特許第5774156号(P5774156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774156電子ビーム照射器および電子ビーム発生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774156
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月2日
(54)【発明の名称】電子ビーム照射器および電子ビーム発生方法
(51)【国際特許分類】
   G21K 5/04 20060101AFI20150813BHJP
   G21K 1/087 20060101ALI20150813BHJP
   B65B 55/04 20060101ALI20150813BHJP
   B65B 55/08 20060101ALI20150813BHJP
   A61L 2/08 20060101ALN20150813BHJP
【FI】
   G21K5/04 E
   G21K5/04 S
   G21K1/087 F
   B65B55/04 C
   B65B55/08 B
   !A61L2/08
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-67320(P2014-67320)
(22)【出願日】2014年3月28日
(62)【分割の表示】特願2013-96812(P2013-96812)の分割
【原出願日】2007年2月13日
(65)【公開番号】特開2014-134548(P2014-134548A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2014年3月28日
(31)【優先権主張番号】60/773,047
(32)【優先日】2006年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アヴネリー・ツヴィ
【審査官】 藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−024092(JP,A)
【文献】 特開平03−000625(JP,A)
【文献】 特開2002−104333(JP,A)
【文献】 特開2002−255125(JP,A)
【文献】 特開2005−174568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 5/04
G21K 1/087
B65B 55/04
B65B 55/08
A61L 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の幅を有する真空チェンバと、
前記真空チェンバから長手軸心に沿って延出したノズルと、
前記ノズルの遠位端に備えられた出射窓と、
前記ノズルに入って前記ノズルを通り、そして前記出射窓から出る細長い電子ビームを形成して案内するように、前記真空チェンバ内に形成、寸法合わせ、および位置決めされた電子発生器とを備える電子ビーム照射器であって、
前記ノズルが、前記真空チェンバの幅よりも小さい幅を有し、前記真空チェンバが挿入されるには小さすぎる開口部をネック部に有するボトルの当該開口部に挿入可能に構成されたものであることを特徴とする電子ビーム照射器。
【請求項2】
電子発生器はハウジングと、このハウジング内に位置決めされて、このハウジング内に前記電子ビームを収束させる静電レンズとを有し、電子ビームが前記静電レンズによって細くされて前記電子発生器のハウジングを出射することを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム照射器。
【請求項3】
前記電子ビームが、前記ノズル内で収束する収束部と、この後に続く、前記出射窓に到達する前に前記ノズル内で発散する発散部とを有し、前記出射窓を出た後にさらに発散することを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム照射器。
【請求項4】
真空チェンバが挿入されるには小さすぎる開口部で且つノズルが挿入可能な開口部をネック部に有するボトルを、前記ノズルに対して移動させ得る支持体が設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子ビーム照射器。
【請求項5】
所定の幅を有する真空チェンバ内に位置決めされた電子発生器を用いて電子を発生させ、当該ノズルの遠位端に出射窓を備え、前記真空チェンバの幅よりも小さい幅を有する細長いノズルを、前記真空チェンバから長手軸心に沿って延出させ、
