにおいて、固有番号に対応する車両の重量の情報がある場合には、固有番号に対応する車両12の重量を含む重量範囲に対応する領域から空きパレットを取り出す。
【0167】
また、取り出す空きパレットの選定後、車両12が格納棚18に格納されるまでの過程においては、第1の参考例から第3の参考例に上述した方法により、車両12の重量が推定され、推定された重量に基づいて速度調整等が行われる。
【0168】
このように、過去に入出庫させた車両の固有番号と重量とが対応付けられることにより、時間貸しで運営する機械式駐車装置であっても、複数回利用している利用者は、固有番号から重量を推定できるので、省エネルギーを考慮した位置からパレットを取り出し搬送させる運用ができる。
【0169】
また、時間貸し機械式駐車装置の場合には、例えば、平日はオフィス用の普通車が多く、土日祝日はファミリー用のボックス車等の普通車と比較して重い重量の車両が多くなることが考えられるので、データ決定テーブルで区分けする重量範囲は、曜日や繁盛期(年末年始やイベント時期など)に応じて変更することが好ましい。これにより、車重に適した最適なパレットの選定が可能となる。
【0170】
〔第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態について説明する。
なお、本第4実施形態に係る機械式駐車装置10の構成は、
図1に示す第1の参考例に係る機械式駐車装置10の構成と同様であるので説明を省略する。また、本第4実施形態においては、
図24に示されるような、複数の機械式駐車装置10を有する機械式駐車システム100であって、複数の機械式駐車装置間で入出庫させる車両と車重とのユーザデータを共有している点で、上述した実施形態と異なる。本実施形態においては、マンション等において、契約ユーザが利用可能な機械式駐車装置が複数あるような場合を想定して説明する。また、機械式駐車システム100には機械式駐車装置10が3機、備えられている場合を例に挙げて説明するが、機械式駐車装置の個数は特に限定されない。
【0171】
機械式駐車システム100は、3機の機械式駐車装置10a、10b、10c及び監視部6を備えている。機械式駐車装置10a、10b、10cと監視部6は、通信可能に接続されており、情報が授受されるようになっている。
監視部6は、上述の実施形態で記載したデータ管理部を備えており、データ管理部に格納されている入庫車両と該車両の重量とを対応づけた情報であるユーザデータを参照し、車両12を入庫させる機械式駐車装置を選定する。データ管理部は、全ての機械式駐車装置10a、10b、10c間で、共通のユーザデータを有している。
【0172】
ここで、機械式駐車システムにおいて、車両を入出庫させる機械式駐車装置を選定するのに使用される運転モードについて説明する。機械式駐車装置は、入出庫モード、待機モード、省エネモード、及び終了モード等の運転モードが切り替えられて、運転されている。
入出庫モードは、車両を格納棚から入出庫させる運転モードであり、各種機器に電力が供給されている状態である。待機モードは、車両の入出庫がなされた後、入出庫モードにおいて消費される電力を所定量低減して運転する運転モードである。省エネモードは、待機モードになったタイミングから所定時間経過後に、待機モードにおいて消費される電力から、さらに所定量電力を低減して運転する。終了モードは、機械式駐車装置1に電力が供給されていない状態であり、各種機器に電力が供給されていない状態である。本実施形態においては、空きパレットがあり車両12を入庫させることのできる機械式駐車装置が、入庫車両を受け入れる優先順位は順に、待機モード、入出庫モード、省エネモードとする。これにより、効率良く運転させ、消費エネルギーの無駄をなくす。
【0173】
機械式駐車システムにおいて、入庫させる車両がある場合には、ユーザが操作盤を介してユーザID等を入力すると、監視部6のデータ管理部はユーザデータを参照し、ユーザIDに対応する車重情報の有無が判定される。ユーザデータにおいて、入庫する車両12の車重データがない場合には、各機械式駐車装置の運転モードが比較されて入庫の優先順位の高い運転モードの機械式駐車装置が、入庫を受け入れる機械式駐車装置10として選定される。運転モードで機械式駐車装置10を選定できない場合には、空き棚の大きい機械式駐車装置10が選定され、選定された機械式駐車装置10の下方階(例えば、1階から15階の機械式駐車装置である場合には、1階)から順に、空きパレットが検索される。空きパレットの有無が判定され、空きパレットがある場合には、その空きパレットが、車両12を入庫させるパレットとして決定され、初回入庫を完了する。
【0174】
ユーザデータにおいて、入庫させる車両12の識別情報に対応する車重データがある場合には、グループ決定データが検索され、入庫させる車両12の車重データが含まれる車重範囲に対応する領域の情報が読み出される。続いて、各機械式駐車装置に対し、その読み出された車重範囲に対応する領域の空き棚の有無が判定される。空き棚がある機械式駐車装置10が1機である場合には、空き棚のある機械式駐車装置が入庫に使用される装置として選定される。空き棚がある機械式駐車装置10が複数ある場合には、次のように選定を行う。
【0175】
複数の機械式駐車装置10のうち、該当領域の空きパレットを有する号機が複数見つかった場合には、それぞれの運転モードを比較し、運転モードに基づいて、入庫に使用する機械式駐車装置10を決定する。また、運転モードによっても選定できる機械式駐車装置10がない場合には、格納棚に車両が入庫されていない状態を比較、即ち、空き棚数を比較し、空き棚数が多い機械式駐車装置10が選定される。このようにして、入庫させる機械式駐車装置10が選定されると、選定された機械式駐車装置10の所望の領域から空きパレットが取り出され、本処理を終了する。
【0176】
また、取り出す空きパレットの選定後、車両12が格納棚18に格納されるまでの過程においては、第1の参考例から第3の参考例に上述した方法により、車両12の重量が推定され、推定された重量に基づいて速度調整等が行われる。
【0177】
以上説明してきたように、本第4実施形態に係る機械式駐車システム100においては、複数の機械式駐車装置間において、車両と車両の重量とを対応付けたユーザデータを共有することにより、車重や入出庫頻度に適した機械式駐車装置10を選定することができ、機械式駐車システム全体として、ユーザの入出庫待ち時間が短縮する。また、機械式駐車システムの省エネルギーとなる。これにより、環境に優しい機械式駐車システム100を提供することができる。