(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定装置は、保持される前記夫々のたて糸の第1の画像を生成するための第1の光学システムと、前記第1の画像を処理するための画像処理システムとを含み、前記画像処理システムの助けを受けて前記検出されるヤーンパラメータを検出可能である、請求項1に記載の引込機械。
前記測定装置は、保持される前記夫々のたて糸の第2の画像を生成するための第2の光学システムと、前記第2の画像を処理するための画像処理システムとを含み、前記両方の画像は、夫々のたて糸を異なる視角から表しており、前記画像処理システムの助けを受けて前記検出されるヤーンパラメータを判定可能である、請求項2に記載の引込機械。
前記糸クランプのクランプ力及び前記糸クランプのクランプ力の時間的推移のうちの少なくとも一方を夫々検出されるヤーンパラメータの関数として変更可能である、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の引込機械。
前記引込手段は、前記夫々のたて糸を引き込むために移動可能であり、前記引込手段の速度及び加速度のうちの少なくとも一方を夫々検出される前記ヤーンパラメータ及び前記引込手段の位置のうちの少なくとも一方の関数として変更可能である、請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の引込機械。
前記糸クランプのクランプ力及び前記糸クランプのクランプ力の時間的推移のうちの少なくとも一方が、前記夫々検出されるヤーンパラメータのうちの少なくとも1つのヤーンパラメータの関数として制御される、請求項11又は12に記載の方法。
前記引込手段の速度及び加速度のうちの少なくとも一方が、前記検出されるヤーンパラメータのうちの少なくとも1つのヤーンパラメータ及び前記引込手段の位置のうちの少なくとも一方の関数として制御される、請求項11乃至14のうちのいずれか1項に記載の方法。
前記測定装置によって夫々検出される製織用たて糸群のたて糸のヤーンパラメータが記憶され、前記織機ハーネスの前記部材内への他の製織用たて糸群のたて糸の引込を前記記憶されたヤーンパラメータの関数として制御するために、前記記憶されるヤーンパラメータが利用される、請求項11乃至15のうちのいずれか1項に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の課題は、上述した欠点を回避し、異なる材料特性をもつ材料からなるたて糸の効率的で品質的に高価値な加工を可能にする、製織用たて糸群のたて糸を織機ハーネスの部材へ引き込むための引込機械を提供することにある。さらに、たて糸を引き込むための相応の方法を定義することが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の構成要件を備える引込機械によって解決され、また、請求項10の構成要件を備えるたて糸を引き込む方法によって解決される。
【0010】
製織用たて糸群のたて糸を織機ハーネスの部材へ引き込むための本発明の引込機械は、たて糸のうちの1本を保持するための糸クランプと、そのつど糸クランプで保持されたたて糸を織機ハーネスの部材の1つへ引き込むための引込手段と、糸クランプおよび/または引込手段を制御するための制御装置とを含んでいる。
【0011】
本発明によると、引込機械はそのつどのたて糸の少なくとも1つのヤーンパラメータを検出するための測定装置を含んでおり、糸クランプおよび/または引込手段は測定装置でそのつど検出されるヤーンパラメータのうちの少なくとも1つに依存して制御可能である。
【0012】
それにより、各々のたて糸を引込前にその個別的な特徴的特性に関して特徴づけることができ、制御装置は引込プロセスの制御にあたってそれぞれ個々のたて糸の個別的な特性をリアルタイムで考慮に入れることができる。このようにして、それぞれ個々の糸の加工に合わせて(その特性に依存して)、引込機械を最善にリアルタイムで調整することができる。異なるヤーンパラメータによって特徴づけられる異なるたて糸を含む製織用たて糸群を使用するときに、手作業によるクランプ力の調節が不要となる。このことは、特に、異なる材料特性をもつたて糸が加工されるべき場合、たとえば第1の製織用たて糸群の加工後に、たて糸が少なくとも1つのヤーンパラメータに関して第1の製織用たて糸群のたて糸と相違している別の製織用たて糸群が処理されるべき場合、あるいは、それ自体がヤーンパラメータの異なるたて糸のシーケンスで構成された製織用たて糸群が加工されるべき場合に好ましいことは明らかである。
【0013】
測定装置の具体化の種類に応じて、そのつどの測定装置によって検出可能であるヤーンパラメータはさまざまに異なっていてよい。
【0014】
本発明による引込機械の1つの実施形態では、測定装置は、そのつど保持されるたて糸の第1の画像を生成するための第1の光学システムと、第1の画像を処理するための画像処理システムとを含んでおり、そのつどのヤーンパラメータを画像処理システムによって検出可能である。このような測定装置によって、光学的な検査でアプローチをすることができ、光学的な手段によって判定することができるヤーンパラメータを検出することができる。
【0015】
