【文献】
SHIMOKUNI, T., et al.,,International Journal of Oncology, 2006, Vol.28, pp.1153-1162
【文献】
TANAKA, T., et al.,,International Journal of Cancer, 2004, Vol.111, pp.617-626
【文献】
FUMOTO, S., et al.,,International Journal of Oncology, 2008, Vol.32, pp.413-423
【文献】
DEL RIO, M., et al.,,Journal of Clinical Oncology, 2007, Vol.25, No.7, pp.773-780
【文献】
麓 祥一、外8名、,食道癌における抗癌剤効果予測システムの開発.,第64回日本癌学会学術総会記事, 2005, pp.90-91, PA1-0102
【文献】
Advanced Drug Delivery Reviews,2008.12.03, Vol.61, pp.402-407
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
腫瘍組織中のAMD1遺伝子、CTSC遺伝子、EIF1AX遺伝子、C12orf30遺伝子、DDX54遺伝子、PTPN2遺伝子及びTBX3遺伝子の発現量を測定し、次式(1)〜(3)により最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)又は無増悪生存期間(日)を算出することを特徴とし、該遺伝子の発現量が該遺伝子由来のmRNA量である、イリノテカン、SN−38及び/又はその塩に対する腫瘍組織の感受性判定方法。
(数1)
最良腫瘍縮小効果(%)=139.49−12.089×A−84.477×B−12.737×C+85.900×D−29.119×E−6.8630×F+20.303×G・・・・・(1)
(数2)
全生存期間(日)=512.78−192.11×A−120.78×B+134.53×C−11.883×D+157.24×E+31.962×F−386.55×G・・・・・(2)
(数3)
無増悪生存期間(日)=68.076+78.277×A−57.358×B−15.011×C+8.9798×D+73.077×E−38.961×F−43.313×G・・・・・(3)
(式(1)、(2)及び(3)中、AはAMD1遺伝子の発現量、BはCTSC遺伝子の発現量、CはEIF1AX遺伝子の発現量、DはC12orf30遺伝子の発現量、EはDDX54遺伝子の発現量、FはPTPN2遺伝子の発現量、GはTBX3遺伝子の発現量を示す。)
(A)腫瘍組織中のAMD1遺伝子、CTSC遺伝子、EIF1AX遺伝子、C12orf30遺伝子、DDX54遺伝子、PTPN2遺伝子及びTBX3遺伝子の発現量測定試薬と、(B)次式(1)〜(3)により最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)又は無増悪生存期間(日)を算出するためのプロトコールとを含有することを特徴とし、該遺伝子の発現量が該遺伝子由来のmRNA量である、イリノテカン、SN−38及び/又はその塩に対する腫瘍組織の感受性判定用キット。
(数4)
最良腫瘍縮小効果(%)=139.49−12.089×A−84.477×B−12.737×C+85.900×D−29.119×E−6.8630×F+20.303×G・・・・・(1)
(数5)
全生存期間(日)=512.78−192.11×A−120.78×B+134.53×C−11.883×D+157.24×E+31.962×F−386.55×G・・・・・(2)
(数6)
無増悪生存期間(日)=68.076+78.277×A−57.358×B−15.011×C+8.9798×D+73.077×E−38.961×F−43.313×G・・・・・(3)
(式(1)、(2)及び(3)中、AはAMD1遺伝子の発現量、BはCTSC遺伝子の発現量、CはEIF1AX遺伝子の発現量、DはC12orf30遺伝子の発現量、EはDDX54遺伝子の発現量、FはPTPN2遺伝子の発現量、GはTBX3遺伝子の発現量を示す。)
ヒトの生体中の腫瘍組織を除く腫瘍組織中のAMD1遺伝子、CTSC遺伝子、EIF1AX遺伝子、C12orf30遺伝子、DDX54遺伝子、PTPN2遺伝子及びTBX3遺伝子の発現量を測定し、次式(1)〜(3)を用いて算出した最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)又は無増悪生存期間(日)のいずれか1つの数値の増加を指標とし、該遺伝子の発現量が該遺伝子由来のmRNA量である、イリノテカン、SN−38及び/又はその塩に対する腫瘍組織の感受性亢進剤のスクリーニング方法。
(数7)
最良腫瘍縮小効果(%)=139.49−12.089×A−84.477×B−12.737×C+85.900×D−29.119×E−6.8630×F+20.303×G・・・・・(1)
(数8)
全生存期間(日)=512.78−192.11×A−120.78×B+134.53×C−11.883×D+157.24×E+31.962×F−386.55×G・・・・・(2)
(数9)
無増悪生存期間(日)=68.076+78.277×A−57.358×B−15.011×C+8.9798×D+73.077×E−38.961×F−43.313×G・・・・・(3)
(式(1)、(2)及び(3)中、AはAMD1遺伝子の発現量、BはCTSC遺伝子の発現量、CはEIF1AX遺伝子の発現量、DはC12orf30遺伝子の発現量、EはDDX54遺伝子の発現量、FはPTPN2遺伝子の発現量、GはTBX3遺伝子の発現量を示す。)
【背景技術】
【0002】
抗がん剤には、アルキル化剤、白金製剤、代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性植物アルカロイド等の種類がある。そしてこれらの抗がん剤にはがんの種類によって効果を示す場合と効果を示さない場合がある。さらに、有効であると認められている種類のがんであっても、個々の患者によって効果を示す場合と効果を示さない場合があることが知られている。このような個々の患者のがんに対して抗がん剤が効果を示すか否かを抗がん剤感受性という。
【0003】
塩酸イリノテカン(CPT−11)は本邦で開発されたtopoisomeraseI阻害という作用機序を有する抗がん剤である。本邦において、CPT−11は、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、卵巣癌に有効な薬剤として1994年1月に認可され、さらに1995年7月に胃癌、結腸・直腸癌、乳癌、有棘細胞癌、悪性リンパ腫に対する適応が認められている。CPT−11は特に大腸癌の領域で多剤併用療法のfirst line drugあるいはsecond line drugとして世界的な標準治療薬の位置を占め、その有用性が認められている。
【0004】
進行性・転移大腸癌に対する化学療法は、1990年代に登場したCPT−11、オキサリプラチンなどのkey drugと、それまで大腸癌治療の中心的薬剤であったフルオロウラシル(5−FU)を中心とするフッ化ピリミジン製剤とを併用することにより、生存率をはじめとする臨床成績が劇的に改善された。しかしそれでもなお奏効率はおよそ50%程度であり、重篤な副作用というリスクを冒して抗がん剤が投与された患者の半分では効果が得られていないのが現状であり、個々の治療反応性(レスポンダー・ノンレスポンダー)を判別する抗がん剤感受性の予測方法の確立は急務である。
