(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774500
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】パワーコンディショナ装置および太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20150820BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H05K7/20 K
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-2125(P2012-2125)
(22)【出願日】2012年1月10日
(65)【公開番号】特開2013-143809(P2013-143809A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】町田 賢
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴之
【審査官】
田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−055681(JP,A)
【文献】
特開2011−233804(JP,A)
【文献】
特開平05−102686(JP,A)
【文献】
特開2004−356130(JP,A)
【文献】
特開平7−95771(JP,A)
【文献】
特開2010−258285(JP,A)
【文献】
実開平4−40590(JP,U)
【文献】
特開2004−274870(JP,A)
【文献】
特開2009−213262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42−7/98
H02M 3/00−3/44
H05K 5/00−5/06
H02K 7/20
H01L 23/34−23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け面に取り付けられるパワーコンディショナ装置であって、
前記取り付け面と対向する背面と、第1の吸気口が設けられた第1の側面と、第2の吸気口が設けられた第2の側面と、排気口が設けられた下面とを有する直方体形状の筐体と、
前記筐体内の前記第1の吸気口寄りに設置され、直流電力を交流電力に変換するDC/ACインバータを含む電力変換部と、
前記筐体内の前記第2の吸気口寄りに設置され、直流電力を入力し交流電力を出力するインタフェース部と、
前記筐体の内側から前記第1の吸気口を覆うように設けられ、前記第1の側面とともに、前記第1の吸気口から吸気された空気の流路を形成するカバー部と、
前記筐体の上面と前記電力変換部との間に設けられたファン部と、
前記電力変換部と前記インタフェース部との間に設けられた仕切り板と、
を備え、
前記ファン部は、前記第1の吸気口から吸気され、前記流路に沿って上昇し前記カバー部の上部に設けられた開口を通過した空気と、前記第2の吸気口から吸気され、前記インタフェース部を通過した空気とを吸引し下方の前記電力変換部に送風し、前記排気口は、前記電力変換部の下方に設けられ、前記電力変換部を通過した空気のみを前記筐体の外に排出することを特徴とするパワーコンディショナ装置。
【請求項2】
前記第2の吸気口は、前記第2の側面の下側に設けられるとともに、複数の小吸気口から構成され、
前記第2の吸気口の前記各小吸気口には、前記小吸気口の上縁から前記筐体の外側に向けて突出し、かつ前記小吸気口を覆うように設けられたルーバが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパワーコンディショナ装置。
【請求項3】
前記筐体の内側から前記第2の吸気口を覆うように設けられ、複数の内部吸気口を有するとともに、前記各内部吸気口には、前記内部吸気口の上縁から前記第2の側面に向けて突出し且つ前記内部吸気口を覆う内部ルーバが設けられたルーバ付きカバー部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のパワーコンディショナ装置。
【請求項4】
前記ルーバ付きカバー部と前記第2の側面との間に設けられ、前記ルーバ付きカバー部の、前記内部ルーバが設けられた面を覆う内部ルーバカバー部であって、前記第2の吸気口よりも上側に設けられ、かつ前記第2の吸気口から吸気した空気を前記内部吸気口に通す上部開口を有する内部ルーバカバー部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のパワーコンディショナ装置。
【請求項5】
前記内部ルーバカバー部は、前記ルーバ付きカバー部と前記内部ルーバカバー部とで画成される空間に浸入した水滴を排出する下部開口を有することを特徴とする請求項4に記載のパワーコンディショナ装置。
【請求項6】
