特許第5774097号(P5774097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュランの特許一覧 ▶ ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニムの特許一覧

<>
  • 特許5774097-改良型ビードを備えたタイヤ 図000002
  • 特許5774097-改良型ビードを備えたタイヤ 図000003
  • 特許5774097-改良型ビードを備えたタイヤ 図000004
  • 特許5774097-改良型ビードを備えたタイヤ 図000005
  • 特許5774097-改良型ビードを備えたタイヤ 図000006
  • 特許5774097-改良型ビードを備えたタイヤ 図000007
  • 特許5774097-改良型ビードを備えたタイヤ 図000008
  • 特許5774097-改良型ビードを備えたタイヤ 図000009
  • 特許5774097-改良型ビードを備えたタイヤ 図000010
  • 特許5774097-改良型ビードを備えたタイヤ 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774097
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】改良型ビードを備えたタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20150813BHJP
   B60C 15/06 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   B60C13/00 G
   B60C15/06 B
   B60C15/06 E
   B60C15/06 C
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-514663(P2013-514663)
(86)(22)【出願日】2011年6月10日
(65)【公表番号】特表2013-532092(P2013-532092A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】EP2011059730
(87)【国際公開番号】WO2011157661
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2014年5月12日
(31)【優先権主張番号】61/387,385
(32)【優先日】2010年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1054722
(32)【優先日】2010年6月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512068547
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ブルノー フランソワ−グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ブルジョワ フレデリック
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−182021(JP,A)
【文献】 特開2000−198326(JP,A)
【文献】 特開2000−185531(JP,A)
【文献】 特開平11−034621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00
B60C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤであって、
取り付けリム(5)と接触関係をなすよう設計されている2つのビード(50)を有し、各ビードは、少なくとも1つの環状補強構造体(70)を有し、
前記ビードの半径方向外方に向かう延長部としての2つのサイドウォール(40)を有し、前記2つのサイドウォールは、トレッド(30)を載せたクラウン補強材(80,90,100)を含むクラウン(25)に合体し、
前記ビードから前記サイドウォールを通って前記クラウンまで延びる単一のカーカス補強材(60)を有し、前記カーカス補強材は、複数本のカーカス補強要素(61)を含み、前記カーカス補強材は、各ビード内に主要部分(61)及び巻き上げ部分(62)を形成するように前記環状補強構造体周りの上曲がり部によって前記2つのビード内に繋留され、各巻き上げ部分は、前記ビードの前記環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所(71)から半径方向距離DECのところに位置する端(63)まで半径方向外側に延び、前記半径方向距離DECは、前記タイヤの半径方向高さHの5%以上且つ前記タイヤの半径方向高さHの85%以下であり、
