特許第5774102号(P5774102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774102
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】不織布研磨ホイール
(51)【国際特許分類】
   B24D 11/00 20060101AFI20150813BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20150813BHJP
   B24D 3/28 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
   B24D11/00 D
   B24D3/00 320B
   B24D3/28
【請求項の数】1
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-518532(P2013-518532)
(86)(22)【出願日】2011年6月27日
(65)【公表番号】特表2013-530062(P2013-530062A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】US2011042015
(87)【国際公開番号】WO2012006017
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年2月4日
(31)【優先権主張番号】61/359,001
(32)【優先日】2010年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】マクアードル, ジェームズ エル.
(72)【発明者】
【氏名】モリス, アリス ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンズ, アン エム.
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン, カール ピー.
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−511526(JP,A)
【文献】 特開平11−151673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D 11/00
B24D 3/00
B24D 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の層の不織繊維ウェブと、40GPaを超えるビッカース硬さを有する複数の超砥粒と、前記複数の超砥粒を前記不織繊維に接着し、かつ前記不織繊維ウェブの前記層を互いに接着させるポリウレタン結合剤と、を備える不織布研磨ホイールであって、変位1インチ(25.4mm)当たり4.0〜128.0ポンド/厚さインチ(0.71〜22.9kg/cm)の曲げ弾性率を有する、不織布研磨ホイール
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
穴あけ工具、エンドミル、及び同様の切削工具などの金属製作工具は、長い使用期間にかけて鋭さを維持するようにセメント又は金属結合されたカーバイドのような極めて硬い材料で製造されることが多い。金属製作工具はしばしば、螺旋状の又は一直線の切削縁及びフルートを有する。切削された金属の除去を容易にするために、工具のフルートをリファイニングして鏡面仕上げ又は研磨仕上げする場合がある。これらの研磨作業は、所望の輪郭に目直しされ、成形されたビトリファイド研磨ホイール又は金属ボンド研磨ホイールで達成可能である。ビトリファイド研磨ホイール又は金属ボンド研磨ホイールは一時に1つの輪郭のみを許容するものであり、所望の輪郭を再生するために頻繁に目直しされる必要がある。
【0002】
あるいは、革又は圧縮された木綿などのような非常に柔らかい適合性のある砥石材にダイヤモンドペーストを充填し、工具のフルートの表面に適用して、研磨された状態又は正反射条件を実現することができる。しかし、スラリー又はペースト状の研磨剤の使用は、費用及び使用の難しさのために通常は好ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、いずれかの研磨方法を用いて研磨されたフルートを金属製作工具に提供することは、市場に供給されるほとんどの金属製作工具にとって許容され得ないことである。工業界では、非常に硬い表面を効果的に研磨するための単純で費用効果の優れた解決策が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
不織布研磨ホイールは、ワークピース表面を研磨する際に多様な輪郭に適合し得る。そのような不織布研磨ホイールは、一般に、不織繊維ウェブ(例えば、嵩高で目の粗い繊維ウェブ)と、研磨粒子と、結合剤物質(通常、「結合剤」と呼ばれる)とで構成され、この結合剤は繊維を互いに接着させ、繊維ウェブに研磨粒子を固定する。不織布研磨ホイールの例としては、回旋状研磨ホイール(不織布研磨ウェブがコアの周囲に螺旋状に巻かれている)及び一体型研磨ホイール(1つ以上の個々の不織布研磨ウェブ円盤を積み重ねて形成される)が挙げられる。不織布研磨ホイールは、3M Company(ミネソタ州セントポール(Saint Paul))から「SCOTCH−BRITE」の商品名で入手可能である。
【0005】
本発明者らは、特定の範囲内の曲げ弾性率(適合性)を有しかつ十分に硬い研磨粒子を有する不織布研磨ホイールが、意外にも金属製作工具のフルートに鏡面仕上げをもたらすことを判定した。この結果は、金属製作工具の表面粗さが、ビトリファイド研磨ホイールによって生産された鏡面研磨より大きい場合でさえも生じる。不織布研磨ホイールは、露出されたタングステンカーバイド相のような表面の小さな凹凸を平坦化して取り除くのではなく、それらの周囲及び上を研磨して同じ利益を提供することができ、必要とされるストック除去がより少ない。これは、研磨されたフルートをより短時間に生産することができ、フルートの輪郭と一致する不織布研磨ホイールの特定の輪郭を必要としない。したがって、不織布研磨ホイールは任意の金属製作工具の研磨に使用でき、別のフルートの輪郭に変更するために目直しする必要がない。加えて、不織布研磨ホイールはビトリファイド研磨ホイールよりはるかに適合性があるので、金属製作工具の切断縁をうっかり損傷する可能性がはるかに少なく、結果的に、研磨作業中に損傷される工具の数を減らす。