【0005】
一般的に、がん化学療法の治療スケジュールは長期に渡り、副作用の発現を見ながら何クールか繰り返し治療を行った後で、効果が得られているか、そのまま投与を続けるべきか判断するが、それまでには長い時間と高額な医療費がかかり、副作用の発現も起こっているのが事実である。よって、個々の患者に対し、効果が得られるかどうかを治療前或いは治療早期に予測できる手段があれば、患者の負担や副作用の発現を軽減し、医療費を削減することができる。
【0006】
CPT−11はそれ自体抗腫瘍活性を有するものの、体内でCarboxyl esteraseにより活性化され、CPT−11に比べおよそ100〜数千倍強い抗腫瘍活性を有する7−ethyl−10−hydroxycamptothecin(SN−38)へと変換される。CPT−11とSN−38が同時に体内に存在することで抗腫瘍効果を呈すると考えられている。SN−38は肝細胞内でUDP−グルクロン酸転移酵素(UGT:UDP−glucronosyltransferase)によりグルクロン酸抱合を受け、細胞毒性のないSN−38グルクロン酸抱合体(SN−38G)となり、おもに胆汁中に排泄され腸管へと移行し、その後は便中に排泄される。腸管に排泄されたSN−38Gの一部は、腸内細菌が有するβ−グルクロニダーゼにより脱抱合され再び活性型のSN−38となり、腸管上皮のトランスポーターを介し再吸収され腸肝循環、腸上皮細胞内でのUGTによるグルクロン酸抱合化などのステップを経ながら代謝・排泄を受ける(非特許文献1)。この際に、SN−38が腸管粘膜を障害し、下痢を誘発すると考えられている。また、細胞分裂の活発な骨髄にも影響をおよぼし、赤血球減少・白血球減少・血小板減少を引き起こすことが認められている。
重篤な下痢や好中球減少症などの副作用は、UGT1A1遺伝子多型がもたらすSN−38体内曝露量の変化が一因であることが示されている。しかし治療効果に関しては、プロドラッグであるCPT−11から活性代謝物SN−38への変換とその解毒、さらに腸管循環の過程におけるSN−38の再生成や、CPT−11自体の代謝と代謝物からのSN−38の生成といった体内動態の複雑性により、薬物動態により治療効果を予測できるとする報告は未だなされていない。末梢血単核球細胞のカルボキシルエステラーゼmRNA発現量がSN−38とSN−38GのAUC比とは相関するものの腫瘍縮小効果とは相関がなかったとする報告もなされている(非特許文献2)。
【0007】
また一方で、CPT−11感受性もしくは耐性に関与する因子として、SN−38の標的であるtopoisomeraseIの変異の有無や発現量、CPT−11からSN−38への変換に関与するカルボキシルエステラーゼ活性、CPT−11やSN−38の細胞内蓄積量に影響するABCトランスポーター系遺伝子(multidrug resistance protein(MRP)−1、MRP−2、Breast cancer resistant protein(BCRP)/ABCG2)、BCL2ファミリー遺伝子(特許文献1)の関与が報告されており、その他、細胞増殖抗原Ki−67、がん抑制遺伝子TP53などもCPT−11を用いた治療への反応性との関連が検討されている。臨床研究においては、抗アポトーシス作用をもつTissue inhibitor of metalloproteinase−1 (TIMP−1)の血漿中レベルが、転移結腸・直腸癌に対するCPT−11+5−FU併用療法の臨床予後と有意に相関することが最近報告されている(非特許文献3)。このようにCPT−11感受性予測バイオマーカーや感受性判定方法の必要性が認識され多くの研究がなされているが、標的であるtopoisomeraseIについても、5−FU感受性予測因子とされるチミジル酸合成酵素とともに5−FU+CPT−11併用療法の治療反応性との間に明確な関連性を見出せなかったとする報告もあるなど(非特許文献4)、治療反応性を予測し得る明確なバイオマーカーや感受性判定方法は未だ確立されていない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明におけるイリノテカン、SN−38及び/又はその塩の感受性判定方法は、検体中の前記7遺伝子の発現量を測定し、その発現量を用いて式(1)〜(3)により最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)、又は無増悪生存期間(日)を算出することにより行うことができる。本発明に使用する7つの遺伝子は、ヒト培養がん細胞を用いた系では、SN−38の感受性に関わっていると考えられる遺伝子であったが、実際のヒト臨床試験におけるCPT−11の感受性の検討では、単独でCPT−11の感受性を反映するものではなかった。そこで、臨床試験で得られた検体の各遺伝子の発現量と、各患者の最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)、無増悪生存期間(日)を重回帰分析(文献名 Shimokuni T他 “Chemosensitivity prediction in esophageal squamous cell carcinoma:novel marker genes and efficacy−prediction formulae using their expression data.”Int J Oncol 2006.5.)により解析したところ、上記7つの遺伝子の発現量を代入した式(1)〜(3)が、最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)、無増悪生存期間(日)と非常に高い相関性を有することが明らかになった。従って、検体中の上記7つの遺伝子の発現量を測定し、次式(1)〜(3)に代入することで、イリノテカン、SN−38及び/又はその塩の感受性を判定することができ、具体的に、最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)、無増悪生存期間(日)を予測することが可能となる。
(数4)
最良腫瘍縮小効果(%)=139.49−12.089×A−84.477×B−12.737×C+85.900×D−29.119×E−6.8630×F+20.303×G・・・・・(1)
(数5)
全生存期間(日)=512.78−192.11×A−120.78×B+134.53×C−11.883×D+157.24×E+31.962×F−386.55×G・・・・・(2)
(数6)
無増悪生存期間(日)=68.076+78.277×A−57.358×B−15.011×C+8.9798×D+73.077×E−38.961×F−43.313×G・・・・・(3)
(式中、AはAMD1遺伝子の発現量、BはCTSC遺伝子の発現量、CはEIF1AX遺伝子の発現量、DはC12orf30遺伝子の発現量、EはDDX54遺伝子の発現量、FはPTPN2遺伝子の発現量、GはTBX3遺伝子の発現量を示す。)
【0020】
ここで、AMD1遺伝子とはGenBankアクセッション番号NM_001634に示される塩基配列のmRNAを発現する遺伝子及びそのホモログをいい、
CTSC遺伝子とはGenBankアクセッション番号NM_148170及びNM_001814に示される塩基配列のmRNAを発現する遺伝子及びそのホモログをいい、
EIF1AX遺伝子とはGenBankアクセッション番号NM_001412に示される塩基配列のmRNAを発現する遺伝子及びそのホモログをいい、
