(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774192
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】モジュール式の電気的なコネクタ接続装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/504 20060101AFI20150820BHJP
H01R 13/518 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
H01R13/504
H01R13/518
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-501499(P2014-501499)
(86)(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公表番号】特表2014-510380(P2014-510380A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】EP2012053198
(87)【国際公開番号】WO2012130537
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2013年9月27日
(31)【優先権主張番号】102011006195.9
(32)【優先日】2011年3月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ケッサー
【審査官】
石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第07234950(US,B1)
【文献】
特開平08−287997(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/000931(WO,A1)
【文献】
特開2009−117218(JP,A)
【文献】
特表2000−515298(JP,A)
【文献】
特表2002−517890(JP,A)
【文献】
特表2009−543299(JP,A)
【文献】
特開2010−205724(JP,A)
【文献】
実開昭60−188487(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/504
H01R 13/518
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の制御装置に用いられるモジュール式の電気的なコネクタ接続装置であって、モジュール支持体(4)と、少なくとも1つの第1のコネクタモジュール(6)および第2のコネクタモジュール(8)とを備え、第1のコネクタモジュール(6)および第2のコネクタモジュール(8)は、相並んでかつ/または相前後して前記モジュール支持体(4)に配置されており、第1のコネクタモジュール(6)は、第1のコネクタケーシング(12)を有し、該第1のコネクタケーシング(12)は、第1の電気的なコネクタ接続部を収容するために成形されており、第2のコネクタモジュール(8)は、第2のコネクタケーシング(14)を有し、該第2のコネクタケーシング(14)は、第2の電気的なコネクタ接続部を収容するために成形されており、前記第1のコネクタケーシング(12)は、導電性の第1のコンタクトエレメント(18)を有し、前記第2のコネクタケーシング(14)は、導電性の第2のコンタクトエレメント(20)を有している、自動車の制御装置に用いられるモジュール式の電気的なコネクタ接続装置において、
前記モジュール支持体(4)は、前側(24)と、該前側(24)とは反対の側に位置する後側(26)により画定されており、前記モジュール支持体(4)は、前記第1のコネクタモジュール(6)のために、前記前側(24)と前記後側(26)との間で前記前側から前記後側に向かって延びる第1の貫通部(28)を備え、前記モジュール支持体(4)は、前記第2のコネクタモジュール(8)のために、前記前側(24)と前記後側(26)との間で前記前側から前記後側に向かって延びる第2の貫通部(30)を備え、
前記第1のコネクタモジュール(6)と前記第2のコネクタモジュール(8)とは、前記モジュール支持体(4)内で互いに位置決めされており、
