(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774449
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】制御電流源を備える電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20150820BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
H02M7/12 Q
H02M3/155 U
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-242023(P2011-242023)
(22)【出願日】2011年11月4日
(65)【公開番号】特開2012-105530(P2012-105530A)
(43)【公開日】2012年5月31日
【審査請求日】2014年5月26日
(31)【優先権主張番号】1059116
(32)【優先日】2010年11月5日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502363191
【氏名又は名称】シュネーデル、トウシバ、インベーター、ヨーロッパ、ソシエテ、パル、アクション、セプリフエ
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER TOSHIBA INVERTER EUROPE SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】アルノー、ビデ
(72)【発明者】
【氏名】トマ、ドボ
(72)【発明者】
【氏名】ウ、バン
【審査官】
下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−261106(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/147186(WO,A1)
【文献】
特表2011−522511(JP,A)
【文献】
特開2007−143392(JP,A)
【文献】
特開2005−204429(JP,A)
【文献】
SALMON J ET AL,IMPROVING THE OPERATION OF 3-PHASE DIODE RECTIFIERS USING AN ASYMMETRICAL HALF-BRIDGE DC-LINK ACTIVE FILTER,CONFERENCE RECORD OF THE 2000 IEEE INDUSTRY APPLICATIONS CONFERENCE. 35TH IAS ANNUAL MEETING AND WORLD CONFERENCE ON INDUSTRIAL APPLICATIONS OF ELECTRICAL ENERGY,2000年10月 8日,pages 2115-2122
【文献】
ERTL H ET AL,A Constant Output Current Three-Phase Diode Bridge Rectifier Employing a Novel Electronic Smoothing Inductor,IEEE TRANSACTIONS ON INDUSTRIAL ELECTRONICS,2005年 4月 1日,pages 454-461
【文献】
JANG Y ET AL,A novel, robust, harmonic injection method for single-switch, three-phase, discontinuous-conduction-mode boost rectifiers,POWER ELECTRONICS SPECIALISTS CONFERENCE, 1997. PESC '97 RECORD.,1997年 6月22日,pages 469-475
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
決定された基本周波数(Fmains)で入力電流(Ie)を供給する回路網の複数の相(R、S、T)に接続され、整流器電圧が印加される、整流器ステージ(1)と、
前記整流器ステージ(1)に接続されたDC電源バスであって、前記DC電源バス上で電圧(Vbus)を得るために電位が各々に印加される第1の電源ライン(V+)および第2の電源ライン(V−)を備える、DC電源バスと、
前記第1の電源ラインおよび前記第2の電源ラインに接続されたバス・キャパシタ(Cbus)と、
を備える電力変換装置であって、
前記電力変換装置は、
前記第1の電源ラインまたは前記第2の電源ライン上で、前記バス・キャパシタ(Cbus)の上流に位置する制御電流源であって、前記制御電流源は、インダクタ(L)および可変電圧源を備える、制御電流源と、
