特許第5774303号(P5774303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774303
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】斜入射集光器用冷却スパイダ及び方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   G03F7/20 503
   G03F7/20 521
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-288324(P2010-288324)
(22)【出願日】2010年12月24日
(65)【公開番号】特開2011-155254(P2011-155254A)
(43)【公開日】2011年8月11日
【審査請求日】2013年12月24日
(31)【優先権主張番号】12/657,650
(32)【優先日】2010年1月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509105237
【氏名又は名称】メディア ラリオ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】MEDIA LARIO S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル、イー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マンス、ジェイ、ロバート
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−536754(JP,A)
【文献】 特開2005−310922(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0084461(US,A1)
【文献】 特開2007−123874(JP,A)
【文献】 特開2004−103773(JP,A)
【文献】 特開2007−005124(JP,A)
【文献】 特開2007−013167(JP,A)
【文献】 特開2004−165638(JP,A)
【文献】 特開2011−187875(JP,A)
【文献】 特開2010−141071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/027、21/30 、
H05G 1/00 − 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの斜入射集光器(GIC)シェルを有するGIC用冷却スパイダであって、
複数の冷却チャネル部を有する外側リングと、
複数の冷却チャネルループを有する内側リングと、
前記内側リングと前記外側リングとを機械的に接合する複数のスポークと
を備え、
前記冷却チャネルループは、それぞれが前記内側リングの一部分を覆うように構成され、
各スポークは、
前記外側リングの異なる冷却チャネル部と、前記内側リングの対応の冷却チャネルループの各端部とに流体接続する一対の冷却チャネルを有し、前記冷却スパイダを通過する冷却液流路を形成しており、
それぞれが前記少なくとも一つのGICシェルの縁部を機械的に支持するように構成されており、
前記冷却液流路は、前記外側リングへ冷却液が入る流入点と、前記外側リングから冷却液が出る流出点とを有し、前記冷却液流路は、前記外側リング内において前記流入点から流出点までの間を互いに逆方向に流れる2つの分岐流路を有しており、
前記外側リングの複数の冷却チャネル部と、前記内側リングの複数の冷却チャネルループと、前記複数のスポークの複数の冷却チャネルとは、少なくとも2つの隣接するスポークを前記冷却液流路が逆方向に向かって横断するように構成されている
冷却スパイダ。
【請求項2】
前記冷却液流路の前記流入点と前記流出点とは、略180度の角度をなすように離間する
請求項1に記載の冷却スパイダ。
【請求項3】
前記流入点及び前記流出点において前記冷却液流路にそれぞれ流体接続される流入側冷却液マニホールド及び流出側冷却液マニホールドをさらに備える
請求項1または2に記載の冷却スパイダ。
【請求項4】
前記流入側冷却液マニホールド及び前記流出側冷却液マニホールドは、前記外側リングにおける各冷却チャネル部にそれぞれ流体接続されている
請求項3に記載の冷却スパイダ。
【請求項5】
各スポークは、2つの部分を溶接することによって形成され、前記2つの部分が対になって冷却チャネルが形成される
請求項1から4のいずれかに記載の冷却スパイダ。
【請求項6】
各スポークは、前記少なくとも一つのGICシェルの各縁部を支持するように構成される上縁を有する
請求項1から5のいずれかに記載の冷却スパイダ。
【請求項7】
前記外側リングと、前記内側リングと、前記複数のスポークとは、インコネル、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金の内少なくとも一つから形成される
請求項1からのいずれかに記載の冷却スパイダ。
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載の前記冷却スパイダと、
離間した状態で前記冷却スパイダによって動作可能に支持される少なくとも一つのGICシェルと、
を備える、GICシステム。
【請求項9】
前記少なくとも一つのGICシェルは、縁を有し、
各縁の一部は、前記複数のスポークによって支持され、
前記複数のスポークに取り付けられた複数のクリップが各シェルを定位置に保持する
請求項に記載のGICシステム。
【請求項10】
反射レチクルに光を照射する極端紫外線(EUV)リソグラフィシステムであって、
EUVの放射源と、
請求項1からのいずれかに記載の冷却スパイダと、
前記冷却スパイダによって支持され、前記EUVを受光し、集光したEUVを形成するように構成される少なくとも一つのGICシェルと、
