特許第5774404号(P5774404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774404
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】解析装置、その方法及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   B29C 35/02 20060101AFI20150820BHJP
   B29C 33/02 20060101ALI20150820BHJP
   G06F 17/50 20060101ALI20150820BHJP
   B60C 19/00 20060101ALN20150820BHJP
   B29L 30/00 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
   B29C35/02
   B29C33/02
   G06F17/50 680Z
   G06F17/50 612H
   !B60C19/00 Z
   B29L30:00
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-164314(P2011-164314)
(22)【出願日】2011年7月27日
(65)【公開番号】特開2013-28013(P2013-28013A)
(43)【公開日】2013年2月7日
【審査請求日】2014年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(72)【発明者】
【氏名】野田 武宏
(72)【発明者】
【氏名】石原 健
【審査官】 菊地 則義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−023106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 35/00−35/18
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤをメッシュフリー法によって解析する解析装置において、
複数の節点によってサブセル領域に分割された3次元のタイヤモデルが入力される入力部と、
前記各節点を中心に、3次元よりなる楕円形のサポート範囲をそれぞれ設定し、前記サポート範囲に含まれる前記節点の3次元の位置情報と、前記サポート範囲内の各節点と前記中心にある前記節点からの距離に応じて重み係数が定まる核関数とを用いて、前記サポート範囲内の変位の近似値を示す近似関数を求める解析部と、
を有することを特徴とする解析装置。
【請求項2】
前記解析部は、RKPM近似式に基づいて前記近似関数を求める、
ことを特徴とする請求項1に記載の解析装置。
【請求項3】
タイヤをメッシュフリー法によって解析する解析装置が行う解析方法において、
複数の節点によってサブセル領域に分割された3次元のタイヤモデルが入力する入力ステップと、
前記各節点を中心に、3次元よりなる楕円形のサポート範囲をそれぞれ設定し、前記サポート範囲に含まれる前記節点の3次元の位置情報と、前記サポート範囲内の各節点と前記中心にある前記節点からの距離に応じて重み係数が定まる核関数とを用いて、前記サポート範囲内の変位の近似値を示す近似関数を求める解析ステップと、
を有することを特徴とする解析方法。
【請求項4】
タイヤをメッシュフリー法によって解析する解析プログラムにおいて、
コンピュータに、
複数の節点によってサブセル領域に分割された3次元のタイヤモデルが入力する入力機能と、
前記各節点を中心に、3次元よりなる楕円形のサポート範囲をそれぞれ設定し、前記サポート範囲に含まれる前記節点の3次元の位置情報と、前記サポート範囲内の各節点と前記中心にある前記接点からの距離に応じて重み係数が定まる核関数とを用いて、前記サポート範囲内の変位の近似値を示す近似関数を求める解析機能と、
を実行させるための解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの解析を行うための解析装置、その方法及びそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴム構造体を金型などに入れ金型の内表面に向かって拡張する際に生じるゴム構造体の変形挙動を再現する変形シミュレーションの方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この変形シミュレーションは、メッシュフリー法を用いている。すなわち、金型により大きな変形が起こるゴム部材のみ、メッシュフリーモデルを用い、その形状に沿って一定の間隔で節点を配している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−14301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で説明されているメッシュフリー法は、サポート内の節点情報より近似関数を定めている。しかし、特許文献1で示されている節点は、一定間隔に配置された単純なモデルである。