特許第5774495号(P5774495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774495
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】遅延放出ラサギリン製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/135 20060101AFI20150820BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20150820BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20150820BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   A61K31/135
   A61K47/12
   A61K47/36
   A61K47/10
   A61K47/04
   A61K47/02
   A61K47/38
   A61K47/32
   A61K47/14
   A61K9/50
   A61K9/20
   A61K9/70
   A61P25/16
【請求項の数】24
【全頁数】91
(21)【出願番号】特願2011-547964(P2011-547964)
(86)(22)【出願日】2010年1月21日
(65)【公表番号】特表2012-515775(P2012-515775A)
(43)【公表日】2012年7月12日
(86)【国際出願番号】US2010000174
(87)【国際公開番号】WO2010085354
(87)【国際公開日】20100729
【審査請求日】2013年1月21日
(31)【優先権主張番号】12/689,044
(32)【優先日】2010年1月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/456,029
(32)【優先日】2009年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/456,001
(32)【優先日】2009年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/456,031
(32)【優先日】2009年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/205,833
(32)【優先日】2009年1月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/455,976
(32)【優先日】2009年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501079705
【氏名又は名称】テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】サファディ、ムハンマド
(72)【発明者】
【氏名】リチト、ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】フレンケル、アントン
(72)【発明者】
【氏名】コルタイ、タマス
(72)【発明者】
【氏名】ゾルコブスキー、マリナ
【審査官】 田村 直寛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−532843(JP,A)
【文献】 特表2013−509359(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/131961(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/070090(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101152153(CN,A)
【文献】 特表2008−507586(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/098264(WO,A1)
【文献】 米国特許第06126968(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/135
A61K 9/70
A61K 47/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤と、ラサギリンシトラートを有するコアと;耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮とを含む安定経口剤形であって、前記コアにおける前記少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤は、少なくとも1種の抗酸化剤であって、前記少なくとも1種の抗酸化剤はクエン酸である剤形。
【請求項2】
サギリンシトラートおよび少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤を有するコアと;耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮とを含む安定経口剤形であって、その製造方法は
a)ラサギリン塩基、クエン酸および医薬的に許容可能な賦形剤を混合することによって前記コアを調製することと;
b)前記コアを前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮でコーティングすることとを含む剤形。
【請求項3】
工程a)は、ラサギリン塩基およびクエン酸、ならびに医薬的に許容可能な賦形剤の湿った粒状物を調製することを含み、工程a)は
i)流動床乾燥器において40℃ないし50℃の入口空気温度でおよび37℃を越えない出口空気温度の下で、前記湿った粒状物を乾燥させて、乾燥した粒状物を作ることと;
ii)振動造粒機によって、前記乾燥した粒状物を粉砕して粒子を作ることと;
iii)前記粒子と少なくとも1種の滑沢剤とを混合することとをさらに含み、前記滑沢剤はタルクもしくはステアリン酸、またはこれらの組み合わせである請求項2に記載の剤形。
【請求項4】
前記ラサギリン塩基は結晶性ラサギリン塩基である請求項2または3に記載の剤形。
【請求項5】
重量が150mg未満であり、前記コア中の前記少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤は少なくとも1種の崩壊剤であり、前記崩壊剤は0.5重量%ないし20重量%の量で前記コア中に存在し、前記崩壊剤はアルファ化澱粉である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項6】
ラサギリンシトラートの含有量は0.74mgないし3.63mgであり、前記ラサギリンシトラートに加えて、マンニトール、コロイド状二酸化珪素、澱粉NF、アルファ化澱粉、ステアリン酸、タルク、ヒプロメロース、メタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、超微細タルク、およびトリエチルシトラートを含む請求項4に記載の剤形。
【請求項7】
ラサギリンの含有量は1.0mgであり、前記剤形は45.0mgのマンニトールを含むか、またはラサギリンの含有量は0.5mgであり、前記剤形は45.5mgのマンニトールを含み、前記剤形は、0.4mgのアエロジル、5.0mgの澱粉NF、20.0mgのアルファ化澱粉、1.5mgのステアリン酸、1.5mgのタルク、3.5mgのヒプロメロース、4.0mgのメタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、0.8mgのトリエチルシトラート、および1.9mgの超微細タルク、および2.0mgのカラーコーティング剤を含み、前記コアは錠剤の形態にある請求項5または6に記載の剤形。
【請求項8】
前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮は、メタクリル酸−エチルアクリラートコポリマー(1:1)および可塑剤を含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項9】
前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮において、メタクリル酸−エチルアクリラートコポリマー(1:1)の可塑剤に対する比は5:1であり、前記可塑剤はトリエチルシトラートであり、前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮はタルクをさらに含み、前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮は2層の剤皮層を含み、前記2層の剤皮層のうち内側のそれはヒプロメロースを含む請求項8に記載の剤形。
【請求項10】
バスケット装置に入れ、6.8のpHにある500mLの緩衝水性媒体中で37℃で20分間にわたり毎分75回転をかけた際、80ないし100%のラサギリンを放出するか、ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する投与量のラサギリンのそれと実質的に同じMAO−B阻害を達成するか、ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれの80−130%のラサギリンのAUC値を提供するか、食後のヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれよりも大きなラサギリンのAUC値を提供するか、ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれの80−145%のラサギリンのCmaxを提供するか、又は食後のヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれよりも大きなラサギリンのCmaxを提供する請求項1ないし9のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項11】
非極性不純物の総量はラサギリンの量に対して0.3wt%未満であるか、または前記剤形中のN−(2−クロロアリル)−1(R)−アミノインダンの量は、ラサギリンの量に対して20ppm未満である請求項1ないし10のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項12】
ラサギリンシトラート。
【請求項13】
単離されたラサギリンシトラートであるか、固体アモルファスのラサギリンシトラートであるか、または実質的に純粋であり、ラサギリン含有量が前記ラサギリンシトレートの総重量に基づいて42重量%ないし52重量%であり、カールフィッシャー分析によって決定される前記ラサギリンシトラート中の含水量は5%未満である請求項12に記載のラサギリンシトラート。
【請求項14】
モノ−ラサギリンシトラートである請求項1ないし3、12および13のいずれか1項に記載のラサギリンシトラート。
【請求項15】
請求項12ないし14のいずれか1項に記載のラサギリンシトラートとキャリアとを含む組成物。
【請求項16】
前記組成物は医薬組成物であり、前記キャリアは医薬的に許容可能なキャリアであり、前記医薬組成物は錠剤の形態または経皮パッチの形態にある請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記医薬組成物はラサギリン塩基を含まない請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
ラサギリン塩基をさらに含む請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
ラサギリンシトラートの形態で存在する前記ラサギリンの含有量は、前記組成物中のラサギリンの総含有量の50%を超える請求項15ないし18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記ラサギリンシトラートはポリマーと混合されており、ステアリン酸をさらに含む請求項15ないし19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
請求項12ないし14のいずれか1項に記載のラサギリンシトラートまたは請求項15ないし20のいずれか1項に記載の組成物の製造方法であって:
a)クエン酸溶液とラサギリン塩基とを合わせて、第1の混合物を作ることと;
b)溶媒を前記第1の混合物に添加して、第2の混合物を作ることと;
c)前記第2の混合物から液体を完全に除去することと;
d)前記ラサギリンシトラートを回収するかまたは前記組成物を調製することとを含む方法。
【請求項22】
b)において添加される前記溶媒がアセトンであり、c)における前記液体の除去が周囲温度及び減圧下で行われる請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項15ないし20のいずれか1項に記載の組成物の製造方法であって:
a)ラサギリンシトラートを得ることと;
b)前記ラサギリンシトラートと前記キャリアとを混合することと
を含む方法。
【請求項24】
パーキンソン病を患うヒトの対象を治療するのに有効な量で使用するための、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の剤形または請求項15ないし20のいずれか1項に記載の組成物であって、前記ヒトの対象は任意に胃内容排出の遅れを患っているか、または前記ヒトの対象は食後である剤形または組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本願は、米国特許出願シリアル番号第12/689,044号(2010年1月18日出願);第12/455,976号(2009年6月9日出願);第12/456,001号(2009年6月9日出願);第12/456,029号(2009年6月9日出願);および第12/456,031号(2009年6月9日出願);ならびに米国仮出願第61/205,833号(2009年1月23日出願)の優先権を主張し、これらの各々の内容は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本願を通じて、種々の刊行物、公開特許出願および特許を参照している。これらの文献の開示内容は、本発明が属する技術の状態をより完全に説明するために、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0003】
発明の背景
米国特許第5,532,415号、第5,387,612号、第5,453,446号、第5,457,133号、第5,599,991号、第5,744,500号、第5,891,923号、第5,668,181号、第5,576,353号、第5,519,061号、第5,786,390号、第6,316,504号、第6,630,514号は、ラサギリンとしても知られているR(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダン(「R−PAI」)を開示している。ラサギリンは、モノアミンオキシダーゼ酵素のB体(「MAO−B」)の選択的阻害剤として報告されており、パーキンソン病および種々の他の病気の、脳内でのMAO−Bの阻害による治療に有用である。
【0004】
米国特許第6,126,968号は、ラサギリンを含む医薬製剤を開示している。ラサギリンメシラートの製剤は、パーキンソン病の治療のための単剤治療としてかまたは他の治療との補助剤として認可されている。たとえば、AZILECT(登録商標)、Physicians’ Desk Reference 2009 (PRD, 63th Edition)を参照のこと。
【0005】
AZILECT(登録商標)は、初期単剤治療としておよびレボドパへの補助治療として特発性のパーキンソン病の兆候および症状の治療に必要とされる、市販のラサギリンメシラート即時放出製剤である。現在市販されているラサギリンの製剤(Azilect(登録商標))は、迅速に吸収され、約1時間でピーク血漿中濃度(tmax)に達する。ラサギリンの絶対生体利用効率は約36%である(AZILECT(登録商標)の製品ラベル、2006年5月)。
【0006】
しかしながら、市販の形態のラサギリンメシラートに関して幾つかの問題が存在する。たとえば、モノアミンオキシダーゼ(「MAO」)阻害剤の使用における問題は、しばしば「チーズ効果」と呼ばれる高血圧発症のリスクにある。(Simpson, G.M. and White K. "Tyramine studies and the safety of MAOI drugs." J Clin Psychiatry. 1984年,7月; 45 (7 pt 2): 59-91)。この効果は、末梢性MAOの阻害によって引き起こされる。高濃度の末梢性MAOが胃の中で認められる。
【0007】
パーキンソン病患者におけるもう1つの問題は、多くの患者が胃内容排出の遅れを患うことにある(Pfeiffer, R. F. and Quigley, E. M. M. "Gastrointestinal motility problems in patients with Parkinson's disease: Epidemiology, pathophysiology, and guidelines for management," CNS-Drugs, 1999, 11(6): 435-448; Jost, W. H., "Gastrointestinal motility problems in patients with Parkinson's disease: Effects of antiparkinsonian treatment and guidelines for management", Drugs and Aging, 1997, 10(4): 249-258)。胃内容排出の遅れ(長期の胃内滞留)は、末梢性MAOの阻害を高める原因となり得、チーズ効果の一因となりうる。
【0008】
また、短鎖アルコールの何らかの残基が存在している場合には、原体(drug substance)の遊離塩基(free base)のMSAでの処理中のアルキルメシラートの形成の可能性に関する問題も存在する(Snodin D., "Residues of genotoxic alkyl mesylates in mesylate salt drug substances: Real or imaginary problems?" Rugulatory Toxicology and Pharmacology, Vol. 45, 2006, pages 79-90)。
【0009】
このような問題を処理しかつ市販の形態のラサギリンメシラートを改善する試みが文献において説明されている。たとえば、PCT国際出願公報WO2006/057912号は、経口崩壊性ラサギリン組成物を記載しており;PCT国際出願公報WO2006/014973号は、遅延放出ラサギリン組成物を開示しており;PCT国際出願公報WO2008/076348号は、結晶性固体の形態のラサギリン塩基(rasagiline base)を開示しており;PCT国際出願公報WO2008/076315号は、ラサギリンのタンニン酸塩を開示している。所定の改善を行うための他の試みは、PCT国際出願公報WO2008/019871号およびPCT国際出願公報WO2008/131961号に記載されている。
