(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インチング制御を行うフォークリフトの作業としては、例えば、ブレーキペダルを踏み込んだ状態(車両停止状態)でアクセルペダルを踏み込んでエンジンの回転速度を上昇させ、フォークを動かして荷役作業を行うものがある。また、ブレーキペダルを踏み込んだ状態(車両停止状態)でアクセルペダルを踏み込んでエンジン回転速度を上昇させ、その後、ブレーキペダルを急に放すことによって、フォークで運搬物を押し込んだり、フォークを荷物の隙間から引き抜いたりする作業がある。
【0006】
特許文献1には、フォークリフト特有の押し込み作業及び引き抜き作業を行う場合に適したインチング制御を行うことが記載されている。この他にも、HSTを備えたフォークリフトによる作業では、ブレーキペダルを踏み込んだ後に減速力を弱めようとしてブレーキペダルを戻すような場合、その後さらにアクセルペダルを踏み込んだ場合又は走行しながら荷役操作をしているときにオペレータが誤ってブレーキペダルを放し過ぎてしまった場合等、様々な局面が存在する。
【0007】
本発明は、HSTを備えたフォークリフトを用いた作業において、適切なインチング制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エンジンによって駆動される可変容量型の走行用油圧ポンプ、前記走行用油圧ポンプとの間で閉回路を形成し、前記走行用油圧ポンプから吐出された作動油によって駆動される油圧モータ及び前記油圧モータによって駆動される駆動輪を備えるフォークリフトであり、前記フォークリフトの車速を求める車速センサと、前記エンジンへの燃料供給量を変更するためのアクセルペダルの操作量を示すアクセル開度を検出するアクセル開度センサと、前記フォークリフトを制動するために用いられ、かつ前記走行用油圧ポンプが有する斜板の傾転角の低減割合であるインチング率を操作するブレーキペダルと、前記ブレーキペダルの操作量に対応する前記インチング率を演算するインチング率演算部と、前記アクセル開度と、前記ブレーキペダルの操作量を示すブレーキ開度と、前記ブレーキ開度の変化速度と、前記車速センサによって検出された前記車速と、の少なくとも1つに基づき前記インチング率の増加速度を決定するインチング率増加速度演算部と、を含む。
【0009】
前記アクセル開度が所定のアクセル開度閾値未満の状態において、前記車速が所定の車速閾値以下の場合における前記増加速度は、前記車速が前記車速閾値よりも大きい場合における前記増加速度よりも小さいことが好ましい。
【0010】
前記アクセル開度が所定のアクセル開度閾値以上かつ前記ブレーキ開度が所定の開度閾値以上の状態において、前記ブレーキ開度の変化速度が所定の開度変化閾値以上の場合における前記増加速度は、前記ブレーキ開度の変化速度が前記開度変化閾値未満の場合における前記増加速度よりも小さいことが好ましい。
【0011】
前記アクセル開度が所定のアクセル開度閾値以上かつ前記ブレーキ開度が所定のブレーキ開度閾値以上の状態において、前記ブレーキ開度の変化速度が所定の開度変化閾値以上の場合における前記増加速度は、前記アクセル開度が大きくなるにしたがって大きくなっていることが好ましい。
【0012】
前記アクセル開度が所定のアクセル開度閾値以上かつ前記ブレーキ開度が所定のブレーキ開度閾値未満の状態において、前記増加速度は、前記アクセル開度に応じて設定された前記増加速度のマップによって定められることが好ましい。
【0013】
前記増加速度は、前記アクセル開度が大きくなるにしたがって大きくなっていることが好ましい。
【0014】
本発明は、エンジンによって駆動される可変容量型の走行用油圧ポンプ、前記走行用油圧ポンプとの間で閉回路を形成し、前記走行用油圧ポンプから吐出された作動油によって駆動される油圧モータ及び前記油圧モータによって駆動される駆動輪を備えるフォークリフトを制御するにあたって、前記エンジンへの燃料供給量を変更するためのアクセルペダルの操作量を示すアクセル開度と、前記フォークリフトを制動するために用いられるブレーキペダルの操作量を示すブレーキ開度と、前記ブレーキ開度の変化速度と、車速センサによって検出された前記フォークリフトの車速と、の少なくとも1つに基づき、前記走行用油圧ポンプが有する斜板の傾転角の低減割合であるインチング率の増加速度を決定する、フォークリフトの制御方法である。
【0015】
前記アクセル開度が所定のアクセル開度閾値未満の状態において、前記車速が所定の車速閾値以下の場合における前記増加速度は、前記車速が前記車速閾値よりも大きい場合における前記増加速度よりも小さいことが好ましい。
【0016】
前記アクセル開度が所定のアクセル開度閾値以上かつ前記ブレーキ開度が所定の開度閾値以上の状態において、前記ブレーキ開度の変化速度が所定の開度変化閾値以上の場合における前記増加速度は、前記ブレーキ開度の変化速度が前記開度変化閾値未満の場合における前記増加速度よりも小さいことが好ましい。
【0017】
