(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
用語「仮接着結合」は、基材同士を所望の時点で互いから再度分離できることを意味する。結合が分離された場合、接着剤層は、ほぼ完全に2つの基材の一方に残留し、このため、この後、他方の基材から機械的または化学的方法による除去が必要とされる接着剤層材料はない、または非常にわずかである。
【0003】
生産工程では、要件は、化学的に類似している2つの基材間の仮接着剤が使用後に所望の基材から再度、特異的に分離されることである。この場合、基材と接着剤層間での接着破壊が好ましい。これまで使用されてきた配合物は、類似している2つの基材を結合し得るが、一方の基材に優先的なものではない。先行技術によれば、これまで、それぞれの基材の前処理を用いた場合のみ、接着力を物理的または化学的方法によって意図的に調整することが可能であった。物理的方法の例は、表面研磨、UV照射、火炎処理、コロナ処理またはプラズマ処理である。この種の前処理工程により、基材材料の表面または表面近傍層が活性化される、即ち、官能基、主に極性基が形成される。化学的方法の例は、接着促進添加剤(プライマとも称される。)での前処理または接着を妨げる物質(剥離剤とも称される。)での前処理である。
【0004】
半導体構成部品の製作者側からの特にチップの製作に関する市場の要求は、絶えず全高の低下を求めるものである。成形構成部品の全高を低減させるための選択肢の1つはウェハを薄くすることである。1個ずつの成形(ダイシング)の前または後に研磨工程が行われ得る。
【0005】
ウェハがますます大きく、ますます薄くなる結果、ウェハの構造強度が低下する。この結果、大きく薄いウェハは、例えば、機械的補助が不充分なため、デバイスおよび最近使用されているダイシングテープなどの一般的に使用される材料での動作時に破断することがあり得る。さらに、100μm以上もの突出(バンプ)を有するウェハ構造部は、現在使用されている接着フィルム(テープ)では、全く空隙なしでは完全に封入され得ず、このため、残存している空隙によって一般的に、真空加工時に、薄いウェハの破壊または障害がもたらされ得る。
【0006】
この問題に対して考えられ得る技術的解決法の1つは、機械的強度を増大させ、次いで所望の加工工程を行い、最後にウェハ(これは、この時点でわずか10−100μmの厚さを有するものである。)を該基材から再度剥離するために、ウェハを硬質基材(例えば、別のウェハ、または例えばガラスなどのウェハ支持体)に仮接着剤層によって結合させることである。接着剤によって付着された該基材は、この場合、研磨および下流の加工工程の際の機械的補強体としての機能を果たす。
【0007】
また、薄くしたウェハに対する後続の加工としては、プラズマエッチングによる抵抗構造部の形成ならびに例えば、金属めっきおよび残留物クリーニングなどの工程が挙げられる。
【0008】
半導体ウェハを支持体上に固定するための可能性の1つは接着テープによって代表される。EP0838086B1には、半導体ウェハの加工成形のための使用のための熱可塑性エラストマーブロックコポリマーで構成されたテープが記載されている。しかしながら、材料の弾性が限定的であるため、表面構造部を有するウェハ(バンプ型ウェハ)を使用した場合、問題が生じる。さらに、材料の熱可塑性特性により熱安定性の低下がもたらされる。かかる安定性は、ウェハの薄化(バックサイド研磨)後に行われるバックサイド工程(プラズマ処理、CVDなど)のために必要である。
【0009】
WO2009/003029A2では、ウェハと担体間の仮接着剤としての使用のための熱可塑性有機ポリマー(イミド、アミドイミド、およびアミドイミド−シロキサン)が特許請求されている。
【0010】
WO2009/094558A2にはウェハと担体の仮接着結合が記載されており、接着結合は、全面にわたってではなく縁部領域のみで行われる。研磨工程および場合によってはバックサイド工程後、接着結合を化学的、光化学的、熱的または熱機械的に破壊させる。
【0011】
EP0603514A2には、半導体ウェハを薄くするための方法が記載されており、この場合、使用される接着剤材料は最大限でも200℃の温度で適切なものである。
【0012】
US出願US2004/0121618A1には、スピンコーティング工程に適しており、熱可塑性ポリウレタン、また、ジメチルアセトアミドおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル(主成分として)からなる液状接着剤が記載されている。
【0013】
EP1089326B1には、防塵膜で被覆されたシリコーンエラストマーからなり、該膜と該シリコーン層間の剥離力が5から500g/25mm(JIS K 6854による。)であるウェハ用支持体が特許請求されている。また、ウェハ支持体の作製方法も記載されている。
【0014】
WO2004/051708A2には、剥離層がウェハの前側と支持体層(=接着剤)間に適用されたウェハの加工方法が記載されている。この剥離層の作製は、一連の作製においてさらなる工程を提示し、長期にわたる加工時間、より高い生産コストにつながる。
【0015】
大きな課題は、類似している材料、例えば、この場合、事前に処理したシリコンウェハ(これは、この表面上にシリコン以外の材料も含有している場合があり得る。)は、一方において、担体(これも、同様にシリコンからなる。)に接着剤層を用いてしっかりと接合されるべきだが、他方において、ウェハ加工成形において慣用的な工程(例えば、ウェハの研磨または薄化、被覆など)後、これらは、ウェハ表面で極めて簡単に選択的に分離されるべきであるということである。
【0016】