前記集光したEUVを受光して凝縮EUVを形成し、前記凝縮EUVを前記反射レチクルに照射するように構成されるイルミネータと
を備える、EUVリソグラフィシステム。
【請求項11】
前記EUVリソグラフィシステムは、感光性半導体ウエハ上にパターン画像を形成するためのEUVリソグラフィシステムであり、
前記反射レチクルの下流に配置され、前記反射レチクルから反射されたEUVを受光して、そこから前記感光性半導体ウエハ上に前記パターン画像を形成するように構成される投影光学システムをさらに備える、請求項10に記載のEUVリソグラフィシステム。
【請求項12】
極端紫外線(EUV)光源を有する斜入射集光器(GIC)システムの一部として、少なくとも一つのGICシェルを離間状態に維持する方法であって、
請求項1からのいずれかに記載の前記冷却スパイダを設けることと、
前記少なくとも一つのGICシェルを前記冷却スパイダに加えて、前記光源からのEUVを受光すると共に前記EUVの焦点合わせを行なうGICシステムを形成することと、
前記光源を作動させて前記EUVを生成させることと、
前記冷却液を前記冷却液流路に流して前記冷却スパイダを冷却することと
を備える方法。
【請求項13】
前記流入点及び前記流出点は、前記外側リング上に略180度の角度をなすように配置されている
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
それぞれが縁を有する少なくとも一つの斜入射集光器(GIC)シェルを有するGIC用冷却スパイダであって、
複数の外側リング冷却チャネル部を有する外側リングと、
複数の内側リング冷却チャネル部を有する内側リングと、
前記外側リングと前記内側リングとを機械的に接合する複数のスポークと
を備え、
各スポークは、少なくとも一つの冷却チャネルを有し、
前記冷却チャネルは、前記内側リングの各冷却チャネル部と前記外側リングの各冷却チャネル部とに流体接続されて、前記冷却スパイダを通過する冷却液流路を形成しており、
前記複数のスポークは、前記少なくとも一つのGICシェルの各縁において、前記少なくとも一つのGICシェルを同心円状且つ離間状態に支持するように構成されており、
前記冷却液流路は、前記外側リングへ冷却液が入る流入点と、前記外側リングから冷却液が出る流出点とを有し、前記冷却液流路は、前記外側リング内において前記流入点から流出点までの間を互いに逆方向に流れる2つの分岐流路を有しており、
前記複数の内側リング冷却チャネル部は、U字型に形成され、前記内側リングの各部分を覆い、
各スポークは、第1冷却チャネル及び第2冷却チャネルを有し、
前記第1冷却チャネル及び前記第2冷却チャネルは、前記複数のU字型内側リング冷却チャネル部のうち対応する内側リング冷却チャネル部の第1端及び第2端のそれぞれに接続され、前記外側リングから、及び、前記外側リングまで冷却チャネルループを形成し、
前記複数の内側リング冷却チャネル部と前記複数の外側リング冷却チャネル部とは、少なくとも2つの隣接するスポークが逆方向の冷却液流れ方向を有するように構成されている冷却スパイダ。
【請求項15】
前記冷却液流路に冷却液を流すように構成され、略180度の角度をなす状態で離間する流入点及び流出点において前記外側リングに流体接続する流入側冷却液マニホールド及び流出側冷却液マニホールドをさらに備える
請求項14に記載の冷却スパイダ。
【請求項16】
請求項14または15に記載の冷却スパイダと、
前記少なくとも一つのGICシェルの縁において、前記冷却スパイダによって、同心円状且つ離間状態で動作可能に支持される前記少なくとも一つのGICシェルと
を備えるGICシステム。
【請求項17】
反射レチクルに光を照射するための極端紫外線(EUV)リソグラフィシステムであって、
EUVの放射源と、
請求項14または15に記載の冷却スパイダと、
前記冷却スパイダによって動作可能に支持され、前記EUVを受光し、集光したEUVを形成するように構成される少なくとも一つのGICシェルと、
前記集光したEUVを受光して凝縮EUVを形成し、前記凝縮EUVを前記反射レチクルに照射するように構成されるイルミネータと
を備える、EUVリソグラフィシステム。
【請求項18】
前記EUVリソグラフィシステムは、感光性半導体ウエハ上にパターン画像を形成するためのEUVリソグラフィシステムであり、
前記反射レチクルの下流に配置され、前記反射レチクルから反射されたEUVを受光し、そこから前記感光性半導体ウエハ上に前記パターン画像を形成するように構成される投影光学システムをさらに備える
請求項17に記載のEUVリソグラフィシステム。
【請求項19】
極端紫外線(EUV)光源を有する斜入射集光器(GIC)システムの一部として、少なくとも一つのGICを離間状態で維持する方法であって、
請求項14または15に記載の冷却スパイダを設けることと、
前記少なくとも一つのGICシェルを前記冷却スパイダに加えて、前記光源からのEUVを受光すると共に前記EUVの焦点合わせを行なうことと、
前記光源を作動させて前記EUVを生成させることと、
前記冷却液を前記冷却液流路に流して前記冷却スパイダを冷却することと
を備える方法。
【請求項20】
斜入射集光器(GIC)ミラーの少なくとも一つのシェルを動作可能に支持する冷却スパイダを冷却する方法であって、
複数のスポークによって機械接続及び流体接続された外側リングと内側リングとを有するスパイダを設け、前記冷却スパイダに冷却液流路を形成することと、
前記冷却液流路に冷却液を流すことと、
を備え、
前記外側リングは、前記冷却液流路を形成している複数の冷却チャネル部を有し、
前記内側リングは、前記冷却液流路を形成している複数の冷却チャネルループを有し、
前記複数のスポークは、前記外側リングの異なる冷却チャネル部と、前記内側リングの対応の冷却チャネルループの各端部とに流体接続する一対の冷却チャネルを有し、前記冷却液流路を形成しており、