前記ノズルに入って前記ノズルを通り、そして前記出射窓から出る細い電子ビームを形成して案内するように、前記電子発生器を、前記真空チェンバ内に形成、寸法合わせ、および位置決めし、
前記ノズルが、前記真空チェンバの幅よりも小さい幅を有し、前記真空チェンバが挿入されるには小さすぎる開口部をネック部に有するボトルの当該開口部に挿入されることを特徴とする電子ビーム発生方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2006年2月14日に提出された米国仮出願第60/773,047号の利益を主張する。上記出願の全内容を、本明細書に組み入れられたものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、真空チェンバを備えた電子ビーム照射器に関する。
【背景技術】
【0003】
電子ビーム照射器は、電子ビームを容器に照射して容器を減菌するために使用されてきた。典型的に、電子ビーム照射器は容器よりも上に位置決めされ、電子ビームを下方に案内し容器内に照射する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、容器が、狭い幅のネック部を有するボトルである場合、このボトルの減菌は困難になる。狭い幅のネック部は、電子ビームの大部分がボトルに進入するのを妨げてしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、所定の幅を有する真空チェンバを備えた電子ビーム照射器を提供する。電子発生器は、真空チェンバ内に位置決めされ、電子を発生する。細長いノズルは、真空チェンバから長手軸心に沿って延出し、当該ノズルの遠位端(真空チェンバから離れた側の端部)に出射窓を備えている。このノズルは、真空チェンバの幅よりも小さい幅を有している。電子発生器は、ノズルに入ってノズルを通り、そして出射窓から出る細い電子ビームを形成して案内するように、真空チェンバ内に形成、寸法合わせ、かつ位置決めされている。
【0006】
特定の実施形態において、ノズルは、略円状の外周と直径とを有している。真空チェンバは、略円状の外周と、ノズルの直径よりも大きい直径とを有している。電子発生器は、ノズルの直径とほぼ同一の直径を有するハウジングを備えている。電子発生器は、ノズル内で収束する収束部と、この後に続く、出射窓に到達する前にノズル内で発散する発散部とを有する電子ビームを形成するように、形成、寸法合わせ、および位置決めされている。電子ビームは、出射窓を出た後にさらに発散する。電子発生器は、ノズルの長手軸心に沿う略長手方向に向いた部位を備える電子発生用のフィラメントを有している。ノズルが長さを有し、このノズルの長さと直径との比率が少なくとも約3:1である。電子ビーム照射器の真空チェンバの直径とノズルの直径との比率が少なくとも約2:1である。
【0007】
本発明により、さらに、所定の幅を有する真空チェンバ内に位置決めされた電子発生器を用いて電子を発生させる、電子ビームを発生させる方法を提供する。細長いノズルが、真空チェンバから長手軸心に沿って延出している。ノズルは、当該ノズルの遠位端に出射窓を備えている。このノズルは、真空チェンバの幅よりも小さい幅を有している。電子発生器は、ノズルに入ってノズルを通り、そして出射窓から出る細い電子ビームを形成して案内するように、真空チェンバ内に形成、寸法合わせ、および位置決めされている。
【0008】
特定の実施形態において、ノズルは、略円状の外周と直径とを有している。真空チェンバは、略円状の外周と、ノズルの直径よりも大きい直径とを有している。電子発生器は、ノズルの直径とほぼ同一の直径を有するハウジングを備えている。電子発生器は、ノズル内で収束する収束部と、この後に続く、出射窓に到達する前にノズル内で発散する発散部とを有する電子ビームを形成するように、形成、寸法合わせ、および位置決めされている。電子ビームは、出射窓を出た後にさらに発散する。電子発生器は、電子発生用のフィラメントを有している。このフィラメントの一部は、ノズルの長手軸心に沿う略長手方向に向いたものである。ノズルが長さを有し、このノズルの長さと直径との比率が少なくとも約3:1である。真空チェンバの直径とノズルの直径との比率が少なくとも約2:1である。
【0009】