前記アクセル開度が所定のアクセル開度閾値以上かつ前記ブレーキ開度が所定のブレーキ開度閾値以上の状態において、前記ブレーキ開度の変化速度が所定の開度変化閾値以上の場合における前記増加速度は、前記アクセル開度が大きくなるにしたがって大きくなっていることが好ましい。
【0018】
前記アクセル開度が所定のアクセル開度閾値以上かつ前記ブレーキ開度が所定のブレーキ開度閾値未満の状態において、前記増加速度は、前記アクセル開度に応じて設定された前記増加速度のマップによって定められることが好ましい。
【0019】
前記増加速度は、前記アクセル開度が大きくなるにしたがって大きくなっていることが好ましい。
【0020】
本発明は、HSTを備えたフォークリフトを用いた作業において、適切なインチング制御を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るフォークリフトの全体構成を示す図である。
図2は、
図1に示したフォークリフトの制御系統を示すブロック図である。
図3は、インチング操作量に対するインチング率の変化を示す図である。フォークリフト1は、駆動輪2a及び操向輪2bを有した車体3と、車体3の前方に設けられる作業機5とを有する。車体3には、内燃機関としてのエンジン4、エンジン4を駆動源として駆動する可変容量型の走行用油圧ポンプ10及び可変容量型の作業機油圧ポンプ16が設けられる。駆動輪2aは、可変容量型の走行用油圧ポンプ10と可変容量型の油圧モータ20とを閉じた油圧回路で連通させ、油圧モータ20の動力で駆動される。このように、フォークリフト1は、HSTによって走行する。本実施形態において、走行用油圧ポンプ10及び作業機油圧ポンプ16は、いずれも斜板を有し、斜板の傾転角が変更されることにより、容量が変化する。
【0024】
作業機5は、フォーク6を昇降させるリフトシリンダ7及びフォーク6をチルトさせるチルトシリンダ8を有する。車体3の運転席には、前後進レバー42a、ブレーキペダル(インチングペダル)40a、アクセルペダル41a並びに作業機5を操作するためのリフトレバー及びチルトレバーを含む図示しない作業機操作レバーが設けられる。ブレーキペダル40a及びアクセルペダル41aは、フォークリフト1のオペレータが、運転席から足踏み操作できる位置に設けられている。
図1では、インチングペダル40aとアクセルペダル41aとが重なった状態で描かれている。
【0025】
図2に示すように、フォークリフト1は、閉回路となる主油圧回路100の油圧供給管路10a、10bによって接続された走行用油圧ポンプ10及び油圧モータ20を備えている。走行用油圧ポンプ10(以下、適宜HSTポンプ10という)は、エンジン4によって駆動されて作動油を吐出する装置である。本実施形態において、HSTポンプ10は、例えば、斜板傾転角を変更することによって容量を変更することのできる可変容量型のポンプである。
【0026】
油圧モータ20(以下、適宜HSTモータ20という)は、HSTポンプ10から吐出された作動油によって駆動される。油圧モータ20は、例えば、斜板傾転角を変更することによって容量を変更することのできる可変容量型の油圧モータである。HSTモータ20は、固定容量型の油圧モータであってもよい。HSTモータ20は、その出力軸20aがトランスファ20bを介して駆動輪2aに接続してあり、駆動輪2aを回転駆動することでフォークリフト1を走行させることができる。
【0027】
HSTモータ20は、HSTポンプ10からの作動油の供給方向に応じて回転方向を切り替えることが可能である。HSTモータ20の回転方向が切り替えられることにより、フォークリフト1を前進又は後進させることができる。以下の説明においては、便宜上、油圧供給管路10aからHSTモータ20に作動油が供給された場合にフォークリフト1が前進し、油圧供給管路10bからHSTモータ20に作動油が供給された場合にフォークリフト1が後進するものとする。
【0028】
このフォークリフト1は、ポンプ容量設定ユニット11、モータ容量設定ユニット21及びチャージポンプ15を有する。ポンプ容量設定ユニット11は、HSTポンプ10に設けられる。ポンプ容量設定ユニット11は、前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12、後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13及びポンプ容量制御シリンダ14を備える。ポンプ容量設定ユニット11は、前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12及び後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13に対して、後述する制御装置30から指令信号が与えられる。ポンプ容量設定ユニット11は、制御装置30から与えられた指令信号に応じてポンプ容量制御シリンダ14が作動し、HSTポンプ10の斜板傾転角が変化することによってその容量が変更される。
【0029】
ポンプ容量制御シリンダ14は、斜板傾転角が0の状態において、ピストン14aが中立状態に保持されている。このため、エンジン4が回転しても、HSTポンプ10から主油圧回路100へ吐出される作動油の量はゼロである。
【0030】