各ビードは、ゴム配合物で作られたビードフィラー(120)を有し、前記ビードフィラーは、大部分が前記環状補強構造体の半径方向外側に配置され、少なくとも一部が前記カーカス補強材の前記主要部分と前記巻き上げ部分との間に配置され、前記ビードフィラーは、前記ビードフィラーの半径方向外端(121)まで半径方向に延び、前記ビードフィラーの前記半径方向外端は、前記ビードの前記環状補強構造体の前記半径方向最も内側の箇所(71)から半径方向距離DEE1のところに位置し、前記半径方向距離DEE1は、前記タイヤの半径方向高さHの30%以上且つ50%以下であり、
各ビードは、ゴム配合物で作られた外側ストリップ(130)を有し、前記外側ストリップは、前記カーカス補強材の前記巻き上げ部分の軸方向外側に配置され、前記外側ストリップは、前記外側ストリップの半径方向内端(132)と前記外側ストリップの半径方向外端(131)との間に延び、前記外側ストリップの前記半径方向内端は、前記ビードの前記環状補強構造体の前記半径方向最も内側の箇所から半径方向距離DEI2のところに位置し、前記半径方向距離DEI2は、前記タイヤの半径方向高さHの1%以上且つ5%以下であり、前記外側ストリップの前記半径方向外端は、前記ビードの前記環状補強構造体の前記半径方向最も内側の箇所から半径方向距離DEE2のところに位置し、前記半径方向距離DEE2は、前記タイヤの半径方向高さHの30%以上且つ50%以下であり、
前記ビードフィラーは、厚さE(r)を有し、この厚さは、前記カーカス補強材の前記主要部分に垂直な方向(150)と前記ビードフィラーとの交線の長さに一致し、rは、前記カーカス補強材の前記主要部分に垂直な前記方向と前記カーカス補強材との交点(65)を前記環状補強構造体の前記半径方向最も内側の箇所から隔てる距離を意味し、
前記ビードフィラーと前記外側ストリップで形成された組立体は、厚さET(r)を有し、この厚さは、前記カーカス補強材の前記主要部分に垂直な方向(150)と前記組立体との交線の長さに一致し、rは、前記カーカス補強材の前記主要部分に垂直な前記方向と前記カーカス補強材との交点(65)を前記環状補強構造体の前記半径方向最も内側の箇所から隔てる距離を意味し、
前記カーカス補強材の前記主要部分に垂直な前記方向と、前記環状補強構造体の前記半径方向最も内側の箇所からの半径方向距離が前記タイヤの半径方向高さHの10%以上且つ35%以下である前記カーカス補強材との交点(65)の全てに関し、比E(r)/ET(r)は、0.3以上且つ0.5以下である、タイヤ。
【請求項2】
前記半径方向距離DECは、前記タイヤの半径方向高さHの5%以上であり且つ前記タイヤの半径方向高さHの20%以下である、請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記半径方向距離DEE2は、前記タイヤの半径方向高さHの35%以上且つ45%以下である、請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項4】
前記半径方向距離DEE1は、前記タイヤの半径方向高さHの35%以上且つ45%以下である、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記半径方向距離DEE2は、前記半径方向距離DEE1よりも長い、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項6】
任意の半径方向断面で見て、前記ビードフィラーは、面積S1の断面を有し、前記外側ストリップは、面積S2の断面を有し、比S1/(S1+S2)は、0.4以上且つ0.6以下である、請求項1〜5のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記比S1/(S1+S2)は、0.4以上且つ0.45以下である、請求項6記載のタイヤ。
【請求項8】
前記カーカス補強材(60)の前記主要部分(61)に垂直な前記方向(150)と、前記環状補強構造体(70)の前記半径方向最も内側の箇所(71)からの半径方向距離rが前記タイヤの半径方向高さHの10%以上且つ35%以下である前記カーカス補強材との交点(65)の全てに関し、比E(r)/ET(r)は、0.35以上且つ0.5以下である、請求項1〜7のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードインデックス(load index)が100を超える乗用車用タイヤ、例えば4×4車両及びバンに用いられるタイヤの大部分に関する。本発明は、特に、これらタイヤのビードに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのロードインデックスは、タイヤが取り付けリムに取り付けられてその使用圧力までインフレートされたときに支持することができる最大荷重を定量化するための当業者に周知のパラメータである。ロードインデックス100は、800kgの最大荷重に対応している。
