(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774123
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】カプセル内に充填物を小分けするための装置
(51)【国際特許分類】
B65B 1/30 20060101AFI20150813BHJP
A61J 3/07 20060101ALI20150813BHJP
【FI】
B65B1/30 B
A61J3/07 H
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-543592(P2013-543592)
(86)(22)【出願日】2011年11月4日
(65)【公表番号】特表2014-501673(P2014-501673A)
(43)【公表日】2014年1月23日
(86)【国際出願番号】EP2011069395
(87)【国際公開番号】WO2012079840
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2013年6月14日
(31)【優先権主張番号】102010063138.8
(32)【優先日】2010年12月15日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011084555.0
(32)【優先日】2011年10月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー ルンフト
(72)【発明者】
【氏名】イェンス シュリプフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター ベーリンガー
【審査官】
八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−064702(JP,A)
【文献】
特開平02−180265(JP,A)
【文献】
特開2010−070219(JP,A)
【文献】
特表2000−508999(JP,A)
【文献】
特表2005−523680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B1/30−1/40
A61J3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル(22)内に充填物(21)を小分けするための装置(20)において、
カプセル(22)に充填物(21)を充填するための1つの充填装置(25)と、
充填物(21)を充填すべきカプセル(22)が配置された少なくとも1つの列(R1,R2)の複数のキャビティ(31)を備えたカプセルホルダ(30)と、
充填ステーション(5)において充填装置(25)とカプセルホルダ(30)との間の相対運動を可能にする運動装置(50;60;70)と、が設けられており、
充填装置(25)が、カプセルホルダ(30)に対して、第1のカプセル(22)に充填物(21)を充填するための少なくとも1つの第1の充填位置と、第2のカプセル(22)に充填物(21)を充填するための少なくとも1つの第2の充填位置とを占めるようになっており、
連続して配置された複数のステーションを有するステーションユニットが設けられており、該ステーションユニットが、少なくとも1つの充填ステーション(5)と、周期的に作業する駆動装置とを有しており、
前記充填ステーション(5)が、充填物(21)を収容するための蓄えホッパ(27)と、受取り位置(E)で前記蓄えホッパ(27)から所定の充填量(50)を受け取り、引渡し位置(F)で前記充填量(50)を前記カプセル(22)に引き渡すように回動可能な計量ホイール(26)と、を有しており、該計量ホイール(26)が、少なくとも1つの第1の計量チャンバ(28a)と第2の計量チャンバ(28b)とを有しており、前記第1の充填位置から前記第2の充填位置への充填装置(25)の運動工程の間に計量ホイール(26)が回動させられ、これによって、両計量チャンバ(28a,28b)のうちの一方が、充填物(21)で埋められるようになっていることを特徴とする、カプセル内に充填物を小分けするための装置。
【請求項2】
ステーションユニットが、多数のカプセルホルダ(30)を備えたステーションホイール(40)を有しており、運動装置(50;60;70)が、第1の方向(X)において充填装置(25)とカプセルホルダ(30)との間の相対運動を可能にするようになっている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
1つの水平な平面内での第1の方向(X)および第2の方向(Y)への充填装置(25)とカプセルホルダ(30)との間の相対運動が可能であり、第1の方向(X)が、第2の方向(Y)に対して垂直である、請求項2記載の装置。
【請求項4】
充填ステーション(5)での充填時間が、ステーションユニットの各ステーションの個々の全ての工程のうちの最短の工程時間である、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