このような測定装置は、引込機械の作動中に目下の作動状態に関するさらに詳しい情報を供給することができ、動作進行の制御のためにこれを利用することができる。この測定装置は、たとえば糸層の縁部を確認し、それによって通常最初に加工されるべきである製織用たて糸群のたて糸の場所を判定することを可能にする。こうしてこの測定装置は、そのつど加工されるべき製織用たて糸群に対して相対的な引込機械の正確な位置決めを可能にする。さらにこの測定装置は、そのつどの糸層に分離手段が作用したときにたて糸が分離されたかどうかを判断し、そして、もしも分離されていた場合には、1本のたて糸だけが分離されたかどうかを判断することを可能にする。このようにして、測定装置は引込機械の動作エラーを認識し、場合によりエラー修正のための措置を導入することを可能にする。それにより、たて糸1本だけが分離されるべき方法ステップでたて糸が分離されていない場合に、または1本を超えるたて糸(たとえばいわゆる「二重糸」すなわち製織用たて糸群の相並んで配置された2本のたて糸からなる1組のたて糸)が分離されている場合に、引込機械の動作が中断されずに続行されてしまうのを防止することができる。さらに、製織用たて糸群が異なるヤーンパラメータをもつ異なるたて糸からなっており、これらのたて糸が事前設定された順序で相並んで製織用たて糸群の内部に配置されているケースにおいて、測定装置は、引込機械がたて糸を事前設定された順序で織機ハーネスの部材へ引き込んでいるかどうかに関する管理を可能にする。たとえば製織用たて糸群の各々のたて糸についての特定のヤーンパラメータが既知であれば、測定装置で検出される分離されたたて糸のヤーンパラメータ(実際値)を、事前設定されたたて糸の順序どおりならば引き込まれることが意図されるべきたて糸の既知のヤーンパラメータ(目標値)と比較することができる。このような実際値と目標値の比較(目標値・実際値比較)は、そのつどの製織用たて糸の取扱にあたって、それぞれのたて糸の順序が入れ替わっているか否かに関わる管理を可能にする。
【0016】
上に述べた測定装置の1つの発展例は、測定装置が(そのつど保持されるたて糸の第1の画像を生成するための第1の光学システムに追加して)当該たて糸の第2の画像を生成するための第2の光学システムと、第2の画像を処理するための画像処理システムとを含んでいることに依拠しており、それぞれの糸の両方の画像はそれぞれ異なる視角から表わされており、画像処理システムによってそのつどのヤーンパラメータを判定可能である。
【0017】
両方の光学システムは、第1の光学システムにより生成される第1の画像と、第2の光学システムにより生成される第2の画像とが組み合わされてなる立体画像の撮影を可能にする。立体画像の評価は、そのつどのたて糸を特徴づけるために3D立体情報を利用することを可能にする。このような3D立体情報は(単なる二次元の画像の評価と比べたときに)、特にその空間的な位置や構造に関して、そのつどのたて糸のいっそう正確な特徴づけを可能にする。
【0018】
上に述べた測定装置は、光学的な検査によってアプローチすることができるヤーンパラメータの検出をそのつど可能にし、たとえば、それぞれのたて糸の次のようなヤーンパラメータの検出を可能にする。
(i)各たて糸の直径
(ii)各たて糸の断面の形状および/またはサイズ
(iii)各たて糸の色
(iv)各たて糸の撚り
(v)各たて糸の撚り方向
(vi)たて糸の長さ単位あたりの各たて糸の撚りの回数
(vii)たて糸の毛羽立ち
(viii)各たて糸の光学的な透過性の程度
(ix)ステープルファイバヤーンの有無
(x)モノフィラメントヤーンの形態のフィラメントヤーンの有無
(xi)マルチフィラメントヤーンの形態のフィラメントヤーンの有無
上に挙げたヤーンパラメータ(ix)から(xi)は、それぞれのたて糸がステープルファイバヤーンでできているか、モノフィラメントヤーンでできているか、それともマルチフィラメントヤーンでできているか、もしくはこれらの種類のヤーンを含んでいるかどうかの判断も含んでいる。
【0019】
これとは別の態様の引込機械は、そのつど保持されるたて糸に作用する力を検出するために、たとえばたて糸の長手方向に働く力を検出するために、力センサを含む測定装置を有している。力センサは、たて糸の機械的特性を特徴づけるヤーンパラメータの検出を可能にし、たとえば、たて糸の引裂き強度や弾性定数の検出を可能にする。
【0020】
引込機械の1つの実施形態では、糸クランプは制御装置により管理可能な少なくとも1つのパラメータに依存して操作可能であり、それぞれ管理可能な糸クランプのパラメータのうち少なくとも1つは制御装置により、測定装置で検出されたそのつどのヤーンパラメータのうち少なくとも1つに依存して変更可能である。
【0021】
引込機械の1つの実施形態では、糸クランプは制御装置によって、糸クランプのクランプ力および/または糸クランプのクランプ力の時間的推移をそのつど検出されるヤーンパラメータに依存して変更可能であるように管理可能である。このようにして、糸クランプがそのつど引き込まれるべきたて糸に及ぼす力を、その目下の大きさや時間の関数としての変化に関して、それぞれのたて糸の特性に合わせてそのつどリアルタイムで個別的に適合化することができる。クランプ力は、たとえば糸クランプの表面に対する摩擦に関して、または伸長性に関して、または機械的負荷に対する影響の受けやすさに関して相違しているたて糸について、異なる値をとることができる。これに応じて、それぞれのたて糸を放すために糸クランプを開くことができる速度も、ヤーンパラメータに依存して変えることができる。
【0022】