先行技術によりこれまで使用されていた系は、使用されるポリマーの高温安定性が不充分なため、特定の加工成形手法、例えば、二酸化ケイ素または高温誘電体の熱蒸着などには満足なものではない。最高で300℃を超える必要な温度安定性に加え、さらに、機械的パラメータ(ウェハバックの研磨時)に関して配合物の適正なバランスおよび最適化、チップの加工成形において慣用的な種々の化学薬品に関して化学安定性、最小限の揮発性副生成物の放出(汚染のリスク)、ならびに未硬化接着剤の粘度(ウェハへの適用時)は、検討中のサンドイッチ系の適切な材料の開発において重要な目的である。
【0017】
従って、特に半導体産業において、化学的に類似している2つの基材の仮接着結合のための選択的接着型接着剤の必要性が存在している。該接着剤は、工業上実用的な方法(例えば、スプレーコーティング、印刷、浸漬、回転式塗工)による適用に適したものでなければならず、所望の時点で、所望の基材から適切な方法によって残留物なしで分離可能なものでなければならない。さらに、支持結合(=基材に対する堅い結合)に加え、接着剤はまた、一定の弾性特性を有するべきである。
【0018】
このような要件は、特に、ウェハボンディング過程に当てはまる。接着剤の特性は、ウェハに対する破断または損傷なくウェハの加工成形を可能にするものであるべきであり、また、さらに、ウェハの前面構造部を支持様式で封入できるものであるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
特に好都合な特徴は、接着剤としての架橋性シリコーン組成物の本発明による使用により、選択的に接着剤アセンブリを化学的に類似している2つの基材間に、結合対象の基材の前処理の必要なく構築することが可能なことである。
【0023】
接着剤としての架橋性シリコーン組成物の本発明による使用により、ウェハを破断したり、損傷を与えたりすることなく仮のウェハボンディング過程が可能になる。工業的方法(例えば、スプレーコーティング、印刷、浸漬、回転式塗工)による適用が容易に可能となり、このままで残留物なしで所望の時点でのウェハから分離される。さらに、接着結合では、支持結合(=基材に対する堅い結合)および弾性という所望の機械的特性が示され、ウェハの前面構造部を支持様式で封入できる。
【0024】
本発明に従って使用される接着剤の物理的基礎としての機能を果たすものは、原理上、任意の所望の架橋機構をベースとする任意の硬化性シリコーン組成物であり得る。シリコーン組成物の硬化は、該組成物をシリコーンエラストマーに変換させるものであり、例えば、電磁波放射(例えば、マイクロ波、UV光、X線、もしくはγ放射線)または高エネルギー粒子(例えば、電子、陽子、α粒子)への曝露によって行われ得る。シリコーン組成物の硬化は、好ましくは、当業者によく知られた縮合架橋、付加架橋または過酸化物架橋によって行われるが、工業的実務ではあまりよく知られていない架橋機構もまた包含していることを意図し、例は、脱水縮合、チオール−エン反応および「クリック」反応による架橋である。シリコーン組成物が熱可塑性シリコーン組成物であるである場合、基材同士の結合は、シリコーン材料の事前の溶融によって行われ得る。この場合、換言すると、「硬化」は、シリコーン材料をこの融点より下に冷却すること(物理的架橋)を意味すると理解されたい。また、硬化を前述の架橋可能性の組合せによって、例えば、UV照射型、白金触媒型ヒドロシリル化反応によって行ってよい。
【0025】
硬化した該接着剤の機械的特性(硬度、弾性率、連続引裂に対する抵抗性、引張強度、反発弾性)は先行技術で知られている範囲内である。架橋系に応じて、本発明の接着剤は、一成分配合物の形態であっても多成分配合物の形態であってもよく、該配合物の粘度は、適用する方法(例えば:スピンコーティング、射出成型など)に適合させ、先行技術で知られている範囲内である。0.01−100Pa・sの範囲が好ましいと考えられ、0.1から10Pa・sの範囲が特に好ましい。
【0026】
好適な縮合架橋型シリコーン組成物は、先行技術においてこれまで知られているあらゆるシリコーン組成物である。この化合物群の典型的な代表例は、技術文献においてRTV−1(
Room
Temperature
Vulcanizing(室温加硫型);
1−成分)およびRTV−2(
2−成分)という表示でみられ得る縮合架橋型シリコーン組成物である。RTV−2材料は、典型的には、成分のうちの1種類において末端シラノール基を有する少なくとも1種類のオルガノポリシロキサン、また、さらなる構成成分(充填剤および可塑剤など)を含む。第2成分(硬化剤)は架橋剤シランまたはシロキサンを、縮合反応を加速させる触媒との組合せで含み、また、場合によりさらなる構成成分(可塑剤など)との組合せで含む。特に、それぞれ架橋剤シランまたはシロキサンとして使用されるのは、少なくとも3つの加水分解性残基を有するシランおよびシロキサンである。好ましいものは、三官能性または四官能性のアルコキシシラン、この部分加水分解物、またはアルコキシシロキサンである。有効な縮合触媒として確立されている化合物としては有機スズ化合物が挙げられ、例は、ジアルキルスズジカルボキシレートおよびジカルボン酸スズ(II)、ならびに有機チタン化合物である。縮合架橋型RTV−1材料は、大気中の水分が取り込まれると加水分解生成物が脱離してシリコーンエラストマーに硬化され、シラノール末端オルガノポリシロキサンを、同時に架橋を誘導することなく複数の加水分解性基を含む架橋剤で末端ブロックできる可能性に基づいたものである。使用される架橋剤は、少なくとも3個の加水分解性基を有するあらゆるシラン、またはこのようなシランの部分加水分解物であり得る。該加水分解性基の性質に従って、例えば、アセトキシ、オキシム、アルコキシ、イソプレンオキシ、アミド、アミン、およびアミンオキシ架橋系の区別がなされ、これらは、酢酸、オキシム、アルコール、アセトン、アミド、アミン、またはヒドロキシルアミンの脱離により架橋する。充分に高い架橋速度を得るため、ほとんどのRTV−1材料には縮合触媒を含め、有機スズ化合物および有機チタン化合物が好ましく使用される。
