特許第5774487号(P5774487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774487
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネセント素子用物質
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20150820BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20150820BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   C07F15/00 FCSP
   C09K11/06 660
   C09K11/06 680
   C08G61/12
【請求項の数】12
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2011-535894(P2011-535894)
(86)(22)【出願日】2009年10月15日
(65)【公表番号】特表2012-508700(P2012-508700A)
(43)【公表日】2012年4月12日
(86)【国際出願番号】EP2009007407
(87)【国際公開番号】WO2010054731
(87)【国際公開日】20100520
【審査請求日】2012年10月12日
(31)【優先権主張番号】102008057050.8
(32)【優先日】2008年11月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100101812
【弁理士】
【氏名又は名称】勝村 紘
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(74)【代理人】
【識別番号】100127144
【弁理士】
【氏名又は名称】市原 卓三
(74)【代理人】
【識別番号】100141933
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 元
(72)【発明者】
【氏名】パルハム、アミル・ホサイン
(72)【発明者】
【氏名】ブエシング、アルネ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト、アンヤ
(72)【発明者】
【氏名】カイザー、ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】フォルッテ、ロッコ
【審査官】 瀬下 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−123862(JP,A)
【文献】 特開2001−011077(JP,A)
【文献】 特表2007−535807(JP,A)
【文献】 特開2008−160087(JP,A)
【文献】 特開2006−257024(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01731584(EP,A1)
【文献】 国際公開第2006/098120(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/008976(WO,A1)
【文献】 TAYIM,H.A. and SALAMEH,A.S.,Synthesis and properties of some transition metal complexes of Schiff base derived from the condensation of 2,6-pyridinedicarboxaldehyde and 8-aminoquinoline,Asian Journal of Chemistry,2007年,19(2),1423-1429
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 15/00
C08G 61/12
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式Iの化合物又は下記一般式IIの化合物。
【化1】
【化2】

式中、Mは、酸化状態+2の金属イオンであり、
Arは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、1つ又はそれ以上の所望のタイプのラジカルRにより置換されてもよく、かつ環系Arが任意に単結合又は所望のラジカルRにより他のものと結合されてもよい、環系内に6〜60C原子を含む芳香環又は環系内に2〜60C原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ただし、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5であるヘテロ芳香環系であり、
Yは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、C又はNであり、ただし、2つのC原子及び2つのN原子は、常に金属に結合しており、
Rは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、D、F、Cl、Br、I、N(Ar、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)Ar、C(=O)R、P(=O)(Ar、P(=O)(R、S(=O)Ar、S(=O)R、S(=O)Ar、S(=O)、CR=CRAr、OSO、そのそれぞれが1又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよく、また1つ又はそれ以上の非隣接CH基がRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S、又はCONRにより置換されてもよく、1つ又はそれ以上のHがD、F、Cl、Br、I、CN、又はNOにより置換されてもよい、1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基又は3〜40のC原子を有する分枝状又は環状アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、又はそれぞれの場合に1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系、又は1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基であって、2つ又はそれ以上の隣接する置換基Rは相互に脂肪族、芳香環又はヘテロ芳香環系を形成してもよく、
Arは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、1つ又はそれ以上のラジカルRと置換されてもよい、5〜40の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