カプセルホルダ(30)が、第1の列(R1)の複数のキャビティ(31)と第2の列(R2)の複数のキャビティ(32)とを有しており、第1の列(R1)と第2の列(R2)とが、互いに並列に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記装置(20)が、第2の充填装置を備えた第2の充填ステーション(6)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
運動装置(50;60)が、充填装置(25)に配置されていて、該充填装置(25)をカプセルホルダ(30)に対して相対的に運動させるようになっている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
運動装置(50;60)が、駆動されるカムディスク(51;61)と、リニアモータまたはサーボモータとを有している、請求項7記載の装置。
【請求項9】
運動装置(70)が、ステーションホイール(40)に配置されていて、カプセルホルダ(30)を充填装置(25)に対して相対的に運動させるようになっている、請求項5または6記載の装置。
【請求項10】
運動装置(70)が、カム軌道(72)を備えたガイドエレメント(71)を有している、請求項9記載の装置。
【請求項11】
運動装置(70)が、さらに、スライダガイド機構(73)を有しており、これによって、カプセルホルダ(30)が、第1の列(R1)または第2の列(R2)にもたらされるようになっている、請求項10記載の装置。
【請求項12】
充填装置(25)が、複数の充填ユニットを有しており、これによって、1つの列(R1;R2)のキャビティ(31;32)内の複数のカプセル(22)に充填物(21)が同時に充填されるようになっており、充填ユニットの個数が、1つの列(R1;R2)におけるキャビティ(31;32)の個数に対応しており、充填装置(25)が、充填物(21)を真空により受け取りかつ圧縮空気により引き渡す充填装置である、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
充填装置(25)が、フレキシブルな製品供給部材(200)を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル内に、特に粉末状の充填物を小分けするかもしくは分配するための装置に関する。
【0002】
背景技術
特に薬剤に対して、たとえばゼラチンから成るカプセルがしばしば使用される。このカプセルは、半球形の端範囲を備えたほぼ円筒状の中空形状を備えて製造されている。カプセルの一方の半部には、充填物、特に薬剤が充填され、次いで、カプセルの他方の半部が載着され、これによって、閉鎖されたカプセルが得られる。カプセルへの充填は充填機で行われる。この充填機は、各量を小分けする場合、薬剤の誤った計量を阻止するために、特に高い精度を確保していなければならない。この理由から、カプセルのより長い充填時間がしばしば生じてしまう。このことは、充填機の生産量を制限してしまう。ドイツ連邦共和国特許出願公開第19915259号明細書に基づき、たとえば容器内に粉末状の充填物を計量して小分けする、つまり、計量分配するための装置が公知である。この公知の装置では、2つの充填ユニットが連続して直列に配置されている。特に第1の充填ユニットによって部分充填が行われ、第2の充填ユニットによって最後の最終充填が行われるようになっている。
【0003】
発明の開示
本発明に係る装置によれば、カプセルに充填物を供給するための1つの充填装置が設けられており、充填すべきカプセルが配置された少なくとも1つの列の複数のキャビティを備えたカプセルホルダが設けられており、連続して配置された複数のステーションを備えたステーションユニットが設けられており、該ステーションユニットが、少なくとも1つの充填ステーションと、周期的にもしくは歩進的に作業する駆動装置とを有しており、カプセル充填ステーションにおいて充填装置とカプセルホルダとの間の相対運動を実施する運動装置が設けられており、充填装置が、カプセルホルダに対して、第1のカプセルに充填するための少なくとも1つの第1の充填位置と、第2のカプセルに充填するための少なくとも1つの第2の充填位置とを占めるようになっている。
【0004】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、ステーションユニットが、多数のカプセルホルダを備えたステーションホイールを有しており、運動装置が、半径方向において充填装置とカプセルホルダとの間の相対運動を実施するようになっている。
【0005】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、1つの水平な平面内での第1の方向および第2の方向への充填装置とカプセルホルダとの間の相対運動が可能であり、第1の方向が、第2の方向に対して垂直である。
【0006】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、充填ステーションが、計量ホイールと、充填物を収容するための蓄えホッパとを有している。