引込機械の1つの実施形態では、引込手段は制御装置により管理可能なパラメータのうち少なくとも1つに依存して操作可能であり、それぞれ管理可能な引込手段のパラメータのうち少なくとも1つは制御装置により、測定装置で検出されたそのつどのヤーンパラメータのうち少なくとも1つに依存して変更可能である。
【0023】
引込機械の1つの実施形態では、引込手段はそのつどのたて糸を引き込むために所定の経路で移動可能であり、引込手段の速度および/または加速度はそのつど検出されるヤーンパラメータおよび/または引込手段の位置に依存して変更可能である。引込手段の速度および/または加速度は、たとえばそのつどのたて糸の引裂き強度、曲げ能力、および/または脆弱性に依存して、たとえば引込手段のそれぞれの経路に沿って的確に変更することができる。このようにして、たて糸を損傷させることなしに(たとえば糸切れないし糸の引裂きを回避することができる)、各々のたて糸を可能な限り短い時間内で引き込むことができる。このように、1本のたて糸を加工するための引込機械の1回の動作サイクルの時間を、各々のたて糸について個別に最低限に抑えることができる。それに応じて、製織用たて糸群のすべてのたて糸を引込機械によって織機ハーネスの部材へ引き込むために必要となる時間も、最低限に抑えられる。
【0024】
引込機械の1つの実施形態は、測定装置によりそのつど検出されるヤーンパラメータを記憶するための記憶装置を含んでいる。記憶装置では、たとえば第1の製織用たて糸群を加工するときに検出されたヤーンパラメータを保存しておくことができる。この第1の製織用たて糸群の記憶されたヤーンパラメータを、第1の製織用たて糸群と同じ順序のたて糸を有する第2の製織用たて糸群が加工されるときに、引き続いて引込機械の制御のために利用することができる。
【0025】
引込機械の1つの実施形態では、それぞれ管理可能な糸クランプのパラメータのうちの少なくとも1つは、および/またはそれぞれ管理可能な引込手段のパラメータのうち少なくとも1つは、制御装置により、そのつどのたて糸に個別的に付属していて記憶装置で準備される、または外部のデータ源から制御装置に提供することが可能である、所定のデータに依存して変更可能である。この所定のデータは、たとえばそれぞれの測定装置によっては容易に求めることはできないが、それでも引込のときのたて糸の挙動に影響を与える、それぞれのたて糸の特徴的なヤーンパラメータであってよい。たとえば、光学的な検査に基づく測定装置では、たて糸の粘着性や滑り挙動(滑らかさ)あるいは弾性的特性を特徴づけることは困難である。
【0026】
所定のデータがそれぞれのたて糸に個別的に割り当てられて記憶装置で準備され、もしくは外部のデータ源から制御装置へ提供することができることによって、そのつどの測定装置によっては直接的に検出可能でないヤーンパラメータでさえも、引込機械の制御のために援用することができる。
【0027】
たて糸のうちの1本を保持するための糸クランプと、糸クランプで保持されたそのつどのたて糸を織機ハーネスの部材のうちの1つに引き込むための引込手段と、糸クランプおよび/または引込手段を制御するための制御装置とを含む引込機械によって、製織用たて糸群のたて糸を織機ハーネスの部材へ引き込む本発明の方法は、
−そのつど引き込まれるべきたて糸を糸クランプによって保持するステップと、
−そのつどのたて糸が織機ハーネスの少なくとも1つの部材へ引き込まれるように引込手段と糸クランプを操作するステップと、
−そのつど引き込まれるべきたて糸のヤーンパラメータを測定装置によって検出するステップとを含んでおり、糸クランプおよび/または引込手段は測定装置によりそのつど検出されるヤーンパラメータのうちの少なくとも1つに依存して制御される。
【0028】
この方法の1つの実施形態では、糸クランプは制御装置により管理可能なパラメータのうちの少なくとも1つに依存して操作され、それぞれ管理可能な糸クランプのパラメータのうちの少なくとも1つは制御装置により、測定装置によりそのつど検出されるそのつど引き込まれるべきたて糸のヤーンパラメータのうちの少なくとも1つに依存して決定および/または変更される。
【0029】
この方法の1つの実施形態では、引込手段は制御装置により管理可能なパラメータのうちの少なくとも1つに依存して操作され、それぞれ管理可能な引込手段のパラメータのうちの少なくとも1つは制御装置により、測定装置によりそのつど検出されるそのつど引き込まれるべきたて糸のヤーンパラメータのうちの少なくとも1つに依存して決定および/または変更される。
【0030】
この方法の1つの実施形態では、測定装置によりそのつど検出される製織用たて糸群のたて糸のヤーンパラメータが記憶され、別の製織用たて糸群のたて糸の織機ハーネスの部材への引込を、記憶されたヤーンパラメータに依存して制御するために、記憶されたヤーンパラメータが利用される。ヤーンパラメータの記憶は、それぞれの製織用たて糸群がそれぞれたて糸の同一の順序を有している場合(すなわち、それぞれの製織用たて糸群のそれぞれn番目のたて糸が、それぞれ同じヤーンパラメータによって特徴づけられる場合)に、複数の製織用たて糸群を順次加工することを容易にする。その場合、第1の製織用たて糸群のたて糸のそのつど検出されるヤーンパラメータを、第1の製織用たて糸群の後に加工されるべき他の製織用たて糸群のたて糸のヤーンパラメータについての目標値として利用することができる。
【0031】
次に、本発明の上記以外の詳細について、および特に本発明による装置と本発明による方法の一例としての実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、製織用たて糸群のたて糸を(
