(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
サーマルヘッドは、感熱記録紙などの被印刷体が搬送される方向に直交する方向(主走査方向)に配列された複数の発熱抵抗体の発熱部を発熱させ、その熱により被印刷体に文字や図形などの画像を形成する出力用デバイスである。このサーマルヘッドは、バーコードプリンタ、デジタル製版機、ビデオプリンタ、イメージャ、シールプリンタなどの記録機器に広く利用されている。
【0003】
一般的なサーマルヘッドは、放熱板と、放熱板に取り付けられた発熱体板と、発熱体板と同じ側で放熱板に取り付けられた回路基板とを備えている。この発熱体板の放熱板と相対する表面の反対側の表面の帯状に延びる発熱領域には、発熱抵抗体が所定の間隔で直線状に配列されている。また、発熱抵抗体を駆動する駆動回路の一部となるドライバIC(Integrated Circuit)は、たとえば発熱体板に搭載されている。
【0004】
従来のサーマルヘッドの発熱体板について、その一部を抜き出した
図6を参照して説明する。
【0005】
支持基板122は、絶縁板122aと、この絶縁板122aの上面に層状に形成された保温層122bとを有している。支持基板122上面に、複数の発熱抵抗体を構成する発熱抵抗体層23が設けられ、複数の電極28が発熱抵抗体層23上面に設けられている。電極28は、個別電極28aおよび共通電極28bから構成される。個別電極28aと共通電極28bとの間に所定長さの間隙が形成され、共通電極28bを流れてきた電流が間隙部分で発熱抵抗体層23を通り個別電極28aへ流れることにより、その間隙部分の発熱抵抗体層23が発熱部23bとして機能する。発熱部23b上面には、発熱部23bを保護する絶縁体材料から成る保護層29が形成されている(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
このような構成において、被印刷体に印画する場合、サーマルプリンタは発熱領域24に沿って被印刷体を主走査方向に直交する副走査方向に移動させる。これと同時に、サーマルヘッドは発熱部23bに電流を流して発熱させ、その熱により被印刷体への印画を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようにサーマルヘッドは、発熱部23bを発熱させ、被印刷体に印画を行う構造となっている。したがって、発熱部23bの発熱状態、たとえば発熱部23bの熱履歴などが被印刷体への印画に影響する。
【0009】
たとえば、支持基板122に設ける保温層122bは発熱部23bに対する蓄熱機能を有している。保温層122bの蓄熱機能が高いと、次の行を印画する際に発熱部23bを加熱するパワーが少なくて済むため、エネルギー効率が良く、消費電力を抑えることができる。
【0010】
しかしながら、その蓄熱機能が高くなると、発熱時のピーク温度からの温度降下が不十分になる。このため、印画する際に滲みや尾引きが発生して、印画の切れが悪くなり、印画画質を劣化させる場合がある。
【0011】
そのため、保温層122bにはある程度の放熱機能も要求される。たとえば保温層122bを薄く形成して蓄熱機能を低下させると放熱機能が高くなるため、熱応答は良好となる。しかしながらこの場合、次の行を印画する際に高いパワーの投入が必要となり、消費電力は増加する。
【0012】
このように保温層122bには、蓄熱機能と放熱機能という相反する機能が求められており、このような機能をバランス良く保つことにより、サーマルヘッドにおける印画品質を高めつつ、消費電力を抑えることが望ましい。
【0013】
そこで、本発明は、サーマルヘッドにおける印画品質を高めつつ、消費電力を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するため、本発明は、絶縁板と、前記絶縁板の表面に設けられた保温層と、前記保温層の表面に形成されて電流が流れることにより発熱する発熱部と、を備えたサーマルヘッドにおいて、前記発熱部と前記絶縁板との間に空洞が形成され、前記空洞の内部に常温状態では前記発熱部と前記絶縁板との間に隙間を形