前記ルーバ付きカバー部は、前記第2の吸気口の下端で前記第2の側面と接続し、かつ前記第2の側面の方向に傾斜した下面を有することを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載のパワーコンディショナ装置。
【請求項7】
前記第1の側面と前記カバー部により形成された前記流路内に設けられた水滴落し板であって、前記カバー部から前記第1の側面に向けて突設された水滴落とし板および前記第1の側面から前記カバー部に向けて突設された水滴落し板の少なくともいずれかを備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のパワーコンディショナ装置。
【請求項8】
前記第1の吸気口は複数の小吸気口から構成され、前記第1の吸気口の前記各小吸気口には、前記小吸気口の上縁から前記筐体の外側に向けて突出し、かつ前記小吸気口を覆うように設けられたルーバが設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のパワーコンディショナ装置。
【請求項9】
前記カバー部は、前記第1の吸気口の下端で前記第1の側面と接続し、かつ前記第1の側面の方向に傾斜した下面を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のパワーコンディショナ装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のパワーコンディショナ装置と、
前記パワーコンディショナ装置に直流電力を供給する太陽電池と、
前記パワーコンディショナ装置から供給される交流電力を変圧する変圧装置と、
を備えることを特徴とする太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーコンディショナ装置および太陽光発電システム、より詳しくは、家屋の外壁や収納ボックスの内面等に取り付けられ、外気により装置内部を冷却するいわゆる外気導入方式を採用したパワーコンディショナ装置、および該パワーコンディショナ装置を含む太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムには、太陽電池のほか、太陽電池により発電された直流電力を交流電力に変換(DC/AC変換)するパワーコンディショナ装置が用いられる。
【0003】
なお、特許文献1には、複数の電力変換ユニットが格納される電力変換盤においてファンの数を最小限に抑えて各電力変換ユニットに必要風量を確保する電力変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−15454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、外気導入方式を採用したパワーコンディショナ装置の一つとして、
図6に示すような背面吸気・底面排気構造のパワーコンディショナ装置80がある。
図6は、比較例によるパワーコンディショナ装置80の背面側から見た斜視図である。
【0006】
筐体81の正面には扉82が設けられ、一方、筐体81の背面84の四隅には、パワーコンディショナ装置80を壁等の取り付け面に取り付けるための固定金具83が設けられている。また、筐体81の背面84には吸気口85が設けられ、この吸気口85を覆うようにカバーボックス部86が取り付けられている。さらに、カバーボックス部86の左右両側の傾斜面には、外気を吸気する吸気口87が設けられている。吸気口87からカバーボックス部86内に吸気された空気は、背面84の吸気口85を通って筐体81内に吸気される。また、筐体81内の機器を冷却した空気は、筐体81の底面に設けられた排気口から排気される。このように、パワーコンディショナ装置80は、装置内部を冷却するために背面吸気・底面排気構造を採っている。
【0007】
しかしながら、パワーコンディショナ装置は家屋の壁や収納ボックスの内面などに取り付けられることが多く、使用状態では、筐体の背面は壁等の取り付け面に面している。このため、目詰まり等により吸気口85のフィルタ交換等のメンテナンスを行う際、パワーコンディショナ装置を取り付け面から取り外す必要があり、メンテナンス時間が増加する要因となっている。
【0008】
また、筐体81内に外気を取り込む吸気口が背面の吸気口85の1カ所のみであるため、吸気口85のフィルタに目詰まりが発生すると流入風量が大幅に減少する。その場合、装置内部の温度が急激に上昇するため、パワーコンディショナ装置は、出力を最大許容出力の30〜50%まで低下させる減力運転を行う。その結果、発電量が大幅に減少してしまうという問題がある。
【0009】
さらに、屋外に設置されるパワーコンディショナ装置には、高い防水性能も求められる。
【0010】