本発明は、さらに、ネック部を有するボトルの内部を照射する方法を提供する。電子を、所定の幅を有する真空チェンバ内に位置決めされた電子発生器を用いて発生させている。細長いノズルが、真空チェンバから長手軸心に沿って延出している。ノズルは、当該ノズルの遠位端に出射窓を備えている。このノズルは、真空チェンバの幅よりも小さい幅を有している。電子発生器は、ノズルに入ってノズルを通り、そして出射窓から出る細い電子ビームを形成して案内するように、真空チェンバ内に形成、寸法合わせ、および位置決めされている。ノズルは、ボトルのネック部を通って挿入され、電子ビームによってその内部を照射する。
【0010】
特定の実施形態において、細長いノズルは、略円状の外周と直径とを有している。真空チェンバは、略円状の外周と、ノズルの直径よりも大きい直径とを有している。電子発生器は、ノズルの直径とほぼ同一の直径を有するハウジングを備えている。電子発生器は、ノズル内で収束する収束部と、この後に続く、出射窓に到達する前にノズル内で発散する発散部とを有する電子ビームを形成するように、形成、寸法合わせ、および位置決めされている。電子ビームは、出射窓を出た後にさらに発散する。電子発生器は、ノズルの長手軸心に沿う略長手方向に向いた部位を備える電子発生用のフィラメントを有している。ノズルが長さを有し、このノズルの長さと直径との比率が少なくとも約3:1である。真空チェンバの直径とノズルの直径との比率が少なくとも約2:1である。電子ビームの照射の間、ボトルおよびノズルは、互いに相対的に移動されてもよい。ボトルの内部における電子ビームの分散は、ボトルに隣接した少なくとも1つの電子案内部材によって支援されてもよい。ボトルの内部を周囲の気体環境に設定し、またボトル内の気体環境を、変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の減菌システムの概略側面図である。
図2】ノズルを備えた電子ビーム照射器の分解斜視図である。
図3】ボトル内に挿入された、電子ビーム照射器のノズルの概略側面図である。
図4】ノズルを備えた電子ビーム照射器の一部の概略側面図である。
図5】電子銃すなわち電子発生器の斜視図である。
図6図5の電子発生器の概略断面図である。
図7】円状部を備えたフィラメントの概略図である。
図8】円状部を備えたフィラメントの概略図である。
図9】円状部を備えたフィラメントの概略図である。
図10】円状部を備えたフィラメントの概略図である。
図11】円状部を備えたフィラメントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前述の内容は、添付の図面に示された本発明の例示的な実施形態についての詳細な説明から明確になり、図面において同一の符号は、異なる図を通して同一の部分を示している。図面は必ずしも正確な縮尺どおりではなく、本発明の実施形態を示すことに重点が置かれている。
【0013】
例示的な実施形態の説明を以下に示す。図1において、減菌システム15は、真空チェンバ11を備えた電子ビーム照射器10を有している。パイプ、導管、チューブ、またはノズル12(図2)は、真空チェンバ11の軸方向の端部10aから延出し、この端部に接続または固定、ならびに密封されている。ノズル12は幅が狭く、かつ細長く、ボトル20のような容器が有する狭い幅のネック部16の開口部16aに挿入することができ、ボトル20の内部18を電子ビーム44で照射し、この内部18の表面を照射、処理または減菌する。真空チェンバ11は、ノズル12がネック部16内に挿入されている間、ボトル20の外側に留まっている。電子ビーム照射器10への電力は、電源13によって電力ライン17aおよび17bを介して供給される。
【0014】
ボトル20の内部18は、ノズル12がボトル20に挿入されるとき、ならびに/もしくはノズル12がボトル20から引き抜かれるとき、または挿入した後に、照射される。ノズル12がボトル20に挿入される距離は、高さ、幅または直径を含むボトル20の寸法、ならびに電子ビーム44の強度に依存する。ボトル20の内部の処理または減菌は、ボトル20の内部18ならびに内面20aにおける微生物および生体物質を、損傷、死滅、破壊、蒸発、酸化、変質など、これらのうち1つ以上の方法によって達成される。さらに、非生体物質を処理し、有害性を中和、軽減または取り除くこともできる。
【0015】