は、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、D、F、CF、CN、そのそれぞれが1又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよく、また1つ又はそれ以上の非隣接CH基がRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(Rにより置換されてもよく、1つ又はそれ以上のHがD、F、Cl、Br、I、CN、又はNOにより置換されてもよい、1〜40のC原子を有するアルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基又は3〜40のC原子を有する分枝状又は環状アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、又はそれぞれの場合に1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系、又は1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基であって、1つ又はそれ以上の隣接する置換基RはRと脂肪族、又は芳香環系を形成してもよく、
は、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、D、F、CN、又は1つ又はそれ以上のHがFにより置換されてもよく、2つ又はそれ以上の置換基Rが相互に脂肪族又は芳香環系を形成してもよい、1〜20のC原子を有する脂肪族、芳香族及び/又はヘテロ芳香族炭化水素ラジカルである。
【請求項2】
Arは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、1つ又はそれ以上の所望のタイプのラジカルRにより置換されてもよく、環系Arが任意に単結合又は所望のラジカルRにより相互に結合されてもよい、環系内に6〜60C原子を含む芳香環又は環系内に2〜60C原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ただし、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5であるヘテロ芳香環系であり、
Rは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、D、F、Cl、Br、I、N(Ar、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)Ar、C(=O)R、P(=O)(Ar、P(=O)(R、S(=O)Ar、S(=O)R、S(=O)Ar、S(=O)、CR=CRAr、OSO、そのそれぞれが1又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよく、また1つ又はそれ以上の非隣接CH基がRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S、又はCONRにより置換されてもよく、1つ又はそれ以上のHがD、F、Cl、Br、I、CN、又はNOにより置換されてもよい、1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基又は3〜40のC原子を有する分枝状又は環状アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、又はそれぞれの場合に1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系、又は1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基であって、2つ又はそれ以上の隣接する置換基Rは相互に脂肪族、芳香環又はヘテロ芳香環系を形成してもよく、
Arは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、1つ又はそれ以上のラジカルRと置換されてもよい、5〜40の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
は、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、D、F、CF、CN、そのそれぞれが1又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよく、また1つ又はそれ以上の非隣接CH基がRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(Rにより置換されてもよく、1つ又はそれ以上のHがD、F、Cl、Br、I、CN、又はNOにより置換されてもよい、1〜40のC原子を有するアルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基又は3〜40のC原子を有する分枝状又は環状アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、又はそれぞれの場合に1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系、又は1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基であって、1つ又はそれ以上の隣接する置換基RはRと脂肪族、又は芳香環系を形成してもよく、
は、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、D、F、CN、又は1つ又はそれ以上のHがFにより置換されてもよく、2つ又はそれ以上の置換基Rが相互に脂肪族又は芳香環系を形成してもよい、1〜20のC原子を有する脂肪族、芳香族及び/又はヘテロ芳香族炭化水素ラジカルである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
MはPd又はPtである請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Mはptであり、
Arは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、複数のラジカルRにより置換されてもよい、5〜10の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
Yは、2つのC原子及び2つのN原子が常に金属に結合しているならば、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、C又はNであり、
Rは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、N(Ar、CN、そのそれぞれが1又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい、1〜10のC原子を有する直鎖アルキル、又は5〜15の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
は、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、D、CN、そのそれぞれが1又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい、1〜3のC原子を有するアルキル基又は5〜10のC原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
