(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を適用した超音波診断装置100について、
図1を用いて説明する。
図1に示すように、超音波診断装置100には、被検体101に当接させて用いる超音波探触子102と、超音波探触子102を介して被検体101に一定の時間間隔をおいて超音波を繰り返し送信させる送信部105と、被検体101から反射した反射エコー信号を受信する受信部106と、送信部105と受信部106を制御する送受信制御部107と、受信部106で受信された反射エコーを整相加算する整相加算部108とが備えられている。
【0012】
超音波探触子102は、複数の振動子を配設して形成されており、被検体101に振動子を介して超音波を送受信する機能を有している。超音波探触子102は、矩形又は扇形をなす複数の振動子からなり、複数の振動子の配列方向と直交する方向に振動子を機械的に振り、超音波を3次元に送受信することができる。なお、超音波探触子102は、複数の振動子が2次元配列され、超音波の送受信を電子的に制御することができるものでもよい。
【0013】
送信部105は、超音波探触子102の振動子を駆動して超音波を発生させるための送波パルスを生成する。送信部105は、送信される超音波の収束点をある深さに設定する機能を有している。また、受信部106は、超音波探触子102で受信した反射エコー信号について所定のゲインで増幅してRF信号すなわち受信信号を生成するものである。送受信制御部107は、送信部105や受信部106を制御するためのものである。
【0014】
整相加算部108は、受信部106で増幅されたRF信号の位相を制御し、1点又は複数の収束点に対し超音波ビームを形成してRF信号フレームデータ(RAWデータに相当)を生成するものである。
【0015】
さらに、超音波診断装置100には、整相加算部108で生成されたRF信号フレームデータを記憶するデータ記憶部109と、データ記憶部109に記憶されたRF信号フレームデータに基づいて2次元断層画像を作成する2次元断層画像作成部113と、2次元断層画像作成部113で作成された2次元断層画像について、2次元断層画像の取得位置に基づいて3次元座標変換を行ない、断層ボリュームデータを生成する断層ボリュームデータ生成部114と、データ記憶部109に記憶された複数のRF信号フレームデータに基づいて2次元弾性画像を作成する2次元弾性画像作成部115と、2次元弾性画像作成部115で作成される2次元弾性画像について、2次元弾性画像の取得位置に基づいて3次元座標変換を行ない、弾性ボリュームデータを生成する弾性ボリュームデータ生成部116と、データ記憶部109に記憶された複数のRF信号フレームデータに基づいて血流速度や血流量(パワー)の血流情報の演算を行ない、2次元血流画像を作成する2次元血流画像作成部117と、2次元血流画像作成部117で作成される2次元血流画像について、2次元血流画像の取得位置に基づいて3次元座標変換を行ない、血流ボリュームデータを生成する血流ボリュームデータ生成部118と、生成された断層ボリュームデータと弾性ボリュームデータと血流ボリュームデータを記憶するボリュームデータ記憶部119と、ボリュームデータ記憶部119に記憶された各ボリュームデータを順次読み出し、合成投影画像を作成する合成投影画像作成部120と、合成投影画像に各種処理を行なう合成処理部121と、合成投影画像、2次元断層画像等を表示する表示部122とが備えられている。
【0016】
また、超音波診断装置100には、上記各構成要素を制御する制御部103と、制御部103に各種入力を行なう操作部104を備えている。操作部104は、キーボードやトラックボール等を備えている。
【0017】
2次元断層画像作成部113は、制御部103における設定条件に基づいて、データ記憶部109から出力されるRF信号フレームデータを入力してゲイン補正、ログ圧縮、検波、輪郭強調、フィルタ処理等の信号処理を行ない、2次元断層画像を作成する。
【0018】
超音波探触子102は、超音波の送受信と同時に送受信方向(θ、φ)を計測することができ、断層ボリュームデータ生成部114は、2次元断層画像の取得位置に相当する送受信方向(θ、φ)に基づいて、複数の2次元断層画像について3次元変換を行ない、断層ボリュームデータを生成する。断層ボリュームデータの各点は、受信信号の信号強度に応じて断層コードが付与される。断層コードは、RGB値を割り当てるためのコード(例えば、256階調(8ビット))である。
【0019】
2次元弾性画像作成部115は、データ記憶部109に記憶された複数のRF信号フレームデータから変位を計測する。そして、2次元弾性画像作成部115は、計測した変位に基づいて弾性値を演算し、2次元弾性画像を作成する。弾性値は、例えば、歪み、弾性率、変位、粘性、歪み比等の弾性情報のいずれかである。