【0007】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、計量ホイールが、少なくとも1つの第1の充填チャンバと第2の充填チャンバとを有しており、第1の充填位置から第2の充填位置への運動工程の間、計量ホイールが回動させられ、これによって、両充填チャンバのうちの一方が、充填物で埋められるようになっている。
【0008】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、充填ステーションでの充填時間が、ステーションユニットの各ステーションの個々の全ての工程における最短の工程時間である。
【0009】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、カプセルホルダが、第1の列の複数のキャビティと第2の列の複数のキャビティとを有しており、第1の列と第2の列とが、互いに並列に配置されている。
【0010】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、前記装置が、第2の充填装置を備えた第2のカプセル充填ステーションを有している。
【0011】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、運動装置が、充填装置に配置されていて、該充填装置をカプセルホルダに対して相対的に運動させるようになっている。
【0012】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、運動装置が、駆動されるカムディスクまたはリニアモータまたはサーボモータを有している。
【0013】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、運動装置が、カプセルホルダに配置されていて、該カプセルホルダを充填装置に対して相対的に運動させるようになっている。
【0014】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、運動装置が、カム軌道を備えたガイドエレメントを有している。
【0015】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、前記装置が、さらに、スライダガイド機構を有しており、これによって、カプセルホルダが、第1の位置および第2の位置にもたらされるようになっている。
【0016】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、充填装置が、複数の充填ユニットを有しており、これによって、1つの列のキャビティ内の複数のカプセルに同時に充填されるようになっており、特に充填ユニットの個数が、1つの列におけるキャビティの個数に対応しており、充填装置が、特に圧力・真空式の充填装置である。
【0017】
本発明に係る装置の有利な態様によれば、充填装置が、フレキシブルな製品供給部材を有している。
【0018】
請求項1の特徴を備えた、カプセル内に充填物を小分けするための本発明に係る装置は、公知の装置に比べて、カプセルへの充填物の充填が改善されていることによって、性能向上が達成されるという利点を有している。本発明によれば、特に複数の充填ステーションを不要にすることができ、それにもかかわらず、迅速な充填時間を達成することができる。このことは、本発明に係る装置が、カプセルに充填物を充填するための1つの充填装置と、カプセルホルダとを有していることによって達成される。このカプセルホルダは、充填物を充填すべきカプセルが配置された少なくとも1つの列の複数のキャビティを有している。さらに、連続して配置された複数のステーションを備えたステーションユニットが設けられている。本発明では、カプセル充填ステーションにおいて充填装置とカプセルホルダとの間の相対運動を可能にする運動装置が設けられている。充填装置は、カプセルホルダに対して、第1のカプセルに充填物を充填するための少なくとも1つの第1の充填位置と、第2のカプセルに充填物を充填するための少なくとも1つの第2の充填位置とを占めるようになっている。これによって、この充填装置とカプセルホルダとの間の相対運動を発生させることにより、ただ1つの充填装置を用いて複数の充填位置を占めることによって、カプセルホルダ内に収容された全てのカプセルを充填することができる。したがって、充填装置が、カプセルホルダ内に位置するカプセルに充填物を第1の充填位置でも第2の充填位置でも充填することができる。さらに、本発明に係る装置は、特に極めて少ない構造上の手間の点で優れている。
【0019】
従属請求項には、本発明の有利な改良態様が示してある。
【0020】
特に有利には、ステーションユニットが、多数のカプセルホルダを備えたステーションホイールを有している。これによって、充填工程の間の極めて効率のよいスループットを達成することができる。この態様では、運動装置が、半径方向において充填装置とカプセルホルダとの間の相対運動を実施する。
【0021】
有利には、充填装置とカプセルホルダとの間で、1つの水平な平面内での第1の方向および第2の方向への相対運動が可能となる。これによって、特に複数の平行な列のカプセルに充填物を充填することができる。特に有利には、第1の方向が、第2の方向に対して垂直である。
