(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774269
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】マルチステージ・ガス・カスケード増幅器
(51)【国際特許分類】
H01J 37/244 20060101AFI20150820BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
H01J37/244
H01J37/28 B
【請求項の数】33
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2009-57885(P2009-57885)
(22)【出願日】2009年3月11日
(65)【公開番号】特開2009-245939(P2009-245939A)
(43)【公開日】2009年10月22日
【審査請求日】2012年3月7日
(31)【優先権主張番号】12/059,850
(32)【優先日】2008年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501419107
【氏名又は名称】エフ・イ−・アイ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】マレク・ウンチョフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ミロス・トス
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ラルフ・ノウレス
【審査官】
田邉 英治
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−503062(JP,A)
【文献】
特表2003−515907(JP,A)
【文献】
特開平02−132745(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/059691(WO,A1)
【文献】
特開2005−268224(JP,A)
【文献】
特開平06−338282(JP,A)
【文献】
特開昭64−017367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00−37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルをサンプル位置に収容するサンプルチャンバと;
荷電粒子のビームを成形し、このビームを前記サンプルチャンバの方に誘導する集束カラムを含む荷電粒子ビーム源と;
検出器空間と、
前記検出器空間の後部に向かって位置決めされたアノードと、
サンプル位置と前記アノードとの間に位置決めされた第1の電極と、前記第1の電極と前記アノードとの間に位置決めされた第2の電極とを備える、前記荷電粒子ビームが前記サンプルに衝突するときに放出される電子信号を検出する検出器と;
を備え、前記検出器空間が前記サンプル位置と前記第1の電極と前記第2の電極と前記アノードとの間の電位差によって生成される電界によって画定され、
前記検出器空間がガス・カスケード増幅のマルチ・ステージを画定し、前記マルチ・ステージが、前記マルチ・ステージのそれぞれの単一ステージにおいてガスの絶縁破壊を引き起こすことなく利用可能な最大ガス・カスケード増幅よりも大きな全体的増幅を、ガスの絶縁破壊を引き起こすことなく提供し、
前記検出器が、前記荷電粒子ビームが前記サンプルに衝突するときに放出される電子撮像信号をガス・カスケード増幅の前記マルチ・ステージを用いて増幅し、前記サンプルから前記アノードの間の距離よりも前記サンプルから近い場所に再結合場所が生成されてガス・イオンの帰還が抑制される、荷電粒子ビーム・システム。
【請求項2】
前記サンプルの方に向いた検出器ハウジングの開口部を更に備え、前記第1の電極が前記検出器ハウジングの前記開口部に位置決めされた、請求項1に記載の荷電粒子ビーム・システム。
【請求項3】
前記第1の電極が前記サンプルに対して電気的に正にバイアス印加され、前記第2の電極が前記第1の電極に対して電気的に正にバイアス印加され、前記アノードが前記第2の電極に対して電気的に正にバイアス印加される、請求項1または2のいずれかに記載の荷電粒子ビーム・システム。
【請求項4】
前記第2の電極が電気的に浮いている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム・システム。
【請求項5】
前記第1の電極が前記検出器空間内側の電界によって前記第1の電極に向かって加速される電子に対して半透過性であり、前記第1の電極と前記第2の電極との間で生成され、前記第1の電極の方にドリフトするガス・イオンに対して半透過性である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム・システム。
【請求項6】
前記第2の電極が前記検出器空間内側の電界によって前記第2の電極に向かって加速される電子に対して半透過性であり、前記第2の電極と前記アノードとの間で生成され、前記第2の電極の方にドリフトするガス・イオンに対して半透過性である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム・システム。
【請求項7】
前記アノード、前記第1の電極、前記第2の電極、および前記サンプルの任意の組合せに接続された撮像システムを更に含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム・システム。
【請求項8】
前記ガス・カスケードにおいて生成される電荷担体の運動によって誘起される前記信号を検出するように位置決めされた追加の電極を更に含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム・システム。
【請求項9】
前記ガス・カスケードにおいて生成される光子を収集するのに用いられる光子検出器を更に含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム・システム。
【請求項10】
少なくとも1つの前記電極が炭素から作製されるか、または炭素で被覆される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム・システム。
【請求項11】
開口部を有するハウジングと;
前記ハウジングの開口部に隣接する第1の電極と;
前記ハウジング内に位置決めされたアノードと;
前記ハウジング内で前記第1の電極と前記アノードとの間に位置決めされた第2の電極とを備え、
前記第1および第2の電極が、電子に対して半透過性であるとともに、前記第1の電極、前記第2の電極、および前記アノードに電位が印加されるときに、前記電極間の領域がガス・カスケード増幅のマルチ・ステージを提供し、前記マルチ・ステージが、前記マルチ・ステージのそれぞれの単一ステージにおいてガスの絶縁破壊を引き起こすことなく利用可能な最大増幅より大きな組み合わされた増幅を、ガスの絶縁破壊を引き起こすことなく提供し、
前記マルチ・ステージが、ガス・イオンの帰還を抑制する、荷電粒子ビーム・システムで使用するためのガス・カスケード増幅検出器。
【請求項12】
前記第1の電極、前記第2の電極、または両電極が格子または穿孔された部材を含む、請求項11に記載のガス・カスケード増幅検出器。
【請求項13】
前記第2の電極が前記第1の電極に対して電気的に正にバイアス印加され、前記アノードが前記第2の電極に対して電気的に正にバイアス印加される、請求項11または12のいずれかに記載のガス・カスケード増幅検出器。
