特許第5774154号(P5774154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5774154
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】抵抗変化型メモリ
(51)【国際特許分類】
   G11C 13/00 20060101AFI20150813BHJP
【FI】
   G11C13/00 480A
   G11C13/00 480K
   G11C13/00 464
   G11C13/00 480G
   G11C13/00 270J
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-61060(P2014-61060)
(22)【出願日】2014年3月25日
【審査請求日】2014年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】矢野 勝
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−221525(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0301337(US,A1)
【文献】 特開2010−182373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可逆性かつ不揮発性の可変抵抗素子と選択用トランジスタとがビット線とソース線との間に直列に接続されたメモリ素子を含むメモリアレイと、
行方向の選択用トランジスタを選択する行選択手段と、
列方向の可変抵抗素子を選択する列選択手段と、
可変抵抗素子の書込みを制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、選択されたビット線およびソース線に可変抵抗素子を低抵抗状態にリセットまたは高抵抗状態にセットするためのバイアス電圧を印加し、かつ前記行選択手段によって選択された選択用トランジスタのゲートにゲート電圧を印加し、
可変抵抗素子をリセットするときのゲート電圧は、電圧が徐々に増加するランプ波形のパルスまたは電圧が徐々に大きくなる複数のパルス列であり、
可変抵抗素子をセットするときのゲート電圧は、可変抵抗素子をリセットするときの最大電圧よりも小さい一定の電圧値を有するパルスである、可変抵抗型メモリ。
【請求項2】
前記制御手段は、リセットされた可変抵抗素子の合否およびセットされた可変抵抗素子の合否を検証するベリファイ手段を含み、前記ベリファイ手段によってリセットとされた可変抵抗素子が不合格であるとき、当該可変抵抗素子に前記ランプ波形のパルスまたは前記複数のパルス列をさらに印加して書込みを行い、前記ベリファイ手段によってセットされた可変抵抗素子が不合格であるとき、当該可変抵抗素子に前記一定の電圧値を有するパルスをさらに印加して書込みを行う、請求項1に記載の可変抵抗型メモリ。
【請求項3】
リセットされた可変抵抗素子が不合格であるとき、当該可変抵抗素子に関するビット線に第1のバイアス電圧が印加され、かつソース線に第2のバイアス電圧が印加され、リセットされた可変抵抗素子が合格であるとき、当該可変抵抗素子に関するビット線およびソース線に第2のバイアス電圧が印加され、
セットされた可変抵抗素子が不合格であるとき、当該可変抵抗素子に関するビット線に第3のバイアス電圧が印加され、かつソース線に第4のバイアス電圧が印加され、セットされた可変抵抗素子が合格であるとき、当該可変抵抗素子に関するビット線およびソース線に第4のバイアス電圧が印加される、請求項2に記載の可変抵抗型メモリ。
【請求項4】
前記第3のバイアス電圧は、前記ベリファイ手段による検証より前に実施された書込み時のビット線に印加されるバイアス電圧よりも小さい、請求項3に記載の可変抵抗型メモリ。
【請求項5】
前記ベリファイ手段は、選択されたワード線内の複数のリセットまたはセットされた可変抵抗素子の個々のベリファイをワード線単位で実行する、請求項ないし4いずれか1つに記載の可変抵抗型メモリ。
【請求項6】
前記ベリファイ手段は、選択されたワード線内の複数のリセットまたはセットされた可変抵抗素子の個々のベリファイをワード線単位で実行する、請求項4または5に記載の可変抵抗型メモリ。
【請求項7】
可逆性かつ不揮発性の可変抵抗素子と選択用トランジスタとがビット線とソース線との間に直列に接続されたメモリ素子を含むメモリアレイを含む可変抵抗型メモリの書込み方法であって、