【0006】
したがって、不織布研磨ホイールの曲げ弾性率(適合性)は、鏡面研磨を可能にするために十分に硬くなくてはならないが、使用中の金属製作工具の切断縁の輪郭を損傷すること又は変化させることを防ぐために十分に可撓性でなくてはならない。
【0007】
故に、一態様において、本発明は、1つ以上の層の不織繊維ウェブと、40GPaを超えるビッカース硬さを有する複数の超砥粒と、複数の超砥粒を不織繊維に接着し、かつ不織繊維ウェブの層を互いに接着させるポリウレタン結合剤と、を備える不織布研磨ホイールに属するものであって、この不織布研磨ホイールは、変位1インチ当たり(25.4mm)当たり4.0〜128.0ポンド/厚さインチ(0.71〜22.9kg/cm)の曲げ弾性率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
当業者は、この説明があくまで例示的な説明であって、本開示のより広範な観点を制限することを意図するものでなく、それらのより広範な観点が例示的な構築に具現化されていることを理解するであろう。図は例示のみを目的とし、不織布研磨ウェブ又は結果的に得られる不織布研磨ホイールの実際の寸法の尺度として使用されるべきではない。
図1a】不織布研磨ウェブの斜視図。
図1b図1aの不織布研磨ウェブの拡大図。
図2】回旋状研磨ホイールの斜視図。
図3】一体型研磨ホイールの斜視図。
図4】実施例4の不織布研磨ホイールを用いたタングステンカーバイドの表面仕上げRaのグラフ。
図5】実施例4の不織布研磨ホイールを用いたタングステンカーバイドの表面仕上げRzのグラフ。
図6】実施例4の不織布研磨ホイールを用いたタングステンカーバイドの試験棒直径減少のグラフ。
図7】実施例4の不織布研磨ホイールを用いたタングステンカーバイドの試験棒ストック除去のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一体型研磨ホイール及び回旋状研磨ホイールのような不織布研磨ホイールは、ダイヤモンド又は立方晶硝酸化ホウ素(cubic boron nitrate)研磨粒子のような超砥粒を含有する嵩高な繊維状の結合された不織布シート又はウェブから調製され得る。そのようなシート又はウェブは、典型的にはスラリー状の硬化性の組成物を不織繊維ウェブ上に又はそれ全体にコーティングすることを含む処理によって製造され得る。一体型又は回旋状研磨ホイールの形成において、不織繊維ウェブは、典型的には、嵩高で目の粗い不織布物品に用いられる不織繊維ウェブに比べて圧縮(すなわち、高密度化)されている。
【0010】
使用に適した不織繊維ウェブは、研磨材技術分野で既知である。典型的には、不織繊維ウェブは、もつれた繊維のウェブを含む。繊維は、連続繊維、短繊維又はこれらの組み合わせを含んでよい。例えば、繊維ウェブは、少なくとも約20ミリメートル(mm)、少なくとも約30mm、又は少なくとも約40mm、かつ約110mm未満、約85mm未満、又は約65mm未満の長さを有する短繊維を含んでよいが、より短い繊維及びより長い繊維(例えば連続繊維)も有用である場合がある。繊維は、少なくとも約1.7デシテックス(dtex、すなわちg/10000m)、少なくとも約6dtex、又は少なくとも約17dtex、かつ約560dtex未満、約280dtex未満、又は約120dtex未満の繊度又は線密度を有してよいが、より小さな及び/又はより大きな線密度を有する繊維が有用である場合がある。異なる線密度を有する繊維の混合物もまた、例えば、使用時に特に好ましい表面仕上げが得られる研磨物品を提供するために有用である場合がある。スパンボンド不織布を用いる場合、フィラメントは、実質的により大きな直径、例えば、直径2mm以下又はそれ以上であってよい。
【0011】
繊維ウェブは、例えば、従来のエアレイド、カード、スティッチボンド、スパンボンド、ウェットレイド及び/又はメルトブローン手順により製造することができる。エアレイド繊維ウェブは、例えば、Rando Machine Company(ニューヨーク州マセドン(Macedon))から市販されている商品名「RANDO WEBBER」として入手可能なもののような設備を用いて調製することができる。
【0012】
不織繊維ウェブは、典型的には、接着結合剤及び研磨粒子との適合性があると同時に、物品の他の構成要素とも適合性があるように選択され、典型的には、硬化性組成物の適用及び硬化中に使用されるような加工条件(例えば温度)に耐えることができる。繊維は、例えば、可撓性、弾性、耐久性又は耐用寿命、磨耗性、及び仕上げ特性のような研磨物品の特性に影響を与えるように選択することができる。好適であり得る繊維の例としては、天然繊維、合成繊維、並びに天然繊維及び/又は合成繊維の混合物が挙げられる。合成繊維の例としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン(例えば、ヘキサメチレンアジポアミド、ポリカプロラクタム)、ポリプロピレン、アクリロニトリル(すなわち、アクリル)、レーヨン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、及び塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマーから製造されるものが挙げられる。好適な天然繊維の例としては、綿、羊毛、黄麻、及び麻布が挙げられる。繊維は、未使用材料又は、例えば、裁断、カーペット製造、繊維製造、若しくは繊維加工から再生された、回収材料若しくは屑材料によるものであってよい。繊維は、均質であってもよく、又は2成分繊維(例えば、共紡糸芯鞘型繊維)のような複合体であってもよい。繊維は、伸張されていてもよく、けん縮されていてもよいが、また押出成形プロセスによって形成されるもののような連続フィラメントであってもよい。繊維の組み合わせを使用してもよい。
【0013】
硬化性組成物を含浸させる前に、不織繊維ウェブは、典型的には、(例えば、硬化性組成物又は任意のプレボンド樹脂による)任意のコーティング前に測定したとき、少なくとも約50g/平方メートル(gsm)、少なくとも約100gsm、若しくは少なくとも約200gsm、かつ/又は約400gsm未満、約350gsm未満、若しくは約300gsm未満の重量/単位面積(すなわち、坪量)を有するが、より大きな坪量及びより小さな坪量のものを用いてもよい。更に、硬化性組成物を含浸させる前に、繊維ウェブは、典型的には、少なくとも約5mm、少なくとも約6mm、若しくは少なくとも約10mm、かつ/又は約200mm未満、約75mm未満、若しくは約30mm未満の厚さを有するが、より厚い及びより薄いものも有用である場合がある。