は、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、F、CN、又は2つ又はそれ以上の置換基Rが相互に脂肪族又は芳香環系を形成してもよい1〜20のC原子を有する脂肪族、芳香族及び/又はヘテロ芳香族炭化水素ラジカルであり、
Arは、請求項2で定義したものである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
Arは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、及びインドールから選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
下記式III及びIVである請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【化3】
式中、M、Y、R、及びRは、請求項1及び2における意味を有し、XはCR又はNを表す。
【請求項7】
環あたり、最大で2つの符号XがNを表し、この環内における他の符号XがCRを表す請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
下記式V〜XVIである請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【化4】
【化5】
式中、使用した符号は、請求項1、2及び6に示す意味を有する。
【請求項9】
遊離配位子が対応する金属塩と反応して錯体を与える請求項1〜8のいずれかに記載の化合物の製造方法。
【請求項10】
有機エレクトロルミネセント素子(OLED)又はポリマーエレクトロルミネセント素子(PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器、有機フォトリセプタ、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電気化学セル(LEC),又は有機レーザーダイオード(O-レーザー)から選ばれる電子デバイスにおいて請求項1〜のいずれかに記載の化合物を使用する方法
【請求項11】
請求項1〜のいずれかに記載の化合物を含む、有機エレクトロルミネセント素子(OLED)又はポリマーエレクトロルミネセント素子(PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器、有機フォトリセプタ、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電気化学セル(LEC),又は有機レーザーダイオード(O-レーザー)から選ばれる電子デバイス。
【請求項12】
請求項1〜のいずれかに記載の化合物が、発光層における発光物質として、又は電荷輸送層又は電荷注入層における電荷輸送化合物として用いられることを特徴とする有機エレクトロルミネセント素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に有機エレクトロルミネセント素子における発光分子としての、一般式I又はIIの遷移金属錯体、本発明の化合物を含む電子デバイス、及び本発明の化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キレート錯体及び有機金属化合物は、広い意味で電子産業に属し得る種々のタイプの多くの用途において、機能物質として使用される。有機成分(例えば、US 4,539,507及びUS 5,151,629の構成の一般的説明)に基づく有機エレクトロルミネセント素子及びその個々の部品、有機発光ダイオード(OLED)の場合には、市場への導入が既に生じている。既に達成されている成功例にもかかわらず、ここでは更なる改良が望まれている。
【0003】
近年、蛍光に代わって燐光を示す有機金属錯体が、急速に議論されるに到っている(M.A. Baldo, S. Lamansky, P. E. Burrows, M. E. Thompson, S. R. Forrest, Appl. Phys. Lett., 1999, 75, 4-6)。理論的スピン統計上の理由から、燐光発光体として有機金属化合物を用いて、4倍までのエネルギー及び出力効率の増加が可能である。実際の使用のためにここで問題とすべき主要な条件は、携帯機器への用途を促進するためには、長い操作寿命、温度応力への高い安定性、及び低い使用・操作電圧である。
【0004】
それぞれの物質についての個々の特定の弱点とは別に、公知の金属錯体のクラスは、改善の一般的要請があり、それについて以下に簡単に述べる。
【0005】
・多くの公知の金属錯体は、低い熱的安定性を有している(例えば、R. G. Charles, J. Inorg. Nucl. Chem., 1963, 25, 45)。真空蒸着を行うと、常に不可避的に有機熱分解生成物が発生し、これは、ある場合には少しであるが、OLEDの操作寿命をかなり短縮させる。
【0006】
・固体中の錯体ユニット、例えば白金のようなd金属の平面状錯体の場合の強い相互作用は、従来技術の場合である、ドーピングの程度が約0.1%を超えるならば、錯体ユニットの凝集を引き起こす。この凝集は、励起(光学的又は電気的)の際のいわゆる励起子又は励起錯体の形成を生ずる。これらの凝集は、しばしば体系化されていない、広い発光帯域を有し、それは純粋な主要色(RGB)の形成を困難にするか又は完全に不可能にする。一般に、この遷移の効率もまた低下する。
【0007】
・加えて、発光色がドーピングの程度に大きく依存することは、上記から明らかであり、そのパラメーターは、特に大型生産プラントにおけるかなりの技術的努力によってのみ正確に制御され得る。
【0008】
OLEDの技術において、中心金属が、2つの芳香族N原子及び2つのC原子(WO 2004/108857, WO 2005/042550, WO 2005/042444, US 2006/0134461 A1)又は2つのフェノールO原子(WO 2004/108857)との組合せで2つのイミン様N原子を介して、又は2つの芳香族N原子及び2つの塩基性N原子(WO 2004/108857)を介して、結合している第10群遷移金属(Ni,Pd,Pt)の金属錯体である。これら公知の化合物は、特に、電磁スペクトルの青、赤、及び緑領域においてエレクトロルミネッセンスを有する。
【0009】
それにもかかわらず、上述の欠点を持たず、好ましくは電磁スペクトルの青、赤、及び緑領域においてエレクトロルミネッセンスを示し、そして特に発光層として固体状態で使用され得る他の化合物への要望がやはり存在する。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、このタイプの化合物を提供することにある。
【0011】
驚くべきことに、芳香族O原子との組合せでイミン様N原子、又は芳香族N原子との組合せでオレフィンCN原子を有する金属錯体により、OLEDにおける燐光発光体として、長期の操作寿命が達成されること、及びこれらの配位子により温度ストレスに対する高い安定性及び低い使用及び操作電圧が達成されることが見出された。
【0012】
本発明は、この点において、下記一般式Iの化合物を提供する。
【化1】
【0013】