【0003】
タイヤのビードとサイドウォールの半径方向内側部分で形成される組立体は、構造がタイヤの耐久性に対して極めて著しい影響を及ぼすタイヤのコンポーネントのうちの1つである。この組立体は、多くの役割を果たす。例えば、この組立体は、カーカス補強材の張力を吸収し、タイヤの受ける荷重をサイドウォールからリムに伝達する。したがって、この組立体は、タイヤのクラウンをリムから案内する。この組立体がタイヤの路面保持に対して及ぼす影響は、特にタイヤが重い負荷を受けた状態にあるときに相当大きい。高いロードインデックスの乗用車用タイヤの場合、これら機能の全ては、通常、二重カーカス補強材(ビードワイヤ及びビードワイヤ周りのこの二重カーカス補強材の上曲り部を含む)とゴム配合物で作られた「ビードフィラー」を組み合わせることによって実行される。特にクラウンを案内するために達成されるべき剛性と予想される耐久性との間に見出される妥協の結果として、二重カーカス補強材が或る特定の経路を辿らなければならず、しかも、嵩張っていて(背が高く且つ/或いは厚く)且つ剛性のビードフィラーが使用される。この幾何学的形状のマイナス面は、製造プロセスが複雑であること及びタイヤがコスト高になることである。ビードフィラーの補剛作用は、特にビードから距離を置いた領域に適用され、従って、ますます嵩張ったビードフィラーを必要とし、その結果複雑な製造プロセスを必要とする。
【0004】
製造プロセスの複雑さ及びタイヤのコストを減少させる必要性により、製造業者は、たとえ高いロードインデックスのタイヤについても単一のカーカス補強材を用いることを望むようになっている。したがって、比較的低い転がり抵抗を維持する必要性により、ビード中に剛性の低いゴム配合物を用いることが要求されている。この場合、これらゴム配合物の低い剛性は、場合によってはそれ自体厚い外側ストリップと組み合わせた比較的厚いビードフィラーを用いることによって補償される。かかる外側ストリップは、リールに巻き付けた半完成品としてタイヤ製造中に供給される。しかしながら、ストリップが厚ければ厚いほど、所与の直径のリールに巻き付けることができるストリップの長さがそれだけ一層短くなり、しかも所与の本数のタイヤの製造に関して交換しなければならないリールの頻度がそれだけ一層増す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その結果、これら半完成品の使用により、製造上の問題が生じている。というのは、かかる使用により、これら半完成品を供給するリールを頻繁に交換しなければならず、これは、生産性を損ねる。
【0006】
本発明の一目的は、タイヤの性能を維持したうえでビードフィラー及びこれと関連した外側ストリップの厚さを分散させる聡明な仕方を提供することにある。
本発明の別の目的は、たった1つのカーカス補強材しか備えていないにもかかわらず高いロードインデックス及び満足の行く耐久性を有し、それと同時に製造生産性の向上を可能にするタイヤを提供することにある。
【0007】
これら目的は、ビード中におけるゴム配合物の厚さの分散を最適化することによって達成できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、タイヤであって、
取り付けリムと接触関係をなすよう設計されている2つのビードを有し、各ビードは、少なくとも1つの環状補強構造体を有し、
ビードの半径方向外方に向かう延長部としての2つのサイドウォールを有し、2つのサイドウォールは、トレッドを載せたクラウン補強材を含むクラウンに合体し、
ビードからサイドウォールを通ってクラウンまで延びる単一のカーカス補強材を有し、カーカス補強材は、複数本のカーカス補強要素を含み、カーカス補強材は、各ビード内に主要部分及び巻き上げ部分を形成するように環状補強構造体周りの上曲がり部によって2つのビード内に繋留され、各巻き上げ部分は、ビードの環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所から半径方向距離DECのところに位置する端まで半径方向外側に延び、半径方向距離DECは、タイヤの半径方向高さHの5%以上且つタイヤの半径方向高さHの85%以下(好ましくは、20%以下)であることを特徴とするタイヤによって達成される。
【0009】
このタイヤの各ビードは、ゴム配合物で作られたビードフィラーを有し、ビードフィラーは、大部分が環状補強構造体の半径方向外側に配置され、少なくとも一部がカーカス補強材の主要部分と巻き上げ部分との間に配置され、ビードフィラーは、ビードフィラーの半径方向外端まで半径方向に延び、ビードフィラーの半径方向外端は、ビードの環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所から半径方向距離DEE1のところに位置し、半径方向距離DEE1は、タイヤの半径方向高さHの30%以上且つ50%以下(好ましくは、45%以下)である。