【0014】
不織布砥石物品、研磨ホイール、及びそれらの製造方法に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第2,958,593号(Hooverら)、同第5,591,239号(Larsonら)、同第6,017,831号(Beardsleyら)、及び米国公開特許出願第2006/0041065 A 1号(Barber,Jr.)に見出すことができる。
【0015】
しばしば、研磨材分野において既知であるように、硬化性組成物でコーティングする前に、プレボンド樹脂を不織繊維ウェブに塗布することが有益である。プレボンド樹脂は、例えば、操作中不織繊維ウェブの一体性を維持することを補助するのに役立ち、ウレタン結合剤の不織繊維ウェブへの接着を促進することもできる。プレボンド樹脂の例としては、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、にかわ、アクリル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本方式で用いられるプレボンド樹脂の量は、典型的には、架橋接点で繊維同士を接着するのに見合った最小量に調節されている。不織繊維ウェブが熱接着性繊維を含む場合、不織繊維ウェブの熱接着もまた、加工中のウェブの一体性を維持するのに有益である場合がある。
【0016】
有用な研磨粒子は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、及びこれらの組み合わせのような超砥粒である。超砥粒は、40GPaを超えるビッカース硬さを有さなくてはならない。研磨粒子は、例えば個々の粒子、粒塊、複合粒子、及びこれらの混合物の形態であってもよい。好適な研磨粒子は、例えば、カリフォルニア州Walnut CreekのPinnacle Abrasivesから入手可能である。
【0017】
一般に、15マイクロメートルより大きいダイヤモンド粒子を含む粒塊粒子の平均寸法は約100〜約1000マイクロメートル、好ましくは約100〜約400マイクロメートル、より好ましくは約225〜約350マイクロメートルである。しかし、15マイクロメートルより小さいダイヤモンド粒子を含む粒塊粒子の平均寸法は約20〜約450マイクロメートル、好ましくは約40〜約400マイクロメートル、より好ましくは約70〜約300マイクロメートルである。
【0018】
研磨粒塊については、米国特許第4,311,489号、同第4,652,275号、及び同第4,799,939号に詳述されている。研磨粒子は、結合剤又は金属若しくはセラミックコーティングのような表面処理又はコーティングを更に備えてもよい。
【0019】
用途によっては、研磨ホイールがダイヤモンド研磨粒子又は、ダイヤモンドを含む研磨粒塊を使用することが好ましい。これらのダイヤモンド研磨粒子は天然ダイヤモンドでも人口ダイヤモンドでもよく、「樹脂ボンドダイヤモンド」、「鋸刃等級ダイヤモンド」、又は「金属ボンドダイヤモンド」とみなされてもよい。単一のダイヤモンドはそれらに伴うごつごつした形を有してもよく、あるいは、針様の形を有してもよい。単一のダイヤモンド粒子は金属コーティング(例えばニッケル、アルミニウム、銅など)、無機コーティング(例えば珪素)、又は有機コーティングのような表面コーティングを含有してもよい。
【0020】
研磨粒子は、例えば、少なくとも約0.1マイクロメートル、少なくとも約1マイクロメートル、又は少なくとも約10マイクロメートル、かつ約2000未満、約1300マイクロメートル未満、又は約1000マイクロメートル未満の平均直径を有してよいが、より大きな及びより小さな研磨粒子を用いてもよい。例えば、研磨粒子は、研磨材業界が仕様を定めた公称等級を有する場合がある。このような研磨材業界に認められた等級分け規格としては、アメリカ規格協会(ANSI)規格、欧州砥粒製造協会(FEPA)規格、及び日本工業規格(JIS)規格として知られているものが挙げられる。代表的なANSI等級表記(すなわち、公称等級として指定される)としては、ANSI 100、ANSI 120、ANSI 150、ANSI 180、ANSI 220、ANSI 240、ANSI 280、ANSI 320、ANSI 360、ANSI 400、及びANSI 600が挙げられる。代表的なFEPA等級表記としては、P120、P150、P180、P220、P320、P400、P500、600、P800、P1000、及びP1200が挙げられる。代表的なJIS等級表記としては、JIS100、JIS 150、JIS 180、JIS220、JIS 240、JIS280、JIS320、JIS360、JIS400、JIS400、JIS600、JIS800、JIS1000、JIS1500、JIS2500、JIS4000、JIS6000、JIS8000、及びJIS10000が挙げられる。
【0021】
反射面又は正反射面仕上げをもたらすために、研磨粒子は一般に1〜45マイクロメートル、又は1〜30マイクロメートル、又は1〜15マイクロメートルの平均寸法を有する。望ましい研磨のための代表的なANSI等級表記(すなわち、指定されている公称等級)としては、ANSI 320、ANSI 360、ANSI 400、ANSI 500、ANSI 600、ANSI 800、ANSI 1000、及びANSI 1200が挙げられる。代表的なFEPA等級表記としては、P400、P500、P600、P800、P1000、P1200、P1500、P2000、及びP2500が挙げられる。代表的なJIS等級表記としては、JIS400、JIS500、JIS600、JIS700、JIS800、JIS1000、JIS1200、JIS1500、JIS2000、JIS2500、JIS300、JIS4000、JIS6000、JIS8000、及びJIS10000が挙げられる。研磨粒子の寸法が小さすぎると、取り除かれる表面の傷の数が不十分になる。研磨粒子の寸法が大きすぎると、望ましい反射面が達成され得ない。
【0022】
典型的には、研磨粒子のコーティング重量(硬化性組成物中の他の成分とは無関係に)は、例えば、用いられる特定の結合剤、研磨粒子を塗布するプロセス、及び研磨粒子の寸法に依存する可能性がある。例えば、(任意の圧縮前の)不織繊維ウェブ上の研磨粒子のコーティング重量は、少なくとも200g/平方メートル(g/m)、少なくとも600g/m、若しくは少なくとも800g/m、かつ/又は2000g/m未満、約1600g/m未満、若しくは約1200g/m未満であってよいが、より重い又はより軽いコーティング重量を用いることもできる。