【請求項14】
前記第2の電極と前記アノードとの間に位置決めされた少なくとも1つの追加の電極を更に含む、請求項11乃至13のいずれか一項に記載のガス・カスケード増幅検出器。
【請求項15】
第1の利得を有する第1の電界領域によって画定される第1のガス・カスケード増幅領域であって、前記第1の利得は前記第1のガス・カスケード増幅領域内でガスの絶縁破壊を引き起こす閾値未満である、第1のガス・カスケード増幅領域と;
第2の電界領域によって画定され、第2の利得を有する第2のガス・カスケード増幅領域であって、前記第2の利得は前記第1の利得の半分よりも大きく、前記第2のガス・カスケード増幅領域内でガスの絶縁破壊を引き起こす閾値未満である、第2のガス・カスケード増幅領域と;
を含み、
前記第1および第2のガス・カスケード増幅領域の組み合わされた利得が、前記第1および第2のガス・カスケード増幅領域のそれぞれの単一の領域において得られる最大利得よりも大きく、かつ、前記第2の利得が前記第1の利得の半分よりも大きく、前記増幅領域が、ガス・イオンの帰還を抑制するように配置された、走査型電子顕微鏡用のマルチ・ステージ・ガス・カスケード増幅検出器。
【請求項16】
前記第1の電界領域がサンプルと第1の電極との間に位置決めされ、前記第2の電界領域が第1の電極とアノードとの間に位置決めされた、請求項15に記載の検出器。
【請求項17】
前記第2の利得が前記第1の利得の1/2よりも大きい、請求項15または16のいずれかに記載の検出器。
【請求項18】
前記サンプルと前記アノードとの間の追加の電界領域によって画定された1つ以上の追加のガス・カスケード増幅領域を更に含み、前記ガス・カスケード増幅領域すべてからの全体的利得が前記ガスの絶縁破壊より前の単一の領域の最大利得よりも大きい、請求項16に記載の検出器。
【請求項19】
前記第1の電極が電子に対して半透過性である、請求項16乃至18のいずれか一項に記載の検出器。
【請求項20】
開口部を有する検出器ハウジングと;
前記ハウジングの前記開口部に隣接する第1の電極と;
前記ハウジング内に位置決めされたアノードであり、前記第1の電極が、電子に対して半透過性であるとともに、前記第1の電極および前記アノードに電位が印加されるときに、サンプルと前記第1の電極の間の領域と、前記第1の電極と前記アノードの間の領域がガス・カスケード増幅のマルチ・ステージを提供し、前記マルチ・ステージが、前記マルチ・ステージのそれぞれの単一ステージにおいてガスの絶縁破壊を引き起こすことなく利用可能な最大増幅より大きな組み合わされた増幅を、ガスの絶縁破壊を引き起こすことなく提供し、前記第1の電極およびアノードが、前記第1の電極と前記アノードとの間に、サンプルと前記第1の電極との間で利用可能な利得の少なくとも1/2の利得を提供するように位置決めされた、アノードと;を備え、前記第1の電極が、ガス・イオンの帰還を抑制するように配置された、走査型電子顕微鏡用のマルチ・ステージ・ガス・カスケード増幅検出器。
【請求項21】
前記第1の電極および前記アノードが、前記第1の電極と前記アノードとの間に、前記サンプルと前記第1の電極との間で利用可能な利得の少なくとも1/2の利得を提供するように位置決めされた、請求項20に記載のマルチ・ステージ・ガス・カスケード増幅検出器。
【請求項22】
追加の増幅ステージを提供するために、前記第1の電極と前記アノードとの間に位置決めされた少なくとも1つの追加電極を更に含む、請求項20または21のいずれかに記載のマルチ・ステージ・ガス・カスケード増幅検出器。
【請求項23】
サンプルチャンバと;
前記サンプルチャンバ内のサンプルの方に荷電粒子ビームを誘導する荷電粒子ビーム・カラムと;
請求項11、15または20のいずれか一項に係る検出器と;を含む、荷電粒子ビーム・システム。
【請求項24】
サンプルと第1の電極との間の電位差によって画定される、前記サンプルからの撮像信号を増幅するための第1のガス・カスケード増幅領域を提供するステップと、
前記第1の電極と第2の電極との間の電位差によって画定される、前記第1のガス・カスケード増幅領域からの電子を増幅するための第2のガス・カスケード増幅領域を提供するステップと、
前記第2の電極と第3の電極との間の電位差によって画定される、第2のガス・カスケード増幅領域からの電子を増幅するための第3のガス・カスケード増幅領域を提供するステップと、
前記増幅された撮像信号に相当するサンプルの画像を形成するステップとを含み、
これにより前記第1の電極の電位が前記サンプル表面の電位より大きくなり、前記第2の電極の電位が前記第1の電極の電位より大きくなり、前記第3の電極の電位が前記第2の電極の電位より大きくなるようにし、前記電極の配置がガス・イオンの帰還を抑制する、走査型電子顕微鏡においてサンプルの画像を形成する方法。
【請求項25】
前の領域からの電子を増幅するために、少なくとも1つの追加のガス・カスケード増幅領域を提供するステップを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ガス・イオンを中性化するステップを更に含み、前記中性化されたガス・イオンが前記ガス・イオンが生成される場所と前記サンプルとの間の最も近い電極の電位よりも大きい電位で生成され、ガス・イオンが生成される場所と前記サンプルとの間の前記電極の1つと接触している間に中性化が起こる、請求項24または25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記第1の電極と接触させることによって前記第1の電極の電位よりも大きい電位で生成されたガス・イオンを中性化するステップを更に含む、請求項24乃至26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1または第2の電極と接触させることによって前記第2の電極の電位よりも大きい電位で生成されたガス・イオンを中性化するステップを更に含む、請求項24乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の電極の電位以上の電位の電極と接触させることによって前記第1の電極の電位より大きい電位で生成されたガス・イオンを中性化するステップを更に含む、請求項24乃至28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の電極の電位以上の電位の電極と接触させる間に、前記第2の電極の電位より大きい電位で生成されたガス・イオンが中性化する、請求項24乃至29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記ガス・カスケード領域が電子を直列で増幅し、これによって最終増幅領域の前に、各領域の出力が次の領域によって増幅される、請求項24乃至30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記増幅された撮像信号に相当する前記サンプルの画像を形成するステップが、画像内の各点の強度が1つ以上のガス・カスケード増幅領域から収集された撮像信号に相当する画像を形成するステップを含む、請求項24乃至31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記撮像信号が電極において誘起された電気信号、アノードによって収集された電子電流、カソードによって収集されたイオン電流、または前記ガス・カスケードによって生成された発光である、請求項24乃至32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷電粒子ビーム・システム用のカスケード検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型電子顕微鏡(SEM)は、サンプル表面に沿って一次電子ビームを走査し、放出される二次電子を検出する。画像は各像点での強度がサンプル上の対応する点で検出された二次電子の数に比例している状態で形成される。大半の電子顕微鏡は一次電子ビームの散乱を防ぐために高真空状態で動作する。このような電子顕微鏡は一般に、二次電子が衝突したときに光を発射するシンチレータとその光を増幅して電気的出力信号を生成する光電子増倍管とを備えるEverhard−Thornley検出器と呼ばれる二次電子検出器を使用する。光電子増倍管は一般に、約106の利得を有する。すなわち、検出器に入る各電子について、約100万個の電子が検出のために生成される。このようなSEMでは、生体組織などの湿気のあるサンプルを観察することができない。これは蒸発する湿気が一次ビームを散乱させ、真空がサンプルを乾燥させるためである。