選択されたビット線およびソース線に可変抵抗素子を低抵抗状態にリセットまたは高抵抗状態にセットするためのバイアス電圧を印加し、かつ選択された選択用トランジスタのゲートにゲート電圧を印加し、
可変抵抗素子をリセットするときのゲート電圧は、電圧が徐々に増加するランプ波形のパルスまたは電圧が徐々に大きくなる複数のパルス列であり、
可変抵抗素子をセットするときのゲート電圧は、可変抵抗素子をリセットするときの最大電圧よりも小さい一定の電圧値を有するパルスである、書込み方法。
【請求項8】
書込み方法はさらに、リセットされた可変抵抗素子の合否およびセットされた可変抵抗素子の合否を検証するベリファイステップを含み、前記ベリファイステップによってリセットとされた可変抵抗素子が不合格であるとき、当該可変抵抗素子に前記ランプ波形のパルスまたは前記複数のパルス列をさらに印加して書込みを行い、前記ベリファイステップによってセットされた可変抵抗素子が不合格であるとき、当該可変抵抗素子に前記一定の電圧値を有するパルスをさらに印加して書込みを行う、請求項7に記載の書込み方法。
【請求項9】
リセットされた可変抵抗素子が不合格であるとき、当該可変抵抗素子に関するビット線に第1のバイアス電圧が印加され、かつソース線に第2のバイアス電圧が印加され、リセットされた可変抵抗素子が合格であるとき、当該可変抵抗素子に関するビット線およびソース線に第2のバイアス電圧が印加され、
セットされた可変抵抗素子が不合格であるとき、当該可変抵抗素子に関するビット線に第3のバイアス電圧が印加され、かつソース線に第4のバイアス電圧が印加され、セットされた可変抵抗素子が合格であるとき、当該可変抵抗素子に関するビット線およびソース線に第4のバイアス電圧が印加される、請求項8に記載の書込み方法。
【請求項10】
前記第3のバイアス電圧は、前記ベリファイステップによる検証より前に実施された書込み時のビット線に印加されるバイアス電圧よりも小さい、請求項9に記載の書込み方法。
【請求項11】
書込み方法はさらに、選択されたワード線内の複数のリセットまたはセットされた可変抵抗素子の個々のベリファイをについてワード線単位で実行する、請求項10に記載の書込み方法。
【請求項12】
書込み方法はさらに、選択されたワード線内の複数のリセットまたはセットされた可変抵抗素子の個々のベリファイをについてワード線単位で実行する、請求項10または11に記載の書込み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変抵抗素子を利用した抵抗変化型メモリに関し、特に抵抗変化型メモリのリセットおよびセットの書込みに関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュメモリに代わる不揮発性メモリとして、可変抵抗素子を利用した抵抗変化型メモリが注目されている。抵抗変化型メモリは、金属酸化物などの膜にパルス電圧を印加し、膜の抵抗を可逆的かつ不揮発的に設定することでデータを記憶するメモリとして知られている。抵抗変化型メモリは、電圧でデータを書き換えることができるため(電流が微量で)消費電力が小さく、また、1トランジスタ+1抵抗からなる比較的単純な構造のためセル面積が約6F2(Fは配線の径で、数十nm程)と小さく、高密度化が可能であり、さらに、読み出し時間が10ナノ秒程度とDRAM並に高速であるという利点がある(特許文献1、2等)。
【0003】
図1は、従来の抵抗変化型メモリのメモリアレイの典型的な構成を示す回路図である。1つのメモリ素子は、可変抵抗素子とこれに直列に接続されたアクセス用または選択用のトランジスタとから構成される。m×n(m、nは、1以上の整数)個のメモリ素子が二次元アレイ状に形成され、選択用トランジスタのゲートにワード線WLが接続され、選択用トランジスタの一方の電極が可変抵抗素子の一方の電極に接続され、他方の電極がソース線SLに接続される。可変抵抗素子の他方の電極はビット線BLに接続される。
【0004】
可変抵抗素子は、例えば、酸化ハフニウム(HfOx)等の金属酸化物の薄膜から構成され、印加されるパルス電圧の大きさおよび極性によって抵抗値を低抵抗状態または高抵抗状態に可逆的にかつ不揮発性に設定することができる。可変抵抗素子を高抵抗状態に設定(書込み)することをセット(SET)、低抵抗状態に設定(書込み)することをリセット(RESET)という。
【0005】