成し、高温状態においては熱で膨張することにより前記絶縁板と前記保温層との両方に接触するように配置された熱伝導体を具備することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、サーマルヘッドの製造方法において、被印刷体が搬送される方向と直交する主走査方向に帯状に延びる熱伝導体を絶縁板の表面に付着させる第1工程と、前記第1工程の後に、前記熱伝導体の融点よりも軟化点が高い物質からなる保温層を、前記絶縁板および前記熱伝導体の表面に付着させる第2工程と、前記第2工程の後に、前記保温層の軟化点を上回るよう前記絶縁板および前記熱伝導体を加熱する第3工程と、前記第3工程の後に、前記絶縁板の融点を下回るよう前記絶縁板および前記熱伝導体を冷却する第4工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サーマルヘッドにおける印画品質を高めつつ、消費電力を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るサーマルヘッドの実施の形態を、図面を参照して説明する。この実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。
【0019】
図1、
図2および
図3に示すように、本実施の形態のサーマルヘッド10は、たとえば発熱体板20、回路基板40および放熱板30を有している。発熱体板20には、帯状に延びる発熱領域24が形成されている。この発熱体板20は、放熱板30に載置されている。放熱板30は、たとえばアルミニウムなどの金属で形成された板である。発熱領域24に所定の発熱パターンを形成するための制御信号や駆動電力は、回路基板40に入力され、さらに回路基板40と電気的に接続された発熱体板20に入力される。
【0020】
このサーマルヘッド10を用いたサーマルプリンタは、所定の弾性を持つ材料で円筒状に形成されたプラテンローラ50を有している。このプラテンローラ50は、主走査方向dmに平行な直線上に軸52を持つ。また、プラテンローラ50の側面が発熱領域24に接するように配置され、軸52を中心に回転可能に設けられる。
【0021】
プラテンローラ50の回転によって、プラテンローラ50と発熱領域24との間に挿入された感熱記録媒体60は副走査方向dsに移動する。感熱記録媒体60は、発色温度以上に加熱されると発色する、たとえば感熱記録紙である。
【0022】
サーマルプリンタは、駆動モータにより構成された図示しないヘッド押圧部によりサーマルヘッド10をプラテンローラ50に押し付ける方向へ押圧することにより、発熱領域24を感熱記録媒体60に押し付けてニップ圧を加える。
【0023】
それとともにサーマルプリンタは、その感熱記録媒体60を副走査方向dsに移動させ、発熱領域24の発熱パターンを感熱記録媒体60の移動とともに変化させることにより、所望の画像を感熱記録媒体60上に形成する。
【0024】
発熱体板20は、支持基板22と、発熱抵抗体層23と、電極28と、保護層29とを有している。
【0025】
支持基板22は、たとえばアルミナ(Al
2O
3)などのセラミックの絶縁板22aと、この絶縁板22aの上面に25μmの厚みで層状に形成されたグレーズ層と称される保温層22bとを有している。保温層22bは、たとえば酸化珪素(SiO
2)で形成される。また保温層22bには、2mm幅で主走査方向dmに延びる突条21が形成されている。
【0026】
発熱抵抗体層23は、保温層22bの上面の一部に層状に、たとえばTaSiO
2などのサーメットで形成される。発熱抵抗体層23は、発熱抵抗体23aが主走査方向dmに間隔をおいて複数配列される。また発熱抵抗体23aは、それぞれ突条21を跨いで副走査方向dsに延設している。
【0027】
電極28aおよび電極28bは、発熱抵抗体層23の上面に層状に、たとえばアルミニウム(Al)で形成される。電極28aと電極28bとは、所定長さの間隙を副走査方向dsから挟むよう対向して配置される。
【0028】
電極28aは、回路基板40上のドライバIC42とボンディングワイヤ44を介して接続される。電極28bは、ボンディングワイヤ44を介して所定の電圧が与えられる。ドライバIC42およびボンディングワイヤ44は、樹脂48で封止されている。