前記第1の貫通部(28)は、該第1の貫通部(28)内に導入可能な前記第1のコネクタモジュール(6)が前記位置決めのために該第1のコネクタモジュール(6)の第1の挿入方向(E)に対して横方向に移動可能でありかつ前記第1の挿入方向(E)に対して平行に延びる第1の軸線(34)を中心として回動可能であるように、形成されており、前記第2の貫通部(30)は、該第2の貫通部(30)に導入可能な前記第2のコネクタモジュール(8)が前記位置決めのために該第2のコネクタモジュール(8)の第2の挿入方向(E)に対して横方向に移動可能でありかつ前記第2の挿入方向(E)に対して平行に延びる第2の軸線(36)を中心として回動可能であるように、形成されており、 前記位置決めされた状態で前記第1のコネクタモジュール(6)と前記第2のコネクタモジュール(8)とは、それぞれ前記モジュール支持体(4)に接合プロセスにより取外し不能に結合されていることを特徴とする、自動車の制御装置に用いられるモジュール式の電気的なコネクタ接続装置。
【請求項2】
前記第1のコネクタケーシング(12)は、複数の第1の突出部を有し、該第1の突出部は、前記第1のコネクタモジュール(6)が前記第1の貫通部(28)を通って通り抜けないように形成されており、かつ/または第2のコネクタケーシング(14)は、複数の第2の突出部を有し、該第2の突出部は、前記第2のコネクタモジュール(8)が前記第2の貫通部(30)を通って通り抜けないように形成されている、請求項1記載のコネクタ接続装置。
【請求項3】
前記複数の第1の突出部は、結合されて第1のフランジ(38)を形成し、該第1のフランジ(38)は、前記第1の貫通部(28)が前記第1のフランジ(38)により覆われるように形成されており、かつ/または前記複数の第2の突出部は、結合されて第2のフランジ(40)を形成し、該第2のフランジ(40)は、前記第2の貫通部(30)が前記第2のフランジ(40)により覆われるように形成されている、請求項2記載のコネクタ接続装置。
【請求項4】
前記第1のコネクタモジュール(6)は、前記第1のコネクタケーシング(12)に配置され、かつ前記第1のコネクタ接続部をロックするために前記第1のコネクタケーシング(12)に取外し不能に結合された第1のロックエレメント(46)を有し、かつ/または前記第2のコネクタモジュール(8)は、前記第2のコネクタケーシング(14)に配置され、かつ前記第2のコネクタ接続部をロックするために前記第2のコネクタケーシング(14)に取外し不能に結合された第2のロックエレメント(48)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のコネクタ接続装置。
【請求項5】
前記第1のコンタクトエレメント(18)および前記第2のコンタクトエレメント(20)は、それぞれ1つの第1の部分エレメント(50)を有し、前記第1のコンタクトエレメント(18)の前記第1の部分エレメント(50)は前記第1のコネクタケーシング(12)を超えて延びており、前記第2のコンタクトエレメント(20)の第1の部分エレメント(50)は前記第2のコネクタケーシング(14)を超えて延びており、前記第1のコンタクトエレメント(18)の第1の部分エレメント(50)および第2のコンタクトエレメント(20)の第1の部分エレメント(50)は互いに位置決めされている、請求項1から4までのいずれか1項記載のコネクタ接続装置。
【請求項6】
前記第1のコンタクトエレメント(18)および前記第2のコンタクトエレメント(20)は、それぞれ1つの第2の部分エレメント(52)を有し、該第2の部分エレメント(52)は前記第1の部分エレメント(50)に対して曲げられて配置されており、前記第1の部分エレメント(50)と前記第2の部分エレメント(52)とは互いに導電接続されている、請求項5記載のコネクタ接続装置。
【請求項7】
少なくとも1つのコンタクトエレメントは、導電性のピンとしての前記第1のコンタクトエレメント(18)および前記第2のコンタクトエレメント(20)の群から形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のコネクタ接続装置。
【請求項8】
前記第1のコネクタモジュール(6)と、前記第2のコネクタモジュール(8)とは互いに異なっている、請求項1から7までのいずれか1項記載のコネクタ接続装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載のモジュール式の電気的なコネクタ接続装置を備える、自動車用の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
