(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774214
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】成形型システムの接触構成部品のための耐摩耗性アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B29C 45/27 20060101AFI20150820BHJP
B22D 17/20 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
B29C45/27
B22D17/20 M
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-514863(P2014-514863)
(86)(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公表番号】特表2014-520007(P2014-520007A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】US2012041454
(87)【国際公開番号】WO2012170758
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2014年1月7日
(31)【優先権主張番号】61/495,038
(32)【優先日】2011年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595155303
【氏名又は名称】ハスキー インジェクション モールディング システムズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HUSKY INJECTION MOLDING SYSTEMS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】オーヴァーフィールド,サラ,キャサリーン
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,スティーヴン,リンウッド
(72)【発明者】
【氏名】ホール,ダグラス,オリヴァー
【審査官】
越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−170895(JP,A)
【文献】
特開平02−253913(JP,A)
【文献】
特開昭59−150736(JP,A)
【文献】
特開昭59−115822(JP,A)
【文献】
特開平11−000922(JP,A)
【文献】
特開2009−056779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
B22D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に、流動性の成形材料を搬送するように構成される第1の通路(13)を画定する第1の構成部品(12)と、
(i)前記第1の通路(13)と流体連通し、かつ(ii)使用時に前記流動性の成形材料を搬送する、ように構成される第2の通路(15)を画定する第2の構成部品(14)であって、前記第2の通路(15)は、前記第1の構成部品(12)と前記第2の構成部品(14)との間の封接面(101)において前記第1の通路(13)と流体連通する、第2の構成部品(14)と、
前記第1の構成部品(12)および前記第2の構成部品(14)と、少なくとも部分的に接触する耐摩耗性アセンブリ(16)であって、該耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に前記封接面(101)に近接して位置付けられ、かつ前記第1の構成部品(12)と前記第2の構成部品(14)との間の直接的な摺動封止接触を制限するように構成される、耐摩耗性アセンブリ(16)と、
を備え、
前記第1の構成部品(12)は、ノズルアセンブリ(200)を含み、前記第1の通路(13)は、前記ノズルアセンブリ(200)によって画定されるノズル溶融チャネル(202)を含み、
前記第2の構成部品(14)は、ノズル先端アセンブリ(300)を含み、前記第2の通路(15)は、前記ノズル先端アセンブリ(300)によって画定される先端溶融チャネル(302)を含み、
前記ノズル先端アセンブリ(300)は、該ノズル先端アセンブリ(300)の端部にノズル先端出口(309)を含み、且つ
前記封接面(101)は、前記ノズル先端アセンブリ(300)の前記端部とは反対側の端部にある、
成形型システム(10)。
【請求項2】
使用時に、流動性の成形材料を搬送するように構成される第1の通路(13)を画定する第1の構成部品(12)と、