前記制御電流源用の制御手段(3)であって、前記制御手段は、整流器電流(Ired)と称され、前記DC電源バス上を流れる電流を制御するために、決定された電圧(Vaux)を前記可変電圧源の端子間に印加するように構成され、前記電圧(Vaux)は、整流器電圧(Vred)と、前記DC電源バス上の電圧(Vbus)と、電流高調波とに基づいて決定され、前記電流高調波は、前記回路網から供給された前記入力電流(Ie)の前記基本周波数(Fmains)の6倍および12倍の周波数でそれぞれ同期化された第1の高調波および第2の高調波を含み、これらの高調波の振幅および位相が、THDiおよびPWHDを限定するように決定される、制御手段(3)と、
を備え、
前記可変電圧源は、並列に接続された第1の切り替えアーム、第2の切り替えアーム、およびキャパシタ(C1)を備える電子変換装置(2)を備え、各切り替えアームは、少なくとも1つの電子スイッチ(T1、T2)を備え、
前記制御手段(3)は、調整ループを実行するように構成されており、前記調整ループは、前記整流器電流(Ired)を、前記高調波が投入される平均基準値(<Ired>ref)に等しい基準値(Iredref)に追従させるように設計されており、
前記平均基準値(<Ired>ref)は、基準値(VCref)と、前記電子変換装置の前記キャパシタ(C1)の端子間の電圧について測定された値(VC)との間の差が導入される調整器の出力にて得られる、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記制御手段(3)は、調整ループを実行するように構成されており、前記調整ループは、前記DC電源バス上の前記電圧(Vbus)を、前記高調波を含む基準値(Vbusref)に追従させるように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の変換装置。
【請求項3】
前記調整ループは、前記可変電圧源の端子間の前記電圧用の基準値(Vauxref)を決定するように意図されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の変換装置。
【請求項4】
前記第1の高調波は、前記整流器電流の10%から30%の範囲にある振幅を示すことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の変換装置。
【請求項5】
前記第2の高調波は、前記整流器電流の0%から15%の範囲にある振幅を示すことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の変換装置。
【請求項6】
前記第1の高調波(HM1)と前記第2の高調波(HM2)は、最初に逆位相で投入されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の変換装置。
【請求項7】
複数の切り替えアームが設けられたインバータステージを備え、前記複数の切り替えアームは、DC電圧を、電気的負荷に給電するよう意図された可変電圧に変換するように意図されている、可変速駆動装置であって、
前記可変速駆動装置は、請求項1乃至6のいずれか1項で定義された電力変換装置を備え、前記電力変換装置は、そのインバータステージの上流に接続されていることを特徴とする、可変速駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御電流源(controlled current source)が設けられた可変速駆動装置(variable speed drive)に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、電力変換装置(power converter)は、回路網(network)に接続された幾つかの入力相(例えば、それが3相の回路網に接続されている場合には、3つの入力相)を備えている。その入力相に接続される場合、電力変換装置は、回路網から供給されたAC電圧をDC電圧に変換することを可能にする整流器ステージを備えている。また、この変換装置は、正電位を有する第1の電源ラインと負電位を有する第2の電源ラインが設けられ、これらのラインにDC電圧が印加される電源バスと、第1の電源ラインと第2の電源ラインとの間に接続され、バス上のDC電圧を一定に維持するように意図されたバス・キャパシタとを備えている。
【0003】
整流器ステージがAC回路網と、例えば可変速駆動装置のDC電源バスなどの容量性負荷との間に接続されたとき、回路網から引き出された入力電流は、これらの入力相の間の電圧(AC)が電源バスの電圧(V
bus)より高くなるとすぐに、バス・キャパシタの再充電に対応したスパイクの形に成形される。従って、整流器ステージが単相であろうと、3相であろうと、それらにかかわらず、回路網から引き出された入力電流は、決して正弦波ではない。というのは、入力電流は、その基本波に加えて、数多くの高調波(harmonic)を含むからである。従って、回路網から引き出された入力電流I
eは、高調波が加えられた基本波電流(fundamental current)によって定義され、その高調波の振幅は、この基本波電流に対するパーセンテージとして表現され得る。
【0004】
入力電流I
