【実施例】
【0082】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0083】
<原材料>
(合成例1)カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂J
メタロセン触媒を重合触媒として用いて製造した、プロピレン単位97モル%及びエチレン単位3モル%からなるプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR:10g/10分、融点:85℃;以下、「プロピレン系ランダム共重合体A」という)100質量部、無水マレイン酸2質量部、ラウリルメタクリレート1質量部及びジ−t−ブチルパーオキサイド1.5質量部を、シリンダー部の最高温度を170℃に設定した二軸押出機を用いて混練して反応させた。その後、押出機内にて減圧脱気を行い、残留する未反応物を除去して、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂J(B成分)を合成した。このカルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Jは、130℃で測定したMFRが12g/10分であり、カルボキシル基の含有量は、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂(樹脂J)1g当たり0.4mmolであった。
【0084】
(合成例2)カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂K
プロピレン系ランダム共重合体Aに代えて、メタロセン触媒を重合触媒として用いて製造した、プロピレン単位97モル%及びエチレン単位3モル%からなるプロピレン−エチレンランダム共重合体B(MFR:5g/10分)を用いた以外は、合成例1と同様にして、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂K(B成分)を合成した。このカルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Kは、130℃で測定したMFRが8g/10分であり、カルボキシル基の含有量は、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂(樹脂K)1g当たり0.4mmolであった。
【0085】
(合成例3)カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂L
プロピレン系ランダム共重合体Aに代えて、メタロセン触媒を重合触媒として用いて製造した、プロピレン単位97モル%及びエチレン単位3モル%からなるプロピレン−エチレンランダム共重合体C(MFR:36g/10分)を用いた以外は、合成例1と同様にして、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂L(B成分)を合成した。このカルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Lは、130℃で測定したMFRが40g/10分であり、カルボキシル基の含有量は、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂(樹脂K)1g当たり0.4mmolであった。
【0086】
(合成例4)カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂X
プロピレン系ランダム共重合体Aに代えて、メタロセン触媒を重合触媒として用いて製造した、プロピレン単位97モル%及びエチレン単位3モル%からなるプロピレン−エチレンランダム共重合体D(MFR:1g/10分)を用いた以外は、合成例1と同様にして、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂X(B成分)を合成した。このカルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Xは、130℃で測定したMFRが3g/10分であり、カルボキシル基の含有量は、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂(樹脂X)1g当たり0.4mmolであった。
【0087】
(合成例5)カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Y
プロピレン系ランダム共重合体Aに代えて、メタロセン触媒を重合触媒として用いて製造した、プロピレン単位97モル%及びエチレン単位3モル%からなるプロピレン−エチレンランダム共重合体E(MFR:42g/10分)を用いた以外は、合成例1と同様にして、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Y(B成分)を合成した。このカルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Yは、130℃で測定したMFRが45g/10分であり、カルボキシル基の含有量は、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂(樹脂Y)1g当たり0.4mmolであった。
【0088】
(合成例6)カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂M
プロピレン重合体(融点:163℃)100質量部及びトルエン435質量部を撹拌機が付設された内容積1.5Lのオートクレーブに入れ、撹拌下、140℃に昇温し、プロピレン重合体を完全に溶解させた。この溶液を140℃に保ったまま、撹拌下、無水マレイン酸16質量部及びジクミルパーオキサイド1.5質量部を、それぞれ4時間かけて同時に滴下し、滴下終了後、更に140℃で1時間撹拌して、後反応を行い、変性重合体を得た。次いで、この変性重合体含有溶液を室温まで冷却し、溶液にアセトンを加えることによって変性重合体を析出させた。析出した変性重合体を繰り返しアセトンで洗浄した後、乾燥を行って、変性重合体を回収した。この変性重合体は、変性重合体における無水マレイン酸のグラフト量は2.8質量%であり、融点が156℃、カルボキシル基の含有量が変性重合体1g当たり0.6mmolであった。