メモリ素子は、ワード線WL、ビット線BLおよびソース線SLを選択することにより、ビット単位でアクセスすることができる。例えば、セルユニットM11に書込みを行う場合には、ビット線BL1、ソース線SL1にセットまたはリセットに応じた電圧を印加し、ワード線WL1によってトランジスタをオンさせる。これにより、可変抵抗素子がセットまたはリセットされる。セルユニットM11の読み出しを行う場合には、ビット線BL1、ソース線SL1に読み出しのための電圧を印加し、ワード線WL1によってトランジスタをオンさせる。ビット線BL1には、可変抵抗素子のセットまたはリセットに応じた電圧または電流が表れ、これがセンス回路によって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−64286号公報
【特許文献2】特開2008−41704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸化ハフニウム(HfOx)等の金属酸化物の薄膜を可変抵抗素子の材料に用いる場合、初期設定として金属酸化物をフォーミングしなければならない。通常、フォーミングは、可変抵抗素子を書込むときよりも幾分大きな電圧Vfを薄膜に印加することにより実施され、電圧を印加したときに薄膜を流れる電流の向きによって、セットおよびリセットの極性が決定される。このようなフォーミングは、抵抗変化型メモリを出荷する前に行われる。
【0008】
図2(A)にフォーミングの一例を示す。例えば、ビット線BLに0V、ソース線SLにフォーミング電圧として4Vを印加し、ワード線WLに選択用トランジスタTがオンするのに必要な電圧6Vを印加する。これにより、可変抵抗素子Rには、ソース線SLからビット線BLに向けて電流が流れ、フォーミングが行われる。フォーミングが行われたとき、可変抵抗素子Rは、高抵抗状態、すなわちセットされた状態である。
【0009】
可変抵抗素子Rをリセット、すなわち低抵抗状態にするには、図2(B)に示すように、例えば、ビット線BL=0V、ソース線SL=2V、ワード線WL=4Vを印加する。これにより、可変抵抗素子Rにはソース線SLからビット線BLに向けて電流が流れ、可変抵抗素子Rにリセットが設定される。可変抵抗素子Rをセットするには、図2(C)に示すように、例えば、ビット線BL=2V、ソース線SL=0V、ワード線WL=4Vを印加する。これにより、可変抵抗素子Rにはビット線BLからソース線SLに向けて電流が流れ、可変抵抗素子Rにセットが設定される。このように、可変抵抗素子Rをリセットさせるには、SL>BLのバイアス電圧を印加し、セットさせるには、SL<BLのバイアス電圧を印加する。
【0010】
しかしながら、可変抵抗素子をリセットさせるとき、つまり、可変抵抗素子Rの電極間に金属酸化物を成長させるとき、金属酸化物の成長は必ずしも一様に再現性良く行われるものではない。リセットされた可変抵抗素子の中には、いわゆるテールビットと呼ばれる、正常にリセットされた可変抵抗素子よりも大きな電流を流すものが発生する。図3は、リセットされた可変抵抗素子の電流分布の特性を示している。同図は、金属酸化物として酸化ハフニウムの単層を用い、膜厚が7nm、5nmのときのグラフを示している。ここでは、リセットされた可変抵抗素子が1μA以上の電流を流すものをテールビットとしている。正常にリセットされた可変抵抗素子は、全体の3σ以内に収まるが、残りの約0.3%にテールビットの可変抵抗素子が発生する。テールビットのように、より大きな電流を流す可変抵抗素子は、素子の劣化が速くなり、故障を招き易くなる。さらに、そのような可変抵抗素子をセットしようとしても、通常のバイアス電圧によって正常にセットすることができない場合がある。それ故、テールビットの発生を抑制することが望まれる。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、信頼性の高いセットおよびリセットの書込みを行うことができる可変抵抗型メモリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る可変抵抗型メモリは、可逆性かつ不揮発性の可変抵抗素子と選択用トランジスタとがビット線とソース線との間に直列に接続されたメモリ素子を含むメモリアレイと、行方向の選択用トランジスタを選択する行選択手段と、列方向の可変抵抗素子を選択する列選択手段と、可変抵抗素子の書込みを制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、選択されたビット線およびソース線に可変抵抗素子をリセットするためのバイアス電圧を印加し、かつ前記行選択手段によって選択された選択用トランジスタのゲートに電圧が徐々に増加するようなパルスを印加する。