eの高調波は、THDi(電流の全高調波歪み(Total Harmonic Distortion of Current))とPWHD(部分的加重高調波歪み(Partial Weighted Harmonic Distortion))と呼ばれる2つの知られた指標によって特徴づけられる。THDiは、基本波電流のrms値に対する高調波のrms値を表す高調波電流歪み比(harmonic current distortion ratio)に対応する。一方、PWHDは、高周波高調波に、より具体的には次数14から40の高調波に、特別の重みを与える重みづけを導入する。
【0005】
3相回路網に接続された電力変換装置は、指標THDiに対するリミット値および指標PWHDに対するリミット値のほかに、入力電流の次数5、次数7、次数11、および次数13の高調波に対するリミット値をも課すIEC61000−3−12規格を満たさなければならない。
【0006】
この規格によると、350より大きいRSCEに対し、
− THDiは、基本波電流の48%より少なければならない、
− PWHDは、基本波電流の46%より少なければならない、
− 次数5の高調波は、基本波電流の40%までに限定されなければならない、
− 次数7の高調波は、基本波電流の25%までに限定されなければならない、
− 次数11の高調波は、基本波電流の15%までに限定されなければならない、
− 次数13の高調波は、基本波電流の10%までに限定されなければならない。
【0007】
知られているように、RSCEは、変換装置が接続された回路網の短絡電力に対する変換装置の公称皮相電力(nominal apparent power)を特徴づける。
【0008】
THDiを減少させるための知られた解決策は、DCインダクタを追加してDCバス上でフィルタリングすることであり、そのインダクタは、その値が十分大きい場合、連続した導電状態を確実にする、すなわち、整流器からの出力としてバス上を流れる整流器電流I
redは、ゼロまでに決して落ちない。用いられるインダクタの値がより大きければ、整流器電流I
red中のリップルは、ますます小さくなる。DCインダクタの値が無限大に向かう場合、整流器電流は、一定になり、DCバスの電圧中にリップルがもう全くなくなる。というのは、その電圧は、整流器電圧V
redの平均値に安定化されるからである。従って、できるだけ一定になった整流器電流I
redを得るために、インダクタの値は、非常に高くすることが必要になり、これは、コストおよびサイズが大き過ぎることになるという問題を引き起こすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、入力電流が、少なくともその基準が上記のように定義されたIEC61000−3−12規格に準拠し、そのプロファイルが、無限大の値を有するインダクタによって得られるプロファイルにできるだけ密接に近づくことができる、電力変換装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、
決定された基本周波数(determined fundamental frequency)で入力電流を供給する回路網の複数の相に接続され、整流器電圧が印加される、整流器ステージと、
前記整流器ステージに接続されたDC電源バスであって、前記DC電源バス上で電圧を得るために電位が各々に印加される第1の電源ラインおよび第2の電源ラインを備える、DC電源バスと、
第1の電源ラインおよび第2の電源ラインに接続されたバス・キャパシタと、
を備える電力変換装置であって、
前記電力変換装置は、
前記第1の電源ラインまたは前記第2の電源ライン上で、バス・キャパシタの上流に位置する制御電流源であって、前記制御電流源は、インダクタおよび可変電圧源を備える、制御電流源と、
前記制御電流源用の制御手段であって、前記制御手段は、整流器電流と称され、前記DC電源バス上を流れる電流を制御するために、決定された電圧を前記可変電圧源の端子間に印加するように構成され、前記電圧は、整流器電圧と、前記DC電源バス上の電圧と、電流高調波とに基づいて決定され、前記電流高調波は、前記回路網から供給された前記入力電流の前記基本周波数の6倍および12倍の周波数でそれぞれ同期化された第1の高調波および第2の高調波を含み、これらの高調波の振幅および位相が、THDiおよびPWHDを限定(limit)するように決定される、制御手段と、を備えることを特徴とする電力変換装置によって達成される。
【0011】
1つの特徴によれば、前記制御手段は、調整ループ(regulation loop)を実行(implement)するように構成されており、前記調整ループは、前記整流器電流を、前記高調波が投入(inject)される平均基準値に等しい基準値に追従(follow)させるように設計されている。
【0012】
もう1つの特徴によれば、前記制御手段は、調整ループを実行するように構成されており、前記DC電源バス上の前記電圧を、前記高調波を含む基準値に追従させるように設計されている。
【0013】
もう1つの特徴によれば、前記調整ループは、前記可変電圧源の端子間の前記電圧用の基準値を決定するように意図される。
【0014】
もう1つの特徴によれば、前記第1の高調波は、前記整流器電流の10%から30%の範囲にある振幅を示す。
【0015】
もう1つの特徴によれば、前記第2の高調波は、前記整流器電流の0%から15%の範囲にある振幅を示す。
