【実施例】
【0018】
例において、材料は25mm二軸押出機で製造した。266−375°F
(130−190.56℃)の温度プロフィールを用いて約300rpmのスクリュ速度にて、380−400°F
(193.33−204.44℃)の範囲に及ぶ溶融温度を生じさせ、材料を処理した。製造された生成物は、350−400°F
(176.67−204.44℃)の温度プロフィールを用いて約50rpmのスクリュ速度にて、約400°F
(204.44℃)の溶融温度を生じさせ、単軸押出機を使用して厚さ3ミルのフィルムに加工した。生じた弾性フィルムを約41°F
(5℃)に設定したチルロール上で回収した。本発明の組成物の複数の特性について試験を行った。
【0019】
ASTM D−1238に従って200℃、荷重5kgにてメルトフローレートを測定し、この測定による単位は、S−B−SまたはS−I/B−Sでは10分当たりのポリマーのグラム数、または組成物では10分当たりのエラストマー組成物のグラム数(これは表1で測定した組成物のMFRである。)に基づく。このためS−B−S、S−I/B−Sおよびエラストマー組成物の両方のメルトフローレートをASTM D−1238に従って測定する(2010年6月に使用した試験)。D1102(例で用いたSBS)は、200℃、荷重5kgで測定した場合に、14g/10分のメルトフローレートを有する。D1171(例で用いたS−I/B−S)は、200℃、荷重5kgで測定した場合に、10g/10分のメルトフローレートを有する。例および本発明で用いたSBSおよびS−I/B−Sポリマーでは、MFRは、ASTM D−1238に従って200℃および荷重5kgにて測定した場合、約5gポリマー/10分以上である。
【0020】
フィルムの引張特性およびヒステリシス特性について試験を行った。引張試験は、ドッグボーン構造物を使用して、1インチゲージ長および2インチ/分のクロスヘッド速度で行った。ヒステリシス特性の試験を行い、物品の弾性特徴を決定した。ヒステリシス実験の間に、幅1/2インチおよび長さ5インチのストリップを弾性フィルムから切り出し、10インチ/分のクロスヘッド速度にて3インチゲージ長に基づいて100%、300%または400%ひずみまで伸長させる。最大ひずみに達した後、試験片をただちに負荷0に、また10インチ/分のクロスヘッド速度に戻す。このサイクルの後に、永久ひずみを負荷0におけるひずみの%として計算する。回復エネルギーは、荷重曲線下面積から、荷重曲線下面積で割った除荷曲線下面積を引いて計算し、%で表す。完全エラストマーであれば、0%の永久ひずみおよび100%の回復エネルギーを示す。本発明では、100%ヒステリシスおよび300%ヒステリシスで回復エネルギーおよび永久ひずみの試験を行った。
【0021】
最後に、複素粘度(Pa・秒で報告)および粘度安定性を、平行平板型レオメータ内で窒素が豊富な環境で30分後に400°F
(204.44℃)にて0.1rad/秒および10%ひずみで測定した。これらの測定には、1mmのギャップ設定を使用した。粘度安定性は、30分の期間にわたる最大パーセント変化として表す。
【0022】
[例1]
例1は、59重量%のスチレン−ブタジエン−スチレンカップリングコポリマー(クレイトンD1102)および40重量%のスチレン−イソプレン−スチレン直鎖コポリマー(クレイトンD1114)を0.25重量%のイルガノックス1010、0.25重量%のイルガフォス168および0.50重量%のスミライザーGSとブレンドした技術水準の組成物を使用する比較例である。このため成分の総重量は100重量%に達する。本配合物では、ブタジエン%が42.2%であることに留意する。配合物中のブタジエンがこのレベルであると、粘度は安定的ではなく、54%の最大%変化を有する。大規模な商用装置で処理する場合、このような粘度の不安定性により、ゲルが生成して、結果として不十分なフィルムまたはファイバが生じる。本組成物の試験結果を表1に示す。
【0023】
[例2]
例2は、S−I/B−Sを使用する比較例である。本組成物は99重量%のD1171であり、例1で示したのと同量のイルガノックス1010、イルガフォス168およびスミライザーGSを含み、このため本組成物の成分は合計で100重量%となる。本配合物中のブタジエンは23.8%である。安定な溶融粘度を維持しながら、実質的により高いパーセントでブタジエンを含むことは困難である。本組成物は、大規模フィルムまたはファイバ生産ではゲル生成は生じないが、引張強度は例1のほぼ半分である。例2における組成物の試験結果を表1に示す。
【0024】
[実施例3]