【0020】
弾性ボリュームデータ生成部116は、2次元弾性画像の取得位置に相当する送受信方向(θ、φ)に基づいて、複数の2次元弾性画像について3次元変換を行ない、弾性ボリュームデータを生成する。弾性ボリュームデータの各点は、弾性値に応じて弾性コードが付与される。弾性コードは、RGB値を割り当てるためのコード(例えば、256階調(8ビット))である。
【0021】
2次元血流画像作成部117は、データ記憶部109に記憶された複数のRF信号フレームデータから、ドプラによって生じた周波数偏移により、血流速度や血流量(パワー)の血流情報を演算する。そして、2次元血流画像作成部117は、演算された血流情報に基づいて2次元血流画像を作成する。
【0022】
血流ボリュームデータ生成部118は、2次元血流画像の取得位置に相当する送受信方向(θ、φ)に基づいて、複数の2次元血流画像について3次元変換を行ない、血流ボリュームデータを生成する。血流ボリュームデータを血流情報(血流速度、血流方向、分散)に応じて血流コードが付与される。血流コードは、RGB値を割り当てるためのコード(例えば、256階調(8ビット))である。
【0023】
ボリュームデータ記憶部119は、複数種のボリュームデータとして、断層ボリュームデータ生成部114で生成された断層ボリュームデータと、弾性ボリュームデータ生成部116で生成された弾性ボリュームデータと、血流ボリュームデータ生成部118で生成された血流ボリュームデータを記憶する。
【0024】
合成投影画像作成部120は、ボリュームデータ記憶部119に記憶されている複数種のボリュームデータを読み出して複数の投影画像を作成し、作成された複数の投影画像を合成して合成投影画像を作成する。投影画像とは、ボリュームデータを2次元投影面上にレンダリングすることにより作成される3次元画像である。
【0025】
合成投影画像作成部120について、
図2、
図3を用いて説明する。
図2は、合成投影画像作成部120の詳細を示すものであり、
図3は、表示部122に表示される合成投影画像作成部120の各種パラメータの設定画面(グラフィック・ユーザ・インターフェイス)を示すものである。各種パラメータの設定画面には数値、バー等のグラフィックが用いられ、操作部104の操作に基づく制御部103の制御によって、各種パラメータを設定することができる。
【0026】
合成投影画像作成部120は、複数種のボリュームデータから複数の投影画像を作成する投影画像作成部200、202と、該複数の投影画像を合成するための所定の合成率に基づいて複数の投影画像を合成し、合成投影画像を作成する投影画像合成部203を備えている。
【0027】
具体的には、合成投影画像作成部120は、操作者が複数種のボリュームデータから所定のボリュームデータを選択し、選択されたボリュームデータを用いて第1投影画像を作成する第1投影画像作成部200と、操作者が所定のボリュームデータを選択し、複数種のボリュームデータから選択されたボリュームデータを用いて第1投影画像と異なる第2投影画像を作成する第2投影画像作成部202と、第1投影画像と第2投影画像の所定の合成率に基づいて、第1投影画像と第2投影画像を合成して合成投影画像を作成する投影画像合成部203とからなる。
【0028】
第1投影画像作成部200は、ボリュームデータ記憶部119に記憶された複数種のボリュームデータから所定のボリュームデータを選択する第1ボリューム選択部210と、第1ボリューム選択部210で選択されたボリュームデータのボリュームレンダリングにおける他のボリュームデータの寄与率を設定する第1寄与率設定部214と、設定された寄与率に基づいて選択されたボリュームデータのボリュームレンダリングを行ない、第1投影画像を作成する第1レンダリング演算部212とからなる。
【0029】
第2投影画像作成部202は、ボリュームデータ記憶部119に記憶された複数種のボリュームデータから所定のボリュームデータを選択する第2ボリューム選択部220と、第2ボリューム選択部220で選択されたボリュームデータのボリュームレンダリングにおける他のボリュームデータの寄与率を設定する第2寄与率設定部224と、設定された寄与率に基づいて選択されたボリュームデータのボリュームレンダリングを行ない、第2投影画像を作成する第2レンダリング演算部222とからなる。
【0030】
投影画像合成部203は、第1投影画像と第2投影画像のそれぞれの合成率を設定する合成率設定部204と、合成率設定部204で設定された合成率を第1投影画像に乗算する第1乗算部206と、合成率設定部204で設定された合成率を第2投影画像に乗算する第2乗算部207と、合成率が乗算された第1投影画像と第2投影画像とを合成し、合成された合成投影画像を合成処理部121に出力する合成部208とからなる。