C12orf30遺伝子とはGenBankアクセッション番号NM_024953に示される塩基配列のmRNAを発現する遺伝子及びそのホモログをいい、
DDX54遺伝子とはGenBankアクセッション番号NM_024072に示される塩基配列のmRNAを発現する遺伝子及びそのホモログをいい、
PTPN2遺伝子とはGenBankアクセッション番号NM_002828及びNM_080422に示される塩基配列のmRNAを発現する遺伝子及びそのホモログをいい、
TBX3遺伝子とはGenBankアクセッション番号NM_005996及びNM_016569に示される塩基配列のmRNAを発現する遺伝子及びそのホモログをいう。
また、遺伝子とは、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖及びアンチセンス鎖といった各1本鎖DNAを包含する趣旨であり、またその長さに何ら制限されるものではない。また、核酸(ポリヌクレオチド)としては、RNA、DNAを例示でき、DNAはcDNA、ゲノムDNA、合成DNA、RNAはmRNA、rRNA、siRNAが挙げられる。ここでポリヌクレオチドには、複数個の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドも含まれる。
【0021】
本発明のイリノテカン、SN−38及び/又はその塩に対する感受性判定方法を用いて感受性を判定するには、検体中の上記7つの遺伝子の発現量を測定し、式(1)〜(3)に代入すればよい。ここで、検体としては、がんを有する被験者(がん患者)由来の生体試料、例えば血液、血清、血漿、尿、腫瘍組織・細胞、腹水、胸水、脳脊髄液、便、喀痰等が挙げられるが、腫瘍組織が特に好ましい。検体は適宜公知の方法により処理し、組織抽出液、組織標本等として使用することもできる。
【0022】
また、本発明の対象となるがんとしては、咽頭がんを代表とする口唇、口腔及び咽頭がん、食道がん、胃がん、結腸・直腸がんなどを代表とする消化器がん、肺がんを代表とする呼吸器及び胸腔内臓器がん、骨及び関節軟骨がん、皮膚の悪性黒色腫、有棘細胞がん及びその他の皮膚のがん、中皮腫を代表とする中皮及び軟部組織がん、乳房がん、子宮がん、卵巣がんを代表とする女性性器がん、前立腺がんを代表とする男性性器がん、膀胱がんを代表とする尿路がん、脳腫瘍を代表とする眼、脳及び中枢神経系がん、甲状腺及びその他の内分泌腺がん、非ホジキンリンパ腫やリンパ性白血病を代表とするリンパ組織、造血組織及び関連組織がん、及びこれらを原発巣とする転移組織のがん等が挙げられるが、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、胃がん、結腸・直腸がん、有棘細胞がん、悪性リンパ腫に対して好適に利用でき、特に結腸・直腸がん(大腸がん)に対して好適に利用できるが、化学療法未治療がんが特に好ましい。
【0023】
遺伝子の発現量の測定は、本発明の遺伝子や遺伝子由来のmRNAを検出し得るプローブやプライマーを用いて、標的とする遺伝子のコピー数や発現量をサザンハイブリダイゼーション法、DNAマイクロアレイ、リアルタイムPCR法、RT−PCR法等により行うことができる。また、当該遺伝子によりコードされるポリペプチドも測定対象として挙げられ、遺伝子の発現量を反映するものであれば特に限定されないが、当該遺伝子由来のmRNAを測定対象とすることが好ましい。ここで、遺伝子の発現量の測定とは、遺伝子の発現の有無を確認することも含む。
【0024】
ここで、PCR法について説明する。測定対象としてmRNAを用いる場合、必要に応じて、ろ過、遠心分離、クロマトグラフィー等の公知の方法による前処理を検体に行ったのち、例えば、グアニジン−塩化セシウム超遠心法、酸性グアニジン−フェノールクロロホルム法(AGPC法)、磁気ビーズ法、シリカカラム法等の汎用法を用いて、検体からRNAを抽出することができる。また、市販のキット(QIAGEN RNeasy KIt、TRIZOL等)を用いてRNAを抽出することもできる。
【0025】
mRNAの測定は、例えば、(1)目的mRNAに特異的にハイブリダイズしうる核酸断片及び検体由来RNAを用いてPCR法による増幅産物量を求めること、(2)目的mRNAに特異的にハイブリダイズしうる核酸断片と検体由来RNAとのハイブリダイズ効率を求めること、又は(3)その他公知の方法を用いた定量方法により求めることができる。
【0026】
ここで、PCR法を用いる場合において、「目的mRNAに特異的にハイブリダイズしうる核酸断片」の設計は、目的遺伝子が有する塩基配列と他の遺伝子が有する塩基配列とを比較し、目的遺伝子のmRNAに特異的である配列を選ぶことにより行うことができる。ここで、目的遺伝子のmRNAの塩基配列は、例えば、データベース(GenBank等)を参酌することにより得ることができる。また、塩基配列をソフトウェア(Clustal X等)を用いて整列させ、目視等の手段により特異的な配列を見出すことができる。当該核酸断片の長さは、特に制限はないが、5〜50塩基からなる核酸断片が好ましく、18〜25個の連続した塩基からなる核酸断片がより好ましい。
【0027】
目的遺伝子のmRNAにハイブリダイズしうる核酸断片としては、かくして設計される配列のみならず、公知の技術常識にのっとれば適宜想定することができ、当該塩基配列と相補的な塩基配列や目的遺伝子のmRNAの測定に同様に用いることができる相同な塩基配列、例えば、a)当該塩基配列のうちの1乃至10個、好ましくは1又は数個の塩基が置換、付加又は欠失した塩基配列、b)当該塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列、c)当該塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列、からなる核酸断片などを用いることもできる。
また、斯かる核酸断片は、その両端又は片端、好ましくは5'端に任意の数、好ましくは100個、より好ましくは20個、さらに好ましくは10個以下の塩基が付加された核酸断片であってもよい。
【0028】
かくして設計される核酸断片は、例えば、その塩基配列に従い、DNA合成機により人工的に合成することができる。当該断片としては、合成後に、その特異性が確認された断片が好ましく、ここで特異性の確認としては、例えば、目的mRNAを鋳型とする場合には、適当な対照と比べて特異的なPCR増幅産物が得られることを確かめることにより行うことができる。
【0029】
このような核酸断片としては、例えばAMD1遺伝子であれば、GenBankアクセッション番号NM_001634の塩基配列の一部若しくはそれと相補的な塩基配列からなる核酸断片、又はそれらと相同な塩基配列からなり且つ機能的に等価である核酸断片が挙げられる。ここで、それらと相同な塩基配列からなり且つ機能的に等価である核酸断片としては、例えば、以下に示す(a)〜(c)に示す核酸断片であって、目的遺伝子のmRNAの測定に用いることができるものが挙げられる。AMD1遺伝子以外の場合も同様である。
(a)NM_001634で示される塩基配列の一部若しくはそれと相補的な塩基配列からなる核酸断片において、1又は数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された核酸断片。(b)NM_001634で示される塩基配列の一部若しくはそれと相補的な塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなる核酸断片。