【0010】
しかしながら、以前の試みは、ここで説明する製剤、特にここで説明する固体ラサギリン塩基を使用する製剤を開示していなかった。また、以前の試みは、ここで説明するラサギリンのクエン酸塩もラサギリンのクエン酸塩を使用する製剤の利点も開示していなかった。
【0011】
発明の概要
主題の発明は、製造方法由来の形態のラサギリンおよび少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤を有するコアと;耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮とを含む安定経口剤形を提供し、前記製造方法は
a)ラサギリン塩基、クエン酸および/またはリンゴ酸、ならびに医薬的に許容可能な賦形剤を混合することによって前記コアを調製することと;
b)前記コアを前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮でコーティングすることと
を含む。
【0012】
また、主題の発明は、ラサギリン塩基、ラサギリンシトラート、ラサギリンマラート、またはラサギリン塩基、ラサギリンシトラートおよびラサギリンマラートのうち少なくとも2種の混合物、ならびに少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤を有するコアと、耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮とを含む安定経口剤形も提供する。
【0013】
主題の発明は、パーキンソン病を患う患者の治療方法であって、ここで説明する剤形を患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
【0014】
また、主題の発明はラサギリンシトラートをさらに提供する。
【0015】
また、主題の発明は、ここで説明するラサギリンシトラートとキャリアとを含む組成物をまたさらに提供する。
【0016】
また、主題の発明は、ここで説明するラサギリンシトラートまたは組成物の製造方法をさらに提供し、この製造方法は:
a)クエン酸溶液とラサギリン塩基とを合わせて、第1の混合物を作ることと;
b)溶媒を第1の混合物に添加して、第2の混合物を作ることと;
c)第2の混合物から液体を完全に除去することと;
d)ラサギリンシトラートを回収するかまたは前記組成物を調製することと
を含む。
【0017】
また、主題の発明は、ここで説明する組成物の製造方法をさらに提供し、この製造方法は:
a)ラサギリンシトラートを単離した状態で得ることと;
b)ラサギリンシトラートとキャリアとを混合することと
を含む。
【0018】
また、主題の発明は、パーキンソン病(PD)、脳虚血、脳卒中、外傷性頭部損傷、外傷性脊髄損傷、神経外傷、神経変性病、神経毒損傷、神経損傷、認知症、アルツハイマー型認知症、老年性認知症、鬱病、記憶障害、過活動症候群、多動症候群、多発性硬化(MS)、統合失調症、感情的な病気(affective illness)、筋萎縮性側索硬化症、下肢静止不能症候群(RLS)、難聴、多系統萎縮症(MSA)、緑内障、変性パーキンソン病、および進行性核上まひ(PSP)を患うヒトの対象を治療する方法をさらに提供し、この方法は、被験者を治療するのに有効な量のここで説明するラサギリンシトラートまたは組成物をヒトの対象に投与することを含む。
【0019】
発明の詳細な説明
主題の発明は、製造方法由来の形態のラサギリンおよび少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤を有するコアと;耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮とを含む安定経口剤形を提供し、前記製造方法は
a)ラサギリン塩基、クエン酸および/またはリンゴ酸、ならびに医薬的に許容可能な賦形剤を混合することによって前記コアを調製することと;
b)前記コアを前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮でコーティングすることと
を含む。
【0020】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記方法の工程a)は、ラサギリン塩基、クエン酸および/またはリンゴ酸、ならびに医薬的に許容可能な賦形剤からなる湿った粒状物を調製することを含む。
【0021】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記方法の工程a)は:
i)湿った粒状物を乾燥させて、乾燥した粒状物を作ることと;
ii)乾燥した粒状物を粉砕して粒子を作ることと;
iii)前記粒子と少なくとも1種の滑沢剤とを混合することと
をさらに含む。
【0022】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記方法の工程iii)において、滑沢剤はタルクもしくはステアリン酸、またはこれらの組み合わせである。
【0023】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記方法の工程i)において、湿った粒状物を、流動床乾燥器において、40℃ないし50℃の入口空気温度の下および37℃を越えない出口空気温度の下で乾燥させる。
【0024】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記方法の工程i)において、入口空気温度は45℃である。
【0025】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記方法の工程ii)において、乾燥した粒状物を振動造粒機によって粉砕する。
【0026】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記方法の工程a)は、圧縮によりコアを形成する工程をさらに含む。
【0027】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記方法の工程a)において、ラサギリン塩基、クエン酸、および医薬的に許容可能な賦形剤を混合することによってコアを調製する。
【0028】
前記剤形さらにもう1つの実施形態では、前記方法の工程a)において、ラサギリン塩基、リンゴ酸、および医薬的に許容可能な賦形剤を混合することによってコアを調製する。
【0029】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記方法の工程a)において、ラサギリン塩基、クエン酸およびリンゴ酸、ならびに医薬的に許容可能な賦形剤を混合することによってコアを調製する。
【0030】
また、主題の発明は、安定経口剤形であって、ラサギリン塩基、ラサギリンシトラート、ラサギリンマラートか、またはラサギリン塩基、ラサギリンシトラート、およびラサギリンマラートのうち少なくとも2種の混合物と、少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤とを有するコア;および耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮とを含む剤形も提供する。
【0031】
前記剤形のある実施形態では、ここで説明するラサギリン塩基は結晶性のラサギリン塩基である。
【0032】
前記剤形のある実施形態では、前記剤形は、ラサギリンシトラートおよび少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤を有するコアと;耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮とを含む。
【0033】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、ラサギリンマラートおよび少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤を有するコアと;耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮とを含む。
【0034】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれの80−130%のラサギリンのAUC値を提供する。
【0035】
ここで説明する剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、ヒトの対象への投与により、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれの80−125%のラサギリンのAUC値を提供する。
【0036】
ここで説明する剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、食後の(in fed state)ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれよりも大きなラサギリンのAUC値を提供する。
【0037】
ここで説明する剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれの80−145%のラサギリンのCmaxを提供する。
【0038】
ここで説明する剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する投与量のラサギリンのそれの80−125%のラサギリンのCmaxを提供する。
【0039】
ここで説明する剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、食後のヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれよりも大きなラサギリンのCmaxを提供する。
【0040】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、コアは少なくとも1種の抗酸化剤をさらに含む。
【0041】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、抗酸化剤はクエン酸である。
【0042】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、抗酸化剤はリンゴ酸である。
【0043】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、抗酸化剤はクエン酸およびリンゴ酸である。
【0044】
ここで説明する剤形のさらにもう1つの実施形態では、コアは錠剤の形態にある。
【0045】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、コアは少なくとも1種の崩壊剤をさらに含む。
【0046】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、崩壊剤は0.5重量%ないし20重量%の量でコア中に存在する。
【0047】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、崩壊剤はアルファ化澱粉である。
【0048】
ここで説明する剤形のさらにもう1つの実施形態では、耐酸性剤皮層は、メタクリル酸−エチルアクリラートコポリマー(1:1)および可塑剤を含む。
【0049】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、耐酸性剤皮層において、メタクリル酸−エチルアクリラートコポリマー(1:1)の可塑剤に対する比は、10対1ないし2対1である。
【0050】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤皮において、メタクリル酸−エチルアクリラートコポリマー(1:1)の可塑剤に対する比は約5対1である。
【0051】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、可塑剤はトリエチルシトラートである。
【0052】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、耐酸性剤皮層はタルクをさらに含む。
【0053】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、耐酸性剤皮は剤形の3重量%ないし12重量%である。
【0054】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、耐酸性剤皮は剤形の約8重量%である。
【0055】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、耐酸性剤皮は2層の剤皮層を含む。
【0056】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、2層の剤皮層のうち内側のそれはヒプロメロースを含む。
【0057】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は重量が150mg未満である。
【0058】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、ラサギリン塩基ならびにクエン酸および/またはリンゴ酸に加えて、マンニトール、コロイド状二酸化珪素、澱粉NF、アルファ化澱粉、ステアリン酸、タルク、ヒプロメロース、メタクリル酸エチルアクラートコポリマー、超微細タルク(talc extra fine)、およびトリエチルシトラートを含む。
【0059】
ここで説明する剤形のさらにもう1つの実施形態では、ラサギリンシトラートの含有量は0.74mgないし3.63mgである。
【0060】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、ラサギリンシトラートに加え、マンニトール、コロイド状二酸化珪素、澱粉NF、アルファ化澱粉、ステアリン酸、タルク、ヒプロメロース、メタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、超微細タルク、およびトリエチルシトラートを含む。
【0061】
請求項23の剤形は、0.66mgないし3.05mgのラサギリンマラートを含む。
【0062】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、ラサギリンマラートに加えて、マンニトール、コロイド状二酸化珪素、澱粉NF、アルファ化澱粉、ステアリン酸、タルク、ヒプロメロース、メタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、超微細タルク、およびトリエチルシトラートを含む。
【0063】
ここで説明する剤形のさらにもう1つの実施形態では、ラサギリンの含有量は1.0mgである。
【0064】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、79.8mgのマンニトール、0.6mgのコロイド状二酸化珪素、10.0mgの澱粉NF、20.0mgのアルファ化澱粉、2.0mgのステアリン酸、2.0mgのタルク、4.8mgのヒプロメロース、6.25mgのメタクリル酸−エチルアクリラートコポリマー、1.25mgのトリエチルシトラート、および3.1mgの超微細タルクを含む。
【0065】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、67.8mgのマンニトール、0.6mgのアエロジル、10.0mgの澱粉NF、20.0mgのアルファ化澱粉、2.0mgのステアリン酸、2.0mgのタルク、4.8mgのヒプロメロース、4.0mgのメタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、0.8mgのトリエチルシトラート、および1.9mgの超微細タルクを含む。
【0066】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、45.0mgのマンニトール、0.4mgのアエロジル、5.0mgの澱粉NF、20.0mgのアルファ化澱粉、1.5mgのステアリン酸、1.5mgのタルク、3.5mgのヒプロメロース、4.0mgのメタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、0.8mgのトリエチルシトラート、および1.9mgの超微細タルクを含む。
【0067】
ここで説明する剤形のさらにもう1つの実施形態では、ラサギリンの含有量は0.5mgである。
【0068】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、80.3mgのマンニトール、0.6mgのアエロジル、10.0mgの澱粉NF、20.0mgのアルファ化澱粉、2.0mgのステアリン酸、2.0mgのタルク、4.8mgのヒプロメロース、6.25mgのメタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、1.25mgのトリエチルシトラート、および3.1mgの超微細タルクを含む。
【0069】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、68.3mgのマンニトール、0.6mgのアエロジル、10.0mgの澱粉NF、20.0mgのアルファ化澱粉、2.0mgのステアリン酸、2.0mgのタルク、4.8mgのヒプロメロース、4.0mgのメタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、0.8mgのトリエチルシトラート、および1.9mgの超微細タルクを含む。
【0070】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、45.5mgのマンニトール、0.4mgのアエロジル、5.0mgの澱粉NF、20.0mgのアルファ化澱粉、1.5mgのステアリン酸、1.5mgのタルク、3.5mgのヒプロメロース、4.0mgのメタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、0.8mgのトリエチルシトラート、および1.9mgの超微細タルクを含む。
【0071】
ここで説明する製剤のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は2.0mgのカラーコーティング剤をさらに含む。
【0072】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、バスケット装置に入れ、6.8のpHにある500mLの緩衝水性媒体中で37℃で20分間にわたり毎分75回転をかけた際、80ないし100%のラサギリンの放出を含む。