【0031】
また、
図3に示すように、表示部122は、第1ボリュームデータ選択部210に対応し、ボリュームデータ記憶部119に記憶された複数種のボリュームデータから所定のボリュームデータを選択するための第1ボリュームデータ選択枠310と、第2ボリュームデータ選択部220に対応し、ボリュームデータ記憶部119に記憶された複数種のボリュームデータから所定のボリュームデータを選択するための第2ボリュームデータ選択枠312を表示する。また、表示部122は、第1ボリューム選択部210又は第2ボリュームデータ選択部220で選択されたボリュームデータが認識できるように選択されたボリュームデータには選択マーク320を表示する。操作者は、複数種のボリュームデータに対し選択マーク320を設定することにより、所定のボリュームデータを選択することができる。
【0032】
表示部122は、第1寄与率設定部214に対応し、第1投影画像のボリュームレンダリングにおける寄与率を設定するための第1投影画像寄与率枠314と、第2寄与率設定部224に対応し、第2投影画像のボリュームレンダリングにおける寄与率を設定するための第2投影画像寄与率枠316を表示する。第1寄与率設定部214と第2寄与率設定部224で設定される寄与率は{K1,K2,K3,K4,K5,K6}の数値で示されている。操作者は、複数の寄与率に対し、数値をそれぞれ設定することにより、寄与率を設定することができる。詳細は後述する。
【0033】
さらに、表示部122は、合成率設定部204に対応し、合成率設定バー330を用いて第1投影画像と第2投影画像の合成率を設定するための合成率表示枠318を表示する。操作者は、合成率設定バー330を操作することにより、合成率を設定することができる。
【0034】
本実施例では、
図3の選択マーク320が示すように、例えば、第1ボリュームデータ選択部210は断層ボリュームデータと血流ボリュームデータを選択し、第2ボリュームデータ選択部220は断層ボリュームデータと血流ボリュームデータと弾性ボリュームデータを選択している。
【0035】
第1寄与率設定部214は、第1レンダリング演算部212のボリュームレンダリングにおける出力されるピクセル値の寄与率を設定する。そして、第1レンダリング演算部212は、あるボリュームデータをボリュームレンダリングする際に、他のボリュームデータの情報と設定した寄与率を加味してボリュームレンダリングを行なう。具体的には、第1レンダリング演算部212は、下記式によりボリュームレンダリングを行ない、第1投影画像を作成する。第1寄与率設定部214で設定される寄与率は{K1,K2,K3,K4,K5,K6}で表示される。
【0036】
式(1.1)〜(1.3)は断層ボリュームデータのボリュームレンダリングにおける式であり、式(1.4)〜(1.6)は血流ボリュームデータのボリュームレンダリングにおける式であり、式(1.7)〜(1.9)は弾性ボリュームデータのボリュームレンダリングにおける式である。
【0037】
{数1}
Cout(i) = Cout(i-1)+X(i)・(1−Xout(i-1))・C(i)・S(i)
(1−K1・Yout(i-1))・(1−K2・Zout(i-1)) −(1.1)
Xout(i) = Xout(i-1)+(1−Xout(i-1))・X(i) −(1.2)
X(i) = OpacityX[C(i)] −(1.3)
Dout(i) = Dout(i-1)+Y(i)・(1−Yout(i-1))・D(i)・T(i)
・(1−K3・Xout(i-1))・(1−K4・Zout(i-1)) −(1.4)
Yout(i) = Yout(i-1)+(1−Yout(i-1))・Y(i) −(1.5)
Y(i) = OpacityY[D(i)] −(1.6)
Eout(i) = Eout(i-1)+Z(i)・(1−Zout(i-1))・E(i)・U(i)
・(1−K5・Xout(i-1))・(1−K6・Yout(i-1)) −(1.7)
Zout(i) = Zout(i-1)+(1−Zout(i-1))・Z(i) −(1.8)
Z(i) = OpacityZ[E(i)] −(1.9)
【0038】
まず、式(1.1)〜(1.3)について説明する。C(i)は作成される2次元投影面上のある点から3次元断層画像を見た場合、視線上i番目に存在する輝度値である。Cout(i)は、出力されるピクセル値である。例えば、視線上にNボクセルの輝度値が並んだとき、i=0〜N-1までを積算した輝度値Cout(N-1)が最終的に出力されるピクセル値となる。Cout(i-1)はi-1番目までの積算値を示す。
【0039】
また、OpacityXは0〜1.0の値をとる断層不透明度テーブ