【0027】
好適な付加架橋型シリコーン組成物は、先行技術においてこれまで知られているあらゆるシリコーン組成物である。最も単純な場合、該組成物は、分子内に少なくとも2個の脂肪族不飽和基(例えば、Si結合ビニル基)を有する少なくとも1種類のオルガノポリシロキサン、また、分子内に2個以上のSiH基を有する少なくとも1種類の有機ハイドロジェンポリシロキサン、および多数の脂肪族結合部へのSi結合水素の付加を促進させる少なくとも1種類の触媒を含むものであり、この触媒はヒドロシリル化触媒とも称される。好ましいヒドロシリル化触媒は白金化合物であるが、例えば、Rh、PdおよびRuの錯体も高い触媒活性を示す。特に好ましいPt触媒の一例は、Pt(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体であるKarstedt触媒である。付加架橋性シリコーン材料の他の構成成分としては、例えば、充填剤、抑制剤(適切な加工成形寿命および架橋速度の設定のため)、顔料、接着促進剤、熱安定剤などが挙げられる。
【0028】
好適な過酸化物架橋型シリコーン組成物は、先行技術においてこれまで知られているあらゆる過酸化物誘導性ラジカル架橋型シリコーン組成物である。最も単純な場合、該組成物は、分子1つあたり少なくとも2個の架橋性基(例えば、メチル基またはビニル基など)を有する少なくとも1種類のオルガノポリシロキサン、および少なくとも1種類の適切な有機過酸化物を含むものである。
【0029】
本発明に従って使用される接着剤は、
好ましくは0.01から10wt%、より好ましくは0.1から5重量パーセント、より好ましくは0.5から3重量パーセントの量の接着調節剤(A)
を含むものである。
【0030】
使用される接着調節剤(A)が接着促進剤である場合、原理上、先行技術によりシリコーン組成物における接着促進剤とみなされるあらゆる化合物を使用することが可能である。かかる接着促進剤の例は、加水分解性基とSiC結合ビニル、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、エポキシ、酸無水物、酸、エステルまたはエーテル基とを有するシラン、また、この部分加水分解物および同時加水分解物であり、ビニル基を有するシラン、およびエポキシ基を有し、エトキシまたはアセトキシ基を加水分解性残基として含むシランが好ましく、特に好ましい例は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エポキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、ならびにこの部分加水分解物および同時加水分解物である。
【0031】
この種の接着促進剤は、以下に列挙したものなどを含む、本文中に明示的に開示しており、ここで、これらは、得られるシリコーンエラストマーの種々の基材への自己接着を可能にする、非架橋シリコーン材料の一部として使用される。一例として、欧州特許公開公報の明細書EP0875536A2には、接着促進剤としてのエポキシ官能性アルコキシシランおよび/またはアルコキシシロキサンが記載されている。特許明細書US4,257,936には、接着促進剤として作用する、アクリロイルトリアルコキシシランと環状ハイドロジェンポリシロキサンとの付加物が示されている。US4,011,247にはハイドロジェンポリシロキサンのエポキシ付加物が開示されており、一方、特許明細書US3,510,001にはトリアリルイソシアヌレートのアルコキシシラン付加物が開示されている。US5,312,855には、2個以上のアリルエステル基を有する接着改善剤としての有機化合物との組合せでの、SiHおよびアルコキシシリルまたはグリシジル基を有するシロキサン化合物が記載されている。DE102006022097A1およびDE10338478A1には、シリコーンエラストマーの接着を高める目的のための特定のSi−H含有架橋剤が記載されている。
【0032】
接着促進剤として作用する別の物質群は、遷移金属アルコキシドおよび遷移金属キレート、特に、金属チタンおよびジルコニウムのものである。該物質群は、この接着促進効果を例えば、加水分解性基、縮合性基によって、またはエステル交換触媒として(より特別には、アルコキシ官能性シランおよびヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンとの組合せで)発現し得るものである。この例は、チタンアリルアセトアセタートトリイソプロポキシド、テトラ−n−ブチルチタナート、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオナート)、テトラオクチルチタナート、クレシルチタナート、チタニルアセトアセタート、ジルコニウムアセチルアセトナート、およびジルコニウムn−プロポキシドである。アルミニウムキレート(アルミニウムアセチルアセトナートなど)も同様に接着促進剤として使用され得る。また、前述の化合物の組合せの使用が接着促進効果に好都合な場合もあり得る。このような接着促進剤の調製方法は先行技術である。
【0033】