(c)NM_001634で示される塩基配列の一部若しくはそれと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる核酸断片。
【0030】
尚、ここで、塩基配列の同一性は、GENETYX
TMのホモロジー解析プログラムを用いることにより算出される。
また、「ストリンジェントな条件」とは、2つのDNA断片がSambrook Jらによって記載されたような標準的なハイブリダイゼーション条件下で、相互にハイブリダイズすることを意味する(Expression of cloned genes in E.coli(Molecular Cloning:A laboratory manual(1989))Cold Spring harbor Laboratory Press,New York,USA,9.47−9.62及び11.45−11.61)。
【0031】
かくして作製される核酸断片及び検体由来RNAを用いてPCR法、好ましくはmRNAからのcDNAを作製する工程を含むリアルタイムRT−PCR法を行なうことで、検体のmRNAを測定することができる。ここで、RT−PCR法は、Two−Step RT−PCRやOne−Step RT−PCR等の公知の方法を用いて行うことができるが、特に簡便であり、かつクロスコンタミネーションを防ぐという点からは、One−Step RT−PCRが好ましい。斯かるOne−Step RT−PCR法は、例えば、市販のキットを用いて行うことができる(QIAGEN One−Step RT−PCR kit等)。RT反応に使用する逆転写活性を有する酵素としてはM−MHV reverse transcriptase等の種々の逆転写酵素を用いることができる。また、DNAを増幅させるPCR反応に用いるDNAポリメラーゼは90℃以上の温度に耐熱性があるものが好ましい。
【0032】
このようなPCR反応は、例えば、二本鎖DNAを一本鎖にする熱変性反応を90〜98℃、プライマーを鋳型cDNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を37〜72℃、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を50〜75℃という温度条件で、これを1サイクルとしたものを1〜数十サイクル行うことにより、行うことができる。なお、好ましい反応条件の一例は、熱変性95℃・30秒、アニーリング60℃・30秒、伸長反応72℃・40秒である。また、PCR反応の際は、2種類のプライマーを1組として用いることが好ましく、この場合は両者がセンス鎖とアンチセンス鎖との組合せになるようにする必要がある。本発明の核酸断片はプローブとしての使用もでき、他の公知のユニバーサルプライマー、オリゴヌクレオチド等と組合わせて用いることもできる。
【0033】
また、このRT−PCR反応の鋳型となるmRNAを含む検体試料としては、RNA全体量として1pg〜1μgのRNAを含むものが好ましく、2ng〜50ng含むものがより好ましい。
【0034】
適切なPCR反応が行われた場合には通常、「PCR増幅産物量」、「PCRサイクル数」と「PCRの鋳型量」との間には相関関係がある。したがって、かくして行われたPCR反応により増幅された増幅産物量とPCRサイクル数を参酌して適宜計算すれば、目的遺伝子のmRNA量、すなわち目的遺伝子の発現量を求めることができる。
【0035】
PCR増幅産物量とPCRサイクル数の決定は、特に限定されず、あらゆる方法により行うことができるが、例えば、任意に設定された一定量のDNA量に達したときのPCRサイクル数を特定することにより行うことができる。斯かる特定は、例えば、「PCR産物を標識するPCR法に併せて、標識の経時的な計測を行うPCR法」を用いて、設定した一定の蛍光強度に達する際のPCRサイクル数を特定することにより行うことができる。ここで、標識としては、例えば、蛍光色素による標識が挙げられ、標識の計測としては蛍光強度の計測が挙げられる。またここで、蛍光色素による標識としては、例えば、インターカレーター性蛍光色素による標識が挙げられ、インターカレーター性蛍光色素としてはSYBR(R)Green Iが挙げられる。インターカレーター性色素は、二本鎖核酸にインターカレーションすることで蛍光強度が増強する性質を有することから、増幅したPCR産物を反映した強度の蛍光が発せられることとなる。また、蛍光色素による標識は、蛍光色素により標識したTaqManプローブやMoleculer Beacon等の使用により行うこともできる。TaqManプローブやMoleculer Beaconは、PCRにより増幅される領域の内部配列と相同性を有するオリゴヌクレオチドに蛍光色素とクエンチャーを結合させたプローブであり、PCR反応に共存させて用いる。プローブに結合した蛍光色素とクエンチャーの相互作用でPCR増幅反応に応じた蛍光を発するため、各PCR段階での蛍光強度を測定することにより増幅されるPCR産物の経時的な観察を行うことができる。
【0036】
また、前述のとおり、検体中における目的遺伝子のmRNA量は、例えば、目的mRNAに特異的にハイブリダイズしうる核酸断片と検体由来RNAとのハイブリダイズ効率の知得によっても、求めることができる。
【0037】
ここで、目的遺伝子のmRNAに特異的にハイブリダイズしうる核酸断片は、例えば、前述のように設計及び作製されたものを用いることができる。また、斯かる核酸断片としては、標識がなされている核酸断片が好ましい。ここで、標識としては、酵素、常磁性イオン、ビオチン、蛍光色素、発色団、重金属、あるいはラジオアイソトープが挙げられ、より好ましいマーカーとしては酵素が挙げられ、ここで酵素としては、ホースラディッシュペルオキシダーゼ又はアルカリフォスファターゼが挙げられる。斯かる標識は、公知の方法により行うことができる。検体由来のRNAを含有する試料とこのような核酸断片とのハイブリダイズの程度を測定すれば、公知の換算方法により、検体中における目的遺伝子のmRNA量を知得することができる。斯かるハイブリダイズの程度の計測は、特に限定されず、公知の方法に準じて行うことができるが、たとえば核酸断片に付加された標識の計測により行うことができる。すなわち、たとえば、蛍光色素によって標識された核酸断片を用いた場合には、蛍光強度を計測することにより行うことができる。
【0038】
また、目的遺伝子の発現量の測定は、目的遺伝子やそのmRNAの塩基配列に特異的にハイブリダイズしうる核酸断片をプローブとして用いて行なうこともできる。例えばAMD1遺伝子であれば、上記のGenBankアクセッション番号NM_001634記載の塩基配列の一部(例えばGCATGTGAGTGTTCCGACTTCATCTGTTCC)若しくはそれと相補的な塩基配列からなる核酸断片、又はそれらと相同な塩基配列からなり且つ機能的に等価である核酸断片もプローブとして使用できる。これらのプローブは任意の固相に固定化して、DNAチップ、遺伝子チップ、cDNAマイクロアレイ、オリゴDNAアレイ等として利用することができる。
【0039】
また、プローブとしては、上記に挙げるもの以外に、目的遺伝子やそのmRNAの塩基配列を特異的に検出できるよう、目的遺伝子やそのmRNAの塩基配列から適宜の箇所を複数箇所選択して、当該領域に特異的にハイブリダイズしうる核酸断片を複数個併用するように設計されたものを使用してもよい。
【0040】