一方、実際のタイヤは複雑な形状をしており、サポート範囲の形状や大きさ、積分手法、近似関数の特徴により解の安定性が大きく異なるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、安定的に解を求めることができるようにサポート範囲を設定する解析装置、その方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、タイヤをメッシュフリー法によって解析する解析装置において、複数の節点によってサブセル領域に分割された3次元のタイヤモデルが入力される入力部と、前記各節点を中心に、3次元よりなる楕円形のサポート範囲をそれぞれ設定し、前記サポート範囲に含まれる前記節点の3次元の位置情報と、前記サポート範囲内の各節点と前記中心にある前記節点からの距離に応じて重み係数が定まる核関数とを用いて、前記サポート範囲内の変位の近似値を示す近似関数を求める解析部と、を有することを特徴とする解析装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タイヤの各節点の変位を解析でき、安定的に解を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態のモデル生成装置のブロック図である。
図2】モデル生成装置の動作処理を示すフローチャートである。
図3】タイヤの断面データを示す図である。
図4】カーカス部材の断面データである。
図5】正規化領域に節点を発生させた図である。
図6】正規化領域をデローニ分割した状態の図である。
図7】サブセル領域を写像した断面データの図である。
図8】角柱を繋げてリング状にしたタイヤモデルの側面図の説明図である。
図9】サブセル領域が生成された断面データから作られた角柱の斜視図である。
図10】サブセル領域に分割された断面データから作られた3次元のタイヤモデルである。
図11】タイヤモデルに楕円形のサポート範囲を設定した図である。
図12】2種類のサポート範囲を設定した図である。
図13】解析装置の動作処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態の解析装置30について、図面に基づいて説明する。
【0011】
本実施形態の解析装置30は、モデル生成装置10から入力された3次元のタイヤモデル6を用いて、このタイヤモデル6に設定されている各節点における変位を解析する装置である。
【0012】
モデル生成装置10は、CAD装置によって作られたタイヤの断面形状を表す断面データから解析、又は、シミュレーションに用いられるメッシュフリー法で用いるタイヤモデルを生成する装置である。
【0013】
モデル生成装置10と解析装置30について説明する前に、タイヤ100の構造について図3に基づいて説明する。
【0014】
タイヤ100は、図3に示すように、左右一対のビード部102及びサイドウオール部104と、両サイドウオール部104,104の間に跨がるトレット部106とを備えている。
【0015】
ビード部102には、環状のビードコア108と、その半径方向の外側のゴム製のビードフィラー110とが配設されている。左右一対のビードコア108,108の間には、タイヤ100の周方向に対し、直角に配列した多数のコードが延在してなるカーカス部材112が設けられ、トレット部106におけるこのカーカス部材112の半径方向の外側には、非伸長製コードからなるベルト部材114が設けられ、このベルト部材114のタイヤ100の半径方向の外側にトレットゴム部材116が設けられている。そして、トレット部106には、タイヤ100の周方向に延びる溝118が設けられており、この例では、中央寄りのメディエート118Aと、端部寄りのショルダー溝118Bとが各2本、合計4本設けられている。
【0016】
(1)モデル生成装置10の構成
本実施形態のモデル生成装置10の構成について、図1のブロック図に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すように、モデル生成装置10は、取得部12、発生部14、分割部16、写像部18、組み合わせ部22、展開部24及び出力部26を有する。
【0018】
以下、各部12〜26の機能について順番に説明する。
【0019】
(2)取得部12
まず、取得部12について図4に基づいて説明する。
【0020】
取得部12は、図3のタイヤ100の右半断面形状に関する断面データ1をCAD装置から取得するものであり、材料毎に断面データ1を取得している。図4は、タイヤ100のカーカス部材112の形状に関する断面データ1を表しており、カーカス部材112の形状(輪郭)を表す点列群によって断面データ1が構成されている。なお、この断面データ1は、閉領域である必要がある。また、取得部12は、このカーカス部材112の断面データ1以外にベルト部材114、トレットゴム部材116などの断面データ1も入力される。以下の説明では、この中でカーカス部材112を表している断面データ1を用いて説明していく。
【0021】