【0003】
本発明の譲受人であるFEI社のESEM(登録商標)電子顕微鏡などの「高圧走査型電子顕微鏡」(HPSEM)と呼ばれるSEMの一種が、比較的高い圧力で湿気のあるサンプルを観察するために開発されてきた。HPSEMは、イオン化されたガス分子がサンプルを中性化するように働くので、非導電性サンプルを観察するのにも有用である。
図1はMancusoらへの米国特許第4,785,182号明細書に記載のものに類似するHPSEM100示す。HPSEM100は、上部カラムからサンプル106へ電子を移動させるが真空排気された電子カラム内へのガスの流入を制限する圧力制限アパーチャ104が取り付けられた対物レンズ102を備える。圧力制限アパーチャ104はサンプルチャンバ内の圧力をアパーチャ104より上の電子ビーム・カラム内の圧力よりも著しく高いものにして、電子がそれらの経路の大半に沿ってガス分子によって散乱されないようにする。
【0004】
サンプル106に対する正電圧が、光軸と同心の電極から構成される検出器110に印加される。サンプル106から放出される二次粒子が検出器110に向かって加速され、ガス分子と衝突し、追加の荷電粒子が生成される。この荷電粒子が次に他のガス分子と衝突して更に多くの荷電粒子を生成する。このようなプロセスは「カスケード」と呼ばれる。このように生成される荷電粒子の最終的な数は、基板で放出される二次粒子の数に比例し、それにより二次粒子の数に相当する増幅された信号が生成される。電子源および一次ビームの大半の経路は、一次ビームを通過させるが大半のガス分子がカラムに入るのを阻止するアパーチャ104によって高真空に維持される。HPSEM内のサンプルのガス圧は、典型的には約0.1乃至50Torr(0.13乃至66.67mbar)に、更に典型的には、0.5乃至5Torr(0.67乃至6.67mbr)に維持される。
【0005】
HPSEM内の二次電子信号の増幅は、ガス圧、電子経路長、およびサンプルと検出器との間の電圧に依存する。この増幅は一般に、ET検出器のものよりも著しく低い。高いガス圧はより多くの衝突を可能にし、水和化した生体材料などのいくつかのタイプのサンプルをより良く保存しうるが、圧力が高すぎると、ガス・カスケードを妨げ、増幅された撮像信号を低減させる。経路長が長いと通常、より多くの衝突が生じる。磁界および電界を使用し、二次電子の経路長を長くして増幅を大きくすることができる。例えば、本発明の譲受人に譲渡されたScholtzらへの「Particle−Optical Device and Detection Means」の米国特許第6,972,412号明細書は、検出器と試料ホルダとの間に磁界および電界を使用し、二次電子の経路を長くして増幅を増大させることを記載している。サンプルと検出器との間の電圧を上げると、ガス分子をイオン化するためのより多くのエネルギーが電子に与えられる。しかし、電圧が高すぎると、ガスの絶縁破壊、すなわち、自律性のガス・イオン化カスケードが生じる。この場合、信号は一次ビームによって生成された二次電位電流ともはや比例せず、サンプルの画像を形成するのにもはや有用ではない。
【0006】
HPSEM用の検出器の多くは、
図1に示すように光軸と同心の円形電極を用いる。いくつかのシステムではオフアクシス(off−axis)検出器を使用する。例えばJackaらの国際公開第2004/059691号パンフレットは、サンプルチャンバよりも低圧に維持されるオフアクシス検出器チャンバを使用する。検出器入口の前に位置決めされたFrisch格子(grid)と呼ばれる格子が電子を引き付け、この電子は圧力制限格子を通過して差動排気されたチャンバに入る。このチャンバ内部はサンプルチャンバよりも低圧に維持されるので、シンチレータ検出器が必要とする高い圧力はガスの絶縁破壊を引き起こさない。
【0007】
M.R.PhillipsとS.W.Morganは「Enhanced High Speed SE Imaging in a VPSEM Using a Frisch Grid」,MicrosMicroanal 12(Supp 2)2006において、より速く、故に検出器帯域を増大させる電子運動をアノード信号が主に反映するように、格子を越えるイオン運動によって誘起される電流からアノードを保護するために検出器のアノード近傍にFrisch格子を用いることを記載している。Phillipsらは検出器帯域を増大させるが、検出器の利得またはノイズには対処していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,785,182号明細書
【特許文献2】米国特許第6,972,412号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/059691号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】M.R.PhillipsとS.W.Morgan、「Enhanced High Speed SE Imaging in a VPSEM Using a Frisch Grid」,MicrosMicroanal 12(Supp 2)2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、HPSEMにおける二次電子信号の増幅は多数の要因によって制限される。増幅を増大して顕微鏡の感度を改善することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、先行技術の欠陥に対する解決策を提供することにある。
【0012】
本発明の目的は、HPSEMにおいて二次電子信号増幅を改善することにある。
【0013】
この発明はガス・カスケード増幅マルチ・ステージを備える、HPSEM用検出器を提供する。このステージは一般に、サンプルまたは前ステージに対して電圧が印加される電極によって画定される。ガス・イオン化カスケードをマルチ・ステージで創出し、ガス・イオンが生成されるステージに一部のガス・イオンを閉じ込めることによって、2つの利点が得られる。第1に、ガスの絶縁破壊を生じさせることなく、検出器の最大検出器利得を増大させることができる。第2に、増幅ノイズを低減することができる。
【0014】
