特許第5774467号(P5774467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774467
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】管更生工法
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/32 20060101AFI20150820BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20150820BHJP
   E03F 3/04 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
   B29C63/32
   F16L1/00 J
   !E03F3/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-287818(P2011-287818)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-136186(P2013-136186A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】507157676
【氏名又は名称】株式会社クボタ工建
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】神谷 敏
(72)【発明者】
【氏名】柳川 正和
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−132629(JP,A)
【文献】 特開2001−311387(JP,A)
【文献】 特開2002−310378(JP,A)
【文献】 特開2005−240969(JP,A)
【文献】 特開2009−133477(JP,A)
【文献】 特開2004−130538(JP,A)
【文献】 特開2004−052485(JP,A)
【文献】 特開2002−332797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00−63/48
F16L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管内で長尺な帯状の管構成部材を螺旋状に巻回して、管状体を組み立て、前記既設管と前記管状体との間に裏込材を充填して、前記裏込材の硬化により、前記既設管と前記管状体とを一体化させて、前記既設管を更生させる管更生工法において、
長手方向に延びる支持部材を、前記既設管の内面に所定の間隔で複数仮固定し、
前記支持部材上に、強化繊維格子筋を前記既設管の内面と隙間を隔てて平行に取り付けた後、
前記強化繊維格子筋より内側で前記管状体を組み立てる、ことを特徴とする管更生工法。
【請求項2】
請求項1に記載の管更生工法において、
前記支持部材の長手方向を前記既設管の管軸方向へ向けて、前記支持部材を前記既設管の内面に仮固定する、ことを特徴とする管更生工法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の管更生工法において、
前記支持部材を押さえ片により前記既設管の内面に押さえて、前記押さえ片をビス、ネジまたはボルトにより前記既設管の内面に取り付けることにより、前記支持部材を前記既設管の内面に仮固定する、ことを特徴とする管更生工法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の管更生工法において、
前記裏込材に短繊維を混ぜ込んだ、ことを特徴とする管更生工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管内で長尺な帯状の管構成部材を螺旋状に巻回して、管状体を組み立て、該管状体を裏込材により既設管と一体化させて、既設管を更生させる管更生工法に関する。
【背景技術】
【0002】
既設管を更生する管更生工法として、たとえば、特許文献1で従来技術として開示されているような、製管工法がある。この製管工法では、既設管の内面上部にスペーサを設置した後(特許文献1の図10など参照)、既設管内で長尺な帯状の管構成部材を螺旋状に巻回し、隣り合う巻回側縁を接合することにより、管状体を組み立てる。この組立工程を製管装置により行うことで、人力を軽減して、日進量を増大させることができる。
【0003】
そして、既設管とスペーサとの間に、裏込材注入用のノズルとホースを通し、ノズルから裏込材を注入して、既設管と管状体との間に裏込材を充填する(特許文献1の図14など参照)。このとき、スペーサにより、ノズルとホースの挿通用のスペースと、裏込材を行き渡らせ易くするためのスペースとが確保され、かつ、裏込材による浮力で管状体が浮き上がることが阻止される。その後、裏込材が硬化することにより、既設管と管状体とが一体化されて、既設管が更生される。