(i)前記第1の通路(13)と流体連通し、かつ(ii)使用時に前記流動性の成形材料を搬送する、ように構成される第2の通路(15)を画定する第2の構成部品(14)であって、前記第2の通路(15)は、前記第1の構成部品(12)と前記第2の構成部品(14)との間の封接面(101)において前記第1の通路(13)と流体連通する、第2の構成部品(14)と、
前記第1の構成部品(12)および前記第2の構成部品(14)と、少なくとも部分的に接触する耐摩耗性アセンブリ(16)であって、該耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に前記封接面(101)に近接して位置付けられ、かつ前記第1の構成部品(12)と前記第2の構成部品(14)との間の直接的な摺動封止接触を制限するように構成される、耐摩耗性アセンブリ(16)と、
を備え、
前記第1の構成部品(12)は、ノズルアセンブリ(200)を含み、前記第1の通路(13)は、前記ノズルアセンブリ(200)によって画定されるノズル溶融チャネル(202)を含み、
前記第2の構成部品(14)は、マニホールドアセンブリ(400)を含み、前記第2の通路(15)は、前記マニホールドアセンブリ(400)によって画定されるマニホールド溶融チャネル(402)を含み、
前記マニホールドアセンブリ(400)は、マニホールド出口(404)を含み、且つ
前記封接面(101)は、前記マニホールド出口(404)に近接している、
成形型システム(10)。
【請求項3】
使用時に、流動性の成形材料を搬送するように構成される第1の通路(13)を画定する第1の構成部品(12)と、
(i)前記第1の通路(13)と流体連通し、かつ(ii)使用時に前記流動性の成形材料を搬送する、ように構成される第2の通路(15)を画定する第2の構成部品(14)であって、前記第2の通路(15)は、前記第1の構成部品(12)と前記第2の構成部品(14)との間の封接面(101)において前記第1の通路(13)と流体連通する、第2の構成部品(14)と、
前記第1の構成部品(12)および前記第2の構成部品(14)と、少なくとも部分的に接触する耐摩耗性アセンブリ(16)であって、該耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に前記封接面(101)に近接して位置付けられ、かつ前記第1の構成部品(12)と前記第2の構成部品(14)との間の直接的な摺動封止接触を制限するように構成される、耐摩耗性アセンブリ(16)と、
を備え、
前記第1の構成部品(12)は、クロスマニホールドアセンブリ(500)を含み、前記第1の通路(13)は、前記クロスマニホールドアセンブリ(500)によって画定されるクロスマニホールド溶融チャネル(502)を含み、
前記第2の構成部品(14)は、メインマニホールドアセンブリ(600)を含み、前記第2の通路(15)は、前記メインマニホールドアセンブリ(600)によって画定されるメインマニホールド溶融チャネル(602)を含み、
前記クロスマニホールドアセンブリ(500)は、クロスマニホールド出口(504)を含み、
前記メインマニホールドアセンブリ(600)は、メインマニホールド入口(604)を含み、且つ
前記封接面(101)は、前記クロスマニホールド出口(504)及び前記メインマニホールド入口(604)に近接している、
成形型システム(10)。
【請求項4】
使用時に、流動性の成形材料を搬送するように構成される第1の通路(13)を画定する第1の構成部品(12)と、
(i)前記第1の通路(13)と流体連通し、かつ(ii)使用時に前記流動性の成形材料を搬送する、ように構成される第2の通路(15)を画定する第2の構成部品(14)であって、前記第2の通路(15)は、前記第1の構成部品(12)と前記第2の構成部品(14)との間の封接面(101)において前記第1の通路(13)と流体連通する、第2の構成部品(14)と、
前記第1の構成部品(12)および前記第2の構成部品(14)と、少なくとも部分的に接触する耐摩耗性アセンブリ(16)であって、該耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に前記封接面(101)に近接して位置付けられ、かつ前記第1の構成部品(12)と前記第2の構成部品(14)との間の直接的な摺動封止接触を制限するように構成される、耐摩耗性アセンブリ(16)と、
を備え、
前記第1の構成部品(12)は、クロスマニホールドアセンブリ(500)を含み、前記第1の通路(13)は、前記クロスマニホールドアセンブリ(500)によって画定されるクロスマニホールド溶融チャネル(502)を含み、
前記第2の構成部品(14)は、移送スプルーアセンブリ(700)を含み、前記第2の通路(15)は、前記移送スプルーアセンブリ(700)によって画定される移送スプルー溶融チャネル(702)を含み、