今日の自動車における機能の多くは、制御装置によって閉ループ制御または開ループ制御される。たとえば、点火、燃焼噴射時間だけではなく、電気的なウインドウ昇降装置または電気的なスライディングルーフも、このような制御装置により開ループ制御(制御)されるか、または閉ループ制御(調整)される。現在、自動車の構造において、多数の機能を制御することのできる、幾つかの少数の制御装置への集約が見られる。少数の制御装置へのこの集約と同時に、一方では複数のアクチュエータを開ループ制御または閉ループ制御し、他方ではセンサから複数のパラメータを検知する電気的なコンタクトの個数はより多くなる。さらに、同様に制御装置への電気的な別のコンタクトを必要とするますます多くのセンサが組み込まれるようになっている。90年代には、100個を大幅に下回る個数のコンタクトを備えた制御装置が製造されていたが、今日では200個を僅かに下回る個数のコンタクトを備えた制御装置が通常である。現在、制御装置に約300個のコンタクトを備える努力が成されている。
【0002】
既に今日、複数のコンタクトが、コネクタケーシングを備える1つのコネクタモジュールに纏められている。この構成では、1つの制御装置が複数のコネクタモジュールを有している。相応して、センサにより提供されたパラメータを検知し、かつ/またはアクチュエータを制御するために、コネクタモジュールもしくはコネクタケーシングに対して互換性のある、ワイヤハーネスに接続された電気的な複数のコネクタ接続部が必要である。
【0003】
この場合、制御装置をセンサおよびアクチュエータに接続する、制御装置内に組み込まれたコネクタモジュールがコネクタ接続装置内に形成され、この場合、コネクタモジュールを含むコネクタ接続装置はワンピースに、いわば一体的にプラスチック射出成形法で製造されている。
【0004】
制御装置内に存在するプリント回路を、ワイヤハーネスのコネクタ接続部に接続する導電性のコンタクトは、金属から製造されたピン型コンタクトとして形成されている。完成したコネクタ接続装置を製造するためには、ピン型コンタクトが射出成形型に装入され、射出成形工程中にプラスチックにより被覆される。ピン型コンタクトは、コネクタ接続部の方向に向かって約8mmだけ、当該ピン型コンタクトを取り囲むプラスチックから突出している。ピン型コンタクトの反対側は、通常スペース上の理由から、曲げられ、かつ直接にプリント回路に導電可能に接触させられる。したがって、各コネクタ接続装置は、該制御装置により取り囲まれたプリント回路のレイアウト(設計)に応じて製造される。
【0005】
自動車製造者側から、制御装置製造者のコネクタ接続装置への厳しい要求が課される。したがって、1つのコネクタモジュールに纏められ、コネクタ接続部に向かって延びる個別のコンタクトは、そのコンタクト先端において、0.4mmの位置公差を有していなければならない。他方では、プリント回路に向けられたコンタクトエレメントのコンタクト先端が問題なく、プリント回路上に設けられたコンタクトエレメントのための収容部内に位置することができるように、制御装置製造者はコンタクトエレメントのコンタクト先端が正確に位置決めされていることを知ろうとする。
【0006】
電気的なコンタクトに基づき金属部分の割合が高いことに基づいて、かつコネクタ接続装置の内部における不均一な分配と、それに付随する、コネクタ接続装置の内部における個別の領域の場合によっては互いに異なる冷却にと基づいて、コネクタ接続装置の予測不能なひずみが生じる。上述の要求された公差を維持することができるように、かつそれにも拘わらずコネクタ接続装置を全自動で製造することができるように、最初に製造される射出成形金型における大がかりな後加工が必要であり、このことは著しいコストの原因となる。
【0007】
発明の概要
したがって、このようなコネクタ接続装置を一方では廉価に製造し、他方ではコネクタモジュールの変更をより臨機応変に実施するという要求が生じ得る。
【0008】
この要求は、独立請求項に記載の装置により満たされる。有利な態様は従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明の1態様では、モジュール支持体と、少なくとも1つの第1のコネクタモジュールおよび第2のコネクタモジュールとを備えた、自動車の制御装置に用いられるモジュール式の電気的なコネクタ接続装置が提供される。この場合、第1のコネクタモジュールおよび第2のコネクタモジュールは、相並んでかつ/または相前後してモジュール支持体に配置されている。第1のコネクタモジュールは、第1のコネクタケーシングを有している。第1のコネクタケーシングは、電気的な第1のコネクタ接続部を収容するために成形されている。第2のコネクタモジュールは、第2のコネクタケーシングを有している。第2のコネクタケーシングは、電気的な第2のコネクタ接続部を収容するために成形されている。第1のコネクタケーシングは、導電性の第1のコンタクトエレメントを有し、第2のコネクタケーシングは、導電性の第2のコンタクトエレメントを有している。この場合、第1のコネクタモジュールおよび第2のコネクタモジュールは、モジュール支持体において互いに位置決めされている。さらに、第1のコネクタモジュールおよび第2のコネクタモジュールは、それぞれモジュール支持体に接合プロセスによって取外し不能に結合されている。