【0089】
次に、前記得られた変性重合体15質量部及びトルエン85質量部を、撹拌機付きオートクレーブに入れ、130℃に加熱して変性重合体を完全に溶解させた。その後、撹拌しながら25℃/時間の冷却速度で90℃まで降温した後、5℃/時間の冷却速度で60℃まで冷却した。次いで、20℃/時間の冷却速度で30℃まで降温して、固形分(カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂M)15質量%の乳白色の均一な分散液Pを得た。前記カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂M(D成分)の、DSCで測定した融点は156℃であった。
【0090】
(合成例7)カルボキシル基を含有しないポリプロピレン樹脂N
メタロセン触媒を重合触媒として用いて製造した、プロピレン単位97モル%及びエチレン単位3モル%からなるプロピレン−エチレンランダム共重合体F(MFR:12g/10分)15質量部及びトルエン85質量部を、撹拌機付きオートクレーブに入れ、撹拌下、130℃に加熱して共重合体Fを完全に溶解させた。その後、撹拌しながら25℃/時間の冷却速度で90℃まで降温した後、5℃/時間の冷却速度で60℃まで冷却した。次いで、20℃/時間の冷却速度で30℃まで降温して、固形分(カルボキシル基を含有しないポリプロピレン樹脂N)15質量%の乳白色の均一な分散液Qを得た。
【0091】
次に、実施例1〜8及び比較例1〜4について説明する。
【0092】
<実施例1>
トルエン(有機溶媒;A成分)850g、130℃で測定したMFRが12g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂J(B成分)150g、HDI(多官能イソシアネート化合物;C成分)15gを配合してなる第1接着剤E(処理液)を作製した。前記第1接着剤Eの固形分含有率は15質量%である。また、前記第1接着剤Eにおいて、B成分(カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂)は、溶媒のトルエンに溶解している。
【0093】
厚さ40μmのアルミニウム箔4の両面に、ポリアクリル酸、三価クロム化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布し、180℃で乾燥を行って、クロム付着量が10mg/m
2となるようにした後、このアルミニウム箔4の一方の面に厚さ25μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(二軸延伸ナイロンフィルム)(耐熱性樹脂層)2を二液硬化型のウレタン系接着剤11でドライラミネートし、次いでアルミニウム箔4の他方の面4aに、前記第1接着剤E(処理液)をグラビアロール法で塗布した後、200℃の熱風乾燥炉を通過させることによって、加熱による焼き付けを行って、固着量2g/m
2の第1接着剤層5を形成せしめて、積層体30を得、次いで、
図2に示すように、押出機の押出ダイス20から押し出したプロピレン−エチレン共重合体樹脂(DSCで測定した融点が140℃、230℃で測定したMFRが21g/10分)3Xを40μmの厚さで前記第1接着剤層5の未積層面(何も積層されていない面)5aに押出ラミネート法により積層一体化することにより、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0094】
<実施例2>
第1接着剤Eに代えて、トルエン(有機溶媒;A成分)170g、130℃で測定したMFRが12g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂J(B成分)30g、HDI(多官能イソシアネート化合物;C成分)15g、合成例6で得た乳白色分散液P 800g(トルエン680g及びカルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂M120g)を配合してなる第1接着剤F(処理液)を用いると共に、押し出したプロピレン−エチレン共重合体樹脂3Xの厚さを80μmに設定した以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0095】
なお、実施例2において第1接着剤Fの固形分含有率は15質量%である。この第1接着剤F(処理液)において、B成分は、溶媒のトルエンに溶解しているが、D成分(カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂M)はトルエンに溶解せずトルエン中に分散している。
【0096】
<実施例3>
前記押出樹脂3Xとして、プロピレン−エチレン共重合体樹脂(DSCで測定した融点が140℃、230℃で測定したMFRが21g/10分)に代えて、プロピレン−エチレン共重合体樹脂(DSCで測定した融点が155℃、230℃で測定したMFRが22g/10分)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0097】
<実施例4>
前記押出樹脂3Xとして、プロピレン−エチレン共重合体樹脂(DSCで測定した融点が140℃、230℃で測定したMFRが21g/10分)に代えて、プロピレン−エチレン共重合体樹脂(DSCで測定した融点が155℃、230℃で測定したMFRが25g/10分)を用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0098】