【0073】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、非極性不純物の総量はラサギリンの量に対して0.3wt%未満である。
【0074】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形中のN−(2−クロロアリル)−1(R)−アミノインダンの量は、ラサギリンの量に対して20ppm未満である。
【0075】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形中のN−(2−クロロアリル)−1(R)−アミノインダンの量は、ラサギリンの量に対して4ppm未満である。
【0076】
前記剤形のさらにもう1つの実施形態では、前記剤形は、ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する投与量のラサギリンのそれと実質的に同じMAO−B阻害を達成する。
【0077】
また、主題の発明は、ラサギリンシトラートをさらに提供する。
【0078】
前記ラサギリンシトラートのある実施形態は、前記ラサギリンシトラートは、単離されたラサギリンシトラートであるか、または実質的に純粋である。
【0079】
ここで説明するラサギリンシトラートのもう1つの実施形態では、ラサギリンシトラートはアモルファスである。
【0080】
ここで説明するラサギリンシトラートのさらにもう1つの実施形態では、前記ラサギリンシトラートはモノ−ラサギリンシトラートである。
【0081】
ここで説明するラサギリンシトレートのさらにもう1つの実施形態では、前記ラサギリンシトレート中のラサギリン含有量は、ラサギリンシトレートの総重量に基づいて42重量%ないし52重量%である。
【0082】
42%ないし52%の範囲は、この範囲内の全ての小数第1位および整数の百分率が本発明の一部として明確に開示されることを意味する。たとえば、43%、44%...50%、51%および42.1%、42.2%...51.8%、51.9%が本発明の実施形態として含まれる。
【0083】
ここで説明するラサギリンシトラートのさらにもう1つの実施形態では、カールフィッシャー分析によって決定される前記ラサギリンシトラート中の含水量は、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満である。
【0084】
また、主題の発明は、ここで説明するラサギリンシトラートとキャリアとを含む組成物をさらに提供する。
【0085】
前記組成物のある実施形態では、前記組成物はラサギリン塩基をさらに含む。
【0086】
ここで説明する組成物のもう1つの実施形態では、前記ラサギリン塩基は、前記組成物のラサギリンの総含有量に基づいて5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の量で存在する。
【0087】
ここで説明する組成物のさらにもう1つの実施形態では、前記組成物中に存在する前記ラサギリン塩基は結晶性のラサギリン塩基である。
【0088】
ここで説明する組成物のさらにもう1つの実施形態では、組成物はラサギリン塩基を含まない。
【0089】
ここで説明する組成物のさらにもう1つの実施形態では、ラサギリンシトラートの形態で存在するラサギリンの含有量は、前記組成物中のラサギリンの総含有量の50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%を超える。
【0090】
ここで説明する組成物のさらにもう1つの実施形態では、前記組成物は医薬組成物であり、前記キャリアは医薬的に許容可能なキャリアである。
【0091】
ここで説明する組成物のさらにもう1つの実施形態では、前記組成物は経口剤形の形態にある。
【0092】
ここで説明する組成物のさらにもう1つの実施形態では、前記組成物は錠剤の形態にある。
【0093】
ここで説明する組成物のさらにもう1つの実施形態では、前記組成物はステアリン酸をさらに含む。
【0094】
ここで説明する組成物のさらにもう1つの実施形態では、前記組成物は経皮パッチの形態にある。
【0095】
ここで説明する組成物のさらにもう1つの実施形態では、前記ラサギリンシトラートはポリマーと混合されている。
【0096】
また、主題の発明は、ここで説明するラサギリンシトラートまたは組成物の製造方法をさらに提供し、この製造方法は:
a)クエン酸溶液とラサギリン塩基とを合わせて、第1の混合物を作ることと;
b)溶媒を第1の混合物に添加して、第2の混合物を作ることと;
c)第2の混合物から液体を完全に除去することと;
d)ラサギリンシトラートを回収するかまたは前記組成物を調製することと
を含む。
【0097】
前記方法のある実施形態では、工程b)で添加する溶媒はアセトンである。
【0098】
ここで説明する方法のもう1つの実施形態では、工程c)において液体を周囲温度でおよび減圧下で除去する。
【0099】
また、主題の発明は、ここで説明する組成物の製造方法をさらに提供し、この製造方法は:
a)ラサギリンシトラートを単離した状態で得ることと;
b)前記ラサギリンシトラートとキャリアとを混合することと
を含む。
【0100】
また、主題の発明は、パーキンソン病(PD)、脳虚血、脳卒中、外傷性頭部損傷、外傷性脊髄損傷、神経外傷、神経変性病、神経毒損傷、神経損傷、認知症、アルツハイマー型認知症、老年性認知症、鬱病、記憶障害、過活動症候群、多動症候群、多発性硬化(MS)、統合失調症、感情的な病気、筋萎縮性側索硬化症、下肢静止不能症候群(RLS)、難聴、多系統萎縮症(MSA)、緑内障、変性パーキンソン病、および進行性核上まひ(PSP)を患っているヒトの対象を治療する方法をさらに提供し、この方法は、前記ヒトの対象を治療するのに有効な量のここで説明するラサギリンシトラートまたは組成物を前記ヒトの対象に投与することを含む。
【0101】
前記方法のある実施形態では、前記対象は胃内容排出の遅れを患っている。
【0102】
前記方法のもう1つの実施形態では、投与工程は食後の前記ヒトの対象に対するものである。
【0103】
ここで説明する実施形態の各々は、ここで開示するあらゆる他の実施形態と組み合わせることができる。
【0104】
ここで開示する如何なる範囲も、この範囲内の全ての小数点第2位、第1位および整数単位の量が本発明の一部として明確に開示されることを意味する。したがって、たとえば、0.01mgないし50mgは、0.02、0.03...0.09;0.1、0.2...0.9;および1、2...49mgの単位量が本発明の実施形態として含まれることを意味する。
【0105】
ここで使用する場合、ラサギリンの即時放出製剤の例は、ラサギリンメシラートを含有するAZILECT(登録商標)である。
【0106】
ここで使用する場合、ポリマーは、共有化学結合によって典型的に接続されている繰り返し構造単位から構成されている大きな分子である。
【0107】
ここで使用する場合、「医薬的に許容可能な」キャリアまたは賦形剤は、過度の副作用(たとえば、毒性、過敏およびアレルギー反応)なしにヒトおよび/または動物に対しての使用に好適であり、妥当なベネフィット/リスク比に対応するものである。
【0108】
ここで使用する場合、「単離された」化合物は、それが生じるところの粗反応混合物からアファーマティブな分離行為(affirmative act of isolation)によって分離された化合物である。この分離行為は、この化合物を粗反応混合物の他の知られている成分から分離することを必ず含み、幾らかの不純物、知られていない副成物、および残留量の粗反応混合物の他の知られている成分が残っていることは容認される。精製は、アファーマティブな分離行為の一例である。
【0109】
ここで使用する場合、化学的実体を「含まない」組成物は、該組成物が、含有するにしても、該化学実体と該組成物とを分離することを目的としたアファーマティブな行為のあと避けることができない量の該化学的実体を含有することを意味する。
【0110】
ここで使用する場合、数値または数値範囲の文脈における「約」は、記載されたまたは特許請求の範囲に記載された数値または数値範囲の±10%を意味する。
【0111】
クエン酸は弱酸であり、三プロトン性である。そのため、ここで説明するラサギリンシトラートは、モノ−、ジ−またはトリ−ラサギリンシトラートの形態かまたはこれらの混合物の形態で存在しうる。
【0112】
あるラサギリン即時放出製剤は、特発性パーキンソン病の治療に必要なプロパルギルアミン系の薬剤である、(メシレートとして)ラサギリンを含有するAZILECT(登録商標)錠剤である。それは、化学的に:1H−インデン−1−アミン,2,3−ジヒドロ−N−2−プロピニル−,(1R)−,メタンスルフォナートと命名されている。
【0113】
MAO−Bを選択的に阻害するMAO阻害剤は、「チーズ効果」を引き起こす可能性が全くない。しかしながら、R−PAIの胃内容排出の遅れがこの現象の一因となりうる可能性がある。それゆえに、本発明の製剤の開発のゴールは、胃を通過して十二指腸および/または空腸で活性成分を放出する、1mgのラサギリン塩基に相当する量のラサギリンを含む遅延放出腸溶性製剤を開発することであった。
【0114】
本発明の製剤の開発中、この製剤が、健康群での単回投与生物学的同等性試験において、既知の即時放出性ラサギリンメシレート製剤(たとえば、例1において開示するもの)との生物学的同等性の基準を満たすべきであることが決定された。これらの基準としては、90%の信頼区間において、新たな製剤と既知の即時放出製剤との間で80−125%の範囲内で類似したCmaxおよびAUC0-t(曲線下面積)が挙げられる。2種類の製剤の間の差異は、生物学的同等性試験においてtmaxの差として表れるべきである。言い換えると、本発明の製剤の平均薬学動態学的プロファイルは、遅延放出製剤の場合は即時放出製剤の場合よりも大きくあるべきであるtmaxを除いて、既知の即時放出製剤の調合物の平均薬学動態学的プロファイルと実質的に一致すべきである。
【0115】
既知の即時放出製剤の平均のCmaxおよびAUC0-tに合わせようとする(すなわち、生物学的に同等な遅延放出製剤を配合しようとする)理由は、即時放出製剤の効能は証明されており、製剤の効能はその平均のCmaxおよび/またはAUC0-tに関連する可能性が高いことにある(Arch Neurol. 2002; 59:1937-1943)。
【0116】
この目標を達成するために、非常に特殊な範囲のpHでラサギリンの放出を可能にする腸溶性剤皮と共に迅速に崩壊するコアを有する腸溶性錠剤に向けての開発が行われた。この特殊なpH範囲は、製剤が胃の中でのラサギリンを放出するのを防ぎ、腸の生理学的条件下では製剤がラサギリンを迅速に放出することを可能にするであろう。
【0117】
PCT国際出願公開WO2006/014973には、遅延放出ラサギリンメシラート医薬製剤が開示されている。この開示された製剤(例1、2および4)では、Eudragit(登録商標) L-30 D-55として知られているメタクリル酸−エチルアクリラートコポリマー(1:1)30%分散剤が使用された。WO2006/014973から明らかなように、これらの製剤は、確かに、それらの溶解プロファイルからおよび生体内データから分かるように遅延放出製剤であるが、それらの薬物動態学的プロファイルは、平均Cmaxの点で、即時放出ラサギリンメシラート製剤の薬物動態学的プロファイルに一致しなかった。
【0118】
上述の文献WO2006/014973で使用された、Eudragit(登録商標) L-30 D-55として知られている、賦形剤であるメタクリル酸−エチルアクリラートコポリマー(1:1)30%分散剤は、錠剤または球体上に水性分散剤として塗布した場合、低い酸性度pHでは、コーティングされた組成物の溶解を妨げる。このポリマーの構造は以下のとおりである。
【化1】
【0119】
遊離カルボキシル基のエステル基に対する比は約1:1である。平均分子量は約250,000である。
【0120】
この賦形剤が水性分散剤中または有機溶液中で使用され医薬製剤のフィルム状剤皮に形成される場合、それは約5.5のpHで溶解するように意図される。(Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms; Second Edition, Revised and Expanded. Ed. James W. McGinity, 1997)。如何なる理論にも縛られることを望まないが、これら従来技術の製剤は、胃の中のpHを高めうる食物が場合によって存在している中で、胃中で低いpHにおいて溶解し始め、十二指腸および空腸内で長期間にわたって溶解し続けることが考えられる。長期の溶解時間により、これら従来技術の製剤のCmaxがそれらと比較した即時放出製剤のCmaxよりも著しく低かった理由を説明できた。
【0121】
一般に、放出プロセスは、これらの主たる工程を包含する:
1.剤形からの放出を引きこすのに十分にpHが高い部位に運ぶこと;
2.剤皮の溶解;ならびに
3.崩壊およびコアからの薬剤および放出。
【0122】
溶解性の高い化合物の場合は、第3の工程が最も重要である。対照的に、排出が一度にではなく徐々に起こる腸溶性ペレットの場合は、第1の工程がPKプロファイルに大きな影響を与える。ペレットは様々な時間で排出するので、さらにそれらは様々な時点で第2の工程に達する。それゆえに、PKプロファイルは、複数の「ミニ」PKプロファイルの重ね合わせである。
【0123】
本発明の遅延放出組成物は、6.0のpH条件に耐えることを目的としており、このpHを超えてのみ活性成分を放出することを目的としている。この特殊pHは、食後状態の胃の中での本発明の医薬組成物の考えられるあらゆる溶解を最小にすることと、胃の後段での十二指腸および/または空腸内での本発明の医薬組成物の迅速な溶解を可能にすることとを試みるように選択された。ラサギリンを放出する前に十二指腸に入り、続けて胃の後段でラサギリンを迅速に放出する医薬製剤の能力は、既知の即時放出製剤のそれに類似した薬物動態学的プロファイル、特にCmaxおよびAUC0-tを提供する。
【0124】
maxが対応する即時放出製剤に類似する遅延放出製剤のゴールに達することは、達成するのが自明なことではない。一般に、生物学的研究において遅延放出製剤をそれらの即時放出対応物と比較した場合、遅延放出製剤のCmaxは、対応する即時放出製剤におけるCmaxよりも低い。(Mascher, et al. Arneimittelforschung. 2001; 51(6): 465-9. Behr, et al. J. Clin Pharmacol. 2002; 42(7): 791-7)。
【0125】
加えて、当該発明は、末梢性MAO阻害に関する問題の、胃の中でのラサギリンの放出または吸収を阻害する(すなわち、剤形の少なくとも一部が胃を通過するまでラサギリンの放出を遅らせる)ように適合されたラサギリンを含む医薬剤形を提供することによる解決策を提供する。これは、胃の中でのラサギリンの吸収を避けるかまたはこれを最小にし、それにより起こりうるチーズ効果を避けるかまたはこれを最小にする。
【0126】
この医薬剤形は、この剤形またはその一部が胃の酸性環境に接触するのを防ぐ耐酸性賦形剤から構成されてもよい。この耐酸性賦形剤は、ラサギリンをコーティングして、腸溶性の錠剤、カプセル、ハードまたはソフトゼラチンカプセルの形態にすることができる。本発明の文脈における腸溶性剤皮は、胃の中での活性成分の溶解を防ぐ剤皮である。これは、USP法によって定義されるように、酸性溶液中での医薬剤形の溶解を測定することによって判定される。腸溶性医薬剤形であっても、胃の中で溶解しうるものはあるが、そういった剤形も、USP基準に従うと、腸溶性であるとみなすことができる。
【0127】
その態様の全てにおいて、本発明は:パーキンソン病(PD)、脳虚血、脳卒中、外傷性頭部損傷、外傷性脊髄損傷、神経外傷、神経変性病、神経毒損傷、神経損傷、認知症、アルツハイマー型認知症、老年性認知症、鬱病、記憶障害、過活動症候群、多動症候群、多発性硬化(MS)、統合失調症、感情的な病気、筋萎縮性側索硬化症、下肢静止不能症候群(RLS)、難聴、多系統萎縮症(MSA)、緑内障、変性パーキンソン病、および進行性核上まひ(PSP)からなる群より選択される症状を治療するのに有用な医薬剤形であって、既知の経口剤形によるラサギリンの投与に典型的に関する末梢性MAO阻害のリスクを抑える医薬剤形を提供する。
【0128】
本発明の経口剤形を調合するのに使用できる医薬的に許容可能なキャリアおよび賦形剤の具体例は、たとえば、2000年10月3日に発行されたPerkinらの米国特許第6,126,968号に記載されている。本発明に有用な製剤を作るための技術および組成は、たとえば、以下の参考文献に記載されている:7 Modern Pharmaceutics, Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes, Editors, 1979);Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (Lieberman et al., 1981);Ansel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 2nd Edition (1976);Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. (Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985);Advances in Pharmaceutical Sciences (David Ganderton, Trevor Jones, Eds., 1992);Advances in Pharmaceutical Sciences Vol 7. (David Ganderton, Trevor Jones, James McGinity, Eds., 1995);Aqueous Polymeric Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms (Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Series 36 (James McGinity, Ed., 1989);Pharmaceutical Particulate Carriers: Therapeutic Applications: Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 61 (Alain Rolland, Ed., 1993);Drug Delivery to the Gastrointestinal Tract (Ellis Horwood Books in the Biological Sciences. Series in
Pharmaceutical Technology;J. G. Hardy, S. S. Davis, Clive G. Wilson, Eds.);Modern Pharmaceutics Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Vol 40 (Gilbert S. Banker, Christopher T. Rhodes, Eds.)。