取得部12には、このカーカス部材112の2次元の断面データ1の輪郭を表す各点の座標が、全体座標系であるX−Y直交座標系で表されてCAD装置から入力される。取得部12は、図4に示すようにこの断面データ1の左端部の位置を点P1、右側下端部を点P2、右上端部を点P3、左上端部を点P4と設定する。
【0022】
(3)発生部14
次に、発生部14について図5に基づいて説明する。
【0023】
発生部14は、予め設定された凸状の正規化領域2を設定する。正規化領域2は凸型形状でなければならず、本実施形態では正方形の正規化領域2が予め設定されている。なお、この凸状の正規化領域2は、正方形以外に長方形、三角形でもよい。正方形の正規化領域2には、図5に示すように、局所座標系が設定されている。この局所座標系はu−w直交座標系であって、正規化領域2の左下角部が原点(0,0)に、右下角部が(1,0)に、右上角部が(1,1)に、左上角部が(0,1)に設定されている。
【0024】
発生部14は、この正規化領域2に複数の節点を発生させる。この節点の配置は、ランダムであってもよく規則的な配置でもよい。この節点の発生密度は、解析するタイヤ100の状態によって制御する。本実施形態では図5に示すように、発生部14は、縦横格子状に節点を複数発生させている。
【0025】
(4)分割部16
次に、分割部16について図6に基づいて説明する。
【0026】
分割部16は、発生部14によって節点が発生した正規化領域2についてデローニ分割(Delaunay triangulation)して複数の三角形の分割領域3を生成する。「デローニ分割」とは、2次元平面上の点群を基にして隣接する点間で三角形を形成させ、その平面を三角形領域(分割領域3)の集合で埋め尽くす手法である。
【0027】
図6は、節点が発生した正規化領域2をデローニ分割した図である。
【0028】
次に、分割部16は、正規化領域2の分割領域3を更に細かく分割して、三角形のサブセル領域4に再分割する。三角形の分割領域3をサブセル領域4に再分割する方法は、次の通りである。
【0029】
第1に、分割部16は、三角形の分割領域3の各辺の中点を求める。
【0030】
第2に、分割部16は、三角形の分割領域3の重心を求める。
【0031】
第3に、分割部16は、3個の中点と重心を結ぶ。
【0032】
第4に、分割部16は、三角形の分割領域3の頂点と重心を結ぶ。
【0033】
これにより、三角形の分割領域3内部が6個の三角形のサブセル領域に再分割される。この三角形のサブセル領域4は、メッシュフリー法の解析に用いられる。デローニ分割においては、節点数として例えば2960個設け、このサブセル領域4に関しては、分割点数として36600個設け、サブセル領域4は58560個設ける。
【0034】
(5)写像部18
次に、写像部18について、図4図6及び図7に基づいて説明する。
【0035】
写像部18は、分割部16でサブセル領域4までに分割された正規化領域2を図4に示す断面データ1に写像して、図7に示すような断面データ1にサブセル領域4を生成する。写像部18は、この写像に用いる写像関数として、本実施形態ではブレンディング関数(Blending Function)F0,F1を用いる。
【0036】
まず、局所座標系における正規化領域2と、全体座標系における断面データ1との関係について説明する。
【0037】
図4に示すように、全体座標系における断面データ1は、その輪郭が点列群よって表され、各点の座標位置が全体座標系で表されている。上記したように取得部12は、図4に示すように、左下端部の位置を点P1、右下端部を点P2、右上端部を点P3、左上端部を点P4と設定している。
【0038】
一方、図6に示すように、局所座標系によって表されている正規化領域2の4つの角部は、節点Q1=(0,0)、節点Q2=(1,0)、節点Q3=(1,1)、節点Q4=(0,1)で表されている。そして、この正規化領域2の中は、複数の節点を用いてデローニ分割されている。
【0039】
写像部18が、正規化領域2を断面データ1に写像する場合には、節点Q1を節点P1に写像し、節点Q2を節点P2に写像し、節点Q3を節点P3に写像し、節点Q4を節点P4に写像する。なお、本実施形態では、全体座標系における原点を、節点P1に設定する。そして、この正規化領域2における任意の節点Q5が、断面データ1のどの位置に写像されるかは、局所座標系における節点Q5と原点(0,0)との距離によって決定される。例えば、節点Q5=(0.33,0.4)とすれば、断面データ1における節点Q5に対応する節点P5は、X方向においてはP1−P2の距離の0.33の位置にあり、Y方向においてはP1−P4の距離の0.4の位置にある。具体的には、節点P5の座標位置を全体座標系において(X5,Y5)とすると、X5/(P1−P2の距離)=0.33であり、Y5/(P1−P4の距離)=0.4となる。
【0040】
全体座標系における座標(X,Y)を、局所座標系の座標(u,w)とした場合に、X=Ax(u,w)とY=Ay(u,w)で表されるとすると、Ax(u,w)は下記の式(1)で表され、Ay(u,w)は下記の式(2)で表される。但し、0<=u,w<=1である。
【数1】
【0041】
但し、F1(u)、F0(u)、F1(w)、F0(w)は、ブレンディング関数であって、下記の式(3)〜(6)で表されている。
【数2】