【0010】
第1のコネクタ接続部もしくは第2のコネクタ接続部は、第1のコネクタケーシングもしくは第2のコネクタケーシングに対して相補的に形成されていて、かつケーブルに結合されている。この場合、コネクタ接続部は導電性のコンタクトを有している。コネクタ接続部のコンタクトに接触するために設けられたコンタクトエレメントの領域は、コネクタ接続部のコンタクトに対して相補的に成形されている。したがって、各コネクタモジュールに対するコネクタ接続部の取付けにより、コンタクトと、コンタクトエレメントとの間の導電接続が行われる。コネクタモジュールに結合されたコンタクトエレメントの領域は、雄型コンタクトまたは雌型コンタクトとして形成されていてよい。コネクタモジュール内にも、雄型コンタクトおよび雌型コンタクトが配置されていてよい。モジュール支持体も、コネクタモジュールも、通常は導電性でないプラスチックにから製造されている。コンタクトエレメントは、コネクタケーシングの製造プロセス中に、コネクタモジュールの各コネクタケーシング内に導入され得る。このためには、通常、コンタクトエレメントがプラスチック射出成形型に装入され、射出成形プロセス中にコネクタケーシングに取外し不能に結合される。他方では、コネクタケーシングが既に完成している場合には、コンタクトエレメントがコネクタモジュールの各コネクタケーシング内に導入されて、このコネクタモジュールに取外し不能に結合されることも可能である。このためには、コンタクトエレメントは、製造されたコネクタケーシング内にたとえば打ち込まれ得る。第1のコネクタモジュールおよび第2のコネクタモジュール、あるいは第1のコンタクトエレメントおよび第2のコンタクトエレメントが、互いに位置決めされたあとに、コネクタモジュールは、モジュール支持体に接合プロセスにより取外し不能に結合される。この接合プロセスは、溶接または接着により行われ得る。個別のコネクタモジュールは、必ずしも1つの平面に配置されている必要はなく、互いに対して所定の角度を成していてもよい。
【0011】
本発明の別の態様では、モジュール式の電気的なコネクタ接続装置のモジュール支持体は、前側と、該前側とは反対の側に位置する後側とにより画定されている。この場合、モジュール支持体は、第1のコネクタモジュールのためには、前側と後側との間で前側から後側に向かう方向に延びる第1の貫通部を有し、第2のコネクタモジュールのためには、前側と後側との間で前側から後側に向かう方向に延びる第2の貫通部を有している。第1の貫通部は、当該第1の貫通部内に導入可能な第1のコネクタモジュールが、第1の挿入方向に対して横方向に移動可能であり、かつ第1の
挿入方向に対して平行に延びる軸線を中心として回動可能であるように形成されている。第2の貫通部は、該第2の貫通部内に導入可能な第2のコネクタモジュールが、第2の
挿入方向に対して横方向に移動可能であり、かつ第2の
挿入方向に対して平行に延びる軸線を中心として回動可能であるように形成されている。
【0012】
モジュール支持体内へのコネクタモジュールの押込みは、モジュール支持体の前側から後側に向かって、またはモジュール支持体の後側から前側に向かって行われ得る。当然ながら、各コネクタモジュールの要求に応じて、コネクタモジュールの高さを、つまり各コネクタモジュールの挿入方向にまたは挿入方向とは反対方向で、位置決めすることができる。2つもしくは3つの並進自由度および1つの回転自由度によって、第2のコネクタモジュールのコンタクトエレメントは、第1のコネクタモジュールのコンタクトエレメントに対して正確に位置決めされ得る。
【0013】
本発明の別の態様では、モジュール式の電気的なコネクタ接続装置の第1のコネクタケーシングが、複数の第1の突出部を有している。この第1の突出部は、第1のコネクタモジュールは第1の貫通部を通って完全に通り抜けないように形成されている。さらに第2のコネクタケーシングは、複数の第2の突出部を有していて、この場合、第2の突出部は、第2のコネクタモジュールが第2の貫通部を通って完全に通り抜けないように形成されている。