前記クロスマニホールドアセンブリ(500)は、クロスマニホールド出口(504)を含み、
前記移送スプルーアセンブリ(700)は、移送スプルー入口(704)を含み、且つ
前記封接面(101)は、前記クロスマニホールド出口(504)及び前記移送スプルー入口(704)に近接している、
成形型システム(10)。
【請求項5】
前記耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に前記第1の構成部品(12)によって受容される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成形型システム(10)。
【請求項6】
前記耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に前記第2の構成部品(14)によって受容される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成形型システム(10)。
【請求項7】
前記耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に、前記第1の構成部品(12)と、前記第2の構成部品(14)とによって受容される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成形型システム(10)。
【請求項8】
前記耐摩耗性アセンブリ(16)は、
少なくとも部分的に前記第1の構成部品(12)によって受容される、第1の耐摩耗性アセンブリ(106)と、
少なくとも部分的に前記第2の構成部品(14)によって受容される、第2の耐摩耗性アセンブリ(108)と、
を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成形型システム(10)。
【請求項9】
前記耐摩耗性アセンブリ(16)は、
少なくとも部分的に前記第1の構成部品(12)によって受容される、第1の耐摩耗性アセンブリ(106)と、
少なくとも部分的に前記第2の構成部品(14)によって受容される、第2の耐摩耗性アセンブリ(108)と、
を含み、
前記第1の耐摩耗性アセンブリ(106)は、前記第2の耐摩耗性アセンブリ(108)と、少なくとも部分的に接触する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成形型システム(10)。
【請求項10】
前記耐摩耗性アセンブリ(16)は、
少なくとも部分的に前記第1の構成部品(12)によって受容される、第1の耐摩耗性アセンブリ(106)と、
少なくとも部分的に前記第2の構成部品(14)によって受容される、第2の耐摩耗性アセンブリ(108)と、
を含み、
前記第1の耐摩耗性アセンブリ(106)は、前記第2の構成部品(14)と、少なくとも部分的に接触し、
前記第2の耐摩耗性アセンブリ(108)は、前記第1の構成部品(12)と、少なくとも部分的に接触し、
前記第1の耐摩耗性アセンブリ(106)は、前記第2の耐摩耗性アセンブリ(108)と接触しない、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成形型システム(10)。
【請求項11】
成形型システム(10)を操作する方法であって、
第1の構成部品(12)によって画定される第1の通路(13)に沿って流動性の成形材料を搬送するステップと、
第2の構成部品(14)によって画定される第2の通路(15)に沿って流動性の成形材料を搬送するステップと、
前記第1の通路(13)を、前記第1の構成部品(12)と前記第2の構成部品(14)との間の封接面(101)において前記第2の通路(15)と流体連通させるステップと、
耐摩耗性アセンブリ(16)を、前記第1の構成部品(12)および前記第2の構成部品(14)に接触させるステップと、
を含み、
前記耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に前記封接面(101)に近接して位置付けられ、かつ前記第1の構成部品(12)と前記第2の構成部品(14)との間の直接的な摺動封止接触を制限するように構成され、
前記第1の構成部品(12)は、ノズルアセンブリ(200)を含み、前記第1の通路(13)は、前記ノズルアセンブリ(200)によって画定されるノズル溶融チャネル(202)を含み、
前記第2の構成部品(14)は、ノズル先端アセンブリ(300)を含み、前記第2の通路(15)は、前記ノズル先端アセンブリ(300)によって画定される先端溶融チャネル(302)を含み、
前記ノズル先端アセンブリ(300)は、該ノズル先端アセンブリ(300)の端部にノズル先端出口(309)を含み、且つ