<実施例5>
B成分として、130℃で測定したMFRが12g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Jに代えて、130℃で測定したMFRが8g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Kを用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。なお、この実施例5で使用する第1接着剤では、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Kは、溶媒のトルエンに溶解している。
【0099】
<実施例6>
B成分として、130℃で測定したMFRが12g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Jに代えて、130℃で測定したMFRが40g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Lを用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。なお、この実施例6で使用する第1接着剤では、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Lは、溶媒のトルエンに溶解している。
【0100】
<実施例7>
厚さ40μmのアルミニウム箔4の両面に、ポリアクリル酸、三価クロム化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布し、180℃で乾燥を行って、クロム付着量が10mg/m
2となるようにした後、このアルミニウム箔4の一方の面に厚さ25μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(二軸延伸ナイロンフィルム)(耐熱性樹脂層)2を二液硬化型のウレタン系接着剤11でドライラミネートし、次いでアルミニウム箔4の他方の面4aに、前記実施例1で用いた第1接着剤E(処理液)をグラビアロール法で塗布した後、200℃の熱風乾燥炉を通過させることによって、加熱による焼き付けを行って、固着量2g/m
2の第1接着剤層5を形成せしめて、積層体30を得、次いで、
図4に示すように、前記第1接着剤層5の未積層面(何も積層されていない面)5aに、押出機の押出ダイス20から押し出した押出ポリプロピレン樹脂12を介してプロピレン−エチレンランダム共重合体フィルム(DSCで測定した融点が140℃、厚さ60μm)3をサンドイッチラミネート法により積層一体化することにより、
図3に示す成形用包装材1を得た。
【0101】
<実施例8>
厚さ40μmのアルミニウム箔4の両面に、ポリアクリル酸、三価クロム化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布し、180℃で乾燥を行って、クロム付着量が10mg/m
2となるようにした後、このアルミニウム箔4の一方の面に厚さ25μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(二軸延伸ナイロンフィルム)(耐熱性樹脂層)2を二液硬化型のウレタン系接着剤11でドライラミネートし、次いでアルミニウム箔4の他方の面4aに、前記実施例1で用いた第1接着剤E(処理液)をグラビアロール法で塗布した後、200℃の熱風乾燥炉を通過させることによって、加熱による焼き付けを行って、固着量2g/m
2の第1接着剤層5を形成せしめて、積層体30を得、次いで、前記第1接着剤層5の未積層面(何も積層されていない面)5aに、プロピレン−エチレンランダム共重合体フィルム(DSCで測定した融点が140℃、厚さ40μm)を熱ラミネート法(耐熱性樹脂層面を165℃の熱ロールに接触させる態様で一対の熱ロール間で挟圧する)により積層一体化することにより、成形用包装材1を得た。
【0102】
<実施例9>
第1接着剤Eに代えて、トルエン(有機溶媒;A成分)846g、イソプロピルアルコール(有機溶媒;A成分)4g、130℃で測定したMFRが12g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂J(B成分)150g、HDI(多官能イソシアネート化合物;C成分)15gを配合してなる第1接着剤Pを用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。なお、前記第1接着剤Pの固形分含有率は15質量%である。また、前記第1接着剤Pにおいて、B成分(カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂)は、有機溶媒に溶解している。
【0103】
<実施例10>
第1接着剤Eに代えて、トルエン(有機溶媒;A成分)842g、イソプロピルアルコール(有機溶媒;A成分)8g、130℃で測定したMFRが8g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂K(B成分)150g、HDI(多官能イソシアネート化合物;C成分)15gを配合してなる第1接着剤Qを用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。なお、前記第1接着剤Qの固形分含有率は15質量%である。また、前記第1接着剤Qにおいて、B成分(カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂)は、有機溶媒に溶解している。
【0104】
<比較例1>
第1接着剤Eに代えて、ポリオール成分及びイソシアネート成分を含有してなる二液硬化型のウレタン系第1接着剤Zを用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0105】
<比較例2>