【0010】
各ビードは、ゴム配合物で作られた外側ストリップを更に有し、外側ストリップは、カーカス補強材の巻き上げ部分の軸方向外側に配置され、外側ストリップは、外側ストリップの半径方向内端と外側ストリップの半径方向外端との間に延び、外側ストリップの半径方向内端は、ビードの環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所から半径方向距離DEI2のところに位置し、半径方向距離DEI2は、タイヤの半径方向高さHの1%以上且つ5%以下であり、外側ストリップの半径方向外端は、ビードの環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所から半径方向距離DEE2のところに位置し、半径方向距離DEE2は、タイヤの半径方向高さHの30%以上(好ましくは、35%以上)且つ50%以下(好ましくは、45%以下)である。半径方向距離DEE2は、好ましくは、半径方向距離DEE1よりも長い。
【0011】
ビードフィラーは、厚さE(r)を有し、この厚さは、カーカス補強材の主要部分に垂直な方向とビードフィラーとの交線の長さに一致し、rは、カーカス補強材の主要部分に垂直な方向とカーカス補強材との交点を環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所から隔てる距離を意味する。
【0012】
ビードフィラーと外側ストリップで形成された組立体は、厚さET(r)を有し、この厚さは、カーカス補強材の主要部分に垂直な方向と組立体との交線の長さに一致し、rは、カーカス補強材の主要部分に垂直な方向とカーカス補強材との交点を環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所から隔てる距離を意味する。
【0013】
カーカス補強材の主要部分に垂直な方向と、環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所からの半径方向距離がタイヤの半径方向高さHの10%以上且つ35%以下であるカーカス補強材との交点の全てに関し、比E(r)/ET(r)は、0.3以上(好ましくは、0.35以上)且つ0.5以下である。
【0014】
タイヤのこのサイズ設定により、タイヤ耐久性の最も僅かな減少さえもなしで製造速度を増大させることができる。
【0015】
好ましい実施形態によれば、任意の半径方向断面で見て、ビードフィラーは、面積S1の断面を有し、外側ストリップは、面積S2の断面を有し、比S1/(S1+S2)は、0.4以上且つ0.6以下(好ましくは、0.45以下)である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】先行技術のタイヤを示す図である。
図2】先行技術のタイヤの部分斜視図である。
図3】本発明の一実施形態としてのタイヤとの比較のために以下において用いられるサイズ及び耐久性を備えたタイヤ(本明細書において、「基準タイヤ」と呼ぶ)の一部分の半径方向断面図である。
図4】タイヤの高さHをどのようにして定めるかを説明する図である。
図5】本発明の一実施形態としてのタイヤの一部分の半径方向断面図である。
図6図5の細部を示す図である。
図7】本発明の一実施形態としてのタイヤのビードの或る特定の部分の厚さの変化をどのようにして定めるかを説明する図である。
図8】本発明の一実施形態としてのタイヤのビードの或る特定の部分の厚さの変化をどのようにして定めるかを説明する図である。
図9】本発明の一実施形態としてのタイヤ及び図3に示された基準タイヤのビードの或る特定の部分の厚さの変化を示すグラフ図である。
図10】本発明の一実施形態としてのタイヤ及び図3に示された基準タイヤのビードの或る特定の部分の厚さの変化を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
「半径方向」という用語を用いる場合、当業者によって用いられるこの言葉の数種類の異なる使い方を区別することが妥当である。第1に、この表現は、タイヤの半径を意味している。この意味では、点P1が点P2よりもタイヤの回転軸線の近くに位置する場合、点P1は、点P2の「内側に半径方向」(又は「点P2の「半径方向内側」)に位置すると呼ばれる。これとは逆に、点P3が点P4よりもタイヤの回転軸線から見て遠くに位置する場合、点P3は、点P4の「外側に半径方向」(又は「点P4の「半径方向外側」)に位置すると呼ばれる。進み方は、これが小さい方(大きい方)の半径に向かう方向である場合、「半径方向内方に(又は外方に)」と表現されるであろう。半径方向距離について説明している場合においても、当てはまるのはこの用語の意味である。
【0018】