図1には図示しない)織機ハーネスの部材へ引き込むための引込機械1を示している。引込機械1は、そのつど加工されるべきたて糸を準備するための引込キャリッジ5と、引込モジュール15と、引込機械1を操作するための操作コンソール16と、それぞれの織機ハーネスの部材を案内構造20の長手方向で案内するための案内構造20と、
図1には見られないが
図8に模式的に示す制御装置25を含む制御キャビネット24とを含んでいる。
【0034】
引込キャリッジ5は、そのつどの製織用たて糸群を収容するためのワープビーム5.1を含んでおり、そのつどの製織用たて糸群のたて糸を垂直方向の平面に張り渡すための、
図1には見られないが
図2から
図3に示す糸フレーム10を支持しており、糸フレーム10は垂直方向の平面で相上下して配置された2つのクランプレール10.1(糸フレーム10の「上側の」クランプレール)および10.2(糸フレーム10の「下側の」クランプレール)を、そのつどの製織用たて糸群のたて糸のために含んでいる(
図2から
図3)。引込キャリッジ5は、
図1に二重矢印5.2で図示しているように案内構造20の長手方向へ可動であり、それによりワープビーム5.1および糸フレーム10を、糸フレーム10にそのつど張り渡されるたて糸とともに案内構造20に沿って(矢印5.2の方向で)搬送することを可能にする。
【0035】
引込機械1の引込モジュール15は案内構造20に関して定置に配置されており、制御装置25により管理可能な複数のコンポーネントを含んでおり、その機能については
図2から
図10との関連であとで説明するが、これらのコンポーネントは、織機ハーネスのそれぞれの部材へたて糸を引き込むために、それぞれのたて糸に作用する役目を果たす。
【0036】
図2と
図3は、本例では製織用たて糸群のn本のたて糸30.1,30.2、..,30.nで構成される糸層30とともに、糸フレーム10を示している。
図2が示すように、たて糸30.1から30.nのそれぞれ長手方向区域は、(それぞれの長手方向区域の)上側端部のところでクランプレール10.1によって保持されるとともに、(それぞれの長手方向区域の)下側の端部のところでクランプレール10.2によって保持されており、上述した長手方向区域は引込の開始前には当初、長手方向区域がクランプレール10.1および10.2の間でそれぞれ垂直方向に整列し、互いに平行に配置された初期状態をそれぞれとっている。
【0037】
すでに述べたとおり、糸フレーム10は矢印5.2に沿った引込キャリッジ5の運動によって、引込モジュール15に対して相対的に位置決めすることができる。このようにして、糸フレーム10で保持されるたて糸30.1から30.nの長手方向区域を、引込モジュール15によってそれぞれの長手方向区域に介入ないし加工することができる位置へとそれぞれ移すことができる。
【0038】
本例では引込モジュール15は、糸層30の(引込モジュール15に関して)1番手前の縁部に配置された1本のたて糸に、引込モジュール15が1回の作業サイクルの間でそのつど作用することができるように設計されている。
【0039】
図2と
図3は、(
図2と
図3の図面では糸層30の左側縁部にある)たて糸30.1への引込モジュール15による介入を可能にする位置で、引込モジュール15を示している。
【0040】
図2と
図3が示すように、引込モジュール15は次のコンポーネントa)からf)を含んでいる。
a)糸層30から1本のたて糸を分離するための(
図4との関連でまた詳しく説明する)分離手段33。
b)糸層30から分離されたたて糸を保持するための(
図5、
図8、および
図9との関連でまた詳しく説明する)糸クランプ35。
c)それぞれのたて糸の少なくとも1つのヤーンパラメータを検出するための(
図4、
図8、および
図9との関連でまた詳しく説明する)測定装置39。
d)それぞれのたて糸を断裁するための(
図6との関連でまた詳しく説明する)断裁装置50。
e)それぞれのたて糸を引き込むための(
図3、
図7、および
図10との関連でまた詳しく説明する)引込手段60。
f)「呈示装置」56、および呈示装置56に対して相対的に可動の「フィーダ」58。
【0041】
上に挙げたコンポーネントa)、b)、d)、およびf)は、個々のたて糸30.1から30.nを順次把持し、その空間的配置を他のたて糸との比較でそのつど変更して、各々のたて糸が引込手段60により個別に把持され、織機ハーネスのそれぞれの部材へ引き込むことができるようにする役目をする。
【0042】
フィーダ58と呈示装置56は、特に、糸層30から分離されたたて糸の一区域を把持し、引込手段60がそのつどのたて糸を呈示装置56のところで把持できるように、空間内で配置するという役割がある(
図7との関連でまた詳しく説明する)。
【0043】
図2と
図3に示す状況では、たて糸30.1は分離手段33の作用によって糸層30から分離されており、上側のクランプレール10.1の近傍で糸クランプ35により保持されている。呈示装置56とフィーダ58は、本例では、たて糸30.1を呈示装置56のところで引込手段60により把持することができるように、たて糸30.1が呈示装置56とフィーダ58によって空間内で保持されるように位置決めされている。
【0044】
引込手段60は本例では引込フックとして構成されており、フック状の端部60.1を備える長尺状のロッドの形状を有している。
図3によると、二重矢印60.2で図示しているように、引込手段60はその長手方向にさまざまに異なる位置の間で往復運動することができる。