HSTポンプ10の斜板傾転角が0の状態から、例えば、前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12に対して制御装置30からHSTポンプ10の容量を増大する旨の指令信号が与えられると、この指令信号に応じて前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12からポンプ容量制御シリンダ14に対してポンプ制御圧力が与えられる。その結果、ピストン14aは、
図2において左側に移動する。ポンプ容量制御シリンダ14のピストン14aが
図2において左側に移動すると、これに連動してHSTポンプ10の斜板が油圧供給管路10aに対して作動油を吐出する方向へ向けて傾く。
【0031】
前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12からのポンプ制御圧力が増大するにしたがって、ピストン14aの移動量が大きくなる。このため、HSTポンプ10における斜板の傾転角は、その変化量も大きなものとなる。つまり、前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12に対して制御装置30から指令信号が与えられると、この指令信号に応じたポンプ制御圧力が前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12からポンプ容量制御シリンダ14に与えられる。前述したポンプ制御圧力によって、ポンプ容量制御シリンダ14が作動することにより、HSTポンプ10の斜板が油圧供給管路10aに対して所定量の作動油を吐出できるように傾く。この結果、エンジン4が回転すれば、HSTポンプ10から油圧供給管路10aに作動油が吐出されて、HSTモータ20は前進方向に回転する。
【0032】
前述の状態において、前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12に対して制御装置30からHSTポンプ10の容量を減少する旨の指令信号が与えられると、この指令信号に応じて前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12からポンプ容量制御シリンダ14に供給されるポンプ制御圧力が減少する。このため、ポンプ容量制御シリンダ14のピストン14aは、中立位置に向かって移動する。この結果、HSTポンプ10の斜板傾転角が減少し、HSTポンプ10から油圧供給管路10aへの作動油の吐出量が減少する。
【0033】
制御装置30が、後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13に対してHSTポンプ10の容量を増大する旨の指令信号が与えると、この指令信号に応じて後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13からポンプ容量制御シリンダ14に対してポンプ制御圧力が与えられる。すると、ピストン14aは、
図2において右側に移動する。ポンプ容量制御シリンダ14のピストン14aが、
図2において右側に移動すると、これに連動してHSTポンプ10の斜板が油圧供給管路10bに対して作動油を吐出する方向へ向かって傾転する。
【0034】
後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13から供給されるポンプ制御圧力が増大するにしたがってピストン14aの移動量が大きくなるため、HSTポンプ10の斜板傾転角の変化量は大きくなる。つまり、後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13に対して制御装置30から指令信号が与えられると、この指令信号に応じたポンプ制御圧力が後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13からポンプ容量制御シリンダ14に与えられる。そして、ポンプ容量制御シリンダ14の作動によりHSTポンプ10の斜板が油圧供給管路10bに対して所望量の作動油を吐出できるように傾く。この結果、エンジン4が回転すると、HSTポンプ10から油圧供給管路10bに作動油が吐出されて、HSTモータ20は、後進方向に回転する。
【0035】
後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13に対して制御装置30からHSTポンプ10の容量を減少する旨の指令信号が与えられると、この指令信号に応じて後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13からポンプ容量制御シリンダ14に供給するポンプ制御圧力が減少し、ピストン14aが中立位置に向けて移動する。この結果、HSTポンプ10の斜板傾転角が減少するので、HSTポンプ10から油圧供給管路10bへ吐出される作動油の量が減少する。
【0036】