【0129】
前記医薬剤形は、経口で、非経口的に、直腸を介してまたは経皮的に投与される薬剤として調製できる。口径投与に好適な形態としては、錠剤、圧縮または被覆丸薬、ドラジェー、サッシェ、ハードまたはソフトゼラチンカプセル、舌下錠、シロップおよび懸濁剤が挙げられ;非経口投与の場合は、本発明は、水性または非水性の溶液またはエマルションを含むアンプルまたはバイアルを提供し;直腸投与の場合は、本発明は親水性または疎水性の賦形剤を有する坐薬を提供し;局所的な用途の場合は軟膏として;および経皮的な配送の場合は、本発明は当技術において知られている好適な配送システムを提供する。
【0130】
錠剤は、好適なバインダ、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、着香剤、流動性誘導剤(flow-inducing agents)、融解剤、安定化剤、可溶化剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート剤、フィラーおよび可塑剤を含有してもよい。たとえば、錠剤またはカプセルの単位剤形での経口投与の場合、活性薬理成分(drug component)に、経口の非毒性の医薬的に許容可能な不活性キャリア、たとえばゼラチン、寒天、澱粉、メチルセルロース、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロースなどを併用できる。好適なバインダとしては、澱粉、ゼラチン、天然糖たとえばコーンスターチ、天然および合成ゴムたとえばアラビアゴム、トラガガントゴム、またはアルギン酸ナトリウム、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、蝋などが挙げられる。抗酸化剤としては、アスコルビン酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸、没食子酸ならびにその塩およびエステル、ブチル化ヒドロキシアニソール、エデト酸が挙げられる。これらの剤形で使用する滑沢剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タルクなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定はされないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム、クロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium)、デンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)などが挙げられ、好適な可塑剤としては、トリアセチン、トリエチルシトラート、ジブチルセバカート、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0131】
本発明の1つのタイプの経口剤形は、遅延放出製剤に関する。このような製剤は、この剤形またはその一部が胃の酸性環境に接触するのを防ぐ耐酸性賦形剤から構成されていてもよい。耐酸性賦形剤は、ラサギリンをコーティングして、腸溶性の錠剤、カプセルまたはゼラチンカプセルの形態にすることができる。腸溶性剤比は、本発明の文脈においては、胃の中での活性成分の溶解を防ぐ剤皮である。このような遅延放出製剤を調合するのに使用できる医薬的に許容可能なキャリアおよび賦形剤の具体例はたとえば国際出願公開公報WO 06/014973号に記載されており、これは参照によりその全体がここに組み込まれている。
【0132】
本発明のもう1つのタイプの経口剤形は、胃に到達する前の体内へのラサギリンの吸収により、胃の中でのラサギリンの吸収を避け、嚥下錠剤の必要をなくする手段を提供する早期崩壊製剤に関する。このようなラサギリンの吸収は、頬、舌下、咽頭および/または食道の粘膜との接触によって達成できる。これを達成するために、この早期崩壊製剤は、口腔内で迅速に分散して、ラサギリンと頬、舌下、咽頭および/または食道の粘膜との接触を最大にするように設計された。このような早期崩壊製剤を調合するのに使用できる医薬的に許容可能なキャリアおよび賦形剤の具体例はたとえば国際出願公開公報WO 03/051338号に記載されており、これは参照によりその全体がここに組み込まれている。
【0133】
本発明の他の医薬組成物としては、経皮パッチが挙げられる。経皮パッチは、皮膚に貼布して、その皮膚を通してのおよび血流への薬物の時間放出投与を行う、薬用の接着パッチである。経皮パッチによって多種多様な医薬を配送できる。ある種類の医薬は、皮膚に浸透するそれらの能力を高めるために他の物質、たとえばアルコールを併用しなければならない。経皮パッチは、幾つか重要な成分を有しており、それらとしては、保管中にパッチを保護するためのライナー、薬物、接着剤、膜(リザーバーからの薬物の放出を制御するためのもの)、およびパッチを外部の環境から保護するための裏地が挙げられる。経皮パッチの最も一般的な2つのタイプは、マトリックスタイプおよびリザーバータイプである。(Wikipedia; and Remington, The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2000)。
【0134】
リザーバータイプのパッチでは、薬物を、不揮発性の不活性液体、たとえば鉱油と併用するが、マトリックスタイプのパッチでは、薬物を、親油性または親水性のポリマーマトリックスたとえばアクリルまたはビニリックポリマー中に分散させる。接着剤ポリマー、たとえばポリイソブチレンを使用して、パッチを皮膚の適所に固定する。(Stanley Scheindlin, (2004) “Transdermal Drug Delivery: PAST, PRESENT, FUTURE,” Molecular Interventions, 4:308-312)。
【0135】
経皮的な薬物配送に対する主な限界は、皮膚固有のバリア性である。皮膚表面を乱してより早い薬物配送を引き起こすために、浸透促進剤を経皮薬物製剤にしばしば添加する。典型的な浸透促進剤としては、高沸点アルコール、ジオール、脂肪酸エステル、オレイン酸およびグリセリド系溶媒が挙げられ、これらは一般に1ないし20パーセントの濃度(w/w)で添加される。(Melinda Hopp, “Developing Custom Adhesive Systems for Transdermal Drug Delivery Products,” Drug Delivery)。
【0136】
本発明で使用するバスケットタイプの装置は、the United States Pharmacopeia, 29th Edition (2006), chapter 711に記載されている装置1である。この装置は以下のように構成されている。
【0137】
アセンブリは以下からなる:ガラスまたは他の不活性で透明な材料で作られた蓋付き容器;モーター;金属製のドライブシャフト;および円筒形バスケット。この容器は、部分的に、任意の通常の大きさの好適な水浴中に浸漬させるか、または加熱ジャケット内に設置する。水浴または加熱ジャケットは、試験中に容器内部の温度を37±0.5に保持することと、浴の流体を一定で滑らかな運動状態に保つことを可能にする。アセンブリが設置される環境を含め、アセンブリには、回転攪拌子が円滑に回転することに拠るもの以外は、大きな運動、攪拌または振動に寄与する部分はない。試験中の検体および攪拌子の観察を可能にする装置が好ましい。前記容器は円筒形であり、半球状の底部と、以下の寸法および容量のうち1つを有する:1Lの公称容量の場合、高さは160mmないし210mmでありその内径は98mmないし106mmである;2Lの公称容量の場合、高さは280mmないし300mmでありその内径は98mmないし106mmである;4Lの公称容量の場合、高さは280mmないし300mmでありその内径は145mmないし155mmである。頂部の側部にはフランジが付いている。作り付けの蓋は、蒸発を遅らすのに使用できる。シャフトは、その軸が容器の垂直軸からの距離が如何なる点においても2mm以下であるように設置されており、滑らかにおよび大きく揺らぐことなく回転する。シャフトの回転速度を選択することとそれぞれのモノグラフにおいて特定された速度に±4%で維持することとを可能にする速度調節デバイスが使用される。攪拌素子のシャフトおよびバスケット部材は、316系のステンレス鋼またはその等価物から作製される。
【0138】
個々のモノグラフで別段特定しない限り、40メッシュの織物を使用する。0.0001インチ(2.5μm)厚の金箔を有するバスケットを使用することもできる。各試験の始めに、単位投薬量(dosage unit)を乾燥バスケットの中に入れる。容器の内側の底板とバスケットの間の距離は、試験中25±2mmに維持する。
【0139】
ラサギリン塩基のUV照射に対するおよび一般に光に対する感度のせいで、以下の例で説明する製剤の調製中、低UV照射環境で、好ましくはUV照射のない環境でこの方法を実施することが勧められる。
【0140】
また、主題の発明は、ここで開示する化合物に存在する原子の全ての同位体を含むことも意図される。同位体は、原子番号は同じであるが質量数が異なる原子を含む。一般例としておよび限定されないが、水素の同位体としては三重水素および重水素が挙げられる。炭素の同位体としてはC−13およびC−14が挙げられる。
【0141】
なお、本願の全体にわたっての構造における炭素の表記は、さらなる表記なしに使用される場合、炭素のすべての同位体、たとえば12C、13C、または14Cを表すことが意図される。さらに、13Cまたは14Cを含有する化合物は、ここで開示する化合物のいずれかの構造を具体的に有しうる。
【0142】
なお、本願の全体にわたっての構造における水素の表記は、さらなる表記なしに使用される場合、水素のすべての同位体、たとえば1H、2H、または3Hを表すことも意図される。さらに、2Hまたは3Hを含有する化合物は、ここで開示する化合物のいずれかの構造を具体的に有しうる。
【0143】
同位体標識した化合物は、一般に、当業者に知られている通常の技術によって、またはここで開示する例で説明したそれと類似し、非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用する方法によって調製できる。
【0144】
本発明は以下の実験的詳細からより十分に理解されるであろう。しかしながら、考察した具体的な方法および結果が、以下の特許請求の範囲においてより十分に説明する本発明の単なる例示に過ぎないことを、当業者は容易に理解するであろう。
【0145】
実験的詳細
例1.ラサギリン即時放出錠剤
ラサギリン即時放出錠剤を、表1に挙げる原料を使用して調製した。
【表1】
【0146】
ラサギリンメシラート、マンニトール、コロイド状二酸化珪素の半分、澱粉およびアルファ化澱粉をDiosna P-800ミキサ内で約5分間にわたって混合した。水を添加し、混合物をさらに混合した。粒状物を乾燥させ、コロイド状二酸化珪素の残りを添加した。粒状物をFrewittミル内で擂り、ステアリン酸およびタルクを添加した。粒状物をタンブラー内で5分間にわたって混合し、錠剤にした。
【0147】
例2.ラサギリン塩基核錠
例1の即時放出製剤のそれに似た薬物動態学的プロファイル(CmaxおよびAUC)を有するであろう製剤核錠を製造することを試みた。
【0148】
結晶性ラサギリン塩基を調製する方法は、米国特許出願公開第2008/0161408号(WO 2008/076348に対応)に開示されている。特に、この文献は、結晶性のラサギリン塩基の製造方法であって:a)R(+)−N−プロパルギル−1−アミノインダンの塩を水に溶解させて溶液を作ることと;b)この溶液を約0−15℃の温度まで冷却することと;c)この溶液を約11のpHまで塩基性化させて、懸濁剤を作ることと;d)この懸濁剤から結晶性のラサギリン塩基を得ることとを含む方法を記載している。
【0149】
APIとしてのラサギリン塩基の5種類の予備製剤を、標準的な錠剤化技術を使用し、例1のラサギリン即時放出製剤に基づいて調製した。製剤中のAPIを安定化させるため、様々な試薬を添加した。
【表2】
【0150】
各組成物を、実験室の器具を使用して、非GMPロットのAPIを有する(with non-GMP lot of API)〜500個の錠剤の実験室規模のバッチとして製造した。
【0151】
加速化および室温条件での短時間の安定性研究において、5種類全ての製剤(最終的な混合物)の安定性の結果を得た。シングルパンチを使用して圧縮された錠剤の安定性の結果、各製剤の内容物および溶解性の結果を以下の表に示す。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0152】
考察:
抗酸化剤であるクエン酸およびリンゴ酸をそれぞれ含有する組成物1および4は、最も優れた安定の結果および十分な溶解性プロファイルを与えた。それゆえに、それらをさらなる開発のために選択した。
【0153】
例3.クエン酸を有する遅延放出腸溶性錠剤の調製
この例では、クエン酸を含有するラサギリン塩基遅延放出腸溶性錠剤を調製した。
【0154】
この例で説明するように調製した錠剤中にクエン酸ラサギリンが形成されたことを確認した。
【0155】
例3a − 1.0mgラサギリン塩基、117mg核錠重量(製剤I)
【表10】
【0156】
I.乾式混合:
マンニトール、アエロジルの半分量、アルファ化澱粉および澱粉NFを高剪断造粒ミキサに入れ、ミキサ速度Iで1時間混合し、続いてミキサ速度IおよびチョッパーIで1分間混合することによって予備混合した。
【0157】
II.湿式造粒:
320gのクエン酸を精製水中で約1:10.6ないし1:6の重量比で使用して、クエン酸溶液を調製した。
【0158】
ラサギリン塩基を攪拌しながら約15分かけて添加した。攪拌は、澄んだ溶液が観察されるまで継続した。この溶液を高剪断造粒ミキサに添加し、内容物を約2分間にわたりミキサ速度IIおよびチョッパーIIで混合した。追加量の水をその高剪断造粒ミキサに添加し、溶液を2分以上にわたりミキサ速度IIおよびチョッパーIIで混合した。
【0159】
湿った粒状物を流動床ドライヤートロリー中に放出させた。
【0160】
III.流動床乾燥
45℃の入口空気温度(40°ないし50℃)および最大37−38℃の出口空気温度の下で、工程IIからの材料を流動床乾燥器において乾燥させた。
【0161】
IV.粉砕:
乾燥した粒状物および残りの量のアエロジルを、0.6mmの篩を有する振動造粒機を通して粉砕し、貯蔵容器に送った。
【0162】
粉砕された粒状物をさらに秤量した。
【0163】
V.最終ブレンド
ステアリン酸およびタルクを50メッシュの篩で篩い、Y−コーン/ビンに移した。
1.混合物を5分間にわたって混合した。
2.最終ブレンドを得て、収率を求めた。
3.内側の透明ポリエチレンバッグおよび外側の黒色ポリエチレンバッグを使用する容器に、最終ブレンドを保管した。2つのシリカゲルピローを2つのポリエチレンバッグの間に設置した。
4.ブレンド均一性試験のために、試料を採った。
【0164】
VI.錠剤の圧縮
錠剤圧縮機(FETTE 1200)に、指定された6.0mmのパンチを取り付けた。
【0165】
錠剤についての工程内制御試験は、平均重量、個々の重量、厚さ、硬度、破砕性および崩壊性を含んでいた。
【0166】
ラサギリン塩基DR1mg錠剤についてのプロセス制御の詳細は以下である:
【表11】
【0167】
錠剤を秤量して、収率を計算した。
【0168】
VII.下がけ
核錠を、まず、予備コーティングとしてヒプロメロース(Rharmacoat 606(登録商標))でコーティングし、次に、メタクリル酸−メチルメタクリラートコポリマー[1:1](Eudragit(登録商標)L-30D-55、Eudragit(登録商標)L100-55の分散剤)でコーティングして、コア中のラサギリン塩基とEudragit Lポリマーとの起こりうる相互反応を防いだ。
【0169】
1.Pharmacoat 606(登録商標)溶液の調製
ヒプロメロースを精製水中で約1:10の重量比で使用して、ヒプロメロースUSP溶液を調製した。
【0170】
2.予熱
核錠を(Ohara) Coaterコーティングパンに入れた。50℃の入口空気温度(45℃ないし55℃)および45−50℃の出口空気温度の下で、錠剤を加熱した。
【0171】
3.スプレープロセス
Ohara Coaterコーティングパンにおいて、核錠にヒプロメロース溶液をスプレーした。入口空気温度は50℃であり;出口空気温度は35℃であった。パンの速度は16rpmに設定した(14から18rpmまで変更できる)。スプレー速度は15−35gr/分であった。錠剤を、1時間にわたって、45℃の入口空気温度(温度範囲は40℃−50℃である)で乾燥させた。
【0172】
VIII.腸溶性コーティング
1.Eudragit(登録商標) L100-55の腸溶性コーティング分散剤の調製:
トリエチルシトラートと水とを15分間にわたって混合した。Ultraturaxにおけるトリエチルシトラートと水との分散剤中に超微細タルクを10分以内に添加した。Eudragit L100-55の30%分散剤をトリエチルシトラート/タルク分散剤中に添加し、濾過して攪拌した。
【0173】
2.予熱:
予備コーティングした錠剤を、Ohara Coatingコーティングパンに入れた。50℃の入口空気温度(45℃ないし55℃)および45℃の出口空気温度(40℃ないし50℃)の下で、錠剤を加熱した。
【0174】
3.スプレープロセス:
Ohara coaterパン内で、錠剤に前記分散剤をスプレーした。入口空気温度は40℃−50℃の範囲内にあり、出口空気温度は30−40℃の範囲内にあった。パン速度は14−18rpmの範囲内をもたせた16rpmに設定し、スプレー速度は5−20gr/分であった。錠剤を2時間にわたって乾燥させた。入口空気温度は最小のパン速度で50℃であった。
【0175】
EUDRAGIT(登録商標) L 100-55は、メタクリル酸およびエチルアクリラートをベースにしたアニオン性コポリマーを含有する。それは、メタクリル酸コポリマー、タイプCとしても知られている。遊離カルボキシル基対エステル基の比は約1:1である。平均分子量は約250,000である。
【化2】
【0176】
例3b − 1.0mgラサギリン塩基、76mg核錠重量(製剤III)
例3aで説明したものと類似した工程を使用して、この製剤を調製した。
【表12】
【0177】
例3c − 0.5mgラサギリン塩基、76mg核錠重量
例3aで説明したものと類似した工程を使用して、この製剤を調製した。
【表13】
【0178】
例3d − 0.5mgラサギリン塩基、76mg核錠重量
例3aで説明したものと類似した工程を使用して、この製剤を調製した。
【表14】
【0179】
例4.例3aに従って調製した錠剤の溶解性結果
例3aに従って調製した錠剤を、USP手順に従い、種々の媒体中での溶解プロファイルについて試験した。以下のデータは、4種類の錠剤の平均を示している。
【0180】
以下の表における放出されたラサギリンの%は、1mgラサギリンである標準品と比較したものである。
【表15】
【0181】
コーティングされた錠剤:
コーティングされた錠剤の0.1NのHCl中での溶解性プロファイルは、遅延放出性(腸溶性)物品についてのUSP規格、第29版、第724ページによると許容可能であり、120分後に10%未満の放出を示した。
【表16】
【0182】
考察
例3aに従って調製した錠剤は、6.0未満のpHではラサギリンの放出を開始しない。6.8のpHのとき、ラサギリンの迅速な放出が起こり、約20分以内に、製剤から90%を超えるラサギリンが放出される。
【0183】
本発明の製剤の開発中、この製剤が、健康群での単回投与生物学的同等性試験において、既知の即時放出ラサギリンメシラート製剤(たとえば、例1において開示したもの)との生物学的同等性の基準を満たすべきであることが決定された。これらの基準としては、90%の信頼区間において、新たな製剤と既知の即時放出製剤との間で80−125%の範囲内で類似したCmaxおよびAUC0-t(曲線下面積)が挙げられる。2種類の製剤の間の差異は、生物学的同等性試験においてtmaxの差として表れるべきである。言い換えると、本発明の製剤の平均薬学動態学的プロファイルは、遅延放出製剤の場合は即時放出製剤の場合よりも大きくあるべきであるtmaxを除いて、既知の即時放出製剤の調合物の平均薬学動態学的プロファイルと実質的に一致すべきである。
【0184】
既知の即時放出製剤の平均のCmaxおよびAUC0-tに合わせようとする(すなわち、生物学的に同等な遅延放出製剤を配合しようとする)理由は、即時放出製剤の効能は証明されており、製剤の効能はその平均Cmaxおよび/またはAUC0-tに関連する可能性が高いことにある(Arch Neurol. 2002; 59:1937-1943)。
【0185】
この目標を達成するために、非常に特殊な範囲のpHでラサギリンの放出を可能にする腸溶性剤皮を持ち迅速に崩壊するコアを有する腸溶性錠剤に向けての開発が行われた。この特殊なpH範囲は、製剤が胃の中でのラサギリンを放出するのを防ぎ、腸の生理学的条件下では製剤がラサギリンを迅速に放出することを可能にするであろう。
【0186】
例3aの錠剤は、PCT出願公開WO 2006/014973の組成物のように、メタクリル酸エチルアクリラートコポリマーを含む腸溶性剤皮でコーティングされているが、例3aによるこの錠剤は6.0以下のpHに耐えることができ、WO 2006/014973の組成物はそれができない。
【0187】
溶解性プロファイルの違いは、コアの調合物が大量の崩壊剤を含有していたことと、本発明の組成物で使用される腸溶膜のポリマー対可塑剤の比が低いという事実に由来する。10:1ないし2:1、特に5:1のポリマー対可塑剤の比は、生体内溶解プロファイルを増強させる。
【0188】
例3aの製剤の溶解プロファイルは、組成物が、現在市販されている即時放出製剤と類似した増強された薬物動態学的性質を有することを可能にする。
【0189】
例5.例3aに従って調製した錠剤の安定性結果
クエン酸を含有する製剤を使用して製造した腸溶性錠剤の安定性を、様々な保管条件で試験した。結果を以下に纏める。
【0190】
安定性試験(加速化条件):
0.1NのHClにおける腸溶性錠剤の溶解性プロファイルは、遅延放出性(腸溶性)物品についてのUSP規格、第29版、第724ページによると許容可能であり、120分後に10%未満の放出を示した。
【0191】
以下の表は、様々な保管期間のあとの腸溶性錠剤についての溶解プロファイルを示している。
【表17】
【0192】
上の表における放出されたラサギリンの%は、1mgラサギリンである標準品と比較したものである。
【0193】
以下の表は、種々の保管条件下での腸溶性錠剤の様々なバッチについての分析結果を示している。
【表18】
【表19】
【0194】
例6.リンゴ酸を有するラサギリン塩基遅延放出腸溶性錠剤の調製
例6a − 1.0mgラサギリン塩基、117mg核錠重量
【表20】
【0195】
I.乾式混合:
マンニトール、アエロジルの半分量、アルファ化澱粉および澱粉NFを高剪断造粒ミキサに入れ、ミキサ速度Iで1時間混合し、続いてミキサ速度IIおよびチョッパーIIで1分間混合することによって予備混合した。
【0196】
II.湿式造粒:
リンゴ酸を精製水中で約1:10.6ないし1:6の重量比で使用して、リンゴ酸溶液を調製した。
【0197】
ラサギリン塩基を攪拌しながら約15分かけて添加した。攪拌は、澄んだ溶液が観察されるまで継続した。
【0198】
溶液を高剪断造粒ミキサに添加し、約2分間にわたりミキサ速度IIおよびチョッパーIIで混合した。追加量の水をその高剪断造粒ミキサに添加し、溶液を2分以上にわたりミキサ速度IIおよびチョッパーIIで混合した。
【0199】
湿った粒状物を流動床ドライヤートロリー中にミキサ速度Iで放出させた。
【0200】
III.流動床乾燥:
45℃の入口空気温度(40°ないし50℃)および最大37−38℃の出口空気温度の下で、材料を流動床乾燥器において乾燥させた。
【0201】
IV.粉砕:
乾燥した粒状物を残りの量のアエロジルと共に、0.6mmの篩を有する振動造粒機を通して粉砕し、貯蔵容器に送った。
【0202】
粉砕された粒状物を秤量した。
【0203】
V.最終ブレンド
1.ステアリン酸およびタルクを50メッシュの篩で篩い、Y−コーンまたはビンに移した。
2.混合物を5分間にわたって混合した。
3.内側の透明ポリエチレンバッグおよび外側の黒色ポリエチレンバッグを使用する容器に、最終ブレンドを保管した。2つのシリカゲルピローを2つのポリエチレンバッグの間に設置した。
4.ブレンド均一性試験のために、試料を採った。
【0204】
VI.錠剤の圧縮:
錠剤圧縮機(FETTE 1200)に、指定された6.0mmのパンチを取り付けた。パンチの計は+/−10%変化させることができる。
【0205】
錠剤についての工程内制御試験としては、平均重量、個々の重量、厚さ、硬度、破砕性および崩壊性が挙げられる。
【0206】
ラサギリン塩基DR1mg核錠についてのプロセス制御の詳細は以下である:
【表21】
【0207】
核錠を秤量して、収率を計算した。
【0208】
VII.下がけ
核錠を、まず、予備コーティングとしてヒプロメロース(Rharmacoat 606)でコーティングし、次に、メタクリル酸−メチルメタクリラートコポリマー[1:1](Eudragit(登録商標)L-30D-55、Eudragit(登録商標)L100-55の30%分散剤)でコーティングして、コア中のラサギリン塩基とEudragit Lポリマーとの起こりうる相互反応を防いだ。
【0209】
1.Pharmacoat 606(登録商標)溶液の調製:
Pharmacoat 606を精製水中で約1:10の重量比で使用して、Pharmacoat 606(ヒプロメロースUSP溶液)を調製した。
【0210】
2.予熱:
核錠をOhara Coaterコーティングパンに入れ、50℃の入口空気温度(45°ないし55℃)および40−50℃の出口空気温度の下で、錠剤を加熱した。
【0211】
3.スプレープロセス:
Ohara Coaterコーティングパンにおいて、核錠に溶液をスプレーした。入口空気温度は50℃(40−50℃の範囲内)であり;出口空気温度は30−40℃であった。パンの速度は14から18rpmまでの範囲をもって16rpmに設定した;スプレー速度は15−35gr/分であった。錠剤を、1時間にわたって、45℃(40−50℃の範囲内)の入口空気温度(温度範囲は40℃−50℃である)で乾燥させた。
【0212】
VIII.腸溶性コーティング
前のセクションで説明した下がけしたラサギリン薬品錠剤製剤を腸溶性コーティングのために使用した。
【0213】
1.Eudragit(登録商標) L100-55分散剤の調製:
トリエチルシトラートと水とを15分間にわたって混合した。Ultraturax内のトリエチルシトラートと水との分散剤中に超微細タルクを10分以内に添加した。
【0214】
Eudragit (登録商標) L100-55をトリエチルシトラート/タルク分散剤中に添加し、濾過して攪拌し、このプロセスを継続した。
2.予熱:
核錠を、Ohara Coaterコーティングパンに入れ、50℃の入口空気温度(45°ないし55℃)および45℃の出口空気温度(40°ないし50℃)の下で加熱した。
【0215】
2.スプレープロセス:
Ohara coaterパンにおいて、錠剤に分散剤をスプレーした。入口空気温度は45℃であった;出口空気温度は35℃(30−40℃の範囲内)であった。パンの速度を16rpm(14−18rpmの範囲内)に設定し、スプレー速度は5−20gr/分であった。50℃の入口空気温度(45−55℃の範囲内)、最小のパン速度で、錠剤を2時間にわたって乾燥させた。
【0216】
例6b − 1.0mgラサギリン塩基、76mg核錠重量
例6aで説明したそれと類似した工程を使用して、この製剤を調製した。
【表22】
【0217】
例6c − 0.5mgのラサギリン塩基、117mgの核錠重量
例6aで説明したそれと類似した工程を使用して、この製剤を調製した。
【表23】
【0218】
例6d − 0.5mgのラサギリン塩基遅延放出腸溶性錠剤の調製
この例では、例6aで説明したそれと類似した工程を使用して、リンゴ酸を含有する0.5mgラサギリン塩基遅延放出腸溶性錠剤(76mg核錠重量)を調製した。
【表24】
【0219】
例7.例6aに従って調製した錠剤の安定性の結果
クエン酸を含有する製剤を使用して製造した腸溶性錠剤の安定性を、様々な保管条件で試験した。結果を以下に纏める。
【0220】
安定性結果(加速化条件):
0.1N HCl中での腸溶性錠剤の溶解性プロファイルは、遅延放出性(腸溶性)物品についてのUSP規格、第29版、第724ページによると許容可能であり、120分後に10%未満の放出を示した。
【0221】
以下の表は、様々な保管条件下での錠剤の分析結果を示している。
【表25】
【表26】
【0222】
例8.クエン酸を有するラサギリン塩基核錠の調製
【表27】
【0223】
上の組成物は、クエン酸を同量のリンゴ酸と交換することによって、リンゴ酸を用いてラサギリン塩基錠剤を調製するのにも使用できる。
【表28】
【0224】
I.造粒溶液の調製:
1.必要量の80%の精製水を秤量し、グラスに入れる。
2.クエン酸を秤量して、同じグラスに入れる。
3.攪拌子をこのグラスに入れ、完全に溶解するまで約5−10分間の攪拌を開始する。
4.ラサギリン塩基を秤量し、それを得られたクエン酸溶液に添加する。
5.約30分間攪拌を続け、APIの溶解を完了させる。
【0225】
II.粒状物の調製
1.マンニトール、アエロジル200、澱粉およびアルファ化澱粉を秤量し、これら全ての賦形剤をDiosna P-6(Diosna)へ移し、ミキサIで(270rpmで)1分間にわたり混合する。
2.ミキサI(270rpm)およびチョッパーI(1500rpm)でさらに1分間にわたって賦形剤を混合する。
3.造粒溶液をDiosna P-6(Diosna)に添加し、ミキサII(540rpm)およびチョッパーII(2200rpm)で2分間にわたって混合する。
4.造粒溶液の後に46.563gの精製水でグラスを清浄化し、それをDiosna P-6(Diosna)に添加する。
5.ミキサII(540rpm)およびチョッパーII(2200rpm)で2分間にわたって混合する。
6.得られた粒状物をGlatt 1.1(流動床)へ移し、37℃の入口空気でL.O.D. NMT 1.5%まで乾燥させる。
乾燥条件:
入口:最小値− 35℃;目標値− 50℃;最大値− 55℃
出口:生成物温度− 37℃
流量:最小値− 25;目標値− 60;最大値− 1000。
【0226】
III.粉砕:
0.6mmの篩を通し、Frewittを使用して粒状物を粉砕する。
【0227】
IV.最終ブレンド
1.得られた粒状物の量を秤量する。
2.アエロジル200、ステアリン酸およびタルクの量を、実際の粒状物の重量に従って計算する。
3.アエロジル200を50メッシュの篩を通してスクリーニングする。
4.篩い分け後、必要量のアエロジル200を秤量する。
5.粉砕した粒状物と、篩い分け後のアエロジル200をY−コーンに移す。
6.2分間にわたって混合する。
7.ステアリン酸およびタルクを秤量する。
8.これら賦形剤を50メッシュの篩を通してスクリーニングする。
9.それらをY−コーンに移す。
10.5分間にわたって混合する。
【0228】
V.錠剤の圧縮
機械:Sviac
パンチの径:5.0mm(±10%変化してもよい)
錠剤の重量− 80mg±5%
硬度:3−7kP
破砕性:1%以下
崩壊性:5分以下。
【0229】
例9.リンゴ酸を有するラサギリン塩基核剤の調製
【表29】
【0230】
上の組成物は、リンゴ酸を同量のクエン酸と交換することによって、クエン酸を用いてラサギリン塩基錠剤を調製するのにも使用できる。
【0231】
I.造粒溶液の調製:
1.必要量の80%の精製水を秤量し、グラスに入れる。
2.リンゴ酸を秤量して、それを同じグラスに添加する。
3.攪拌子をこのグラスに入れ、完全に溶解するまで約5−10分間の攪拌を開始する。
4.ラサギリン塩基を秤量し、それを得られたリンゴ酸溶液に添加する。
5.約30分間攪拌を続け、APIの溶解を完了させる。
【0232】
II.粒状物の調製
1.マンニトール、アエロジル200、澱粉およびアルファ化澱粉を秤量し、これら全ての賦形剤をDiosna P-6(Diosna)へ移し、ミキサIで1分間にわたり混合する。
2.ミキサIおよびチョッパーIのrpmで、さらに1分間にわたって賦形剤を混合する。
3.造粒溶液をDiosna P-6(Diosna)に添加し、ミキサIIおよびチョッパーIIで2分間にわたって混合する。
4.追加の精製水をDiosna P-10(Diosna)に添加し、ミキサII、およびチョッパーIIで2分間にわたり混合する。
5.得られた粒状物をGlatt 5(流動床)に移し、37℃の入口空気で、L.O.D. NMT1.5%まで乾燥させる。
乾燥条件:
入口:最小値− 35℃;目標値− 50℃;最大値− 55℃
出口:生成物温度− 37℃。
【0233】
III.粉砕:
アエロジル200を秤量して粒状物へ添加し、0.6mmの篩を通しFrewittを使用して粒状物を粉砕する。
【0234】
IV.最終ブレンド
1.ステアリン酸およびタルクを秤量する。
2.これらの賦形剤を50メッシュの篩を通してスクリーニングする。
3.粉砕した粒状物と、篩い分けしたアエロジル200をY−コーンに移す。
4.5分間にわたって混合する。
【0235】
V.錠剤の圧縮
機械:Sviac
パンチの径:4.0mm(±10%変化してもよい)
錠剤の重量− 43mg±5%
硬度:3−5kP
破砕性:1%以下
崩壊性:5分以下。
【0236】
例10.クエン酸およびリンゴ酸の両方を有するラサギリン塩基核錠の調製
【表30】
【表31】
【0237】
I.造粒溶液1の調製:
1.必要量の80%の精製水を秤量し、グラスに入れる。
2.クエン酸を秤量して、同じグラスに入れる。
3.攪拌子をこのグラスに入れ、完全に溶解するまで約5−10分間の攪拌を開始する。
4.ラサギリン塩基を秤量し、それを得られたクエン酸溶液中に添加する。
5.約30分間攪拌を続け、APIの溶解を完了させる。
【0238】
II.造粒溶液2の調製:
1.必要量の20%の精製水を秤量し、グラスに入れる。
2.このグラスに秤量した量のリンゴ酸を入れる。
3.攪拌子をこのグラスに入れ、完全に溶解するまで約5−10分間の攪拌を開始する。
III.粒状物の調製
1.マンニトール、アエロジル 200、澱粉およびアルファ化澱粉を秤量し、これら全ての賦形剤をDiosna P-6(Diosna)へ移し、ミキサI(270rpm)で1分間にわたり混合する。
2.ミキサI(270rpm)およびチョッパーI(1500rpm)で、さらに1分間にわたって賦形剤を混合する。
3.造粒溶液1をDiosna P-6(Diosna)に添加し、ミキサII(540rpm)およびチョッパーII(2200rpm)で2分間にわたって混合する。
4.造粒溶液1のあとに造粒溶液2でグラスを清浄化し、それをDiosna P-6(Diasna)に添加する。
5.ミキサII(540rpm)およびチョッパーII(2200rpm)で2分間にわたって混合する。
6.得られた粒状物をGlatt 1.1(流動床)に移し、37℃の入口空気で、L.O.D. NMT1.5%まで乾燥させる。
乾燥条件:
入口:最小値− 35℃;目標値− 50℃;最大値− 55℃
出口:生成物温度− 37℃
流量:最小値− 25;目標値− 60;最大値− 1000。
【0239】
IV.粉砕:
0.6mmの篩を通しFrewittを使用して、得られた粒状物を粉砕する。
【0240】
V.最終ブレンド
1.得られた量の粒状物を秤量する。
2.実際の粒状物の重量に従って、アエロジル 200、ステアリン酸およびタルクの量を計算する。
3.アエロジル 200を50メッシュの篩を通してスクリーニングする。
4.篩い分け後、必要量のアエロジル 200を秤量する。
5.粉砕した粒状物および篩い分けしたあとのアエロジル 200をY−コーンへ移す。
6.2分間にわたって混合する。
7.ステアリン酸およびタルクを秤量する。
8.賦形剤を50メッシュの篩を通してスクリーニングする。
9.それらをY−コーンに移す。
10.5分間にわたって混合する。
【0241】
V.錠剤の圧縮
機械:Sviac
パンチの径:6.0mm(±10%変化してもよい)
錠剤の重量− 117mg±5%
硬度:6−8kP
破砕性:1%以下
崩壊性:5分以下。
【0242】
VII.下がけ:
【表32】
【0243】
1.下がけ溶液の調製:
Pharmacoat 606(ヒプロメロースUSP)を1510gの精製水と共に容器に入れ、攪拌子を使用して30分間にわたって混合した。
2.予熱:
核剤を2.5kgのO'HARA Coaterのパンに入れ、予熱した:
入口空気温度− 50℃(45°ないし55℃)
出口空気温度− 45℃(40°ないし50℃)。
圧力差− −50Pa。
3.乾燥プロセス(所望の錠剤重量に達するまで、このプロセスを続けた):
下がけ溶液を、以下の条件で、予熱した核錠にスプレーした:
スプレーガンの数− 1
ノズルの口径− 1mm
錠剤ベッドとスプレーガンとの距離− 15cm
パンの速度 10rpm(8−12rpm)。
【0244】
入口空気温度− 50℃(45°ないし55℃)
出口空気温度− 35℃(30°ないし40℃)
スプレー速度− 10−20g/分
圧力差− −50Pa
噴霧空気圧− 30Psi
パターン空気圧− 30Psi
4.乾燥プロセス:
入口空気温度− 45℃(40℃ないし50℃)
出口空気温度− 40℃−50℃
パンの速度− 5rpm ジョギング
乾燥時間− 60分。
【0245】
例11.クエン酸を有するさらなるラサギリン塩基腸溶性製剤
例11a − 0.5mgラサギリン塩基
この例は、クエン酸および他の賦形剤の量に違いがある、複数種の0.5mgラサギリン塩基製剤を説明する。これらの製剤は、例1のそれに似た溶解性および薬物動態学的プロファイル(CmaxおよびAUC)を有する。
【表33】
【0246】
例11b − 1.0mgラサギリン塩基
この例は、クエン酸および他の賦形剤の量に違いがある、複数種の1mgラサギリン塩基製剤を説明する。これらの製剤は、例1のそれに似た溶解性および薬物動態学的プロファイル(CmaxおよびAUC)を有する。
【表34】
【0247】