【0042】
また、式(1)と式(2)におけるAx(0,0)とAy(0,0)は、節点P1の全体座標系における座標値を示し、Ax(1,0)とAy(1,0)は、節点P2の座標値を示し、Ax(1,1)とAy(1,1)は、節点P3の座標値を示し、Ax(0,1)とAy(0,1)は、節点P4の座標値を示している。
【0043】
さらに、Ax(0,w)は、局所座標系における節点Q(0,w)を全体座標系における断面データ1に写像したときの全体座標系の座標値を示し、例えばw=0.2の場合には、図7における節点P6が対応するので、この節点P6の座標値(0,0.2)を代入する。この計算方法は、上記で説明したように、節点Q5から節点P5の座標値を求める方法と同様である。Ax(1,w)も同様にして座標値を求める。
【0044】
写像部18は、上記のようにして、局所座標系における全ての節点に関して、図7における全体座標系の断面データ1にその節点を写像し、また、この写像された各節点を基準に三角形のサブセル領域4の各頂点(三角形の分割領域3の各辺の中点、分割領域3の重心)も写像し、断面データ1にサブセル領域4を生成する。
【0045】
以上により、写像部18が、写像関数によって正規化領域2におけるデローニ分割された節点とサブセル領域4を、全体座標系における断面データ1に写像できる。
【0046】
写像部18は、このサブセル領域4が生成された断面データ1を、組み合わせ部22に出力する。
【0047】
(6)組み合わせ部22
次に、組み合わせ部22について説明する。
【0048】
上記において説明した断面データ1は、カーカス部材112の断面データ1である。そのため、例えば、ベルト部材114、トレットゴム部材116などの各部材についても同様の処理に、複数のサブセル領域4が生成された断面データ1がそれぞれ生成される。組み合わせ部22は、部材毎に生成された断面データ1を組み合わせて、タイヤ100の全体の断面データ1を生成する。
【0049】
まず、組み合わせ部22は、写像部18から出力されたサブセル領域4が生成された各部材の断面データ1を組み合わせて、図9に示すタイヤ100の全体がサブセル領域4に分割された断面データ1を生成し、展開部24に出力する。
【0050】
(7)展開部24
次に、展開部24について図8図10に基づいて説明する。
【0051】
展開部24は、組み合わせ部22から出力されたタイヤ100の全体の2次元の断面データ1を、タイヤ100の周期対称性を利用して3次元のタイヤモデル6に展開する。
【0052】
第1に、展開部24は、2次元の断面データ1を角柱に展開する。すなわち、展開部24は、2次元の断面データ1を所定の角度(数ラディアン)だけ積層して図8及び図9に示すような3次元の角柱5を生成する。
【0053】
第2に、展開部24は、タイヤ100の全体の断面データ1は右半分のみの3次元の角柱5であるため、左右対称の3次元の角柱5に展開する。
【0054】
第3に、展開部24は、図8図10に示すように、3次元の左右対称の角柱5を基準面を基準にしてリング状に接続して、3次元のタイヤモデル6を生成する。
【0055】
なお、展開する順番は、上記順番に限らず、断面データ1を左右対称に展開して、角柱5を生成してもよく、リング状に展開した後、左右対称に展開してもよい。
【0056】
(8)出力部26
次に、出力部26について説明する。
【0057】
出力部26は、展開部24によって生成された3次元のタイヤモデル6を、解析装置30に出力する。
【0058】
(9)モデル生成装置10の動作状態
次に、モデル生成装置10の動作状態について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0059】
ステップS1において、取得部12が、部材毎の断面データ1を取得し、ステップS2に進む。
【0060】
ステップS2において、発生部14が、予め設定した正方形の正規化領域2に複数の節点を発生させ、ステップS3に進む。
【0061】
ステップS3において、分割部16が、正規化領域2に発生した複数の節点に関して、隣接する節点を用いてデローニ分割して、三角形の分割領域3を生成する。次に、分割部16は、分割領域3を再分割してサブセル領域4を生成する。そしてステップS4に進む。
【0062】
ステップS4において、写像部18が、サブセル領域4に分割された正規化領域2を断面データ1に写像し、断面データ1にサブセル領域4を生成し、ステップS5に進む。
【0063】
ステップS5において、組み合わせ部22は、サブセル領域4に分割された部材毎の断面データ1を組み合わせて、タイヤ100の全体の断面データ1を生成する。そしてステップS6に進む。
【0064】
ステップS6において、展開部24が、サブセル領域4に分割された断面データ1を展開して3次元のタイヤモデル6を生成する。そしてステップS7に進む。
【0065】
ステップS7において、出力部26は、展開部24によって展開された3次元のタイヤモデル6を解析装置30に出力する。
【0066】
(10)解析装置30の構成
本実施形態の解析装置30の構成について、図1のブロック図に基づいて説明する。
【0067】