モータ容量設定ユニット21は、HSTモータ20に設けられる。モータ容量設定ユニット21は、モータ電磁比例制御バルブ22、モータ用シリンダ制御バルブ23及びモータ容量制御シリンダ24を備えている。モータ容量設定ユニット21では、モータ電磁比例制御バルブ22に対して制御装置30から指令信号が与えられると、モータ電磁比例制御バルブ22からモータ用シリンダ制御バルブ23にモータ制御圧力が供給されて、モータ容量制御シリンダ24が作動する。モータ容量制御シリンダ24が作動すると、これに連動してHSTモータ20の斜板傾転角が変化することになる。このため、制御装置30からの指令信号に応じてHSTモータ20の容量が変更されることになる。具体的には、モータ容量設定ユニット21は、モータ電磁比例制御バルブ22から供給されるモータ制御圧力が増加するにしたがって、HSTモータ20の斜板傾転角が減少するようになっている。
【0037】
チャージポンプ15は、エンジン4によって駆動される。チャージポンプ15は、前述した前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12及び後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13を介してポンプ容量制御シリンダ14にポンプ制御圧力を供給する。また、チャージポンプ15は、モータ電磁比例制御バルブ22を介してモータ用シリンダ制御バルブ23にモータ制御圧力を供給する機能を有している。
【0038】
本実施形態において、エンジン4は、HSTポンプ10の他に、作業機油圧ポンプ16を駆動する。この作業機油圧ポンプ16は、作業機5を駆動するための作業用アクチュエータであるリフトシリンダ7及びチルトシリンダ8に作動油を供給する。
【0039】
フォークリフト1は、インチングポテンショメータ(ブレーキポテンショメータ)40、アクセルポテンショメータ41、前後進レバースイッチ42、エンジン回転センサ43及び車速センサ46を備えている。
【0040】
インチングポテンショメータ40は、ブレーキペダル(インチングペダル)40aが操作された場合に、その操作量を検出して出力する。ブレーキペダル40aの操作量は、ブレーキ開度Bs又はインチング操作量Isである。インチングポテンショメータ40が出力するブレーキ開度Bs又はインチング操作量Isは、制御装置30に入力される。本実施形態において、
図3の特性線L1に示すように、インチングポテンショメータ40が検出したインチング操作量Isが0%から50%の範囲において、インチング率Iは、100%から0%に変化する。インチング率Iとは、HSTポンプ10の所定の斜板傾転角に対する低減割合を示すものであり、HSTポンプ10の目標吸収トルクの低減割合とも言い換えることができる。
【0041】
インチング操作量Isが50%から100%の範囲において、特性線LBに示すように、図示しない機械式ブレーキの効き具合を示すメカブレーキ率は、0%から100%に変化する。なお、インチング操作量Isが50%近傍に、インチング率Iとメカブレーキ率とがともに0%以上となるオーバーラップ領域が存在してもよい。このオーバーラップ領域は、インチングペダル40aの操作感覚を考慮して決定される。
【0042】
図4は、実エンジン回転数Nrに対するHSTポンプ10の目標吸収トルクTmの特性線L2を示す図である。この特性線L2にインチング率Iを乗算することによって、特性線L2は、例えば特性線L3に変化することを示している。すなわち、インチング率Iの減少によって、HSTポンプ10の目標吸収トルクTmが減少する。このように、インチング率Iは、HSTポンプ10の目標吸収トルクTmの低減割合に対応する。インチング率100%である場合、HSTポンプ10の目標吸収トルクTmは減少せず、インチング率0%である場合、HSTポンプ10の目標吸収トルクTmは0になる。
【0043】
本実施形態において、フォークリフト1のオペレータがブレーキペダル40aから足を放して、機械式ブレーキによる制動力を減少又は0にすることを、ブレーキを開放すると称する。ブレーキを効かせるとは、フォークリフト1のオペレータがブレーキペダル40aを踏み込んで、機械式ブレーキによる制動力を発生又は増加させることをいう。
【0044】
アクセルポテンショメータ41は、アクセルペダル41aが操作された場合にその操作量Asを出力するものである。アクセルペダル41aの操作量Asは、アクセル開度Asともいう。アクセルポテンショメータ41が出力するアクセル開度Asは、制御装置30に入力される。
【0045】
前後進レバースイッチ42は、フォークリフト1の進行方向を入力するための選択スイッチである。本実施形態では、運転席から選択操作できる位置に設けた前後進レバー42aの操作により、前進と、ニュートラルと、後進との3つの進行方向を選択することのできる前後進レバースイッチ42を適用している。この前後進レバースイッチ42によって選択された進行方向を示す情報は、選択情報として制御装置30に与えられることになる。
【0046】
エンジン回転センサ43は、エンジン4の実際の回転数を検出するものである。エンジン回転センサ43によって検出されたエンジン4の回転数は、実エンジン回転数Nrである。実エンジン回転数Nrを示す情報は、制御装置30に入力される。単位時間あたりにおけるエンジン4の回転数は、エンジン4の回転速度になる。本実施形態において、実エンジン回転数Nrには、エンジン4の実際の回転速度を含むものとする。
