【実施例】
【0017】
以下、本発明の一実施例である光源ユニット140とこの光源ユニット140を採用した照明装置100を図面に基づいて説明する。
ここで、
図1は、本発明の一実施例に係る光源ユニットを取り付けた照明装置の据え付け図であり、
図2は、本発明の一実施例に係る光源ユニットを取り付けた照明装置の斜視図であり、
図3は、本発明の一実施例に係る光源ユニットを取り付けた照明装置の平面図であり、
図4、
図3のIV−IV線断面図であり、
図5は、ヒートシンク及び光反射曲面の関係を図式的に示した概略図であり、
図6は、本発明の一実施例に係る光源ユニットの温度特性を評価した評価方法の説明図であり、
図7は、
図6の評価方法で用いた評価モデルの回路図及び電気特性パラメータの一覧表であり、
図8は、
図6の評価モデルにおけるパラメータの一覧表及び評価結果表である。
【0018】
まず、
図1に示すように、照明装置100は、トンネルTの壁面TWに据え付けられた状態でトンネルT内の道路を照らすものである。
【0019】
次に、
図2乃至
図4に示すように、本実施例に係る光源ユニット140は、光源ユニット取付用筐体110とこの光源ユニット取付用筐体110の開口部111に着脱自在に取り付けられて光源ユニット取付用筐体110の内部空間110Aを密閉するとともに光源光L及び赤外光IRを透過させる透明部材120と内部空間110Aに設けられているとともに内部空間110Aから光源ユニット取付用筐体110の外部空間110Bへ向かって少なくとも赤外光IRを反射する光反射板130とを備えている照明装置100に照明光源として用いられるとともに光源ユニット取付用筐体110に対して内部空間110Aに設置され、透明部材120に向かって光源光Lを出射し且つ少なくとも一つの半導体発光素子の一例である発光ダイオード141と、発光ダイオード141を設置した基板の一例であるヒートシンク142と、このヒートシンク142の表面に被膜してヒートシンク142より高い熱放射率を有する熱放射膜143とを備えていることにより、ヒートシンク142を介して光源ユニット取付用筐体110の内部空間110Aに放熱するだけでなくヒートシンク142の表面から放射される赤外光より高い強度で赤外光を放射する熱放射膜143から出射された赤外光IRが光源ユニット取付用筐体110の外部空間110Bに向かって反射されるため、発光ダイオード141に対する供給電力を増加させても光源ユニット取付用筐体100の内部空間110Aにおける蓄熱量増加を回避した状態で発光ダイオード141の温度上昇を抑制して発光ダイオード141の劣化とこれに起因する照明装置100の照度低下すなわち照度変化を回避するようになっている。
【0020】
また、光源ユニット140は、光源ユニット取付用筐体110に対してその内部空間110Aに着脱自在であるため、照明装置100のうち光源ユニット140を除く部分をトンネルTの壁面TWに据え付けた状態で発光ダイオード141の寿命に応じて交換可能である。
なお、光源ユニット140の交換作業は、光源ユニット取付用筐体110から透明部材120を取り外した状態で行われる。
【0021】
そして、本実施例に係る光源ユニット140は、ヒートシンク142が、発光ダイオード141を設置したヒートシンク本体142Aとこのヒートシンク本体142Aに形成された複数の放熱フィン142Bとを有していることにより、複数の放熱フィン142Bを設けない場合に比べて熱放射膜143の表面積を増加させた状態で光源ユニット取付用筐体110の外部空間110Bに反射される赤外光IRの光量を増加させるため、光源ユニット取付用筐体110の内部空間110Aにおける蓄熱量増加をより一層回避した状態で発光ダイオード141の温度上昇を抑制して高い照度を維持しつつ発光ダイオード141の劣化とこれに起因する照明装置100の照度変化を回避するようになっている。
【0022】
さらに、本実施例に係る光源ユニット140は、透明部材120が、平板形状を形成する平板状透明部材であり、光反射板130の光反射面130Sが、平板状透明部材である透明部材120の主面120Sに直交して発光ダイオード141を含む仮想平面で光反射板130を切った断面において開口部111に向かって開口する凹状の光反射曲面であり、複数の放熱フィン142Bのそれぞれの先端部を結んだ仮想接続線HLが、平板状透明部材である透明部材120の主面120Sに直交して発光ダイオード141を含む仮想平面で光反射板130を切った断面において光反射面130Sすなわち光反射曲面に沿った曲線を形成していることにより、熱放射膜143から射された赤外光IRのうち光反射面130Sすなわち光反射曲面によって光源ユニット取付用筐体110の外部空間110Bに反射される赤外光IRの光量を増加させるため、光源ユニット取付用筐体110の内部空間110Aにおける蓄熱量増加をさらに一層回避した状態で発光ダイオード141の温度上昇を抑制して高い照度を維持しつつ発光ダイオード141の劣化に起因する照明装置100の照度変化を回避するようになっている。
なお、光反射面130Sは、開口部111に突出した凸状に形成された光反射曲面であってもよい。
【0023】
さらに、本実施例に係る光源ユニット140は、光反射曲面として形成された光反射面130Sが、平板状透明部材すなわち透明部材120に向かって光源光Lを反射することにより、発光ダイオード141から出射された光源光Lのうち平板状透明部材すなわち透明部材120に向かう光源光Lの光量を増加させるため、照明装置100の照度低下に伴う照明装置100の照度変化をより一層回避するようになっている。