そこで、本発明は、吸気口のメンテナンス時間を低減するとともに、発電量を可及的に高く維持することが可能なパワーコンディショナ装置を提供することを目的とする。また、パワーコンディショナ装置の防水性能を向上させることも本発明の目的の一つである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係るパワーコンディショナ装置は、
取り付け面に取り付けられるパワーコンディショナ装置であって、
前記取り付け面と対向する背面と、第1の吸気口が設けられた第1の側面と、第2の吸気口が設けられた第2の側面と、排気口が設けられた下面とを有する直方体形状の筐体と、
前記筐体内の前記第1の吸気口寄りに設置され、直流電力を交流電力に変換するDC/ACインバータを含む電力変換部と、
前記筐体内の前記第2の吸気口寄りに設置され、直流電力を入力し交流電力を出力するインタフェース部と、
前記筐体の内側から前記第1の吸気口を覆うように設けられ、前記第1の側面とともに、前記第1の吸気口から吸気された空気の流路を形成するカバー部と、
前記筐体の上面と前記電力変換部との間に設けられたファン部と、
前記電力変換部と前記インタフェース部との間に設けられた仕切り板と、
を備え、
前記ファン部は、前記第1の吸気口から吸気され、前記流路に沿って上昇し前記カバー部の上部に設けられた開口を通過した空気と、前記第2の吸気口から吸気され、前記インタフェース部を通過した空気とを吸引し下方の前記電力変換部に送風し、前記排気口は、前記電力変換部の下方に設けられ、前記電力変換部を通過した空気のみを前記筐体の外に排出することを特徴とする。
【0012】
また、前記パワーコンディショナ装置において、
前記第2の吸気口は、前記第2の側面の下側に設けられるとともに、複数の小吸気口から構成され、
前記第2の吸気口の前記各小吸気口には、前記小吸気口の上縁から前記筐体の外側に向けて突出し、かつ前記小吸気口を覆うように設けられたルーバが設けられているようにしてもよい。
【0013】
また、前記パワーコンディショナ装置において、
前記筐体の内側から前記第2の吸気口を覆うように設けられ、複数の内部吸気口を有するとともに、前記各内部吸気口には、前記内部吸気口の上縁から前記第2の側面に向けて突出し且つ前記内部吸気口を覆う内部ルーバが設けられたルーバ付きカバー部をさらに備えてもよい。
【0014】
また、前記パワーコンディショナ装置において、
前記ルーバ付きカバー部と前記第2の側面との間に設けられ、前記ルーバ付きカバー部の、前記内部ルーバが設けられた面を覆う内部ルーバカバー部であって、前記第2の吸気口よりも上側に設けられ、かつ前記第2の吸気口から吸気した空気を前記内部吸気口に通す上部開口を有する内部ルーバカバー部をさらに備えてもよい。
【0015】
また、前記パワーコンディショナ装置において、
前記内部ルーバカバー部は、前記ルーバ付きカバー部と前記内部ルーバカバー部とで画成される空間に浸入した水滴を排出する下部開口を有してもよい。
【0016】
また、前記パワーコンディショナ装置において、
前記ルーバ付きカバー部は、前記第2の吸気口の下端で前記第2の側面と接続し、かつ前記第2の側面の方向に傾斜した下面を有してもよい。
【0017】
また、前記パワーコンディショナ装置において、
前記第1の側面と前記カバー部により形成された前記流路内に設けられた水滴落し板であって、前記カバー部から前記第1の側面に向けて突設された水滴落とし板および前記第1の側面から前記カバー部に向けて突設された水滴落し板の少なくともいずれかを備えてもよい。
【0018】
また、前記パワーコンディショナ装置において、
前記第1の吸気口は複数の小吸気口から構成され、前記第1の吸気口の前記各小吸気口には、前記小吸気口の上縁から前記筐体の外側に向けて突出し、かつ前記小吸気口を覆うように設けられたルーバが設けられていてもよい。
【0019】
また、前記パワーコンディショナ装置において、
前記カバー部は、前記第1の吸気口の下端で前記第1の側面と接続し、かつ前記第1の側面の方向に傾斜した下面を有してもよい。
【0020】
本発明の一態様による太陽光発電システムは、
本発明によるパワーコンディショナ装置と、
前記パワーコンディショナ装置に直流電力を供給する太陽電池と、
前記パワーコンディショナ装置から供給される交流電力を変圧する変圧装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるパワーコンディショナ装置によれば、吸気口が筐体の第1および第2の側面にそれぞれ設けられているため、フィルタ交換等のメンテナンスの際に、パワーコンディショナ装置を取り付け面から取り外す必要がなくなり、メンテナンス時間を低減することができる。
【0022】
さらに、本発明によれば、第2の吸気口から吸気された空気は、ファン部により吸引され、インタフェース部を冷却し、その後、電力変換部を冷却するために利用される。このように、第1の吸気口から吸気された空気だけでなく、第2の吸気口から吸気されインタフェース部を冷却した空気も再利用して、発熱量の大きい電力変換部を冷却する。よって、第1及び第2の吸気口に設けられたフィルタのいずれかに目詰まりが発生した場合でも、他方の吸気口から吸気された空気を用いて発熱量の大部分を占める電力変換部を冷却することができる。このため、パワーコンディショナ装置の内部温度が著しく上昇することを防止し、発電量が大幅に低下する減力運転の発生を抑えることができる。その結果、発電量を高い水準で維持することができる。