【0013】
好ましくは前記パルスは、ランプ波形のパルスである。好ましくは前記パルスは、電圧が徐々に大きくなる複数のパルス列である。好ましくは前記制御手段は、リセットされた可変抵抗素子の合否を検証するベリファイ手段を含み、前記ベリファイ手段によって不合格とされた可変抵抗素子に前記パルスをさらに印加する。好ましくは前記ベリファイ手段は、選択されたワード線内の複数のリセットされた可変抵抗素子の個々のベリファイをワード線単位で実行する。好ましくは前記ベリファイ手段は、選択されたワード線内の複数のリセットおよびセットされた可変抵抗素子の個々のベリファイをワード線単位で実行する。
【0014】
本発明に係る書込み方法は、可逆性かつ不揮発性の可変抵抗素子と選択用トランジスタとがビット線とソース線との間に直列に接続されたメモリ素子を含むメモリアレイを含む可変抵抗型メモリにおいて行われるものであって、選択されたビット線およびソース線に可変抵抗素子をリセットするためのバイアス電圧を印加し、かつ選択された選択用トランジスタのゲートに電圧が徐々に大きくなるようなパルスを印加する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、可変抵抗素子をリセットするときに、選択用トランジスタのゲートに電圧が徐々に大きくなるようなパルスを印加するようにしたので、可変抵抗素子へ一気に電流が流れるのを抑制することができ、その結果、リセットされた可変抵抗素子が決められた大きさ以上の過剰な電流を流すことを防止することができる。リセットされた可変抵抗素子の過剰電流を抑制することで、可変抵抗素子が劣化する速度を抑制し、また可変抵抗素子のセットを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の抵抗変化型メモリのアレイ構成を示す図である。
図2図2(A)は、フォーミングのときのバイアス電圧の例、図2(B)は、リセット時のバイアス電圧の例、図2(C)は、セット時のバイアス電圧の例である。
図3】テールビットの発生割合の一例を示すグラフである。
図4】本発明の実施例に係る抵抗変化型メモリの構成を示す図である。
図5】本実施例のメモリ素子の構成を示す図である。
図6図6(A)は、従来のリセット時に選択用トランジスタのゲートに印加されるパルスの波形を示し、図6(B)、(B)は、本実施例のリセット時に選択用トランジスタのゲートに印加されるパルスの波形を示す。
図7】本発明の実施例に係る抵抗変化型メモリのリセット、セットおよび読出し時の各バイアス電圧の一例を示すテーブルである。
図8】本発明の実施例によるリセット時の各部の電圧波形例を示す図である。
図9】本発明の実施例の読出し時の各部の動作波形例を示す図である。
図10】本発明の実施例による複数の可変抵抗素子がリセットされたときのベリファイを示すフローである。
図11】本発明の実施例による複数の可変抵抗素子がセットされたときのベリファイを示すフローである。
図12】本発明の実施例によるメモリ素子の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。但し、図面は、分かり易くするために各部を強調して示してあり、実際のデバイスのスケールとは異なることに留意すべきである。
【実施例】
【0018】
図4は、本発明の実施例に係る抵抗変化型メモリの全体構成を示すブロック図である。本実施例の抵抗変化型メモリ100は、行列状に配列された複数のメモリ素子が配置されたメモリアレイ110と、外部入出力端子I/Oに接続され、入出力データを保持する入出力バッファ120と、入出力バッファ120からのアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ130と、入出力されるデータを保持するデータレジスタ140と、入出力バッファ120からのコマンドデータ等に基づき各部を制御するコントローラ150と、アドレスレジスタ130からの行アドレス情報Axをデコードしデコード結果に基づきワード線の選択および駆動を行うワード線選択回路160と、アドレスレジスタ130からの列アドレス情報Ayをデコードしデコード結果に基づきビット線の選択および駆動を行う列選択回路170と、列選択回路170によって選択されたセルユニットから読み出された信号を検出したり、選択されたセルユニットへの書込みデータを保持するセンス回路180と、可変抵抗素子のセット、リセット、読出し動作に必要なバイアス電圧を発生させ、これをワード線選択回路160およびセンス回路180等へ供給する電圧発生回路190とを含んで構成される。