前記冷却液流路は、前記外側リングへ冷却液が入る流入点と、前記外側リングから冷却液が出る流出点とを有し、前記冷却液流路は、前記外側リング内において前記流入点から流出点までの間を互いに逆方向に流れる2つの分岐流路を有しており、
前記外側リングの複数の冷却チャネル部と、前記内側リングの複数の冷却チャネルループと、前記複数のスポークの複数の冷却チャネルとは、少なくとも2つの隣接するスポークを前記冷却液流路が逆方向に向かって横断するように構成されている方法。
【請求項21】
前記流入点及び前記流出点は、略180度の角度をなすように離間する
請求項20に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に斜入射集光器(GIC)に関し、特に、GIC用冷却スパイダ及びGIC用スパイダ冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EUVリソグラフィは、線幅約32nm 以下の次世代半導体装置の製造に最適なリソグラフィプロセスとなることが予想されている。EUVの波長はわずか13.5nmであり、EUVを集光及び結像するためには特別な光学系を使用する必要がある。
【0003】
光源からの放射光を集光するために使用されるEUV光学システムとして、斜入射集光器(GIC)がある。典型的には、GICは、単数または複数の同心円状に配置されたGICシェルミラー(GICシェル)を有する。GICシェルは、システム全体の光学設計により設定された仕様内で、斜入射角でEUV源からの光を受光し、受光した光を反射して集束する照明ビームを形成するように構成されている。集束した照明ビームは、中間焦点を形成し、そして、好ましくは均一の遠隔フィールドに照明領域を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公報第US2004/0265712A1号
【特許文献2】米国特許出願公報第US2005/0016679A1号
【特許文献3】米国特許出願公報第US2005/0155624A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
典型的には、GICには、複数のGICシェルを互いに固定位置に維持する「スパイダ」が必要とされる。典型的には、従前のGICスパイダは、実験室用及び非製品用EUVリソグラフィシステムとして設計されているので、能動的な熱管理を欠いた比較的簡素な設計がなされている。これは、GICを商業的に実現可能にする上で問題である。スパイダが長期的にEUVや他の放射副産物(例えば、エネルギー粒子、赤外線等)に曝されると、スパイダが加熱され、潜在的にミラーが変形し、性能上の問題を引き起こすからである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、少なくとも一つの斜入射集光器(GIC)シェルを有するGIC用冷却スパイダである。冷却スパイダは、複数の冷却チャネル部を有する外側リングと、複数の冷却チャネルループを有する内側リングとを備えている。なお、各冷却チャネルループは、内側リングの一部分を覆う。また、冷却スパイダは、内側リングと外側リングを機械的に接続する複数のスポークを備えている。各スポークは、一組の冷却チャネルを備えている。一組の冷却チャネルは、外側リングの複数の異なる冷却チャネル部と、内側リングの冷却チャネルループとに流体接続されており、冷却スパイダに冷却液流路を形成する。また、各スポークは、少なくとも一つのGICシェルの縁を機械的に支持するように構成されている。
上述の冷却スパイダにおいて、冷却液流路は、外側リングにおいて離間する流入点及び流出点と、流入点と流出点との間において冷却スパイダ周りを逆方向に流れる2つの分岐流路とを有するのが好ましい。
上述の冷却スパイダにおいて、冷却液流路の流入点と流出点とは、略180度の角度をなすように離間するのが好ましい。
上述の冷却スパイダは、流入側冷却液マニホールド及び流出側冷却液マニホールドをさらに備えるのが好ましい。流入側冷却液マニホールド及び流出側冷却液マニホールドは、流入点及び流出点において冷却液流路にそれぞれ流体接続される。
上述の冷却スパイダにおいて、流入側冷却液マニホールド及び流出側冷却液マニホールドは、外側リングにおける各冷却チャネル部にそれぞれ流体接続されるのが好ましい。
上述の冷却スパイダにおいて、各スポークは第1部分及び第2部分を有し、第1部分及び第2部分は、対になった場合に冷却チャネルを接続するのが好ましい。
上述の冷却スパイダにおいて、各スポークは、上縁を有するのが好ましい。上縁は、少なくとも一つのGICシェルの各縁部を支持するように構成される。
上述の冷却スパイダにおいて、外側リングの複数の冷却チャネル部と、内側リングの複数の冷却チャネルループと、複数のスポークの複数の冷却チャネルとは、少なくとも2つの隣接するスポークを冷却液流路が逆方向に向かって横断するように構成されるのが好ましい。
上述の冷却スパイダにおいて、外側リングと、内側リングと、複数のスポークとは、インコネル、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケ ル合金の内少なくとも一つから形成されるのが好ましい。
本発明の他の態様は、GICシステムである。GICシステムは、上述の冷却スパイダおよび少なくとも一つのGICシェルを備える。少なくとも一つのGICシェルは、離間した状態で冷却スパイダによって動作可能に支持される。
上述のGICシステムにおいて、少なくとも一つのGICシェルは縁を有するのが好ましい。各縁の一部は、複数のスポークによって支持される。複数のスポークに取り付けられた複数のクリップは、各シェルを定位置に保持する。