【0047】
制御装置30は、処理部30Cと記憶部30Mとを含む。制御装置30は、例えば、コンピュータである。処理部30Cは、例えば、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを組み合わせて構成される。処理部30Cは、記憶部30Mに記憶されている、主油圧回路100を制御するためのコンピュータプログラムを読み込んでこれに記述されている命令を実行することにより、主油圧回路100の動作を制御する。また、処理部30Cは、本実施形態に係るフォークリフトの制御方法を実行するためのコンピュータプログラムを読み込んで、これに記述されている命令を実行することにより、インチング率の増加速度を決定する。インチング率の増加速度については後述する。記憶部30Mは、前述したコンピュータプログラム並びに主油圧回路100の制御及びインチング率の増加速度の決定に必要なデータ等を記憶している。記憶部30Mは、例えば、ROM(Read Only Memory)、ストレージデバイス又はこれらの組合せによって構成される。
【0048】
制御装置30には、インチングポテンショメータ40、アクセルポテンショメータ41、前後進レバースイッチ42、エンジン回転センサ43、圧力検出センサ44、45及び車速センサ46といった各種センサ類が電気的に接続されている。制御装置30は、これらの各種センサ類からの入力信号に基づいて、前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12、後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13又はモータ電磁比例制御バルブ22の指令信号を生成し、かつ生成した指令信号をそれぞれの電磁比例制御バルブ12、13、22に与える。
【0049】
図5は、制御装置30によるHSTポンプ10に対するインチング制御を含むポンプ制御を示すブロック図である。
図5に示すように、制御装置30は、目標吸収トルク演算部31、インチング率演算部32、燃料噴射量演算部33、インチング率増加速度判定部34、モジュレーション制御部35、乗算部36及びHSTポンプ電磁比例制御出力電流変換部37を有する。
【0050】
目標吸収トルク演算部31は、アクセルポテンショメータ41が検出したアクセル開度Asをもとに、HSTポンプ10の目標吸収トルクTmを演算する。目標吸収トルク演算部31は、アクセル開度Asに対する目標吸収トルクTmの特性を示すマップM1を有している。目標吸収トルク演算部31は、マップM1上の特性線L2をもとに、入力されたアクセル開度Asに対応する目標吸収トルクTmを算出し、この目標吸収トルクTmを乗算部36に出力する。
【0051】
インチング率演算部32は、インチングポテンショメータ40が検出したインチング操作量Isをもとに、インチング率Iを演算する。インチング率演算部32は、インチング操作量Isに対するインチング率Iの特性を示すマップM2を有している。マップM2は、特性線L1を有している。インチング率演算部32は、マップM2上の特性線L1をもとに、入力されたインチング操作量Isに対応するインチング率Iを算出し、このインチング率Iをモジュレーション制御部35に出力する。
【0052】
本実施形態において、インチング率増加速度判定部34及びモジュレーション制御部35は、インチング率増加速度演算部として機能する。この機能は、アクセル開度Asと、ブレーキ開度Bsと、ブレーキ開度Bsの変化速度Vbs(以下、適宜ブレーキ開度変化速度Vbsという)と、車速Vcと、の少なくとも1つに基づいて、ブレーキペダル40aが開放されたときにインチング率Iを増加させる際の速度である増加速度Vi(以下、適宜インチング率増加速度Viという)を決定するものである。
【0053】
インチング率増加速度Viは、フォークリフト1のオペレータがブレーキペダル40aを放したときにおけるHSTポンプ10のポンプ容量が復元(増加)する際の速さである。インチング率増加速度Viが相対的に大きければ、ブレーキペダル40aを放したときにおけるHSTポンプ10のポンプ容量は相対的に速く復元する。インチング率増加速度Viが相対的に小さければ、ブレーキペダル40aを放したときにおけるHSTポンプ10のポンプ容量の復元は相対的に遅くなる。
【0054】
インチング率増加速度判定部34は、予め定められたインチング率増加速度Viのパターンを複数有している。インチング率増加速度Viを決定するにあたり、インチング率増加速度判定部34は、アクセル開度Asと、ブレーキ開度Bsと、ブレーキ開度Bsの変化速度Vbsと、車速Vcと、の少なくとも1つに基づき、複数のパターンの中からインチング率増加速度Viを選択する。ブレーキ開度Bsの変化速度Vbsは、単位時間あたりにおけるブレーキ開度Bsの変化から、インチング率増加速度判定部34によって求められる。本実施形態において、インチング率増加速度Viのパターンは、Aパターン、Bパターン、Cパターン、Dパターン及びEパターンの計5パターンが存在するが、これに限定されるものではない。インチング率増加速度Viのパターンの選び方は後述する。