式中、Mは、酸化状態+2の金属イオンであり、
Arは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、1つ又はそれ以上の所望のタイプのラジカルRにより置換されてもよく、かつ環系Arが任意に単結合又は所望のラジカルRにより他のものと結合されてもよい、芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
Yは、2つのC原子及び2つのN原子、又は2つのC原子及び2つのP原子が常に金属に結合しているならば、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、C、N又はPであり、
は所望のラジカルである。
【0014】
本発明は、更に、下記一般式IIの化合物を提供する。
【化2】
【0015】
式中、Mは、酸化状態+2の金属イオンであり、
Arは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、1つ又はそれ以上の所望のタイプのラジカルRにより置換されてもよく、環系Arが任意に単結合又は所望のラジカルRにより他のものと結合されてもよい、芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
Yは、2つのC原子及び2つのN原子、又は2つのC原子及び2つのP原子が常に金属に結合しているならば、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、C、N又はPであり、
は所望のラジカルである。
【発明の実施の形態】
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、一般式I又はIIにおいて、
Arは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、1つ又はそれ以上の所望のタイプのラジカルRにより置換されてもよく、環系Arが任意に単結合又は所望のラジカルRにより相互に結合されてもよい、芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
Rは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、D、F、Cl、Br、I、N(Ar、N(R、CN、NO、Si(R、B(OR、C(=O)Ar、C(=O)R、P(=O)(Ar、P(=O)(R、S(=O)Ar、S(=O)R、S(=O)Ar、S(=O)、CR=CRAr、OSO、そのそれぞれが1又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよく、また1つ又はそれ以上の非隣接CH基がRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S、又はCONRにより置換されてもよく、1つ又はそれ以上のHがD、F、Cl、Br、I、CN、又はNOにより置換されてもよい、1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基又は3〜40のC原子を有する分枝状又は環状アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、又はそれぞれの場合に1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系、又は1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基、又は2つ又はそれ以上の隣接する置換基Rが相互にモノ環状又はポリ環状、脂肪族、芳香環又はヘテロ芳香環系を形成する、これらの系の組合せであり、
Arは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、1つ又はそれ以上のラジカルRと置換されてもよい、5〜40の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
は、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、D、F、CF、CN、そのそれぞれが1又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよく、また1つ又はそれ以上の非隣接CH基がRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(Rにより置換されてもよく、1つ又はそれ以上のHがD、F、Cl、Br、I、CN、又はNOにより置換されてもよい、1〜40のC原子を有するアルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基又は3〜40のC原子を有する分枝状又は環状アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、又はそれぞれの場合に1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系、又は1つ又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基、又は1つ又はそれ以上の隣接する置換基RがRとモノ環状又はポリ環状、脂肪族、又は芳香環系を形成する、これらの系の組合せであり、
は、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、D、F、CN、又は1つ又はそれ以上のHがFにより置換されてもよく、2つ又はそれ以上の置換基Rが相互にモノ環状又はポリ環状、脂肪族、芳香環系を形成する、1〜20のC原子を有する脂肪族、芳香族及び/又はヘテロ芳香族炭化水素ラジカルである。
【0017】
本発明の更に好ましい実施形態では、MはPd又はPtである。特に、MはPtである。
【0018】
本発明の更にまた好ましい実施形態では、一般式I又はIIの化合物において、
MはPtであり、
Arは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、複数のラジカルRにより置換されてもよい、5〜10の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
Yは、2つのC原子及び2つのN原子が常に金属に結合しているならば、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、C又はNであり
Rは、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、N(Ar、CN、そのそれぞれが1又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい、1〜10のC原子を有する直鎖アルキル、又は5〜15の芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
は、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、D、CN、そのそれぞれが1又はそれ以上のラジカルRにより置換されてもよい、1〜3のC原子を有するアルキル基又は5〜10のC原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系であり、