【0016】
もう1つの特徴によれば、前記第1の高調波および前記第2の高調波は、最初(initially)に逆位相で投入される。
【0017】
もう1つの特徴によれば、前記可変電圧源は、並列に接続された第1の切り替えアーム(switching arm)、第2の切り替えアーム、およびキャパシタを備える電子変換装置(electronic converter)を備え、各切り替えアームは、少なくとも1つの電子スイッチを含む。
【0018】
また、本発明は、複数の切り替えアームが設けられたインバータステージを備え、前記複数の切り替えアームは、DC電圧を、電気的負荷に給電するよう意図された可変電圧に変換するように意図されている、可変速駆動装置であって、この可変速装置は、上記のように定義され、そのインバータステージの上流に接続された電力変換装置を備える、可変速駆動装置に関する。
【0019】
他の特性および利点は、例の目的で与えられ、添付図面に表された実施形態を参照しながら以下の詳細な記述で明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】電力変換装置用の制御手段により実行される調整ループを表す図である。
【
図3】説明した例の入力電流について得られた結果を示すグラフである。
【
図4】説明した例の入力電流について得られた結果を示すグラフである。
【
図5】説明した例の入力電流について得られた結果を示すグラフである。
【
図6】説明した例の入力電流について得られた結果を示すグラフである。
【
図7】説明した例の入力電流について得られた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、知られているように、電力変換装置は、整流器ステージ1およびDC電源バスを含む。また様々な電力変換装置の構成が可能である。用いられる整流器ステージ1は、ダイオード・ブリッジを装着された従来の性質のものであってもよく、または制御される切り替えアームを装着されることによって能動的であってもよい。
【0022】
後述するように、かつ
図1に示すように、特別の注意が、ダイオード・ブリッジによる受動的な整流器ステージを装着された電力変換装置に払われることになる。
【0023】
図1を参照すると、整流器ステージ1は、例えば3つの入力相R、S、T上のACインダクタを介して回路網に接続される。この図では、整流器ステージ1は、受動的であり、そして回路網から供給されたAC電圧の整流およびDC電源バス上へのDC電圧の印加を可能にするダイオード・ブリッジから成っている。さらに正確には、整流器ステージ1は、いくつかのアームを含み、各アームは、直列に接続された2つのダイオードから成り、各アームは、これら2つのダイオードの間に位置する中間点M1、M2、M3によって入力相R、S、Tに接続される。
【0024】
DC電源バスは、整流器ステージ1の下流に接続される。そのDC電源バスは、正電位V+である電源ラインと、負電位V−である電源ラインとを含む。少なくとも1つのバス・キャパシタC
busが、このバスの2つの電源ラインのそれぞれに接続され、バスの電圧を一定値に維持することを可能にする。
【0025】
本発明の目的は、入力電流I
eが、IEC61000−3−12規格に適合し、従って、この規格中に定義された基準を満たすことを可能にするプロファイルを示す、電力変換装置を提案することである。本発明は、もっとも具体的には、電源バスの下流にインバータステージを含む、可変速駆動装置のタイプのための電力変換装置に適用され、このインバータステージは、可変電圧を用いて電気的負荷に給電する目的で、DC電圧をチョップするために、いくつかの制御される切り替えアームを含む。
【0026】
よって、電力変換装置は、制御電流源を用いており、この制御電流源は、この変換装置の第1または第2の電源ライン上で、バス・キャパシタの上流に直列に接続されており、かつ、上記の規格中で定義されたパラメータに影響を与えるために、整流器ステージから出力され、DC電源バス上を流れ、以下で整流器電流と称される電流を制御するよう意図されている。
【0027】
この制御電流源は、例えば制御される電子インダクタの形を取り、
− 低い値のインダクタLと、
− はっきりと異なる2つの並列な切り替えアームと、これら2つの切り替えアームと並列に接続されたキャパシタC1とから成る電子変換装置2、の形を取る制御可変電圧源(controlled variable voltage source)とを含む。
【0028】
電力変換装置の整流器ステージ1が、例えばダイオード・ブリッジのように、非可逆性である場合、電子変換装置の切り替えアームは、電流が一方向性(unidirectional)であってもよい。他方では、整流器ステージが可逆性である、すなわち制御される切り替えアームから成る場合、電子変換装置の切り替えアームは、回路網上でエネルギー回生(energy regeneration)を可能にするために、電流が双方向性(bidirectional)でなければならない。
【0029】
様々なトポロジが、電子変換装置2のために用いられてもよいが、用いられる整流器ステージ1のタイプに依存し、しかも、それに接続されるインダクタLのサイズにもよる。