本発明の他の態様は、反射レチクルに光を照射する極端紫外線(EUV)リソグラフィシステムである。EUVリソグラフィシステムは、EUVの放射源、上述の冷却スパイダ、少なくとも一つのGICシェルおよびイルミネータを備える。少なくとも一つのGICシェルは、冷却スパイダによって支持される。そして、少なくとも一つのGICシェルは、EUVを受光し、集光したEUVを形成するように構成される。イルミネータは、集光したEUVを受光して凝縮EUVを形成し、凝縮EUVを反射レチクルに照射するように構成される。
上述のEUVリソグラフィシステムは、感光性半導体ウエハ上にパターン画像を形成するのが好ましい。EUVリソグラフィシステムは投影光学システムをさらに備えるのが好ましい。投影光学システムは、反射レチクルの下流に配置される。投影光学システムは、反射レチクルから反射されたEUVを受光して、そこから感光性半導体ウエハ上にパターン画像を形成するように構成されるのが好ましい。
本発明の他の態様は、極端紫外線(EUV)光源を有する斜入射集光器(GIC)システムの一部として、少なくとも一つのGICシェルを離間状態に維持する方法である。 方法は、上述の冷却スパイダを設けることと、少なくとも一つのGICシェルを冷却スパイダに加えて、光源からのEUVを受光すると共にEUVの焦点合わせを行なうGICシステムを形成することと、光源を作動させてEUVを生成させることと、冷却液を冷却液流路に流して冷却スパイダを冷却することとを備える。
上述の方法において、冷却液流路は流入点及び流出点を有するのが好ましい。また、冷却液流路を、流入点から流出点まで冷却スパイダ周りに逆方向に流れる2つの分岐流路に分割することを含むのが好ましい。
上述の方法において、流入点及び流出点は、外側リング上に略180度の角度をなすように配置されるのが好ましい。
本発明の他の態様は、それぞれが縁を有する少なくとも一つの斜入射集光器(GIC)シェルを有するGIC用冷却スパイダである。GIC用冷却スパイダは、外側リング、内側リングおよび複数のスポークを備える。外側リングは、複数の外側リング冷却チャネル部を有する。内側リングは、複数の内側リング冷却チャネル部を有する。複数の スポークは、外側リングと内側リングとを機械的に接合する。各スポークは、少なくとも一つの冷却チャネルを有する。冷却チャネルは、内側リングの各冷却チャネル部と 外側リングの各冷却チャネル部とに流体接続されて、冷却スパイダを通過する冷却液流路を形成する。複数のスポークは、少なくとも一つのGICシェルの各縁において、少なくとも一つのGICシェルを同心円状且つ離間状態に支持するように構成される。
上述のGIC用冷却スパイダにおいて、複数の内側リング冷却チャネル部は、U字型に形成され、内側リングの各部分を覆うのが好ましい。各スポークは、第1冷却チャネル及び第2冷却チャネルを有するのが好ましい。第1冷却チャネル及び第2冷却チャネルは、複数のU字型内側リング冷却チャネル部のうち 対応する内側リング冷却チャネル部の第1端及び第2端のそれぞれに接続され、外側リングから、及び、外側リングまで冷却チャネルループを形成する。
上述のGIC用冷却スパイダにおいて、複数の内側リング冷却チャネル部と複数の外側リング冷却チャネル部とは、少なくとも2つの隣接するスポークが逆方向の冷却液流れ方向を有するように構成されるのが好ましい。
上述のGIC用冷却スパイダは、流入側冷却液マニホールド及び流出側冷却液マニホールドをさらに備えるのが好ましい。流入側冷却液マニホールド及び流出側冷却液マニホールドは、冷却液流路に冷却液を流すように構成される。流入側冷却液マニホールド及び流出側冷却液マニホールドは、略180度の角度をなす状態で離間する流入点及び流出点において外側リングに流体接続する。
本発明の他の態様は、GICシステムである。GICシステムは、上述の冷却スパイダおよび少なくとも一つのGICシェルを備える。少なくとも一つのGICシェルは、少なくとも一つのGICシェルの縁において、冷却スパイダによって、同心円状且つ離間状態で動作可能に支持される。
本発明の他の態様は、反射レチクルに光を照射するための極端紫外線(EUV)リソグラフィシステムである。EUVリソグラフィシステムは、EUVの放射源、上述の冷却スパイダ、少なくとも一つのGICシェルおよびイルミネータを備える。少なくとも一つのGICシェルは、冷却スパイダによって動作可能に支持される。少なくとも一つのGICシェルは、EUVを受光し、集光したEUVを形成するように構成される。イルミネータは、集光したEUVを受光して凝縮EUVを形成し、凝縮EUVを反射レチクルに照射するように構成される。
上述のEUVリソグラフィシステムは、感光性 半導体ウエハ上にパターン画像を形成するのが好ましい。EUVリソグラフィシステムは、投影光学システムをさらに備えるのが好ましい。投影光学システムは、反射レチクルの下流に配置される。投影光学システムは、反射レチクルから反射されたEUVを受光し、そこから感光性半導体ウエハ上にパターン画像を形成するように構成される。
本発明の他の態様は、極端紫外線(EUV)光源を有する斜入射集光器(GIC)システムの一部として、少なくとも一つのGICを離間状態で維持する方法である。この方法は、上述の冷却スパイダを設けることと、少なくとも一つのGICシェルを冷却スパイダに加えて、光源からのEUVを受光すると共にEUVの焦点合わせを行なうことと、光源を作動させてEUVを生成させることと、冷却液を冷却液流路に流して冷却スパイダを冷却することとを備える。
【0007】
本発明の他の態様は、GICミラーの少なくとも一つのシェルを動作可能に支持するスパイダを冷却する方法である。この方法は、複数のスポークによって機械接続及び流体接続された外側リング及び内側リングを有するスパイダを設け、冷却スパイダ上に冷却液流路を形成することを含む。また、この方法は、冷却液流路に冷却液を流してスパイダを冷却することを含む。
上述の方法において、冷却液流路は、略180度の角度をなすように離間する流入点及び流出点を有するのが好ましい。冷却液流路は、流入点から流出点まで逆方向に流れる2つの分岐流路を有するのが好ましい。
【0008】