例12.リンゴ酸を有するさらなるラサギリン塩基腸溶性製剤
例12a − 0.5mgラサギリン塩基
この例は、リンゴ酸および他の賦形剤の量に違いがある、複数種の0.5mgラサギリン塩基製剤を説明する。これらの製剤は、例1のそれに似た溶解性および薬物動態学的プロファイル(CmaxおよびAUC)を有する。
【表35】
【0248】
例12b − 1.0mgラサギリン塩基
この例は、リンゴ酸および他の賦形剤の量に違いがある、複数種の1mgラサギリン塩基製剤を説明する。これらの製剤は、例1のそれに似た溶解性および薬物動態学的プロファイル(CmaxおよびAUC)を有する。
【表36】
【0249】
例13.クエン酸およびリンゴ酸の両方を有するさらなるラサギリン塩基腸溶性製剤
例13a − 0.5mgラサギリン塩基
この例は、クエン酸、リンゴ酸および他の賦形剤の量に違いがある、複数種の0.5mgラサギリン塩基製剤を説明する。これらの製剤は、例1のそれに似た溶解性および薬物動態学的プロファイル(CmaxおよびAUC)を有する。
【表37】
【0250】
例13b − 1.0mgラサギリン塩基
この例は、クエン酸、リンゴ酸および他の賦形剤の量に違いがある、複数種の1mgのラサギリン塩基製剤を説明する。これらの製剤は、例1のそれに似た溶解性および薬物動態学的プロファイル(CmaxおよびAUC)を有する。
【表38】
【0251】
例14.クエン酸を有するカラーコーティングしたラサギリン塩基腸溶性製剤
例14a − 0.5mgラサギリン塩基
この例は、クエン酸を含有し追加のカラーコーティングを有する0.5mgラサギリン塩基製剤を説明する。
【表39】
【0252】
例14b − 1mgラサギリン塩基
この例は、クエン酸を含有し追加のカラーコーティングを有する1mgラサギリン塩基製剤を説明する。
【表40】
【0253】
例14c − ラサギリン塩基(カラーコーティングを有する製剤III)
この例は、クエン酸を含有し、追加のカラーコーティングを有するラサギリン塩基製剤(製剤III)
【表41】
【0254】
例15.リンゴ酸を有するカラーコーティングしたラサギリン塩基腸溶性製剤
例15a − 0.5mgラサギリン塩基
この例は、リンゴ酸を含有し、追加のカラーコーティングを有する0.5mgラサギリン塩基製剤を説明する。
【表42】
【0255】
例15b − 1.0mgラサギリン塩基
この例は、リンゴ酸を含有し追加のカラーコーティングを有する1mgラサギリン塩基製剤を説明する。
【表43】
【0256】
例16.錠剤からのラサギリン塩基の抽出
この例は、クエン酸を有する1mg錠剤の製剤中の遊離ラサギリン塩基の量を評価した。
【0257】
ラサギリンは塩の形態でまたは遊離塩基として製剤中に存在していると仮定する。
【0258】
ラサギリン塩基は、非極性有機溶媒たとえばヘキサン、トルエンおよび酢酸エチルに非常に可溶な非極性化合物である。それゆえに、遊離ラサギリン塩基は、これらの溶媒によって固体製剤から抽出できた。
【0259】
ラサギリンの塩は、非極性溶媒に可溶でなく、ヘキサン、トルエン、1−オクタノールまたは酢酸エチルによるラサギリンシトラートの抽出の可能性は非常に低い。
【0260】
例9で説明した工程を使用して調製したラサギリン塩基の核剤を試験した。各錠剤は1mgのラサギリン塩基を含有していた。プラセボの錠剤を参照として使用した。
【0261】
各々1mgラサギリン塩基を有する17個の核錠を粉砕し乳鉢で擂って、均一な微細粉末にした。
【0262】
各粉末を20mlの有機溶媒と混合し、密閉したガラス容器において、1時間にわたって室温で磁気攪拌子により攪拌した。次に、混合物を攪拌せずに沈降させ、澄んだ液体をデカントし、得られた抽出物のサンプルを0.2μmのフィルタを通して濾過した。
【0263】
濾過した抽出物のサンプルに、溶解したラサギリンの量についてのHPLC分析を施した。プラセボ抽出物のサンプルをコントロールとして使用した。
【0264】
抽出物中のラサギリンの考えられる最大算出濃度は0.85mg/ml(20mlの溶媒中に17mg)である。
【0265】
結果を以下の表5に纏める。
【表44】
【0266】
結果の概要
表16の実験結果から、ラサギリン塩基の「クエン酸(citric)」製剤の錠剤は、非極性溶媒によって抽出可能な1ないし2パーセントの遊離ラサギリン塩基を含有しうることが分かる。
【0267】
抽出可能な塩基の量は、非極性溶媒たとえばn−ヘキサン、トルエン、1−オクタノールおよびジクロロメタンなどの溶媒の種類に依存しない。しかしながら、より極性の溶媒たとえば酢酸エチルは、核剤からより多くのラサギリン塩基を抽出した。
【0268】
例17.例3aおよび例3bによる錠剤に基づく臨床試験
この試験は、例3a(製剤I)および例3b(製剤III)の各々による2種類の異なるラサギリン塩基1mg腸溶性錠剤製剤の生体利用効率を単回投与に従って市販のラサギリン薬品(Azilect(登録商標)1mg)に対して評価し、これら試験製剤の各々に対する食物の影響を評価した。
【0269】
また、この試験は各治療の安全性および忍容性についても試験した。
【0270】
1.試験計画
この試験は融通の利く2つのパートのプロトコルであって、各パートは、異なるラサギリン塩基1mg腸溶性製剤(製剤Iまたは製剤III)の生体利用効率を参照の製品(Azilect(登録商標)1mg)に対して試験した。
【0271】
各パートは、15人の健康な男性および女性における、オープンラベルの、3期間、3シーケンスの比較クロスオーバー試験(シーケンス当たり5人)であった。
【0272】
治療A:空腹状態での1錠のラサギリン塩基1mg腸溶性錠剤(試験製剤Iまたは試験製剤III)。
【0273】
治療B:空腹状態での1錠のAzilect(登録商標)錠剤(参照の1mgラサギリンメシレート)。
【0274】
治療C:標準的な高脂質、高カロリーの食事の後の1錠のラサギリン1mg腸溶性錠剤(試験製剤Iまたは試験製剤III)。
【0275】
3つの治療を3回の試験期間にわたって施し、その各々を14日のウォッシュアウトインターバルを挟んで分けた。
【0276】
被験者は、無作為に指定された3シーケンス(A−B−C、B−C−AまたはC−A−B)のうちの1つに従って投薬された。
【0277】
各期間において、被験者は、二晩滞在するように拘束された[投薬の前およびそれまで少なくとも10.5時間]。被験者は、通院して血液サンプル採取するために第2の日に(on Day 2)に戻ってきた。
【0278】
パート1では、被験者1−15が試験製剤Iまたは参照を受け取り、パート2では、被験者16−30が試験製剤IIIまたは参照を受け取った。各試験部分を実行する決定は、試験製剤の生体利用効率に基づいた。
【0279】
AE、生体信号、健康診断、および臨床検査室試験を安全性に関して評価し、血漿中のラサギリンおよびアミノインダン濃度の測定のために、試験中定期的に予め定められた時点で血液サンプルを採った。
【0280】
2.被験者の選別
自由なコミュニティ全体のメンバーからなる施設に収容されていない対象から、30人の健康な大人(〜50%/50%の男女)の被験者を選別した。
【0281】
3.薬物動態学的(PK)サンプリングおよび分析
PK目的で、合計で80のサンプル(約400mL)を各被験者から採った。薬物動態学的サンプル採取は、以下の時点で行う:
a)治療A(試験、空腹)
第1の日の投与(0時間)の前90分以内、ならびに投薬後0.5、0.75、1、1.33、1.67、2、2.33、2.67、3、3.33、3.67、4、4.5、5、6、7、8、9、12、24および36時間(22サンプル)。
b)治療B(試験、空腹)
第1の日の投与(0時間)の前90分以内、ならびに投薬後0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、2、3、4、5、6、7、8、12、24および36時間(17サンプル)。
c)治療C(試験、食後)
第1の日の投与(0時間)の前90分以内、ならびに投薬後1、1.5、2、2.5、3、3.33、3.67、4、4.33、4.67、5、5.33、5.67、6、6.33、6.67、7、7.33、7.67、8、8.5、9、10、11、12、13、14、15、16、18、19、20、21、22、23、24、25、26および36時間(41サンプル)。
【0282】
直接静脈穿刺によってかまたは留置型静脈内カニューレによって、血液を採った。後者を行う場合にはいつでも、各サンプリング後、カニューレに1.5mLの生理食塩水を流した。加えて、サンプルの希釈を避けるために、次のサンプルの前に1mLの血液を捨てた(カニューレが正常になるまで)。それゆえに、5mLまでの血液が各時点で採取される。薬物動態学的サンプル採取のために被験者1人当たり採取する血液の合計量は、4週の期間にわたって、約400mlであった。
【0283】
サンプルは、適切な容積のK2-EDTAヴァキュテーナーに収集した。全ての生物学的サンプル収集および保管容器のラベルには、少なくとも、プロトコル番号、副試験(Sub-study)番号、被験者番号;投与期間;投与日;PKの時点を含んでいた。サンプリングの直後、少なくとも2−3回収集管を逆さにしてサンプルを混合した。処理するまで、サンプルを氷浴または冷却デバイスによって冷却した。血液処理は収集の2時間以内に行った:サンプルを約2000gおよび4℃(±3℃)で約10分間にわたって遠心分離し、適正なラベルを付けたポリプロピレン二重管に血漿を移し、生物分析室への移動または輸送まで約−20℃で保管した。少なくとも0.7mLの血漿を第1のポリプロピレン管に移し、残りの血漿を第2のポリプロピレン管に移した。サンプルを−20℃においた時刻を試験文書に記録した。
【0284】
正確なサンプリング時刻をソースデータまたはCRFに直接記録した。サンプル処理手順をPK記録表に記した。
【0285】
認可されたLC/MS/MS生物分析方法を使用し、生物学的試験室の標準作業手順およびFDAガイドラインに従って、ラサギリンおよびアミノインダン血漿濃度を測定した。
【0286】
検査した生物分析データ有効性(audited bioanalutical data availability)によって、各副試験のPKデータの分析を別々に行った。治療の各々についての記述統計を使用して、ラサギリンおよびアミノインダンの各個血漿濃度を表にし、適切であればグラフで表し、纏めた。
【0287】
ラサギリンおよびアミノインダン濃度プロファイルを用い、適切な非区分法を使用して、薬物動態学的分析を行った。
【0288】
以下のパラメータを算出した:Cmax、tmax、tlag、AUCt、AUC、t1/2、CL/F、V/F、%AUCext、末端勾配のラサギリン係数。必要だと思われる場合は追加のPKパラメータを算出した。記述統計を使用して、全てのPKパラメータを表にして纏めた。
【0289】
データの受け取りに基づく各副試験についてのSASを使用して、統計学的分析を行った。各副試験について、空腹状態での試験および参照の製剤の間の生物学的同等性と、試験製剤への食べ物の影響とを、ラサギリンについてのみ、Cmax、AUCt、およびAUCooについての90%の信頼区間(CI)での相乗平均の比に従って評価した。上記比およびCIは、対数変換したデータについてのANCOVA(MIXED手順、SAS)を使用して計算した。生物学的同等性に関する結果は、逆変換点の推定およびCIに基づいていた。Tmaxはノンパラメトリック分析(Wilcoxon Singned Rank試験)を使用して分析した。
【0290】
4.結果
以下の表17a−表17dは、この試験の試験結果を纏めている。
【0291】
生物学的同等性試験
この試験結果から、試験をした遅延放出性製剤(製剤Iおよび製剤III)は、既知の即時放出性製剤との生物学的同等性についての基準を満たしていたことが分かった。CmaxおよびAUCtの各々は、試験した製剤と参照の即時放出性製剤との間で、90%信頼区間において80−140%の範囲を達成した。
【0292】
MAOアッセイ:
試験結果から、例3aおよび例3bの各々によって調製した製剤についてのMAO−B活性は参照の即時放出性製剤に匹敵したことが分かった。
【0293】
MAOの酵素的測定のために標準的な方法を使用した:「種々の組織における放射線標識した基質を用いる抽出方法による、モノアミンオキシダーゼ(MAO)の測定」。
【0294】
簡単に述べると、50μlのホモジネートを100μlの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に加えた。20分、37℃でプレインキュベーションした後、50μlの14C−フェニルエチルアミンヒドロクロリド(最終濃度10μM)を加え、さらに20分間インキュベーションした。反応は、その後、クエン酸2Mを添加することにより停止した。
【0295】
放射活性を有する代謝産物を、トルエン/酢酸エチル(1:1 v/v)中に抽出し、2,5−ジフェニルオキサゾールの溶液を最終濃度0.4%で添加し、代謝産物の含量を液体シンチレーション計数により見積もった。
【0296】
ラットの脳のホモジネートの活性をアッセイに対する標準(ポジティブコントロール)として使用した。
【0297】
タンパク質測定は、ローリー(Lowrey)法により行った。
【0298】
安全性および忍容性
試験結果から、各治療の安全性および忍容性は許容可能であることが分かった。
【表45】
【表46】
【表47】
【表48】
【0299】
結論
表17a−表17dに示したように、製剤IIIは、空腹状態および食後状態の両方で要件を満たした。製剤IIIのPKパラメータおよび生物学的同等性はAzilect(登録商標)のそれと類似していた。
【0300】
例18.ラサギリンシトラートの調製
この例で使用する固体の結晶性ラサギリン塩基を、以下に説明するものに類似する方法で調製した。
【0301】
A)ラサギリン塩基オイルの調製
100.0gのラサギリンタータラートを458mlの脱イオン水中に懸濁させ、229mlのトルエンを添加し、46mlの25%NaOH溶液を攪拌しながら導入した。混合物を45℃に加熱し、45℃で15分間にわたって攪拌し、この温度で静置した。
【0302】
二相に分離した。下にある水相(pH=13−14)を捨て、上にあるトルエン相を140mlの脱イオン水で洗浄した。得られたエマルションを静置し、二相に分けた。下にある水相(pH9−10)を捨てた。エバポレーターにおいて、減圧下でトルエン溶液を蒸発乾固させた。
【0303】
溶媒の蒸発が完了した後、60mlのイソプロパノールを残留物に添加し、蒸発乾固を続けた。蒸発乾固が完了した後、50mlのイソプロパノールを添加して、同じ条件下で蒸発除去した。残留物であるR−PAI塩基のオイルが得られた。
【0304】
B)ラサギリン塩基の結晶化
上記工程A)で得られたラサギリン塩基オイルを56mlのイソプロパノール中に溶解させた。溶液を16℃まで冷却し、147.5mlの脱イオン水を、冷却および攪拌しながら、分割して3時間で添加した。水の添加中、沈殿の発達が確認され、バッチに結晶性R−PAI塩基を直ちにまいた。
【0305】
得られた懸濁剤を2℃まで冷却し、この温度で終夜攪拌してろ過した。固体を水で洗浄して、減圧下の室温で乾燥させた。固体の乾燥したR−PAI塩基が得られ、オイル状の塩基に対して収率は96%であった。
【0306】
この例は、ラサギリンのクエン酸塩の調製および特性を説明する。ラサギリンシトラートは魅力的な原体である。クエン酸は三塩基化合物であるので、ラサギリンシトラートには3つの考えられる形態が存在する:モノ−、ジ−およびトリ−シトラート。それゆえに、ここで説明するラサギリンシトラートは、モノ−ラサギリンシトラート、ジ−ラサギリンシトラートもしくはトリ−ラサギリンシトラート、またはこれらの混合物でありうる。
【0307】
ラサギリンは弱塩基であり、クエン酸のpKaは3.13、4.76および6.40であるので、第1のおよび第2のラサギリン塩基分子のシトラートに対する結合は、第3のラサギリン塩基分子の結合よりも遥かに起こりやすい。
【0308】
出発物質
クエン酸−USPグレードの酸無水物をクエン酸塩の調製に使用した。
ラサギリン塩基−この例で上述したように調製した結晶性ラサギリン塩基。
【0309】
例18a − エタノール−アセトンでのラサギリンシトラートの調製
3.02gのクエン酸を、室温にある10mlの無水エタノール中に溶解させた。5.38gのラサギリン塩基を15mlの無水エタノール中に溶解させた。ラサギリン塩基の溶液を、攪拌しながら、分割してクエン酸の溶液に導入した。添加中に、著しい発熱効果が記録され、その間、溶液の温度は10分の添加中に17℃から24℃まで上昇した。得られた清澄溶液をフリーザー内に−18℃で保管し、沈殿は観察されなかった。
【0310】
追加の2.71gの固体ラサギリン塩基を、上で得られた清澄溶液に添加した。20−23℃での長期間の攪拌後、固体を溶解させて、粘稠性の清澄溶液が得られた。得られた粘稠性の清澄溶液を終夜フリーザー内に−18℃で保管した。フリーザー内での溶液からの固体の析出は、20時間観察されなかった。
【0311】
溶液を、回転式蒸発器で減圧しながら蒸発乾固させ、蜂蜜状の半固体材料の得られた残留物(11.2g)を週末を通じてフリーザー(−18℃)に入れておいた。固体の結晶化は観察されなかった。
【0312】
半固体材料を攪拌しながら40mlのアセトンに混合し、長期攪拌中、半固体材料の溶解は観察されなかった。
【0313】
次に、無水エタノール(3ml)を、攪拌しながら、分割して混合物に添加した。半固体材料の完全な溶解が観察され、得られた清澄溶液を終夜フリーザー内に入れておいた。
【0314】
アセトン−エタノール溶液から沈殿した蜂蜜状の半固体材料がフラスコの底部で認められた。溶液をデカントし、沈殿物を減圧(20mbar)下で4時間にわたって乾燥させた。乾燥中、安定な泡が発生した。泡を有したフラスコを高真空ポンプに接続し、2−3mbarで終夜乾燥させた。
【0315】
泡は高真空下で固化した。減圧を切り、この物質をスパーテルで粉砕した。6.1gの白色粉末が得られた。
【0316】
分析:
HPLCによるラサギリン塩基のアッセイ− 60.8%
XRDによる結晶度− アモルファス
熱分析:
DSC−179.7℃(128exo)にピーク、TGA−LOD=1.2%(25−100℃)、T>100℃での内容物(cont.)の減量。
【0317】
例18b − 水−アセトン中のモノ−クエン酸塩(モル比1:1)
3.02gのクエン酸を4mlの脱イオン水に溶解させた。2.69gのラサギリン塩基をこの溶液に添加した。発熱効果が観察され(温度が22から25℃へと上昇した)、殆どの固体が溶解した。次に、混合物を42℃まで加熱し、固体の完全な溶解が観察された。得られた清澄で粘稠性のシロップ状溶液を+5℃にある冷凍器内に終夜入れておいた。15時間沈殿は観察されなかった。
【0318】
この溶液を15mlのアセトンに混合し、回転式蒸発器で減圧しながら蒸発乾固させた。蜂蜜状の半固体物質の残留物(6.29g)を減圧(20mbar)下で周囲温度で乾燥させた。乾燥中に泡(6.11g)が発生し、その後高真空(2−3mbar)下でさらに乾燥させた。
【0319】
高真空下で泡が固化した。減圧を切り、この物質をスパーテルで粉砕した。5.58gの白色粉末が得られた。
【0320】
分析:
HPLCによるラサギリン塩基のアッセイ− 44.5%