【0023】
また、筐体の内側から第1の吸気口を覆うようにカバー部が設けられているため、第1の吸気口を通って筐体内に入ってきた水滴が電力変換部等の設置空間まで進むことが防止され、パワーコンディショナ装置の防水性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係るパワーコンディショナ装置の背面側から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るパワーコンディショナ装置の筐体の断面、および筐体内に設置された電気機器類の上面を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るパワーコンディショナ装置の筐体の吸気口8付近の断面斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るパワーコンディショナ装置の筐体の吸気口9付近の断面斜視図である。
【
図5】パワーコンディショナ装置を含む太陽光発電システムの概略的な構成を示す図である。
【
図6】比較例によるパワーコンディショナ装置の背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0026】
(太陽光発電システム)
図5を用いて、パワーコンディショナ装置を含む太陽光発電システムの構成について説明する。
図5に示すように、太陽光発電システム500は、パワーコンディショナ装置1と、このパワーコンディショナ装置1に直流電力(例えばDC200〜500V)を供給する太陽電池200と、変圧装置300とを備える。パワーコンディショナ装置1は、太陽電池200から供給された直流電圧を三相交流(例えば200V)に変換して出力する。この交流電力は、パワーコンディショナ装置1の出力端と接続された変圧装置300により高圧(例えば6600V)に変圧されて商用配電網に供給される。
【0027】
(パワーコンディショナ装置)
次に、本発明の実施形態に係るパワーコンディショナ装置1について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るパワーコンディショナ装置1の背面側から見た斜視図を示している。
【0028】
図1に示すように、パワーコンディショナ装置1は、いわゆる壁掛け型のパワーコンディショナ装置であり、筐体2の背面5の四隅に設けられた固定金具4によって、壁等の取り付け面に取り付けられる。また、筐体2の正面には、筐体2内に設置された電気機器(例えば、直流電力を交流電力に変換するDC/ACインバータ等)や吸気口・排気口のフィルタにアクセスするための扉3が設けられている。
【0029】
また、
図1に示すように、パワーコンディショナ装置1は、筐体2の側面から吸気し、底面から排気するいわゆる側面吸気・底面排気構造となっている。
【0030】
次に、パワーコンディショナ装置1の内部構造について、
図2〜
図4を用いて説明する。
図2は、パワーコンディショナ装置1の筐体2の断面と、筐体2内に設置された機器類の上面とを示している。なお、
図2には、吸気口のフィルタは図示していない。
図3は吸気口8付近の断面斜視図を示し、
図4は吸気口9付近の断面斜視図を示している。
【0031】
筐体2は、略直方体形状であり、吸気口8が設けられた側面6と、吸気口9が設けられた側面7と、排気口11が設けられた下面10と、上面23とを有する。
【0032】
図2に示すように、筐体2内には、電力変換部12が吸気口8寄り(
図2において左側)に設置されている。この電力変換部12は、直流電力を交流電力に変換するDC/ACインバータを含む。電力変換部12には、パワーMOSFET12aやトランス12b等が設けられている。なお、パワーMOSFET12aは、冷却効率を上げるため、ヒートシンク12cの側面にネジ止めされている。
【0033】
また、筐体2内には、直流電力を入力し、交流電力を出力するインタフェース部13が、吸気口9寄り(
図2において右側)に設置されている。インタフェース部13は発熱量の大きな部品を含まないため、冷却風を軽く流すだけで十分に冷却される。
【0034】
一方、電力変換部12はパワーMOSFET12aやトランス12b等の熱源を含むため、インタフェース部13よりも発熱量が格段に多い。よって、装置内部の温度上昇を抑制するために、ファンを用いて電力変換部12を積極的に冷却する必要がある。
【0035】