【0022】
さらに有利には、充填ステーションが、計量ホイールと、充填物を収容するための蓄えホッパとを有している。これによって、大きな構造上の手間なしに、計量ホイール内への充填物の運転確実な案内を達成することができる。さらに、充填ステーションは、特にコンパクトな構造を有しており、十分な充填量をそれぞれ異なる充填位置に問題なくもたらすことができる。
【0023】
本発明の有利な態様によれば、計量ホイールが、少なくとも1つの第1の充填チャンバと第2の充填チャンバとを有しており、第1の充填位置から第2の充填位置への運動工程の間、計量ホイールが回動させられ、これによって、充填物が充填された充填チャンバが充填位置にもたらされ、空の充填チャンバが再び充填物で埋められる。計量ホイールとカプセルホルダとの同時の運動に基づき、カプセルへの充填物の充填を第1の充填位置でも第2の充填位置でも矢継ぎ早に実施することができる。
【0024】
本発明の別の有利な態様によれば、充填装置によるカプセル充填ステーションでの1つのカプセルの1回の充填工程が、ステーションユニットにおける個々の全ての工程のうちの最短の工程である。特に有利には、カプセル充填ステーションでの1回の充填工程が、ある1つのステーションにおける二番目に短い工程の長さの半分の時間で行われる。
【0025】
特に有利には、カプセルホルダが、第1の列の複数のキャビティと第2の列の複数のキャビティとを有しており、第1の列と第2の列とが、互いに並列に配置されている。これによって、多数のカプセルを少ない面積に配置することができる。さらに有利には、さらに複数の互いに平行な列、たとえば3列または4列または5列を配列することができる。
【0026】
本発明の有利な態様によれば、本発明に係る装置が、さらに、第2の充填装置を備えた第2のカプセル充填ステーションを有している。これによって、たとえば第1の充填ステーションでカプセルへの部分充填が行われ、第2の充填ステーションでカプセルへの最終充填が行われることが可能となる。
【0027】
本発明の別の有利な態様によれば、運動装置が、充填装置に配置されており、この充填装置が、カプセルホルダに対して相対的に運動させられる。これによって、充填装置とカプセルホルダとの間の相対運動の高い可変性を確保することができる。
【0028】
有利には、運動装置が、駆動されるカムディスクまたはリニアモータまたはサーボモータを有している。これによって、短いサイクル時間で半径方向および鉛直方向での運動装置の運転確実な運動が可能となる。モータと充填装置との間には、択一的には、中間伝動装置が設けられてもよいし、中間要素としてキャリッジが、連結装置もしくは変向装置と組み合わせて設けられてもよく、これによって、発生させられた鉛直方向の運動が変向装置によって水平方向の運動に変換される。さらに、このためには、ねじ伝動装置(ラック/ピニオン)が使用されてもよい。択一的には、駆動装置が、機械平面もしくはステーションのベースプレートの下方に位置決めされてもよい。
【0029】
択一的または付加的には、運動装置が、カプセルホルダに配置されており、これによって、このカプセルホルダが、充填装置に対して相対的に運動させられる。しかし、この態様では、特にステーションホイールの使用時にこのステーションホイールからカプセルホルダが取り外されなければならず、充填装置に対して相対的に運動させられなければならないという欠点がある。
【0030】
さらに有利には、運動装置が、カム軌道を備えたガイドエレメントを有している。これによって、最小限に抑えられた構成部材個数およびコンパクトな構造体積でカプセルホルダの運転確実な半径方向の運動が達成される。
【0031】
本発明の別の有利な態様によれば、さらに、スライダガイド機構が設けられており、これによって、カプセルホルダが、第1の位置および第2の位置にもたらされる。これによって、本発明に係る装置の休止時間の間、カプセルホルダの半径方向の運動が可能となる。したがって、キャビティの第1の列に位置するカプセルへの充填物の充填後、カプセルホルダの第2の列への位置決めを簡単に行うことができ、その後、この第2の列に位置する全てのカプセルに充填物を連続して充填することができる。これによって、より短いサイクル時間を有する改善された機械効率が達成される。この態様では、スライダの駆動が、純粋に機械的に行われてもよいし、リニアモータまたはサーボモータを用いてカム伝動装置を介して行われてもよい。より小さな出力の場合には、択一的には、ニューマチック式の駆動装置の使用も可能である。
【0032】
1回の迅速な充填工程のためには、充填装置が、有利には、直列に配置された複数の充填ユニットを有しており、これによって、1つの列の複数のカプセルに充填物が同時に充填される。特に有利には、充填ユニットの個数が、カプセルホルダの1つの列におけるカプセルキャビティの個数に対応している。さらに有利には、充填装置が、特に圧力・真空式の充填装置である。この圧力・真空式の充填装置では、所定の充填量が真空によって吸い込まれ、圧力もしくは正圧によって放出される。
【0033】