本発明のさらなる特徴及び利点は、下記の詳細な説明(発明を実施するための形態)に明記されている。また、それらの一部は詳細な説明の記載内容から当業者にとって直ちに明白となるか、下記の詳細な説明、特許請求の範囲、添付図面を含む、ここに記載された発明を実施することによって認識される。
【0009】
上記の背景技術に関する記載と下記の本発明の詳細な説明に関する記載は、本発明の実施形態を提供するものであり、特許請求の範囲に記載されているように、本発明の本質および特徴を理解するための概略または枠組みを提供するものであることを理解すべきである。添付図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本発明の様々な実施形態を図示するものであり、本明細書の記載とともに、本発明の原則及び実施を説明する一助となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明に係る冷却スパイダの一例の正面図(または上面図)である。
図1B】本発明に係る冷却スパイダの一例の側面図である。
図2】本発明に係る冷却スパイダの一例の斜視図である。
図3】内側リングの一例の斜視図である。本図は、内側リングの一部分を覆い、複数のスポークのうちの一つに設けられる複数の冷却チャネルに流体接続するU字型ループ形状の冷却チャネルを示している。
図4A】スポーク及び内側リングの一部の一例の拡大図である。本図は、スポーク及び内側リングの一部を流れる冷却液の時計回りの流れ方向を示す側面図である。
図4B】スポーク及び内側リングの一部の一例の拡大図である。本図は、スポーク及び内側リング部分を流れる冷却液の反時計回りの流れ方向を示す側面図である。
図5】「展開された」外側リングの概略図であり、冷却スパイダを流れる冷却液の主冷却液流路の一例を示す図である。
図6A図2の斜視図と同様の斜視図であるが、GICミラーの形成プロセスにおいて2つのGICシェルを支持する冷却スパイダを示す図である。
図6B図2の斜視図と同様の斜視図であるが、最終的なGICミラーを形成する9つのGICシェルの全搭載を示す図である。
図7】本発明に係る冷却スパイダを備えたEUVリソグラフィシステムの概略図である。
【0011】
図中の様々な構成要素は単に図示されたに過ぎず、必ずしも実際の縮尺通りに図示されている訳ではない。これらの構成要素のうち、ある部分は誇張して図示され、ある部分は最小化して図示されている場合もある。図面を簡略化するために、同様の構成要素の全てに必ずしも符号を付与している訳ではない。本図面は、当業者によって理解され、適切に実行され得る本発明の実施形態の一例を図示することを意図するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、一般に、GICに関し、特に、冷却スパイダ、および、冷却スパイダを利用して少なくとも一つのGICシェルを支持する方法に関する。先ず、冷却スパイダの一般構成を記載し、続いて、冷却スパイダの異なる構成要素および冷却スパイダの冷却チャネルと、冷却スパイダを通過する流路の詳細について記載する。そして、冷却スパイダを採用するEUVリソグラフィシステムについて記載する。
【0013】
(冷却スパイダ)
図1Aは、本発明に係る冷却スパイダ10の一例の正面図であり、図1Bはその側面図であり、図2はその斜視図である。以下詳細に記載するが、冷却スパイダ10は、外側リング20、内側リング50および複数のスポーク80(図示目的で6つが図示されている)を備えている。スポーク80は、外側リング20及び内側リング50を流体接続すると共に、外側リング20と内側リング50を機械接続して冷却スパイダ10を構造的に支持する。以下、詳細に記述するが、スポーク80は、それぞれ80−1、80−2・・・80−6として個別に特定されており、2つ以上のGICシェル200を離間状態で支持するように構成されている。(図6A及び6B参照)。隣接する2つのスポーク80間の角度距離は、GICミラー240に必要な構造及び光学性能に応じて、全ての隣接スポーク80間において同一でもあってもよいし、異なっていてもよい(図6B参照)。
【0014】
また、冷却スパイダ10は、流入点PINにおいて流入側パイプ112Aを介して外側リング20に流体接続される流入側冷却液マニホールド110Aと、流出点POUTにおいて流出側パイプ112Bを介して外側リング20に流体接続される流出側冷却液マニホールド110Bとを備えている。流入側冷却液マニホールド110A及び流出側冷却液マニホールド110Bは、冷却スパイダ10を流れる主冷却液流路に冷却液120を環流させるために使用される。冷却液120は、例えば、水であり、脱イオン水であってもよい。冷却スパイダ10の形成材料は、例えば、ステンレス鋼である。電気鋳造されるGICシェル200との熱適合性(thermal compatibility)を考慮した場合、他の材料として、インコネル、アルミニウム、ニッケル、ニッケル合金等が挙げられる。
【0015】
外側リング20は、本体部21を備えている。本体部21は、内側面22及び外側面24を有する。本体部21は、外側面24に多くの略矩形の窪み30を有している。この窪み30により、外側リング20が軽量化されると共に、その構造的剛性が維持される。また下記の通り、外側リング20は、多くの冷却チャネル部36を有する。一実施形態例において、外側リング20の本体部21は、2つの同心円状に接合された外側リング部材21A及び内側リング部材21Bによって構成されている。なお、外側リング部材21A及び内側リング部材21Bは、例えば、内部リップ23(図2参照)を形成する。
【0016】
冷却スパイダ10は、主に、少なくとも一つのGICシェル200の組立体を正確且つ頑強に組み付ける役割を担うだけではなく、少なくとも一つのGICシェル200の組立体の機械的剛性を保つ役割も担う。冷却スパイダ10は、より大型のシステム(例えば、EUVイルミネータ)の一部である外部支持体に対してGICミラー240の機械的インターフェイスとして機能する。このため、GICミラー240の位置合わせは、冷却スパイダ10の位置合わせに帰結することが多い。