は、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる、H、F、CN、又は2つ又はそれ以上の置換基Rが相互にモノ環状又はポリ環状、脂肪族、芳香環系を形成する、1〜20のC原子を有する脂肪族、芳香族及び/又はヘテロ芳香族炭化水素ラジカルであり、
Arは、上で定義したものである。
【0019】
上で定義したラジカルが1つの化合物内で複数回出現するならば、そのラジカルは、それぞれの定義に対応して、それぞれ現れるごとに同一か又は異なる。
【0020】
以下の一般的定義が、本発明において更に用いられる。
【0021】
本発明の目的のためには、アリール基は6〜60C原子を含み、本発明の目的のためには、ヘテロアリール基は、2〜60C原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ただし、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくはN、O、及び/又はSから選択される。アリール基又はヘテロアリール基は、ここでは単芳香環、即ちベンゼン、又は単ヘテロ芳香環、例えばピリジン、チオフェン等、又は縮合した(融合した)アリール又はヘテロアリール基、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール等のいずれかを意味するものと理解される。
【0022】
本発明の目的のためには、一般式I又はIIにおける基Arは、特に好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、及びインドールであり、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、キノリン、及びイソキノリンが最も好ましい。
【0023】
本発明の目的のためには、芳香環系は環系内に6〜60C原子を含む。本発明の目的のためには、ヘテロ芳香環系は、環系内に2〜60C原子及び少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ただし、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくはN、O、及び/又はSから選択される。本発明の目的のためには、芳香環又はヘテロ芳香環系は、アリール又はヘテロアリール基のみを必ずしも含まないが、その代わり、複数のアリール又はヘテロアリール基が、非芳香ユニット(好ましくはH以外の原子の10%未満)例えばsp混成C、N又はO原子により中断されたものであってもよい。このように、例えば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等は、本発明の目的のためには、2つ又はそれ以上のアリール基が、例えば線状又は環状アルキル基又はシリル基により中断される。
【0024】
それぞれの場合において上述したラジカルRにより置換されてもよく、また所望の位置において芳香環又はヘテロ芳香環系に結合されてもよい、5〜60芳香環原子を有する芳香環又はヘテロ芳香環系は、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ゼンズアントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ナフタセン、ペンタセン、ゼンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、トリフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ビヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis-又はtrans-インデンフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリザジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-アザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、及びベンゾチアジアゾールから誘導された基を意味するものと理解される。
【0025】
本発明の目的のためには、典型的には1〜40又は1〜20のC原子を含み、加えて個々のH原子又はCH基が上述の基により置換されてもよい脂肪族炭化水素基又はアルキル基は、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、又はオクチニルを意味するものと理解される。1〜40C原子を含むアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、又は2,2,2-トリフルオロエトキシを意味するものと理解される。1〜40C原子を含むチオアルキル基は、特に、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチルチオ、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオ、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオ、又はオクチニルチオを意味するものと理解される。一般に、本発明におけるアルキル、アルコキシ、又はチオアルコキシ基は、1つ又はそれ以上の非隣接CH基がRC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、S、又はCONRにより置換されてもよく、更に、1つ又はそれ以上のHがD、F、Cl、Br、I、CN、又はNOに、好ましくはF、Cl、又はCN、更に好ましくはF又はCN、特に好ましくはFにより置換されてもよい、直鎖、側鎖又は環状でもよい。
【0026】
上述した式I及びIIの化合物の好ましい例は、下記の式III及びIVの化合物である。
【化3】
【0027】
式中、M、Y、R、及びRは、上述した意味を有し、XはCR又はNを表す。ここでは、環あたり、最大で2つの符号X、好ましくは最大で1つの符号XがNを表し、この環内における他の符号XがCRを表すことが好ましい。特に好ましくは、この環内において、すべての基XがCRを表す。
【0028】
上述の化合物の特に好ましい例は、下記式V〜XVIの化合物である。
【化4】
【化5】
【0029】
式中、使用した符号は、上述した意味を有する。
【0030】
上述の好ましい化合物とは別に、下記表1に示す化合物が特に好ましい。
【0031】
表1:本発明の式I〜XVIの化合物の例
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0032】
本発明の化合物は、好ましくは、酸化状態+2の四座配位金属イオンを含む平面正方形錯体である。この金属は、好ましくは、元素周期律表の第10族から選択され、特にPd及びPtである。本発明の化合物は、三重項発光を有し、非常に良好な寿命、高い効率、温度ストレスに対する高い安定性、及び高いガラス転移温度を有する。
【0033】
本発明はまた、下記一般式I又はIIの化合物の製造方法に関する。
【化16】