図1に示すように、解析装置30は、入力部32、解析部34を有する。以下、各部32,34の機能について順番に説明する。
【0068】
(11)入力部32
まず、入力部32について説明する。
【0069】
入力部32は、モデル生成装置10の出力部26から出力された3次元のタイヤモデル6が入力される。なお、3次元のタイヤモデル6は、展開部24から直接入力されてもよい。
【0070】
(12)解析部34
次に、解析部34について説明する。
【0071】
入力部32に入力された3次元のタイヤモデル6は、上記したように3次元のタイヤモデル6中に複数の節点が設定され、また、三角形のサブセル領域4が生成されている。この節点及びサブセル領域4は、3次元の全体座標系において表現されており、各節点の位置情報は、3次元の全体座標系の座標値で表示されている。
【0072】
解析部34は、各節点を中心に3次元よりなる楕円形のサポート範囲7をそれぞれ設定し、図12に示すように、このサポート範囲7に含まれる節点の3次元の位置情報(座標値)と、サポート範囲7内の各節点と前記中心にある節点からの距離に応じて重み係数が定まる核関数とを用いて、サポート範囲7内の変位の分布を示す近似関数を求める。
【0073】
以下では、解析部34が、各節点の変位の近似値を求める方法と、その後にそれを用いて歪みなどを求める方法について順番に説明する。
【0074】
(13)変位の解析
以下、解析部34が、各節点の変位の近似値を求める方法について、RKPM近似式を用いて説明する。
【0075】
非特許文献1(Chen, J. S., Pan, C., Wu, C. T., Liu, W. K., “Reproducing kernel particle methods for large deformation analysis of non-linear structures,” Computer Methods in Applied Mechanics and Engineering, Vol. 139, 1996, pp. 195-227.)によると、3次元座標系におけるXの変位の近似値を示す近似関数は、次の式(7)のように表される。
【数3】
【0076】
但し、u(x)は座標Xにおける変位の近似値、uは、第I番目の節点における一般化変位、NPは全節点数、Ψ(x)は形状関数を表している。この形状関数Ψ(x)は、次の式(8)のように表される。
【数4】
【0077】
但し、
【数5】
【0078】
であって、N次までの多項式で表す。また、基底関数である
【数6】
【0079】
は、モーメントマトリクスを表している。
【数7】
【0080】
は、核関数であって、aは広がりを表すパラメータである。Φは、スプライン関数であるが、これについては後から説明する。
【0081】
aはサポート範囲7であって、核関数が正値をとる範囲の大きさを表す。上記は1次元の場合であるが、3次元の場合はこれをもとに拡張する。本実施形態では、この拡張方法として、楕円形を用いる。すなわち、図11に示すように、節点を中心に3次元の楕円形をサポート範囲7とする。
【0082】
図11(a)は、タイヤモデル6を側面から見た全体図であり、このタイヤモデル6中にある1つの節点に3次元の楕円形のサポート範囲7を設定している図であって、半径R1、R2、R3を持つ楕円形のサポート範囲7が設定されている。図11(b)は、タイヤモデル6の断面形状における楕円形のサポート範囲7を示した図であって、この方向から見た場合にはサポート範囲7はR1、R2の半径を有している。。図11(c)は、側面から見たタイヤモデル6の拡大図を示しており、この方向から見た場合にはサポート範囲7はR2、R3の半径を有している。
【0083】
このような楕円形のサポート範囲7を設定する理由は、節点の密度に関係なく隣接する節点で形状関数を作成できるからである。
【0084】
楕円形でサポート範囲7を設定した場合には、上記におけるΦは、式(12)と式(13)のように表すことができる。
【数8】
【0085】
但し、tは、式(14)のように表される。
【数9】
【0086】
また、式(14)中のMは、式(15)のように表される。
【数10】
【0087】
なお、Nは、第I番目の節点の近接節点の集合を表し、βは、スケーリング係数を表している。
【0088】
そして、RKPM近似式は、補間形式でないため、変位境界条件を課すには特別な工夫が要る。例えば、ラグランジ乗数法、ペナルティ法(罰金法)、変数変換法が従来より提案されているが、方程式自由度数が増えることや、マトリクスの逆変換の工数がかかるなどの問題点がある。
【0089】
それに代わり、本実施形態においては、リプロデューシングカーネル補完形式(可再構成形核関数による補完式)を用いるものであり、次の式(16)で表される。
【数11】
【0090】