【0004】
しかしながら、既設管の内面上部にスペーサを設置すると、更生後の既設管の内空部が大きく偏心して、有効断面(内空部の断面)が小さくなってしまう。管更生工法では、更生後の既設管の有効断面を大きくすることが求められる。
【0005】
また、管更生工法では、更生後の既設管の強度を上げることも求められる。そのため、たとえば、特許文献2に開示されているように、既設管と管構成部材との間に鉄筋を配設することにより、補強することが行われている。
【0006】
一方、たとえば、特許文献3に開示されているように、炭素繊維やガラス繊維などを格子状に積層成形して成る強化繊維格子筋を用いて、コンクリート構造物の壁面を補強する方法がある。この補強方法では、強化繊維格子筋をコンクリート壁面にアンカーボルトで固定した後、モルタルを吹き付けたり塗り付けたりして増厚する。
【0007】
また、PFL工法と呼ばれる管更生工法では、既設管の内面に炭素繊維格子筋をアンカーボルトで固定した後、ポリエチレンパネルを設置し、該パネルと既設管との間にモルタルを注入する。ポリエチレンパネルの裏側には、長手方向と短手方向に所定の間隔で突起が設けられている。
【0008】
しかしながら、劣化した既設管の内面に、強化繊維格子筋を固定するために、アンカーボルトを打ち込むと、既設管がひび割れたり、該ひび割れが大きくなったりして、既設管が大きく損傷してしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−364774号公報
【特許文献2】特開昭64−21124号公報
【特許文献3】特開2010−189834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、既設管の損傷を抑えながら、更生後の既設管の有効断面を大きくして、強度を上げることができる、管更生工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、既設管内で長尺な帯状の管構成部材を螺旋状に巻回して、管状体を組み立て、既設管と管状体との間に裏込材を充填して、裏込材の硬化により、既設管と管状体とを一体化させて、既設管を更生させる管更生工法において、長手方向に延びる支持部材を、既設管の内面に所定の間隔で複数仮固定し、支持部材上に強化繊維格子筋を既設管の内面と隙間を隔てて平行に取り付けた後、強化繊維格子筋より内側で管状体を組み立てる。
【0012】
上記によると、既設管の内面上部にスペーサを設置せずに、既設管と管状体との間に複数の支持部材を介して強化繊維格子筋を既設管の内面と平行に介在させている。このため、既設管と強化繊維格子筋との間に、支持部材の高さと同等の隙間を確保することができる。そして、当該隙間から裏込材を注入して、強化繊維格子筋の格子間を通して管状体の裏側に裏込材を行き渡らせて、既設管と管状体との間に裏込材を充填することができる。また、強化繊維格子筋が管状体を周方向から支えるので、裏込材による浮力で管状体が浮き上がるなどして動くのを阻止することができる。
【0013】
また、既設管と管状体との間隔が全周に渡って一定になるので、既設管と管状体との間に充填された裏込材の硬化状態を一様にすることができる。このため、更生後の既設管の内空部が偏心せずに、真円状になり、更生後の既設管の強度を全周に渡って均一にして、有効断面(内空部の断面)を大きくすることができる。
【0014】
さらに、管状体の組み立て後は、管構成部材の伸張力により、強化繊維格子筋を介して支持部材が既設管の内面に押え付けられ、裏込材の硬化後は、既設管、管状体、強化繊維格子筋、および支持部材が一体化される。このため、それまでの間、強化繊維格子筋を取り付けるための支持部材を、既設管の内面に簡易な手段で仮固定すればよく、強固な固定具を用いる必要がなくなり、既設管の損傷を抑えることができる。
【0015】
また、本発明では、上記管更生工法において、支持部材の長手方向を既設管の管軸方向へ向けて、支持部材を既設管の内面に仮固定するようにしてもよい。
【0016】
これにより、支持部材を既設管の曲率に応じて曲げ加工する必要がなく、線状の支持部材を既設管の内面に隙間なく沿わせることができる。このため、支持部材により、既設管と管状体との間隔が拡がって、更生後の既設管の有効断面が縮小するのを抑えることができる。また、支持部材にかかる費用を低く抑えて、その分、施工コストも低く抑えることができる。
【0017】
また、本発明では、上記管更生工法において、支持部材を押さえ片により既設管の内面に押さえて、押さえ片をビス、ネジまたはボルトにより既設管の内面に取り付けることにより、支持部材を既設管の内面に仮固定する。