ボトル20は、当該ボトル20を上下させたりノズル12に対して移動させたりすることができる支持体50上に配置されてもよい。必要に応じて、支持体50は、さらに、ボトル20を回転させる、これにより、ボトル20の内部18は均一に照射される。変形例として、電子ビーム照射器10が、上下したりボトル20に対して移動したり、および/または回転する。電子ビームを成形、拡散または案内させる、1つ以上のプレートもしくは電子案内部材52が電子ビーム44(図3)の電子eを分散、成形、拡散、案内または支援して、電子eをボトル20の内面20aに所望の方法、パターンまたは形態で到達させることによって処理もしくは減菌を行うために、ボトル20に隣接して設けられていてもよい。この電子案内部材52は、磁力、電位または電荷によって、電子eの分散、成形、拡散または案内を支援する。1つ以上の電子案内部材52が、ボトル20に隣接した1つ以上の側方位置に配置されていてもよく、または変形例として、ボトル20の外部を、円周方向に沿って側方から囲んでもよい。さらに、支持体50は、電子eを分散、成形、拡散、案内または支援し、ボトル20の底部内面20bに所望の方法、パターンまたは形態で到達させる、成形、拡散もしくは案内のためのプレートまたは部材として使用されてもよい。支持体50には、磁石または電位もしくは電荷が設けられてもよい。電子案内部材52および支持体50は、電源13から電力が供給される。
【0016】
必要に応じて、ヘリウムなどの軽い気体56(図3)がノズルまたはチューブ54によってボトル20内に導入されてもよく、周囲の気体環境、すなわち存在する気体環境を変更して電子ビーム44のレンジを増大させることができる。さらに、気体56は、電子ビーム44と結合してプラズマを形成するために使用されてもよく、処理または減菌の行程を支援することができる。変形例として、ノズルまたはチューブ54は、ボトル20から空気を取り除くバキュームノズルまたはバキュームチューブであってもよく、気体環境を変更して真空または不完全な真空を作り出す。こうすることによっても、電子ビーム44のレンジを増大させ、処置または減菌の行程を支援することができる。
【0017】
図3図6において、電子ビーム照射器10の真空チェンバ11は略円筒かつ細長い形状であり、所定の幅または直径Dを有する(図4)。ノズル12も略円筒状またはチューブ状であり、長さL、外幅または外径D、ならびに内幅または内径Dを有する。狭い幅のノズル12を持たず真空チェンバ11の軸方向の端部10a(図4)に出射窓42を備えた電子ビーム照射器10が挿入されるには小さすぎるような小さい開口部に、ノズル12はそれに代わり挿入することができる。電子ビーム照射器10は、ノズル12の外径Dよりも大きい直径Dなどの所定の幅を有する真空チェンバ11を備えることによって、ノズル12と同一の寸法である1つの小さい直径だけで全体が構成された場合よりも、高出力で動作することができる。真空チェンバ11およびノズル12は、恒久的に真空密封状態を形成するように互いに接合されてもよい。
【0018】
電子eを発生させる電子銃すなわち電子発生器24は、真空チェンバ11の内部22において、ノズル12の軸方向の近位端(真空チェンバ11に近い側の端部)から距離Lのところ、およびノズル12の軸方向の遠位端14にある出射窓42から距離Lのところに位置決めされる。電子発生器24は、幅または直径Dを有し円状の外周を備えた略円筒形状であるハウジング26を有している。ハウジング26は、互いに接合された2つのハウジング部26aおよび26bを有している(図5および図6)。ハウジング26の側面は、真空チェンバ11の内面11aから距離Wだけ離間しており、高い電圧ギャップを作り出すことができる。電子発生用のフィラメント32は、ハウジング26の内部34において位置決めされている。電子発生用のフィラメント32への電力は、絶縁体28を介してハウジング26から延びるリード線32aおよび32bを通って電源13から供給される。電子発生用のフィラメント32は、ノズル12および真空チェンバ11の長手軸心「X」に実質的に沿う向きで長手方向に位置決めされた部位を備えている(図4)。電子発生用のフィラメント32は、ややV字形であり(図6)、リード線32aおよび32bが、絶縁体28に向かって、遠位端すなわち遠位点33から互いに傾いて延びている。電子発生用のフィラメント32は、当該フィラメント32を流れる電力によって加熱され、自由電子eを発生させる。電子発生用のフィラメント32が電子発生器24内において略直列状に向いていることにより、電子eを、収束または成形、ならびにノズル12を通って伝搬または案内するのに適した、形態、構成または配置で供給することができる。電子発生用のフィラメント32がV字形であることによっても、電子eを適切な形態で供給することができる。電子発生用のフィラメント32は、静電気による、収束または成形のためのレンズもしくは部材30の開口部36を通って延びている。静電レンズ30は、電子eを最初に収束または成形し、また、所望の収束を得るための開口部40を備えている(図5)。