図3に示す状況では、引込手段60は、たて糸30.1が呈示装置のところでフック状の端部60.1により把持されるように配置されている。
【0045】
さらに
図3は、本例では一例としてそれぞれ引込開口部66.1を備えるドロップワイヤ66と、それぞれ引込開口部67.1を備える綜絖67と、多数の歯および各歯の間に構成された引込開口部68.1を備える筬68とを含む織機ハーネス65の各部材を示している。引込機械1の役割は、糸層30の各々の個々のたて糸30.1から30.nを順次まずドロップワイヤ66に引き込み(すなわちドリップワイヤ66の引込開口部66.1に通し)、次いで、綜絖67のうちの1つに引き込み(すなわち、綜絖67のうちの1つの引込開口部67.1に挿通し)、引き続いて筬68に引き込む(すなわち筬68の引込開口部68.1のうちの1つに通す)ことにある。
【0046】
図3では便宜上、1つのドロップワイヤ66と1つの綜絖67だけが示されている。
図3に示す状況では引込手段60は、筬68の引込開口部68.1のうちの1つと、綜絖67のうちの1つの引込開口部67.1と、ドロップワイヤ66のうちの1つの引込開口部66.1を通って案内されている。したがってたて糸30.1は、引込手段60が筬68に向かう運動をすると、引込手段のフック状の端部60.1により一緒に連行されて、
図3に示す織機ハーネス65の各部材(ドロップワイヤ66、綜絖67、および筬68)に順次引き込まれる。糸層の他のたて糸もこれに準じて、別のドロップワイヤ66、別の綜絖67、および筬68のそれぞれ別の引込開口部にそれぞれ引き込むことができる。
【0047】
引込機械1の作動中に必要となる織機ハーネス65の各部材は、それぞれのたて糸の引込の前後に搬送されなくてはならない。これらの部材は引込前に図示しないラックから自動的に取り出され、それぞれのたて糸を織機ハーネス65の事前設定された部材に引き込むことができるように、引込手段60に対して相対的に位置決めされる。たて糸の引込後、織機ハーネス65のそれぞれの部材は引き込まれたたて糸とともに、案内構造20の長手方向へと搬送することができる。織機ハーネス65の各部材の搬送は、たとえば欧州特許第0460129B1号明細書からそれ自体公知である搬送手段によって惹起することができる。このような搬送手段は、これ以外の点では本件の関連において重要ではないので、ここでは詳細な検討は行わないこととする。便宜上、このような搬送手段は図面には図示していない。
【0048】
図4では、分離手段33は本例では吸引ノズルとして具体化されており、この吸引ノズルは糸層30の平面の内部で糸層30に向かう方向へ、またはこれと反対の方向へ(糸層30から離れるように)可動であり、その様子は
図4に二重矢印33.2で図示されている。引込手段33は、糸層30のほうを向いている側にテーパ状のスリット33.1を有しており、(図面には図示しない)吸引開口部がこれに連通している。分離手段33により、糸層30の縁部にあるそのつど1本のたて糸を分離することができるのが好ましい。たて糸の分離を実現するために、分離手段33はまず、前述の吸引開口部で負圧が印加されたときにそのつどのたて糸がスリット33.1に吸引され、引き続いてスリット33.1の中で保持されるように、分離されるべきたて糸の近傍へと移すことができる。引き続いて分離手段33が糸層30の縁部から離れるように動くと、スリット33.1の中でそのつど保持されるたて糸も分離手段33とともに連行され、そのようにして、糸層30の他のたて糸から引き離される(分離される)。
図4に示す状況の場合、たて糸30.1は上に述べたやり方で分離手段33により糸層30から分離されており、(糸クランプ35によって保持され、場合によりこれに加えて分離手段33のスリット33.1の中で保持された状態で)いわゆる「検査位置」にある。
【0049】
検査位置にあるたて糸(たとえば
図4のたて糸30.1)は、測定装置39によって検査をすることができる。
【0050】
図8が示すように、測定装置39は、たて糸に対する光学検査システム40と、光学検査システム40によって生成することができる画像の処理ないし評価をするための画像処理システム43とを含んでいる。
【0051】
図4が示すように、光学検査システム40は、第1のカメラの形態の第1の光学システム41と、第2のカメラの形態の第2の光学システム42とを含んでいる。第1の光学システム41は、
図4に示す円錐41.1によって区切られる空間角の範囲内にある対象物の視覚的な検査を可能にする。これに応じて第2の光学システム42は、
図4に示す円錐42.1によって区切られる空間角の範囲内にある対象物の視覚的な検査を可能にする。
【0052】
図4が示すように、検査位置へと移されたたて糸(本例ではたて糸31.1)は、円錐41.1.の領域および円錐42.1の領域の両方に位置している。それに応じて、第1の光学システム41によってこのたて糸の第1の画像を生成するとともに、第2の光学システム42によってこのたて糸の第2の画像を生成することができる。
図4がさらに示すように、光学システム41および42は、(光学システム41の光学軸と同一である)円錐41.1の軸41.2と、(光学システム42の光学軸と同一である)軸42.2とが約45°の角度で、たて糸の検査位置と一致する点において交わるように配置されている。したがって両方の光学システム41および42は、そのつど2つの異なる画像を生成することを可能にし、これらの画像は1本のたて糸をそれぞれ2つの異なる視角から表しており、それぞれのたて糸の立体画像となるように合成することができる。