【0055】
モジュレーション制御部35は、インチング率増加速度判定部34が選択したパターンから得られたインチング率増加速度Viで、インチング率演算部32から入力されたインチング率Iを変化させて、補正インチング率Icを生成する。モジュレーション制御部35は、インチング率増加速度Viで変化するインチング率Iを、補正インチング率Icとして乗算部36に出力する。
【0056】
インチング率増加速度Viを変更するにあたり、例えば、モジュレーション制御部35は、ブレーキペダル40aの操作、具体的には開放(オペレータがブレーキペダル40aを放す操作)に対するHSTポンプ10の応答性を変化させる。モジュレーション制御部35は、インチング率Iのカットオフ周波数fを設定し、このカットオフ周波数fに応じて遅延出力する補正インチング率Icを乗算部36に出力する。カットオフ周波数fは、式(1)によって求めることができる。τは、一次遅れ要素の時定数である。式(1)から分かるように、カットオフ周波数fは、時定数τの逆数である。
f=1/(2×π×τ)・・・(1)
【0057】
モジュレーション制御部35の入力をインチング率I、出力を補正インチング率Icとする。モジュレーション制御部35への入力に対する出力が一次遅れに従う場合、入力であるインチング率Iと出力である補正インチング率Icとの関係は、式(2)のようになる。式(2)から、式(3)が得られる。式(3)のIcbは、現時点におけるモジュレーション制御部35の出力である補正インチング率Icよりも時間Δt前にモジュレーション制御部35から出力された補正インチング率Icを示す。
Ic+τ×dIc/dt=I・・・(2)
Ic+(Ic−Icb)×τ/Δt=I・・・(3)
【0058】
式(3)を補正インチング率について解くと、式(4)に示すようになる。式(4)から、補正インチング率Icは、現時点においてインチング率演算部32からモジュレーション制御部35に入力されたインチング率Iと、現時点よりも時間Δt前にモジュレーション制御部35から出力された補正インチング率Icbと、時定数τと、時間Δtとの関係で表される。時間Δtは、制御の1周期に要する時間とすることができる。補正インチング率Icbは、前回の制御周期においてモジュレーション制御部35から出力された補正インチング率Icとすることができる。時定数τは予め設定される。インチング率Iは、現時点においてインチング率演算部32から出力されたインチング率Iである。
Ic=I×Δt/(Δt+τ)+Icb×τ/(Δt+τ)・・・(4)
【0059】
モジュレーション制御部35は、入力されたインチング率Iを遅延して、補正インチング率Icとして出力する。遅延の程度は、カットオフ周波数f又は時定数τによって設定される。カットオフ周波数fを大きく(時定数τを小さく)することにより遅延の程度は小さくなり、カットオフ周波数fを小さく(時定数τを大きく)することにより遅延の程度は大きくなる。
【0060】
モジュレーション制御部35は、テーブルTB及び増加速度のマップMPを有する。テーブルTBは、インチング率増加速度Viのパターンのうち、Aパターン、Bパターン、Dパターン及びEパターンの4パターンに対するカットオフ周波数fa、fb、fd、feが記述されている。マップMPは、アクセル開度Asに応じて設定された増加速度のマップMPを有する。マップMPは、インチング率増加速度Viのパターンのうち、Cパターンに対応する。
【0061】
モジュレーション制御部35は、入力されたインチング率Iの遅延の程度を変更することにより、補正インチング率Icとして出力する。モジュレーション制御部35は、例えば、カットオフ周波数fを大きくすることにより、補正インチング率Icがインチング率Iに近づく速度を速くすることができ、カットオフ周波数fを小さくすることにより補正インチング率Icがインチング率Iに近づく速度を遅くすることができる。なお、インチング率増加速度判定部34及びモジュレーション制御部35が、補正インチング率Icがインチング率Iに近づく速度を変更する方法は、前述したものに限定されない。
【0062】
乗算部36は、目標吸収トルクTmに補正インチング率Icを乗算する。そして、乗算部36は、補正インチング率Icに対応して目標吸収トルクTmを減少した補正吸収トルクTcをHSTポンプ電磁比例制御出力電流変換部37に出力する。
【0063】
出力制御部としてのHSTポンプ電磁比例制御出力電流変換部37は、補正インチング率Icで目標吸収トルクTmを減少した補正吸収トルク指令を生成して、HSTポンプ10のポンプ容量設定ユニット11に出力する。すると、インチング率増加速度判定部34が決定したインチング率増加速度Viに従って補正インチング率Icが増加する。その結果、フォークリフト1のオペレータがブレーキペダル40aを開放した場合又は踏み込んだ場合におけるHSTポンプ10のポンプ容量が復元する速さが変更される。
【0064】