【0029】
電極28bを流れてきた電流は、電極28aと電極28bとの間に位置する間隙部分では発熱抵抗体23aを通ることとなるため、間隙部分の発熱抵抗体23aが発熱部23bとして機能する。この発熱部23bは、主走査方向dmに間隔をおいて配列されて、副走査方向dsに延びる発熱領域24を形成する。
【0030】
電極28と発熱抵抗体層23とは、保護層29で覆われている。保護層29は、たとえば酸窒化珪素(SiON)で形成される。
【0031】
保温層22bは、発熱領域24の直下の突条21部分において、絶縁板22aと当接する部分が主走査方向dmに延びるよう除かれた、所定の容積を有する空洞Aが形成されている。空洞Aは、保温層22bの内壁と絶縁板22aの上面とに囲まれている。
【0032】
この空洞Aの内部には、保温層22bよりも熱膨張係数および熱伝導係数が高く、保温層22bを形成するガラスの軟化点よりも融点が低いアルミニウムから成る熱伝導体25が、1mmの幅で主走査方向dmに延びるよう15μmの厚みに形成されている。
【0033】
熱伝導体25は絶縁板22aの上面に当接するとともに、発熱部23bが発熱するよう制御されておらず高温でない常温状態においては、その体積が空洞Aの容積よりも小さく形成されることにより、その上面が保温層22bの内壁に対し非接触となっている。このように熱伝導体25は、常温状態においては発熱部23bと絶縁板22aとの間に隙間を形成する。
【0034】
また、熱伝導体25と保温層22bの内壁との間には、保温層22bよりも熱伝導係数が低い、たとえば空気から成る気体が充満している。
【0035】
ここで、常温状態においては、熱伝導体25が保温層22bの内壁と直接接触していない。このため、主走査方向dmに配列された複数の発熱部23bのうち、常温状態における発熱部23bの熱は、直下の保温層22bから熱伝導体25へ伝導しにくい。
【0036】
すなわち保温層22bから空洞Aにおける空気への熱インピーダンスが高く、保温層22bを厚くした場合と同様に保温層22bにおいて多くの熱が蓄熱される。このため常温状態においては、保温層22bにおける蓄熱機能が高まり、エネルギー効率(濃度効率)が高くなる。
【0037】
一方、発熱部23bが発熱するよう制御され高温状態になると、その発熱部23bの直下に位置する熱伝導体25は、保温層22bや絶縁板22aなどを介して熱が伝導され高温になる。このため熱伝導体25が膨張していき、
図4に示すように発熱している発熱部23bの直下に位置する空洞Aが熱伝導体25で満たされる。すなわち、熱伝導体25が保温層22bと絶縁板22aとに接触する。このとき、保温層22bの内壁と熱伝導体25との隙間に充満していた空気は絶縁板22a内部に形成された孔などに移動する。なお高温状態とは、発熱部23bがたとえば最高濃度の70%の濃度を印画する温度以上の状態のことをいう。
【0038】
この場合、発熱部23bにおいて発生した熱は、保温層22bから熱伝導体25へ直接伝導し、その後絶縁板22aへ伝導する。
【0039】
ここで、アルミニウムにより構成された熱伝導体25は、酸化珪素により構成された保温層22bよりも熱伝導係数が高いため、保温層22bから熱伝導体25へ熱が伝導しやすい。すなわち保温層22bから熱伝導体25への熱インピーダンスが低く、熱が保温層22b、熱伝導体25および絶縁板22aを伝導して放熱板30により速やかに放熱される。このため、発熱体板20は、保温層22bを薄くした場合と同様に高い熱応答性を示し、放熱機能が高くなる。
【0040】
また、その後発熱部23bの温度が低下していくと、その発熱部23bの直下に位置する熱伝導体25が収縮していき常温状態の断面積へ戻るため、空洞A内部においては熱伝導体25と保温層22bとの間に隙間が存在する状態になる。
【0041】
このとき、上述したように保温層22bを厚くした場合と同様に保温層22bにおいて多くの熱が蓄熱され蓄熱機能が高くなる。
【0042】
ここで、本実施の形態におけるサーマルヘッドの製造方法について
図5を参照して説明する。
【0043】