開口付き仕切り板17は、開口が設けられた仕切り板であり、インタフェース部13と吸気口9のルーバ付きカバー部30(後述)との間に配置されている。ルーバ付きカバー部30の内部吸気口31を通って筐体内2に流入した空気は、開口付き仕切り板17の開口を通ってインタフェース部13が設置された空間に流入する。流入した空気は、ファン部24に吸引され、斜め上方に流れインタフェース部13を冷却する。
【0036】
なお、吸気口9は、側面7の下側に設けられることが好ましい。これにより、吸気口9とファン部24の間にインタフェース部13が位置することになり、インタフェース部13を、吸気口9から吸気された空気によって効率的に冷却することができる。
【0037】
ファン部24は、筐体2の上面23と電力変換部12との間に設けられている。このファン部24は上方の空気を吸引し、下方の電力変換部12に向けて送風する。ファン部24から送風された空気は、電力変換部12を冷却した後、筐体2の下面10に設けられた排気口11から外部に排出される。
【0038】
ファン部24は、吸気口8から吸気され、流路Cに沿って上昇しカバー部11の開口11a(後述)を通過した空気と、吸気口9から吸気され、インタフェース部13を通過した空気の両方を吸引し、下方の電力変換部12に送風する。従って、吸気口8及び9のうち一方がフィルタの目詰まり等により空気流入量を減らしたとしても、他方の吸気口により吸気された空気で電力変換部12を冷却することができる。
【0039】
排気口11は、電力変換部12の下方に設けられ、電力変換部12を通過した空気のみを筐体2の外に排出するように構成されている。具体的には、排気口11には、仕切り板(後述の仕切り板14および25)と接続した筒状のダクト部15が取り付けられている。このため、例えばインタフェース部13を通過した空気が電力変換部12を通過せずに筐体2の外に排出されること等がなく、吸気口8及び9から吸気した空気を無駄なく電力変換部12の冷却に用いることができる。
【0040】
また、筐体2の内側から排気口11を覆うように、フィルタ16が設けられている。
【0041】
仕切り板25は、電力変換部12とインタフェース部13との間に設けられている。この仕切り板25を設けることにより、筐体2内の冷却風の流路を制御することができる。即ち、吸気口9から吸気され、インタフェース部13を冷却した空気がファン部24を介さずに電力変換部12に流れ込むことや、逆に、電力変換部12を冷却する空気がインタフェース部13に流れ込むことを防止することができる。
【0042】
また、仕切り板14は、カバー部20(後述)と電力変換部12との間に設けられている。この仕切り板14により、カバー部20の開口21を通って筐体2内に流入した空気が、ファン部24を介さずに電力変換部12が設置された空間に流れ込むことを防止できる。
【0043】
なお、仕切り板14,25は、電力変換部12の側板として設けられてもよいし、もしくは、筐体2の一部として、筐体2の内側背面から突出するように設けられてもよい。
【0044】
また、吸気口8は、側面6の下側に限らず、側面6の中央部または上側に設けられてもよい。
【0045】
また、
図2では、左側に吸気口8、右側に吸気口9を設けているが、逆に配置してもよい。即ち、左側に吸気口9を設け、右側に吸気口8を設けてもよい。この場合には、インタフェース部13が筐体2の左側に配置され、電力変換部12が筐体2の右側に配置される。
【0046】
上記のように、本実施形態では、吸気口8,9が筐体2の側面6,7にそれぞれ設けられている。このため、目詰まりによりフィルタを交換するなどのメンテナンスの際に、パワーコンディショナ装置1を取り付け面から取り外す必要がなくなる。よって、メンテナンス工数を削減し、メンテナンス時間を低減することができる。
【0047】
また、本実施形態では、吸気口9から吸気された空気は、ファン部24に吸引され、流れ経路の途中に配置された比較的発熱量の少ないインタフェース部13を冷却し、その後、電力変換部12を冷却するために利用される。このように、発熱量の大きい電力変換部12を冷却するために、吸気口8から吸気された空気だけでなく、吸気口9から吸気されインタフェース部13の冷却に用いた空気も用いるため、本実施形態によれば、フィルタの目詰まり等によって吸気口8及び9の一方による吸気量が減少した場合でも、発熱量の大部分を占める電力変換部12を他方の吸気口から吸気された空気を用いて冷却することができる。このため、パワーコンディショナ装置の内部温度が著しく上昇することを防止し、発電量が大幅に低下する減力運転の発生を抑えることができる。その結果、本実施形態によれば、発電量を高い水準で維持することができる。
【0048】
さらに、本実施形態のパワーコンディショナ装置では、吸気口8,9に様々な工夫を施すことで防水性能を向上させ、防水等級JIS IPX4を達成している。
【0049】
以下、吸気口8および吸気口9付近の構成について詳細に説明する。吸気口8および9はそれぞれ、
図1及び
図2に示すように、複数の小吸気口18,18・・・および28,28・・・から構成されている。即ち、吸気口8は複数の小吸気口18から構成され、吸気口9は複数の小吸気口28から構成される。また、パワーコンディショナ装置の防水性能を向上させるために、各小吸気口にはルーバ19,29が設けられている。ルーバ19は、