第1接着剤Eに代えて、合成例7で得た乳白色分散液Qを1000g(トルエン850g及びカルボキシル基を含有しないポリプロピレン樹脂N 150g)、HDI(多官能イソシアネート化合物)15gを配合してなる第1接着剤Wを用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。なお、前記第1接着剤Wにおいて、カルボキシル基を含有しないポリプロピレン樹脂Nは、トルエンに溶解せずトルエン中に分散している。
【0106】
<比較例3>
B成分として、130℃で測定したMFRが12g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Jに代えて、130℃で測定したMFRが3g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Xを用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0107】
<比較例4>
B成分として、130℃で測定したMFRが12g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Jに代えて、130℃で測定したMFRが45g/10分である、カルボキシル基含有ポリプロピレン樹脂Yを用いた以外は、実施例1と同様にして、
図1に示す成形用包装材1を得た。
【0108】
なお、上記各実施例、各比較例の説明で記載した融点は、株式会社島津製作所製の自動示差走査熱量計(品番:DSC−60A)を用いて昇温速度20℃/分で測定した融点である。
【0109】
上記のようにして得られた各成形用包装材について下記評価法に基づいて評価を行った。その結果を表1〜3に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
【表3】
【0113】
<ラミネート強度評価法>
成形用包装材を15mm幅にカットして測定片を作成し、80℃の雰囲気下で前記測定片のラミネート強度(第1接着剤層5とポリプロピレン層(内側層)3とのラミネート強度)を引張試験機で測定した。
(判定基準)
「◎」…5N/15mm幅以上のラミネート強度を有する
「○」…3N/15mm幅以上5N/15mm幅未満のラミネート強度を有する
「×」…ラミネート強度が3N/15mm幅未満である。
【0114】
<耐電解液性評価法>
成形用包装材を15mm幅にカットして測定片を作成し、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートを1:1の容量比で混合した混合溶媒に対して六フッ化リンリチウム塩を1モル/Lの濃度となるように溶解せしめた溶液及び前記測定片を四フッ化エチレン樹脂製の広口ボトルに入れて85℃のオーブン中に1週間保存した後、測定片を取り出して第1接着剤層5とポリプロピレン層(内側層)3の界面で剥離して両者間のラミネート強度(接着強度)を測定した。
(判定基準)
「◎」…測定された接着強度が、初期接着強度に対して保持率90%以上
「○」…測定された接着強度が、初期接着強度に対して保持率60%以上95%未満
「△」…測定された接着強度が、初期接着強度に対して保持率30%以上60%未満
「×」…測定された接着強度が、初期接着強度に対して保持率30%未満(浸漬中に層間剥離したものを含む)。
【0115】
<シール性能評価法>
株式会社オリエンテック製のテンシロンRTA−100及び株式会社ボールドウィン製の恒温槽TCF−III1−Bを用いて25℃及び80℃の条件下でシール剥離試験を行いシール性能の評価を行った。シール条件は、各成形用包装材について、シール幅5mm、シール圧0.3MPa、シール時間1秒、シール温度160℃及び180℃両面加熱で行った。
(シール性能判定基準)
「◎」…160℃でシールし25℃でシール剥離試験を行った場合及び180℃でシールし80℃でシール剥離試験を行った場合のいずれにおいても30N/15mm以上の強度が得られたもの
「○」…160℃でシールし25℃でシール剥離試験を行った場合及び180℃でシールし80℃でシール剥離試験を行った場合のいずれにおいても25N/15mm以上30N/15mm未満の強度が得られたもの
「×」…上記に該当しなかったもの(シール性能が悪い)。
【0116】
<接着剤(処理液)の貯蔵安定性評価法>
各実施例、各比較例で使用した第1接着剤(処理液)の貯蔵安定性を次のようにして評価した。即ち、内容量110mLの各ガラス製容器内にそれぞれ各第1接着剤(処理液)約100mLを入れたものを25℃の温度条件下で1ヶ月間静置した。1ヶ月間静置後の接着剤液の状態を目視により観察し、下記判定基準に基づいて評価した。
(判定基準)
「◎」…白濁や増粘がなく、外観や液の状態が初期と変わらなかった(変化がなかった;合格)
「○」…僅かな白濁や僅かな増粘が認められたが、流動性を維持していた(接着剤として問題なく使用できる;合格)
「×」…白濁し、固化していた。
【0117】
表1、2から明らかなように、本発明の実施例1〜10の成形用包装材は、十分な層間ラミネート強度が得られ、耐電解液性、シール性能に優れていた。また、実施例1〜10で使用した第1接着剤は、貯蔵安定性が良好であった。
【0118】
これに対し、第1接着剤としてウレタン系接着剤を用いた比較例1の成形用包装材では、耐電解液性に劣っていた。また、第1接着剤としてカルボキシル基を有しないポリオレフィン樹脂を含むものを用いた比較例2の成形用包装材では、層間ラミネート強度、耐電解液性、シール性能のいずれも劣っていた。また、第1接着剤として、130℃で測定したMFRが5g/10分〜42g/10分の範囲を逸脱するカルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂を含むものを用いた比較例3、4の成形用包装材では、層間ラミネート強度、シール性能に劣っていた。
【0119】
本願は、2012年2月1日付で出願された日本国特許出願の特願2012−19811号の優先権主張を伴うものであり、その開示内容は、そのまま本願の一部を構成するものである。