【0053】
光学システム41および42により生成された画像は、画像処理システム43によってそのつど評価することができる。
【0054】
図4が示すように、軸41.2は糸層30の平面に対して垂直に配置されているのに対し、軸42.2は糸層30の平面に対して約45°の角度で傾いている。このような光学システム41および42の配置は、分離手段33によってたて糸が分離されて検査位置へ移されているか、それとも誤ってたて糸が分離されていないか、もしくはたとえば2本のたて糸(二重糸認識)が分離されているかに関する情報を、そのつど生成される画像が簡単なやり方で、かつ特別に高い信頼度で与えることができるという利点がある。原則として、両方の光学システム41および42は糸層30に関してこれ以外の角度位置で配置することもできるのは当然であり、その場合、軸41.2と42.2の間のそのつどの交差角は、0°から180°までの範囲内で任意に選択することができる。
【0055】
1本のたて糸が糸層30から分離されて検査位置へ移されると、第1の光学システム41および/または第2の光学システム42によって、このたて糸の1つまたは複数の画像が生成される。この画像が画像処理システム43によって自動的に評価される。この評価は、撮像されたたて糸のヤーンパラメータの判定を可能にし、光学検査によって調べることができるヤーンパラメータ、たとえば上に挙げたヤーンパラメータ(i)から(xi)が判定される。
【0056】
糸層30から分離されたたて糸は、糸クランプ35によって把持、保持することができる。
図5は、糸層30から分離されたたて糸30.1を糸クランプ35が検査位置で保持している状態で、糸クランプ35を示している。糸クランプ35は、
図5によると、可動部分36と、可動部分36を動かすための駆動モータ37と、可動部分36に対するストッパとしての役目をする静止部分38とを含んでおり、それによってたて糸を静止部分38と可動部分36の間でクランプし、そのようにして保持することができる。
【0057】
図5と
図8が示すように、可動部分36は次の複数のコンポーネントで構成されている。
−駆動モータ37によって静止部分38に対して相対的に動くことができ(その様子は二重矢印36.5で図示されている)、または、静止部分38に関して事前設定された間隔で保持することができる可動ブロック36.1。
−可動ブロック36.2に対して相対的に可動に配置されたクランプ部材36.2。
−可動ブロック36.1に取り付けられ、静止部分38と可動ブロック36.1に対して相対的に移動するときにクランプ部材36.2を案内する、クランプ部材36.2のための案内部36.3。
−可動ブロック36.1とクランプ部材36.2の間に配置され、ばね36.4がクランプ部材36.2を所定の力(以下、「クランプ力F」という)で静止部分38に向かって押圧するように初期応力をかけることができるばね36.4(
図8参照)。
【0058】
可動ブロック36.1は、制御装置25による駆動モータ37の相応の制御によって、静止部分38に対して相対的に連続的に位置調節することができる。このとき可動ブロック36.1の位置調節範囲は、可動ブロック36.1が位置調節範囲の第1の部分の範囲内で、クランプ部材36.2と静止部分38との間に中間スペースが生じるように位置決めされるように選択されており、この中間スペースは、クランプ部材36.2がそのつどのたて糸に触れることなく、たて糸をこの中間スペースに配置するために十分に広い。このケースでは、糸クランプは開いた状態をとっている(
図8の位置Z1)。そのときばね36.4は完全に弛緩しており、クランプ部材36.2に力を及ぼしていない(クランプ力F=0)。最後に、静止部分に対する可動ブロック36.1の間隔は、駆動モータ37の相応の制御によって、可動ブロック36.1とクランプ部材36.2の間でばね36.4が圧縮され、それによって応力をかけられるように狭めることができる。このケースでは、ばねクランプ35は閉じた状態をとっており(
図8の位置Z2)、このとき、ばね36.4はクランプ部材36.2を静止部分38に向かって押圧し、ないしは、クランプ部材36.2と静止部分38の間に配置されたたて糸(
図2、
図5、および
図8の図面におけるたて糸30.1)に向かって押圧する。このとき、ばね36.4のそのつどの応力は、クランプ部材36.2が静止部分38に及ぼす、ないしはクランプ部材36.2と静止部分38との間に配置されたたて糸に及ぼす、クランプ力Fの大きさを規定する。したがって、駆動モータ37を適切に制御することで、糸クランプ65が開いた状態または閉じた状態をとることができるように、可動部分36.1の位置を変更することができ、このとき、糸クランプ35が閉じた状態で及ぼすクランプ力Fは、所定の範囲内で的確に変更することができる(可動部分36.2のそのつどの位置と、ばね36.4のばね定数とに依存して)。
【0059】
図6は、たて糸30.1を断裁する準備が整った状態で断裁装置50を示している。断裁装置50は、断裁カッター50.1と駆動装置50.2とを含んでおり、この駆動装置によって断裁カッター50.1をたて糸30.1に対して相対的に動かして、これを断裁することができる。二重矢印50.3は、断裁カッター50.1が動くことができる方向を表している。駆動装置50.2は、そのつどのたて糸が断裁される時点を適切に制御するために、制御装置25によって制御することができる。
【0060】
図7は、