【0017】
冷却スパイダ10は、冷却スパイダ10を採用するGICミラー240の動作中に熱流束を受ける。したがって、その温度の能動的管理に失敗した場合、温度ドリフトが発生し、結果として、有限の熱膨張係数による寸法変化が発生する。これは、GICミラー240の光学性能に負の影響を与えるので、明らかに好ましいものではない。
【0018】
(内側リングの冷却チャネル)
図3は、内側リング50の拡大斜視図である。内側リング50は、本体51を有している。本体51は、内側面52、外側面54、上縁56および下縁58を有する。内側リング50は、各スポーク80に対して、例えば、図示されたU字型冷却チャネル等、ループ状に形成された冷却チャネル62を有している。各U字型冷却チャネル62は、内側リング50の部分53を覆っている。各U字型 冷却チャネル62は、上チャネル部62A、縦チャネル部62Vおよび下チャネル部62Bを有する。上チャネル部62Aは、上縁56に平行であり、接近している。縦チャネル部62Vは、上縁56及び下縁58に対して垂直に延びている。下チャネル部62Bは、下縁58に平行であり、接近している。上チャネル部62Aは端63Aを有し、下チャネル部62Bは端63Bを有する。端63A及び端63Bは、外側面54のスロット66で終端する。下記の通り、スロット66は、縦チャネル部62Vに対して平行であり、対応するスポーク80が内側リング50と接合する部分である。図3に示す内側リング50の一例には、6つのスポーク80−1から80−6(例えば図2を参照)にそれぞれ対応する6つのU字型冷却チャネル62(3つは隠れ線で図示)が備えられている。
【0019】
(スポーク冷却チャネル及び流れ方向)
図4A及び図4Bは、スポーク80及び内側リング50の部分53の一例の拡大側面図であり、スポーク80及び内側リング50の部分53を通過する2つの異なる冷却液流れ方向を示している。スポーク80は本体81を有する。本体81は、上縁82、下縁84、スポーク内側端92およびスポーク外側端94を有する。本体81は、上側冷却チャネル96A及び下側冷却チャネル96Bを備えている。スポーク内側端92において、上側冷却チャネル96Aは内側チャネル端97Aを有し、下側冷却チャネル96Bは内側チャネル端97Bを有する。また、スポーク外側端94において、上側冷却チャネル96Aは外側チャネル端98Aを有し、下側冷却チャネル96Bは外側チャネル端98Bを有する。下記の通り、一例では、下縁84は略滑らかであり、上縁82は多くの平坦段86を有する。各平坦段86は、同心円状に配置される複数のGICシェル200の各縁部を支持するように配置されている。
【0020】
一例において、各スポーク80は、対になった場合に(例えば、電子ビーム(e−beam)溶接された場合に)上側冷却チャネル96A及び下側冷却チャネル96Bを形成する第1部分及び第2部分から形成されている。
【0021】
冷却スパイダ10を形成する際、複数のスポーク80は、内側リング50のスロット66内にスポーク内側端92が係合した状態で、内側リング50に接続される。その結果、上側冷却チャネル96Aの内側チャネル端97Aが内側リング50のU字型冷却チャネル62の端63Aに接続され、下側冷却チャネル96Bの内側チャネル端97Bが内側リング50のU字型冷却チャネル62の端63Bに接続される。
【0022】
図4Aは、上側冷却チャネル96Aにおいて始まり、外側リング20から内側リング50に向かう方向に流れる冷却液120を示している。
そして、冷却液120は、U字型冷却チャネル62を、上チャネル部62Aから縦チャネル部62Vを通って下チャネル部62Bへと流れる。その後、冷却液120は、内側リング50から下側冷却チャネル96Bを通って外側リング20に流れる。ここで、この冷却液の流れ方向を「時計回り」と称する。図4Bは、図4Aと同一のスポーク80及び内側リング50の部分53を示している。ただし、冷却液120は、図4Aの流れ方向の反対方向、すなわち「反時計回り」に流れる。さらに、図4A及び図4Bの冷却液の流れ方向は、「逆方向」または単純に「逆」であると称する。
【0023】
(冷却液流路)
図5は、「展開された」外側リング20の概略図であり、冷却スパイダ10を流れる冷却液120の主流を図示している。スポーク80−1から80−6の上側冷却チャネル96Aの外側チャネル端98Aおよび下側冷却チャネル96Bの外側チャネル端98Bを図示している。スポーク80−4は、回り込み効果(wrap-around effect)を強調するために、展開図中に2度図示されている。図示を簡略化するために、流出側冷却液マニホールド110Bは、2つのスポーク80−4において2つに分割された状態で図示されている。
【0024】
冷却液120は、冷却スパイダ10上の主冷却液流路を流れる。一例において、主冷却液流路は、複数の分岐流路を有する。主冷却液流路は、流入側冷却液マニホールド110Aから始まり、流入側パイプ112Aを通って、流入点PINで外側リング20に入る。このとき、主冷却液流路は、逆方向に分岐し、分岐流路FP1及び分岐流路FP2をそれぞれ形成する。分岐流路FP1及び分岐流路FP2は、異なる複数のスポーク80及び内側リング50の複数の部分53を横断した後に合流し、流出側パイプ112Bの流出地P OUTにおいて外側リング20から出る。一実施形態例において、流入点PIN及び流出点POUTは180度の角度をなすようにして離間しているのが好ましい(図1も参照)。分岐流路FP1及び分岐流路FP2からの冷却液120は、流出点POUTで主冷却液流路に再び合流し、外側リング20の出口に向かい、さらに、出力パイプ112Bを通って流出側冷却液マニホールド110Bに向かう。
【0025】