【0030】
非可逆性の整流器ステージ1に関し、電子変換装置2の2つの切り替えアームは、それぞれが、例えばダイオードD1、D2と直列に接続された電子スイッチT1、T2を含む。各切り替えアームは、その電子スイッチT1、T2とそのダイオードD1、D2の間に位置づけられた接続中間点P1、P2含む。第1の切り替えアームの接続中間点P1は、DCインダクタに接続され、第2の切り替えアームの接続中間点P2は、バス・キャパシタC
busに接続される。電子変換装置2の一方の切り替えアーム上に、電子スイッチおよびダイオードの直列配列が、他方の切り替えアームの直列配列に対して逆にされる。
【0031】
電力変換装置が可逆性の整流器ステージを用いる場合、電子変換装置2の切り替えアームは、それぞれが、例えば2つの電子スイッチを含む(その構成は、表されていない)。
【0032】
電子変換装置2中で用いられる電子スイッチT1、T2は、例えば、適切な制御手段3によって、例えばPWM(パルス幅変調)制御を用いて制御されるMOSFETタイプのトランジスタである。同じ機能を果たすことが可能な他の構成部品が、もちろん用いられ得る。
【0033】
電子変換装置2は、このように、電圧V
auxの獲得を可能にする、制御される可変電圧源としてふるまう。それゆえ、以下の関係が、バスの電圧V
bus、インダクタLの端子間の電圧V
L、制御される電子変換装置2の端子間の電圧V
aux、および整流器1の電圧V
redの間で得られる。
V
L=V
red−V
bus−V
aux
【0034】
従って、電子変換装置2の端子間の電圧V
auxを制御することにより、V
Lを可変にさせることが可能であり、従って、整流器電流I
redを制御し、その上に特定のプロファイルを課することが可能である。従って、整流器電流I
redを制御することで、上述のように指定された規格によって要求されるように、THDiおよびPWHDを制御し、かつ入力電流I
eに対する、次数5、7、11、および13の高調波の影響を限定することが可能である。
【0035】
電子変換装置2の端子間の電圧V
auxは、電子変換装置の電子スイッチT1およびT2用の制御手段3により、様々なやり方で(例えば調整ループを実行することにより)制御してもよい。また、様々な調整ループが可能である。
【0036】
・ 第1の調整ループは、例えば、整流器電流I
redに対する目標の達成を可能にする基準軌跡(reference trajectory)I
redrefを決定し、次いでこの軌跡を調整することにある。
【0037】
・ もう1つの可能な調整ループは、例えば、入力電流が規格中に定義された目標を果たすように、必要な高調波を含む軌跡V
busrefに基づき電圧V
busを調整することにある。この解決策は、特に整流器電流I
redを測定するための電流センサの使用の回避を可能にすることになる。
【0038】
制御手段によって実行される電流調整ループの例は、
図2に見ることができ、以下に説明するプロセスに従う。同じ結果の獲得を可能にする調整ループの他の例は、もちろん、予期することができる。この調整ループは、整流器電用の基準値I
redrefを決定することを可能にする電圧調整ループと、整流器電流用の基準値I
redrefに基づき、電子変換装置2の端子間の電圧用の基準値V
auxrefを決定することを意図された電流調整ループとに分割される。全体的な調整ループは、後続のプロセスに従う。
【0039】
− 電子変換装置2のキャパシタC1の端子間の電圧用の基準値V
Crefを入力として印加する、
− 電子変換装置2のキャパシタC1の端子間の電圧V
Cの値を測定する、
− 入力として印加された基準値V
crefと、電子変換装置2のキャパシタC1の端子間の電圧について測定された値V
Cとを比較して差D1を決定する、
− 前記差D1を、例えば比例、積分、および微分(PID(Proportional-Integral-Derivative))調整器などの調整器に導入して、平均整流器電流の基準値<I
red>
refを決定する、
− 平均整流器電流の基準値<I
red>
ref上に高調波I
shを投入し、前記高調波I
shは、変換装置への入力として回路網から供給された入力電流I
eの基本周波数F
mainsの6*k倍の周波数で同期化され、kは1以上の整数であり、kは追加の各高調波ごとに1単位分増加され、それによって整流器電流用の基準値I
redrefを生成する、
− 整流器電流用に得られた基準値I
redrefと測定された整流器電流I
redを比較して、差D2を決定する、
− 前記差D2を、例えば比例(P(Proportional))調整器などの調整器に導入して、制御電流源のインダクタLの端子間の電圧用の基準値V
Lrefを決定する、
− インダクタLの端子間の電圧の基準値V
Lrefと、整流器電圧V
redの測定値と、DC電源バスの電圧V
busの測定値とに基づき、電子変換装置2の端子間の電圧用の基準値V
auxrefを決定する。
【0040】
本発明によれば、整流器電流の基準値I
redrefを決定するために投入される高調波I