ハウジング26の軸方向の端部には、フィラメント32および静電レンズ30からの電子eが通過する、電子を透過または放出するための、直径Dを有する領域もしくは開口部38があり、ここには、電子発生器24から発生した電子eをさらに収束または成形する、静電気による、収束または成形のための他のレンズもしくは部材が形成されていてもよい。高電圧が、電源13によって、電子発生器24のハウジング26と出射窓42との間に供給される。出射窓42は、接地48されている。電子発生器24と出射窓42との間の電位差によって、電子発生用のフィラメント32から発生した電子eを、電子発生器24から出射窓42に向かって出射窓42を通過するように、加速させることができる。電子発生用のフィラメント32は一般的に長手方向に位置決めされるが、ある実施形態では、電子発生用のフィラメント32は長手方向に対する横方向に位置決めされてもよい。さらに、ある実施形態では、複数のフィラメント32が使用されてもよい。さらに、電子発生用のフィラメント32は、長手方向に対する横方向または長手方向に位置決めされた略円状のフィラメントであってもよい。幾つかの実施形態の例が、図7図11に示されている。図8図11には、略円状の外側のフィラメント部が略円状の内側のフィラメント部を実質的に囲むように曲げられた、フィラメント32の例が示されている。
【0019】
電子発生器24は、真空チェンバ11の内部22に位置決めされ、ノズル12を通って電子ビーム44として出射窓42から出るような形状および形態である、内部の細い電子ビーム46を形成するように、構成、形成および寸法合わせされている。静電レンズ30の形状、静電レンズ30における開口部36の直径、開口部38から静電レンズ30が配置されているところまでの距離H、開口部38の直径D、およびフィラメント32の向きと形状は、電子発生器24から出る電子eが所望の形態で出てくるように構成または形成される。内部の電子ビーム46は、狭幅部すなわち収束部46aにおいて幅が狭くなるようにして、すなわち集束するようにして電子発生器24を出る。ハウジング26の直径Dは、ノズル12の内径Dとほぼ同一の直径であり、ハウジング26の開口部38の直径Dは、ノズル12の内径Dより小さい。これにより、内部の電子ビーム46の収束部46aが、ほとんど妨げられないか、または全く妨げられないまま狭い幅のノズル12に進入できる。電子発生器24の距離Lも、収束部46aがノズル12に進入できるように、ノズル12の軸方向の近位端から十分に離されている。内部の電子ビーム46は、ノズル12内の収束点すなわち焦点46bで収束し、次に、幅が広がるか、拡散するか、または発散する外部の電子ビーム44として出射窓42を出る前に、拡幅部、拡散部または発散部46cとして幅が広くなるか、拡散するか、または発散する。電子ビーム44は、長手軸心「X」に沿った長手方向に、および長手軸心「X」に対して径方向外側の円周に沿って、電子eを出射窓42から案内する。電子ビーム44は、外側に向かって傾いたコーン形状である。ある実施形態では、ハウジング26の直径Dおよび開口部38の直径Dは、ノズル12の内径Dよりも大きい。このような状態において電子発生器24は、ノズル12に進入するために十分に幅が狭くなる、つまり収束する収束部46aと、出射窓42に到達する発散部46bとを有する内部の電子ビーム46を作り出すように構成され、このような電子ビーム46を作り出すのに十分な距離Lだけ離されている。
【0020】
幅が狭くなる、つまり収束し、そして幅が広くなる、つまり発散するような、内部の電子ビーム46の形状により、内部の電子ビーム46は、ノズル12内における幅がノズル12内を通過できるほどに狭いので、細く長いノズル12を使用することができる。例えば、ある実施形態において、ノズル12の長さLと内幅または内径Dとの比率は、少なくとも約3:1であり、例えば、約6:1以上であり、他の実施形態では、約10:1以上である。さらに、真空チェンバ11の幅または直径Dとノズル12の外幅または外径Dとの比率は約2:1であり、他の実施形態では、約3:1である。これらの比率は、用途に応じて異なるものであってもよい。ある実施形態においては内部の電子ビーム46が、発散するようにしか形成されていないが、この場合、ノズル12の所定の内径Dに対して、より短いノズルを使用することになり、約半分の長さになる。ある実施形態では、ノズル12はテーパ状であってもよい。所定の長さLおよび内径Dのノズル12に進入する所望の内部の電子ビーム46を作り出し、また、出射窓42から出る所望の外部の電子ビーム44を得るために、電子発生器24の構成、ならびに距離Lおよび距離Lは調整されてもよい。ノズル12は、さまざまな寸法の容器またはボトル20に挿入できるように、異なる距離Lと外幅または外径Dとを有していてもよい。例えば、異なる寸法のノズル12が、12オンス(oz.)のボトル20、および32オンス(oz.)または2リットルのボトル20に使用されてもよい。例えば、広い幅のノズル12が、広い幅のネック部16を有する拡幅のボトル20に使用されてもよく、長いノズル12が、背の高いボトル20に使用されてもよい。ある実施形態では、同一のノズル12が、異なる寸法を持つさまざまなボトル20の容器に使用されてもよい。