有利には、充填装置が、蓄え容器と充填ステーションとの間に設けられたフレキシブルな製品供給部材を有している。これによって、運動させられる充填ステーションへの最適な製品供給が可能となる。より良好に清浄化すると共に製品特性への影響を阻止するためには、供給部材を鋼から製造しかつ旋回可能に形成することが有利である。蓄え容器もしくは充填ステーションと、旋回可能な製品供給部材との間には、それぞれフレキシブルなシール部材が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】充填物を小分けするための本発明の第1の実施の形態に係る装置の概略的な平面図である。
【
図2】
図1のうちの充填装置の第1の位置における概略的な断面図である。
【
図3】
図1のうちの充填装置の第2の位置における概略的な断面図である。
【
図4】
図2および
図3の充填装置に対する運動装置の概略的な断面図である。
【
図5】
図2および
図3の充填装置に対する択一的な運動装置の概略的な断面図である。
【
図6】スライダガイド機構を含む第2の実施の形態の運動装置の第1の位置における斜視図である。
【
図7】
図6の運動装置の第2の位置における斜視図である。
【
図8】
図6の第1の位置におけるスライダガイド機構の拡大図である。
【
図9】
図7の第2の位置におけるスライダガイド機構の拡大図である。
【0035】
発明の有利な実施の形態
以下に、本発明の有利な実施の形態を添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
まず、
図1〜
図5を参照しながら、粉末状の充填物21を小分けするための装置20の第1の有利な実施の形態を詳細に説明する。
【0037】
図1には、装置20の概観が示してある。この装置20は、全部で12個のステーション1〜12を備えたステーションホイール40を有している。このステーションホイール40には、周面に沿って全部で12個のカプセルホルダ30が配置されている。各カプセルホルダ30は、カプセル22を収容するための多数のキャビティ31,32を有している。これらのキャビティ31,32は、各カプセルホルダ30において二列で、つまり、第1の列R1および第2の列R2で互いに並列に配置されている。ステーションホイール40の回転方向は矢印Aによって図示してある。
【0038】
ステーションホイール40の各ステーションは以下の通りである。ステーション1では、蓄え場所から、カプセル下側部分23とカプセル上側部分24とを有する空の閉鎖されたカプセルが供給される。このカプセルは個々にそれぞれカプセルホルダ30の1つのキャビティ31内に導入される。
【0039】
ステーション2では、カプセル22が開放される。すなわち、カプセル上側部分24がカプセル下側部分23から取り外され、これによって、このカプセル下側部分23がキャビティ31内に残される。
【0040】
なお、付言しておくと、カプセルの供給および開放は同一のステーションで行われてもよい。また、たとえば、ステーション1で第1の列R1がカプセルで埋められ、そして、ステーション2で第2の列R2がカプセルで埋められ、両ステーションにおいて、有利には一様に開放されてもよい。
【0041】
ステーション3,4は、本実施の形態では使用されていない。
【0042】
ステーション5は、開放されたカプセル22に粉末状の充填物21を充填する充填ステーションである。このためには、充填装置25が設けられている。この充填装置25は、
図2および
図3に詳細に示してある。充填装置25は、計量ホイール26と蓄えホッパ27とを有している。この蓄えホッパ27内には、粉末状の充填物21が配置されている。充填装置25は、
図2および
図3には見ることができない運動装置を有している。この運動装置は充填装置25を二方向、つまり、第1の方向Xおよび第2の方向Yに運動させる。両方向X,Yは互いに直交していて(
図1参照)、充填装置25を1つの水平な平面内で運動させる。運動装置は、有利には、充填装置25を両方向X,Yに運動させる2つの別個の駆動装置を有している。
図2には、充填工程の開始位置が示してある。充填装置25は、複数のキャビティのうち、第1の列R1の1つのキャビティ31の上方に配置されていて、したがって、第1の充填位置に位置決めされている。計量ホイール26は、第1の計量チャンバ28aと第2の計量チャンバ28bとを有している。
図2に示した位置では、受取り位置Eで第1の計量チャンバ28a内に真空によって小さな充填量50が吸い込まれる。その後、計量ホイール26が矢印Bの方向に180°だけ回動させられ、小さな充填量50を引渡し位置Fで圧縮空気によって引き渡し、これによって、充填量50がカプセル下側部分23内に落下する。その後、