【0019】
メモリアレイ110は、図1に示すように、行列方向に配置された複数のメモリ素子M11、M12、…Mmnを含み、1つのメモリ素子は、1つの可変抵抗素子と1つの選択用トランジスタとから構成される。ビット線BLとソース線SLとの間に、可変抵抗素子と選択用トランジスタとが直列に接続され、選択用トランジスタのゲートがワード線に接続される。
【0020】
可変抵抗素子がセットされた状態は、データ「0」または「1」のいずれかに対応し、可変抵抗素子がリセットされた状態は、データ「1」または「0」のいずれかに対応する。コントローラ150は、外部からのコマンドに基づき書込み(セット、リセット)や読出し動作等を制御する。ワード線選択回路160は、外部から受け取った行アドレス情報Axに基づきワード線を選択し、列選択回路170は、外部から受け取った列アドレス情報Ayに基づきビット線を選択する。コントローラ150の制御により、選択されたワード線、ビット線およびソース線には、書込み(セット、リセット)および読出しに応じたバイアス電圧が印加される。
【0021】
図5に、メモリ素子とセンス回路180の接続関係を示す。1つのメモリ素子は、ソース線SLとビット線BLとの間に直列に接続された可変抵抗素子Rと選択用トランジスタTとを有する。選択用トランジスタTのゲートVgには、ワード線WLが共通に接続される。図5に示す例では、nビットのメモリ素子が行方向に配列され、nビットのメモリ素子のビット線BL1〜BLnがセンス回路180に接続される。選択されたメモリ素子の読出しが行われるとき、選択されたメモリ素子のビット線に表れる電圧または電流がセンス回路180によって検出される。また、選択されたメモリ素子への書込みが行われるとき、入出力バッファ120から入力された書込みデータがセンス回路180に転送され、センス回路180は、書込みデータ、すなわちセットまたはリセットに応じた電圧を選択されたビット線BLないしソース線SLに生成する。
【0022】
次に、可変抵抗素子への書込み(リセット、セット)について説明する。コントローラ150は、外部入出力端子から得られたコマンド等に応答して書込みを開始し、各部の動作を制御する。入出力バッファ120から得られた行アドレスAxがワード線選択回路160へ提供され、列アドレスAyが列選択回路170へ提供される。また、書込みデータは、データレジスタ140を介してセンス回路180によって保持される。さらに、電圧発生回路190は、コントローラ150からの指示に従い、書込みに必要な電圧をワード線選択回路160やセンス回路180等に供給する。センス回路180は、列選択回路170のデコード結果に基づき選択されたビット線BLおよびソース線SLに、データ「0」または「1」に対応する電圧を供給する。
【0023】
本実施例では、可変抵抗素子Rをリセットするとき、可変抵抗素子Rに急激に電流が流れないようにし、つまり可変抵抗素子Rに電流が徐々に流れるように制御する。可変抵抗素子Rに急激に電流を流すと、つまり、一度に大きなエネルギーを加えると、可変抵抗素子の金属酸化物が一気に成長され、それが原因となって過剰な電流を流す、いわゆるテールビットが発生され易くなってしまう。このため、本実施例では、可変抵抗素子Rに一気に大きな電流が流れないようにするため、選択用トランジスタTのインピーダンスが徐々に低くなるような制御を行う。
【0024】
好ましい態様では、ソース線SLに電圧VSLを印加し、ビット線BLに電圧VBLを印加し(VSL>VBL)、選択用トランジスタTのゲートVgに、0Vから電圧が徐々に大きくなるようなパルスを印加する。図6(A)は、従来のリセット時に選択用トランジスタTのゲートに印加されるパルスP1の波形であり、図6(B)は、本実施例の選択用トランジスタTのゲートに印加されるパルスP2の波形である。図6(A)に示すように、矩形状のパルスP1が選択用トランジスタTのゲートVgに印加されると、選択用トランジスタTが瞬時に導通し、ソース線SLから可変抵抗素子Rに大きな電流が急激に流される。これにより、電流密度の高い金属酸化物のパスが電極間に形成され、テールビットが発生され易くなる。これに対し、図6(B)に示すようなランプ形状のパルスP2が選択用トランジスタTのゲートVgに印加されると、パルスP2の電圧と比例するように選択用トランジスタTのコンダクタンスが徐々に大きくなり、可変抵抗素子Rへ供給されるドレイン電流が徐々に大きくなる。このため、可変抵抗素子Rには、一気に大量の電流が流れず、可変抵抗素子Rへの電流の供給を徐々に大きくすることができる。その結果、テールビットの発生を抑制することができる。