ルである。X(i)は視線上i番目に存在する輝度値の不透明度であり、式(1.3)に示すとおり、その輝度値から断層不透明度テーブルOpacityXを参照することによって、出力する2次元投影面(3次元断層画像)上への不透明度を決定する。
【0040】
S(i)は、輝度C(i)とその周辺の画素値より求めた勾配より算定される陰影付けのための重み成分で、たとえば、光源とボクセルiを中心とした面の法線が一致する場合、もっとも強く反射するため1.0が与えられ、光源と法線が直交する場合には0.0が与えられるなどの強調効果を指し示す。
【0041】
式(1.1)、式(1.2)において、i=0の場合のCout(i-1)、Xout(i-1)は、ともに0で初期化されている。式(1.2)に示されるように、Xout(i)はボクセルを通過するたびに積算され1.0に収束する。よって、式(1.1)に示されるようにi -1番目までの不透明度の積算値Xout(i-1)が1.0に収束した場合、i番目以降の輝度値C(i)は出力画像に反映されない。
【0042】
また、式(1.1)には、係数として(1−K1・Yout(i-1))と(1−K2・Zout(i-1))がある。ピクセル値Cout(i)は断層ボリュームデータだけでなく、血流ボリュームデータと弾性ボリュームデータのボリュームレンダリングにおけるi-1番目までの不透明度の積算値に基づいて演算される。
【0043】
次に式(1.4)〜(1.6)について説明する。D(i)は作成される2次元投影面上のある点から3次元血流画像を見た場合、視線上i番目に存在する血流値(例えば、速度)である。Dout(i)は、出力されるピクセル値である。例えば、視線上にNボクセルの血流値が並んだとき、i=0〜N-1までを積算した血流値Dout(N-1)が最終的に出力されるピクセル値となる。Dout(i-1)はi-1番目までの積算値を示す。
【0044】
また、OpacityYは0〜1.0の値をとる血流不透明度テーブ
ルである。Y(i)は視線上i番目に存在する血流値の不透明度であり、式(1.6)に示すとおり、その血流値から血流不透明度テーブルOpacityYを参照することによって、出力する2次元投影面(3次元血流画像)上への不透明度を決定する。
【0045】
T(i)は、血流値D(i)とその周辺の画素値より求めた勾配より算定される陰影付けのための重み成分で、たとえば、光源とボクセルiを中心とした面の法線が一致する場合、もっとも強く反射するため1.0が与えられ、光源と法線が直交する場合には0.0が与えられるなどの強調効果を指し示す。
【0046】
式(1.4)、式(1.5)において、i=0の場合のDout(i-1)、Yout(i-1)は、ともに0で初期化されている。式(1.5)に示されるように、Yout(i)はボクセルを通過するたびに積算され1.0に収束する。よって、式(1.4)に示されるようにi-1番目までの不透明度の積算値Yout(i-1)が約1.0となった場合、i番目以降の血流値D(i)は出力画像に反映されない。
【0047】
また、式(1.4)には、係数として(1−K3・Xout(i-1))と(1−K4・Zout(i-1))がある。ピクセル値Dout(i)は血流ボリュームデータだけでなく、断層ボリュームデータと弾性ボリュームデータのボリュームレンダリングにおけるi-1番目までの不透明度の積算値に基づいて演算される。
【0048】
次に式(1.7)〜(1.9)について説明する。E(i)は作成される2次元投影面上のある点から3次元弾性画像を見た場合、視線上i番目に存在する弾性値(例えば、歪み、弾性率、変位、粘性、歪み比)である。Eout(i)は、出力されるピクセル値である。例えば、視線上にNボクセルの弾性値が並んだとき、i =0〜N-1までを積算した弾性値Eout(N-1)が最終的に出力されるピクセル値となる。Eout(i-1)はi-1番目までの積算値を示す。
【0049】
また、OpacityZは0〜1.0の値をとる弾性不透明度テーブ
ルである。E(i)は視線上i番目に存在する弾性値の不透明度であり、式(1.9)に示すとおり、その弾性値から弾性不透明度テーブルOpacityZを参照することによって、出力する2次元投影面(3次元弾性画像)上への不透明度を決定する。
【0050】
U(i)は、弾性値E(i)とその周辺の画素値より求めた勾配より算定される陰影付けのための重み成分で、たとえば、光源とボクセルiを中心とした面の法線が一致する場合、もっとも強く反射するため1.0が与えられ、光源と法線が直交する場合には0.0が与えられるなどの強調効果を指し示す。
【0051】
式(1.7)、式(1.8)において、i=0の場合のEout(i-1)、Zout(i-1)は、ともに0で初期化されている。式(1.8)に示されるように、Zout(i)はボクセルを通過するたびに積算され1.0に収束する。よって、式(1.7)に示されるようにi -1番目までの不透明度の積算値Zout(i-1)が約1.0となった場合、i番目以降の弾性値E(i)は出力画像に反映されない。