これとは対照的に、細線又は補強材は、細線又は補強材の補強要素が周方向と80°以上且つ90°以下の角度をなす場合に「半径方向」と呼ばれる。注目されるべきこととして、本明細書においては、「細線」という用語は、最も広い意味に解されなければならず、細線は、細線の構成材料又はゴムとのその結合性を促進するために被着される被膜とは無関係に、モノフィラメント、マルチフィラメント、コード、ヤーン(糸)又はこれらと同等の集成体の形態をした細線を含む。
【0019】
最後に、「半径方向断面」又は「半径方向横断面」という用語は、この場合、タイヤの回転軸線を含む平面に沿って取った断面を意味している。
【0020】
「軸方向」は、タイヤの回転軸線に平行な方向である。点P5が点P6よりもタイヤの中間平面の近くに位置する場合、点P5は、点P6の「内側に軸方向」(又は点P6の「軸方向内側」)に位置すると呼ばれる。これとは逆に、点P7が点P8よりもタイヤの中間平面から見て遠くに位置する場合、点P7は、点P8の「外側に軸方向」(又は点P8の「軸方向外側」に位置すると呼ばれる。タイヤの「中間平面」は、タイヤの回転軸線に垂直であり且つ各ビードの環状補強構造体から等距離のところに位置する平面である。
【0021】
「周方向(円周方向)」は、タイヤの半径と軸方向の両方に対して垂直な方向である。
【0022】
本明細書では、2つの補強要素のなす角度が20°以下である場合、本明細書では2つの補強要素を「平行」であると言う。
【0023】
本明細書における開示との関係において、「ゴム配合物」という用語は、少なくとも1種類のエラストマー及び少なくとも1種類のフィラーを含むゴムコンパウンドを意味している。
【0024】
図1は、先行技術のタイヤ10の略図である。タイヤ10は、トレッド40を載せたクラウン補強材(図1では見えない)を含むクラウンと、クラウンから半径方向内側に向かって延びる2つのサイドウォール40と、サイドウォール40の半径方向内側に設けられた2つのビード50とを有している。
【0025】
図2は、先行技術のタイヤ10の概略部分斜視図であり、図2は、このタイヤの種々のコンポーネントを示している。タイヤ10は、ゴムコンパウンドで被覆された細線61から成るカーカス補強材60と、各々がタイヤ10をリム(図示せず)上に取り付けた状態に保持する周方向補強材70を含む2つのビード50とを有している。カーカス補強材60は、ビード20の各々の中に繋留されている。タイヤ10は、2枚のプライ80,90を含むクラウン補強材を更に有している。プライ80,90の各々は、各層中で平行であり且つ一方の層から他方の層にクロス掛けされていて、周方向と10°〜70°の角度をなすフィラメント状補強要素81,91によって補強されている。タイヤは、クラウン補強材の半径方向外側に配置されたたが掛け補強材100を更に有している。このたが掛け補強材は、周方向に差し向けられると共に螺旋の状態に巻かれた補強要素101で構成されている。トレッド30がたが掛け補強材の半径方向外側に配置されている。タイヤ10と路面の接触をもたらすのは、このトレッド30である。図示のタイヤ10は、「チューブレス」タイヤである。このタイヤは、インフレーションガスに対して不透過性であると共にタイヤの内面を覆うゴムコンパウンドで作られている「内側ライナ」110を有する。
【0026】
図3は、基準タイヤの一部分を半径方向断面で概略的に示している。このタイヤは、取り付けリム(図示せず)に接触するよう設計された2つのビード50を有し、各ビード50は、環状補強構造体、この場合、ビードワイヤ70を有している。2つのサイドウォール40がビード50の半径方向外方に向かう延長部をなしており、これらサイドウォールは、トレッドを半径方向に載せたクラウン補強材を含むクラウン(図示せず)に合体している。
【0027】
タイヤは、ビード50からサイドウォール40を通ってクラウンまで延びるカーカス補強材60を更に有する。このカーカス補強材60は、この場合、実質的に半径方向に差し向けられたフィラメント状補強材から成り、このことは、フィラメント状補強要素が周方向と80°以上且つ90°以下の角度をなすことを意味している。
【0028】
カーカス補強材60は、複数本のカーカス補強要素を含む。カーカス補強材は、各ビード20内に主要部分61及び巻き上げ部分62を形成するようにビードワイヤ70周りの上曲がり部によって2つのビード50内に繋留されている。巻き上げ部分は、ビードの環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所71から半径方向距離DECのところに位置した端63まで半径方向外方に延びており、半径方向距離DECは、この場合、タイヤの半径方向高さHの20%に等しい。
【0029】
タイヤの「半径方向高さ」Hは、タイヤ10を取り付けリム5(図4に示されている)に取り付けてその使用圧力までインフレートさせたとき、ビード50の環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71とトレッド30の半径方向最も内側の箇所31(図4)との間の半径方向距離であると定義される。