前記封接面(101)は、前記ノズル先端アセンブリ(300)の前記端部とは反対側の端部にある、
方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の成形型システム(10)を有する、成形システム(900)。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の成形型システム(10)を有する、ランナーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一態様は、包括的に、成形型システム、および/またはこの成形型システムを有する成形システムに関する(だがこれに限定されない)。
【背景技術】
【0002】
射出成形システムにおけるホットランナーの機能は、溶融されて、加圧された樹脂を収容し、分配することにある。分配システムの流路から逃げた樹脂は、システムのダウンタイム、余分なメンテナンス、ならびに/または構成部品の故障および取り替えにつながり得る。分配システムの設計における課題は、別個の構成部品間の流路接続の管理である。
【0003】
ホットランナー分配システムは、典型的には、いくつかの構成部品の種類、すなわち、溶融樹脂を射出ノズルから受容するためのスプルー、樹脂を複数の開口部に分配するためのマニホールド、およびマニホールドの開口部から鋳型内の受容空洞部まで樹脂を移送するための複数のノズルで構成される。これらの構成部品のそれぞれは、所望される熱特性、強度特性、または摩耗特性によって、異なる材料組成を有し得る。異なる材料の種類は、構成部品の異なる熱膨張率をもたらす。これは、動作の加熱および冷却段階における構成部品間の相対運動として理解することができる。ホットランナーの構成部品については、高い熱伝導性が望ましい特性であることが多い。しかしながら、高伝導性の材料は、低い摩耗抵抗を有する傾向にある。組み立て時、またはメンテナンス時に、構成部品間の相対運動も起こる場合がある。
【0004】
溶融樹脂を1つの構成部品から別の構成部品に移送することは、しばしば、これら2つの構成部品を互いに寄せて置き、封止負荷を加えることによって達成される。この負荷は、所望の動作温度範囲に掛かる樹脂の圧力によって生成される離脱力に耐えるために十分なものでなければならない。しかしながら、過剰な負荷は、構成部品を損傷し得、樹脂が漏れる通路を作る表面の損傷を作り出すことによって封止を危険にさらす。過剰な負荷はまた、構成部品の破壊をもたらし得、これは構成部品の破損および故障につながり得る。封止負荷は、しばしば、組み立てられた状態または低温状態で掛けられる。これにより、相対運動中である、加熱および冷却段階に負荷を掛けることとなる。摺動接触と組み合わされた負荷は、摺動部品の表面を損傷する可能性を増加させる。組み立てプロセス中に掛けられる負荷がある場合もある。
【0005】
類似しない材料の種類、構成部品間の相対運動、および高い封止負荷は、接触面設計の課題の一因となる。以下の本発明は、相対運動を許容し、かつ所望の材料の種類の使用を許容しながらも、封止機能を向上させるホットランナーの構成部品の封接面の設計における改善点を説明する。
【0006】
米国特許第5299928号、第5925386号、第6164954号、第6561790号、第6609902号、第7128566号、第7137807号、第7223092号、第7507081号、第7540076号、第7549855号、第7654818号、および米国特許公開第2004/0071817号は、どのように熱伝導性および/または耐摩耗特性がホットランナーにおいて考慮されるかを開示している。
【発明の概要】
【0007】
発明者らは、何らかの事情で質の悪い成形品または成形部品を製造する、知られている成形システムに関連する問題を調査した。多くの研究を経て、発明者らは、以下に言及される問題点の理解とその解決策に至ったと考えており、さらに発明者らは、この知識が公に知られていないと考える。
【0008】
上記の問題点の少なくとも部分的な解決策を提供するために、一態様によると、使用時に、流動性の成形材料を搬送するように構成される第1の通路(13)を画定する第1の構成部品(12)と、(i)第1の通路(13)と流体連通し、かつ(ii)使用時に流動性の成形材料を搬送するように構成される第2の通路(15)を画定する第2の構成部品(14)とを備える成形型システム(10)が提供される。耐摩耗性アセンブリ(16)は、第1の構成部品(12)および第2の構成部品(14)と、少なくとも部分的に接触する。他の態様は、クレーム内で挙げられる。
【0009】
非限定的な諸実施形態の他の態様および特徴が、添付の図面とともにこれらの非限定的な諸実施形態の以下の詳細な説明を検討すれば、当業者にはここで明らかとなるであろう。
【0010】