さらに、不飽和またはエポキシ官能性化合物を接着促進剤として利用してもよく、例は、3−グリシジルオキシプロピル−アルコキシ−アルキルシランまたは(エポキシシクロヘキシル)−エチル−アルコキシ−アルキルシランである。同様にこの目的に好適であるのは、有機基を担持している不飽和シラン、例えば、3−メタクリロイルオキシプロピルアルコキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルアルコキシシラン、およびビニル−、アリル−、ヘキセニル−、またはウンデセニルアルコキシシランなどである。エポキシ官能性シランの例は、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン、およびこの組合せである。適切な不飽和アルコキシシランの例としては、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリル−トリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、およびこの組合せが挙げられる。
【0034】
官能性シロキサンも同様に接着促進剤として使用され得る。該シロキサンは、ヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンと、上記のアルコキシシランのうちの1種類以上との反応生成物、またはヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンと上記の官能性シランのうちの1種類以上のブレンドとの反応生成物に相当するものである。例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランと、ヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンと3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの反応生成物との混合物が使用され得る。
【0035】
また、このような成分を反応生成物ではなく物理的混合物の形態で使用してもよい。
【0036】
さらに、上記の官能性シランの部分加水分解物を接着促進剤として使用してもよい。該部分加水分解物は、典型的には、該シランと水との反応の結果、混合物を調製すること、または該混合物の調製の後、部分加水分解することのいずれかによって調製される。
【0037】
使用される接着調節剤(A)が剥離剤である場合、原理上、先行技術により剥離剤として知られているあらゆる化合物を使用することが可能である。
【0038】
好適な剥離剤は、シリコーン液と称される非官能性ポリジメチルシロキサン、フェニル含有ポリジメチルシロキサン、フッ素化基もしくは部分フッ素化基を含有しているポリジメチルシロキサン、脂肪酸およびこの金属塩、飽和もしくは不飽和脂肪酸の脂肪酸エステル、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどのポリハロオレフィン、または無機化合物(例えば、リン酸カルシウム、窒化チタン、窒化ホウ素)である。
【0039】
剥離剤としてのフェニル置換ポリジメチルシロキサンの例は以下のもの:
ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:CAS[68083−14−7]
フェニルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:CAS[63148−52−7]
フェニルメチルシロキサンホモポリマー:CAS[9005−12−3]
フェニルメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー
1,1,5,5−テトラフェニル−1,3,3,5−テトラメチルトリシロキサン:CAS[3982−82−9]
1,1,3,5,5−ペンタフェニル−1,3,5−トリメチルトリシロキサン:CAS 3390−61−2
アルキルメチルシロキサン−アリールアルキルメチルシロキサンコポリマー:CAS[68037−77−4]、[68952−01−2]、[68440−89−1]、[68037−76−3]
ビニル末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:CAS[68951−96−2]
ビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン:CAS[225927−21−9]
ビニルフェニルメチル末端ビニルフェニル−フェニルメチルシロキサンコポリマー:CAS[8027−82−1]
ポリエチルハイドロジェンシロキサン:CAS[24979−95−1]
メチルハイドロジェン−フェニルメチルシロキサンコポリマー、SiH末端型:CAS[115487−49−5]、
メチルハイドロジェン−フェニルメチルシロキサンコポリマー、Me3−Si末端型
メチルハイドロジェン−フェニルメチル−ジメチルシロキサンコポリマー
シラノール末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:CAS[68951−93−9]、[68083−14−7]
シラノール末端ポリジフェニルシロキサン:CAS[63148−59−4]
である。
【0040】