【0025】
また、本実施例の他の好ましい態様では、図6(C)に示すように、複数のパルス列P3が選択用トランジスタTのゲートに印加されるようにしてもよい。複数のパルス列P3は、徐々に電圧が大きくなるような複数のパルスを含む。このような一連のパルス列P3が選択用トランジスタに印加された場合にも、可変抵抗素子Rに供給される電流のエネルギーは徐々に増加されるので、瞬時に電流密度の高い金属酸化物のパスが形成されるのが抑制される。
【0026】
次に、本実施例の可変抵抗素子のセット、リセットおよび読出し時の具体的なバイアス電圧の一例を図7に示し、図8(A)、(B)に可変抵抗素子をリセットするときの動作波形の例を示す。
【0027】
可変抵抗素子をリセットするとき、図7図8(A)に示すように、選択されたメモリ素子のビット線BLにVBL=−0.5V、ソース線SLにVSL=2.6Vが印加される。次に、選択されたワード線(ゲートVg)には、0Vから4Vまで電圧が変化する、図6(B)に示すようなランプパルスP2が約100nsの期間印加される。これにより、可変抵抗素子Rには、ソース線SLからビット線BLへ向けて電流が流され、低抵抗状態のリセットの書込みが行われる。また、図6(C)に示すような複数のパルス列P3が用いられる場合には、図8(B)に示すように、徐々に電圧が大きくなる複数のパルス列P3が約100nsの期間に印加される。
【0028】
一方、可変抵抗素子をセットするとき、始めに、選択されたメモリ素子のビット線BLにVBL=2.4V、ソース線SLにVSL=0Vが印加される。次に、選択されたワード線(ゲートVg)には、2.3Vのパルスが印加される。これにより、ビット線BLからソース線SLに向けて電流が流れ、可変抵抗素子Rが高抵抗状態にセットされる。
【0029】
次に、本実施例の抵抗変化型メモリのセルユニットの読出し動作を説明する。コントローラ150は、外部入出力端子からのコマンド等に応答して読出しを開始し、各部の動作を制御する。また、入出力バッファ120から得られたアドレスデータが受け取られ、行アドレスAxがワード線選択回路160へ提供され、列アドレスAyが列選択回路170へ提供される。
【0030】
図9に読出し動作時の各部の波形の例を示す。センス回路180は、列選択回路170のデコード結果に基づき選択されたメモリ素子のビット線BLにVBL=0.2V、ソース線SLにVSL=0Vを印加する。好ましくは、ビット線BLは、0.2Vにプリチャージされる。ビット線BLとソース線SL間の電位差を大きくしすぎると、可変抵抗素子に大きな電流が流れてしまう。このため、電位差は、できるだけ小さいことが望ましく、つまり、センス回路180によってその変化を検出することができる大きさである。次に、ワード線選択回路160は、行アドレスAxに基づき選択されたワード線(ゲートVg)に3Vを印加する。可変抵抗素子Rがセットされているとき、ビット線BLからソース線SLにはほとんど電流が流れず、この状態がセンス回路180によって検出される。他方、可変抵抗素子Rがリセットされているとき、ビット線BLからソース線SLに電流が流れ、この状態がセンス回路180によって検出される。
【0031】
次に、本実施例の更なる好ましい態様について説明する。本実施例の好ましい態様では、可変抵抗素子への書込み(リセット、セット)が行われた時、その合否を判定する書込みベリファイが実施される。可変抵抗型メモリは、メモリ素子をビット単位でアクセスし、アクセスされたメモリ素子の読出しや書込みを行うことが可能である。それ故、ある1つの態様では、1つのメモリ素子への書込みが行われたときに、当該1つのメモリ素子への書込みベリファイを行うことが可能である。また、別の態様では、1つのページ(1つのワード線)内の複数のメモリ素子への書込み(セット、リセット)が同時または連続的に行われたとき、当該ページ内の複数のメモリ素子の個々のベリファイが同時にまたは連続的に実施される。例えば、外部入出力端子が×16のデータ幅を有し、16ビットのデータの書込みが同時に行われたとき、あるいは1つのページが2Kバイトであるとき、そのページ内に連続的に複数データの書込みが行われたような場合に、書込みが行われたページのメモリ素子への書込みベリファイが行われる。
【0032】
図10は、ページ内の複数の可変抵抗素子がリセットされたときのベリファイを示すフローであり、図11は、ページ内の複数の可変抵抗素子がセットされたときのベリファイのフローである。便宜上、図10図11に個別にリセット、セットのベリファイのフローを示しているが、実際には、1つのページ内の複数の可変抵抗素子がリセットおよびセットされたときにこれらのベリファイが同時に実施され得る。