プローブの固定化に使用される固相は、ポリヌクレオチドを固定化できるものであれば、特に制限はなく、例えばガラス板、ナイロンメンブレン、マイクロビーズ、シリコンチップ、キャピラリー等を挙げることができる。また、固相を標識してもよい。標識には特に制限はなく、例えば蛍光色素、ラジオアイソトープ等を挙げることができる。固相へのポリヌクレオチドの固定は、予め合成したポリヌクレオチドを固相上に載せる方法であっても、また目的とするポリヌクレオチドを固相上で合成する方法であってもよい、固定方法は、例えばDNAマイクロアレイであれば、市販のスポッターを利用するなど、固定化プローブの種類に応じて、適宜公知の方法(インクジェット法によるポリヌクレオチドのプリント、in situ合成、フォトリソグラフィー法)を使用すればよい。
【0041】
上記の方法により作成されたDNAチップ等と培養細胞、組織、組織切片もしくは血液のライセート等の検体から調製されたRNAをもとに調製された標識DNAあるいはRNA、あるいはこれらの検体から直接調製された標識DNAあるいはRNAをハイブリダイズさせ、形成されたプローブと標識DNAあるいはRNAの二本鎖の量を当該プローブの標識物に由来するシグナルとして測定することで、目的遺伝子の発現量を測定することができる。ここで、シグナルの検出は常法により、例えば、放射線検出器や蛍光検出器等で測定して行なうことができる。
【0042】
上記方法に加え、マイクロビーズ法によっても目的遺伝子の発現量を測定することができる。例えばそれぞれ異なる蛍光標識を施したマイクロビーズにそれぞれの目的遺伝子由来のmRNAに対するプローブを固定し、培養細胞、組織、組織切片もしくは血液のライセート等の検体から調製された目的遺伝子のmRNAとハイブリダイズさせ、その蛍光を検出することでそれぞれの目的遺伝子を識別し、同時に、マイクロビーズに固定したプローブとハイブリダイズした目的遺伝子由来のmRNAに対して標識プローブをハイブリダイズさせ、そのプローブの標識を検出することでmRNA量を測定することにより、複数の目的遺伝子の発現量を同時に測定することもできる。
【0043】
さらに、上記のプローブを用いて、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法、FISH法、CGH法等の公知の方法を用いて、目的遺伝子のコピー数・発現量を測定することができる。また、目的遺伝子によりコードされるポリペプチドを測定対象とする場合は、当該ポリペプチドに対する特異的抗体を用いた公知の免疫染色法(ELISA法、ウェスタンブロット法、EIA法、RIA法、IHC法等)により、目的遺伝子の発現量を測定すればよい。
【0044】
イリノテカン、SN−38及び/又はその塩に対する感受性を判定するには、抗がん剤投与前及び投与中のがん患者由来の生体試料中の目的遺伝子の発現量を測定し、前式(1)〜(3)により最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)、又は無増悪生存期間(日)を算出し、所定の基準値以上の数値であった場合はそのがんは抗がん剤感受性であり、所定の基準値未満の数値であった場合はそのがんは抗がん剤感受性ではないと判定できる。ここで、所定の基準値は、対象となるがん患者の状態やがんの種類、イリノテカン、SN−38及び/又はその塩と組合わせて使用する薬剤の種類等により、後述の実施例に従って適宜設定することができるが、例えば、イリノテカン単独投与の場合は、最良腫瘍縮小効果(%)については50%、全生存期間(日)については400日、無増悪生存期間(日)については100日とするのが好ましい。
【0045】
抗がん剤投与前に、前式(1)〜(3)により得られる数値が所定の基準値未満である場合は、そのがんはイリノテカン、SN−38及び/又はその塩に対して感受性ではないと判定でき、その薬効を期待することができず、このような薬効の期待できない抗がん剤の投与が続けられた場合、がんの進行、副作用の増大が危惧される。このように、本発明における感受性判定方法は、抗がん剤治療反応性の判定のみならず、薬効の期待できない抗がん剤の継続投与に伴う副作用の増大を防ぐことにも大きく貢献するので、特に抗がん剤投与前のがん患者に好適に利用することができる。また、治療効果を期待できる患者を積極的に選出するための判定方法としても使用できる。
【0046】
また、抗がん剤投与中のがん患者由来の生体試料中の目的遺伝子の発現量を測定し、前式(1)〜(3)により得られる数値を治療サイクルごとに測定しモニタリングしていくことにより、そのがんにおける感受性を経時的に評価できるため、治療を継続すべきか否かの判定方法ともなる。抗がん剤に対して感受性を有さない場合は、その薬効を期待することができず、抗がん剤による副作用のみが発現すると考えられるため、本発明における感受性判定方法は、不必要な副作用の発現もしくは無効な治療継続に伴うがんの進行や副作用の増大を回避するための判定方法としても使用できる。
【0047】
感受性を判定するパラメターとしては、最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)、無増悪生存期間(日)のほか、有効性を表わすパラメターである全奏効期間(日)、安定期間(日)、治療成功期間(日)、副作用を表わすパラメターであるイリノテカン、SN−38及びその代謝物の血中濃度及び消失半減期、生体内利用率、濃度時間曲線下面積、クリアランス、分布容積、等を使用することもできる。
【0048】
本発明の方法は、斯かる方法を実施するためのキット、すなわち感受性判定用キットを用いて行うこともできる。ここで、斯かる感受性判定用キットとしては、(A)前記7遺伝子の発現量測定試薬と、(B)前記最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)又は無増悪生存期間(日)を算出するためのプロトコールとを含有する。ここで(A)前記7遺伝子の発現量測定試薬には、例えば、(A1)目的遺伝子の発現量測定のための方法を記載したプロトコール、(A2)目的遺伝子の発現量測定のための方法に使用する試薬、(A3)目的遺伝子のmRNAに特異的にハイブリダイズしうる核酸断片を固定化したDNAチップが含まれる。一方、(B)のプロトコールには、(B1)式(1)〜(3)により最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)又は無増悪生存期間(日)を算出するためのプロトコールに加え、(B2)イリノテカン、SN−38及び/又はその塩の感受性の有無を判定するための基準値等が挙げられる。当該基準には、最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)、無増悪生存期間(日)の基準値、基準値に影響を与える要因とその影響の程度等が含まれ、これらの基準値は、対象となるがん患者の状態やがんの種類、イリノテカン、SN−38及び/又はその塩と組合わせて使用する薬剤の種類等により適宜設定することが可能である。当該基準値を用いて、前記のように判定することができる。
本発明のキットはこれらに限定されず、斯かる方法の全部又は一部の工程を行うのに必要なものの全部又は一部を集めたものをいう。ここで、「工程を行うのに必要なもの」には、例えば緩衝液等が挙げられる。
【0049】