【0014】
したがって、コネクタモジュールは、それぞれのケーシングに所属する突出部がモジュール支持体の前側または後側に当て付けられるまでしか、各貫通部に導入されない。したがって、モジュール支持体の前側または後側は、突出部と共に、個別のコネクタモジュールを位置決する平面を規定する。
【0015】
本発明の別の態様は、複数の第1の突出部が結合されて第1のフランジを形成し、該第1のフランジは、第1の貫通部がフランジにより覆われるように形成されている。複数の第2の突出部は結合されて第2のフランジを形成し、第2のフランジは、第2の貫通部が第2のフランジにより覆われるように形成されている。
【0016】
したがって、コネクタモジュールの位置とは関係なく、フランジは所属する貫通部を確実に覆うことが保証される。したがって、フランジは同時に、適当な接着材によるモジュール支持体とコネクタモジュールとの結合のための接着面として働く。フランジは、溶接法により環状にモジュール支持体に取外し不能に結合され得る。接着結合部も溶接結合部も、コネクタモジュールがモジュール支持体に、防塵式に、飛沫水から保護して、できるだけ水密かつ耐振動性に結合されていることを確実にする。
【0017】
本発明の別の態様では、第1のフランジおよび/または第2のフランジと、モジュール支持体との間でシールが使用されている。
【0018】
本発明の別の実施の形態では、第1のコネクタモジュールが第1のコネクタケーシングに配置され、かつ第1のコネクタ接続部をロックするために第1のコネクタケーシングに取外し不能に結合された第1のロックエレメントを有している。第2のコネクタモジュールは第2のコネクタケーシングに配置され、かつ第2のコネクタ接続部をロックするために第2のコネクタケーシングに取外し不能に結合された第2のロックエレメントを有している。
【0019】
ロックにより、コネクタ接続部は、コネクタモジュールへの取付け後に、その位置で各コネクタケーシングにロックされる。この場合、このロックは解除可能に形成されている。ロックは、コネクタ接続部が、耐振動性にコネクタモジュールに結合され得ることを確実にする。互いに対して相補的に形成されたコネクタモジュールのコンタクトエレメントと、コネクタ接続部のコンタクトとの保持力が充分に強く、コネクタ接続部がコネクタモジュールから振動により外れるおそれがない場合、特に少数のコンタクト個数を有するコネクタ接続部が設けられている場合、できるだけロックは省略され得る。
【0020】
本発明の別の態様では、第1のコンタクトエレメントおよび第2のコンタクトエレメントは、それぞれ1つの第1の部分エレメントを有している。第1のコンタクトエレメントの第1の部分エレメントは、第1のコネクタケーシングを超えて延びている。第2のコンタクトエレメントの第1の部分エレメントは、第2のコネクタケーシングを超えて延びている。第1のコンタクトエレメントの第1の部分エレメントと、第2のコンタクトエレメントの第1の部分エレメントは、互いに位置決めされている。
【0021】
第1の部分エレメントは、モジュール支持体内への各コネクタモジュールの挿入方向にも、該挿入方向とは反対の方向にも延びていてよい。第1の部分エレメントは、挿入方向に対して横方向に延びていてもよい。第1のコンタクトエレメントの第1の部分エレメントおよび第2のコンタクトエレメントの第1の部分エレメントは、必ずしも同一の方向に延びていなくてもよい。
【0022】
コネクタモジュールの内部に配置されたコンタクトエレメントは、個別のコネクタモジュールの製造プロセスにより、通常は互いに対して正確に位置決めされている。通常、第1の部分エレメントは、コネクタモジュールの挿入方向とは反対の方向に延びていて、第1の部分エレメントは、制御装置のプリント回路と導電接続されるように調整されている。第1の部分エレメントに関する位置決めにより、個別のコネクタモジュールの互いに対する位置決めも行われる。全てのコネクタモジュールに設けられた第1の部分エレメントの互いに対する正確な位置決めにより、コンタクトエレメントと、制御装置の少なくとも1つのプリント回路との導電接続は、全自動の製造においても問題無く可能となる。正確な位置決めは、たとえば、制御装置の少なくとも1つのプリント回路によって収容される個々のコネクタモジュールの全ての部分エレメントの領域が、互いに対して0.4mmの位置決め公差を有していることにより達成される。この領域の収容は、たとえば少なくとも1つのプリント回路における孔のような開口により行われ、この場合、この領域は、開口内への導入後にプリント回路にたとえば半田付けにより導電接続される。