shは、THDiと、PWHDと、入力電流I
eの次数5、次数7、次数11、および次数13の高調波とを一度で同時に限定するために決定された周波数、振幅、および位相において生成されなければならない。
【0041】
よって、高調波は、入力電流の周波数の6*k倍の周波数で、平均整流器電流の基準値上に投入され、kは1以上の整数であり、kは投入される追加の各高調波ごとに1単位分増加される。よって、回路網の周波数が50Hzである場合、高調波は、次のように投入することができる。すなわち、高調波は、次数1と称される高調波については300Hzで、次数2と称される高調波については600Hzで、次数3と称される高調波については900Hzで、次数4と称される高調波については1200Hzで、次数5と称される高調波については1500Hzで、かつ、THDiと、PWHDと、入力電流I
eの次数5、次数7、次数11、および次数13の高調波を一度で同時に限定するための振幅および位相を用いて投入することができる。しかし、これは、回路網の周波数の6*k倍の周波数で、単にいくつかの高調波の投入を必要とするのではない。というのは、得られる結果が必ずしも満足なものばかりではないからである。
【0042】
本発明によれば、回路網の周波数の6倍(k=1)の周波数と、回路網の周波数F
mainsの12倍の周波数でそれぞれ同期化された2つだけの高調波を、次数1の高調波HM1に対して整流器平均電流<Ired>の10%から30%の範囲にある決定された振幅と、次数2の高調波HM2に対して整流器平均電流<Ired>の0%から15%の範囲にある決定された振幅とを用いて投入することは、最適な形での規格の目標の達成を可能にするということになる。次数1の高調波HM1には、振幅が小さければ、バス・キャパシタC
busに対する制約が、ますます少なくなる。次数1の高調波HM1の振幅が小さい場合、上記に定義されたリミット内に留まりながら、次数2の高調波HM2の振幅を増加させることが、ますますよいことになる。
【0043】
有利なことに、2つの高調波HM1、HM2の投入時、これらは、最初(t=0時)、実質的に逆位相(位相が180°ずれている)であるはずである。下記に示された表に、高調波の位相が、電流の基本波に対して90°で表されている。
【0044】
以下に、2つの高調波HM1、HM2が、それぞれ300Hzおよび600Hzで投入される2つの例が示されており、これらの例は、規格によって設定された目標の達成を可能にする。これらの2つの例のそれぞれに関し、入力電流I
eについて得られた結果は、
図3および
図4に、それぞれ見られる。
【表1】
【表2】
【0045】
これらの最初の2つ例は、上述の特性を有した、300Hzおよび600Hzの2つだけの高調波の投入の妥当性を示す。THDiおよびPWHDが、規格で規定されたリミットより小さく、さらに十分な余裕を保持していることが注目される。
【0046】
さらに、目標は、5つの高調波の投入によって達成されてもよいが、これは、特に制御のダイナミックスのレベルにおいて、束縛しすぎになるかもしれない。以下の例3は、この現象の説明を可能にする(
図5)。
【表3】
【0047】
上述の例3では、次数1の高調波の振幅が大きすぎ(約34%)、バス・キャパシタに対する寸法づけの制約を生じる。
【0048】
一方、以下に示すのは、不満足である2つの他の例である。第1の例は、300Hzおよび600Hzの2つの高調波の投入にかかわり、第2の例は、300Hz、600Hz、900Hz、1200Hz、および1500Hzの5つの高調波の投入にかかわる。これらの2つの他の例に関し、入力電流I
eに対して得られた結果は、
図6および
図7に、それぞれ見ることができる。
図7では、高調波HM4およびHM5が言及されていない、というのは、これらは、識別が困難であるからである。
【表4】
【0049】
この例4では、得られたPWHDが良好でないことが注目される。というのは、それが、ちょうど要求されたリミット(46%)に等しいからである。例1および2に関し、特に、次数1の高調波の振幅が10%より大きくなく、それは、疑いもなく、不十分であることに注目することができる。
【表5】
【0050】
この最後の例では、最大までTHDiを最適化することによって、回路網の周波数の6倍の周波数での5つの同期化された高調波の投入が、規格によってPWHDに対して設定された46%の基準を満たすことを可能にしないことが注目される。
【0051】
本発明の範囲を逸脱することなく、他の変形形態および細部の改良を意図し、均等な手段の利用を想到することも、もちろん可能である。
【符号の説明】
【0052】
R、S、T 入力相
I
e 入力電流
I
red 整流器電流
V+ 正電位
V− 負電位
V
L、V
red、V
bus、V
aux、V
C 電圧
L インダクタ
D1、D2 ダイオード
T1、T2 電子スイッチ
C
bus バス・キャパシタ
M1,M2、M3 中間点
P1、P2 接続中間点
D1、D2 差
<I
red>
ref、I
redref、VC
ref、V
Lref、V
auxref 基準値
I
sh 高調波
V
busref 軌跡
HM1、HM2、HM3、HM4、HM5 高調波