また、前式(1)〜(3)により得られる最良腫瘍縮小効果(%)、全生存期間(日)、又は無増悪生存期間(日)のいずれか1つの数値の増加を指標とすれば、イリノテカン、SN−38及び/又はその塩に対する感受性亢進剤がスクリーニングできる。すなわち、in vitro又はin vivoにおいて、これらの数値を増加させる物質は、抗がん剤感受性を亢進する。例えば、担癌動物における抗がん剤投与前後において、これらの数値の増加を亢進させる物質は、抗がん剤の感受性を亢進する物質(抗がん剤感受性亢進剤)である。また、in vitroでは、各種がん細胞株において、イリノテカン、SN−38及び/又はその塩の存在下でこれらの数値の増加を亢進させる物質は、抗がん剤の感受性を亢進する物質(抗がん剤感受性亢進剤)である。抗がん剤感受性亢進剤であれば、これらの数値の増加は腫瘍の縮小あるいは殺細胞効果よりも早く現れるため、より短時間の検討で当該物質が抗がん剤感受性亢進剤として有用であるかどうかを判定することができ、スクリーニングに伴う労力や費用の削減という面からも大きな効果が期待できる。
【0050】
かくして得られた抗がん剤感受性亢進剤と感受性亢進の対象となるイリノテカン、SN−38及び/又はその塩を併用すれば、当該抗がん剤の治療効果が飛躍的に向上する。本発明の組成物は、経口投与又は非経口投与のいずれも使用できるが、非経口投与が好ましい。投与に際しては、抗がん剤感受性亢進剤と感受性亢進の対象となる抗がん剤を含有する組成物を経口投与、直腸内投与、注射等の投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬品製剤の形態で投与することができる。ここで、抗がん剤感受性亢進剤と感受性亢進の対象となる抗がん剤とを含有する組成物は、それらの成分の両方を含む一の組成物であってもよく、それぞれ別個の製剤の組み合せであってもよい。また、それらの成分はそれぞれ別の投与経路であってもよい。
【0051】
このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散在、カプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、凍結乾燥剤等が挙げられる。これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、澱粉、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水等が挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤、賦形剤等の慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
【0052】
なお、前式(1)〜(3)における第1項の数値や各遺伝子の係数は、リアルタイムRT−PCR法による各遺伝子の発現量をもとにして決定されているが、リアルタイムRT−PCR法による遺伝子発現量と、リアルタイムRT−PCR法以外の別の方法による遺伝子発現量の測定値が一定の相関を有するものであれば、前式(1)〜(3)の第1項の数値や各遺伝子の係数にリアルタイムRT−PCR法とそれ以外の別の方法による測定値を調整する係数を追加して使用することもでき、当該式にリアルタイムRT−PCR法以外の別の方法による遺伝子発現量を代入すればよい。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を挙げて本発明の内容をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制約されるものではない。
【0054】
実施例1(がん細胞株を用いたSN−38の感受性に関わる遺伝子の特定)
1.ヒトがん細胞株、ヒト非腫瘍性培養細胞からのtotal RNAの調製
2種のヒト白血病細胞株(骨髄性白血病細胞株K562及びその獲得性多剤耐性細胞株K562/DOX)、9種の肺癌細胞株(小細胞肺癌細胞株PC−6、そのSN−38獲得耐性細胞株PC−6/SN2−5及びそのCPT−11獲得耐性細胞株PC−6/DQ2−2、肺腺癌細胞株PC−9及びそのCDDP(シスプラチン)獲得耐性細胞株PC−9/CDDP、肺腺癌細胞株PC−14及びそのCDDP獲得耐性細胞株PC−14/CDDP、肺扁平上皮細胞癌株LC−S、並びに肺腺癌細胞株A549)、7種の消化器癌(大腸癌4株HCC−48、HCC−50、COLO201、COLO320DM、胃癌2株HSC−42,MKN45,食道癌1株HEC−46)、1種の口腔上皮類表皮癌細胞株(KB)からRNeasy
TM Mini kit(Qiagen社製)を用いて添付プロトコールに従いtotal RNAを抽出し、−80℃で保存した。
total RNAは2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies社製)及びRNA LabChip(Agilent Technologies社製)を用いて、18S及び28S rRNAのピークが鮮明で高品質であることを確認してからマイクロアレイ解析に供した。
【0055】
2.マイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析及びreal−time RT−PCR法による定量的遺伝子発現解析
20,784クローンとポジティブコントロール及びネガティブコントロールを含むRIKEN human 21Kアレイ及び19,881クローンとポジティブコントロール及びネガティブコントロールを含むオリゴヌクレオチドマイクロアレイCodeLink
TM Uniset Human 20K I Bioarray(GE Healthcare社製)を使用して、上記19種のヒト培養腫瘍細胞株の遺伝子発現プロファイルを分析した。RIKEN human 21Kアレイを構築するために使用した標的DNAは、ResGen(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)から購入したcDNAクローンのグリセロールストックであった。cDNAマイクロアレイでは、COLO201細胞を参照サンプルとして、サンプル細胞株のポリ(A)RNAをそれぞれ、Cy5−dCTP及びCy3−dCTPを用いるランダムプライミングによる逆転写によって標識し、オリゴヌクレオチドマイクロアレイでは、すべての検体をCy5で標識し一色法で評価した。RIKEN human 21Kアレイを用いた解析では、各スポットのlog
2(Cy3/Cy5)を求め、これからアレイの全スポットシグナルlog
2(Cy3/Cy5)の中央値を差し引き、それぞれの遺伝子の標準化した相対的発現量とした。オリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いた解析では、上記で得られたシグナル強度データをGeneSpring
TM GX(Agilent社製)マイクロアレイ遺伝子発現解析ソフトを用いてNormalizationを行い解析した。すなわち、スポットシグナルから背景シグナルを差し引き、その値が0.01未満は0.01とし、アレイの全スポットシグナルの中央値で割った値をそれぞれの遺伝子の標準化した相対的発現量とした。また、TaqMan
TM Gene Expression Assays(Applied Biosystems)、ABI Prism 7900HT sequence detection system(Applied Biosystems)を用いて定量的に遺伝子発現量を評価した。
【0056】
3.イリノテカン、SN−38に対する感受性評価