分岐流路FP1は、一部、流入側パイプ112Aからスポーク80−4の上側冷却チャネル96Aの外側チャネル端98Aに至るまでジグザグのパターンで続く外側リング20の冷却チャネル部36となっている。また、分岐流路FP1は、複数の他の冷却チャネル部36、即ち、a)流入側パイプ112Aをスポーク80−2の下側冷却チャネル96Bの外側チャネル端98Bに接続する 冷却チャネル部36と、b)スポーク80−2の上側冷却チャネル96Aの外側チャネル端98Aをスポーク80−3の上側冷却チャネル96Aの外側チャネル端98Aに接続する 冷却チャネル部36と、c)スポーク80−3の下側冷却チャネル96Bの外側チャネル端98Bを、スポーク80−4に配置される流出側パイプ112Bに接続する 冷却チャネル部36とからなっている。このように、複数の冷却チャネル部36によって、分岐流路FP1が2つの副流路FP1A及びFP1Bに分割される。
【0026】
同様に、分岐流路FP2は、一部、スポーク80−1の上側冷却チャネル96Aの外側チャネル端98Aからスポーク80−4の上側冷却チャネル96Aの外側チャネル端98Aに至るまでジグザグのパターンで同様に続く外側リング20の対応する冷却チャネル部36となっている。また、分岐流路FP2は、外側リング20のさらなる複数の冷却チャネル部36、即ち、a)流入側パイプ112Aをスポーク80−6の下側冷却チャネル96Bの外側チャネル端98Bに接続する冷却チャネル部36と、b)スポーク80−6の上側冷却チャネル96Aの外側チャネル端98Aをスポーク80−5の上側冷却チャネル96Aの外側チャネル端98Aに接続する冷却チャネル部36と、c)スポーク80−5の下側冷却チャネル96Bの外側チャネル端部98Bを、スポーク80−4に配置される流出側パイプ112Bに接続する冷却チャネル部36からなっている。このように、さらなる冷却チャネル部36によって、同様に、分岐流路FP2が2つの副流路FP2A及びFP2Bに分割される。
【0027】
ここで、図5さらには図4A及び図4Bを参照し、分岐流路FP1及び分岐流路FP2により詳細に着目してみると、副流路FP1Aは、スポーク80−4の上側冷却チャネル96Aの外側チャネル端98Aに至るまでに多くの冷却チャネル部36に続いている。ここで図4Aを参照すると、副流路FP1Aは、スポーク80−4及び対応する内側リング50の部分53を時計回りに続き、流出側パイプ112Bに向かって下側冷却チャネル96Bの外側チャネル端98Bから流出し、流出側冷却液マニホールド110Bに流入する。
【0028】
副流路FP1Bは、流入側パイプ112Aからスポーク80−2の下側冷却チャネル96Bの外側チャネル端98Bまで外側リング20の冷却チャネル部36を続いている。図4Bを参照すると、副流路FP1Bは、スポーク80−2及び内側リング50の部分53を反時計回りに流れ、次の冷却チャネル部36、即ち、隣接するスポーク80−3の上側冷却チャネル96Aの外側チャネル端98Aに接続する次の冷却チャネル部36に続いている。図4Bを参照すると、副流路FP1Bは、スポーク80−3及び内側リング50の対応する部分53を時計回りに続き、外側リング20の次の冷却チャネル部36、即ち、流出側パイプ112B、さらに、流出側冷却液マニホールド110Bに繋がる冷却チャネル部36に流れる。
【0029】
副流路FP2Aは、スポーク80−6の下側冷却チャネル96Bの外側チャネル端98Bに入り、スポーク80−6及び内側リング50の対応する部分53を反時計回り(図4B)に進み、外側リング20に戻り、そこで冷却チャネル部36、即ち、スポーク80−4の上側冷却チャネル96Aの外側チャネル端98Aに接続する冷却チャネル部36に流れる。そして、副流路FP2Aは、スポーク80−4及び内側リング50の部分53を時計回りに続き、外側リング20に戻り、流出側パイプ112B、さらには、流出側冷却液マニホールド110Bに続いている。
【0030】
副流路FP2Bは、基本的にサブ流路FP1Bと対称であり、各冷却チャネル部36を介してスポーク80−6及びスポーク80−5に接続されている。このため、この副流路は、流出側パイプ112Bを介して流出側冷却液マニホールド110Bに接続する前に、スポーク80−6及びスポーク80−5と、内側リング50の各部分53を逆の順番に、即ち、スポーク80−6において時計回り(図4A)に、そして、スポーク80−5において反時計回り(図4B)に横断する。
【0031】
(GICシェルを備えた冷却スパイダ)
図6Aは、図6Bに示される9つのシェルを備えるGICミラー240の形成プロセスにおける、2つのGICシェル200を支持する冷却スパイダ10の斜視図である。各GICシェル200は、縁202及び外側面204を有する。GICシェル200の一例は米国特許出願第12/592,735号に記載されており、当該特許出願は本出願に援用される。GICシェル200の一例は、外側面204に配置される複数の冷却ライン205を備えている。
【0032】
EUV光源LSについても、参考のために、GICミラー240に関連して図示している。冷却スパイダ10は、EUV光源LSからGICミラー240の中間焦点に中継ぎされるEUVを実質的に妨げることなく、少なくとも一つのGICシェル200を同心円状且つ離間状態で動作可能に支持するように構成されている。
【0033】