【0030】
各ビードは、ビードフィラー120を更に有し、ビードフィラーは、大部分がビードワイヤ70の半径方向外側に且つその良好な比率を得るためにカーカス補強材60の主要部分61と巻き上げ部分62との間に位置している。
【0031】
ビードフィラー120は、ビードの環状補強構造体の半径方向最も内側の箇所71の半径方向外側にこの箇所71から半径方向距離DEE1のところまで延びており、半径方向距離DEE1は、タイヤの半径方向高さHの28%に等しい。
【0032】
各ビード50は、ゴム配合物で作られた外側ストリップ130を有し、外側ストリップ130は、カーカス補強材の巻き上げ部分62の軸方向外側に配置され、外側ストリップ130は、外側ストリップ130の半径方向内端132と外側ストリップの半径方向外端131との間に延び、外側ストリップ130の半径方向内端132は、環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71から半径方向距離DEI2のところに位置している。半径方向距離DEI2は、半径方向高さHの5%に等しい。外側ストリップ130の半径方向外端131は、環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71から半径方向距離DEE2のところに位置している。この場合、半径方向距離DEE2は、半径方向高さHの65%に等しい。
【0033】
半径方向距離DEE2は、好ましくは、特にビードフィラー120を形成するために用いられるゴム配合物がコバルト塩を含む場合、半径方向距離DEE1よりも長い。というのは、これにより、外側ストリップ130を形成するために用いられるゴム配合物と比較してコストが増大するからである。
【0034】
タイヤの内面は、内側ライナ110で覆われている。
【0035】
図5は、本発明の一実施形態としてのタイヤ10の一部分を半径方向断面で示している。このタイヤ10は、
【0036】
取り付けリム(図示せず)と接触関係をなすよう設計されている2つのビード50を有し、各ビードは、少なくとも1つの環状補強構造体70を有し、
【0037】
ビード50の半径方向外方に向かう延長部としての2つのサイドウォール40を有し、2つのサイドウォール40は、トレッド30を載せたクラウン補強材(図示せず)を含むクラウン25に合体し、
【0038】
ビード50からサイドウォール40を通ってクラウン25まで延びる単一のカーカス補強材60を有し、カーカス補強材60は、複数本のカーカス補強要素を含み、カーカス補強材は、各ビード内に主要部分61及び巻き上げ部分62を形成するように環状補強構造体周りの上曲がり部によって2つのビード内に繋留されている。各巻き上げ部分62は、ビード50の環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71から半径方向距離DECのところに位置する端63まで半径方向外側に延びている。半径方向距離DECは、タイヤの半径方向高さHの5%以上且つタイヤの半径方向高さHの85%以下である。この特定の場合、半径方向距離DECは、タイヤの半径方向高さHの14%に等しい。
【0039】
各ビードは、ゴム配合物で作られたビードフィラー120を有し、ビードフィラーは、大部分が環状補強構造体70の半径方向外側に配置され、少なくとも一部がカーカス補強材60の主要部分61と巻き上げ部分62との間に配置されている。ビードフィラー120の「大部分」が環状補強構造体70の半径方向外側に位置しているということが記載されている場合、このことは、ビードフィラーの僅かな部分が環状補強構造体70の周りに延び、その結果、その半径方向内側に位置するが、大部分(代表的には、任意の半径方向断面で見てビードフィラーの表面積の少なくとも80%)が環状補強構造体70の半径方向外側に位置していることを意味している。ビードフィラー120は、ビードフィラーの半径方向外端121まで半径方向に延び、ビードフィラーの半径方向外端121は、ビード50の環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71から半径方向距離DEE1のところに位置し、半径方向距離DEE1は、タイヤの半径方向高さHの30%以上(好ましくは、35%以上)且つ50%以下(好ましくは、45%以下)である。この特定の場合、半径方向距離DEE1は、タイヤの半径方向高さHの38%に等しい。
【0040】