網羅的遺伝子発現解析を行った19種のヒト培養腫瘍細胞株について、MTT(methylthiazol tetrazolium bromide)法を用いてイリノテカン及びSN−38に対する感受性評価を行った。すなわち、96穴マイクロプレート(Nunclon;Nunc,Roskilde,Denmark)の各穴に80μLの培養液(10%胎仔血清加RPMI1640培養液)とともに4×10
3個の細胞を播種し、24時間、37℃、5%CO
2の条件下、インキュベーター内で培養、その後培養液(10%胎仔血清加RPMI1640培養液)を入れ替え、さまざまな濃度のSN−38又はイリノテカンとともに37℃、5%CO
2の条件下、インキュベーター内で培養した。72時間培養後に培養液を取り出し、各穴に100μLのPBS(リン酸緩衝液)を加え、5分間1500rpmで遠心し、上清を吸引除去した。各穴に10μLの0.4%MTT試薬と10μLの0.1Mのコハク酸ナトリウムを加え、37℃、5%CO
2の条件下で2時間培養、その後150μLのDMSOを加え、十分にピペッティングした後、マイクロプレートリーダー(Maxline Microplate Reader,Molecular Devices、Sunnyvale,CA)にて570〜650nmでの吸光度を測定した。薬剤処理群の各穴の吸光度から、培養液のみの吸光度の平均値を差し引いた値の平均値を求め、対照群(薬剤未処理群)の各穴の吸光度から、培養液のみの吸光度の平均値を差し引いた値の平均値で除し、これに100を乗して増殖阻止率(%)を求め、片対数グラフに濃度別にプロットして増殖阻止曲線を作成、これより50%細胞増殖阻止濃度(IC
50)を求め、感受性比較の指標とした(表1)。
【0057】
【表1】
【0058】
4.SN−38の感受性に関わる遺伝子の特定
上記19細胞株について、cDNA及びオリゴヌクレオチド両マイクロアレイにおいて、イリノテカン又はSN−38抗癌剤感受性との順位相関解析により相関した発現レベルを示す遺伝子をイリノテカン、SN−38及び/又はその塩の感受性に関わる遺伝子候補として抽出した。すなわち両マイクロアレイ解析にて得られた解析対象全遺伝子の相対的発現量と、MTT法により求めたイリノテカン、SN−38による50%細胞増殖阻止濃度(IC
50)とに、順位を付け、両者いずれかに正負いずれかの相関性が認められる遺伝子をイリノテカン、SN−38及び/又はその塩の感受性に関わる遺伝子候補として抽出した。この際、RIKEN human 21K array(20,784プローブ)により求められた相対的発現量とIC
50値の順位になんらかの相関性が示唆された遺伝子(P<0.1)のうち、すでに腫瘍細胞のイリノテカン、SN−38及び/又はその塩の感受性に関わることが、National Library of Medicine’s Pubmed(1996〜2005年)に収載された897論文に異なった2施設以上からの報告として示され、しかもその感受性への関与が遺伝子導入実験やノックダウン実験などにより、機能的に証明されている遺伝子を公知感受性関連遺伝子候補として、また、過去の報告の有無にかかわらず、RIKEN human 21K array及びCodeLink
TM UniSet Human 20K I Bioarrayにより求められた相対的発現量と、イリノテカン、SN−38によるIC
50値の順位相関解析で両者ともに高い関連性(P<0.01)が示唆された遺伝子を新規感受性関連遺伝子候補として抽出した。これら各遺伝子に対し、19細胞株における定量的遺伝子発現解析をTaqMan
TM Gene Expression Assays(Applied Biosystems)を用いたreal−time RT−PCR法によって行い、その発現量とIC
50値との関連性(直線回帰分析)に再現性(P<0.05)が認められた遺伝子を最終的に、公知5並びに新規7の計12のイリノテカン、SN−38感受性関連遺伝子として特定した(表2、表3)。特定された新規7遺伝子はいずれもイリノテカン、SN−38に対する腫瘍細胞の感受性への関連に関し未だ報告のない遺伝子であった。
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
5.抽出された公知並びに新規SN−38感受性関連遺伝子を用いたin vitro効果予測式の作成
上記で求められた遺伝子はいずれもその定量的発現量とIC
50値との間に高い相関性が認められた遺伝子ではあるが、細胞の薬剤感受性機構は多因子の関与する複雑系であることが知られている。そこで、重回帰分析の手法を用い、特定された遺伝子群の定量的発現量を代入することで効果を予測する式を求め、その予測性を確認した。結果、公知5遺伝子の発現量([ABCG2],[CYP3A4],[MGMT],[POR],[TOP2A])を用いた予測式として、
【0062】
(数7)
ln[IC
50]=8.5945+0.0627ln[ABCG2]+0.0219ln[CYP3A4]+0.0299ln[MGMT]−0.5849ln[POR]+0.8099ln[TOP2A]、・・・・・(4)
【0063】
新規7遺伝子の発現量([AMD1]、[CTSC]、[EIF1AX]、[C12orf30]、[DDX54]、[PTPN2]、[TBX3])を用いた予測式として、(数8)
ln[IC
50]=6.2118+0.4942ln[AMD1]−0.3801ln[CTSC]+0.3782ln[EIF1AX]−0.4903ln[C12orf30]+1.1019ln[DDX54]−1.2042ln[PTPN2]−0.1967ln[TBX3]・・・・・(5)
【0064】
が得られた。
【0065】
前者ではR=0.7677,AICPS (Akaike’s information criterion per sample)=−1.086、後者ではR=0.8442,AICPS=−1.523とともに高い予測性が示唆された(
図1)。
【0066】
実施例2(CPT−11単独投与によるヒト臨床試験による検討)
1.CPT−11単独投与によるヒト臨床試験
ヒト培養腫瘍細胞株で特定された公知、新規の遺伝子による、及びそれらの全発現量を用いた効果予測式によるSN−38の効果予測の可能性が示唆されたことから、これら遺伝子を用いた臨床効果予測の可能性を明らかにするための前向きゲノム薬理学的臨床研究を行った。対象は根治切除不能ステージIV大腸癌薬物療法未治療例で、姑息的手術時に腫瘍検体の採取可能な症例とした。具体的な選択基準は、(1)組織学的に大腸がんの確定診断が得られている症例、(2)根治切除不能ステージIV大腸癌術後症例、(3)測定可能病変(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors,RECIST)を有する症例、(4)生理機能(骨髄、肝、腎、心など)が十分保持されている症例で、仮登録及び本登録前1週間以内の検査値が以下の基準を満たすこと。