【0023】
幾つかの実施形態では、結合剤の前駆体はウレタンプレポリマーである。有用なウレタンプレポリマーの例としては、ポリイソシアネート類及びそのブロックされた形が挙げられる。典型的には、ブロックされたポリイソシアネート類は、周囲条件下で(例えば、約20℃〜約25℃の範囲の温度で)、イソシアネート反応性化合物(例えば、アミン類、アルコール類、チオール類など)と実質的に反応しないが、十分な熱エネルギーの適用時、ブロッキング剤が放出され、それによりアミン硬化剤と反応して共有結合を形成するイソシアネート官能基を生成する。
【0024】
有用なポリイソシアネート類としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート類(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート又はトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)、脂環式ポリイソシアネート類(例えば、水素添加キシレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネート)、芳香族ポリイソシアネート類(例えば、トリレンジイソシアネート又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)、任意の前述のポリイソシアネート類の多価アルコール付加体(例えば、ジオール、低分子量ヒドロキシ基を含有するポリエステル樹脂、水など)、前述のポリイソシアネート類の付加体(例えば、イソシアネート類、ビウレット)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
有用な市販のポリイソシアネート類としては、例えば、Chemtura Corporation(コネチカット州Middlebury)から商品名「ADIPRENE」として入手可能なもの(例えば、「ADIPRENE L 0311」、「ADIPRENE L 100」、「ADIPRENE L 167」、「ADIPRENE L 213」、「ADIPRENE L 315」、「ADIPRENE L 680」、「ADIPRENE LF 1800A」、「ADIPRENE LF 600D」、「ADIPRENE LFP 1950A」、「ADIPRENE LFP 2950A」、「ADIPRENE LFP 590D」、「ADIPRENE LW 520」、及び「ADIPRENE PP 1095」)、Bayer Corporation(ペンシルバニア州Pittsburgh)から商品名「MONDUR」として入手可能なポリイソシアネート類(例えば、「MONDUR 1437」、「MONDUR MP−095」、又は「MONDUR 448」)、及びAir Products and Chemicals(ペンシルバニア州Allentown)から商品名「AIRTHANE」及び「VERSATHANE」として入手可能なポリイソシアネート類(例えば、「AIRTHANE APC−504」、「AIRTHANE PST−95A」、「AIRTHANE PST−85A」、「AIRTHANE PET−91A」、「AIRTHANE PET−75D」、「VERSATHANE STE−95A」、「VERSATHANE STE−P95」、「VERSATHANE STS−55」、「VERSATHANE SME−90A」、及び「VERSATHANE MS−90A」)が挙げられる。
【0026】
可使時間を延長するために、例えば上記のようなポリイソシアネート類を、当該技術分野において既知である種々の技術に従って、ブロッキング剤でブロックすることができる。代表的なブロッキング剤としては、ケトオキシム類(例えば、2−ブタノンオキシム)、ラクタム類(例えば、ε−カプロラクタム)、マロン酸エステル(例えば、マロン酸ジメチル及びマロン酸ジエチル)、ピラゾール類(例えば、3,5−ジメチルピラゾール)、三級アルコール類(例えば、t−ブタノール又は2,2−ジメチルペンタノール)、フェノール類(例えば、アルキル化フェノール類)、及び記載したアルコール類の混合物を含むアルコール類が挙げられる。
【0027】
代表的な、有用な市販のブロックされたポリイソシアネート類としては、Chemtura Corporationにより商品名「ADIPRENE BL 11」、「ADIPRENE BL 16」、「ADIPRENE BL 31」として販売されているブロックされたポリイソシアネート類、及びBaxenden Chemicals,Ltd(英国Accrington)により商品名「TRIXENE」(例えば「TRIXENE BL 7641」、「TRIXENE BL 7642」、「TRIXENE BL 7772」、及び「TRIXENE BL 7774」)として販売されているブロックされたポリイソシアネート類が挙げられる。
【0028】
典型的には、硬化性組成物中に存在するウレタンプレポリマーの量は、硬化性組成物の総重量を基準として10〜40重量%、より典型的には15〜30重量%、更により典型的には20〜25重量%であるが、これらの範囲外の量を用いてもよい。
【0029】
好適なアミン硬化剤としては、芳香族、アルキル−芳香族、又はアルキル多官能性アミン、好ましくは一級アミンが挙げられる。有用なアミン硬化剤の例としては、4,4’−メチレンジアニリン、Dow Chemical Companyから市販されている商品名「CURITHANE 103」及びBayer Corporation(ペンシルバニア州Pittsburgh)から市販されている「MDA−85」として知られているものを含む2.1〜4.0個の官能基を有する高分子メチレンジアニリン、1,5−ジアミン−2−メチルペンタン、トリス(2−アミノエチル)アミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(すなわち、イソホロンジアミン)、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート、ビス(o−アミノフェニルチオ)エタン、4,4’−メチレンビス(ジメチルアントラニレート)、ビス(4−アミノ−3−エチルフェニル)メタン(例えば、日本化薬株式会社(日本、東京)により商品名「KAYAHARD AA」として販売されているような)、及びビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン(例えば、Lonza,Ltd.(スイス、Basel)により「LONZACURE M−DEA」として販売されているような)が挙げられる。必要に応じて、ポリオール(単数又は複数)を硬化性組成物に添加し、例えば、意図する用途の必要性に応じて硬化速度を変更する(例えば、遅らせる)ことができる。