特に適切な剥離剤の例は、フッ素化基または部分フッ素化基を含むポリジメチルシロキサン、およびフッ素含有基に加えてビニル基またはSi−H基などの官能部をさらに含むものであり得るポリジメチルシロキサンである。アリール基含有ポリジメチルシロキサンも同様に本発明の意味における剥離剤である。フェニル基を含有しており、ビニル基またはSi−H基などの他の官能基を含有していてもよいポリジメチルシロキサンが好ましい。剥離剤として同様に使用されるのは、有機モノカルボン酸、いわゆる脂肪酸、およびこの金属塩である。飽和有機モノカルボン酸の例は、ヘキサン酸またはカプロン酸、ヘプタン酸またはエナント酸、オクタン酸またはカプリル酸、ノナン酸またはペラルゴン酸、デカン酸またはカプリン酸、ドデカン酸またはラウリン酸、テトラデカン酸またはミリスチン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸またはパルミチン酸、ヘプタデカン酸またはマルガリン酸、オクタデカン酸またはステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸またはアラキジン酸、ドコサン酸またはベヘン酸、テトラコサン酸またはリグノセリン酸、ヘキサコサン酸またはセロチン酸、オクタコサン酸またはモンタン酸、トリアコンタン酸またはメリシン酸である。不飽和有機脂肪酸の例は、(10Z)−ウンデカ−10−エン酸またはウンデシレン酸、(9Z)−テトラデカ−9−エン酸またはミリストレイン酸、(9Z)−ヘキサデカ−9−エン酸またはパルミトレイン酸、(6Z)−オクタデカ−9−エン酸またはペトロセリン酸、(9Z)−オクタデカ−9−エン酸またはオレイン酸、(9E)−オクタデカ−9−エン酸またはエライジン酸、(11E)−オクタデカ−11−エン酸またはバクセン酸、(13Z)−ドコサ−13−エン酸またはエルカ酸、(9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエン酸またはリノール酸、(9Z,12Z,15Z−オクタデカ−9,12,15−トリエン酸またはα−リノレン酸、(6Z,9Z,12Z)−オクタデカ−6,9,12−トリエン酸またはγ−リノレン酸、(8E,10E,12Z)−オクタデカ−8,10,12−トリエン酸またはカレンジン酸、(9Z,11E,13Z)−オクタデカ−9,11,13−トリエン酸またはプニカ酸、(9Z,11E,13E)−オクタデカ−9,11,13−トリエン酸またはα−エレオステアリン酸、(9E,11E,13E)−オクタデカ−9,11,13−トリエン酸またはβ−エレオステアリン酸、(5Z,8Z,11Z,14Z)−エイコサ−5,8,11,14−テトラエン酸またはアラキドン酸、(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)−エイコサ−5,8,11,14,17−ペンタエン酸またはティムノドン酸、(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−7,10,13,16,19−ペンタエン酸またはクルパノドン酸である。
【0041】
剥離剤としてのフッ素含有ポリジメチルシロキサンの例は以下のもの:
ポリ(3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン):CAS[63148−56−1]
3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:CAS[115361−68−7]
ビス(トリデカフルオロオクチル)テトラメチルシロキサン:CAS[71363−70−7]
ビニル末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー:CAS[68951−98−4]
ビニル末端ジエチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー
3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー
3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー
シラノール末端ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン:CAS[68607−77−2]
である。
【0042】
剥離剤としての脂肪酸の塩の例は、上記の脂肪酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛またはアルミニウム塩である。好ましいのは該脂肪酸のカルシウム塩および亜鉛塩である。
【0043】
適切な脂肪酸エステルの例は、上記の酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ドコサニル、テトラコシル、ヘキサコシル、オクタコシルまたはトリアコンタニルエステルである。また、不飽和または分枝状の脂肪酸エステルも該適用に適している。
【0044】
好ましい脂肪酸エステルは、10から60個のC原子、より好ましくは10から40個のC原子を含むものである。
【0045】
本発明の意味における剥離剤として適切な他の物質群は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどのポリハロオレフィン、または例えば、リン酸カルシウム、窒化チタン、窒化ホウ素などの無機金属塩などである。
【0046】
フェニル置換シリコーン液または脂肪酸エステルも剥離剤としての使用に好ましい。本発明の接着剤組成物の架橋反応に悪影響を及ぼさない剥離剤がさらに好ましい。
【0047】
