(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774334
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】気液分離器
(51)【国際特許分類】
B01D 45/12 20060101AFI20150820BHJP
B01D 45/08 20060101ALI20150820BHJP
B04C 5/103 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
B01D45/12
B01D45/08 Z
B04C5/103
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-57221(P2011-57221)
(22)【出願日】2011年3月15日
(65)【公開番号】特開2012-192322(P2012-192322A)
(43)【公開日】2012年10月11日
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】藤田 智行
【審査官】
長谷川 真一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−126632(JP,A)
【文献】
特表平02−502752(JP,A)
【文献】
特開2002−340289(JP,A)
【文献】
特開2001−120932(JP,A)
【文献】
特表2004−501743(JP,A)
【文献】
特表平06−505436(JP,A)
【文献】
特開2002−318037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/00−45/18
B01D 46/00−46/54
B04C 1/00−11/00
F04B 39/16
F22B 37/30、37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、前記環状空間の上方を入口に連結し、前記排気管の内側の孔を通してその上方を出口に連結し、前記環状空間の下方に旋回室と該旋回室の下方に液溜室を形成して該液溜室の下端を排液口に連結し、前記旋回室と前記液溜室の間に隔壁部材を配置し、前記隔壁部材の外周縁と前記ケーシングの内周壁との間に液体通過用の隙間を形成したものであって、一端側を前記排気管に連結したコイルスプリングの他端側に前記隔壁部材を連結したものにおいて、前記コイルスプリングが下方の前記隔壁部材の外周縁と前記ケーシングの内周壁との間の前記液体通過用の隙間方向に向ってコイル半径が大きくなった円錐コイルスプリングであることを特徴とする気液分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気や圧縮空気や各種ガス等の気体中に混入している復水や凝縮水等の液体をケーシング内に旋回流を起こして遠心力によって分離する気液分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の気液分離器は、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、環状空間の上方を入口に連結し、排気管の内側の孔を通してその上方を出口に連結し、環状空間の下方に旋回室と該旋回室の下方に液溜室を形成して該液溜室の下端を排液口に連結し、旋回室と液溜室の間に隔壁部材を配置し、隔壁部材の外周縁とケーシングの内周壁との間に液体通過用の隙間を形成したものにおいて、一端側を排気管に連結したコイルスプリングの他端側に隔壁部材を連結したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−95893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の気液分離器は、旋回室の中央よりを旋回している微小な液体を排気管と隔壁部材の間に配置されたコイルスプリングに衝突させて気体から分離し、コイルスプリングに沿って流下させることにより、気体に再び巻き込まれて出口に運び出されてしまうことを防ぐものである。しかしながら、隔壁部材の上面に達した微小な液体が液体通過用の隙間を通って液溜室に流入し難いために、気体に再び巻き込まれて出口に運び出されてしまい易く、改良の余地を残すものであった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、微小な液体が気体に再び巻き込まれて出口に運び出されないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の気液分離器は、ケーシングと排気管で形成する環状空間に旋回羽根を配置し、環状空間の上方を入口に連結し、排気管の内側の孔を通してその上方を出口に連結し、環状空間の下方に旋回室と該旋回室の下方に液溜室を形成して該液溜室の下端を排液口に連結し、旋回室と液溜室の間に隔壁部材を配置し、隔壁部材の外周縁とケーシングの内周壁との間に液体通過用の隙間を形成したものであって、一端側を排気管に連結したコイルスプリングの他端側に隔壁部材を連結したものにおいて、コイルスプリングが下方の隔壁部材に向ってコイル半径が大きくなった円錐コイルスプリングであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一端側を排気管に連結し他端側を隔壁部材に連結したコイルスプリングが下方の隔壁部材に向ってコイル半径が大きくなった円錐コイルスプリングであるので、円錐コイルスプリングの下端を液体通過用の隙間に近接して設けることができ、隔壁部材の上面に達した微小な液体が液体通過用の隙間を通って液溜室に流入し易くなり、微小な液体が気体に再び巻き込まれて出口に運び出されないという優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係わる気液分離器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、
図1と
図2を参照して説明する。ケーシングは本体1に出入口部材2と底蓋3を夫々溶接して形成する。出入口部材2は左右に入口4と出口5を有し、入口4に入口フランジ6を溶接し、出口5に出口フランジ7を溶接する。底蓋3は下端中央に排液口8を有し、排液口8に排液管9を溶接する。本体1は円筒形状で上部内面の直径を大きく形成する。本体1の上部内面と下部内面との間の環状の段部に、二重のほぼ円筒形状の排気管10を載せ、排気管10を出入口部材2との間で固定する。排気管10の外側円筒は真直ぐな形状で内側円筒よりも低く形成する。外側円筒は省略して本体1で兼用することもできる。排気管10の内側円筒は上部が緩やかに拡がった形状である。排気管10の内外円筒の間に形成される環状空間11に、排気管10と一体に旋回羽根12を形成する。
【0010】
入口4は連通孔13を通して下方の環状空間11に連結し、排気管10の内側円筒の内側は上方の出口5に連結する。本体1の下部内面と底蓋3の内面との間に旋回室14と、旋回室14の下方に液溜室15を形成し、液溜室15の下端を排液口8に連結する。排気管10の内側円筒の下端に下方の隔壁部材17に向ってコイル半径が大きくなった円錐コイルスプリング16の上端を溶接し、円錐コイルスプリング16の下端に旋回室14と液溜室15とを隔てる隔壁部材17を溶接する。隔壁部材17は円板形状で外周に4個の突起18を有する。突起18の間の隔壁部材17外周縁と本体1内周壁との間に液体通過用隙間19を形成する。隔壁部材17は、流速が速い場合には円錐コイルスプリング16の弾性力に打勝って下方に変位し、流速が遅い場合には円錐コイルスプリング16の弾性力によって上方に変位する。円錐コイルスプリング16の下端は液体通過用隙間19に近接して設ける。
【0011】
入口4から入った液体を含む気体は旋回羽根12で旋回せしめられる。液体は遠心力の作用で外側に振り出されて分離され、本体1の内周壁に沿って流下し、突起18の間の液体通過用隙間19を通って液溜室15に流入する。液溜室15に流入した液体は排液口8から系外に排出される。排気管10の下端を通過した気体は排気管10の内側円筒の内側を通って出口5から流出する。
【0012】
旋回室14の中央よりを旋回している微小な液体は排気管10と隔壁部材17の間に配置された円錐コイルスプリング16に衝突して分離され、円錐コイルスプリング16に沿って流下し、速やか液体通過用隙間19を通って液溜室15に流入するので、気体に再び巻き込まれて出口5に運び出されてしまうことを防ぐことができる。また、流速が速い場合には、コイルスプリング16の弾性力に打勝って隔壁部材17が下方に変位しているので、隔壁部材17の上面に衝突して跳ね返る気体の流速を低下させることができ、隔壁部材17の上面近くに流下した微小な液体が気体に再び巻き込まれて出口5に運び出されてしまうことを防ぐことができる。流速が遅い場合には、コイルスプリング16の弾性力によって隔壁部材17が上方に変位しているので、液溜室15を広くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、蒸気や圧縮空気や各種ガス等の気体中に混入している復水や凝縮水等の液体をケーシング内に旋回流を起こして遠心力によって分離する気液分離器に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 出入口部材
3 底蓋
4 入口
5 出口
8 排液口
10 排気管
11 環状空間
12 旋回羽根
14 旋回室
15 液溜室
16 円錐コイルスプリング
17 隔壁部材
18 突起
19 液体通過用隙間