【0018】
これにより、既設管に生じる応力を小さくして、既設管の損傷をより抑えることができる。
【0019】
さらに、本発明では、上記管更生工法において、裏込材に短繊維を混ぜ込んでもよい。
【0020】
これにより、管既設と管状体との間に裏込材を充填したときに、短繊維が強化繊維格子筋や支持部材や管構成部材に絡み付く。このため、裏込材の硬化後に、裏込材と強化繊維格子筋や支持部材や管構成部材の接合力が大きくなって、更生後の既設管の強度を一層上げることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、既設管の損傷を抑えながら、更生後の既設管の有効断面を大きくして、強度を上げることができる、管更生工法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による管更生工法の支持部材の仮固定状態を示した図である。
図2】同管更生工法の炭素繊維格子筋の取り付け状態を示した図である。
図3】同管更生工法の支持部材の仮固定状態と炭素繊維格子筋の取り付け状態を示した斜視図である。
図4】同管更生工法の支持部材の仮固定状態と炭素繊維格子筋の取り付け状態を示した部分拡大斜視図である。
図5】同管更生工法の管状体の組み立て状態を示した図である。
図6】同管更生工法の管状体の組み立て状態を示した図である。
図7】同管更生工法で使用するストリップとジョイナを示した図である。
図8】同管更生工法の裏込材の充填状態を示した図である。
図9】同管更生工法による更生後の既設管の軸方向の断面図である。
図10】同管更生工法による更生後の既設管の径方向の断面図である。
図11】他の実施形態による更生後の既設管の径方向の断面図である。
図12】他の実施形態による支持部材の仮固定状態と炭素繊維格子筋の取り付け状態を示した部分拡大斜視図である。
図13】他の実施形態による更生後の既設管の径方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0024】
まず、本発明の一実施形態に係る管更生工法において使用する材料と装置を、図1図8を参照しながら説明する。
【0025】
図1図4などに示す支持部材3は、長手方向に延びる等辺山型鋼から構成されている。支持部材3には、図3および図4に示すように、複数の孔3a、3bが形成されている。支持部材3は、頂点3cを既設管Pの中心に向け、かつ、長手方向を既設管Pの管軸方向へ向けた状態で、既設管Pの内面に所定の間隔で複数仮固定される。
【0026】
詳しくは、図4に示すように、押さえ片4を支持部材3の長孔3aへ通して、支持部材3を押さえ片4により既設管Pの内面に押さえた状態で、固定部材であるビス5により、押さえ片4を既設管Pの内面に取り付ける。このような、押さえ片4とビス5による仮固定を、少なくとも支持部材3の両端で行うことで、支持部材3が既設管Pの内面に係止される。ビス5の代わりに、ネジやボルトを用いることもできる。ビス5は、電動工具やハンマーなどにより、既設管Pの内面に取り付けられる。
【0027】
図2図4に示す、炭素繊維格子筋6は、カーボンやガラスなどの高性能連続強化繊維を樹脂に含浸させながら一体的に積層成形したFRP(Fiber Reinforced Plastics)格子筋から構成されている。炭素繊維格子筋6は、比重が非常に軽く、格子の交差部分が面一であるため、鉄筋と比較して薄厚である。また、炭素繊維格子筋6は、高強度かつ高弾性の連続強化繊維が二方向に配列されているため、鉄筋と同様の補強効果を有している。さらに、炭素繊維格子筋6は、錆が発生せず、耐食性に優れている。炭素繊維格子筋6は、本発明の「強化繊維格子筋」の一例である。
【0028】
炭素繊維格子筋6は、図2に示すように、長方形に形成されている。たとえば、炭素繊維格子筋6を巻物状に収縮させることで、既設管P内に容易に運び入れることができる。
【0029】
炭素繊維格子筋6は、図3図4、および図6に示すように、既設管Pの内面と平行に支持部材3上に取り付けられ、既設管Pの内面を全周に渡って覆う。詳しくは、図3および図4に示すように、炭素繊維格子筋6を複数の支持部材3の頂点3cに架かるように載置して、炭素繊維格子筋6の適宜箇所を支持部材3に結束部材7により固定する。結束部材7としては、たとえば、針金や樹脂製の結束バンドなどを用いる。
【0030】
炭素繊維格子筋6の支持部材3への取り付けの方法や強度や箇所は、炭素繊維格子筋6が自重により外れ落ちないような簡易な程度でよく、それ以上に強固にする必要はない。また、支持部材3の既設管Pの内面への仮固定の方法や強度や箇所は、支持部材3と炭素繊維格子筋6が自重により外れ落ちないような簡易な程度でよく、それ以上に強固にする必要はない。