接着調節剤(A)として上記に列挙した剥離剤および接着促進剤は各々、接着剤としての機能を果たす架橋性シリコーン組成物において特定の溶解度および混和性挙動を有するものである。この挙動は広い範囲内で異なり得る。例えば、接着調節剤は、接着剤中に完璧に可溶性であり、分子レベルで均一な混合物に相当するものであってもよい。しかしながら、一般に、この物理化学的特性のため、接着調節剤(A)は、肉眼で見たとき接着剤組成物中に均一に分散または混合させることができても、接着剤組成物中における溶解度は低い。また、接着調節剤(A)は接着剤組成物と完全に非適合性であってもよく、これは、例えば、急速な相分離の開始、非分散性、またはエフロレッセンス効果および/もしくは滲み出し効果の例により示される。従って、接着剤の接着調節剤(A)とシリコーンマトリックスの非適合性の度合いに応じて、接着調節剤(A)は、シリコーン材料などの表面に移行し、微小相分離を有する混合物を形成する傾向になる。
【0048】
驚くべきことに、接着調節剤(A)と非架橋シリコーン組成物(=接着剤)からなる均一な混合物の場合であっても、添加する接着調節剤(A)の選択に応じて、第1基材と第2基材が物理化学的な点において完全に同一である場合であっても、接着剤と第1基材間の接着の発現が第2基材との接着の発現よりも大きく、または弱く調整され得ることがわかった。基材1、接着剤層および基材2により形成されるアセンブリの3次元の位置は、接着の発現のための重要な役割を果たしていることが観察された。本特許出願の保護の範囲が限定されることを望まないが、明らかに推定されるのは、決定的な役割は、使用されるシリコーン組成物と接着調節剤(A)の密度の違いによってもたらされているということである。接着調節剤が接着促進剤である場合では:例えば、接着調節剤(A)の密度(ρ
AR)がシリコーン組成物の密度(ρ
S)よりも大きい場合、接着は底面基材に対して優先的に発現し;接着調節剤(A)の密度(ρ
AR)がシリコーン組成物の密度(ρ
S)よりも低い場合、接着は上面基材に対して優先的に発現する。同様に、接着調節剤(A)が剥離剤、換言すると接着を低減させる物質である場合では、明らかに推定されるのは、接着調節剤(A)の密度がシリコーン組成物よりも低い場合、混合型接着調節剤(A)により上面基材の接着が低減されるということである。この場合、接着調節剤(A)の密度がシリコーン組成物よりも高い場合は、下側基材に対する接着力が小さくなる。
【0049】
また、少なくとも1種類の接着促進剤と少なくとも1種類の剥離剤の組合せを接着調節剤(A)として、所望の選択的接着効果を得るために使用してもよい。この場合、例えば、シリコーン組成物よりも接着促進剤が高い密度を有し、剥離剤が低い密度を有すること、またはシリコーン組成物よりも剥離剤が高い密度を有し、接着促進剤が低い密度を有することが有利である。接着調節剤(A)とシリコーン組成物の最低密度差は約0.10g/cm3であると考えられる。
【0050】
接着剤の密度は、任意の存在している充填剤の性質および量によって決定的に改変される(および、一般的には増大する。)。対象の充填剤が非常に微細化された充填剤である場合、該充填剤によって生じる密度変化により、実際に接着挙動の改変がもたらされる。他方、充填剤が非常に粗い粒子状である場合、実際に巨視的な密度変化がもたらされるが、シリコーン組成物の液状構成成分と接着調節剤(A)との密度差に基づく接着挙動に有意な影響はない。保護の範囲を限定するものでないが、この意味における微細化された充填剤と粗い粒子状の充填剤の境界は約1μmの平均粒子直径で導かれ得る。
【0051】
さらに、任意の存在している充填剤は、充填剤表面上への接着調節剤(A)の吸収または吸着によって、接着挙動の基礎を構成する接着調節剤(A)の移行挙動に影響を及ぼすことがあり得る。しかしながら、この不要な効果は適切な充填剤の選択によって回避され得る。
【0052】
また、記載のシリコーン組成物には、場合により、架橋性シリコーン組成物を作製するためにこれまで使用されている他のあらゆる補助剤も含められ得る。本発明のシリコーン組成物の一成分として使用され得る補強性充填剤の例は、少なくとも50m
2/gのBET表面積を有するヒュームドシリカまたは沈降シリカ、また、カーボンブラックならびに活性炭、例えば、ファーネスブラックおよびアセチレンブラックであり、少なくとも50m
2/gのBET表面積を有するヒュームドシリカおよび沈降シリカが好ましい。記載のシリカ充填剤は、本質的に親水性のものであってもよく、既知の方法によって疎水性にしたものであってもよい。親水性充填剤を組み込む場合、疎水性化剤を添加することが必要である。本発明の架橋性組成物中の能動補強性充填剤の量は0から70wt%、好ましくは0から50wt%の範囲である。
【0053】
本発明のシリコーン組成物には、選択の問題として、構成成分としてさらなる添加剤を70wt%まで、好ましくは0.0001から40wt%の割合で含めてもよい。このような添加剤は、例えば、不活性充填剤、該架橋ポリシロキサンと異なる樹脂状ポリオルガノシロキサン、補強性および非補強性充填剤、防かび剤、香料、レオロジー添加剤、腐食抑制剤、酸化抑制剤、光安定剤、難燃剤、ならびに電気特性に影響を及ぼす薬剤、分散助剤、溶剤、顔料、染料、可塑剤、有機ポリマー、熱安定剤などであり得る。このようなものとしては、例えば、微粉砕石英、ケイソウ土、クレイ、タルク、白亜、リトポン、カーボンブラック、グラファイト、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、カルボン酸の金属塩、金属粉末、繊維、例えば、ガラス繊維、ポリマー繊維、ポリマー粉末、染料、顔料などの添加剤が挙げられる。
【0054】