【0030】
アミン硬化剤は、意図する用途に必要とされる程度にブロックされたポリイソシアネートを硬化させるのに有効な量(すなわち、有効量)で存在すべきであり、例えば、アミン硬化剤は、硬化剤とイソシアネート(又はブロックされたイソシアネート)との化学量論比が0.8〜1.35の範囲、例えば0.85〜1.20の範囲、又は0.90〜0.95の範囲で存在してよいが、これらの範囲外の化学量論比を使用することもできる。
【0031】
典型的には、硬化性組成物は、少なくとも1種の有機溶媒(例えば、イソプロピルアルコール又はメチルエチルケトン)を含み、不織繊維ウェブ上への硬化性組成物のコーティングを促進するが、これは必須ではない。
【0032】
所望により、硬化性組成物を1又は2種以上の添加剤と混合してよい、かつ/又は、硬化性組成物は1又は2種以上の添加剤を含んでよい。代表的な添加剤としては、充填剤、可塑剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤(例えば、顔料)、殺菌剤、殺真菌剤、粉砕助剤、及び静電気防止剤が挙げられる。
【0033】
望ましいウレタン結合剤は、35〜80ショアD、又は38〜77ショアD、又は41〜74ショアDの硬化後ショアDジュロ硬度を有する。硬度が低すぎると、得られる研磨ホイールを反射面の実現のために十分に硬く作製することがより困難になる。硬度が高すぎると、得られる研磨ホイールは硬くなりすぎ、カーバイド材料に反射面をもたらすことができなくなる。
【0034】
本発明による不織布研磨ウェブを製造する、1つの方法は、プレボンドコーティングを不織繊維ウェブに塗布する(例えば、ロールコーティング又はスプレーコーティングにより)工程と、プレボンドコーティングを硬化させる工程と、不織繊維ウェブに硬化性組成物を含浸させる(例えば、ロールコーティング又はスプレーコーティングにより)工程と、硬化性組成物を硬化させる工程とを、この工程順序で含む。
【0035】
典型的には、不織繊維ウェブ上に、1120〜2080gsm、より典型的には1280〜1920gsm、更により典型的には1440〜1760gsmの量の硬化性組成物(存在し得る任意の溶媒を含む)がコーティングされるが、これらの範囲外の値も用いることができる。
【0036】
不織布研磨物品の代表的な例を図1a及び1bに示す。ここで嵩高で目の粗い低密度繊維ウェブ100は、ポリウレタン結合剤120により結合された、もつれたフィラメント110で形成されている。超砥粒140は、フィラメント110の露出面上に繊維ウェブ100全体にわたって分散している。ポリウレタン結合剤120は、フィラメント110の一部をコーティングし、個々のフィラメント若しくはフィラメントの束を取り囲む、フィラメントの表面に付着する、及び/又は、接触するフィラメントの交点に集めることができる小球150を形成し、不織布研磨物品全体にわたって研磨部位を提供する。
【0037】
回旋状研磨ホイールは、例えば、含浸した不織繊維層が圧縮された状態になるように、芯部材(例えば、チューブ状又はロッド形状の芯部材)の周囲に、張力を受けて硬化性組成物を含浸させた不織繊維ウェブを巻き付け、次いで硬化性組成物を硬化させて研磨粒子を層状不織繊維ウェブに結合させ、かつ、層状不織繊維ウェブの層を互いに結合させるポリウレタン結合剤を提供することにより、提供することができる。回旋状研磨ホイール200を図2に示し、ここで、層状不織繊維ウェブに研磨粒子を結合させ、かつ層状不織繊維ウェブの層を互いに結合させるポリウレタン結合剤でコーティングされた層状不織繊維ウェブ210は、芯部材230の周囲に螺旋状に配置され、かつ芯部材230に貼着されている。所望により、回旋状研磨ホイールは、例えば研磨材分野において既知である方法を用いて、使用前に目直しし、表面の凹凸を取り除いてよい。
【0038】
一体型研磨ホイールは、例えば、含浸した不織繊維ウェブを層化し(例えば、層状連続ウェブ又はシートの積み重ね体として)、不織繊維層を圧縮し、硬化性組成物を硬化させ(例えば、熱を用いて)、中空穴を有する一体型研磨ホイールを提供するために、得られる研磨物品を打ち抜いて提供することができる。圧縮され、かつ硬化された複数の不織布研磨層310を有する一体型研磨ホイール300を図3に示す。研磨層を硬化後、得られるスラブを打ち抜いて、中空穴320を有する研磨ホイールを形成することができる。
【0039】
研磨ホイールの作製において、含浸された不織繊維ウェブの層を圧縮するとき、典型的には、1つ以上の層を圧縮して、それらの圧縮されていない状態での層の密度のスラブの1〜10倍の密度を有するスラブを形成する。次いで、スラブは、典型的には、ウレタンプレポリマー及びバンの大きさに応じて、典型的には、高温(例えば135℃)で熱成形(例えば2〜20時間)される。
【0040】
望ましい反射の研磨仕上げ又は硬質材仕上げをもたらすために、不織布研磨ホイールは、変位1インチ(25.4mm)当たり4.0〜128.00ポンド/厚さインチ(0.71〜22.9kg/cm)、又は変位1インチ(25.4mm)当たり10.0〜128.00ポンド/厚さインチ(1.79〜22.9kg/cm)、又は変位1インチ(25.4mm)当たり25.0〜128.00ポンド/厚さインチ(4.46〜22.9kg/cm)、又は変位1インチ(25.4mm)当たり45.0〜128.00ポンド/厚さインチ(8.04〜22.9kg/cm)、又は変位1インチ(25.4mm)当たり65.0〜128.0ポンド/厚さインチ(11.61〜22.9kg/cm)、又は変位1インチ(25.4mm)当たり100.0〜約125.0ポンド/厚さインチ(17.86〜22.32kg/cm)の曲げ弾性率を有する。実施例においてより詳細に説明するように、変位1インチ(25.4mm)当たり4.0ボンド/厚さインチ(0.71kg/cm)未満の研磨ホイールは柔軟すぎて反射仕上げをもたらさず、変位1インチ(25.4mm)当たり130.0ボンド/インチ(23.22kg/cm)を超える研磨ホイールは硬すぎて驚くべきことに反射仕上げをもたらさなかった。