図3との関連で、呈示装置56とフィーダ58の機能を、たて糸30.1を例にとって示している。呈示装置56とフィーダ58は、糸層30から分離されたたて糸に作用して、このたて糸が引込手段60に対して相対的に、引込手段60によってこのたて糸が把持され、引き続いて織機ハーネス65のそれぞれの部材へ引き込むことができる位置をとるようにする。
図3と
図7に示す状況では、呈示装置56は糸層30に対して定置に配置されている。呈示装置56は上側の面56.1に、引込手段60の運動方向60.2と平行に向いた溝56.2を有している。
図7が示すように、引込手段60は、フック状の端部60.1が呈示装置56の溝56.2の中にあり、この溝56.2から上方に向かって(上側の面56.1のレベルを超えて)部分的に突き出す位置へと移すことができる。
【0061】
分離手段33だけによっては、たて糸を呈示装置56と接触させることができない程度に短い距離しか、そのつどのたて糸を糸層から分離することができない。フィーダ58は、
図7の二重矢印58.2が図示しているように、糸層30の縁部に対して鋭角で往復運動することができる。フィーダ58は一方の縁部に切欠き58.1を有しており、この切欠きは、たて糸を把持して場合により案内する役目をする。引込機械1の作動時にフィーダ58は、たて糸が分離された直後には分離手段33の近傍で糸層30の上側端部のそばの位置をとり、そのつど分離されたたて糸(
図7の場合にはたて糸30.1)がフィーダ58の切欠き58.1の中に位置するように制御される。次いで、フィーダ58が糸層30の縁部に対して鋭角で下方に向かって動き、このとき、分離されたたて糸は糸層の縁部に対して相対的に側方へ偏向する(
図2)。フィーダ58の運動は、分離されたたて糸30.1の一区域が最終的に呈示装置56の上側の面56.1と接触し、引込手段の運動方向60.2に対して横向きに溝56.2の上に張設される位置をとるように制御される。この位置のとき、たて糸30.1を分離手段60のフック状の端部60.1によって把持し、分離手段60が矢印60.2に沿って織機ハーネス65の各部材に向かう方向へ動いたときに一緒に連行することができる(
図3、
図7)。フィーダ58の上述した運動のとき、分離されたたて糸30.1は引張の負荷を受け、場合により、少なくとも部分的に(本例では閉じている)糸クランプ35から引き出される。
【0062】
図8は、制御装置25による糸クランプ35と測定装置39の制御を模式的に示している。制御装置25は通信接続25.1を介して、測定装置39の光学検査システム40と接続されている。さらに制御装置25は通信接続25.2を介して、測定装置39の画像処理システム43と接続されている。測定装置39の光学検査システム40と画像処理システム43は、光学検査システム40と画像処理システム43の間のデータ交換を可能にするデータ回線44を介して接続されている。
【0063】
通信接続25.1を介して、特に、光学システム41および42の円錐41.1および42.1の領域の検査位置にある糸層30のたて糸の検査を制御することができる。光学システム40および41によって生成された画像は、データ回線44を介して画像処理システム43へ伝送され、画像処理システム43によって評価される。この評価はまず第1に、ちょうど1本のたて糸が分離されているかどうかの情報をもたらす。そうなっていない場合には不具合が生じており、通信接続を介してこの不具合が制御装置25に通知される。ちょうど1本のたて糸が分離されて検査位置へ移されているときは、画像処理システム43がそのつどのたて糸のヤーンパラメータを判定し、特に、前述したヤーンパラメータ(i)から(xi)のうちの少なくとも1つを判定する。本例では、たて糸30.2が糸層30から分離されており、ちょうど検査位置にきている。上述したやり方で検出されたたて糸30.2のヤーンパラメータは、通信接続25.2を介して制御装置25へ伝送され、制御装置25の記憶装置26に保存される。たて糸30.1については、すでに前回の作業ステップで測定装置39により同じ検査が行われている。したがって
図8に示す状況では、たて糸30.1のそれぞれのヤーンパラメータはすでに検出されており、制御装置25へ伝送されて記憶装置26に保存されている。
【0064】
制御装置25は通信接続25.3を介して糸クランプ35と接続されている。通信接続25.3を介して、特に糸クランプ35の駆動モータ37を制御することができ、それにより糸クランプ35を閉じ、および/または開き、および/または目下のクランプ力Fの大きさを制御する。
【0065】
図8に示す状況では、たて糸30.1が静止部分38とクランプ部材36.2の間にクランプされている。
図8は、糸クランプ35を2つの異なる位置Z1ないしZ2で示しており、糸クランプ35は位置Z1(実線で図示)のときには開いており、それに対して糸クランプ35は位置Z2のときには閉じている(クランプ部材36.2の位置は、このケースについては破線で図示されている)。
【0066】
糸クランプ35は、そのつど測定装置39により検出されるヤーンパラメータのうちの少なくとも1つに依存して制御可能である。本例では、糸クランプ35のクランプ力Fは、および/または糸クランプ35のクランプ力Fの時間的推移F(t)は、そのつど検出されるヤーンパラメータに依存して変更可能である。このような制御を具体化するために、制御装置25の記憶装置26は、糸クランプ35のクランプ力Fの事前にプログラミングされた多数の推移F