このような充填剤は、さらに熱伝導性または電気伝導性であってもよい。熱伝導性充填剤の例は、窒化アルミニウム;酸化アルミニウム;チタン酸バリウム;酸化ベリリウム;窒化ホウ素;ダイヤモンド;グラファイト;酸化マグネシウム;粒状金属(例えば、銅、金、ニッケルまたは銀など);炭化ケイ素;炭化タングステン;酸化亜鉛、およびこの組合せである。熱伝導性充填剤は先行技術において知られており、市販されている。例えば、CB−A20SおよびAl−43−Meは種々の粒径の酸化アルミニウム充填剤であり、昭和電工から市販されており、AA−04、AA−2およびAAl 8は、住友化学株式会社から市販されている酸化アルミニウム充填剤である。銀充填剤は、Metalor Technologies U.S.A.Corp.(Attleboro,Massachusetts,U.S.A.)から市販されている。窒化ホウ素充填剤は、Advanced Ceramics Corporation(Cleveland,Ohio,U.S.A.)から市販されている。補強性充填剤としては、シリカおよび短繊維、例えば、KEVLAR−Kurzfaser(登録商標)などが挙げられる。異なる粒径および異なる粒径分布の充填剤の組合せを使用してもよい。
【0055】
接着剤に、さらに1種類以上のオプションの成分を含めてもよいが、該オプションの成分は、本発明の方法において接着剤配合物の硬化に対して有害な影響を有しないものとする。オプションの成分の例としては、とりわけ、1種類以上の溶剤、1種類以上の抑制剤、スペーサが挙げられる。
【0056】
接着剤に溶剤を含める場合、該溶剤が系全体に対して有害な効果を有しないことを確実にされたい。好適な溶剤は、先行技術において知られており、市販されている。溶剤は、例えば、3から20個の炭素原子を有する有機溶剤であり得る。溶剤の例としては、脂肪族炭化水素(ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカンおよびドデカンなど);芳香族炭化水素(例えば、メシチレン、キシレンおよびトルエンなど);エステル(例えば、酢酸エチルおよびブチロラクトンなど);エーテル(例えば、n−ブチルエーテルおよびポリエチレングリコールモノメチルエーテルなど);ケトン(例えば、メチルイソブチルケトンおよびメチルペンチルケトンなど);シリコーン液(例えば、線状、分枝状および環状ポリジメチルシロキサンなど)、ならびにこれらの溶剤の組合せが挙げられる。具体的な溶剤の接着剤配合物中の最適濃度は、常套的な実験によって容易に決定され得る。化合物の重量にもよるが、溶剤の量は0%から95%または1%から95%であり得る。
【0057】
抑制剤および安定剤を含める場合、これらは目標とする加工成形寿命、開始温度、および本発明のシリコーン組成物の架橋速度に調整するのに役立つ。このような抑制剤および安定剤は付加架橋型組成物の技術分野で非常によく知られている。慣用的な抑制剤の例は、アセチレン型アルコール、例えば、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、および3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ドデシン−3−オール、ポリメチルビニルシクロシロキサン、例えば、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルテトラ−シクロシロキサン、メチルビニル−SiO
1/2基および/またはR
2ビニルSiO
1/2末端基を有する低分子量シリコーン液、例えば、ジビニルテトラメチル(methy)ジシロキサン、テトラビニルジメチルジシロキサン、シアヌール酸トリアルキル、マレイン酸アルキル、例えば、マレイン酸ジアリル、マレイン酸ジメチルおよびマレイン酸ジエチル、フマル酸アルキル、例えば、フマル酸ジアリルおよびフマル酸ジエチル、有機ヒドロペルオキシド、例えば、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、およびピナンヒドロペルオキシド、有機過酸化物、有機スルホキシド 有機アミン、ジアミンおよびアミド、ホスファンおよびホスファイト、ニトリル、トリアゾール、ジアジリジン、ならびにオキシムである。このような抑制剤添加剤の効果はこの化学構造に依存し、このため、濃度は個別に決定されなければならない。抑制剤および抑制剤混合物は、好ましくは、混合物の総重量に対して0.00001%から5%、より好ましくは0.00005%から2%、非常に好ましくは0.0001%から1%の割合で添加される。
【0058】
スペーサを含める場合、これは、有機粒子、無機粒子またはこの組合せからなるものであり得る。スペーサは、熱伝導性であっても電気伝導性であってもこの両方であってもよい。スペーサは、少なくとも25から250マイクロメートルまでの粒径を有するものであり得る。スペーサは単分散ビーズを構成していてもよい。スペーサの例としては、ポリスチレン、ガラス、過フッ素化炭化水素ポリマー、およびこの組合せが挙げられる。スペーサは、充填剤に加えて、もしくは代わりに、またはこの一部分として添加され得る。
【0059】
本発明による架橋性接着剤の使用は、接着剤が単純な方法で、容易に入手可能な出発物質を用いて、従って経済的に作製され得るという利点を有する。本発明に従って使用される接着剤は、一成分配合物として25℃および雰囲気圧で良好な貯蔵寿命を有し、高温のみで速やかに架橋するというさらなる利点を有する。本発明に従って使用される接着剤は、二成分配合物の場合は、2種類の成分を混合すると25℃および雰囲気圧で長期間にわたって加工成形性が保持され、従って極めて長いポットライフを示し、高温のみで速やかに架橋する架橋性シリコーン材料が生成されるという利点を有する。
【0060】
本発明のさらなる主題は、
a)接着剤を基材1に適用し、
b)10秒間から120分間の待ち時間が観察され、
c)任意の存在している溶剤を、前述の待ち時間b)の間に除去し、
d)基材2を該接着剤と接触させ、
e)該接着剤の硬化を行い、
f)基材1および/または基材2に対するさらなる加工工程の実施、