本発明の実施例3は、59重量%のカップリングSBSブロックコポリマー(D1102)および40重量%のD1171のS−I/B−Sを含む。添加剤は、例1で用いたのと全く同じ商品名および量である。ブタジエンパーセントは51.8%であるが、本組成物は配合物中により高いブタジエンパーセントを有し、このことによって例2に似た安定した粘度プロフィールが生じる。加えて、本配合物は、例2と比べて85%の引張強度の上昇も示している。本ブロックコポリマー組成物の試験結果を表1に示す。
【0025】
[実施例4]
実施例4は、成分を最初にドライブレンドして、次にフィルムへと溶融押出したことを除いて実施例3の再現であり、試験結果を表1に示す。実施例3では、成分を押出機内で溶融形態で共にブレンドした。もちろん実施例4において、配合物中のブタジエンパーセントは実施例3と同じままである。
【0026】
[例5]
例5では、SBSおよびS−I/B−Sの量を実施例3および4と比べて逆転させた。このため例5は、40重量%がカップリングSBSブロックコポリマーD1102であり、59重量%のS−I/B−SがD1171を使用して用いられる比較例である。本比較組成物の添加物一式は、例1で示したものと同じである。本組成物は、1600psiの所望のレベルよりも低い引張強度を生じる。結果を表1で報告する。
【0027】
[実施例6および7]
実施例6および7は、本発明をさらに実証し、それぞれ71および51重量%のカップリングSBSブロックコポリマー(D1102)ならびにそれぞれ28および48重量%のD1171のS−I/B−Sを含む。添加剤は、例1で用いたのと全く同じ商品名および量である。ブタジエンパーセントは57.6%および48.0%であり、例2と同様の安定な粘度プロフィールを生じる。加えて、これらの配合物は、1600psiを超える引張強度と、300%ヒステリシスでの70%の回復エネルギーおよび20%の永久ひずみも示す。本ブロックコポリマー組成物の試験結果を表1に示す。
【0028】
[実施例8]
実施例8は本発明をさらに実証し、66重量%のカップリングSBSブロックコポリマー(D1102)および23重量%のD1171のS−I/B−Sおよび10%の汎用結晶性ポリスチレン(200°C、荷重5kg MFRで測定した場合に18g/10分を有するEA3710、アメリカスチレニックス(AmericasStyrenics)から入手可能なポリスチレン)を含む。添加剤は、例1で用いたのと全く同じ商品名および量である。ブタジエンパーセントは52.8%であり、1600psiを超える非常に高い引張強度と、300%ヒステリシスでの80%の回復エネルギーおよび15%の永久ひずみを持つ、ゲルを含まないフィルムを生じる。本エラストマー組成物の試験結果を表1に示す。
【0029】
図面を参照して、例1の従来組成物は非常に高い初期粘度および54%の最大粘度変化を有することに留意する。このため例1の粘度の安定性は非常に低い。スチレン系ブロックコポリマーがS−I/B−Sである比較例2は、例1よりも実質的に低い初期粘度を有し、このことによって加工が容易となり、また、わずか18%の最大変化を持つ例1よりもはるかに安定である。最後に、直鎖ブロックコポリマーSBSと直鎖ブロックコポリマーS−I/B−Sとが組合されている実施例3の初期粘度は、例2と同様であり、同時に最大変化がわずか15%で同様の粘度安定性も維持している。このため本発明に関しては、粘度安定性だけに着目すれば、例2および実施例3が望ましい。しかし、実施例3のみが所望の粘度安定性および高い引張強度属性の組合せを生じる。同様に、実施例4および6−8も、表1に示すように1600psiを超える引張強度および25%未満の最大粘度変化の所望の組合せを示す。
【0030】
【表1】
【0031】
(従来)技術水準の組成物は、比較例である例1である。例1は、引張強度が非常に高いが、粘度安定性は非常に低い。比較例2は比較により、粘度安定性は非常に良好であるが、引張強度は非常に低い。実施例3、4、6および7(本発明の実施例)は、例1の技術水準の組成物と同じか、やや優れた引張強度を有し、非常に良好な粘度安定性を有し、組成物中に48重量%以上のブタジエンパーセントを有する。最後に、粘度安定性の試験を行わなかった比較例5は、例2よりもはるかに低い引張強度を有する。結果として、実施例3、4、6および7と例5との間のスチレン系ブロックコポリマー配合物の相違により、SBSカップリングブロックコポリマーは組成物の少なくとも約50重量%であるべきことが示されている。
【0032】
このため本発明により、本明細書に示した目的、意図および利点を十分に満足する物品が提供されたことが明らかである。本発明を本発明の具体的な実施形態と併せて説明したが、多くの代替形態、変更形態および変形形態が上記説明に照らして当業者には明らかになることが明白である。従って本発明は、意図される請求項の精神および広範な範囲に含まれるこのようなすべての代替形態、変更形態および変形形態を包含することが意図されている。