【0041】
所望の曲げ弾性率を実現するために、不織布研磨ホイールは、不織布層を所望の硬さに十分に圧縮するために1層より多くの不織布研磨層を備えることができる。本発明の様々な実施形態において、不織布研磨ホイールは2〜10層の不織布研磨層、又は3〜8層の不織布研磨層を含むことができる。
【実施例】
【0042】
本発明の目的及び利点を以下の非限定的な実施例により更に例示するが、これらの実施例の中で挙げた特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するように解釈されるべきではない。特に記載のない限り、実施例及び本明細書の残りの部分における全ての部、パーセント、及び比率などは、重量による。
【0043】
曲げ弾性率試験
実施例の物品から4インチ×公称厚さ1/4インチ(101.6mm×6.35mm)の固体の(中空穴のない)円盤を切り取って、試験用標本を準備した。荷重及びたわみの測定は、500N荷重計が装着されたInstronモデル4411引張り試験機(マサチューセッツ州NorwoodのInstronより入手)を用いて行った。直径3インチ(76.2mm)のスケジュール40黒色管を用いて、引張り試験機のベースで試験用標本を支持した。試験用標本の支持面を管の長手方向軸に対して90°の角度で、試験用標本の中央が試験中に引張り試験機のベースと接触しないように十分な長さを有するように、管を切断した。試験用標本の直径中心に合わせて位置づけられる接触点として、クロスヘッドに取り付けられた荷重計の中央の付属柱(直径0.79インチ(20.1mm))を用いた。試験円盤の表面とちょうど接触するように、引張り試験機のクロスヘッドを初期の位置まで下げた。クロスヘッドのこの位置をたわみゼロと定めた。次いで、総たわみが0.1インチ(2.54mm)になるまでクロスヘッドを毎分0.1インチ(毎分2.54mm)下げていった。少なくとも0.02インチ(0.51mm)たわむごとに力の測定値を記録した。クロスヘッドを上げ、備品から試験用標本を取り外した。試験用標本に任意の残留変形がある場合は、試験用標本を平面に押し当てて取り除いた。接触点に円盤の反対側を提供して試験を繰り返した。
【0044】
曲げ弾性率は、まず、前側及び後側の測定された荷重計の力の平均を試験用標本の測定された厚さで割って、研磨ホイールの厚さの差に対して力のデータを正規化することによって算出した。次いで、正規化した平均力をy軸にプロットし、変位データをx軸にプロットした。Microsoft EXCELのような統計的カーブフィッティングプログラムを用いて、荷重対変位曲線の勾配を見出した。フィッティングされた線の勾配は、試験用標本の変位1インチ(25.4mm)当たりポンド/厚さインチ(kg/cm)を単位とする曲げ弾性率である。
【0045】
仕上げ試験A
試験用の直径4インチ(102mm)の研磨ホイールを、適切なアダプターを用いて、5/8インチ(15.9mm)又は1.25インチ(32mm)のいずれかの心棒穴を通して、例えばミネソタ州St.Paulの3Mから入手される第20236号のような空気式直角研削盤上に装着した。無荷重下で6000RPMの軸速度を得るように、研削盤が供給する空気圧を約80psi(551.6kPa)に低下した。ペンシルベニア州PittsburghのDelta International Machinery CorpのDelta 10インチ(254mm)Bench Grinderモデル23−980に装着された、10インチ(254mm)の粒度36番の酸化アルミニウムボンド研磨ホイール(Delta Cat.No.23−983)に対して研磨ホイールの面を平行移動することによって、この研磨ホイールを目直しした。カリフォルニア州CamarilloのHarbor Freight Tools,Inc.から入手可能なCentral Machinery商標のVariable Speed Mini Lathe SKU 183号のような卓上旋盤に、直径1/2インチ(12.7mm)のカーバイドの製作機械工具半加工品を装着した。旋盤速度は、無荷重下で約350rpmの軸回転が得られるように調節した。旋盤及び研削盤が同じ方向に回転するように、旋盤は操縦者の方へ回転させ、一方、研削盤は操縦者から離れる方へ回転させた。旋盤に装着されたカーバイド工具に対して、研磨ホイールの周辺部を手動により約10〜15ポンド(44.5〜66.7N)の力で付勢した。半加工品の接触区域は、スプレーボトルからの水スプレーで濡れた状態に維持した。約3/8インチ(9.53mm)のわずかな横揺れ振動で1分間、研磨ホイールをカーバイド半加工品に対して付勢した。次いで、カーバイド半加工品をペーパータオルで拭いて乾かし、ロードアイランド州ProvidenceのMahr Federal IncのMahr Perthometer M2のような接触型表面計を用いて表面仕上げを測定した。3回測定し、マイクロインチ単位でRa及びRzを記録した。Ra及びRzの個別の測定値の平均として結果を報告する。試料の切削性能は、ロードアイランド州North KingstownのHexagon Metrology,IncのBrown & Sharpe DIGIT−CAL MK IVモデル599−571−4のようなディジタルバーニヤキャリパーを用いて測定した。ストック除去は、研削された区域における円筒形ワークピースの直径の変化を記録することによって測定した。試験の前及び後の両方に半加工品のODの周囲で4回測定を行った。ストック除去の結果は、それらの4つの測定値の平均として報告する。
【0046】
仕上げ試験B
3500rpmで動作中の、例えばDelta Model 23−880 8インチ(203.2mm)卓上研削盤のような卓上研削盤に、直径4インチ(102mm)、厚さ0.25インチ(6.35mm)の研磨ホイールを、適切なアダプターを用いて5/8インチ(15.9mm)又は1.25インチ(32mm)のいずれかの心棒穴を通して装着した。研磨ホイールは、8インチ又は10インチ(203.2mm又は254mm)のDeltaの粒度36番の酸化アルミニウムボンド研磨ホイール(Delta Cat.No.23−883又は23−983)を研磨ホイールの面に対して平行移動することによって、回転させながら目直しした。直径0.5インチ(12.7mm)のカーバイド切削半加工品を手で保持し、回転する研磨ホイールに対して付勢した。接触している時間中、研磨ホイールとワークピースとの接触面にスプレーボトルからの水流を適用した。ワークピースを約1分間、約0.5インチ(12.7mm)の距離にかけて研磨ホイール上で横揺れ振動させた。試験の完了時に、半加工品をペーパータオルで拭いて乾かし、ロードアイランド州ProvidenceのMahr Federal IncのMahr Perthometer M2のような接触型表面計を用いて表面仕上げを測定した。3回測定し、マイクロインチ単位でRa及びRzを記録した。Ra及びRzの個別の測定値の平均として結果を報告する。