図3から明らかであるように、充填装置25が方向Xへの運動を実施し、これによって、引渡し位置Fが、第2の列R2の1つのキャビティ32の上方の第2の充填位置に位置決めされている。その後、第2の充填量51が同様に第2の列R2のキャビティ32内のカプセル下側部分23内に詰め込まれている。いま、第2の列R2において後続のキャビティ32内の次ぎのカプセル下側部分23に充填物21を充填するためには、充填装置25が方向Yに運動させられ、そして、次ぎのキャビティ32内のカプセル下側部分23に充填物21が充填される。その後、充填装置25が再び方向Xに運動させられ、これによって、第1の列R1における次ぎのカプセル下側部分23に充填物21が充填されるようになっている。択一的には、充填装置25が、第1の列R1において予め充填されるカプセル下側部分23への充填後、第2の方向Yで後続の第1の充填位置に運動させられ、これによって、第1の列R1における後続のカプセル下側部分23に充填物21が充填されてもよい。同様にして、第2の列R2におけるカプセル下側部分23への予め行われた充填後、第2の方向Yへの運動が行われ、これによって、第2の列R2における後続のカプセル下側部分23に充填物21を充填することもできる。したがって、充填装置25を第1の方向Xもしくは第2の方向Yで各第1の充填位置および各第2の充填位置へ任意に連続的に水平に相対運動させることによって、1つのカプセルホルダ30の全てのカプセル下側部分23に可変の順序で充填物21を充填することが可能となる。蓄えホッパ27は常に一緒に運動させられるので、常に十分な量の充填物21が存在している。特に有利には、計量ホイール26が、互いに90°の角度間隔を置いて配置された4つの計量チャンバを有していてもよい。この形態では、計量ホイール26が、充填物21の受取りおよび引渡しのために、その都度90°だけさらに回動させられる。なお、付言しておくと、択一的には、充填装置25が直列に複数の充填ユニットを有していてもよい。この形態では、充填ユニットの個数が、列R1,R2におけるキャビティ31,32の個数に等しいかもしくはキャビティ31,32の個数の倍数であるかまたは部分量である。
【0043】
場合により、ステーション6にも、さらに、別の充填装置が設けられていてよく、これによって、たとえば、ステーション5に設けられた第1の充填装置が部分充填を行い、ステーション6に設けられた第2の充填装置が、最後の最終充填および充填量の正確な計量を行う。
【0044】
ステーション7では、たとえば、充填されたカプセルを検査するために、秤量装置が設けられていてよい。
【0045】
ステーション8は、損傷したカプセルまたは充填されていないカプセルまたは誤って充填されたカプセルを排出することができる突出したステーションである。
【0046】
ステーション9では、カプセル上側部分24が再び、すでに充填されたカプセル下側部分23の上方に位置決めされ、ステーション10でカプセルが再び閉鎖される。これは、たとえばカプセル下側部分23へのカプセル上側部分24の下降によって行うことができる。
【0047】
ステーション11は、充填されたカプセルの放出ステーションであり、ステーション12は、カプセルホルダ30を清浄化するクリーニングステーションであり、これによって、キャビティ31内へのカプセルの誤充填もしくは誤った収容が回避される。
【0048】
図4には、充填装置25に配置された運動装置50が示してある。この運動装置50は、X方向において充填装置25とカプセルホルダ30との間の相対運動を実施する。
図4から明らかであるように、運動装置50はキャリッジ53を有している。このキャリッジ53は、一方の端部で充填装置25に取り付けられていて、保持装置55において支承部材54によって移動可能に支持されているかもしくは支承されている。キャリッジ53の反対の側の端部は、カムディスク51に回動可能に取り付けられている。このカムディスク51は、駆動装置52、たとえばサーボモータによって矢印方向Kに運動させられ、ひいては、キャリッジ53を充填装置25を含めてX方向に運動させる。これによって、充填装置25が、カプセルホルダ30の第1の列R1の上方の
図4に示した位置から、カプセルホルダ30の第2の列R2の上方の位置に移動させられる。カムディスク51に付与された形状に相応して、駆動されるカムディスク51の続く回動によって、逆のX方向への相応の運動が行われる。運動装置50と充填装置25とは、本実施の形態では、主として、1つの共通の平面に配置されている。
【0049】
引き続き、
図4から明らかであるように、さらに、充填装置25はフレキシブルな製品供給部材200を有している。この製品供給部材200は管状に形成されていて、蓄え容器210と蓄えホッパ27との間に旋回可能に配置されている。これによって、蓄え容器210から、運動させられる充填ステーション25への充填物21の最適な供給が達成される。
【0050】
図5に示したように、択一的には、カムディスク61を駆動装置62を含めてステーション5のベースプレート67の下方に配置した運動装置60が設けられてもよい。この運動装置60は、ベースプレート67に組み付けられた保持装置68を有している。この保持装置68には、第1のキャリッジ63が第1の支承部材64によって移動可能に支持される。第1のキャリッジ63の一方の端部はカムディスク61に回動可能に結合されている。このカムディスク61は、有利にはサーボモータの形態の駆動装置62によって駆動される。第1のキャリッジ63の反対の側の端部は、変向装置65を介して第2のキャリッジ66に結合されている。この第2のキャリッジ66は、保持装置68において第2の支承部材67によって移動可能に支承されている。