補正吸収トルク指令は、HSTポンプ10が吸収するトルクが、乗算部36から出力された補正吸収トルクTcとなるようにするための信号(本実施形態では電流値)である。補正吸収トルク指令は、HSTポンプ電磁比例制御出力電流変換部37から、ポンプ容量設定ユニット11の前進用ポンプ電磁比例制御バルブ12又は後進用ポンプ電磁比例制御バルブ13に出力される。
【0065】
燃料噴射量演算部33は、入力される実エンジン回転数Nrとアクセル操作量Asとに基づいて、エンジン4の燃料噴射インジェクタに噴射すべき量を演算し、その結果を燃料噴射インジェクタに出力する。次に、インチング率増加速度Viを決定する制御の一例を説明する。
【0066】
(インチング率増加速度Viを決定する制御例)
図6は、インチング率増加速度Viを決定する制御例を示すフローチャートである。
図7は、アクセル開度Asが所定のアクセル開度閾値以上かつブレーキ開度Bsが所定のブレーキ開度閾値未満の状態において用いられるインチング率増加速度Viのマップの一例を示す図である。
図1及び
図5に示す制御装置30は、本実施形態に係るフォークリフトの制御方法を実行することにより、インチング率増加速度Viを決定する。
【0067】
ステップS101において、
図1及び
図5に示す制御装置30、より具体的には
図5に示すインチング率増加速度判定部34は、アクセルポテンショメータ41からアクセル開度Asを取得し、所定のアクセル開度閾値P[%]と比較する。ステップS101においては、アクセルがONであるかOFFであるかが判定される。アクセル開度閾値Pは、この判定に適切な値に設定される。
【0068】
アクセル開度Asがアクセル開度閾値P未満である場合(ステップS101、Yes)、アクセルはOFFである。この場合、ステップS102において、インチング率増加速度判定部34は、
図5に示す車速センサ46から取得したフォークリフト1の車速Vcと、所定の車速閾値Qとを比較する。ステップS102においては、フォークリフト1が走行しているか停止しているかが判定される。車速閾値Qは、この判定に適切な値に設定される。
【0069】
車速Vcが所定の車速閾値Q[km/h]よりも大きい場合(ステップS102、Yes)、フォークリフト1は、減速して走行中である。この場合、ステップS103において、インチング率増加速度判定部34は、インチング率増加速度Viを、パターンBに決定する。車速Vcが所定の車速閾値Q[km/h]よりも以下である場合(ステップS102、No)、フォークリフト1は停止中である。この場合、ステップS104において、インチング率増加速度判定部34は、インチング率増加速度Viを、パターンAに決定する。
【0070】
ステップS101に戻り、アクセル開度Asがアクセル開度閾値P以上である場合(ステップS101、No)、ステップS105において、インチング率増加速度判定部34は、インチングポテンショメータ40からブレーキ開度Bsを取得し、所定のブレーキ開度閾値R[%]と比較する。ステップS105においては、アクセルの単独操作による加速状態か、アクセルとブレーキとの同時操作であるかが判定される。ブレーキ開度閾値Rは、この判定に適切な値に設定される。ブレーキ開度Bsがブレーキ開度閾値R未満である場合(ステップS105、Yes)、フォークリフト1はアクセルの単独操作によって加速中である。この場合、ステップS106において、インチング率増加速度判定部34は、インチング率増加速度Viを、パターンCに決定する。
【0071】
ステップS105に戻り、ブレーキ開度Bsがブレーキ開度閾値R以上である場合(ステップS105、No)、アクセルとブレーキとが同時操作されている。この場合、ステップS107において、インチング率増加速度判定部34は、ブレーキ開度変化速度Vbsと所定の開度変化閾値S[%]とを比較する。
【0072】
ブレーキ開度Bsは、
図1に示すブレーキペダル40aが踏まれていない状態において0%となる。ブレーキペダル40aが踏み込まれるにしたがって、ブレーキ開度Bsの数値は増加する。すなわち、本実施形態において、ブレーキが開くとブレーキ開度Bsの値は減少し、ブレーキが閉じるとブレーキ開度Bsの値は増加する。ブレーキ開度変化速度Vbsは、所定時間にどの程度ブレーキ開度Bsが変化したかを示すので、ブレーキが開いた場合は負の値になる。また、ブレーキが開放される場合において、ブレーキペダル40aが一気に開放されたか否かが判定される。開度変化閾値Sは、この判定に適切な値に設定される。ステップS107において、ブレーキ開度変化速度Vbsが小さくなれば、すなわちブレーキ開度変化速度Vbsの絶対値が大きくなれば、ブレーキペダル40aが開放される速度は速くなる。
【0073】
ブレーキ開度変化速度Vbsが開度変化閾値S未満である場合(ステップS107、Yes)、アクセルとブレーキとが同時操作され、かつそのときにブレーキペダル40aが一気に開放される。この状態は、フォークリフト1が押し込み操作状態であることを示している。押し込み操作とは、フォークリフト1が運搬物を押し込んだり
図1に示すフォーク6を荷物の隙間から抜いたりする場合の操作である。押し込み操作は、停止状態でエンジン4の回転速度を上昇させ、その後ブレーキを一気に開放させてフォークリフト1を急加速させることにより実現できる。この場合、ステップS108において、インチング率増加速度判定部34は、インチング率増加速度Viを、パターンDに決定する。