【0052】
また、式(1.7)には、係数として(1−K5・Xout(i-1))と(1−K6・Yout(i-1)がある。ピクセル値Eout(i)は弾性ボリュームデータだけでなく、断層ボリュームデータと血流ボリュームデータのボリュームレンダリングにおけるi -1番目までの不透明度の積算値に基づいて演算される。
【0053】
本実施例では、
図3に示されるように、第1寄与率設定部214で設定される寄与率{K1,K2,K3,K4,K5,K6}は、{1.0,1.0,1.0,1.0,1.0,1.0 }と設定される。
【0054】
第1投影画像作成部200と同様にして、第2投影画像作成部202の第2寄与率設定部224は、第2レンダリング演算部222のボリュームレンダリングにおける出力の寄与率を設定する。そして、第2レンダリング演算部222は、あるボリュームデータをボリュームレンダリングする際に、他のボリュームデータの出力画像に基づく寄与率を加味してボリュームレンダリングを行ない、第2投影画像を作成する。具体的には、上記式(1.1)〜(1.9)と同様であるため説明を省略する。本実施例では、
図3に示されるように、第2寄与率設定部224で設定される寄与率{K1,K2,K3,K4,K5,K6}は、{1.0,0.0,1.0,0.0,0.0,0.0}と設定される。
【0055】
第1投影画像作成部200と第2投影画像作成部202は、断層コード、弾性コード、血流コードが付与されたボリュームデータをそれぞれレンダリングすることにより、第1投影画像と第2投影画像を作成する。第1投影画像作成部200及び第2投影画像作成部202において、断層コードで構成されるボリュームデータをレンダリングすることで作成される画像は、第1投影画像の断層画像及び第2投影画像の断層画像となり、弾性コードで構成されるボリュームデータをレンダリングすることで作成される画像は、第1投影画像の弾性画像及び第2投影画像の弾性画像となり、血流コードで構成されるボリュームデータをレンダリングすることで作成される画像は、第1投影画像の血流画像及び第2投影画像の血流画像となる。
そして、投影画像合成部203は、下記式を用いて合成投影画像を作成する。
【0056】
{数2}
合成断層画像
=α×(第1投影画像の断層画像)+β×(第2投影画像の断層画像)
合成弾性画像
=α×(第1投影画像の弾性画像)+β×(第2投影画像の弾性画像)
合成血流画像
=α×(第1投影画像の血流画像)+β×(第2投影画像の血流画像)
α+β=1
【0057】
合成断層画像は、第1投影画像と第2投影画像の断層画像における断層コードを所定の合成率で合成したものであり、合成弾性画像は、第1投影画像と第2投影画像の弾性画像における弾性コードを所定の合成率で合成したものであり、合成血流画像は、第1投影画像と第2投影画像の血流画像における血流コードを所定の合成率で合成したものである。合成投影画像は、合成断層画像と合成弾性画像と合成血流画像を2次元投影面の座標毎にそれぞれ足し合わせたものである。
【0058】
合成率設定部204は、操作部104の操作に基づく制御部103の制御によって第1投影画像と第2投影画像の合成率α、βを設定する。合成率α、βは、0以上1以下である。
図3に示されるように、合成率表示枠318には、第1投影画像と第2投影画像の合成率を設定する合成率設定バー330が表示されている。
【0059】
合成率設定バー330を中央より左側に寄せると、第1投影画像が第2投影画像に対して強調されるように、合成率設定部204は合成率αを大きくする。合成率設定部204は合成率βを小さくしてもよい。
【0060】
合成率設定バー330を中央より右側に寄せると、第2投影画像が第1投影画像に対して強調されるように、合成率設定部204は合成率αを小さくする。合成率設定部204は合成率βを大きくしてもよい。
【0061】
合成率設定部204で設定された合成率を第1投影画像に乗算する第1乗算部206と、合成率設定部204で設定された合成率を第2投影画像に乗算する第2乗算部207は、上記式における掛け算に相当するものである。また、第1投影画像と第2投影画像とを合成し、合成された合成投影画像を合成処理部121に出力する合成部208は、上記式における足し算に相当するものである。
【0062】
図3に示すように、表示部122は、上記ボリュームデータの選択、寄与率、合成率等の各種パラメータによって設定された状態において合成投影画像作成部120で作成された合成投影画像300を表示する。操作者は、合成投影画像300を確認しながら、各種パラメータを設定することができる。
【0063】