非限定的な諸実施形態の以下の詳細な説明を、添付の図面と合わせて参照することによって、これらの非限定的な諸実施形態はより完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、仮想線、線図、および部分的な図によって示されている場合がある。特定の例において、諸実施形態の理解に不要な詳細(および/または把握することが困難な他の詳細を表す詳細)は、省略されている場合がある。
【0013】
図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、2A、2B、2C、3A、3B、3C、4A、4B、4Cは、成形型システム(10)の例の概略図である。図面に示されている例は、あらゆる置換および組み合わせで組み合わせられることが理解されるであろう。成形型システム(10)は、当業者には知られている構成部品を含むことができ、これらの知られている構成部品はここでは説明されず、これらの知られている構成部品は、(例えば)次の参考文献において少なくとも部分的に説明されている。すなわち、(i)OSSWALD/TURNG/GRAMANNが著した“Injection Molding Handbook”(ISBN:3−446−21669−2)、(ii)ROSATO AND ROSATOが著した“Injection Molding Handbook”(ISBN:0−412−99381−3)、(iii)JOHANNABERが著した“Injection Molding Systems”の第3版(ISBN 3−446−17733−7)、および/または(iv)BEAUMONTが著した“Runner and Gating Design Handbook”(ISBN 1−446−22672−9)である。この書類の目的のために、「含む(だがこれに限定されない)」という表現は、「備える」という語と同等であることを理解されたい。「備える」という語は、特許クレームのプリアンブルを、本発明自体が実際に何であるかを定義するクレーム内に記載される特定の要素に結びつける移行句または移行語である。移行句は、クレームの限定要件として働き、被疑侵害デバイス(等)が特許におけるクレームよりも多いもしくは少ない要素を含有している場合に、類似のデバイス、方法、または構成がこの特許を侵害するかどうかを示す。「備える」という語は、開放的な移行として扱われるべきであり、これは、クレームにおいて特定されるどの要素にもプリアンブルが限定されないため、移行の最も広範な形式である。成形型システム(10)の定義は次の通りである。すなわち、例えば射出成形システム等の成形システム(900)のプラテンシステムによって画定されるエンベロープ内に位置づけることのできるおよび/またはエンベロープ内で使用することのできるシステムである。プラテンシステムには、固定されたプラテンと、該固定されたプラテンに対して移動可能である、移動可能なプラテンとがある。(知られており図示されない)ランナーシステムは、成形型システム(10)を含むことができる。
【0014】
次にすべての図を参照すると、概して言えば、成形型システム(10)は、(i)第1の構成部品(12)、(ii)第2の構成部品(14)、および(iii)耐摩耗性アセンブリ(16)の組み合わせを含む(だがこれに限定されない)。第1の構成部品(12)は、使用時に流動性の成形材料を搬送するように構成される第1の通路(13)を画定する。第2の構成部品(14)は、(i)第1の通路(13)と流体連通し、かつ(ii)使用時に流動性の成形材料を搬送するように構成される第2の通路(15)を画定する。耐摩耗性アセンブリ(16)は、第1の構成部品(12)および第2の構成部品(14)と、少なくとも部分的に接触する。より具体的には、第2の通路(15)は、第1の構成部品(12)と第2の構成部品(14)との間の封接面(101)において第1の通路(13)と流体連通する。また、耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に封接面(101)に近接して位置づけられる。耐摩耗性アセンブリ(16)は、封接面(101)の封止効果を少なくとも部分的に向上し、かつ/あるいは少なくとも部分的に、封接面(101)における不慮のまたは望ましくない漏れを低減する、もしくは最低限でも、封接面(101)における樹脂(成形材料)の不慮の漏れを引き延ばす。一例として、耐摩耗性アセンブリ(16)は、ベリリリウム銅(BeCu)合金25の合金または他の好適な耐摩耗性の材料を含む(だがこれに限定されない)。より具体的には、耐摩耗性アセンブリ(16)は、第1の構成部品(12)と第2の構成部品(14)との間の直接的な摺動封止接触を制限するように構成される。
【0015】
第1の構成部品(12)および第2の構成部品(14)に対する、耐摩耗性アセンブリ(16)の配置または位置について、多くの選択肢があることが理解されるであろう。