上記の説明では、以下の本発明の詳細な説明をよりわかりやすくするために、本発明の特徴および技術上の利点をかなり大まかに概説した。本発明のこの要約は必要な特徴をすべて列挙したものではなく、したがって、それらの特徴のサブコンビネーションがある発明を構成してもよい。本発明の他の特徴および利点についても以下で説明する。当業者であれば、本明細書で開示している概念および特定の実施形態は、本発明の同じ目的を達成するために他の構造を修正または設計する際の基礎として容易に利用できることを理解するであろう。また、当業者であれば、そのような等価構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲を逸脱しないことも理解するであろう。
【0015】
本発明および本発明の利点をより完全に理解するため、ここで添付素面と合わせて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】1ステージHPSEM検出器を備える先行技術のHPSEMを示す図である。
【
図2】本発明の3ステージ検出器の実施形態を備えるHPSEMを示す図である。
【
図3】本発明の4ステージ検出器の実施形態を備えるHPSEMを示す図である。
【
図4】本発明の2ステージ検出器の実施形態を備えるHPSEMを示す図である。
【
図5】異なる値の電子放出確率および格子透過率について算出された、絶縁破壊利得をステージの合計数の関数として示すグラフである。
【
図6】異なる値の電子放出確率および格子透過率について算出された、絶縁破壊利得をステージの合計数の関数として示すグラフである。
【
図7】異なる値の電子放出確率および格子透過率について算出された、絶縁破壊利得をステージの合計数の関数として示すグラフである。
【
図8】異なる値の電子放出確率および格子透過率について算出された、絶縁破壊利得をステージの合計数の関数として示すグラフである。
【
図9】異なる格子透過率について絶縁破壊の点で算出された、各ステージの利得をステージ数の関数として示すグラフである。
【
図10】異なる格子透過率について絶縁破壊の点で算出された、各ステージの利得をステージ数の関数として示すグラフである。
【
図11】異なる格子透過率について絶縁破壊の点で算出された、各ステージの利得をステージ数の関数として示すグラフである。
【
図12】異なる格子透過率について絶縁破壊の点で算出された、各ステージの利得をステージ数の関数として示すグラフである。
【
図13】各ステージの帰還をステージ数の関数として示すグラフである。
【
図14】各ステージの利得を、多数の事前帰還および総システム利得におけるステージ数の関数として示すグラフである。
【
図15】異なる値の電子放出確率および格子透過率ついて算出された、絶縁破壊利得をステージの合計数の関数として示すグラフである。
【
図16】異なる値の電子放出確率および格子透過率ついて算出された、絶縁破壊利得をステージの合計数の関数として示すグラフである。
【
図17】絶縁破壊利得を、ある範囲の事前帰還利得分布について算出されたステージの合計数の関数として示すグラフである。
【
図18】ある範囲の事前帰還利得分布について算出された、5ステージ・システムの各ステージの利得を示すグラフである。
【
図19】2ステージ・システムの絶縁破壊利得を電子およびイオンの格子透過率の関数として示すグラフである。
【
図20】2ステージ・システムの絶縁破壊利得をイオンと衝突した格子からの電子放出確率とステージ1に対するステージ2の事前帰還利得比の関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明はカスケード検出器、すなわちガス増幅を用いる検出器において最大利得を大幅に増大させ、ノイズを大幅に低減する。多数の先行技術のシステムでは、カスケード検出器の最大利得はガスの絶縁破壊によって制限される。この支配的な絶縁破壊のメカニズムは、試料チャンバ内部の、サンプル、およびレンズ極片などの表面におけるイオン再結合または中性化の結果としてカスケード内への電子注入によって引き起こされるガス・カスケードにおける帰還であると考えられている。このイオン中性化は、本明細書では「三次電子」と呼ばれる追加の電子を発生させる。次いで、この三次電子はアノードに向かって加速して追加の電子およびイオンを発生させる。次に、この追加の電子およびイオンは中性化と同時に追加の電子を発生させる。この望ましくない帰還が、最終的に自律的になり、サンプルからの有用な画像信号を無効にする電子信号を発生させる。また、このガス・カスケード増幅プロセスの帰還成分は、三次電子発生プロセスの統計的性質に起因するノイズを増大させるように働く。
【0018】
本発明の実施形態は、各領域が前の領域からの電子信号を増幅し、アノードが最終増幅領域の末端の方に向かって位置決めされる複数の増幅領域を提供する。上記増幅領域は検出器空間を含み、典型的にはサンプル表面からアノードまで延在している。電位は1つの増幅領域からアノード方向の次の増幅領域へと増大する。ガス・イオンが創出されると、それらは創出された領域において、または前の低電位の領域、すなわちサンプルに近い領域において中性化される。サンプルよりも近い再結合場所(すなわち、サンプル表面の電位よりも高い電位)をアノードに提供することによって、中性化によって生成された電子は、サンプルによって生成された電位差よりも小さな電位差を横切る。アノードへ移動する電子が横切る電位差が小さくなるほど、ガス・カスケードにおいて増幅される程度が小さくなる。したがって、再結合によって生成される電子が経験する電位差を低減することは、帰還を抑制するように働き、絶縁破壊の開始前にシステムの利得全体を高くすることが可能となる。また、帰還抑制は帰還過程に伴うノイズを低減するように働く。
【0019】
増幅領域のポテンシャル場は、格子、多孔性部材またはその他のタイプの電極などの電極によって生成および成形することが可能である。例えば、本発明のいくつかの実施形態はアノードとサンプルとの間に位置決めされた1つ以上の電極を提供して、ガス中で生成されるイオンが中性化するため、すなわち電子と再結合するための表面を提供する。この電極はサンプルまたは前の増幅ステージから電極の方に向かって加速される電子に対して半透過性であることが好ましい。この電極は前のステージまたはサンプルの方にドリフトして戻るガス・イオンに対しても半透過性でありうる。
【0020】
本発明は特定のタイプの撮像信号に限定されるものではない。撮像信号は、ガス中の電荷の流れによって、例えば、アノード電極または別の電極などの電極において誘起された電気信号から導くことが可能である。撮像信号はアノードによって収集された電子電流、カソードによって収集されたイオン電流、またはガス・カスケードによって生成された発光信号から導くことも可能である。
【0021】
上記のように、本発明の実施形態は、ガス増幅マルチ・ステージを用いて、ガスの絶縁破壊の開始前に達成可能な最大利得を増大させる。以下に記載のモデリング結果は、他のガス絶縁破壊メカニズムおよびイオン誘起性空間電荷効果が存在しない状態では、増幅ステージの数に伴って最大利得を増大させることが可能であることを示す。実際には、イオン誘起性空間電荷効果のような効果は最終利得を制限しうる。
【0022】
ガス増幅マルチ・ステージを使用することにより、本発明はガス・カスケードにおける帰還を制御して、既存のカスケード検出器によって達成可能なガス利得よりも大きなガス利得を提供することができる。マルチ・ステージ増幅の利点は、各ステージにおいて再結合するイオンの割合を制御できる能力から生じるものと考えられる。この能力はガスの絶縁破壊に影響を及ぼすものと考えられる。各ステージにおいて再結合するイオンの割合を制御することにより、少なくとも2つの利点が得られる。第1には、ガス増幅ステージの数を増大させることによって、絶縁破壊利得を増大させることが可能である。第2には、所定のシステム利得全体を維持しながら各ステージ内の帰還を最小化することによって、カスケード・ノイズを制御することが可能である。