XRDによる結晶度− アモルファス
熱分析:
DSC−188.6℃(61exo)にピーク、TGA−LOD=1.5%(25−100℃)、T>100℃での内容物の減量。
【0321】
例18c − 水−アセトン中のジ−クエン酸塩(モル比2:1)
3.45gのクエン酸を5mlの脱イオン水に溶解させ、30℃まで予熱した。6.13gのラサギリン塩基をこの溶液に添加した。発熱効果が観察され(温度が30から36℃へと上昇した)、固体が溶解した。得られた清澄で粘稠性のシロップ状溶液を+5℃にある冷凍器内に終夜入れておいた。15時間、沈殿は観察されなかった。
【0322】
この溶液を18mlのアセトンに混合し、回転式蒸発器で減圧しながら蒸発乾固させた。蜂蜜状の半固体物質の残留物(9.7g)を減圧(20mbar)下で周囲温度で乾燥させた。乾燥中に泡が発生し、その後高真空(2−3mbar)下でさらに乾燥させた。
【0323】
高真空下で泡が固化した。減圧を切り、物質をスパーテルで粉砕した。8.81gの白色粉末が得られた。
【0324】
分析:
HPLCによるラサギリン塩基のアッセイ− 60.9%
XRDによる結晶度− アモルファス
熱分析:
DSC−180.2℃(141exo)にピーク、TGA−LOD=1.2%(25−100℃)、T>100℃での内容物の減量。
【0325】
例18d − 水−アセトン中のトリ−クエン酸塩(モル比3:1)
3.46gのクエン酸を5mlの脱イオン水に溶解させた。9.19gのラサギリン塩基をこの溶液に添加した。発熱効果が観察され(温度が22から27℃へと上昇した)、殆どの固体が溶解した。次に、混合物を46℃まで加熱し、0.5mlの水を添加して、固体の完全な溶解が得られた。得られた清澄で粘稠性のシロップ状溶液を+5℃にある冷凍器内に終夜入れておいた。15時間沈殿は観察されなかった。
【0326】
この溶液を18mlのアセトンに混合し、回転式蒸発器で減圧しながら蒸発乾固させた。蜂蜜状の半固体物質の残留物(13.20g)を減圧(20mbar)下で周囲温度で乾燥させた。乾燥中に泡(13.19g)が発生し、その後高真空(2−3mbar)下でさらに乾燥させた。
【0327】
高真空下で泡が固化した。減圧を切り、この物質をスパーテルで粉砕した。12.80gの白色粉末が得られた。
【0328】
分析:
HPLCによるラサギリン塩基のアッセイ− 70.6%
XRDによる結晶度− アモルファス
熱分析:
DSC−181.8℃(136exo)にピーク、TGA−LOD=1.3%(25−100℃)、T>100℃での内容物の減量。
【0329】
例18の考察
実験観察は水性溶液中でのラサギリン塩基とクエン酸との発熱反応を示す。約2mg/mlの水溶性を有するラサギリン塩基が水性反応溶液に10wt%を超えて溶解するという事実は、塩基の塩への完全なまたは完全に近い変換を証明する。
【0330】
同時に、塩基の一部を、非極性の有機溶媒たとえばトルエンによって、塩溶液から抽出できた。
【0331】
ラサギリンのモノ−、ジ−、およびトリ−クエン酸塩の調製は、ラサギリン(R−PAI)、クエン酸および水の分子量から計算できる。計算結果を以下の表18に示す。また、表18に示したデータは、例18a−例18dで調製したシトラート中のR−PAI含有量が含水塩の組成に一致することも証明する。
【表49】
【0332】
例18a−例18dで調製したラサギリンのクエン酸塩は極めて高い水溶性を示す。例18b、例18cおよび例18dで調製したモノ−、ジ−およびトリクエン酸塩の溶液は、それぞれ、59、66および70wt%の溶解固形物濃度を有していた。これらの溶液は、飽和を示さず、低温で安定であることが分かった。+5℃では、15時間の間に沈殿は観察されなかった。このデータは、水中でのラサギリンのクエン酸塩の極めて高い溶解性を示す。ラサギリンシトラートが70%wtより大きな溶液を調製できた。3−10wt%の含水量を有するラサギリンのクエン酸塩は、シロップ状または蜂蜜状の半固体のようであった。
【0333】
前に説明した最も溶解性の高いラサギリンの塩は、ラサギリンの一塩基マレイン酸であり、これは、米国特許第6,630,514号で説明されているように、1000mg/ml以上の水での溶解性を有する。しかし、ラサギリンシトラートによって示される極めて高い溶解性の現象は、以前に確認されたラサギリンの何れの塩においても観察されなかった。
【0334】
このように極めて高い溶解性は、実用価値のある性質であり、高濃度の液体および半固体製剤の調製を可能にする。60−80%の活性医薬成分(API)を含有するラサギリンシトラートの水溶液またはアルコール溶液は、経皮パッチ、舌下ストリップ、およびこのような高濃度の液体および半流動物から利益を得る他の製剤で使用できる。このような高濃度の溶液は、たとえば錠剤の製造プロセスの効率を最適にするのにも有用である。
【0335】
例19.ラサギリンシトラートのさらなる調製
この例で使用する固体の結晶性ラサギリン塩基を、以下に説明するものに類似した方法で調製した。
【0336】
A)ラサギリン塩基オイルの調製
100.0gのラサギリンタータラートを458mlの脱イオン水中に懸濁させ、229mlのトルエンを添加し、46mlの25%NaOH溶液を攪拌しながら導入した。混合物を45℃まで加熱し、45Cで15分間にわたって攪拌し、この温度で静置した。
【0337】
二相に分離した。下にある水相(pH=13−14)を捨て、上にあるトルエン相を140mlの脱イオン水で洗浄した。得られたエマルションを静置し、二相に分けた。下にある水相(pH9−10)を捨てた。エバポレーターにおいて、減圧下でトルエン溶液を蒸発乾固させた。
【0338】
溶媒の蒸発が完了した後、60mlのイソプロパノールを残留物に添加し、蒸発を続けた。蒸発乾固が完了した後、50mlのイソプロパノールを添加して、同じ条件下で蒸発除去した。残留物であるR−PAI塩基のオイルが得られた。
【0339】
B)ラサギリン塩基の結晶化
上記工程A)で得られたラサギリン塩基オイルを56mlのイソプロパノール中に溶解させた。溶液を16℃まで冷却し、147.5mlの脱イオン水を、冷却および攪拌しながら、分割して3時間で添加した。水の添加中、沈殿の発達が確認され、バッチに結晶性R−PAI塩基を直ちにまいた。
【0340】
得られた懸濁剤を2℃まで冷却し、この温度で終夜攪拌してろ過した。固体を水で洗浄して、減圧下の室温で乾燥させた。固体の乾燥したR−PAI塩基が得られ、オイル状の塩基に対して収率は96%であった。
【0341】
この例は、ラサギリンのクエン酸塩のさらなる調製および特性を説明する。
【0342】
出発物質
クエン酸 −USPグレードの酸無水物をクエン酸塩の調製のために使用した。
ラサギリン塩基 −例18で説明したように調製した純粋な結晶性ラサギリン塩基(DS)をこの試験で使用した。
【0343】
例19.1
3.84gのクエン酸を25mlの水に溶解させ、3.42gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、室温で攪拌し、TLCでモニタした。30分後、TLCでは微量のR−PAIも観察されなかった。1時間後、2×30mlのトルエンで反応混合物を抽出した。このトルエンの抽出物を合わせたものを蒸発乾固させた。収量:0.06g(1.75%)(R−PAI)。
【0344】
水相を減圧下で蒸発乾固させた。蜂蜜状の半固体生成物が得られた。収量:7.53g(103.7%)。
【0345】
例19−2
1.92gのクエン酸を10mlの水に溶解させ、1.71gのラサギリン塩基をこの溶液に添加した。混合物を18時間にわたって攪拌し、その後溶媒を凍結乾燥によって除去した(1−0.3mbar;−20−+20℃;46時間)。収量:3.69g(101.65%)。
【0346】
生成物は、固体の泡であったが、数時間後、半固体の蜂蜜状物質になった。NMRデータによると、酸等量が0.73である塩が生成した。
【0347】
例19.3
1.92gのクエン酸を15mlの水に溶解させ、3.42gのラサギリン塩基をこの溶液に添加した。反応混合物を室温で22時間にわたって混合した。水を凍結乾燥によって除去した(1−0.3mbar;−20−+20℃;46時間)。
【0348】
結晶状の泡が得られ、これはその後数時間のうちに半固体の蜂蜜状物質になった。NMRのデータによると、酸等量が0.48である塩が生成した。
【0349】
例19.4
3.84gのクエン酸を30mlの水に溶解させ、6.84gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを2時間にわたって攪拌し、その後、反応混合物を2×40mlのトルエンで抽出した。このトルエンの抽出物を合わせたものを蒸発乾固させた。20mlのIPAを残留物に添加し、溶媒を減圧下で蒸発乾固させた。収量:1.5g(22%、R−PAI)。
【0350】
水相を蒸発乾固させ、蜂蜜状の半固体生成物が得られた。収量:9.47g(103.3%)。
【0351】
1H−NMR − 酸等量が0.65である塩が生成した。
【0352】
例19.5
3.84gのクエン酸を50mlの水に溶解させ、10.26gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを室温で3時間にわたって攪拌した。
【0353】
反応混合物を2×50mlのトルエンで抽出した。このトルエンの抽出物を合わせたものを減圧下で蒸発乾固させた。IPAを残留物に添加し、その後蒸発乾固させた。収量:3.92−4.13g(R−PAI)(38.2−40.2%)。
【0354】
水相を蒸発乾固させ、蜂蜜状の半固体の生成物を得た。収量:10.54−9.73g。
【0355】
1H−NMR − 酸等量が0.58である塩が生成した。
【0356】
例19.6
3.84gのクエン酸を50mlの水に溶解させ、10.26gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを3時間にわたり60℃で攪拌した。
【0357】
反応混合物を2×50mlのトルエンで抽出した。このトルエンの抽出物を合わせて減圧下で蒸発乾固させた。IPAを残留物に添加して、その後蒸発乾固させた。収量:3.92−4.13g(R−PAI)(38.2−40.2%)。
【0358】
水相を蒸発乾固させて、蜂蜜状の半固体生成物を得た。収量:10.54−9.73g。
【0359】
1H−NMR − 酸等量が0.58である塩が生成した。
【0360】
例19−7
3.84gのクエン酸を50mlの水に溶解させ、10.26gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを42時間にわたり25℃で攪拌した。
【0361】
反応混合物を2×50mlのトルエンで抽出した。このトルエンの抽出物を合わせたものを減圧下で蒸発乾固させた。IPAを残留物に添加し、その後蒸発乾固させた。収量:3.92−4.13g(R−PAI)(38.2−40.2%)。
【0362】
水相を蒸発乾固させ、蜂蜜状の半固体生成物を得た。収量:10.54−9.73g。
【0363】
1H−NMR − 酸等量が0.58である塩が生成した。
【0364】
例19−8
1.92gのクエン酸を25mlの水に溶解させ、5.13gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを室温で16時間にわたって攪拌した。反応混合物は2×30mlのトルエンで抽出し、このトルエンの抽出物を蒸発乾固させた。収量:2.19g(R−PAI;42.7%)。
【0365】
水相を凍結乾燥によって乾燥させた。生成物は結晶状の泡であり、その後蜂蜜状の半固体になった。
【0366】
1H−NMR − 酸等量が0.55である塩が生成した。
【0367】
例19.9
1.92gのクエン酸を25mlの水に溶解させ、5.13gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを室温で9日間にわたって攪拌した。固体をろ過し、5mlの水で洗浄し、空気で乾燥させた。収量:0.31g(6%、R−PAI)、Mp.:39.3−41.0℃。
【0368】
水相を凍結乾燥させた。結晶状の泡が生成し、これは数時間のうちに蜂蜜状の半固体になった。
【0369】
1H−NMR − 酸等量が0.35である塩が生成した。
【0370】
例19.10
1.6gのクエン酸を10mlの水に溶解させ、1.0gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを室温で攪拌した。溶媒を凍結乾燥により除去した。生成物は結晶状の泡であり、数時間ののち半固体になった。
【0371】
1H−NMR − 酸等量が1.2である塩が生成した。
【0372】
例19.11
1.92gのクエン酸を15mlのIPAに溶解させ、1.71gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを室温で2時間にわたって攪拌した。TLCではR−PAIは検出されなかった。溶媒を減圧下で除去した。収量:3.85(106%)。
【0373】
泡状の半固体生成物は、空気中の水分と接触することで蜂蜜状になった。
【0374】
例19.12
1.92gのクエン酸を15mlのIPAに溶解させ、3.42gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを室温で2時間にわたって攪拌した。反応混合物は清澄になり、これをTLCでモニタした(ヘキサン:EtOAc=1:1)。微量のR−PAIが検出された。溶媒を減圧下で除去した。残留物を2×30mlのトルエンでスラリーにした。トルエン相を合わせたものを蒸発乾固させた。収量:0.65g(19%;R−PAI)。
【0375】
粗生成物をIPAに溶解させ、溶液を蒸発乾固させて、蜂蜜状の生成物が得られた。
【0376】
例19.13
1.92gのクエン酸を15mlのIPAに溶解させ、5.13gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、室温で2時間にわたって攪拌した。反応はTLCでモニタした。遊離R−PAIが存在していた。溶媒を減圧下で除去した。残留物を2×30mlのトルエンでスラリーにした。トルエン相を合わせたものを蒸発乾固させた。収量:2.47g(48%;R−PAI)。
【0377】
粗生成物をIPAに溶解させ、溶液を蒸発乾固させた。蜂蜜状の生成物が得られた。
【0378】
例19.14
1.92gのクエン酸を15mlのメタノールに溶解させ、1.71gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを室温で22時間にわたって攪拌し、その後蒸発乾固させた。収量:3.77g(103.86%)。
【0379】
1H−NMR − 酸等量が0.72である塩が生成した。
【0380】
例19.15
1.92gのクエン酸を20mlのメタノールに溶解させ、3.42gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを室温で22時間にわたって攪拌し、その後蒸発乾固させた。収量:5.48g−103.6%。TLCにより、生成物中の遊離R−PAIが検出された。
【0381】
1H−NMR − 酸等量が0.5である塩が生成した。
【0382】
例19.16
1.92gのクエン酸を25mlのメタノールに溶解させ、5.13gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、これを室温で22時間にわたって攪拌し、その後蒸発乾固させた。収量:7.32g−103.8%。TLCによって、生成物中の遊離R−PAIが検出された。
【0383】
1H−NMR − 酸等量が0.33である塩が生成した。
【0384】
例19.17
1.92gのクエン酸を20mlのEtOAc中で攪拌し、1.71gのラサギリン塩基をこの溶液に添加し、さらに72時間にわたって攪拌した。反応をTLCでモニタした。遊離ラサギリン塩基が検出された。
【0385】
溶液を反応混合物からデカントした。溶媒を減圧下で除去した。収量:1.32g(77%)R−PAI。
【0386】
単離したR−PAIを20mlの酢酸エチルに再溶解させ、10mlの水をこの混合物に添加した。反応混合物を22時間にわたって攪拌した。TLCのデータによると、未反応のR−PAIがEtOAc相中に残っていた。相が分離した。有機相を蒸発乾固させた。収量:0.13g(7.6%)R−PAI。
【0387】
例19.18
1.92gのクエン酸を20mlのEtOAc中で攪拌し、3.42gのラサギリン塩基を添加した。この溶液をさらに72時間にわたって攪拌した。反応をTLCでモニタした。遊離ラサギリン塩基が検出された。
【0388】
溶液を反応混合物からデカントした。溶媒を減圧下で除去した。収量:2.87g(83.9%、R−PAI)。
【0389】
単離したR−PAIを20mlの酢酸エチルに再溶解させ、10mlの水をこの混合物に添加した。反応混合物を22時間にわたって攪拌した。TLCのデータによると、未反応のR−PAIがEtOAc相中に残っていた。相が分離した。有機相を蒸発乾固させた。収量:0.62g(18%−R−PAI)。
【0390】
例19.19
1.92gのクエン酸を25mlのEtOAc中で攪拌し、5.13gのラサギリン塩基を添加した。反応混合物をさらに72時間にわたって攪拌した。反応をTLCでモニタした。遊離ラサギリン塩基が全ての場合で検出された。
【0391】
溶液を反応混合物からデカントした。溶媒を減圧下で除去した。収量:4.49g(87.5%、R−PAI)。
【0392】
単離したR−PAIを20mlの酢酸エチルに再溶解させ、10mlの水をこの混合物に添加した。反応混合物を22時間にわたって攪拌した。TLCのデータによると、未反応のR−PAIがEtOAc相中に残っていた。相が分離した。有機相を蒸発乾固させた。収量:1.76g(34.3%R−PAI)。
【0393】
例19.20
1.92gのクエン酸を25mlのトルエン中で攪拌し、1.71gのラサギリン塩基を混合物に添加した。不均質混合物を室温で24時間にわたって攪拌した。溶液を反応混合物からデカントした。トルエン相を蒸発乾固させた。収量:1.58g(92.4%);(TLCによるR−PAI)。
【0394】
単離したR−PAIを10mlのトルエンに再溶解させ、固相に戻した。20mlの水を不均質混合物に添加し3時間にわたって攪拌した。反応をTLCでモニタした。相が分離した。トルエン相を蒸発乾固させた。収量:0.12(7%)、TLCのデータによるとR−PAIが検出された。水相を蒸発乾固させた。
【0395】
例19.21
1.92のクエン酸を20mlのアセトンに溶解させ、1.71gのラサギリン塩基を反応混合物に添加し、これを室温で2時間にわたって攪拌した。反応をTLCでモニタした。R−PAIは検出されなかった。
【0396】
溶液を蜂蜜状沈殿物からデカントした。収量:2.43g(66.9%)。
【0397】
アセトン溶液を蒸発乾固させた。蜂蜜状生成物が得られた。収量:1.48(40.7%)。
【0398】
総収率は107.6%であった(アセトンが生成物中に残っていた)。
【0399】
例19.22
1.92gのクエン酸を20mlのアセトンに溶解させ、3.42gのラサギリン塩基を混合物に添加し、これを室温で22時間にわたって攪拌した。TLCによってR−PAIが検出された。アセトン溶液を蜂蜜状沈殿物からデカントした。収率:4.41g(82.6%)の半固体生成物。