【0047】
仕上げ試験C
1インチ(25.4mm)のアダプターを用い、1.25インチ(32mm)の心棒穴を介して、直径4インチ(102mm)の研磨ホイールをサーボモーターシャフトに装着した。サーボモーターの速度は0〜4135RPMまで加減可能である。台表面に堅く保持された粒度220番の酸化アルミニウム目直しスティック(220 AM−K,Boride Abraisves,ミシガン州Traverse City)に対して研磨ホイールの面を平行移動することによって、研磨ホイールを目直しした。電位差計を用い、サーボモーター速度を目直しのために約1500RPMの無荷重速度に調節した。5ポンド(22.2N)の力で1分間、1/8インチ(3.18mm)のわずかな横揺れ振動とともに、研磨ホイールの周辺部を目直しスティックに対して自動的に付勢した。直径1/2インチ(12.7mm)のタングステンカーバイド棒(p/n 8788A254,McMaster−Carr,イリノイ州Elmhurst)を、仕上げ試験Aで説明したように卓上旋盤に装着した。旋盤速度は、無荷重下で約350RPMの軸回転が得られるように調節した。電位差計を用い、サーボモーター速度を約4135RPMの無荷重速度に調節した。5ポンド(22.2N)の力で1分間隔周期で、1/8インチ(3.18mm)のわずかな横揺れ振動とともに、研磨ホイールを直径1/2インチ(12.7mm)の棒に対して付勢した。次いで、この1/2インチ(12.7mm)の棒をペーパータオルで拭いて乾かし、仕上げ試験Aで説明したように接触型表面計を用いて表面仕上げを測定した。5回測定し、Ra及びRz表面仕上げを記録した。その間隔の切削は、仕上げ試験Aで説明したようにディジタルバーニヤキャリパーを用いて、研削された区域の中央での棒の直径の変化を記録することによって測定した。それぞれの試験間隔の前及び後に、ワークピースの外径の周囲を4回測定した。それぞれの周期の後に、取り除かれたタングステンカーバイドストックの質量を記録した。
【0048】
下記表1は、実施例全体に使用される略称を列記したものである。
【0049】
【表1】
【0050】
混合法A
表2の構成成分の添加は、表に記載されている順に行い、それぞれの添加の間に混合を行った。混合は、高せん断、高速のエアミキサーを用いて達成した。樹脂のバッチサイズは約0.15〜2.5kgとした。
【0051】
混合法B
構成成分を華氏120度(摂氏48.88度)に加熱した。プレミックス1(以下、PMX1と呼ぶ)として、DENとPMAとXJとのプレミックスを作製した。PMX1の構成成分は、ミネソタ州MinneapolisのDispatch Industries,Inc.のDespatch Vシリーズのような炉の中で予め加熱してから混合した。PMAは華氏70〜105度、DENは華氏175〜210度、XJは華氏120〜145度に加熱した。構成成分を添加後、均質になるまでPMX1を混合した。水と15S40とEZ3とのプレミックスをプレミックス2(以下、PMX2と呼ぶ)として作製した。PMX2の構成成分は、PMX1の構成成分と同じように炉内で予め加熱してから混合した。水及び15S40は、華氏125〜145度に、EZ3は華氏70度〜105度に加熱した。KAY−A−AとK450とのプレミックスをプレミックス3(以下、PMX3と呼ぶ)として作製した。BL46は、PMX1の構成成分と同じように炉内で華氏120度まで加熱した。BL46を容器に加え、PMX1を添加しながら激しく混合した。混合物が均質になるまで混合を続けた。混合物が均質になったところで、混合しながらMP22(炉内で華氏70〜105度に加熱したもの)を添加した。MP22が十分に混ぜ込まれたところで、混合しながらPMX2をゆっくりと添加した。PMX2が完全に添加され、混合物が均質になった後、引き続き混合しながらCM及びAPを添加した。CM及びAPを混ぜ込んだ後、混合しながらPMX3(炉内で華氏70〜105度に加熱したもの)を添加した。PMX3の添加後も約1分間混合を続けた。混合は、小型Myersミキサーを用いて行った。樹脂のバッチサイズは約0.2〜3kgとした。
【0052】
【表2】
【0053】
スラリーでコーティングされたウェブの作製手順
重量が125.29g/mの低密度不織繊維ウェブをウェブ成形機で15デニールのナイロン6,6繊維から形成した。水が47.51%、T403が26.36%、ERが17.61%、AFが0.50%、顔料が1.00%、LiStが2.79%、EZ3が4.23%のコーティング液を用いて、乾燥時の追加重量が50.37g/mとなるように、得られた低密度のウェブを結合剤コーティングでロールコーティングした。ロールコーティングしたウェブを、3分間の滞在時間にかけて、摂氏171度に維持されている熱対流炉に通して、非粘着状態になるまで結合剤コーティングを硬化させた。得られたコーティングされた不織布ウェブ(以下、プレボンドと呼ぶ)は、厚さ約235ミル(5.97mm)、重量約175.67g/mであった。
【0054】
混合法A又はBのいずれかによって調製された研磨剤スラリーは、合計標的濡れ重量が1988g/mとなるようにプレボンドにロールコーターで、研磨剤スラリーを用いてコーティングされた。スラリーコーティングされたウェブを約8%の溶剤保持率まで乾燥した。
【0055】
一般的な成形法1
この生乾きのスラリーコーティングされたウェブの層を、2枚の金属板の間に挟んで厚さ0.25インチ(6.35mm)に圧縮して積層体にした。次いで、この組み立て品全体を、華氏245度(摂氏118度)に維持した炉内に4時間置いた。4時間経過後、金属板を取り除き、華氏245度(摂氏118度)で14時間、硬化を続けた。硬化されたスラブが冷えてから、研磨ホイールを公称0.25インチ(6.35mm)のスラブから型抜きした。
【0056】
一般的な成形法2