【0016】
図1D、1E、2A、2C、3B、3C、4B、4Cを参照すると、成形型システム(910)のいくつかの例が示されており、ここでは、耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に第1の構成部品(12)によって受容される。
【0017】
図1A、1B、1C、1E、1G、2B、2C、3A、3C、4A、4Cを参照すると、成形型システム(10)のいくつかの例が示されており、ここでは、耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に第2の構成部品(14)によって受容される。
【0018】
上記の例を考慮して、別の例によると、当然この配置構成が成形型システム(10)の通常の動作を妨げないと仮定して、耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に第1の構成部品(12)と第2の構成部品(14)とによって受容されることが理解されるであろう。
【0019】
図1E、2C、3C、4Cを参照すると、成形型システム(10)のいくつかの例が示されており、ここでは、耐摩耗性アセンブリ(16)は、(i)第1の耐摩耗性アセンブリ(106)、および(ii)第2の耐摩耗性アセンブリ(108)を含む(だがこれに限定されない)。第1の耐摩耗性アセンブリ(106)は、少なくとも部分的に第1の構成部品(12)によって受容される。第2の耐摩耗性アセンブリ(108)は、少なくとも部分的に第2の構成部品(14)によって受容される。より具体的に別の例によると、
図1E、2C、3C、4Cは、第1の耐摩耗性アセンブリ(106)が、少なくとも部分的に第2の耐摩耗性アセンブリ(108)に接触する例が示されている。(i)第1の耐摩耗性アセンブリ(106)が、少なくとも部分的に第2の構成部品(14)に接触する、および(ii)第2の耐摩耗性アセンブリ(108)が、少なくとも部分的に第1の構成部品(12)に接触する場合は、(当然)この配置構成が成形型システム(10)の通常の動作を妨げないと仮定すると、(別の例によると)第1の耐摩耗性アセンブリ(106)は、第2の耐摩耗性アセンブリ(108)に接触しないこともまた、理解されるであろう。
【0020】
次に
図1A、1B、1C、1D、1E、1F、1Gを参照すると、成形型システム(10)の一例のいくつかの概略図が示されており、ここでは、第1の構成部品(12)はノズルアセンブリ(200)を含み、第2の構成部品(14)は、ノズル先端アセンブリ(300)を含む。第1の通路(13)は、ノズルアセンブリ(200)によって画定されるノズル溶融チャネル(202)を含む。第2の通路(15)は、ノズル先端アセンブリ(300)によって画定される先端溶融チャネル(302)を含む。ノズル先端アセンブリ(300)の先端入口(311)は、ノズルアセンブリ(200)のノズル出口(210)と流体連通する。ノズル先端アセンブリ(300)は、少なくとも部分的にノズル先端アセンブリ(300)の外側表面を囲む、封止アセンブリ(305)を含むことができる(だがこれに限定されない)。ノズル先端アセンブリ(300)はまた、先端出口(309)から先端入口(311)まで延在する先端溶融チャネル(302)も画定することができる。また、ノズル先端アセンブリ(300)には、圧入表面(313)が設けられてもよい。耐摩耗性アセンブリ(16)は、第1の対向する側面(308A)および第2の対向する側面(308B)を含むことができる(だがこれに限定されない)。第1の対向する側面(308A)は、ノズルアセンブリ(200)に接触するように構成される。第2の対向する側面(308B)は、ノズル先端アセンブリ(300)に接触するように構成される。変形形態によると、ノズル先端アセンブリ(300)は、ノズル先端アセンブリ(300)の圧入表面(313)に圧入嵌めされる耐摩耗性アセンブリ(16)を有する。別の選択肢によると(これに限定されないが)、耐摩耗性アセンブリ(16)は、ノズル先端アセンブリ(300)の先端摺動表面(316)に近接して取り付けられる。別の選択肢によると(これに限定されないが)、耐摩耗性アセンブリ(16)は、さまざまな方法(圧入嵌め、溶着、および/またはろう付け等)によってノズル先端アセンブリ(300)に取り付けられる。特定の例によると(これに限定されないが)、耐摩耗性アセンブリ(16)は、ノズル先端アセンブリ(300)の端部分(312)と嵌り合うように構成されるリング構造(310)を含む。リング構造(310)は、幾何学的な便宜のためにリング形状とされる。
【0021】
次に