例えば、合成投影画像300に血流情報を主に表示させたい場合、断層ボリュームデータと血流ボリュームデータからなる第1投影画像の合成率αを上げる。また、合成投影画像300に弾性情報を主に表示させたい場合、断層ボリュームデータと血流ボリュームデータと弾性ボリュームデータからなる第2投影画像の合成率βを上げる。また、操作者が合成率αを0.5に設定した場合、断層情報と弾性情報の重複している領域の両方がブレンドされた画像として合成投影画像300を作成することができる。
【0064】
合成処理部121は、合成投影画像作成部120で作成された合成断層画像を変換した断層コード、合成血流画像を変換した血流コード、合成弾性画像を変換した弾性コードの2次元投影面の座標毎にRGB値を設定し、各RGBの成分毎に合成投影画像=合成断層画像+合成弾性画像+合成血流画像に基づいて合成、および色付け処理を行なう。また、合成処理部121は、色付けされた合成投影画像とともに2次元断層画像、2次元弾性画像又は2次元血流画像を合成する処理を行なうこともできる。表示部122は、色付けされた合成投影画像を表示する。
【0065】
よって、合成投影画像300は、断層情報により把握できる組織302と、弾性情報により所定の硬さを持つ腫瘍部304と、腫瘍部
304を取り囲む血流部306とがそれぞれ把握できる合成投影画像とすることができる。
【0066】
なお、本実施例では、合成処理部121で合成投影画像に色付け処理を行なったが、ボリュームデータ記憶部119に記憶されているボリュームデータに対して予め色付けを行なってもよい。
【0067】
ボリュームデータ記憶部119に記憶される断層ボリュームデータの各点は、信号強度に応じて濃淡情報(白色、黒色のRGB値)が付与される。また、弾性ボリュームデータの各点は、弾性値に応じて色情報(青色、水色、緑色、黄色、赤色等のRGB値)が付与されている。血流ボリュームデータの各点は、血流情報(血流速度、血流方向、分散)に応じて色情報(青色、赤色、緑色等のRGB値)が付与される。
【0068】
そして、第1レンダリング演算部212及び第2レンダリング演算部222は、式(1.1)〜(1.9)に変えて、下記式を用いてレンダリングを行なう。ここでは、式(1.1)〜(1.9)と異なる点を主に説明する。
【0069】
{数3}
Cout(i)
= Cout(i-1)+X(i)・(1−Xout(i-1))・C(i)・S(i) −(3.1)
Xout(i)
= Xout(i-1)+(1−Xout(i-1))・{X(i)+K1・Y(i)+K2・Z(i)} −(3.2)
X(i)
= OpacityX[C(i)] −(3.3)
Dout(i)
= Dout(i-1)+Y(i)・(1−Yout(i-1))・D(i)・T(i) −(3.4)
Yout(i)
= Yout(i-1)+(1−Yout(i-1))・{K3・X(i)+Y(i)+K4・Z(i)}−(3.5)
Y(i)
= OpacityY[D(i)] −(3.6)
Eout(i)
= Eout(i-1)+Z(i)・(1−Zout(i-1))・E(i)・U(i) −(3.7)
Zout(i)
= Zout(i-1)+(1−Zout(i-1))・{K5・X(i)+K6・Y(i)+Z(i)} −(3.8)
Z(i) = OpacityZ[E(i)] −(3.9)
【0070】
第1レンダリング演算部212及び第2レンダリング演算部222は、式(3.1)〜(3.9)により、RGBの各成分を2次元投影面の座標毎にレンダリングを行なう。
【0071】
第1レンダリング演算部212は、第1投影画像Rを作成するため、寄与率を用いて断層画像の輝度のR成分をC(i)、血流画像の輝度のR成分をD(i)、弾性画像の輝度のR成分をE(i)として式(3.1)〜(3.9)の演算を行い、これらの結果を加算して第1投影画像Rとする。
【0072】
同様に、第1投影画像Gを作成するため、断層画像、血流画像、弾性画像のG成分をそれぞれC(i)、D(i)、E(i)とし、第1投影画像Bを作成するためには各画像のB成分をC(i)、D(i)、E(i)として式(3.1)〜(3.9)の演算を行い、これらの結果を加算する。
【0073】
第2レンダリング演算部222は、同様に寄与率を用いて2次元投影面の座標に対し、第2投影画像を作成する。
【0074】
なお、式(3.1)〜(3.9)において用いられる不透明度テーブルは、第1レンダリング演算部212と第2レンダリング演算部222で異なるものを使用することもできる。
【0075】
次に、投影画像合成部203における第1投影画像と第2投影画像とを合成し合成投影画像を作成する形態について説明する。投影画像合成部203は、下記式を用いて複数の投影画像を2次元投影面の座標毎にRGB値をそれぞれ合成し、合成投影画像を作成する。
【0076】
{数4}