【0034】
式中、M、Y、Ar、R、R、及びRは、上で定義した意味を有する。
【0035】
本発明の式(I)又は(II)の化合物は、一般に当業者に知られている合成工程により製造され得る。;
配位子合成の出発点を、例えば、6-フェニル-ピリジン-2-カルボアルデヒド(J. Am. Chem. Soc. 2003, 125(8), 2113-2128)、2-ビフェニルアミン(Tetrahedron Lett. 2008, 49(9), 1555-1558)、3-ピリジン-2-イル-ベンズアルデヒド(Org. Lett. 2004, 6(19), 3337-3340)、又は2-クロロ-8-ニトロキノリン(Australian J. Chem. 2003, 56(1), 39-44)とすることが出来る。
【0036】
第1の工程は、対応する部分配位子の合成を含み、この配位子は、次の工程において、所望の配位子系を得るために結合される。その後、対応する金属(例えば、Pt又はPd)により反応が行われ、その金属は、通常、適切な金属塩、例えばKPtCl又はKPdClの溶液として用いられる。
【0037】
式(I)又は(II)の金属錯体の一般的合成手順は、スキーム1〜4に示されている。ここでは、中心金属Ptは、同様の反応においてPdにより置き換えることが出来る。
【化17】
【化18】
【0038】
本発明はまた、有機電子デバイスにおける本発明の化合物の用途に関する。本発明により使用される有機電子デバイスは、有機エレクトロルミネセント素子(OLED)、ポリマーエレクトロルミネセント素子(PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器、有機フォトリセプタ、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電気化学セル(LEC),又は有機レーザーダイオード(O-レーザー)であり、特に、有機エレクトロルミネセント素子(=有機発光ダイオード、OLED又はPLED)である。
【0039】
特に、本発明は、本発明の化合物の、発光化合物及び/又は電荷輸送物質及び/又は電荷注入物質としての、好ましくは対応する層における使用に関する。この層は、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、又は電子注入層であり得る。構造に応じて、電荷ブロッキング層としての使用も可能である。
【0040】
同様に、本発明は、上述の1つ又はそれ以上の式I又はIIの化合物を含む、例えば、有機エレクトロルミネセント素子又はポリマーエレクトロルミネセント素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器、有機フォトリセプタ、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電気化学セル(LEC),又は有機レーザーダイオード(O-レーザー)、特に、有機エレクトロルミネセント素子(=有機発光ダイオード、OLED又はPLED)のような有機電子デバイスに関する。本発明の目的のためには、有機電子デバイスは、アノード、カソード、及び少なくとも1つの幸物質を含む少なくとも1層を備える電子デバイスを意味するものと理解される。ここでは、このデバイスは、有機物質に加えて無機物質を含んでもよい。
【0041】
式I又はIIの化合物は、好ましくは、電子デバイスにおける1層内に存在する。
【0042】
このように、本発明は、上述の式I又はIIの化合物を含む層に関する。
【0043】
有機エレクトロルミネセント素子は、カソード、アノード、及び少なくとも1つの発光層を備える。これらの層とは別に、更なる層、例えば、それぞれの場合において、1つ又はそれ以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロッキング層、及び/又は電荷発生層を備えてもよい(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakata, J. Endo, K.Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J. Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)。同様に、例えば、励起子ブロッキング機能を有する中間層を、2つの発光層の間に導入してもよい。しかし、これらの層のそれぞれは、必ずしも必要ではないことを指摘すべきであろう。これらの層は、上述の一般式I又はIIの化合物を含んでも良い。
【0044】
本発明の好ましい実施形態では、式I又はIIの化合物は、発光層における発光物質として、又は電荷輸送物質として用いられる。ここでは、有機エレクトロルミネセント素子は、1つの発光層を備えるか、又は複数の発光層を備えてもよく、少なくとも1つの発光層は、上述の一般式I又はIIの化合物の少なくとも1つを含んでも良い。複数の発光層が存在するならば、好ましくは、これらはトータルで380nm〜750nmの複数の最大波長を有し、その結果、全体で白色発光を生じ、即ち、蛍光又は燐光を発光可能な様々な発光化合物が発光層に用いられる。3つの層が青、緑、及びオレンジ又は赤を示す3層系(基本的な構造については、例えばWO 05/011013を参照のこと)が特に好ましい。
【0045】
式I又はIIの化合物が、発光層の発光化合物として使用されるならば、マトリックスとして機能する1つ又はそれ以上の化合物との組み合わせで用いることが好ましい。これらの場合、式I又はIIの化合物及びマトリックス物資を含む混合物は、発光体とマトリックス物質の混合物全体に基づき、1〜99重量%、好ましくは2〜98重量%、特に好ましくは3〜97重量%、とりわけ5〜95重量%の式I又はIIの化合物を含んでいる。従って、この混合物は、発光体とマトリックス物質の混合物全体に基づき、99〜1重量%、好ましくは98〜2重量%、特に好ましくは97〜60重量%、とりわけ95〜85重量%のマトリックス物質を含んでいる。
【0046】
好ましいマトリックス物質は、例えば、WO 04/013080, WO 04/093207, WO 06/005627 又は未公開出願 DE 102008033943.1による芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシド、又は芳香族スルホキシド又はスルホン、例えば、WO 05/039246, US 2005/0069729, JP2004/288381, EP 1205527, 又はWO 08/086851に開示されているトリアリールアミン、カルバゾール誘導体、例えばCBP(N,N-ビスカルバゾイルビスフェニル)又はカルバゾール誘導体、例えば、WO 07/063754又はWO 08/056746によるインドールカルバゾール誘導体、例えば、EP 1617710, EP 1617711, EP 1731584, JP 2005/347160によるアザカルバゾール誘導体、例えば、WO 07/1377725によるバイポーラマトリックス物質、例えば、WO 05/111172によるシラン、例えば、WO 06/117052によるアザボロール又はホウ酸エステル、例えば、未公開出願 DE 102008036982.9, WO 07/063754又はWO 08/056746によるトリアジン誘導体、例えば、EP 652273又はWO 09/062578による亜鉛錯体、又は未公開出願 DE 102008056688.8によるジアザシロール又はテトラアザシロール誘導体である。