g)該2つの基材の一方に硬化した該接着剤を残したままでの両基材の分離
を特徴とし、
該接着剤が、接着促進剤または剥離剤またはこの組合せを含む群から選択される少なくとも1種類の接着調節剤(A)を含むことを特徴とする架橋性シリコーン組成物であり、
ここで、該接着調節剤(A)は、硬化した該接着剤と一方の基材間の接着力が硬化した該接着剤と他方の基材間の接着力よりも、DIN ISO 813による測定時、少なくとも0.5N/mm大きくなるような量で存在しており、硬化した該接着剤は、該結合を分離したとき、一方の基材のみから該領域の少なくとも80%において接着分離され得るものとする、
化学的に類似している2つの基材の仮接着結合のための方法である。
【0061】
好ましい一実施形態において、基材1はシリコンウェハであり、基材2はシリコン支持体である。
【0062】
非加硫状態では、本発明の接着剤は0.01から50Pa・sの粘度を有する。
【0063】
10K/分の加熱速度で300℃までの熱重量解析(TGA)における接着剤の質量の差は0.5wt%を超えない。
【0064】
厚さ6mmの接着剤配合物を有する硬化接着剤の標準試験片は、10から95、好ましくは30から90、より好ましくは40から80のショアA硬度を有する。
【0065】
必要な場合は、層間剥離過程での静電的充電および放電を抑制するため、適切な添加剤によって硬化接着剤の電気抵抗を低下させてもよい。この目的には、先行技術の静電防止剤および伝導率向上添加剤を使用することが可能である。使用される硬化接着剤の電気抵抗率は、室温で1*10
15Ωcm未満、好ましくは1*10
14Ωcm未満である。
【0066】
未硬化接着剤の動的粘度は、室温および1s
−1の剪断速度で50から10000mPa・sである。
【0067】
室温で1s
−1および100s
−1の剪断速度での使用される未硬化接着剤の動的粘度の比は3未満、好ましくは2未満、より好ましくは1.2未満である。
【0068】
使用される接着剤の利点は、従来技術で研磨できることである。
【実施例】
【0069】
以下に記載する実施例において、部およびパーセンテージのデータはすべて、特に記載のない限り、重量に関するものである。特に記載のない限り、以下の実施例は、周囲雰囲気圧、換言するとおよそ1000 hPa、および室温、換言すると約20℃または反応体を室温でさらなる加熱もしくは冷却なしで結合するときに生じる温度で行ったものである。以下の粘度データはすべて、25℃の温度に関するものである。以下の実施例は、本文中においてなんら限定的な影響力なしに本発明の実例を示している。
【0070】
接着力は、DIN ISO 813に従って測定され、単位:N/mmで報告している。分離様式は以下の記号を用いて評価している:
R エラストマー内の分離(凝集破壊)
D エラストマーと支持体プレート間の分離(領域の少なくとも80%における接着破壊)
以下の略号を使用する:
Cat. 白金触媒
Ex. 実施例
No. 番号
ρ
S シリコーン組成物の密度
ρ
HR 接着調節剤の密度
PDMS ポリジメチルシロキサン
AR 接着調節剤
n.i. 本発明でない
【0071】
[実施例1]
シリコーン基剤組成物1
約220の平均鎖長を有する100部のビニル末端PDMS
ポリマーを充分に架橋し得る3部のSiH架橋剤
100ppmの1−エチニルシクロヘキサノール
10ppmの白金触媒(金属ベース)
密度:0.97g/cm3
【0072】
[実施例2]
シリコーン基剤組成物2
約220の平均鎖長を有する100部のビニル末端PDMS
約300m
2/gのBET表面積を有する40部の予備疎水性化ヒュームドシリカ
ポリマーを充分に架橋し得る3部のSiH架橋剤
100ppmの1−エチニルシクロヘキサノール
10ppmの白金触媒(金属ベース)
密度:1.12g/cm3
【0073】
[実施例3]
シリコーン基剤組成物3
約220の平均鎖長を有する100部のビニル末端PDMS
25μmの平均粒子直径を有する50部の球状酸化アルミニウム
ポリマーを充分に架橋し得る3部のSiH架橋剤
100ppmの1−エチニルシクロヘキサノール
10ppmの白金触媒(金属ベース)
密度:0.97g/cm3(酸化Alは無視)
【0074】
[実施例4]
シリコーン基剤組成物4
100部のビニル基含有MQ樹脂
約100の平均鎖長を有する30部のビニル末端PDMS
ポリマーを充分に架橋し得る3部のSiH架橋剤
100ppmの1−エチニルシクロヘキサノール
10ppmの白金触媒(金属ベース)
密度:1.08g/cm3
【0075】
[実施例5]
シリコーン基剤組成物5
100部のビニル基含有MQ樹脂
約100の平均鎖長を有する50部のビニル末端PDMS
ポリマーを充分に架橋し得る7部のSiH架橋剤
100ppmの1−エチニルシクロヘキサノール
10ppmの白金触媒(金属ベース)
密度:1.07g/cm3
【0076】
以下の列挙は使用した接着調節剤を示す。これらは、シリコーン組成物に対して3wt%の濃度で添加剤として添加した:
【0077】
【表1】
【0078】
表1から4は実施例6から90を示す。これらは、どの接着調節剤をどのシリコーンベース組成物に混合したか、およびこの試験した接着力を示す。しかしながら、記載の効果を得るために、記載の物質の混合物もまた使用され得る。基材1として研磨したシリコンウェハを使用し;基材2は亜鉛メッキ鋼を表し;基材3はアルミニウムシートである。架橋中(165℃で15分間)、基材は、一方においてシリコーン組成物の下方にし(底面接着力に対応)、他方においてシリコーン組成物上に配置する(上面接着力に対応)。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】