合成投影画像R =α×(第1投影画像R)+β×(第2投影画像R)
合成投影画像G =α×(第1投影画像G)+β×(第2投影画像G)
合成投影画像B =α×(第1投影画像B)+β×(第2投影画像B)
α+β=1
【0077】
なお、合成率α、合成率β、合成率設定バー330等の説明に関しては、上記数2と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0078】
次に、本実施例における動作手順を
図4を用いて説明する。
(S100)第1ボリューム選択部210又は第2ボリューム選択部220は、操作部104の操作に基づく制御部103の制御によって、ボリュームデータ記憶部119に記憶されている断層ボリュームデータと弾性ボリュームデータと血流ボリュームデータから投影画像の画像作成に用いるボリュームデータを選択する。
【0079】
(S101)第1寄与率設定部214又は第2寄与率設定部224は、操作部104の操作に基づく制御部103の制御によって、選択されたボリュームデータのボリュームレンダリングにおける寄与率を設定する。
【0080】
(S102)操作部104の操作に基づく制御部103の制御によって、他に合成するための投影画像を作成するかを選択する。他に合成するための投影画像を作成する場合、S100に戻り、再度、投影画像を作成する。本実施例では、合成するための投影画像を2つ作成したが、3つ以上の投影画像を作成してもよい。
【0081】
(S103)合成率設定部204は、操作部104の操作に基づく制御部103の制御によって、合成の対象である第1投影画像と第2投影画像等の合成率を設定する。
【0082】
(S104)合成部208は、設定された合成率に基づいて合成の対象である第1投影画像と第2投影画像等を合成し合成投影画像を作成する。
【0083】
(S105)表示部122は、合成投影画像を表示する。
【0084】
以上、本実施例によれば、3次元弾性画像と3次元血流画像と3次元断層画像とを合成投影画像としてそれぞれ認識できるように表示させることができる。つまり、操作者は、組織を把握できる断層情報と、硬さ情報を把握できる弾性情報と、血流情報を把握できる血流画像の位置関係を合成投影画像で立体的に把握することができる。
【0085】
なお、ボリュームデータ記憶部119から断層ボリュームデータと弾性ボリュームデータと血流ボリュームデータをいずれか1つを読み出し、それぞれのボリュームデータから作成される投影画像を合成してもよい。具体的には、第1投影画像作成部200は、ボリュームデータ記憶部119に記憶された断層ボリュームデータと弾性ボリュームデータと血流ボリュームデータの内、いずれか1つのボリュームデータ(例えば断層ボリュームデータ)からボリュームレンダリングを行ない、第1投影画像を作成する。そして、第2投影画像作成部202は、ボリュームデータ記憶部119に記憶された断層ボリュームデータと弾性ボリュームデータと血流ボリュームデータの内、いずれか1つのボリュームデータ(例えば弾性ボリュームデータ)からボリュームレンダリングを行ない、第2投影画像を作成する。投影画像合成部203は、上述した通り、所定の寄与率に基づいて、第1投影画像と第2投影画像とを合成する。
【0086】
また、本実施例では、ボリュームレンダリングに特化して説明したが、ボリュームレンダリングの他に、サーフェースレンダリング等の他のレンダリング手法を採用することもできる。
【0087】
次に実施例2について
図1〜
図6を用いて説明する。実施例1と異なる点は、第1投影画像と第2投影画像の合成率を自動的に設定することができる点である。
【0088】
合成投影画像で優先して表示させるための優先表示モードを設定するために、断層モード、血流モード、弾性モードを設定するモード設定部500を有している。モード設定部500は制御部103に接続されている。また、
図6に示すように、表示部122は、モード設定部500に対応し、優先表示モードを設定するためのモード設定枠600を表示する。設定された優先表示モードには、モード設定マーク602が付与される。モード設定部500で設定された優先表示モードに基づいて、制御部103は、合成投影画像作成部120の各構成要素を制御する。主に、モード設定部500で設定された優先表示モードに基づいて、合成率設定部204は第1投影画像と第2投影画像の合成率を設定する。
【0089】
本実施例では、
図6のモード設定マーク602が示すように、弾性モード(優先表示モード)が設定されている。第1投影画像作成部200と第2投影画像作成部202における第1ボリュームデータ選択部210と第2ボリュームデータ選択部220のいずれかは、弾性ボリュームデータが含まれるようにボリュームデータを選択する。第1レンダリング演算部212と第2レンダリング演算部222は、実施例1で説明したようにボリュームレンダリングを行なう。第1投影画像には弾性ボリュームデータが含まれているとする。