【0031】
図5図7などに示すストリップ1とジョイナ2は、硬質塩化ビニルなどの合成樹脂を長尺で帯状に成形して構成されている。図7(a)に示すように、ストリップ1の裏面には、T型脚部1aが所定の間隔で複数形成されている。ストリップ1の両側縁の裏面側には、L型脚部1bが形成されている。ストリップ1の両側縁の表面側には、凹凸型の嵌合部1cが形成されている。T型脚部1a、L型脚部1b、および嵌合部1cは、ストリップ1の全長に渡って延びるように形成されている。
【0032】
図7(a),(b)に示すように、ストリップ1の幅は、ジョイナ2の幅より大きくなっている。図7(b)に示すように、ジョイナ2の両側縁の裏面側には、凹凸型の嵌合部2cとリブ2bが形成されている。嵌合部2cの凹部には、止水用のシール材2aが設けられている。嵌合部2cとリブ2bは、ジョイナ2の全長に渡って延びるように形成されている。
【0033】
ストリップ1を螺旋状に巻回して、ストリップ1の隣り合う巻回側縁の嵌合部1cに、図7(c)に示すように、ジョイナ2の嵌合部2cを嵌合することにより、ストリップ1の隣り合う巻回側縁は接合される。この接合を連続して行うことで、管状体Rが組み立てられる。ストリップ1とジョイナ2は、本発明の「管構成部材」の一例である。
【0034】
図5および図6に示す製管装置100のボディ10には、操作ユニット11、走行ユニット12、旋回ユニット13、および駆動源14が備わっている。作業者は、操作ユニット11に設けられたレバーやボタンなどを操作して、製管装置100を運転する。駆動源14は、たとえば、減速機付の電動モータやエアーモータから成る。
【0035】
走行ユニット12は、駆動源14の動力を伝達して、車輪15を回転させることにより、製管装置100を既設管Pの管軸方向へ走行させる。旋回ユニット13は、駆動源14の動力を伝達して、回転軸17を軸周りに回転させることにより、回転軸17に連結されたアーム19a、19b、19c、19dを既設管Pの管軸周りに旋回させる。
【0036】
アーム19aの先端には、嵌合ユニット20が連結されている。図6に示すように、嵌合ユニット20の側方には、位置決めユニット30が連結されている。アーム19bの先端には、送りユニット40が連結されている。アーム19c、19dの先端には、それぞれ案内ユニット50が連結されている。
【0037】
製管装置100は、走行ユニット12により走行しながら、旋回ユニット13によりアーム19a、19b、19c、19dを旋回させることにより、各ユニット20、30、40、50を既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行させる。
【0038】
案内ユニット50には、複数のローラが設けられている(符号省略)。案内ユニット50は、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行(図5で右方へ前進)しながら、外部から既設管P内に送り込まれたストリップ1をローラ間に通して、送りユニット40へ案内する。
【0039】
送りユニット40には、複数のローラと電動モータと伝達機構などが設けられている(符号省略)。送りユニット40は、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行しながら、案内ユニット50から案内されたストリップ1をローラ間に通して、既設管Pの内面へ所定の角度で送り出す。これにより、ストリップ1が、既設管P内で螺旋状に巻回される。
【0040】
嵌合ユニット20には、押圧ローラ21が設けられている。嵌合ユニット20の送りユニット40側には、図6に示すように、位置決めユニット30がリンク機構60により連結されている。嵌合ユニット20と位置決めユニット30は、既設管P内で螺旋状に管軸方向へ進行する。
【0041】
その際、位置決めユニット30は、送りユニット40により螺旋状に巻回されたストリップ1を幅方向に寄せて、ストリップ1の隣り合う巻回側縁1d(図7)を所定の間隔に位置決めする。嵌合ユニット20は、位置決めユニット30により位置決めされたストリップ1の巻回側縁1dの嵌合部1cに、外部から既設管P内に送り込まれたジョイナ2の嵌合部2cを、押圧ローラ21により嵌合する。ジョイナ2は、製管装置100の後方(図5で左側)から供給管16を通して、嵌合ユニット20の近傍に送り込まれる。
【0042】
製管装置100は、既設管P内でストリップ1を螺旋状に巻回して、ストリップ1の隣り合う巻回側縁をジョイナ2で接合することにより、管状体Rを組み立てる。
【0043】