【0400】
アセトン相を蒸発乾固させた。収量:1.34g(25.1%)。
【表50】
【0401】
例19の考察
ラサギリン塩基は、ほぼ全ての種々のタイプの溶媒中で、クエン酸を有する塩を容易に形成するが、最も容易には水中およびアルコール中で形成する。
【0402】
モノ−ラサギリンのクエン酸塩が生じ、これは殆どの溶媒において安定である。数パーセントの遊離ラサギリンがこの塩の水溶液から抽出されうる。
【0403】
ジ−およびトリ−シトラートは、水溶液および他の溶液(アルコール、MEK、アセトン)中ではそれほど安定でない。遊離ラサギリン塩基は、TLCによって検出することができ、トルエンで抽出できる。
【0404】
表19aに示すように、遊離ラサギリン塩基のジ−およびトリ−ラサギリンシトラートからの分離の結果、溶液のpHが変化する。
【0405】
ラサギリンのクエン酸塩の全ては、吸湿性の塩であり、空気から水分を容易に吸収する。ラサギリンシトラートは、塩形成が起こった溶媒との強い溶媒和物を容易に形成する(10%まで)。
【0406】
ラサギリンシトラートの水溶液は凍結乾燥によって乾燥できる。
【0407】
上述の例でのラサギリンシトラートのNMR試験は、サンプルの組成(割合)についての情報を提供するが、遊離塩基およびクエン酸によって変化した塩基(カチオンの形態)の割合についてのそれを提供するものではない。
【0408】
また、この例の結果は、使用するラサギリン塩基:クエン酸の比が、「抽出可能」なラサギリン塩基の含有量とNMRによって塩中で認められる未反応のクエン酸の量とに関連することも証明する。結果を以下の表19bに纏める。
【表51】
【0409】
表19bのデータから、過剰なクエン酸は、抽出可能なラサギリン塩基の含有量を劇的に減らすことが分かる。
【0410】
抽出可能なラサギリン塩基の含有量が低いほど(すなわち、クエン酸含有量が高いほど)、塩中のラサギリンの安定性が高くなることが結論付けられる。それゆえに、最も安定なラサギリンのクエン酸塩はモノクエン酸塩であり、ラサギリンシトラートの最も安定な組成は、クエン酸1モル当たり1モル未満のラサギリン塩基を含有する組成である。
【0411】
例20.ラサギリンのクエン酸塩の評価
例18b、例18cおよび例18dで調製したラサギリンシトラートの3つのサンプルを、周囲温度にある開放皿内で大気圧空気に曝した。変化を観察し、記録した。結果を以下の表20aに示す。
【表52】
【0412】
考察
表20aの結果から、上に開示した3種類全ての塩は、周囲温度にある大気に曝された場合に非常に吸湿性であることが分かる。また、これらの結果から、モノ−、ジ−およびトリ−ラサギリンシトラートの中には吸湿性に大きな違いがないことも分かる。3種類全ての塩は水和物のように見える。
【0413】
パーキンソン病患者は、標準的な錠剤またはカプセルを飲み込むのを妨げる嚥下障害を患っている(Potulska A., "Swallowing disorders in Parkinson's disease", Parkinsonism Relat. Disord. (2003 Aug) Vol. 9(6), pages 349-53)。この障害は、患者の服薬遵守の低下によってそれらの治療を妨害する。嚥下錠剤またはカプセルが必要なければ、患者は投与計画をより遵守し易いであろう。
【0414】
胃でのラサギリンの吸収を避け、錠剤を飲み込む必要をなくする手段は、胃に到達する前のラサギリンの体内への吸収による。このようなラサギリンの吸収、およびそれによる両方の問題の解決は、頬、舌下、咽頭および/または食道の粘膜との接触によって達成できる。これを達成するために、経口組成物は、口腔内に迅速に分散し、頬、舌下、咽頭および/または食道粘膜との最大接触を可能にするように設計されうる。ラサギリンのクエン酸塩の思いがけなく高い吸湿性は、このような経口製剤にとって特に好適である。
【0415】
例18b、例18cおよび例18dで調製したラサギリンシトラートの他の3種類のサンプルを、パラフィンフィルムで封をされ、7±2℃の冷凍器内にある密閉した透明ガラス容器内に保管した。変化を観察し、記録した。結果を以下の表20bに示す。
【表53】
【0416】
考察
表20bの結果から、3種類全ての塩を、周囲温度でのそれらの高い吸湿性にも関わらず、色彩および外観の変化なしに、密閉条件、低温で長期間(6ヶ月超)にわたって保管できたことが分かる。この発見は驚くべきものであり、温度のラサギリンシトラートの吸湿点への影響の結果でありうる。
【0417】
また、表20bの結果から、3種類全ての塩は、それらの高い吸湿性に関わらず、それらの物理的外観の変化なしに、制御された条件下で、たとえば低温および低湿度で取り扱うことができかつ処理できるものであったことが分かる。
【0418】
例21.ラサギリンシトラートの特性−XRD分析
ScintagのX線粉末回折器 model X’TRA, Cu-tube, solid-state detectorを使用して、サンプルを試験した。
【0419】
スキャンパラメータ
レンジ: 2−40℃ 2シータ
スキャンモード: 連続スキャン
ステップサイズ: 0.05度
速度: 3度/分
サンプルホルダ: バックグランドが約0であり25(径)×0.5(深さ)mmの溝を有する石英板を供えた、円筒形標準アルミニウムサンプルホルダ。
【表54】
【0420】
結論
表21の結果から、ラサギリンシトラートのサンプルは、XRD分析において特徴的なピークを何ら示さず、これは調製したラサギリンシトラートがアモルファスの形態にあることを意味する。
【0421】
例22.ラサギリンシトラートと他の塩との性質の比較
ラサギリンシトラートは、表22aに示すように他のクエン酸塩の性質と異なり、さらには表22cに示すように他のラサギリン塩の性質とも異なる性質を示す。
【表55】
【0422】
表22aに示したように、他の原体のクエン酸塩とは異なり、ラサギリンのクエン酸塩はアモルファスである。結晶性形態でないラサギリンシトラートが検出された。
【表56】
【表57】
【0423】
表22bおよび表22cの結果から、ラサギリン塩基および他のラサギリン塩と比べると、ラサギリンのクエン酸塩は、最も高い水溶性および最も高い吸湿性を示すことが分かる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]製造方法由来の形態のラサギリン塩基および少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤を有するコアと;耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮とを含む安定経口剤形であって、前記製造方法はa)ラサギリン塩基、クエン酸および/またはリンゴ酸、ならびに医薬的に許容可能な賦形剤を混合することによって前記コアを調製することと;b)前記コアを前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮でコーティングすることとを含む剤形。
[2]工程a)は、ラサギリン塩基およびクエン酸、ならびに医薬的に許容可能な賦形剤の湿った粒状物を調製することを含む[1]に記載の剤形。
[3]工程a)は:i)前記湿った粒状物を乾燥させて、乾燥した粒状物を作ることと;ii)前記乾燥した粒状物を粉砕して粒子を作ることと;iii)前記粒子と少なくとも1種の滑沢剤とを混合することとをさらに含む[2]に記載の剤形。
[4]工程iii)において、前記滑沢剤はタルクもしくはステアリン酸、またはこれらの組み合わせである[3]に記載の剤形。
[5]工程i)において、前記湿った粒状物を、流動床乾燥器において、40℃ないし50℃の入口空気温度でおよび37℃を越えない出口空気温度の下で乾燥させる[3]または[4]に記載の剤形。
[6]工程ii)において、前記乾燥した粒状物を振動造粒機によって粉砕する[3]ないし[5]のいずれか1に記載の剤形。
[7]安定経口剤形であって、少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤と、ラサギリン塩基、ラサギリンシトラート、ラサギリンマラートか、またはラサギリン塩基、ラサギリンシトラート、およびラサギリンマラートのうち少なくとも2種の混合物とを有するコア;および耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮を含む剤形。
[8]前記ラサギリン塩基は結晶性ラサギリン塩基である[1]ないし[7]のいずれか1に記載の剤形。
[9]前記コアは本質的に少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤とラサギリンシトラートとからなる[7]に記載の安定経口剤形。
[10]前記コア中の前記少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤は少なくとも1種の抗酸化剤である[7]ないし[9]のいずれか1に記載の剤形。
[11]前記抗酸化剤はクエン酸である[10]に記載の剤形。
[12]前記コア中の前記少なくとも1種の医薬的に許容可能な賦形剤は少なくとも1種の崩壊剤である[11]ないし[17]のいずれか1に記載の剤形。
[13]前記崩壊剤は0.5重量%ないし20重量%の量で前記コア中に存在する[12]に記載の剤形。
[14]前記崩壊剤はアルファ化澱粉である[12]または[13]に記載の剤形。
[15]重量が150mg未満である[7]ないし[14]のいずれか1に記載の剤形。
[16]ラサギリンシトラートの含有量は0.74mgないし3.63mgである[9]に記載の剤形。
[17]前記ラサギリンシトラートに加え、マンニトール、コロイド状二酸化珪素、澱粉NF、アルファ化澱粉、ステアリン酸、タルク、ヒプロメロース、メタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、超微細タルク、およびトリエチルシトラートを含む[9]に記載の剤形。
[18]ラサギリンの含有量は1.0mgであり、前記剤形は45.0mgのマンニトール、0.4mgのアエロジル、5.0mgの澱粉NF、20.0mgのアルファ化澱粉、1.5mgのステアリン酸、1.5mgのタルク、3.5mgのヒプロメロース、4.0mgのメタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、0.8mgのトリエチルシトラート、および1.9mgの超微細タルクを含む[16]または[17]に記載の剤形。
[19]ラサギリンの含有量は0.5mgであり、前記剤形は45.5mgのマンニトール、0.4mgのアエロジル、5.0mgの澱粉NF、20.0mgのアルファ化澱粉、1.5mgのステアリン酸、1.5mgのタルク、3.5mgのヒプロメロース、4.0mgのメタクリル酸エチルアクリラートコポリマー、0.8mgのトリエチルシトラート、および1.9mgの超微細タルクを含む[16]または[17]に記載の剤形。
[20]2.0mgのカラーコーティング剤をさらに含む[18]または[19]に記載の剤形。
[21]前記コアは錠剤の形態にある[1]ないし[20]のいずれか1に記載の剤形。
[22]前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮は、メタクリル酸−エチルアクリラートコポリマー(1:1)および可塑剤を含む[1]ないし[21]のいずれか1に記載の剤形。
[23]前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮において、メタクリル酸−エチルアクリラートコポリマー(1:1)の可塑剤に対する比は、10対1ないし2対1である[22]に記載の剤形。
[24]前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮において、メタクリル酸−エチルアクリラートコポリマー(1:1)の可塑剤に対する比は、約5対1である[23]に記載の剤形。
[25]前記可塑剤はトリエチルシトラートである[22]ないし[24]のいずれか[1]に記載の剤形。
[26]前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮はタルクをさらに含む[1]ないし[25]のいずれか1に記載の剤形。
[27]前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮は前記剤形の3重量%ないし12重量%である[1]ないし[26]のいずれか1に記載の剤形。
[28]前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮は前記剤形の約8重量%である[27]に記載の剤形。
[29]前記耐酸性の医薬的に許容可能な剤皮は2層の剤皮層を含む[28]に記載の剤形。
[30]前記2層の剤皮層のうち内側のそれはヒプロメロースを含む[29]に記載の剤形。
[31]バスケット装置に入れ、6.8のpHにある500mLの緩衝水性媒体中で37℃で20分間にわたり毎分75回転をかけた際、80ないし100%のラサギリンを放出する[1]ないし[30]のいずれか1に記載の剤形。
[32]非極性不純物の総量はラサギリンの量に対して0.3wt%未満である[1]ないし[31]のいずれか1に記載の剤形。
[33]前記剤形中のN−(2−クロロアリル)−1(R)−アミノインダンの量は、ラサギリンの量に対して20ppm未満である[1]ないし[32]のいずれか1に記載の剤形。
[34]前記剤形中のN−(2−クロロアリル)−1(R)−アミノインダンの量は、ラサギリンの量に対して4ppm未満である[33]に記載の剤形。
[35]ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する投与量のラサギリンのそれと実質的に同じMAO−B阻害を達成する[1]ないし[34]のいずれか1に記載の剤形。
[36]前記剤形は、ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれの80−130%のラサギリンのAUC値を提供する[1]ないし[34]のいずれか1に記載の剤形。
[37]ヒトの対象への投与により、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれの80−125%のラサギリンのAUC値を提供する[36]に記載の剤形。
[38]前記剤形は、食後のヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれよりも大きなラサギリンのAUC値を提供する[1]ないし[34]のいずれか1に記載の剤形。
[39]前記剤形は、ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれの80−145%のラサギリンのCmaxを提供する[1]ないし[38]のいずれか1に記載の剤形。
[40]ヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する投与量のラサギリンのそれの80−125%のラサギリンのCmaxを提供する[39]に記載の剤形。
[41]前記剤形は、食後のヒトの対象が摂取した際、即時放出製剤として摂取される対応する量のラサギリンのそれよりも大きなラサギリンのCmaxを提供する[1]ないし[38]のいずれか1に記載の剤形。
[42]ラサギリンシトラート。
[43]単離されたラサギリンシトラートである[42]に記載のラサギリンシトラート。
[44]前記ラサギリンシトラートは実質的に純粋である[42]または[43]に記載のラサギリンシトラート。
[45]ラサギリン含有量が、前記ラサギリンシトレートの総重量に基づいて42重量%ないし52重量%である[42]ないし[44]のいずれか1に記載のラサギリンシトラート。
[46]モノ−ラサギリンシトラートである[7]および[42]ないし[45]のいずれか1項に記載のラサギリンシトラート。
[47]カールフィッシャー分析によって決定される前記ラサギリンシトラート中の含水量は5%未満である[7]および[42]ないし[46]のいずれか1に記載のラサギリンシトラート。
[48]固体アモルファスのラサギリンシトラートである[7]および[42]ないし[47]のいずれか1に記載のラサギリンシトラート。
[49][42]ないし[48]のいずれか1に記載のラサギリンシトラートとキャリアとを含む組成物。
[50]ラサギリン塩基をさらに含む[49]に記載の組成物。
[51]前記ラサギリン塩基は、前記組成物のラサギリンの総含有量に基づいて5%未満の量で存在する[50]に記載の組成物。
[52]ラサギリン塩基を含まない[49]に記載の組成物。
[53]ラサギリンシトラートの形態で存在する前記ラサギリンの含有量は、前記組成物中のラサギリンの総含有量の50%を超える[49]ないし[52]のいずれか1に記載の組成物。
[54]前記ラサギリンシトラートはポリマーと混合されている[49]ないし[53]のいずれか1に記載の組成物。
[55]前記組成物は医薬組成物であり、前記キャリアは医薬的に許容可能なキャリアである[49]ないし[54]のいずれか1に記載の組成物。
[56]ステアリン酸をさらに含む[49]ないし[55]のいずれか1に記載の組成物。
[57]錠剤の形態にある[49]ないし[56]のいずれか1に記載の組成物。
[58]経皮パッチの形態にある[49]ないし[57]のいずれか1に記載の組成物。
[59][42]ないし[48]のいずれか1に記載のラサギリンシトラートまたは[49]ないし[58]のいずれか1に記載の組成物の製造方法であって:a)クエン酸溶液とラサギリン塩基とを合わせて、第1の混合物を作ることと;b)溶媒を前記第1の混合物に添加して、第2の混合物を作ることと;c)前記第2の混合物から液体を完全に除去することと;d)前記ラサギリンシトラートを回収するかまたは前記組成物を調製することとを含む方法。
[60]工程b)で添加する前記溶媒はアセトンである[59]に記載の方法。
[61]工程c)において前記液体を周囲温度で除去する[59]または[60]に記載の方法。
[62]工程c)において前記液体を減圧下で除去する[59]ないし[61]のいずれか1に記載の方法。
[63][49]ないし[58]のいずれか1に記載の組成物の製造方法であって:a)ラサギリンシトラートを得ることと;b)前記ラサギリンシトラートと前記キャリアとを混合することとを含む方法。
[64]パーキンソン病を患うヒトの対象を治療する方法であって、前記ヒトの対象を治療するのに有効な量の[1]ないし[41]のいずれか1に記載の剤形または[49]ないし[58]のいずれか1に記載の組成物を前記ヒトの対象に投与することを含む方法。
[65]前記対象は胃内容排出の遅れを患っている[64]に記載の方法。
[66]前記投与工程は食後の前記ヒトの対象に対するものである[64]または[65]に記載の方法。
[67]パーキンソン病を患うヒトの対象を治療するのに有効な量での、[1]ないし[41]のいずれか1に記載の剤形または[49]ないし[58]のいずれか1に記載の組成物の使用。
[68]パーキンソン病を患うヒトの対象の治療用の薬剤の製造における、[1]ないし[41]のいずれか1に記載の剤形または[49]ないし[58]のいずれか1に記載の組成物の使用。