n(t)のスペックを時間tの関数として含んでおり、これらのスペックは、さまざまに異なる糸の材料特性に合わせてそれぞれ適合化されている(式F
n(t)における指数nは、この関連では、異なるクランプ力Fの時間的推移F(t)の間で相違しているものとする)。制御装置は、そのつど検出されるたて糸のヤーンパラメータを、事前にプログラミングされたクランプ力の推移F
n(t)のうちの1つにそれぞれ割り当てる制御プログラムを備えている。ヤーンパラメータと事前にプログラミングされた推移Fn(t)とのそのつどの割当は、たとえば、実験データと経験値を踏まえたうえで事前に特定された、数学的な関数または相関関係に基づいて形成することができる。このような実験データや経験値は、たとえば引込機械1の試験運転で、さまざまに異なるヤーンパラメータをもつたて糸を引き込むときに得ることができる。
【0067】
便宜上、
図8では引込機械のその他のコンポーネントの制御については図示していない。本例では、引込手段60と断裁装置50も制御装置25により、そのつど測定装置39で検出されるヤーンパラメータのうちの少なくとも1つに依存して制御される。この目的のために、引込手段60を動かすための(ここには図示しない)駆動装置および断裁装置50の駆動装置50.2が、(
図8には図示しない通信接続を介して)制御装置25により相応に制御される。
【0068】
引込手段60の場合には、引込手段60の速度vおよび/または加速度が、そのつど検出されるヤーンパラメータおよび/または引込手段60の位置に依存して制御される。このような制御を具体化するために、制御装置25の記憶装置26は、引込手段60の速度および/または加速度の事前にプログラミングされた多数の推移のスペックを引込手段60の位置の関数として含んでいる。制御装置25は、そのつど検出されるたて糸のヤーンパラメータを、事前にプログラミングされた引込手段60の速度および/または加速度の推移のうちの1つにそれぞれ割り当てる制御プログラムを備えている。このような割当は、実験データと経験値を踏まえたうえで事前に特定された、数学的な関数または相関関係に基づいて形成することができる(上に述べたクランプ力Fの制御に準ずる)。
【0069】
図9は、一例として(「小さい」選択として)事前にプログラミングされた3通りの異なるクランプ力Fの推移を、時間tの関数として(定性的にすぎないグラフで)示している。それぞれの推移は、たとえば弾性特性(たとえば伸長性)や糸クランプ35に対する摩擦などに関して相違しているために、異なる大きさのクランプ力Fで負荷を受ける可能性がある種々のたて糸に適用可能である。
図9では、事前にプログラミングされたクランプ力Fの種々の推移が、それぞれ異なるパラメータP1,P2,P3の表示によって記号で表わされている。図示しているクランプ力Fのいずれの推移のケースにおいても、クランプ力Fは連続する複数の時間インターバルI,II,IIIおよびIVでそれぞれ一時的に一定に保たれ、一時的に連続的もしくは段階的に低下していく。時間インターバルI(t=0すなわち糸クランプ35の閉じる時点を起点とする)では、どの推移もそれぞれ最大値をとっている。時間インターバルIは、糸層30からのそれぞれたて糸の分離の直後に続いている。時間インターバルIでは、それぞれの最大値に相当する一定のクランプ力Fで、それぞれのたて糸が保持される(糸クランプ35は完全に閉じている)。時間インターバルIIでは、クランプ力Fが(パラメータP1,P2,P3どのケースにおいても)それぞれ連続的に低下していき、時間インターバルIIIでは(それぞれの最大値に比べて低下したレベルで)再び一定に保たれる。時間インターバルIVでは、クランプ力Fは(パラメータP1,P2,P3どのケースにおいても)それぞれ連続的に0まで低下し、それによって糸クランプを開く。
【0070】
したがって時間インターバルIIIへ移行するとき、糸クランプ35は部分的に緩められる。この時間インターバルIIIは、作動時には、フィーダ58を(糸フレーム10の上側端部を起点として)呈示装置56に向かう方向へ動かすために利用される(
図2と
図7)。時間インターバルIIIにおけるクランプ力Fの低下は、糸クランプでそのつど保持されるたて糸を、フィーダ58の前述した運動のときに閉じた糸クランプ35から部分的に引き出すことができ、それによって負荷を減らすことにつながる。このような対応策は、それぞれのたて糸の特別に保全的な取扱を可能にする。
【0071】
図10は、、一例として(「小さい」選択として)事前にプログラミングされた3通りの異なる引込手段60の引込速度vの推移を、引込手段60のフック状の端部60.1が引込みのときに進む経路の長さDの関数として(定性的にすぎないグラフで)示している。それぞれの推移は、たとえば機械的な負荷の観点からして異なる影響の受けやすさを有する、たとえば脆弱性、曲げ能力、引裂き強度などに関して相違する、さまざまなたて糸に適用可能である。
【0072】
図10では、事前にプログラミングされた引込速度vのさまざまな推移が、異なるパラメータQ1,Q2,Q3の表示によって記号で表されている。
図10によると、引込手段60はパラメータQ1,Q2,Q3のうちの1つの選択に応じて異なる速さで加速され、異なる大きさの最高速度に到達する。したがって、そのつどのたて糸の個別的な特性に依存して、事前にプログラミングされた引込速度vの推移のうちの1つを適切に選択することは、たて糸に過負荷をかけることなく、そのつどのたて糸が最大限可能な速度で引き込まれるように、引込プロセスを構成することを可能にする。