図8に示す、裏込材Mの注入用のノズル8とホース9は接続されている。ホース9は、既設管P外に設置された供給装置(図示省略)に接続されている。ノズル8とホース9は、既設管Pと炭素繊維格子筋6との隙間Sに挿通される。ホース9を引っ張ることにより、ノズル8は既設管Pの管軸方向へ移動する。既設管Pと炭素繊維格子筋6との間隔、すなわち、既設管Pの内面から、炭素繊維格子筋6を支持する支持部材3の頂点3c(図4など)までの高さは、ノズル8の径より大きくなっている。ホース9の径は、ノズル8の径より小さくなっている。
【0044】
裏込材Mは、短時間で硬化し、流動性が高く、体積変化のない、セメント系の薬液から構成されている。供給装置で混合・撹拌された裏込材Mは、ホース9内を通してノズル8に供給され、ノズル8の注入口8aから所定の圧力で注入されて、既設管Pと管状体Rの間に充填される。
【0045】
次に、本発明の一実施形態に係る管更生工法を、図1図10を参照しながら説明する。
【0046】
まず、図1図4に示すように、支持部材3の長手方向を既設管Pの管軸方向へ向けながら、既設管Pの内面に支持部材3を所定の間隔で複数仮固定する。そして、支持部材3上に炭素繊維格子筋6を既設管Pの内面と隙間Sを隔てて平行に取り付けて、既設管Pの内面を全周に渡って所定の間隔をおいて炭素繊維格子筋6で覆う。
【0047】
次に、既設管P内に製管装置100を設置する。そして、図5および図6に示すように、炭素繊維格子筋6より内側で製管装置100によって、ストリップ1を螺旋状に巻回して、ストリップ1の隣り合う巻回側縁をジョイナ2で接合することにより、管状体Rを組み立てる。
【0048】
管状体Rを組み立てた後、既設管P内から製管装置100を撤去する。この後、図8に示すように、既設管Pと炭素繊維格子筋6との隙間Sに、裏込材の注入用のノズル8とホース9を挿通する。そして、ノズル8とホース9を既設管Pの管軸方向へ移動させながら、ノズル8の注入口8aから裏込材Mを所定の圧力で注入して、管状体Rと既設管Pとの間に裏込材Mを充填する。充填後、ノズル8とホース9とを、既設管Pと炭素繊維格子筋6との隙間Sから引き抜く。
【0049】
その後、所定時間をおいて、裏込材Mを硬化させることにより、図9および図10に示すように、既設管P、管状体R、炭素繊維格子筋6、および支持部材3が裏込材Mにより一体化されて、既設管Pが更生された状態となる。
【0050】
一方、既設管Pが、たとえば下水道管であって、既設管P内に汚水などの液体が流れている場合は、当該液体が流れた状態のまま、上記のように、支持部材3の仮固定工程と、炭素繊維格子筋6の設置工程と、製管装置100による管状体Rの組み立て工程とを行う。図1図2図5、および図6では、破線より下のクロスハッチングで示す部分に液体が流れている。
【0051】
そして、管状体Rを組み立てて、製管装置100を既設管P内から撤去した後は、液体を管状体Rの内側へ導いて、管状体R内に液体が流れるようにする(図9および図10で、破線より下のクロスハッチングで示す部分)。なお、既設管Pと管状体Rとの間に介在していた液体は、既設管Pの勾配に沿って下流へ流れて行く。
【0052】
しばらくして、既設管Pと管状体Rとの間から液体が抜けると、上記のように、管状体Rと既設管Pとの間に裏込材Mを充填する。そして、上記のように、裏込材Mを硬化させて、既設管Pを更生させる。
【0053】
上記実施形態によると、既設管Pの内面上部にスペーサを設置せずに、既設管Pと管状体Rとの間に、複数の支持部材3を介して、炭素繊維格子筋6を既設管Pの内面と平行に介在させている。このため、既設管Pと炭素繊維格子筋6との間に、支持部材3の高さと同等の隙間Sを確保することができる。そして、当該隙間Sから裏込材Mを注入して、炭素繊維格子筋6の格子間を通して管状体Rの裏側に裏込材Mを行き渡らせて、既設管Pと管状体Rとの間に裏込材Mを充填することができる。
【0054】
特に、管状体Rの裏側(既設管Pの内面側)では、ストリップ1とジョイナ2の脚部1a、1b、2aが螺旋状に延在していて、裏込材Mの流動に対して障壁となるおそれがある。然るに、上記実施形態のように、既設管Pと炭素繊維格子筋6との間に隙間Sを確保しておくと、当該隙間Sから注入した裏込材Mを、炭素繊維格子筋6の格子間を通してストリップ1とジョイナ2の脚部1a、1b、2aの間に流入させたり、該脚部1a、1b、2aの間から隣う合う脚部1a、1b、2aの間へ流入させたりして、既設管Pと管状体Rとの間の隅々に裏込材Mを行き渡らせることができる。
【0055】
また、炭素繊維格子筋6が管状体Rを周方向から支えるので、裏込材Mによる浮力で管状体Rが浮き上がるなどして動くのを阻止することができる。
【0056】