本実施の形態におけるサーマルヘッドの製造方法では、まず、アルミナ(Al
2O
3)などの絶縁板22aを形成する(S1)。
【0044】
次に、S1で形成された絶縁板22a上面に、アルミニウム(Al)から成る熱伝導体25を、発熱領域24の直下となる位置において副走査方向dsの幅が1mmとなるよう、主走査方向dmに伸びる帯状に15μmの膜厚で印刷する(S2)。
【0045】
次に、絶縁板22aおよび熱伝導体25の上面に、酸化珪素(SiO
2)から成るガラスペーストを25μmの膜厚で印刷する(S3)。
【0046】
次に、ガラスペーストが印刷された絶縁板22aを焼成し、ガラスの軟化点よりも高温の状態にする。(S4)。このとき、ガラスの軟化点よりも融点が低いアルミニウムにより構成された熱伝導体25が溶解し、加熱され流動性が高まったガラスペースト内部においてその体積が熱膨張により増加する。
【0047】
ここで、ガラスの軟化点は、アルミニウムの融点よりも高い。このため焼成後の冷却時において、温度が低下していく際、まずガラスペーストが固体化することにより、所定の容積を有する空洞Aが形成される。
【0048】
その後温度がさらに低下すると、アルミニウムから成る熱伝導体25が収縮していき、アルミニウムの融点を下回ると固体化し、体積が大幅に減少する。この時固体化した熱伝導体25の体積は、ガラスペーストにおける空洞Aの容積よりも小さくなっている。
【0049】
また、熱伝導体25と保温層22bとの間の空間には、ガラスペーストが固体化した後に熱導電体26が収縮していく際に、絶縁板22aを介して流入した空気が充満する。
【0050】
これにより、印刷されたガラスペーストが溶融して保温層22bとして絶縁板22aに固着し支持基板22が形成されるとともに、保温層22bの内部に空隙Aが形成される。また空洞A内部には、絶縁板22aと当接するとともに保温層22bの内壁とは非接触となることにより、発熱部23bと絶縁板22aとの間に隙間を設ける熱伝導体25が形成される。
【0051】
その後、保温層22bの表面に発熱抵抗体層23および電極28を形成する(S5)。より具体的には、まず、保温層22bの表面に、サーメットなどの抵抗材料をスパッタリングなどで固着させる。その後、主走査方向dmに間隔を置いて配列した発熱抵抗体23aを形成するように、エッチングにより発熱抵抗体層23をパターニングする。
【0052】
さらに、発熱抵抗体23aが形成された板に、アルミニウムなどの導電性材料をスパッタリングなどで固着させる。その後、発熱部23bに対応する間隙を挟んで発熱抵抗体23aに沿って延びるように、エッチングにより電極28をパターニングする。
【0053】
工程S5の後に、保温層22bと発熱抵抗体層23と電極28とを覆う保護層29を形成する(S6)。
【0054】
このようにして形成された発熱体板20を、回路基板40とともに放熱板30に載置する(S7)。また、発熱体板20と回路基板40とをボンディングワイヤ44で結線し(S8)、さらにボンディングワイヤ44による結線部を樹脂48で封止する(S9)ことなどにより、サーマルヘッド10が製造される。
【0055】
このように本実施の形態の発熱体板20は、発熱部23bが発熱して高温状態になっていく場合、保温層22bよりも熱膨張係数が高い材質から成る熱伝導体25が、熱伝導体25と保温層22bの内壁との間の隙間を埋めるように膨張する。これにより、保温層22bよりも熱伝導係数の高い熱伝導体25が保温層22bと絶縁板22aとの両方に接触する。
【0056】
このため発熱体板20は、発熱部23bからの熱を保温層22b、熱伝導体25および絶縁板22aを介して放熱板30に伝導させ、速やかに放熱させることができる。
【0057】
これにより発熱体板20は、保温層22bを薄くしたときのように、熱応答が向上し良好な放熱機能が得られ、印画品質を向上させることができる。
【0058】
また発熱体板20は、発熱部23bが高温の際は熱伝導性が高くなり速やかに熱が放熱されるが、この状態では、既にサーマルヘッド10全体が温まっているため、濃度効率は悪化しない。
【0059】