【0074】
ブレーキ開度変化速度Vbsが開度変化閾値S以上である場合(ステップS107、No)、フォークリフト1のオペレータは、ブレーキペダル40aを踏み込んで作業をしていると判定できるので、フォークリフト1は荷役操作状態であると考えられる。この場合、ステップS109において、インチング率増加速度判定部34は、インチング率増加速度Viを、パターンEに決定する。前述したパターンA、B、C、D、Eは、それぞれのフォークリフト1の状態に応じて、異なるインチング率増加速度Viとなるように設定される。
【0075】
例えば、パターンEのインチング率増加速度Vi、すなわち荷役操作時におけるインチング率増加速度Viを、パターンDによるインチング率増加速度Vi、すなわち押し込み操作時におけるインチング率増加速度Viよりも小さくする。例えば、パターンEのカットオフ周波数fをパターンDのカットオフ周波数fよりも小さくする。このようにすれば、荷役操作時におけるインチング率増加速度Viを、押し込み操作時におけるインチング率増加速度Viよりも小さくすることができる。その結果、フォークリフト1のオペレータが、荷役操作中にブレーキペダル40aを誤って放し過ぎた場合であっても、パターンEによるインチング率増加速度Viが適用されるため、フォークリフト1の急加速を抑制できる。このため、オペレータがブレーキペダル40aを放し過ぎてしまった場合であっても車速Vcの急上昇が抑制されるので、急加速によって荷をぶつけたり、急制動によって荷が崩れたりすることを抑制できる。その結果、オペレータの操作の負担を低減できる。また、オペレータが押し込み作業を行う場合、パターンDによるインチング率増加速度Viが適用されるため、オペレータの意思が優先される結果、容易に押し込み作業が実現できる。
【0076】
パターンAのインチング率増加速度Vi、すなわち停止状態でのインチング率増加速度Viを、パターンBによるインチング率増加速度Vi、すなわち減速走行状態でのインチング率増加速度Viよりも小さくする。このようにすると、パターンAによるインチング率増加速度Viが適用される。このため、フォークリフト1が停止した後にブレーキペダル40aを放した場合には、HSTポンプ10のポンプ容量が復元する速さは抑制されるため、フォークリフト1が再発進することを抑制できる。また、フォークリフト1が減速走行中には、パターンBによるインチング率増加速度Viが適用される。このため、フォークリフト1の減速走行中において、ブレーキペダル40aを用いたHST10ポンプによるブレーキ力のコントロール性能を確保することができるので、例えば、フォークリフト1のオペレータは、停止させたい位置でフォークリフト1を容易に停止させることができる。
【0077】
パターンEのインチング率増加速度Vi、すなわち荷役操作時におけるインチング率増加速度Viは、アクセル開度Asが大きくなるにしたがって大きくしてもよい。このようにすることで、フォークリフト1が荷役作業中に、オペレータがブレーキペダル40aを踏み込んでから開放した後においては、オペレータがアクセルペダル41aを小さく踏んでいる場合は急加速せず、また、大きく踏んでいる場合は力強く加速させることができる。
【0078】
パターンCのインチング率増加速度Vi、すなわちフォークリフト1が加速状態におけるインチング率増加速度Viは、例えば、
図7に示す、アクセル開度Asに応じて設定された増加速度のマップMPによって定められてもよい。このマップMPは、アクセル開度AsがAs1、As2、・・・Asjに対応して、インチング率増加速度Viを決定するためのカットオフ周波数f1、f2、・・・fjが記述されている。アクセル開度AsはAs1、As2、・・・Asjの順に大きくなり、カットオフ周波数fはf1、f2、・・・fjの順に大きくなる(jは1以上の整数)。すなわち、マップMPは、アクセル開度Asが大きくなるにしたがって、インチング率増加速度Viが大きくなるように定められている。このようにすることで、フォークリフト1の加速中においては、オペレータがアクセルペダル41aを小さく踏んだ場合は急加速せず、また、大きく踏めば力強く加速させることができる。このように、制御装置30及びこれを備えたフォークリフト1は、HSTを備えたフォークリフトによる様々な作業の局面において、適切なインチング制御を実現することができる。
【0079】
以上、本実施形態を説明したが、前述した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
フォークリフト1は、エンジンによって駆動される可変容量型の走行用油圧ポンプ、走行用油圧ポンプとの間で閉回路を形成し、走行用油圧ポンプから吐出された作動油によって駆動される油圧モータ及び油圧モータによって駆動される駆動輪を備える。フォークリフト1が備える制御装置30は、アクセル開度と、ブレーキペダルの操作量を示すブレーキ開度と、ブレーキ開度の変化速度と、車速センサによって検出された車速と、の少なくとも1つに基づきインチング率の増加速度を決定する。