【0023】
本発明の別の態様では、モジュール式の電気的なコネクタ接続部の第1のコンタクトエレメントと、第2のコンタクトエレメントとは、それぞれ1つの第2の部分エレメントを有している。この第2の部分エレメントは、第1の部分エレメントに対して角度を成して配置されている。第1の部分エレメントと、第2の部分エレメントとは、互いに対して導電接続されている。
【0024】
通常、第2の部分エレメントは、直接にプリント回路に接続されている。接続部は、半田付け接続部であってよい。第2の部分エレメントは、プリント回路内に圧入されていてもよい。第2の部分エレメントが、プリント回路上に配置されたコネクタ接続部に接続されることも可能性もある。スペース上の理由から、通常、コネクタモジュールは、差込み方向(装着方向)が電気的な構成部分を装着された基板の延在方向に対して平行であるように、配置されているので、第2の部分エレメントは第1の部分エレメントに対して通常90°の角度を形成しているが、あらゆる別の角度も可能である。プリント回路のコンタクト箇所の形態に応じて、第1の部分エレメントおよび/または第2の部分エレメントは、コネクタモジュールの内部でも互いに異なる長さに形成されていてよい。
【0025】
本発明の別の態様では、少なくとも1つのコンタクトエレメントは、導電性のピンとしての第1のコンタクトエレメントおよび第2のコンタクトエレメントの群から形成されている。
【0026】
ピンの形態の導電性のコンタクトは、特に廉価に製造され得る。コンタクトは一体的に、つまり一部分から製造されていてよい。このようなピンは、たとえば円形、正方形または長方形の横断面を有していてよい。ピンの横断面の面積は、伝達されるべき電流に基づいて生じ得る。通常、たとえば点火用のアクチュエータの制御のための横断面の面積は、センサの応答のための横断面の面積よりも大きく寸法設定されている。
【0027】
本発明の別の態様では、第1のコネクタモジュールは、第2のコネクタモジュールと異なっていてよい。
【0028】
このことは、たとえば第2のコネクタモジュールに設けられたコンタクトエレメントの個数に対する第1のコネクタモジュール内のコンタクトエレメントの個数であると理解される。たとえば各コネクタモジュールのコネクタケーシングも互いに異なって形成されていてよい。
【0029】
本発明の別の態様では、自動車のための制御装置が、モジュール式の電気的なコネクタ接続装置を備えている。
【0030】
本発明の利点は、以下のように要約することができる。モジュール支持体と、コネクタモジュールを用いた、電気的なコネクタ接続装置のモジュール式の構造により、コネクタモジュールを廉価で省スペースに統合する可能性が生じる。コネクタモジュールは、その形状を個別に形成され得る。さらに、コネクタモジュールを個別に配置することができる。冒頭で述べた、プラスチックの使用によって形状および配置公差に関して生じるひずみおよび振動の問題は、充分に影響を有しなくなるので、コネクタモジュールの位置公差に関する工具の補正コストが減じられるか、もしくは完全になくなる。制御装置もしくはプリント回路の内部からの信号を外部に向かってコネクタ接続部、ひいては該コネクタ接続部に接続されたケーブルに伝達するコンタクトエレメントのレイアウト(配置)は、形状における新たな自由度を提供する。さらに、射出成形工具を単純にかつ廉価に構成することができる。コネクタモジュールが個別に製造されることにより、コネクタモジュールは高い精度で製造可能であり、かつコネクタ接続部のための差込み力が狭い限度内にあることを可能にする。さらに、モジュール式の構造は、ケーブルに結合されるコネクタ接続部の形状における大きな自由度を与える。
【0031】
本発明の思想は、モジュール支持体とコネクタモジュールとを備えたモジュール式の電気的なコネクタ接続装置との関連でも、制御装置との関連でも記載され得る。当業者であれば、個別に記載された特徴を種々異なる形式で互いに組み合わせることができ、それによって本発明の別の形態が得られることは明らかである。
【0032】
本発明を以下に添付の図面につき詳しく説明する、図面は概略的であり、正しい縮尺で示されたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】モジュール支持体およびコネクタモジュールを備えるモジュール式の電気的なコネクタ接続装置を示す斜視図である。
【
図2】2つのコネクタモジュールを備えたモジュール支持体の断面図である。
【
図3】コネクタモジュールとシールを備えたモジュール支持体の断面図である。
【