なお、
図5に示すように、放熱フィン142Bの根元から光反射曲面130Sの先端領域までの長さdは、光源光Lを効率良く反射するとともに赤外光IRを漏れなく透明部材120の側に反射するように、光反射曲面130Sの先端領域から光反射曲面130Sの焦点までの距離aのN倍すなわち整数倍になっているほうが好ましい。
【0024】
さらに、本実施例に係る光源ユニット140は、ヒートシンク本体142A及び放熱フィン142Bが、光源ユニット取付用筐体110の長手方向DLに沿って延び、発光ダイオード141が、ヒートシンク本体142A及び放熱フィン142Bの長手方向DLに沿って複数配列されていることにより、ヒートシンク本体142A及び放熱フィン142Bがその長手方向に沿って延びている分、熱放射膜143の表面積を増加させるため、発光ダイオード141を一つ設置している場合に比べて光源ユニット140の全体から出射される光源光Lの光量を増加させるとともに光源ユニット取付用筐体110の内部空間110Aにおける蓄熱量増加を回避した状態で発光ダイオード141の温度上昇を抑制して発光ダイオード141の劣化を回避し、しかも高い照度を維持しつつ照明装置100の照度変化をより一層回避するようになっている。
【0025】
このようにして得られた本実施例の光源ユニット140は、光源ユニット取付用筐体110とこの光源ユニット取付用筐体110の開口部111に着脱自在に取り付けられて光源ユニット取付用筐体110の内部空間110Aを密閉するとともに光源光L及び赤外光IRを透過させる透明部材120と内部空間110Aに設けられているとともに内部空間110Aから光源ユニット取付用筐体110の外部空間110Bへ向かって少なくとも赤外光IRを反射する光反射板130とを備えている照明装置100に照明光源として用いられるとともに光源ユニット取付用筐体110に対して内部空間110Aに設置され、透明部材120に向かって光源光Lを出射する少なくとも一つの発光ダイオード141と、発光ダイオード141を設置したヒートシンク142と、このヒートシンク142の表面に被膜してヒートシンク142より高い熱放射率を有する熱放射膜143とを備え、ヒートシンク142が、透明部材120と光反射板130との間に配設されているとともに、熱放射膜143が、ヒートシンク142における光反射板側の表面を被膜していることにより、発光ダイオード141に対する供給電力を増加させても光源ユニット取付用筐体110の内部空間110Aにおける蓄熱量増加を回避した状態で発光ダイオード141の温度上昇を抑制して発光ダイオード141の劣化とこれに起因する照明装置100の照度変化とを回避することができるなど、その効果は甚大である。
【0026】
次に、
図6乃至
図8を参照しながら、本発明に係る光源ユニットの評価結果を説明する。
[評価条件]
図6及び
図7に示すように、評価用光源ユニット240は、発光ダイオード241と、ヒートシンク242と、ヒートシンク242の表面に形成されているとともにヒートシンク242により高い熱放射率を有する熱放射膜243と備えて形成され、上述の光源ユニット140とほぼ同様の構成を有している。
評価用光源ユニット240は、筐体210の内部空間210Aに設置されている。
光反射板230は、筐体210の内部空間210Aに設置された状態で赤外光を透明部材220に向かって反射する。
透明部材220は、筐体210の開口部211を密閉し、筐体210の内部空間210A及び外部空間210Bを相互に仕切っている。
評価時において、測定点a、s、c、eの4点の温度が、サーモビューア等の非接触温度測定装置を用いて測定される。
【0027】
以下では、これら測定点a、s、c、eのそれぞれの測定温度を筐体内温度Ta、LEDカソード側温度Ts、ヒートシンク温度Tc及び筐体外温度Teと称す。
また、
図6では、評価用光源ユニット240は、説明の便宜上発光ダイオード141を有しているが、
図7に示すように、実際の評価では、評価用光源ユニット240は、直列接続された6個の発光ダイオード241を有している。
本評価では、熱放射膜243の効果を判断する指標として、評価時における発光ダイオード(LED)の電力損失P、LEDカソード側温度Ts、及び、発光ダイオードの熱抵抗Rjsから算出されるジャンクション温度Tjを採用した。
また、本評価では、発光ダイオード241に連続して3時間通電してジャンクション温度Tjを算出し、モニターと、本願発明品すなわち評価用光源ユニット240とについてジャンクション温度Tjを比較した。
【0028】
なお、筐体内温度Ta、LEDカソード側温度Ts、ヒートシンク温度Tc及び筐体外温度Teの変動、外部抵抗Rb、外部抵抗Rbの電圧降下Vr、発光ダイオード(LED)への入力電流If、6個の発光ダイオード(LED)全体の電圧降下Vt、1個の発光ダイオード(LED)全体の電圧降下Vf、LEDカソード側温度Ts、発光ダイオードの熱抵抗Rjs、及び発光ダイオードの損失Pdなどの各種パラメータの具体的な値は、
図8に示す通りである。
また、本評価で用いたモニター及び本願発明品は、熱放射膜243の有無を除いて同一構造を有している。
【0029】
[評価結果]
図8に示すように、本評価では、モニター及び本願発明品のそれぞれのジャンクション温度Tjの最高温度は、101、7℃、91,1℃であり、本願発明品のジャンクション温度Tjは、モニターのジャンクション温度Tjに比べて10.6℃だけ低く抑えられている。
したがって、本評価では、熱放射膜243が発光ダイオード241の温度上昇を抑制しているという結果が得られた。