各ビードは、ゴム配合物で作られた外側ストリップ130を有し、外側ストリップ131は、カーカス補強材60の巻き上げ部分62の軸方向外側に配置され、外側ストリップ130は、外側ストリップ130の半径方向内端132と外側ストリップの半径方向外端131との間に延び、外側ストリップ130の半径方向内端132は、環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71から半径方向距離DEI2のところに位置している。半径方向距離DEI2は、半径方向高さHの1%以上且つ5%以下である。この特定の場合、半径方向距離DEI2は、半径方向高さHの4%に等しい。外側ストリップ130の半径方向外端131は、環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71から半径方向距離DEE2のところに位置している。半径方向距離DEE2は、タイヤの半径方向高さHの30%以上(好ましくは、35%以上且つ50%以下(好ましくは、45%以下)である。半径方向距離DEE2は、好ましくは、半径方向距離DEE1よりも長い。
【0041】
任意の半径方向断面で見て、ビードフィラー120は、面積S1の断面を有し、外側ストリップ130は、面積S2の断面を有する(図6参照)。比S1/(S1+S2)は、0.4以上且つ0.6以下(好ましくは、0.45以下)である。この特定の場合、比は、0.45に等しい。ビードフィラー120の半径方向外端121と外側ストリップ130の半径方向外端131は、好ましくは、互いに密接している。
【0042】
ビードフィラーは、厚さE(r)を有し、この厚さは、カーカス補強材60の主要部分61に垂直な方向150とビードフィラーとの交線の長さに一致し、rは、カーカス補強材60の主要部分61に垂直な方向とカーカス補強材60との交点65を環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71から隔てる距離を意味している。
【0043】
ビードフィラー120と外側ストリップ130で形成された組立体は、厚さET(r)を有する。この厚さは、カーカス補強材60の主要部分61に垂直な方向と組立体との交線の長さに一致する。rは、上述した通りである。
【0044】
図7及び図8は、厚さE(r)の求め方を示している。図8は、図7のボックス200内に含まれる領域の拡大図である。カーカス補強材60の主要部分61とビードフィラー120との間のインターフェースについて考察する。このインターフェース上の各点又は箇所は、環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71から距離rのところに位置している。環状補強構造体の数個の半径方向最も内側の箇所が存在する場合、これら箇所のうちの任意の1つを基準箇所又は基準点として選択することができる。所与の距離r0の場合、インターフェース上の対応の箇所65は、図7に示されているように環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71周りに半径r0の円140を描くことにより得られる。次に、インターフェースの箇所65を通るカーカス補強材60の主要部分61に垂直な方向150を描く。ビードフィラー120の厚さE(r0)は、ビードフィラー120との方向150の交線の長さに一致している。同様に、ビードフィラー120と外側ストリップ130で形成された組立体の厚さET(r0)は、この組立体と方向150の交線の長さに一致している。巻き上げ部分62の厚さは、方向150がこれと交差している場合、考慮に入れられない。
【0045】
本発明の一実施形態としてのタイヤでは、カーカス補強材60の主要部分61に垂直な方向150と、環状補強構造体70の半径方向最も内側の箇所71からの半径方向距離rがタイヤの半径方向高さHの10%以上且つ35%以下であるカーカス補強材との交点65の全てに関し、比E(r)/ET(r)は、0.3以上(好ましくは、0.35%以上)且つ0.5以下である。
【0046】
図9は、2つのビードの幾何学的形状に関する比r/Hの関数としての厚さE(r)の変化を示している。幾何学的形状“A”(記号:菱形)は、図5に示されているタイヤと同様本発明の一実施形態としてのタイヤに対応している。幾何学的形状“R”(記号:三角形)は、図3に示されたタイヤと同様基準タイヤに対応している。全厚ET(r)は、両方の幾何学的形状について同一である。これは又、図9に示されている(記号:四角)。
【0047】
図10は、同じ2つのビードの幾何学的形状について比r/Hの関数としての比E(r)/ET(r)を示している。本発明の一実施形態としてのタイヤ(幾何学的形状“A”)に関し、10%〜35%の全てのr/H値に関し、比E(r)/ET(r)は、0.3以上且つ0.5以下であり、基準タイヤ(幾何学的形状“R”)に関する比は、同一のr値では非常に小さい。
【0048】
本発明の実施形態としてのタイヤにより、タイヤの耐久性を何ら損なわないで生産性の顕著な向上が可能である(基準タイヤと比較して+20%)。この向上は、特に半完成品のリールを交換しなければならない頻度の減少によって説明できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10