図4】コネクタモジュールを装着したモジュール支持体の後側を示す平面図である。
【0034】
例示的な実施の形態の詳細な説明
図1は、モジュール式の電気的なコネクタ接続装置2の斜視図を示している。このコネクタ接続装置2は、モジュール支持体4と、第1のコネクタモジュール6と、第2のコネクタモジュール8と、第3のコネクタモジュール10とを有している。この構成では、第1のコネクタモジュール6と、第2のコネクタモジュール8と、第3のコネクタモジュール10とは、相前後して配置されているか、または相並んで(隣り合って)配置されている。第1のコネクタモジュール6には第1のコネクタケーシング12が形成されていて、第2のコネクタモジュール8には第2のコネクタケーシング14が形成されていて、第3のコネクタモジュール10には第3のコネクタケーシング16が形成されている。全てのコネクタケーシング12,14,16は、矢印で示された装着方向もしくは差込み方向Sで電気的なそれぞれ1つのコネクタ接続部(図示せず)を収容するために成形されている。さらに、第1のコネクタモジュール6内には第1のコンタクトエレメント18が配置されていて、第2のコネクタモジュール8内には第2のコンタクトエレメント20が配置されていて,第3のコネクタモジュール10内には第3のコンタクトエレメント22が配置されている。この場合、コンタクトエレメント18,20,22は、導電性に形成されている。全てのコンタクトエレメント18,20,22は、差込み方向Sに向かってそれぞれのコネクタケーシング12,14,16を超えて延びている。コネクタモジュール6,8,10はモジュール支持体4に配置されていて、この場合、それぞれのコネクタケーシング12,14,16は、モジュール支持体4の前側24から差込み方向Sとは反対の方向に延びている。モジュール支持体4の、前側24とは反対の側に位置する後側26は、制御装置(図示せず)の内部に向けられている。全てのコンタクトエレメント18,20,22は、ここで説明する実施の形態では、一体的なピン型コンタクトとして形成されている。差込み方向Sでコネクタケーシング12,14,16を超えて延びている部分は、第1の部分エレメント50と第2の部分エレメント52とに分けられる。この場合、第1の部分エレメント50は、差込み方向Sに延びている。第2の部分エレメント52は、第1の部分エレメント50に対して曲げられていて、第1の部分エレメント50と第2の部分エレメント52とは所定の角度αを成している。
図1に示した実施の形態では、角度αは90°である。第1の部分エレメント50と第2の部分エレメント52とは、コネクタモジュール6,8,10の内部でも互いに異なる長さを有していてよい。少なくとも1つの第2の部分エレメント52は、プリント回路(図示せず)内にかつ/またはプリント回路(図示せず)に取り付けるために設けられている。本実施の態様では、少なくとも1つの第2の部分エレメント52が、プリント回路の基板の孔内に導入されて、そこで半田付けされるように構成されている。第2の部分エレメント52は、互いに対して平行に位置調節されて全て同一の方向に延びている。第2の部分エレメント52は、基板への半田付けのために設けられた全ての端部における位置公差が0.4mmであるように、互いに位置決めされる。付加的にはモジュール支持体4の後側26に対する第2の部分エレメント52の位置公差は同様に0.4mmであってよい。
【0035】
第1のコネクタケーシング12は第1の内室13を画定し、第2のコネクタケーシング14は第2の内室15を画定し、第3のコネクタケーシング16は、第3の内室17を画定する。内室13,15,17内で、ピンとして形成された第3の部分エレメント54が約8mmだけコネクタケーシング12,14,16内に突入する。このことは
図2で第1のコネクタモジュール6において示されている。コネクタモジュール6,8,10の狭幅側に、第1のロックエレメント46および第2のロックエレメント48が形成されている。これらのロックエレメント46,48は、コネクタケーシング12,14,16内に導入されたコネクタ接続部(図示せず)をロックする。コネクタ接続部をコネクタケーシング12,14,16から取り外すために、ロックエレメント46,48は解除可能であり、この場合、解除機構は大抵の場合、コネクタ接続部に形成されている。ロックエレメント46,48は、コネクタ接続部がたとえば振動に基づいてコネクタモジュール6,8,10から自然に脱落し得ることを阻止する。コネクタモジュール6,8,10は、モジュール支持体4に取外し不能に結合されている。
【0036】