【0023】
マルチ・ステージを有する本発明の検出器は、多数の要因を同時に最適化するように構成することができる。例えば、第1のステージは、第1ステージにおける電界を制御することによって、かつサンプル表面のイオン流束を制御することによって二次電子抽出効率および荷電制御を最適化するように設計可能である。また、最終ステージは、アノードと最終格子との距離および最終格子の静電透過性を最適化することによって検出器帯域を最適化するように設計可能である。ステージ合計数および各ステージ内の増幅の程度は、システムの正味の利得およびシステムの正味のノイズを最適化するように設計可能である。
【0024】
図2は本発明を具現化する好ましい3ステージ検出器202を備えるHPSEM200を示す。
図2のシステムでは、電子カラム205などの電子源からの一次電子ビーム204が、例えば1Torr(1.3mbar)乃至5Torr(6.7mbar)の圧力の水蒸気のガス雰囲気を含んだサンプルチャンバ内に位置決めされたサンプル106に衝突する。二次電子206がサンプル106から放出され、サンプル106に対して正にバイアス印加された電極とも呼ばれる第1の導電性格子210に向かって加速する。二次電子206はガス分子216と衝突し、このガス分子をイオン化し、検出器チャンバ218の入口付近の第1の導電性格子210に向かって加速する追加の電子を創出する。イオン化されたガス分子はサンプルに向かって加速し、電子よりもはるかにゆっくりと移動する。
【0025】
第1の導電性格子に対して正にバイアス印加された第2の導電性格子(または電極)220は、第1の導電性格子210を通過した電子206を加速させる。第1の導電性格子210から第2の導電性格子220に移動しながら、電子206は更なるガス分子216と衝突し、この二次電子信号を更に増幅する。検出器チャンバ218の後部の方に向かって設置され、第2の導電性格子220に対して正にバイアス印加されたアノード222は、電子206を収集し、電流を検出するのに用いられる。この電流は増幅器230によって増幅され、一次電子ビームについての位置情報と一緒にビデオ・プロセッサ232によって処理されて、サンプル106の画像が生成され、この画像がディスプレイ234に表示される。好適な一実施形態では、例えば、サンプルは約0Vの電位に維持され、第1の導電性格子210は約100Vの電位に維持され、第2の導電性格子220は約300Vの電位に維持され、アノード222は約600Vの電位に維持される。第1の導電性格子210はサンプル106から約10mmに位置決めされるのが好ましく、第2の導電性格子220は第1の導電性格子210から約10mm離間されるのが好ましく、アノード222は第2の導電性格子220から約10mm離間されるのが好ましい。これらの値は一例および参考として提供されたものであり、当業者であれば、特定の実施のためのプロセス・パラメータを容易に決定することができる。三次電子の創出を低減し、これにより絶縁破壊の傾向を抑えるために、上記任意の実施形態の1つ以上の導電性格子が、荷電粒子と衝突するときに二次電子放出の低減を呈する非晶質炭素などの材料で被覆されうる。
【0026】
マルチ・ステージを提供することによって、上記システムにおける異なる点間の電圧は、増大されたシステム全体の利得を依然として提供しながら、所与のステージ内でガスの絶縁破壊を生じさせる閾値未満のままであることが可能である。導電性格子220は、格子220とアノード222との間で生成されたイオンが格子からの電子と再結合することによって中性化することのできる表面を提供する。この再結合がオージェ電子または光電子などの追加の電子を生成する場合、その電子は格子220からアノード222に移動するだけである。サンプル106に達する前にイオンが電子と再結合する機会がない場合、再結合によって創出された三次電子は著しく大きな電位差に亘って移動し、ガス・カスケードにおいて更に著しく増幅される。これらの三次電子の増幅は、最終的にはガスの絶縁破壊(すなわち、サンプルからの有用な信号を無効にする自律的ガス・カスケード)を引き起こす帰還を増大させるように働く。
【0027】
同様に、導電性格子210は、格子210とアノード222との間で生成されたイオンが格子210からの電子と再結合することによって中性化することができる表面を提供する。
【0028】
図2のシステムは3つの増幅ステージを備える。ステージ1はサンプル106と導電性格子210によって創出され、ステージ2は導電性格子210と導電性格子220によって創出され、ステージ3は導電性格子220とアノード222によって創出される。
【0029】
図3はHPSEM300の別の実施形態を示し、
図2のものに類似するが、導電性格子210、310および312、ならびにアノード322によって創出された4つのステージを含む検出器302を備える。追加のステージが絶縁破壊の開始前に追加の増幅を提供する。動作パラメータは
図2の実施形態のものに類似し、当業者であれば、他の実施形態に関して本明細書に示された情報から
図3の実施形態のための適切な動作パラメータを容易に決定することができる。
【0030】
図4は単一の導電性スクリーン210を有する2ステージ検出器402を備えるHPSEM400の別の実施形態を示す。検出器402は単一の導電性スクリーンのみを備えるが、サンプルから導電性スクリーン210までの電子経路を第1のステージとみなすことができ、他方、導電性スクリーン210からアノード222までの電子経路を第2のステージとみなすことができる。サンプル106は約0Vに維持されることが好ましく、導電性スクリーン210は約200Vに維持されることが好ましく、アノード222は約500Vに維持されることが好ましい。導電性スクリーン210はサンプル106から約10mmに位置決めされることが好ましく、アノード222は導電性スクリーン210から約10mm離間されることが好ましい。いくつかの好適な実施形態では、第2のステージの利得は第1のステージの利得の少なくとも1/2であり、より好ましくは、第1のステージの利得と少なくとも同一であるか、またはその2倍である。
【0031】
図4の実施形態は一見、Phillipsらが記載したシステムと類似するものに見えるが、Phillipsらは、導電性格子がアノードの非常に近くに位置決めされることを教示しており、その結果、この格子とアノードの間でイオンがほとんど創出されない。
図4の実施形態では、追加のイオンが創出され信号を更に増幅するように、第1の導電性スクリーン210がアノード222から十分に離れて位置決めされる。実際、
図5乃至20に図示し、以下で議論する結果は、最適な性能は2つの基準が満たされたときに実現することを示す。第1に、利得、したがって格子とアノードとの間のイオン生成速度は、サンプルと格子との間のイオン生成速度よりも大きくなければならない。第2に、格子はガス・カスケード中に生成されたイオンを可能な限り多く収集しなければならない。しかし、ここに記載のシステムの格子およびPhillipsが記載したシステムの格子は共に、格子とアノードとの間で生成されたイオンしか収集することができない。このため、格子とアノードとの間のイオン生成を最小化することをPhillipsが推奨していることは、マルチ・ステージ増幅の利益を最小化するように働く。格子とアノードとの間でイオンが全く生成されないことの極端な例は、Phillipsによる最適な条件を表すが、マルチ・ステージ増幅の利点を完全になくしてしまう。