一例において、GICシェル200の縁202は、複数のスポーク80の平坦段部86で支持されている。また、一例において、複数のクリップ89も複数のスポーク80の上縁82に取り付け(クリップ)されており、複数のGICシェル200を複数のスポーク80に固定している。クリップ89は、例えば、クリップ搭載基部91を有しており、そのクリップ搭載基部91から分岐部92が延びている。分岐部92は、2つのパッド93を有する。GICミラー240の形成時において、最内部GICシェル200は、縁202を、複数のスポーク80の対応する平坦段部86上に配置した状態で、冷却スパイダ10上に配置されている。複数の平坦段部86は、GICシェル200の縁202の各部分でGICシェル200を支持する。そして、複数のクリップ89は、GICシェル200の外側面204に隣接するように複数のスポーク80上に配置される。ここで、クリップ搭載基部91は、対応する平坦段部86に取り付けられる。このため、パッド93がGICシェル200の外側面204に接触した状態で配置される。そして、GICシェル200に対して光学的位置合わせが実施された後に、レーザをパッド93及びクリップ搭載基部91に照射して、GICシェル200を定位置で冷却スパイダ10に固定(レーザ溶接)する。このプロセスは、残りのGICシェル200に対して繰り返し実行される。その結果、図6Bに図示される完全なGICミラー240が形成される。なお、一実施形態例において、最外部GICシェル200については、クリップ搭載基部91が外側リング20上の内部リップ23にクリップされ、この位置でレーザ溶接される。
【0034】
(冷却スパイダを備えたEUVリソグラフィシステム)
図7は、本発明に係る冷却スパイダ10を備えたEUVリソグラフィシステム(リソグラフィシステム)300の一例である。EUVリソグラフィシステムの一例は、例えば、米国特許出願公報第US2004/0265712A1号、US2005/0016679A1号、US2005/0155624A1号に開示されており、これらの出願公報は本出願に援用される。
【0035】
リソグラフィシステム300は、 システム軸ASおよびEUV光源LSを有する。EUV光源LSは、例えば、ホットプラズマ源であり、λ=13.5nmの作用EUV302を放射する。EUV302は、例えば、電気放電源(例えば、放電生成プラズマ源またはDPP源)またはレーザ光線(レーザ生成プラズマ源またはLPP源)によって、リチウム、キセノン又はスズのターゲット上に生成される。このようなLPP源から放射されたEUV302は略等方性であってもよいが、現在のDPP源では、放電電極によってシステム軸ASから約θ=60°以上の光源照射角に限定されている。なお、LPP源の等方性は、ターゲットペレットの質量に依存する。比較的質量の大きなターゲットの場合、放射は異方性であり、ターゲット質量による順方向における吸収のために、照射される放射線の殆どがレーザ光線に向かって戻る。質量が小さなLPPターゲットの場合、LPPターゲットはレーザによって略全体的にイオン化されるので、放射は等方性にかなり近い。
【0036】
リソグラフィシステム300は、 冷却スパイダ10を有するEUV・GICミラー240を備えている。EUV・GICミラー240は、コレクタ軸ACがシステム軸ASに沿うようにして、EUV光源LSの近傍且つ下流に配置されている。EUV・GICミラー240は、光源焦点に位置するEUV光源LSからの作用EUV302(即ち、光線LR)を集光する。集光された放射線は、中間焦点IFで中間光源像ISを形成する。照明システム316は、入射端317及び出射端318を有する。照明システム316は、システム軸ASに沿って配置されている。また、照明システム316は、入射端317がEUV・GICミラー240に近接するようにして、EUV・GICミラー240の近傍且つ下流に配置されている。照明システム316は、入射端317において中間光源像ISからのEUV302を受光し、出射端318において略均一なEUV光線320(即ち、凝縮EUV放射光線)を射出する。リソグラフィシステム300がスキャン型システムである場合、EUV光線320は、典型的には、反射レチクル336を走査する略均一な線状のEUV302として、反射レチクル336上に形成される。
【0037】
投影光学システム326は、(折れ曲がった)システム軸ASに沿って、照明システム316の下流に配置されている。投影光学システム326は、照明システム316の出射端318に対向する入射端327と、反対側の出射端328を有する。 反射レチクル336は、投影光学システム326の入射端327に隣接して配置されている。半導体ウエハ340は、投影光学システム326の出射端328に隣接して配置されている。反射レチクル336は、半導体ウエハ340に転写されるパターン(図示せず)を有する。半導体ウエハ340は、感光性コーティング(例えば、フォトレジスト層)342を有する。動作時において、均一化されたEUV光線320は、反射レチクル336を照射し、反射レチクル336によって反射される。そして、投影光学システム326によって、半導体ウエハ340の感光性コーティング342の表面上に、反射レチクル336上のパターンが結像される。リソグラフィシステム300では、レチクル像が感光性コーティング342の表面上を走査する。その結果、露光フィールド上にパターンが形成される。典型的には、反射レチクル336と半導体ウエハ340とを同期させて移動させることにより、走査が実行される。
【0038】
レチクルパターンが一旦半導体ウエハ340上に結像され、記録されると、パターン化された半導体ウエハ340は、標準的なフォトリソグラフィ及び半導体プロセス技術を利用して処理される。その 結果、複数の集積回路(IC)チップが形成される。
【0039】
なお、図7において、一般的にリソグラフィシステム300の構成要素は、共通の折れ曲がった システム軸ASに沿って配置された状態で図示されている。例えば、照明システム316や投影光学システム326のような種々な構成要素の入口軸及び出口軸がオフセットされる場合もあるということは、当業者に理解されるものである。
【0040】
当業者には明白であるが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明に対して様々な修正及び変更を加えることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等範囲内において本発明の修正及び変更を包含する。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7