図1Fを参照すると、成形型システム(10)の一例の概略図が示されており、ここでは、耐摩耗性アセンブリ(16)は、封接面(101)に沿って耐摩耗性アセンブリ(16)を埋めるように位置づけられる補助摩耗アセンブリ(21)を含む(だがこれに限定されない)。補助摩耗アセンブリ(21)は、ノズル先端アセンブリ(300)が、その動作可能位置まで封接面(101)に沿って半径方向に摺動する場合に使用することができる。ノズル先端アセンブリ(300)が、その動作位置に軸方向に沿って位置づけられる場合には、補助摩耗アセンブリ(21)は不要である。
【0022】
次に
図2A、2B、2Cを参照すると、成形型システム(10)の一例のいくつかの概略図が示されており、ここでは、第1の構成部品(12)は、ノズルアセンブリ(200)を含み、第2の構成部品(14)は、マニホールドアセンブリ(400)を含む。第1の通路(13)は、ノズルアセンブリ(200)によって画定されるノズル溶融チャネル(202)を含む。第2の通路(15)は、ノズル先端アセンブリ(300)によって画定されるマニホールド溶融チャネル(402)を含む。マニホールドアセンブリ(400)のマニホールド出口(404)は、ノズルアセンブリ(200)のノズル入口(204)と流体連通する。
【0023】
次に
図3A、3B、3Cを参照すると、成形型システム(10)の一例のいくつかの概略図が示されており、ここでは、第1の構成部品(12)は、クロスマニホールドアセンブリ(500)を含み、第2の構成部品(14)はメインマニホールドアセンブリ(600)を含む。第1の通路(13)は、クロスマニホールドアセンブリ(500)によって画定されるクロスマニホールド溶融チャネル(502)を含む。第2の通路(15)は、メインマニホールドアセンブリ(600)によって画定されるメインマニホールド溶融チャネル(602)を含む。クロスマニホールドアセンブリ(500)のクロスマニホールド出口(504)は、メインマニホールドアセンブリ(600)のメインマニホールド入口(604)と流体連通する。
【0024】
次に
図4A、4B、4Cを参照すると、成形型システム(10)の一例のいくつかの概略図が示されており、ここでは、第1の構成部品(12)は、クロスマニホールドアセンブリ(500)を含み、第2の構成部品(14)は、移送スプルーアセンブリ(700)を含む。第1の通路(13)は、クロスマニホールドアセンブリ(500)によって画定されるクロスマニホールド溶融チャネル(502)を含む。第2の通路(15)は、移送スプルーアセンブリ(700)によって画定される移送スプルー溶融チャネル(702)を含む。クロスマニホールドアセンブリ(500)のクロスマニホールド出口(504)は、移送スプルーアセンブリ(700)の移送スプルー入口(704)と流体連通する。
【0025】
[追加説明]
以下の付記は、成形型システム(10)の例のさらなる説明として提示される。付記(1):使用時に、流動性の成形材料を搬送するように構成される第1の通路(13)を画定する第1の構成部品(12)と、(i)第1の通路(13)と流体連通し、かつ(ii)使用時に、流動性の成形材料を搬送するように構成される第2の通路(15)を画定する第2の構成部品(14)と、第1の構成部品(12)および第2の構成部品(14)と少なくとも部分的に接触する耐摩耗性アセンブリ(16)とを備える成形型システム(10)。付記(2):第2の通路(15)は、第1の構成部品(12)と第2の構成部品(14)との間の封接面(101)において、第1の通路(13)と流体連通し、耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に封接面(101)に近接して位置づけられる、この段落に記載されるいずれかの付記の成形型システム(10)。付記(3):耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に第1の構成部品(12)によって受容される、この段落に記載されるいずれかの付記の成形型システム(10)。付記(4):耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に第2の構成部品(14)によって受容される、この段落に記載されるいずれかの付記の成形型システム(10)。付記(5):耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に第1の構成部品(12)と第2の構成部品(14)とによって受容される、この段落に記載されるいずれかの付記の成形型システム(10)。付記(6):耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に第1の構成部品(12)によって受容される第1の耐摩耗性アセンブリ(106)と、少なくとも部分的に第2の構成部品(14)によって受容される第2の耐摩耗性アセンブリ(108)とを含む(だがこれに限定されない)、この段落に記載されるいずれかの付記の成形型システム(10)。