【0047】
本発明の更に好ましい実施形態は、2種又はそれ以上の異なるマトリックス物質との組合せて、発光物質として式I又はIIの化合物を用いることである。これらの場合における適切なマトリックス物質は、上述の好ましい化合物である。
【0048】
真空昇華ユニット内で、10−5ミリバール以下、好ましくは10−6ミリバール以下、特に好ましくは10−7ミリバール以下の圧力で、物質が気相堆積される昇華プロセスにより、1層又はそれ以上の層が形成される有機エレクトロルミネセント素子が、更に好ましい。
【0049】
同様に、10−5ミリバール〜1ミリバールの圧力で物質が成膜される、OVPD(有機気相堆積)プロセスにより又はキャリアガス昇華の助けにより、1層又はそれ以上の層が形成されることを特徴とする、有機エレクトロルミネセント素子が好ましい。このプロセスの特別のケースは、OVJP(有機蒸気ジェット印刷)プロセスであり、このプロセスでは、ノズルを通して直接物質が適用され、組織形成される(例えば、M. S. Amold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0050】
例えば、スピンコーティングにより、又は、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、又はオフセット印刷、特に好ましくはLITI(光誘導熱記録、熱転写印刷)又はインクジェット印刷のような所望の印刷プロセスにより、溶液から1層又はそれ以上の層が形成されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子が好ましい。例えば、適切な置換により得られる可溶性化合物が、この目的に対し必要である。
【0051】
これらのプロセスは、一般に当業者に知られており、上述の式I又はIIの化合物を含む有機エレクトロルミネッセント素子に、問題なく適用可能である。
【0052】
上述した本発明の化合物、特に反応性基により置換又は機能化された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマー、又はポリマーの製造のためのモノマーとして使用可能である。
【0053】
従って、本発明は、式I又はIIの化合物からポリマー、オリゴマー、又はデンドリマーへの1つ又はそれ以上の結合が存在する、上述した式I又はIIの1種又はそれ以上の化合物を含む、オリゴマー、ポリマー、又はデンドリマーに関する。そのため、式I又はIIの化合物の結合に応じて、この錯体は、オリゴマー又はポリマーの側鎖を形成し、又は主鎖において結合される。ポリマー、オリゴマー、又はデンドリマーは、共役であるか、部分的に共役であるか、又は共役ではない。オリゴマー又はポリマーは、線状、分枝状、又は樹枝状である。
【0054】
オリゴマー又はポリマーの製造のためには、式I又はIIの機能化された化合物が単独重合されるか、又は他のモノマーと共重合される。式I又はIIの化合物が、0.01〜50モル%、特に好ましくは0.1〜20モル%の程度存在するコポリマーが好ましい。ポリマーの主鎖を形成する適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(例えば、EP 842208又はWO 00/22026)、スピロビフルオレン(例えば、EP707020, EP 894107又はWO 06/061181)、パラ-フェニレン(例えば、WO 92/18552)、カルバゾール(例えば、WO 04/070772又はWO 04/113468)、チオフェン(例えば、EP 1028136)、ジヒドロフェナントレン(例えば、WO 05/014689)、シス-及びトランス-インデノフルオレン(例えば、WO 04/041901又はWO 04/113412)、ケトン(例えば、WO 05/040302)、フェナントレン(例えば、WO 05/104264又はWO 07/017066)、又は複数のこれらのユニットから選択される。これらのユニットのトータルの比率は、少なくとも50モル%の領域にあるのが好ましい。ポリマー、オリゴマー、又はデンドリマーはまた、他のユニット、例えば、正孔輸送ユニット、特に、トリアリールアミンに基づくもの、及び/又は電子輸送ユニットを含んでもよい。
【0055】
一般式I又はIIの化合物を含むポリマーは、PLEDの製造のために、特にPLEDの発光層として用いることが出来る。ポリマー発光層は、例えば、溶液からのコーティング(スピンコーティング又は印刷プロセス)により製造することが出来る。
【0056】
本発明の化合物及びそれにより製造された有機エレクトロルミネセント素子は、以下の驚異的な利点により、従来の技術と区別される。
【0057】
・昇華により部分的又は完全な熱分解を生ずる、従来技術の多くの金属錯体に対して、本発明の化合物は、高い熱的安定性を有している。
【0058】
・芳香環又はヘテロ芳香環系における大きい置換基の使用は、錯体の凝集を妨げ、励起子又は励起錯体の形成を実質的に抑制する。
【0059】
・発光物質として式I又はIIの化合物を含む有機エレクトロルミネセント素子は、非常に長い寿命を有する。
【0060】
・ 効率のよい暗青色、赤色、又は緑色の発光色を有し、有機エレクトロルミネセント素子に使用して長寿命を有する青、赤、及び緑蛍光錯体は、入手し得る。青、赤、及び緑蛍光錯体は、これまで、劣ったカラーコーディネート及び特に劣った寿命のものを入手していたので、このことは、従来技術に対してかなりの利点がある。
【0061】
・有機エレクトロルミネセント素子に用いられる本発明の化合物は、低い使用電圧で、高い効率及び急勾配の電流-電圧曲線を同時に生ずる。
【0062】
上述したこれらの利点は、他の電子特性の劣化を伴うものではない。
【0063】
本発明は、以下の実施例により詳細に説明されるが、それに限定されるものではない。本明細書の記載から、当業者は、本発明の化合物を容易に合成することができ、有機エレクトロルミネセント素子にそれを使用することができる。
【0064】
実施例
以下の合成は、特に断らなければ、乾燥した溶媒内において、保護ガス雰囲気の下で実施される。使用した出発化合物は、例えば、6-フェニルピリジン-2-カルボキシアルデヒド(J. Am. Chem. Soc. 2003, 125(8), 2113-2128)、2-ビフェニルアミン(Tetrahedron Lett. 2008, 49(9), 1555-1558)、3-ピリジン-2-イルベンズアルデヒド(Org. Lett. 2004, 6(19), 3337-3340)、2-クロロ-8-ニトロキノリン(Australian J. Chem. 2003, 56(1), 39-44)である。
【0065】
例1:金属錯体(1)の合成手順
【化19】
【0066】
第1工程:配位子合成