【0051】
図5から明らかであるように、充填装置25をカプセルホルダ30の第1の列R1から第2の列R2に移動させる方向Xにおける運動への方向Sでの第1のキャリッジ63のほぼ垂直な運動が発生させられる。Y方向への充填装置25の運動のための駆動装置は、図面を簡単にするために、それぞれ
図4および
図5には示していない。Y方向への駆動装置は、X方向への駆動装置と同様に形成することができる。択一的には、リニア駆動装置が設けられてもよい。
【0052】
したがって、充填装置25とカプセルホルダ30との間での高い可変性を伴った運動装置50;60の運転確実な運動が可能となる。さらに、これによって、著しく短縮されたサイクル時間でのカプセルの急速な充填が保証される。さらに、本発明に係る装置20のステーションホイール40におけるあらゆるスペース状況に相応した運動装置50,60のフレキシブルな適合もしくは組込みが可能となる。
【0053】
次ぎに、
図6〜
図9を参照しながら、粉末状の充填物を小分けするための装置20の第2の有利な実施の形態を詳細に説明する。
図6〜
図9には、同一の構成部材または機能的に同一の構成部材に第1の実施の形態と同じ符号が付してある。
【0054】
前述した第1の実施の形態と異なり、この第2の実施の形態に係る装置20は運動装置70を有している。この運動装置70はステーションホイール40に配置されていて、半径方向もしくはX方向において充填装置25とカプセルホルダ30との間の相対運動を実施する。このためには、運動装置70が、カム軌道72を備えたガイドエレメント71を有している。さらに、このガイドエレメント71には、直線運動機構であるスライダガイド機構73が設けられている。このスライダガイド機構73には、凹部74(
図8参照)が形成されている。この凹部74内には、保持部材75が取り付けられている(
図6参照)。この保持部材75によって、カプセルホルダ30が、保持部材75に位置固定されたロッド76を介して運動装置70に取り付けられている。
【0055】
方向Aへのステーションホイール40の回転運動時には、カプセルホルダ30が、カム軌道72に付与された形状に相応して、ここには図示していない充填装置25に対して相対的に半径方向もしくはX方向に運動させられる。その際、スライダガイド機構73は、
図6および
図8にそれぞれ矢印により示した第1の位置Bに位置しており、これによって、カプセルホルダ30内に位置するカプセル下側部分23の一方の列R1(
図6参照)に充填物を充填することができる。
【0056】
列R1に隣り合った列R2に位置するカプセル下側部分23に充填物を充填するためには、スライダガイド機構73がステーションホイール40の静止状態で第1の位置Bから、
図9に矢印により示した第2の位置Cに移動させられる。スライダガイド機構73のこの第2の位置Cでは、このように位置決めされたカプセルホルダ30の第2の列R2におけるカプセル下側部分23への充填物の充填を行うことができる(
図7参照)。
【0057】
なお、付言しておくと、択一的には、前述した両運動装置を組み合わせることも可能であり、これによって、充填装置もカプセルホルダも運動させることができる。これによって、使用されるカプセルホルダと充填ステーションとの一層迅速な位置決めが可能となる。したがって、個々の使用形態において、機械効率の更なる向上を達成することができる。ただし、これによって、機械手間も増大させられる。さらに付言しておくと、充填装置25は、二番目に短い処理時間を有するステーションの時間の半分である充填時間を有している。これによって、ステーションホイール40の設定されたサイクルを極めて良好に維持することが可能となる。特に5つの充填ユニットを備えた充填装置の使用時には、カプセルホルダ30の第1の列R1にも第2の列R2にも、ただ1つのステーションで充填物を充填することができる。
【0058】
カプセル22内に充填物21を小分けするための本発明に係る装置20は、有利には、カプセルに薬剤を充填するために使用される。
【符号の説明】
【0059】
1〜12 ステーション
20 装置
21 粉末状の充填物
22 カプセル
23 カプセル下側部分
24 カプセル上側部分
25 充填装置
26 計量ホイール
27 蓄えホッパ
28a 第1の計量チャンバ
28b 第2の計量チャンバ
30 カプセルホルダ
31,32 キャビティ
40 ステーションホイール
50 小さな充填量または運動装置
51 第2の充填量またはカムディスク
52 駆動装置
53 キャリッジ
54 支承部材
55 保持装置
61 カムディスク
62 駆動装置
63 第1のキャリッジ
64 第1の支承部材
65 変向装置
66 第2のキャリッジ
67 ベースプレート
68 保持装置
70 運動装置
71 ガイドエレメント
72 カム軌道
73 スライダガイド機構
74 凹部
75 保持部材
76 ロッド
200 製品供給部材
210 蓄え容器
A 回転方向
B 計量ホイールの回転方向または第1の位置
C 第2の位置
E 受取り位置
F 引渡し位置
K カムディスクの運動方向
R1 第1の列
R2 第2の列
X 第1の方向
Y 第2の方向