【0032】
以下の分析は本発明の種々の実施形態が利得を著しく増大させることができることを示す。以下は1ステージ・システム、2ステージ・システム、3ステージ・システム、およびN−ステージ・システムの利得を表す一般モデルに関するガス・カスケード帰還の分析を示す(ここで、Nはゼロではない正の整数である)。
【0033】
1ステージ・システム
1ステージ・ガス・カスケード増幅器による増幅は:
【0035】
によって記述される。式中、
J
0=入力電子電流(撮像信号)
J
1=出力電子電流(増幅された撮像信号)
Γ=帰還がない場合のガス利得(アノードのバイアス、ガス圧・・・によって与えられる)
J
1−J
0=イオン生成速度
κ=帰還係数=中性化イオンが電子をガス・カスケードに注入する確率(κはイオンが中性化する表面の電子的構造、イオン種、およびイオン・エネルギーによって決定される)
である。
【0036】
ガス増幅器の正味の利得(G)および「帰還」(F)は、
【0039】
物理的には、Fはイオンを中性化することによって生成される、入力電子電流J0を介してガス・カスケードに注入される電子当たりの電子の平均数である。
【0040】
以下「絶縁破壊利得」と呼ぶ有用な最大利得(GM)は、Fが1に達するときに生じるガス絶縁破壊によって制限され、この点で方程式3を書き換えると、
【0043】
次に上式を方程式1に挿入すると、絶縁破壊点におけるΓ(帰還がない場合の利得)の式
【0046】
上式は、単位入力電流の場合(すなわち、J0=1)、
【0049】
すなわち、単一のステージ・システムの場合、絶縁破壊は、
Γ=0.5κ
-1+0.5のときに起こる。
【0050】
2ステージ・システム
2ステージ・ガス・カスケード増幅器の増幅は、
【0052】
で表すことができる。
上式中、
J
0=ステージ1の入力電子電流
J
n>0=ステージnの出力電子電流
Γ
n=帰還がない場合のステージnのガス利得
κ
n=ステージnの帰還係数(すなわち、ステージnで中性化するイオンが電子をステージnに注入する確率)
T
en=格子nの電子透過率
T
in=格子nのイオン透過率
J
1−J
0=ステージ1のイオン生成速度
(J
2−T
e1J
1)=ステージ2のイオン生成速度
(J
2−T
e1J
1)T
i1κ
1=ステージ2で生成されたイオンのステージ1における中性化に起因してステージ1に注入された電子電流
T
i1κ
1=ステージ2で生成されたイオンが格子1を透過し(すなわち、ステージ1における中性化)、電子をステージ1に排出する確率
(1−T
i1)=格子1で再結合するステージ2で生成されたイオンの割合
(1−T
i1)κ
2=格子1で再結合し、電子をステージ2に注入するステージ2で生成されたイオンの割合
である。
【0053】
ステージnの正味の利得(Gn)および「帰還」(Fn)は、
【0056】
2ステージ増幅器の正味の利得(G)は、
【0059】
はっきり区別できる帰還ループが各ステージで創出されるので、マルチ・ステージ増幅器の「正味の帰還」は重要な概念ではない。関連する唯一のパラメータは、各ステージnの帰還係数(κn)および「帰還」(Fn)である。ガス絶縁破壊はFn値のいずれかが1に達するときに生じる。合計ΣFnは1を超えることがある。
【0060】
各ステージ「m」も、格子へのイオン透過に起因して各々前のステージ「n」(n<mである)に帰還する。この効果は上記方程式によって説明される。
【0061】
3ステージ・システム
3ステージ・ガス・カスケード増幅器による増幅は、
【0063】
で表すことができる。
上式中、
J
0=ステージ1の入力電子電流
T
enJ
n=ステージ(n+1)の入力電子電流(n>1)
J
n>0=ステージnの出力電子電流
J
1−J
0=ステージ1のイオン生成速度
J
n−T
e(n-1)J
(n-1)=ステージnのイオン生成速度
T
inκ
n=ステージ(n+1)で生成されたイオンが格子nを透過し(すなわち、ステージnで中性化する)、ステージnに電子を放出する確率
1−T
in=格子nで再結合するステージ(n+1)で生成されたイオンの割合。
[1−T
i(n-1)]κ
n=格子(n−1)で再結合し、ステージnに電子を注入するステージnで生成されたイオンの割合
である。
【0064】
ステージnの正味の利得(Gn)および「帰還」(Fn)は、
【0067】
3ステージ増幅器の正味の利得(G)は、
【0070】
Nステージ・システム
Nステージ・ガス・カスケード増幅器の増幅は、
【0075】
各ステージnについて、Te(N−1)J(N−1)は前のステージ(またはサンプル)からの入力電子電流である。mまでの合計は各ステージのイオン電流である。合計Mの積は各イオン電流成分が通過してステージnに到達しなければならない格子の透過率であり、[1−Ti(n−1)]はステージnで再結合するイオンの割合である。
【0076】
Nステージ増幅器の正味の利得(G)は、
【0079】
方程式22を用いて、Nステージ・システムの各ステージnのJnについての個々の方程式を書き出すことができる。
【0080】
利得および帰還分析1:同一増幅ステージ
このセクションでは、発明者らは、所与のシステムの各ステージの挙動を支配するパラメータ、すなわち帰還Γnが存在しない場合のガス利得、各格子の電子およびイオンの透過率、TenおよびTin、ならびにイオンの電子放出確率κnが同じものであると仮定する。
【0081】
図5乃至8はある範囲の電子放出確率(κ)および格子透過率(Te=Ti)を用いたNの関数として算出された絶縁破壊前の最大利得GMのグラフを示す。各システムにおいてガス絶縁破壊を引き起こすのに必要な事前帰還利得(ΓN)の範囲も示されている。GMは(常に)κ−1に伴って増大する。ステージ1では、κは十分にコントロールすることはできない。これは、κが荷電制御が働くためにイオンを受け取らなければならないサンプル表面の関数であることによる。より高次のステージでは、κは格子材料の関数であり、したがって、(例えば、格子の炭素コーティングによって)最小化してGMを最大化することができる。
【0082】
図5乃至8は格子透過率(T=Te=Ti)の大きさが、増幅ステージの追加が正味の利得に如何に影響を及ぼすかに対して直接影響を及ぼすことを示す。T>κの場合、Nの増大はGMを増大させるように働く。T<κの場合、各格子による電子収集が各増幅ステージの利得を超えるので、Nの増大はGMを低減させるように働く。T=κの場合、Nの増大がGMに及ぼす影響は極僅かである。
【0083】
図9乃至12は、NおよびTのいくつかの値を用いてステージ数(n)の関数として絶縁破壊の点でプロットされたそれぞれ個々のステージ(Gn)の利得を示す。最大利得(およびガス絶縁破壊)は各システムのステージ1で常に起こり、Γは(所与のシステムの)各ステージにおいて固定され、各ステージの利得は次の全ステージ(m>n、方程式22を参照)において生成されたイオンによる貢献を受けるので、Gnはnに伴って低減する。すなわち、Tの値が小さくなるほど、ステージ1の上流からステージ1にドリフトするイオンの割合は小さくなり、ステージ1における絶縁破壊の開始の前にこれらステージ各々の許容できる利得は大きくなる。
【0084】
図13はステージ数Fn(n)の関数として各ステージの帰還を示し、グラフに示した格子透過率(TeおよびTi)について絶縁破壊の点が算出されている。