生乾きのスラリーコーティングされたウェブの層を積み重ね、華氏250度(摂氏121度)に加熱されたプラテンプレスに置き、0.25インチ(6.35mm)に圧縮し、50psi(345kPa)の圧力下に30分間保持した。得られたスラブをプラテンプレスから取り出し、華氏275度(摂氏135度)で2.25時間、後硬化させた。硬化されたスラブが室温まで冷えた後、研磨ホイールを公称0.25インチ(6.35mm)の厚さのスラブから型抜きした。
【0057】
試料の作製
上述の一般的な成形法のいずれかを用いて、同じタイプの研磨剤スラリーを用いた1〜8層の生乾きの層を下記表3に従って組み立てた。
【0058】
【表3】

実施例12は、研磨剤スラリー配合のAP10をその正確な量のAP200で置き換えることにより、実施例2と同様に構成された。
比較例Cは、研磨剤スラリー混合物のAP10をその正確な量のAP10Aで置き換えることにより、実施例4と同様に構成された。
比較例Dは、研磨剤スラリー混合物のAP10をその正確な量のAP320で置き換えることにより、実施例2と同様に構成された。試験は実施例12と同じように行われた。
実施例13、実施例14、及び比較例Eは、厚さを1/4インチ(6.35mm)の代わりに3/8インチ(9.53mm)として、一般的な成形法2を用いて成形された。
実施例14は、研磨剤スラリー混合物のAP325をその正確な量のAP120で置き換えることにより、実施例13と同様に構成された。
比較例Eは、研磨剤スラリー混合物のAP325をその正確な量のAP320で置き換えることにより、実施例13と同様に構成された。
【0059】
カーバイド工具の結果
外径4インチ(101.6mm)を有する研磨ホイールを、目視による美的品質、仕上げ、及び切り込みに関して評価した。目視による美的品質は、ワークピースの仕上げに与えられた反射性の程度を観察し、表4に記載の尺度によって評価した。
【0060】
【表4】
【0061】
仕上げ、切り込み、及び曲げ弾性率の結果を表5に記す。実施例1〜10及び12、並びに比較例A〜Dの結果を示す。
【0062】
【表5】

たわみ間隔は0.1インチ(2.54mm)に設定した。
【0063】
表5に記載のように、変位1インチ(25.4mm)当たり2.0ポンド/厚さインチ(0.36kg/cm)未満の曲げ弾性率のとき、研磨ホイールは使用に適さず、引き裂かれて破損した。したがって、好適な不織布研磨ホイールは、変位1インチ(25.4mm)当たり2.0ポンド/厚さインチ(0.36kg/cm)より大きい曲げ弾性率を有する。曲げ弾性率が変位1インチ(25.4mm)当たり130.0ポンド/厚さインチ(23.2kg/cm)を超えると、意図される表面研磨には硬すぎる研磨ホイールになる。驚くべきことに、この硬い不織布研磨ホイールは、極めて硬いビトリファイド研磨ホイール又は金属ボンド研磨ホイールが通常生成する反射性の又は正反射の表面仕上げをカーバイド工具にもたらすことができなかった。したがって、好適な不織布研磨ホイールは、変位1インチ(25.4mm)当たり130.0ポンド/厚さインチ(23.2kg/cm)未満の曲げ弾性率を有する。他の様々な構成体の中でも、変位1インチ(25.4mm)当たりほぼ120ポンド/厚さインチ(21.4kg/cm)の曲げ弾性率を有する実施例4が最良の表面仕上げをもたらし、微細な擦傷を取り除き、正反射の仕上げをもたらした。
【0064】
硬い材料の仕上げの結果
カーバイド工具に鏡様の仕上げを与えることに関する不織布研磨ホイールの有用性について主に論じてきたが、この研磨ホイールは硬い材料の表面仕上げのリファイニングにも非常に有用であることが見出された。具体的には、実施例11を表6に記載の硬い材料の仕上げのために使用した。カーバイドワークピースを表6に記載の材料のワークピースと置き換えることにより、仕上げ試験Bに変更を加えた試験法を用い、試験前及び試験後の表面粗さを測定した。
【0065】
【表6】
【0066】
表6からわかるように、本開示の不織布研磨ホイールは硬い材料の表面のリファイニングにも好適である。典型的には、本開示の不織布研磨ホイールがもたらす最終平滑度を得るには、研磨剤スラリー研磨法を用いてこれらの材料をリファイニングする必要がある。具体的には、サファイアのワークピースは半透明の材料から透明の材料に変換された。
【0067】
鋼材仕上げの結果
【表7】
【0068】
実施例13は、SS及びCSの両方に梨地仕上げをもたらした。実施例14は、SS及びCSの両方の表面粗さを増した。比較例Fは、光沢がわずかに足りない仕上がりをSSにもたらし、かつCSの表面粗さを増したが、実施例14の仕上げよりは光沢のある仕上がりをCSにもたらした。
【0069】
仕上げ及び切り込みの一貫性を示すために、更に多くの一連の試験周期にかけて、厳しく制御された試験条件下で実施例4の不織布研磨ホイールを更に試験した。図4〜7は、仕上げ試験Cを用いた、実施例4の不織布研磨ホイールの表面粗さ性状Ra、Rz及びストック除去性能を示す。
【0070】
金属切削工具フルート及びレーキ面を研磨して鏡面仕上げにするために実施例4のような不織布研磨ホイールを使用すると、研磨することが切削液の貫通及び流れ、並びに金属破片のより容易な除去を促進し、それによって工具とワークピースとの接触面の温度を低下し、工具の切削効率を改善するものと考えられる。例えば、研磨されていない又は機械加工されたままの切削工具は、そのカーバイド切削工具の研ぎなおしが必要となるまでに1000個の穴あけ工具部品を生産することが実証されている。レーキ面及びフルートを実施例4の不織布研磨ホイールによって鏡面仕上げした後の、この同じ機械加工されたままのカーバイド切削工具は、研ぎなおしが必要となるまでに3000個を超す穴あけ工具部品を生産する。
【0071】
当業者は、より具体的に添付の「特許請求の範囲」に記載した本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本開示への他の修正及び変更を行うことが可能である。多様な実施形態の観点を多様な実施形態の他の観点と一部若しくは全て相互交換すること又は組み合わせることが可能であると理解されたい。上述の明細書において引用された、全ての参照、特許、又は特許出願は、一貫した方法で全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの組み込まれた参照と本明細書との間に部分的に不一致又は矛盾がある場合、先行する記述の情報が優先するものとする。当業者が請求項の開示を実行することを可能にするために与えられた先行する記述は、本請求項及びそれと等しい全てのものによって定義される本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7