式(16)の右辺第1項はクロネッカデルタ特性を表すためのプリミティブ関数(原始関数)であり、第2項は収束性に必要なリプロデューシング条件(可再構成条件)を満たすためのエンリッチ関数(肥沃化関数)であり、両者はそれぞれ別のサポート範囲7の大きさを与える。第1項用のサポート範囲7は、他の如何なる節点も含まないような小さなサポート範囲7を設定する。ここで、サポート範囲7の大きさは、式(16)のaで表している。なお、式(16)における2つのサポート範囲7は、図12に示しており、図12に示す内側(実線)の楕円形が第1項用のサポート範囲7を示し、図12に示す外側(点線)の楕円形が第2項のサポート範囲7を示している。この式(16)については、非特許文献2(Chen, J. S., Han, W., You, Y., Meng, X., “A reproducing kernel method with nodal interpolation property,” International Journal for Numerical Methods in Engineering, Vol. 56, 2003, pp. 935-960.)に示されている。
【0091】
上記のようにして解析部34は、形状関数Ψから、各節点における変位の近似値を求める。
【0092】
(14)歪みなどの解析
解析部34は、上記のように求めた各節点における変位の近似値に基づいて、歪み等を求める。解析部34が歪みを求める場合の一例について簡単に説明する。
【0093】
第1に、解析部34は、非特許文献3(Chen, J. S., Yoon, S., Wu, C. T., “Non-linear version of stabilized conforming nodal integration for Galerkin mesh-free methods,” International Journal for Numerical Methods in Engineering, Vol. 53, 2002, pp. 2587-2615.)で示されているSCNI積分法(The stabilized conforming nodal integration method)を用いて、各節点に関して平均化した変形勾配を求める。
【0094】
第2に、解析部34は、各節点に関して平均化した変形勾配から、SCNI型に特殊化した増分形剛性方程式を導く。そして、最終的に、解析部34は、上記の非特許文献3に示されているように、平均化変形勾配及び節点積分を反映した増分形剛性方程式を導くことができる。この増分形剛性方程式が、タイヤモデル6における求めたい歪みなどを表す方程式である。
【0095】
(15)解析装置30の動作状態
次に、解析装置30の動作状態について図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0096】
ステップS11において、入力部32が、3次元のタイヤモデル6を取得する。
【0097】
ステップS12において、解析部34が、3次元のタイヤモデル6における各節点について、3次元の楕円形のサポート範囲7を設定し、各節点における変位の近似値をRKPM近似式から求める。
【0098】
ステップS13において、解析部34は、各節点における変位の近似値に基づいて、タイヤモデル6の歪み等を求める。
【0099】
(16)効果
本実施形態によれば、3次元のタイヤモデル6の各節点について3次元の楕円形を有するサポート範囲7をそれぞれ設定して、各節点における変位の近似値を求めているため、各節点の配置具合によらず安定的に変位の解を得ることができる。また、その解析速度も早くすることができる。
【0100】
(17)変更例1
上記実施形態では、解析部30は、モデル生成装置10からタイヤモデル6を取得したが、これに限らず他のモデル生成装置が生成したタイヤモデル6を用いてもよい。
【0101】
(18)変更例2
上記実施形態では、解析部30が、SCNI積分法などを用いて歪みなどを解析したたが、これに限らず他の方法で解析してもよい。
【0102】
(19)変更例3
上記実施形態のモデル生成装置10、解析装置30は、例えば、マウスとキーボードを有する汎用のコンピュータを基本ハードウエアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、取得部12、発生部14、分割部16、写像部18、組み合わせ部22、展開部24、出力部26、入力部32、解析部34は、上記のコンピュータに搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現させることができる。このとき、モデル生成装置10、解析装置30は、上記のプログラムをコンピュータに予めインストールすることで実現してもよいし、E−ROM等の記憶媒体に記憶して、このプログラムをコンピュータに適宜インストールすることで実現してもよい。
【0103】
(20)その他
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1・・・断面データ、2・・・正規化領域、3・・・分割領域、4・・・サブセル領域、5・・・角柱、6・・・タイヤモデル6、10・・・モデル生成装置、12・・・取得部、14・・・発生部、16・・・分割部、18・・・写像部、22・・・組み合わせ部、24・・・展開部、26・・・出力部、30・・・解析装置。32・・・入力部、34・・・解析部、100・・・タイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図12
図13
図9
図10
図11