図13は、(GMによって特徴付けられた)絶縁破壊の点において格子透過率(TeおよびTi)の増大が1より大のFnの減少を生じさせることを示す。これは次のように考えられる。(格子すべての事前帰還利得および透過率が同じである)この構成では、GMは第1の増幅ステージ(すなわち、F1=1のときに絶縁破壊が起こる)において絶縁破壊(すなわち帰還)によって制限される。Tiの増大は、ステージ1以外のステージからステージ1へ注入されるイオン数の増大を引き起こす。故に、1より大のFnの減少が生じる。
【0085】
図14は7ステージ・システムについてG=12.1からG=GMまでの多数のシステム利得(G)において算出した利得分布(Gn(n))を示す。このグラフは、マルチ・ステージ・システムの利得がマルチ・ステージ・システムのGMよりも著しく低い場合でも、マルチ・ステージ・システムを用いて1ステージ・システムの絶縁破壊利得(方程式6のように、GM、N=1=500.5)を超える利得を如何にして達成することができるかを示す。帰還による貢献を受けるノイズ成分はGがGMに接近するにつれて増大するので、この条件が好ましい。したがって、増幅マルチ・ステージを用いて、1つのステージ・システムの利得およびノイズをそれぞれ同時に増大および低減させることができる。
【0086】
利得および帰還分析2:非同一増幅ステージ
図15はTeの増大がGMの増大を生じさせることを示す。これはTeの増大が各格子による電子収集の割合を低減させるためである。
図16はTiの増大がGMの低減を生じさせることを示す。これはTiの増大がステージ1で再結合するステージ1以外のステージで生成されるイオンの割合を増大させるからである。
【0087】
図15および16の結果は、マルチ・ステージ・システムを最適化するためには、TeおよびTiをそれぞれ同時に最大化および最小化しなければならないことを示す。実際、Teの増大には一般にTiの増大を伴うため、このような最適化は実現が難しい。原理的には、これら2つのパラメータは、電子を誘導して非均一な格子の異なる場所に向かわせる磁界を用いて切り離される。しかし、HPSEMでは、そういった優先的誘導はガス分子と荷電粒子との間の衝突によって妨げられる。
【0088】
図17は、Aを値1、2,3、および4に設定したときにΓn>1=AΓn>1によって画定されるいくつかの絶縁破壊前利得分布を使用して増幅ステージ(N)の合計数の関数として算出した絶縁破壊利得(GM)を示すグラフである。GMはAに伴って増大する。しかし、Aの有用な最大値はステージ1以外のいくつかのステージにおいて起こる絶縁破壊によって制限される。
図18はA値1、2、3、および4を用いて算出した5ステージ・システムにおける利得分布を示す。Aが増大すると、個々のステージの利得(故に帰還)はステージ1の利得(および帰還)に関連して増大する。この挙動を用いて、マルチ・ステージ増幅器の第1のステージの帰還(故にノイズ)を最小化することによってシステム・ノイズを最小化することができる。
【0089】
図19はκ=10−3を用いて算出した2ステージ・システムの絶縁破壊利得を電子およびイオンの格子透過率の関数として示すグラフである。
図19は2ステージ・システムの絶縁破壊利得が2つの増幅ステージを創出するのに用いられる電極のTeを最大化し、Tiを最小化することによって最適化されることを示す。
【0090】
図20は、Γn=2=AΓn=1(このシステムでは、Te=Ti=0.1)によって定義した、2ステージ・システムの絶縁破壊利得をイオンが衝突した格子の電子放出確率(κ2)とステージ1に対するステージ2の事前帰還利得の比との関数として示すグラフである。
図20は2ステージ・システムの絶縁破壊利得はκ2を最小化すると同時にAを最大化することによって最適化されることを示す。すなわち、最適な絶縁破壊利得は、ステージ2の利得がステージ1の利得より大きいときに達成される。
【0091】
ガスの種類および圧力ならびに電極のバイアスおよび幾何学形状などの動作パラメータは、種々の実施について当業者によって容易に決定可能である。ガス圧は一般に、0.01Torr(0.013mbar)乃至50Torr(67mbar)の範囲である。本発明はほとんどのガスとともに用いることができるが、好ましいガスにはH
2O、空気、N
2、O
2、N
2O、およびCO
2が挙げられる。異なる増幅ステージを画定する導電性要素間の間隔は一般に、0.1mm乃至100mmである。アノードには一般に、サンプルに対して約50V乃至2000Vのバイアスが印加される。これらの値は好適な実施形態のための参考であって、本発明を制限するものではない。
【0092】
本発明の好適な実施形態は、
サンプルをサンプル位置に収容するサンプルチャンバと;
荷電粒子のビームを成形し、このビームをサンプルチャンバの方に誘導する集束カラムを含む荷電粒子ビーム源と;
検出器空間と、検出器空間の後部に向かって位置決めされたアノードと、サンプル位置とアノードとの間に位置決めされた第1の電極と、第1の電極とアノードとの間に位置決めされた第2の電極とを備える、荷電粒子ビームがサンプルに衝突するときに放出される電子信号を検出する検出器と;
を含む荷電粒子ビーム・システムを備え、検出器空間はサンプル位置と第1の電極と第2の電極とアノードとの間の電位差によって生成される電界によって画定され、上記検出器は荷電粒子ビームがサンプルに衝突するときに放出される電子撮像信号をガス・カスケード増幅を用いて増幅する。
【0093】
本発明の好適な実施形態によれば、検出器ハウジングはサンプルの方に向いた開口部と、検出器ハウジングの開口部に位置決めされた第1の電極とを有する。第1の電極、第2の電極、または両電極は格子または穿孔された部材を含むことができる。検出器空間はガス増幅のマルチ・ステージを画定することができ、マルチ・ステージの全体的増幅はガスの絶縁破壊前に単一のステージから利用可能な増幅よりも大きい。
【0094】
本発明の好適な実施形態によれば、第1の電極はサンプルに対して電気的に正にバイアス印加され、第2の電極は第1の電極に対して電気的に正にバイアス印加され、アノードは第2の電極に対して電気的に正にバイアス印加される。いくつかの実施形態では、第2の電極は電気的にフロートである。
【0095】
本発明の好適な実施形態によれば、第1の電極は検出器空間内側の電界によって第1の電極に向かって加速される電子に対して半透過性であり、第1の電極と第2の電極との間で生成され、第1の電極の方にドリフトするガス・イオンに対して半透過性である。第2の電極は検出器空間内側の電界によって第2の電極に向かって加速される電子に対して半透過性で、第2の電極とアノードとの間で生成され、第2の電極の方にドリフトするガス・イオンに対して半透過性であってもよい。
【0096】
本発明の好適な実施形態によれば、荷電粒子ビーム・システムは第2の電極とアノードとの間に位置決めされた第3の電極を更に含むことができる。また、荷電粒子ビーム・システムは、アノード、第1の電極、第2の電極、およびサンプルの任意の組合せに接続された撮像システムを含むことができる。荷電粒子ビーム・システムは、ガス・カスケードにおいて生成される電荷担体の運動によって誘起される信号を検出するように位置決めされた追加の電極を含むこともできる。荷電粒子ビーム・システムはガス・カスケードにおいて生成される光子を収集するのに用いられる光子検出器を含むこともできる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電極は炭素から作製することもできるし、炭素で被覆することもできる。
【0097】
本発明の別の好適な実施形態は、
開口部を有するハウジングと;
ハウジングの開口部に隣接する第1の電極と;
ハウジング内に位置決めされたアノードと;