【0090】
合成率設定部204は、設定された弾性モードに基づいて、弾性ボリュームデータを有したボリュームデータを用いてボリュームレンダリングされた第1投影画像の合成率が他の第2投影画像の合成率より高くなるように合成率を設定する。具体的には、合成率設定部204は、弾性ボリュームデータを有したボリュームデータを用いてボリュームレンダリングされた第1投影画像の合成率を0.5より高く設定する。そして、合成部208は、設定された合成率で第1投影画像と第2投影画像を合成し、合成投影画像を作成する。
【0091】
よって、弾性ボリュームデータを有する第1投影画像の合成率が他の第2投影画像の合成率より高いため、合成投影画像における弾性情報は他の組織に隠れることなく表示されることとなる。よって、操作者は、3次元弾性画像と他の画像を相互に確認することができる。
【0092】
さらに、表示部122は、モード設定部500に対応し、フルオートモードを設定するためのフルオート設定枠610を表示する。フルオートモードを設定すると、表示部122はチェックマーク612を付与する。モード設定部500で設定されたフルオートモードに基づいて、制御部103は、合成投影画像作成部120の各構成要素を制御する。
【0093】
具体的には、ボリュームデータ記憶部119の出力側にモード設定部500を有している。モード設定部500は、各ボリュームデータを解析し、各種パラメータを設定する。モード設定部500は、まず、弾性ボリュームデータの弾性値が所定の閾値を超えているかを演算する。弾性ボリュームデータの弾性値とは、平均値、中央値等である。弾性ボリュームデータの平均値は、弾性ボリュームデータの弾性値を全て加算し、弾性ボリュームデータの総数で割った値である。弾性ボリュームデータの中央値は、弾性ボリュームデータの弾性値において、最も硬い弾性値と最も軟らかい弾性値の中央に位置する値である。
【0094】
そして、弾性ボリュームデータの弾性値が閾値を超えていない場合、モード設定部500は、弾性ボリュームデータを有したボリュームデータを用いてボリュームレンダリングされた第1投影画像の合成率が他の第2投影画像の合成率より高くなるように合成率を設定する。弾性ボリュームデータの弾性値が閾値を超えている場合、モード設定部500は、弾性ボリュームデータを有したボリュームデータを用いてボリュームレンダリングされた第1投影画像の合成率が他の第2投影画像の合成率より低くなるように合成率を設定する。
【0095】
なお、本実施例では、弾性ボリュームデータの弾性値を利用して第1投影画像と第2投影画像の合成率を設定したが、血流ボリュームデータの血流値を利用して第1投影画像と第2投影画像の合成率を設定してもよい。
【0096】
以上、本実施例によれば、3次元弾性画像と3次元血流画像と3次元断層画像とを合成投影画像としてそれぞれ認識できるように適切に表示させることができる。よって、操作者は、3次元弾性画像と3次元血流画像と3次元断層画像の相互の画像を確認することができる。
【0097】
次に実施例3について
図1〜
図6を用いて説明する。実施例1、2と異なる点は、第1投影画像と第2投影画像の寄与率を自動的に設定することができる点である。
【0098】
実施例2に示すモード設定部500で設定された優先表示モードに基づいて、第1寄与率設定部214又は第2寄与率設定部224はそれぞれ寄与率を設定する。本実施例では、
図6のモード設定マーク602が示すように、弾性モード(優先表示モード)が設定されている。第1寄与率設定部214又は第2寄与率設定部224は、設定された弾性モードに基づいて、寄与率を設定する。具体的には、第1寄与率設定部214又は第2寄与率設定部224は、弾性ボリュームデータに係る寄与率{K1,K2,K3,K4,K5,K6}を{0.0,1.0,0.0,1.0,0.0,0.0}と設定する。
【0099】
具体的には、第1寄与率設定部214又は第2寄与率設定部224は、弾性ボリュームデータのボリュームレンダリングに係る他のボリュームレンダリングの寄与率を低くする(例えば、K5とK6をゼロとする)、若しくは他のボリュームデータのボリュームレンダリングに係る弾性ボリュームデータのボリュームレンダリングの寄与率を高くする(例えば、K2とK4を1とする)ことにより、弾性ボリュームデータのボリュームレンダリングが優先される。このように、弾性ボリューム
データのボリュームレンダリングを行ない、第1投影画像と第2投影画像を合成することにより、合成投影画像における弾性情報は他の組織に隠れることなく表示される。よって、操作者は、3次元弾性画像と3次元血流画像と3次元断層画像の相互の画像を確認することができる。