白血球数4,000/μL以上12,000/μL以下、好中球数2,000/μL以上、血小板数100,000/μL以上、ヘモグロビン量9.0g/dl以上、血清AST・ALT 施設正常値上限の2倍以下(但し、肝転移症例は3倍以下)、血清総ビリルビン1.5mg/dl以下、血清クレアチニン1.5mg/dl以下、クレアチニン・クリアランス50mL/min以上、BUN 25mg/dl以下、CRP 1mg/dl以下、Performance Status(Eastern Cooperative Oncology Group:ECOG)の分類が0〜2の症例、手術以外に前治療のない症例、手術から本登録までに21日以上経過している症例、予想生存期間が3ヶ月以上期待される症例、重篤な併存疾患、活動性の重複がんのない症例、年齢20歳以上75歳未満の症例、遺伝子解析のための組織が手術時に得られている症例、試料提供を含む研究への参加について、患者本人から文書による同意が術前に得られている症例、とし、除外基準を、(1)重篤な合併症を有する症例、(2)感染症を合併している症例、(3)下痢(水様便)のある症例、(4)腸管麻痺、腸閉塞、亜腸閉塞のある症例(本登録前のみ)、(5)間質性肺炎又は肺線維症のある症例、(6)多量の腹水、胸水のある症例、(7)黄疸のある症例、(8)治療を要する程度の虚血性心疾患、不整脈などの心疾患を有する症例(高血圧に伴う左室肥大や軽度の左室負荷、軽度の右脚ブロックなどは登録可)、(9)6ヶ月以内に発症した心筋梗塞の既往を有する症例、(10)肝硬変を合併している症例、(11)繰り返し輸血を要する消化管新鮮出血を認める症例、(12)向精神薬で治療中又は治療を要すると思われる精神障害を有する症例、(13)コントロール困難な糖尿病を合併している症例、(14)その他、重篤な術後合併症を有している症例、(15)他の薬剤に対して重篤な過敏症の既往歴のある症例、(16)妊娠中あるいは授乳中の女性、及び授子を希望する男女、(17)肝炎ウイルス、HIVウイルス、梅毒の陽性例、とした。CPT−11は単独投与とし、術後21日以上を経過して後、投与を開始し、投与開始日をday 1として、CPT−11週1回3週投与1週休薬を1コースとして投与を行なった。CPT−11の投与量は60〜100mg/m
2であった。計44例が研究に参加し、全例で最良腫瘍縮小効果(%)、無増悪生存期間(日)、全生存期間(日)の評価が可能であった。特定した公知5、新規7のイリノテカン、SN−38感受性関連遺伝子の定量的発現量解析はTaqMan
TM Gene Expression Assaysを用いたReal−time RT−PCR法にて行い、RNAの抽出が不良であった1例を除く43例で定量的発現量を確定した。
【0067】
2.効果予測式の作成と妥当性
確定した43例における公知5、新規7の遺伝子発現量を用い、効果予測式の作成とその妥当性評価を行った(
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7)。最良腫瘍縮小効果(%)については、新病変の出現により進行(progressive disease;PD)と判定された7例を除く36例を効果予測対象とし、効果予測式の作成に20例、作成された予測式の妥当性評価に16例と対象を無作為に二分して検討した。同様に、無増悪生存期間(日)については、毒性による治療中止8例、患者拒否による治療変更4例、根治的切除術施行4例、完全奏効1例を除く26例を対象とし、効果予測式の作成16例、作成された予測式の妥当性評価10例として検討した。全生存期間(日)については、生存者15例を除く生存期間確定28例を対象とし、効果予測式の作成15例、作成された予測式の妥当性評価13例として検討した。予測式の作成はin vitroと同様の手法を用いた。結果、公知5遺伝子の発現量([ABCG2],[CYP3A4],[MGMT],[POR],[TOP2A])を用いた予測式として、
【0068】
(数9)
最良腫瘍縮小効果(腫瘍径ベースライン比、%)=91.287+10.472[ABCG2]+0.65518[CYP3A4]−3.8065[MGMT]−2.1487[POR]+17.354[TOP2A]・・・・・(6)
R=0.7393,AICPS=5.188021
【0069】
(数10)
無増悪生存期間(日)=69.568−51.615[ABCG2]−3.1043[CYP3A4]+15.985[MGMT]+107.90[POR]−187.63[TOP2A]・・・・・(7)
R=0.8382,AICPS=8.073506
【0070】
(数11)
全生存期間(日)=425.67+363.52[ABCG2]−2.8749[CYP3A4]+20.765[MGMT]−481.61[POR]+321.70[TOP2A]・・・・・(8)
R=0.9267,AICPS=9.155001
【0071】
新規7遺伝子の発現量([AMD1]、[CTSC]、[EIF1AX]、[C12orf30]、[DDX54]、[PTPN2]、[TBX3])を用いた予測式として、
【0072】
(数12)
最良腫瘍縮小効果(腫瘍径ベースライン比、%)=139.49−12.089[AMD1]−84.477[CTSC]−12.737[EIF1AX]+85.900[C12orf30]−29.119[DDX54]−6.8630[PTPN2]+20.303[TBX3]・・・・・(1)
R=0.9420,AICPS=5.460938
(数13)
無増悪生存期間(日)=68.076+78.277[AMD1]−57.358[CTSC]−15.011[EIF1AX]+8.9798[C12orf30]+73.077[DDX54]−38.961[PTPN2]−43.313[TBX3]・・・・・(2)
R=0.7103,AICPS=8.411958
(数14)
全生存期間(日)=512.78−192.11[AMD1]−120.78[CTSC]+134.53[EIF1AX]−11.883[C12orf30]+157.24[DDX54]+31.962[PTPN2]−386.55[TBX3]・・・・・(3)
R=0.8426,AICPS=10.20386
【0073】
を得た。
【0074】
上記予測式について、妥当性検証を行ったところ、公知5遺伝子の発現量を用いた予測式ではいずれの有効性(効果)のパラメターも予測できないことが明らかとなった[腫瘍縮小効果(腫瘍径ベースライン比、%),P=0.2079、R=−0.3450;無増悪生存期間(日),P=0.4802、R=0.2712、全生存期間(日),P=0.4639、R=−0.2316]。一方、これと異なり、新規7遺伝子の発現量を用いた予測式では、いずれの有効性(効果)のパラメターに関しても、特に腫瘍縮小効果(腫瘍径ベースライン比、%)、全生存期間(日)で、高い予測性を有することが明らかとなった[腫瘍縮小効果(腫瘍径ベースライン比、%),P=0.007、R=0.6491;無増悪生存期間(日),P=0.1124、R=0.5333;全生存期間(日),P=0.0114、R=0.6749]。
【0075】
4.特定遺伝子単独による有効性(効果)の予測
特定された新規7遺伝子の発現量による効果予測式の有用性が示されたことから、特定された遺伝子単独の発現量のみでも効果が予測可能か否かについても検討した。解析には直線回帰分析を用いた。結果、公知5遺伝子、新規7遺伝子ともに、各々単独の発現量はいずれの有効性(効果)のパラメターとも関連性がなく、その予測は困難であることが明らかとなった。公知5遺伝子ABCG2、CYP3A4、MGMT、POR,TOP2Aの発現量と最良腫瘍縮小効果(%)、無増悪生存期間(日)、全生存期間(日)との関係は、表4のごとくであった。
【0076】
【表4】
【0077】
また、新規7遺伝子AMD1、CTSC、EIF1AX、C12orf30、DDX54、PTPN2、TBX3の発現量と最良腫瘍縮小効果(%)、無増悪生存期間(日)、全生存期間(日)との関係は、表5のごとくであった。
【0078】
【表5】
【0079】
以上より、イリノテカン、SN−38及び/又はその塩の治療有効性(効果)のパラメターである最良腫瘍縮小効果(%)、無増悪生存期間(日)、全生存期間(日)の予測には、ここで特定された新規7遺伝子の発現量を用いた上記式(1)〜(3)の予測式のみが有用であることが示された。