また、既設管Pと管状体Rとの間隔が全周に渡って一定になるので、既設管Pと管状体Rとの間に充填された裏込材Mの硬化状態を一様にすることができる。このため、図10に示すように、更生後の既設管Pの内空部Kが偏心せずに、真円状になり、更生後の既設管の強度を全周に渡って均一にして、有効断面(内空部Kの断面)を大きくすることができる。加えて、既設管Pの更生厚みが薄くなるので、管更生工法の日進量を大きくすることができる。
【0057】
さらに、管状体Rの組み立て後は、ストリップ1とジョイナ2の伸張力により、炭素繊維格子筋6を介して支持部材3が既設管Pの内面に押え付けられ、裏込材Mの硬化後は、既設管P、管状体R、炭素繊維格子筋6、および支持部材3が一体化される。このため、それまでの間、炭素繊維格子筋6を取り付けるための支持部材3を、押さえ片4やビス5といった簡易な手段で既設管Pの内面に仮固定するだけでよい。この結果、アンカーボルトのような強固な固定具を用いる必要がなくなり、既設管Pに生じる応力を小さくして、既設管Pの損傷を抑えることができる。
【0058】
また、上記実施形態では、支持部材3の長手方向を既設管Pの管軸方向へ向けて、支持部材3を既設管Pの内面に仮固定している。このため、支持部材3を既設管Pの曲率に応じて曲げ加工する必要がなく、線状の支持部材3を既設管Pの内面に隙間なく沿わせることができる。この結果、支持部材3により、既設管Pと管状体Rとの間隔が拡がって、更生後の既設管Pの有効断面が縮小するのを抑えることができる。また、支持部材3にかかる費用を低く抑えて、その分、施工コストも低く抑えることができる。
【0059】
また、上記実施形態では、管状体Rを組み立てた後、既設管Pと炭素繊維格子筋6との隙間Sにノズル8とホース9を挿通して、ノズル8の注入口8aから裏込材Mを注入している。このため、裏込材Mが既設管Pと炭素繊維格子筋6との隙間Sから、炭素繊維格子筋6の格子間を通って管状体Rの裏側に行き渡り易くなり、既設管Pと管状体Rとの間に裏込材Mを確実に充填することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、既設管P内に液体が流れている場合でも、当該液体が流れた状態のまま、管更生工法を施工することができ、別途仮配水や仮閉め切りの水路などの設備を設ける必要がない。また、管状体Rの組み立て後に、液体を管状体Rの内側へ流すので、管状体Rと既設管Pとの間に充填される裏込材Mが液体により希釈されるのを防止することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、図4からわかるように、支持部材3の短手方向の幅が、炭素繊維格子筋6の格子間隔より小さくなっている。このため、既設管Pと炭素繊維格子筋6との間から注入した裏込材Mを、炭素繊維格子筋6の格子と支持部材3との間を通して、炭素繊維格子筋6と管状体Rとの間に行き渡らせて、既設管Pと管状体Rとの間に裏込材Mを充填し易くすることができる。
【0062】
また、上記実施形態では、支持部材3に複数の孔3a、3bが設けられている。このため、既設管Pと炭素繊維格子筋6との間から注入した裏込材Mを、支持部材3の複数の孔3a、3bを通して行き渡らせて、既設管Pと管状体Rとの間に一層充填し易くすることができる。
【0063】
さらに、上記実施形態では、既設管Pの内面からの支持部材3の高さを、ノズル8の径およびホース9の径より大きくしている。このため、既設管Pと炭素繊維格子筋6との隙間Sにノズル8とホース9を挿通させて、ノズル8とホース9を移動させながら、裏込材Mを注入して、既設管Pと管状体Rとの間に素早く充填させることができる。
【0064】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、裏込材Mの供給装置において、ポリプロピレンなどの短繊維を裏込材Mに混ぜ込むようにしてもよい。短繊維としては、裏込材Mに素早く混ざり込み、繊維塊ができ難いようなものが好ましい。そして、管更生工法において、既設管P内に管状体Rを組み立てた後、短繊維を混ぜ込んだ裏込材Mをホース9とノズル8を介して、既設管Pと管状体Rとの間に充填する。
【0065】
これにより、図11に示すように、裏込材Mに混ざり込んだ短繊維Bが、炭素繊維格子筋6、支持部材3、ストリップ1の脚部1a、1b、およびジョイナ2の脚部2bに絡み付く。この結果、裏込材Mの硬化後に、裏込材Mと、炭素繊維格子筋6、支持部材3、ストリップ1、およびジョイナ2との接合力が大きくなって、更生後の既設管Pの強度を一層上げることができる。
【0066】
また、上記実施形態では、既設管Pと炭素繊維格子筋6との隙間Sにノズル8とホース9を挿通させて、管状体Rと既設管Pとの間に裏込材Mを充填した例を示したが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、管状体Rに内側からドリルなどにより穿孔し、あいた孔を通して裏込材注入用のノズルやホースにより、裏込材Mを管状体Rと既設管Pとの間に充填するようにしてもよい。この場合、管状体Rに穿孔する箇所や数は、管状体Rや隙間Sの大きさなどを考慮して、適宜設定すればよい。