図2は、第1のコネクタモジュール6と第2のコネクタモジュール8とを備えたモジュール支持体4の横断面を示している。このモジュール支持体4には、第1の貫通部28と、第2の貫通部30と、第3の貫通部32とが成形されている。第1の貫通部28は第1のコネクタモジュール6を収容するために、第2の貫通部30は第2のコネクタモジュール8を収容するために、第3の貫通部32は第3のコネクタモジュール10(図示せず)を収容するために形成されている。貫通部28,30,32は、モジュール支持体4の前側24と後側26との間で前側24から後側26に向かう方向に延びている。第1のコネクタモジュール6が第2のコネクタモジュール8と異なることが明らかに看取れる。本実施の形態では、第1のコネクタモジュール6と第2のコネクタモジュール8とはモジュール支持体4の後側26から挿入方向Eに沿ってモジュール支持体4の前側24に向かって導入される。挿入方向Eは、貫通部28,30,32に対して平行に延びている。この場合、コネクタモジュール6,8の挿入方向Eは、コネクタ接続部(図示せず)の差込み方向Sとは反対の方向に向けられている。貫通孔28,30が対応するコネクタモジュール6,8よりも大きく形成されていることは明らかである。これによって、コネクタモジュール6,8は、挿入方向Eに対して直交する横方向で正確な位置決めのために移動され得る。さらに、挿入方向Eに対して平行に第1の軸線34が延びており、これによって第1のコネクタモジュール6は所定の角度に回動可能である。同様に、挿入方向Eに対して平行に、第2の軸線36が延びており、該第2の軸線36を中心として第2のコネクタモジュール8は所定の角度に回動可能である。コネクタモジュール6,8の回動性は、湾曲された双方向矢印56で示されている。コネクタモジュール6,8の、貫通部28,30を通じた完全な通り抜けを阻止するために、第1のコネクタケーシング12は環状に延びる第1のフランジ38を有していて、第2のコネクタケーシング14は環状に延びる第2のフランジ40を有している。両フランジ38,40は、ディスク状に形成されている。両フランジ38,40は、コネクタモジュール6,8が貫通部28,30内で占める位置とは関係なく、該フランジ38,40が貫通部28,30を覆うように形成されている。
【0037】
コネクタモジュール6,8の位置決めは、コネクタケーシング12,14を超えて突出する第1の部分エレメント50が、互いに対して所定の間隔に調整されることにより行われる。この状態で、個々の個別に製造されたコネクタモジュール6,8は、接合プロセスにより、一体的に形成されたモジュール支持体4に取外し不能に結合される。ここに示された実施の形態では、第2のコネクタモジュール8はモジュール支持体4に溶接されており、溶接シームは、溶接部42により示されている。環状に延びる溶接シームは、コネクタモジュール6,8がモジュール支持体4に結合されて、埃および飛沫水がコネクタモジュール6,8と貫通部28,30との間で前側24から後側26に移動して、場合によっては機器内部に侵入することを阻止する。
【0038】
図3は、第1のコネクタモジュール6を有するモジュール支持体4の横断面を示している。本実施形態では、第1のフランジ38と、モジュール支持体4の後側26との間に第1の貫通部28を覆うシール44が配置されている。
【0039】
図4は、コネクタモジュール6,8,10を有するモジュール支持体4の後側26を示す平面図である。後側26は、プリント回路(図示せず)に向けられている。各コネクタモジュール6,8,10のコンタクトエレメント18,20,22は互いに異なった厚さに形成されていることが明らかに看取れる。このことは、個別のコンタクトエレメント18,20,22の横断面の面積でも継続するので、第2のコンタクトエレメント20の横断面の面積は、第1のコンタクトエレメント18の横断面の面積よりも大きい。したがって、第2のコンタクトエレメント20は、第1のコンタクトエレメント18よりも大きな電流を伝達することができる。比較的大きな横断面を有する第2のコンタクトエレメント20は、通常、アクチュエータ、たとえば点火または燃料噴射を閉ループ制御するか、開ループ制御するために使用される。比較的小さな横断面を備えるコンタクトエレメント18,20により通常、センサにより検出されたパラメータが伝達される。第2の部分エレメント52は全て、本実施の形態では、同じ高さで終わっている。各コネクタモジュール6,8,10の全てのコンタクトエレメント18,20,22は、プリント回路に導電接続されている。導電性は、図示の実施の形態では、半田付けプロセスにより確保にされる。このためには第2の部分エレメントは、プリント回路の基板に位置する孔内に導入される。