形成した水の除去のために共沸蒸留を用いて、配位子合成を実施する。最初に、攪拌器、内部温度計、及び滴下漏斗を備えた500mlの三口フラスコ内で、300mlの乾燥したトルエンを加熱し、蒸留装置内で沸騰させる。その後、50mlの乾燥したトルエン中に20g(120mモル)の2-ビフェニルアミンを含む溶液及び50mlのトルエン中に21.9g(120mモル)の6-フェニルピリジン-2-カルボキシアルデヒドを含む溶液をゆっくり滴下する。この混合物に、触媒量のp-トルエンスルホン酸を加える。透明な凝縮したトルエンが生ずるまで、蒸留を実施する。溶媒の残渣を真空オイルポンプ(130Pa)で除去する。配位子をトルエンから再結晶化し、MeOHで洗浄して、31.5g(94mモル)の結晶固体を得る。全収率は80%である。
【0067】
第2工程:錯体合成
1300mlの酢酸中に17.2gのKPtCl(41.5mモル)を含む溶液に、1300mlの酢酸中に13.8g(41.5mモル)のイミン配位子を含む溶液を、Nの下で加え、混合物を90℃で3日間攪拌する。72時間後、析出した固体を冷メタノールで洗浄し、真空中で乾燥し、次いで、保護ガス中で無水EtOHから再結晶化し、15.9g(30mモル)の結晶固体を得る。全収率は73%である。
【0068】
例2:金属錯体(8)の合成手順
【化20】
【0069】
第1工程:配位子合成
形成した水の除去のために共沸蒸留を用いて、配位子合成を実施する。最初に、攪拌器、内部温度計、及び滴下漏斗を備えた500mlの三口フラスコ内で、300mlの乾燥したトルエンを蒸留装置内で加熱し、沸騰させる。その後、50mlの乾燥したトルエン中に20g(120mモル)の2-ビフェニルアミンを含む溶液及び50mlのトルエン中に21.9g(120mモル)の3ピリジン-2-イルベンズアルデヒドを含む溶液をゆっくり滴下する。この混合物に、触媒量のp-トルエンスルホン酸を加える。透明な凝縮したトルエンが生ずるまで、蒸留を実施する。溶媒の残渣を真空オイルポンプ(130Pa)で除去する。配位子をトルエンから再結晶化し、MeOHで洗浄して、30.1g(90mモル)の結晶固体を得る。全収率は76%である。
【0070】
第2工程:錯体合成
1300mlの酢酸中に17.2gのKPtCl(41.5mモル)を含む溶液に、1300mlの酢酸中に13.8g(41.5mモル)のイミン配位子を含む溶液を、Nの下で加え、混合物を90℃で3日間攪拌する。72時間後、析出した固体を冷メタノールで洗浄し、真空中で乾燥し、次いで、保護ガス中で無水EtOHから再結晶化し、14.3g(27mモル)の結晶固体を得る。全収率は66%である。
【0071】
例3:金属錯体(30)の合成手順
【化21】
【0072】
第1工程:8-ニトロ-2-ナフチルキノリン
18.9g(110.0mモル)の1-ナフチル硼酸、22.9g(110.0mモル)の2-クロロ-8-ニトロキノリン、及び44.6g(210.0mモル)の燐酸三カリウムを、500mlのトルエン、500mlのジオキサン、及び500mlの水に懸濁させる。この懸濁液に、913mg(3.0mモル)のtri-o-トリルホスフィン及び112mg(0.5mモル)の酢酸パラジウム(II)を加え、反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷却した後、有機相を分離し、シリカゲルを通して濾過し、200mlの水で3回洗浄し、その後、蒸発させて乾燥する。収率は24.4g(87mモル)であり、これは理論値の80%に相当する。
【0073】
第2工程:8-アミノ-2-ナフチルキノリン
12.6g(42mモル)の8-ニトロ-2-ナフチルキノリン及び1.99gのPd/C(10%)を、200mlのメタノールに懸濁させる。8.4g(222mモル)のホウ水素化ナトリウムを、0℃で攪拌しつつ加える。2時間攪拌した後、透明溶液を希釈したHClで中和する。次いで、溶媒を除去し、得られた残渣を水で激しく洗浄し、ジオキサンから再結晶化する。析出物を濾過し、蒸発させて乾燥し、9.9g(56.9mモル)の結晶固体を得る。全収率は88%である。
【0074】
第3工程:1-[(E-8-キノリニルイミノ)メチル]ナフタレン
形成した水の除去のために共沸蒸留を用いて、配位子合成を実施する。最初に、攪拌器、内部温度計、及び滴下漏斗を備えた500mlの三口フラスコ内で、300mlの乾燥したトルエンを加熱し、蒸留装置内で沸騰させる。その後、50mlの乾燥したトルエン中に32.4g(120mモル)の8-アミノ-2-ナフチルキノリンを含む溶液及び50mlのトルエン中に12.7g(120mモル)のベンズアルデヒドを含む溶液をゆっくり滴下する。この混合物に、触媒量のp-トルエンスルホン酸を加える。透明な凝縮したトルエンが生ずるまで、蒸留を実施する。溶媒の残渣を真空オイルポンプ(130Pa)で除去する。配位子をトルエンから再結晶化し、MeOHで洗浄して、32.1g(89mモル)の結晶固体を得る。全収率は75%である。
【0075】
第4工程:錯体合成
1300mlの酢酸中に17.2gのKPtCl(41.5mモル)を含む溶液に、1300mlの酢酸中に14.8g(41.5mモル)のイミン配位子を含む溶液を、Nの下で加え、混合物を90℃で3日間攪拌する。72時間後、析出した固体を冷メタノールで洗浄し、真空中で乾燥し、次いで、保護ガス中で無水EtOHから再結晶化し、13.4g(24mモル)の結晶固体を得る。全収率は59%である。
【0076】
例4:有機エレクトロルミネセント素子の製造
例えば、WO 05/003253に記載されているように、本発明の有機エレクトロルミネセント素子を製造することが出来る。様々なOLEDの結果が、ここで比較されている。基本的構造、使用された物質、ドーピングの程度、及びそれらの層の膜厚は、適切に比較するために等しい。第1の素子例は、従来技術による比較標準について記載するものであり、そこでは、発光層は、ホスト物質スピロ-ケトンと、ゲスト物質(ドーパント)Ir(piq)又は本発明の化合物からなる。更に、様々な構成を有するOLEDが記載され、それぞれの場合におけるホスト物質は、スピロ-ケトンである。以下の構成を有するOLEDが、上述の一般的方法と同様に製造される。
【0077】
正孔注入層(HIL):20nmの2,2’,7,7’-テトラキス(ジ-パラ-トリル-アミノ)スピロ-9,9,-ビフルオレン
正孔輸送層(HTL):20nmのNPB(N-ナフチル-N-フェニル-4,4’-ジアミノビフェニル)
発光層(EML):40nmのホスト:スピロ-ケトン(SK)(ビス(9,9’-スピロビフルオレン-2-イル)ケトン)、ドーパント:Ir(piq)(10%ドーピング、気相堆積;WO 05/003253に従って合成)又は本発明の化合物
電子導電体 :20nmのAlQ(トリス(キノリナト)アルミニウム-(III)
カソード:1nmのLiF、頂部に150nmのAl
明確にするため、Ir(piq)及びスピロ-ケトンの構造を以下に示す。
【化22】
【0078】
本発明の化合物を以下に示す。
【化23】
【0079】
これらの未だ最適化されていないOLEDは、標準方法により特徴づけられる。この目的に対し、エレクトロルミネッセンススペクトル、電流-電圧-輝度特性ライン(IUL特性ライン)から計算された、輝度の関数としての効率(cd/Aで測定)、及び寿命が決定される。
【0080】
表2は、素子測定の結果を示す。本発明の化合物を含むエレクトロルミネッセンス素子は、改良された効率とともに、より長い寿命を示している。
【0081】
表2:ホスト物質としてスピロ-ケトン及びドーパントとしてIr(piq)を用いた素子結果
【表1】