【0021】
真空チェンバ11およびノズル12は、金属、セラミックまたはこれらの組合せから形成される。一実施形態において、真空チェンバ11は約5センチメートル(2インチ)の幅または直径を有する。真空チェンバ11は、用途および所望の出力レベルに応じて、これよりも大きいかまたは小さい幅ならびに直径を有する。電子発生器24のハウジング26は導電性材料、例えばステンレス鋼などの金属から形成される。フィラメント32は、タングステンなどの適切な材料から形成される。電子ビーム照射器10は、約40〜150キロボルト(KV)、および約0〜5ミリアンペア(mA)で動作される。変形例として、これよりも大きいかまたは小さい電圧が使用されてもよい。寸法、電圧および電力レベルが用途に応じて異なることは理解される。電子ビーム照射器10の特徴の幾つかは、米国特許第5,962,995号、米国特許第6,407,492号および米国特許第6,545,398号明細書に開示された実施形態と類似であり、これらの全内容は、本明細書に組み入れられたものとする。
【0022】
出射窓42は、軸方向の遠位端14において、ノズル12の内径Dの幅のほぼ全体にわたって延在している。出射窓42は、適切な材料、例えば、12.5マイクロメートル(mμ)以下の厚さを有するチタンから形成される。ある実施形態において、この厚さは約4〜12マイクロメートル(mμ)である。他の実施形態では、これよりも大きいかまたは小さい厚さを有していてもよい。出射窓42は、防食性の被覆物、例えば、金、ダイアモンドまたはその他を備えていてもよい。出射窓42は、ノズル12および真空チェンバ11との真空密封状態を維持するように、ノズル12に密封または接着されていてもよい。貫通孔を有する支持プレートが、出射窓42を支持するために使用される。他の適切な材料または他の適切な構成が、出射窓42に用いられてもよい。出射窓42は、2004年1月5日に出願された米国特許出願公開第10/751,676号明細書に開示されている構成を有していてもよく、この特許出願の全内容は、本明細書に組み入れられたものとする。ある実施形態において、支持プレートは省略されてもよい。さらに、出射窓42は、チタンの層を有さずに、防食性の材料から形成されてもよい。
【0023】
他の実施形態において、出射窓42は1つの材料からなるターゲット窓であってもよく、内部の電子ビーム46からの電子eが通過するのを妨げる一方で、X線を形成し、このX線を前方に通過させ、それによって、狭い幅のノズル12を通してX線を前方に照射するX線ビーム照射器を形成している。ターゲット窓は、金、チタンもしくはタングステンの薄箔を有するか、金の層、または銅もしくは銀を含む金の層を備えたチタンを有するものであってもよい。典型的に、原子番号が大きく、良好な熱伝導性を有する金属が用いられるが、材料は、状況に応じて、異なるものであってもよい。
【0024】
例示的な実施形態を用いて本発明を詳細に示し説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および細部に関してさまざまな変更を施してもよいことは、当業者であれば理解できるであろう。
【0025】
例えば、真空チェンバ11およびノズル12が略円状の外周を有するものであると説明したが、他の実施形態においてこれらの外周は、他の適切な形状、例えば、三角形、長方形、正方形、六角形、八角形などの多角形、または例えば、楕円、卵形などの非円形の曲線であってもよい。ある実施形態において電子ビーム照射器10は、減菌または中和以外の目的、例えば、硬化、表面処理などのために、容器およびボトルの内部を照射するように使用されてもよい。
【符号の説明】
【0026】
10 電子ビーム照射器
11 真空チェンバ
12 ノズル
14 ノズルの遠位端
16 ネック部
18 ボトルの内部
20 ボトル
24 電子発生器(電子銃)
42 出射窓
44,46 電子ビーム
真空チェンバの幅(直径)
電子
X 長手軸心
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11