【0033】
外部入出力端子から得られた書込みデータに基づき、選択された可変抵抗素子のリセット、セットが行われる(S100、S200)。リセットおよびセットのバイアス条件は、上記した図7に示す通りである。
【0034】
リセット、セットが終了すると、次に、ベリファイが実施される(S102、S202)。リセットおよびセットのベリファイ時のバイアス条件は、それぞれ読出し動作のときと同じである。次に、ページ内の書込みが行われた個々のメモリ素子の合否が判定される(S104、S204)。リセットが合格と判定された場合、ビット線BLの電圧がVBL=2.6に変更される(S106)。これにより、ビット線BLとソース線SLとが同電位となり、可変抵抗素子にはこれ以上電流が流されない。他方、不合格と判定された場合、ステップS100と同じバイアス条件が維持され、さらにランプパルスP2またはパルス列P3がもう1回印加される(S108)。
【0035】
セットが合格であると判定された場合、ビット線BLの電圧がVBL=0Vに変更される(S206)。これにより、ビット線BLとソース線SLとが同電位となり、可変抵抗素子にはこれ以上電流が流されない。他方、不合格と判定された場合には、ステップS200のときよりも若干電圧が低く設定されたVBL=2.2Vがビット線BLに印加される(S208)。こうして、ページ内に書込みが行われたすべての可変抵抗素子へのベリファイが実施される。
【0036】
このように本実施例によれば、リセットされる可変抵抗素子への急激な電流の供給を抑制することで、電流密度の高い金属酸化物のパスが一気に形成されることを防ぎ、リセットされた可変抵抗素子が過剰な電流を流す、テールビットの発生を低減させることができる。それ故、リセットされた可変抵抗素子を通常のバイアス条件でセットすることが容易となり、信頼性の高い書込みを行うことができる。さらに、テールビットの発生を抑制することで、素子の故障を抑制し、素子の長寿命化を図ることができる。
【0037】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0038】
上記実施例では、図5に示すように、可変抵抗素子Rの一方の端子がビット線BLに接続され、他方の端子が選択用トランジスタTの一方の端子に接続され、選択用トランジスタTの他方の端子がソース線SLに接続される例を示したが、これ以外にも、可変抵抗素子Rの極性等に応じて、図12(A)に示すように、選択用トランジスタTの一端がビット線BLに接続され、可変抵抗素子Rの他方の端子がソース線SLに接続されるような構成にも本発明を適用することができる。
【0039】
さらに上記実施例では、メモリ素子が1トランジスタ+1可変抵抗素子から構成される例を示したが、これ以外にも、図12(B)に示すように、2トランジスタT1、T2+2可変抵抗素子R1、R2からなるコンプリメンタリーのメモリ素子であってもよい。コンプリメンタリーのメモリ素子は、可変抵抗素子R1、R2がそれぞれ相補的なデータを記憶(セット、リセット)を記憶するものであり、ビット線BL、/BLには、相補的なデータが出力される。
【符号の説明】
【0040】
100:抵抗変化型メモリ
110:メモリアレイ
120:入出力バッファ
130:アドレスレジスタ
140:データレジスタ
150:コントローラ
160:ワード線選択回路
170:列選択回路
180:センス回路
190:電圧発生回路
R:可変抵抗素子
T:選択用トランジスタ
P1、P2、P3:パルス
【要約】
【課題】 信頼性の高いセットおよびリセットの書込みを行うことができる可変抵抗型メモリを提供する。
【解決手段】 本発明の可変抵抗型メモリは、可逆性かつ不揮発性の可変抵抗素子と選択用トランジスタとがビット線BLとソース線SLの間に直列に接続されたメモリ素子を含むメモリアレイと、行方向の選択用トランジスタを選択する行選択手段と、列方向の可変抵抗素子を選択する列選択手段と、可変抵抗素子の書込みを制御する制御手段とを有する。制御手段は、選択されたビット線およびソース線に可変抵抗素子をリセットするためのバイアス電圧を印加し、かつ選択された選択用トランジスタのゲートに電圧が徐々に増加するようなパルスP2またはP3を印加する。
【選択図】 図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12