また、発熱部23bの温度が低下して常温状態に近づいてくると、熱伝導体25が保温層22bの内壁から離れるように収縮し、保温層22bと非接触となる。このため発熱体板20は、発熱部23bの熱を絶縁板22aに伝導しにくくすることができる。これにより発熱体板20は、保温層22bを厚くしたときのように蓄熱機能が向上し、消費電力を抑えることができる。
【0060】
このように本実施の形態の発熱体板20は、酸化珪素で形成された保温層22bと、アルミニウムで形成された熱伝導体25との熱膨張係数および熱伝導係数の違いを利用することにより、発熱部23bが高温となった場合は放熱機能を高めるとともに、発熱部23bが常温となった場合は蓄熱機能を高めることができる。これによりサーマルヘッド10は、印画品質を高めつつ、消費電力を抑えることができる。
【0061】
ところで、保温層22bを薄くすれば熱応答性は向上するが、その場合、厚い保温層22bの場合と比べて突条21の高さが低くなるため、発熱領域24の高さも低くなる。
【0062】
このため、感熱記録媒体60とプラテンローラ50とが発熱領域24以外に接触し、ヘッド押圧部によりサーマルヘッド10に印加されているヘッド圧が発熱領域24以外にも分散されてしまい、ヘッド圧が十分なニップ圧へ変換されない可能性がある。
【0063】
そのような状態に対処するために、ヘッド圧を高めることによりニップ圧を高める必要があるが、その場合、ヘッド押圧部における駆動モータのトルクを高くしなければならなく、消費電力が増加してしまう。
【0064】
それ以外にも、サーマルプリンタ自体の電源を強化して感熱記録媒体60の搬送を安定化させる必要があり、サーマルプリンタのコストが増加してしまう。
【0065】
これに対し本実施の形態の発熱体板20は、保温層22bを薄くすることなく、熱応答性を向上させることができるので、消費電力およびサーマルプリンタのコストの増加を抑えることができる。
【0066】
ここで、サーマルプリンタにおいては、印画速度や被印刷体の種類に応じて、発熱部23bの使用温度域が異なるため、それぞれ最適な空洞Aの断面積と熱伝導体25の断面積との比率が存在する。
【0067】
このため、発熱部23bの使用温度域に応じて、蓄熱機能と放熱機能とのバランスが取れるように、熱伝導体25と保温層22bとの熱膨張係数、軟化点および材料と、空洞Aおよび熱伝導体25の大きさを設定することが望ましい。
【0068】
また、サーマルヘッドが感熱記録媒体60に対し最高濃度で印画する際は、発熱部23bには最も大きな電流が流れ、発熱部23bは最も高い温度で発熱する状態となる。
【0069】
本実施の形態においては、最高濃度の70%の濃度を印画する温度以上の際に、空洞Aの断面積と熱伝導体25の断面積とが等しくなるように、保温層22bの材質、空洞Aの大きさ、熱伝導体25の材質および大きさが設定されている。
【0070】
なお、上述した発熱体板20においては、常温において熱伝導体25が保温層22bに接触せずに絶縁板22aに付着していたが、これに限らず、熱伝導体25が絶縁板22aに接触せずに保温層22bに付着しても良い。
【0071】
要は、熱伝導体25は、常温状態においては発熱部23bと絶縁板22aとの間に隙間を形成することにより、発熱部23bにおける熱を絶縁層22aへ伝導しにくくするとともに、高温状態においては、絶縁板22aと保温層22bとの両方に接触することにより、発熱部23bにおける熱を絶縁板22aへ伝導しやすくすれば良い。
【0072】
また上述した発熱体板20においては、熱伝導体25を絶縁板22a表面に形成する際、アルミニウムを帯状に印刷したが、これに限らず、たとえばアルミニウムのワイヤーを主走査方向dmに伸びるよう絶縁板22a表面に付着させても良い。
【0073】
また上述した発熱体板20においては、熱伝導体25としてアルミニウムを用いたが、これに限らず、他の物質でも良く、保温層22bよりも熱伝導係数および熱膨張係数が高い物質であれば良い。
【0074】
また上述した発熱体板20は、常温状態において、熱伝導体25と保温層22bの内壁との間を空気で充満させるようにしたが、これに限らず、種々の気体などの物質で充満させれば良く、保温層22bよりも熱伝導係数が低い物質で充満させれば良い。また真空であっても良い。