【0067】
また、上記実施形態では、支持部材3として等辺山型鋼を用いた例を示したが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、図12および図13に示すような、丸棒から構成された支持部材18を用いるようにしてもよい。
【0068】
この場合、押さえ片4とビス5などを用いて、支持部材18の少なくとも両端部を既設管Pの内面に仮固定するようにすればよい。また、支持部材18と炭素繊維格子筋6とを、結束部材7により括り付けるようにして、固定すればよい。また、支持部材18の幅を、炭素繊維格子筋6の格子間隔より小さくすればよい。また、既設管Pの内面からの支持部材18の高さを、裏込材Mの注入用のノズルとホースの径より大きくすればよい。支持部材18の材質は、たとえば、金属、樹脂、または木などである。
【0069】
図13に示す支持部材18の既設管Pの内面からの高さは、図10に示した支持部材3の既設管Pの内面からの高さより低くなっている。つまり、支持部材3を用いた場合より、支持部材18を用いた場合の方が、既設管Pと炭素繊維格子筋6との隙間Sが狭くなるため、既設管Pの更生厚さが薄くなり、更生後の既設管Pの有効断面が大きくなる。このように、支持部材の高さを変えることにより、既設管Pの更生厚さと、更生後の既設管Pの有効断面の大きさとを調整することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、支持部材3の長手方向を既設管Pの管軸方向へ向けて、支持部材3を既設管Pの内面に仮固定した例を示したが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、支持部材3の長手方向を既設管Pの周方向や管軸に対して傾斜した方向へ向けて、支持部材3を既設管Pの内面に仮固定するようにしてもよい。また、支持部材3を連続または不連続で既設管Pの内面に仮固定するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、押さえ片4とビス5により支持部材3を既設管Pの内面に仮固定した例を示したが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、小型のペグや釘などのような簡易な固定部材を用いて、支持部材3を既設管Pの内面に仮固定するようにしてもよい。つまり、支持部材3を仮固定する手段は、既設管Pの内面に取り付けたときに、既設管Pに生じる応力が小さくなるようなものであればよい。
【0072】
また、上記実施形態では、強化繊維格子筋として、炭素繊維格子筋6を用いた例を示したが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、炭素やガラスやセラミックなどの無機繊維、チタンやスチールなどの金属繊維、若しくはアラミドやポリエステルやポリアミドなどの有機繊維のいずれか、またはこれらの繊維を混合したものから構成された強化繊維格子筋を用いるようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、管構成部材として、ストリップ1とジョイナ2を用いた例を示したが、本発明はこれに限定するものではない。これ以外に、たとえば、幅方向の一方の側縁にほぞが設けられ、他方の側縁にほぞ溝が設けられた長尺の帯状体を、管構成部材として用いるようにしてもよい。この場合、帯状体を螺旋状に巻回して、隣り合う巻回側縁のほぞをほぞ溝に嵌合することにより、隣り合う巻回側縁を接合して、管状体を組み立てればよい。
【0074】
また、上記実施形態では、製管装置100を用いて、管状体Rを組み立てた例を示したが、本発明はこれに限定するものではない。管状体Rの組み立ては、他の機械や道具を用いて、人力で行うようにしてもよい。然るに、管状体の組み立てを製管装置100により行うことで、人力を軽減して、日進量を増大させることができる。
【0075】
さらに、上記実施形態では、円形の既設管Pを更生させる場合に本発明を適用した例を挙げたが、これ以外の矩形や馬蹄形などの既設管を更生させる場合にも、本発明の管更生工法を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 ストリップ
2 ジョイナ
3 支持部材
4 押さえ片
5 ビス
6 炭素繊維格子筋
B 短繊維
M 裏込材
P 既設管
R 管状体
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13