付記(7):耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に第1の構成部品(12)によって受容される第1の耐摩耗性アセンブリ(106)と、少なくとも部分的に第2の構成部品(14)によって受容される第2の耐摩耗性アセンブリ(108)とを含み(だがこれに限定されない)、第1の耐摩耗性アセンブリ(106)は、少なくとも部分的に第2の耐摩耗性アセンブリ(108)に接触する、この段落に記載されるいずれかの付記の成形型システム(10)。付記(8):耐摩耗性アセンブリ(16)は、少なくとも部分的に第1の構成部品(12)によって受容される第1の耐摩耗性アセンブリ(106)と、少なくとも部分的に第2の構成部品(14)によって受容される第2の耐摩耗性アセンブリ(108)とを含み(だがこれに限定されない)、第1の耐摩耗性アセンブリ(106)は、少なくとも部分的に第2の構成部品(14)に接触し、第2の耐摩耗性アセンブリ(108)は、少なくとも部分的に第1の構成部品(12)に接触し、第1の耐摩耗性アセンブリ(106)は、第2の耐摩耗性アセンブリ(108)に接触しない、この段落に記載されるいずれかの付記の成形型システム(10)。付記(9):第1の構成部品(12)は、ノズルアセンブリ(200)を含み、第1の通路(13)は、ノズルアセンブリ(200)によって画定されるノズル溶融チャネル(202)を含み、第2の構成部品(14)は、ノズル先端アセンブリ(300)を含み、第2の通路(15)は、ノズル先端アセンブリ(300)によって画定される先端溶融チャネル(302)を含む、この段落に記載されるいずれかの付記の成形型システム(10)。付記(10):第1の構成部品(12)は、ノズルアセンブリ(200)を含み、第1の通路(13)は、ノズルアセンブリ(200)によって画定されるノズル溶融チャネル(202)を含み、第2の構成部品(14)は、マニホールドアセンブリ(400)を含み、第2の通路(15)は、ノズル先端アセンブリ(300)によって画定されるマニホールド溶融チャネル(402)を含む、この段落に記載されるいずれかの付記の成形型システム(10)。付記(11):第1の構成部品(12)は、クロスマニホールドアセンブリ(500)を含み、第1の通路(13)は、クロスマニホールドアセンブリ(500)によって画定されるクロスマニホールド溶融チャネル(502)を含み、第2の構成部品(14)は、メインマニホールドアセンブリ(600)を含み、第2の通路(15)は、メインマニホールドアセンブリ(600)によって画定されるメインマニホールド溶融チャネル(602)を含む、この段落に記載されるいずれかの付記の成形型システム(10)。付記(12):第1の構成部品(12)は、クロスマニホールドアセンブリ(500)を含み、第1の通路(13)は、クロスマニホールドアセンブリ(500)によって画定されるクロスマニホールド溶融チャネル(502)を含み、第2の構成部品(14)は、移送スプルーアセンブリ(700)を含み、第2の通路(15)は、移送スプルーアセンブリ(700)によって画定される移送スプルー溶融チャネル(702)を含む、この段落に記載されるいずれかの付記の成形型システム(10)。図面は、成形型システム(10)の例を示している。図面に示されている例は、あらゆる好適な置換および組み合わせによって組み合わせられることが理解されるであろう。
【0026】
上記に説明されたアセンブリおよびモジュールは、必要に応じて互いに結び付けられてもよく、それぞれおよびそれらの1つ1つが明確な表現で説明される必要なく当業者がそのような組み合わせおよび置換を行う範囲内にある所望の機能および目的を行うことができることが理解されるであろう。当業分野で利用可能な等価物のいずれかよりも優れている、特別なアセンブリ、構成部品、またはソフトウェアコードはない。機能を果たすことができる限り、他のものよりも優れている、本発明および/または本発明の例を実施するための特別な形態はない。本発明のすべての重要な態様は、この書類に提供されているものと考えられる。本発明の範囲は、独立クレームによって定められる範囲に限定されることが理解され、さらに、本発明の範囲は、(i)従属クレーム、(ii)非限定的実施形態の詳細な説明、(iii)発明の概要、(iv)要約書、および/または(v)この書類外(つまり、出願されたとおり、請求されたとおり、および/または特許付与されたとおりの本出願以外)に提供された説明に、限定されないことも理解される。この書類の目的のために、「含む(だがこれに限定されない)」という表現は、「備える」という語と同等のものであることが理解される。非限定的な諸実施形態(例)が上記に概説されていることに留意されたい。説明は、特定の非限定的な諸実施形態(例)についてなされている。非限定的な諸実施形態は、例としての例示にすぎないことを理解されたい。