ハウジング内で第1の電極とアノードとの間に位置決めされた第2の電極であり、第1および第2の電極が、電子に対して半透過性であるとともに、第1の電極、第2の電極、およびアノードに電位が印加されるときに、電極間の領域がガス・カスケード増幅のマルチ・ステージを提供し、組み合わされた増幅が単一ステージにおいて利用可能な最大増幅よりも大きくなるように位置決めされた、第2の電極と;
を含む荷電粒子ビーム・システムで使用するためのガス・カスケード増幅検出器を備える。
【0098】
本発明の好適な実施形態によれば、第1の電極、第2の電極、または両電極は格子または穿孔された部材を含む。第2の電極は第1の電極に対して電気的に正にバイアス印加することができ、アノードは第2の電極に対して電気的に正にバイアス印加することができる。少なくとも1つの追加の電極が、第2の電極とアノードとの間に位置決めすることができる。
【0099】
本発明の別の好適な実施形態は、
サンプルと第1の電極との間の電位差によって画定される、サンプルからの電子信号を増幅するための第1のガス・カスケード増幅領域を提供するステップと、
第1の電極と第2の電極との間の電位差によって画定される、第1の増幅領域からの電子を増幅するための第2のガス・カスケード増幅領域を提供するステップと、
第2の電極と第3の電極との間の電位差によって画定される、第2の増幅領域からの電子を増幅するための第3のガス・カスケード増幅領域を提供するステップと、
増幅された電子信号に相当するサンプルの画像を形成するステップとを含み、
これにより第1の電極の電位がサンプル表面の電位より大きくなり、第2の電極の電位が第1の電極の電位より大きくなり、第3の電極の電位が第2の電極の電位より大きくなる、走査型電子顕微鏡においてサンプルの画像を形成する方法を含む。
【0100】
本発明の好適な実施形態によれば、上記方法は前の領域からの電子を増幅するために、少なくとも1つの追加のガス・カスケード増幅領域を提供するステップを更に含むことができる。上記方法はガス・イオンを中性化するステップを更に含むことができ、中性化されたガス・イオンはガス・イオンが生成される場所とサンプルとの間の最も近い電極の電位よりも大きい電位で生成され、中性化はガス・イオンが生成される場所とサンプルとの間の電極の1つと接触している間に起こる。上記方法は、第1の電極と接触させることによって第1の電極の電位よりも大きい電位で生成されたガス・イオンを中性化するステップと、第1または第2の電極と接触させることによって第2の電極の電位よりも大きい電位で生成されたガス・イオンを中性化するステップと、および/または第1の電極の電位以上の電極と接触させることによって第1の電極の電位より大きい電位で生成されたガス・イオンを中性化するステップとを更に含むことができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、第2の電極の電位よりも大きい電位で生成されたガス・イオンが、第2の電極の電位以上の電位の電極と接触している間に中性化する。また、ガス・カスケード領域は電子を直列で増幅することができ、これによって最終増幅領域の前に、各領域の出力が次の領域によって増幅される。増幅された電子信号に相当するサンプルの画像を形成するステップは、画像内の各点の強度が1つ以上のガス・カスケード増幅領域から収集された撮像信号に相当するような画像を形成するステップを含むことができる。また、上記撮像信号は電極において誘起された電気信号、アノードによって収集された電子電流、カソードによって収集されたイオン電流、またはガス・カスケードによって生成された発光とすることができる。
【0102】
本発明の別の好適な実施形態は、
第1の利得を有する第1の電界領域によって画定される第1のガス・カスケード増幅領域と;
第2の電界領域によって画定され、第2の利得を有する第2のガス・カスケード増幅領域と;
を含み、第1および第2のガス・カスケード増幅領域の組み合わされた利得がガスの絶縁破壊より前の単一の領域の最大利得よりも大きい、走査型電子顕微鏡用のマルチ・ステージ・ガス・カスケード増幅検出器を備える。
【0103】
本発明の好適な実施形態によれば、第1の電界領域はサンプルと第1の電極との間に位置決めされ、第2の電界領域は第1の電極とアノードとの間に位置決めされる。いくつかの好適な実施形態では、第2の利得は第1の利得の1/2よりも大きい。1つ以上の追加のガス・カスケード増幅領域をサンプルとアノードとの間の追加の電界領域によって画定することが可能であり、ガス・カスケード増幅領域すべてからの全体的利得はガスの絶縁破壊より前の単一の領域の最大利得よりも大きい。
【0104】
本発明の別の好適な実施形態は、
サンプルチャンバと;
サンプルチャンバ内のサンプルの方に荷電粒子を誘導する荷電粒子ビーム・カラムと;
前述のような検出器と;を含む、
荷電粒子ビーム・システムを備える。
【0105】
本発明の別の好適な実施形態は、
開口部を有する検出器ハウジングと;
ハウジングの開口部に隣接する第1の電極と;
ハウジング内に位置決めされたアノードと;
を含み、
第1の電極が電子に対して半透過性であるとともに、第1の電極およびアノードに電位が印加されるときに、電極間の領域がガス・カスケード増幅のマルチ・ステージを提供し、組み合わされた増幅が単一ステージにおいて利用可能な最大増幅よりも大きくなるように位置決めされた、
走査型電子顕微鏡用のマルチ・ステージ・ガス・カスケード増幅検出器を備える。
【0106】
第1の電極およびアノードは、第1の電極とアノードとの間に、第1の電極とサンプルとの間で利用可能な利得の少なくとも1/2の利得を提供するように位置決め可能である。また、追加の増幅ステージを提供するために、第1の電極とアノードとの間に少なくとも1つの追加電極を位置決めすることが可能である。
【0107】
本明細書に示した例は異なる増幅ステージを画定するためにFrisch格子を用いることを示しているが、増幅ステージは、膜または針状電極などの異なる電極組によって画定することも可能である。
【0108】
本発明およびその利点について詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲で定義されている本発明の精神と範囲から逸脱することなく種々の変更、置換、改変を加えることができることは理解されよう。最大4ステージを有する検出器が記載され、また上記帰還モデルを用いて最大7ステージが分析されるが、本発明は任意の数のステージを用いることが可能であることは明白である。更に、本願の範囲は、明細書で説明している工程、機械、製造、物質の組成、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定することを意図するものではない。当業者であれば、本発明の開示から、実質的に同じ機能を実行するか、または本明細書で説明した対応する実施形態と実質的に同じ結果が得られる既存の、またはこれから開発される予定の工程、機械、製造、物質の組成、手段、方法、またはステップを本発明に従って利用できることは容易に理解しよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、工程、機械、製造、物質の組成、手段、方法、またはステップなどをその範囲内に含むことを意図している。
【符号の説明】
【0109】
100 HPSEM
104 圧力制限アパーチャ
106 サンプル
202 3ステージ検出器
204 一次電子ビーム
205 電子カラム
206 二次電子
210 第1の導電性格子、第1の導電性スクリーン
216 ガス分子
218 検出器チャンバ
220 第2の導電性格子
222 アノード
230 増幅器
232 ビデオ・プロセッサ
234 ディスプレイ