図2及び
図3に示すように、小吸気口18の上縁から筐体2の外側に向けて突出し、かつ小吸気口18を覆うように設けられている。同様に、ルーバ29は、
図2及び
図4に示すように、小吸気口28の上縁から筐体2の外側に向けて突出し、かつ小吸気口28を覆うように設けられている。ルーバ19,29を設けることにより、外部の水滴が直接パワーコンディショナ装置の内部に入ることを防止できる。
【0050】
また、
図3に示すように、吸気口8の内側にはフィルタ38が設けられている。同様に、
図4に示すように、吸気口9の内側にはフィルタ39が設けられている。
【0051】
カバー部20は、筐体2の内側から吸気口8を覆うように設けられ、側面6とともに、吸気口8から吸気された空気をファン部24に導くための流路Cを形成する。また、吸気口8から吸気され流路Cを通ってきた空気を筐体2の内部に通すために、カバー部20の上部に開口21が設けられている。
【0052】
カバー部20を設けることにより、装置外部の水滴が電力変換部12等の設置空間まで浸入することを抑制するとともに、吸気口8から吸気された空気を流路Cにより効率的にファン部24に導くことができる。
【0053】
また、流路C内には、水滴落し板26および27が設けられている。水滴落し板26はカバー部20から側面6に向けて突設され、水滴落とし板27は側面6からカバー部20に向けて突設されている。これにより、吸気口8から入ってきた水滴が流路Cの上部側に進むことを防止し、パワーコンディショナ装置の防水性能を向上させることができる。なお、水滴落し板26および27のいずれか片方のみを設けるようにしてもよい。
【0054】
また、カバー部20は、吸気口8(最も下側に配置された小吸気口18)の下端で側面6と接続し、かつ側面6の方向に傾斜した下面22を有する。これにより、吸気口8を介して内部に入ってきた水滴は下面22に沿って落下し、吸気口8から外部に排出される。その結果、側面6とカバー部20とで画成される空間内に水滴が溜まることを防止し、パワーコンディショナ装置の防水性能を向上させることができる。
【0055】
次に、吸気口9の詳細な構成について、
図2及び
図4を参照しつつ説明する。
【0056】
ルーバ付きカバー部30は、筐体2の内側から吸気口9を覆うように設けられ、複数の内部吸気口31,31・・・を有する。また、内部吸気口31の各々には、内部吸気口31の上縁から側面9に向けて突出し、且つ内部吸気口31を覆う内部ルーバ32が設けられている。このようにルーバ付きカバー部30を設けることにより、通気性を確保するとともに、側面7に設けられたルーバ29とともに2重ルーバ構造となることでパワーコンディショナ装置の防水性能を向上させることができる。
【0057】
また、ルーバ付きカバー部30は、吸気口9(最も下側に配置された小吸気口28)の下端で側面7と接続し、かつ側面7の方向に傾斜した下面33を有する。これにより、吸気口9を介して内部に入ってきた水滴は下面33に沿って落下し、吸気口9から外部に排出される。その結果、側面7とルーバ付きカバー部30とで画成される空間内に水滴が溜まることを防止し、パワーコンディショナ装置の防水性能を向上させることができる。
【0058】
また、内部ルーバカバー部35が設けられている。この内部ルーバカバー部35は、ルーバ付きカバー部30と側面7との間に設けられ、ルーバ付きカバー部30の、内部ルーバ32が設けられた面を覆う。また、この内部ルーバカバー部35は、吸気口9(最も上側に配置された小吸気口28)よりも上側に設けられ、かつ吸気口9から吸気した空気を内部吸気口31に通すための上部開口36を有する。この内部ルーバカバー部35を設けることで、さらにパワーコンディショナ装置の防水性能を向上させることができる。
また、内部ルーバカバー部35は、ルーバ付きカバー部30と内部ルーバカバー部35とで画成される空間に浸入した水滴を排出するための下部開口37を有する。これにより、当該空間に水滴が溜まることを防止し、パワーコンディショナ装置の防水性能を向上させることができる。
【0059】
上記のように、本実施形態では、吸気口8,9に、カバー部20、ルーバ付きカバー部30、ルーバ19,29等を設けることで、パワーコンディショナ装置の防水性能を向上させることができる。
【0060】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 パワーコンディショナ装置
2 筐体
3 扉
4 固定金具
5 背面
6,7 (筐体の)側面
8,9 吸気口
10 (筐体の)下面
11 排気口
12 電力変換部
12a パワーMOSFET
12b トランス
12c ヒートシンク
13 インタフェース部
14 仕切り板
15 ダクト部
16 フィルタ
17 開口付き仕切り板
18 (吸気口8の)小吸気口
19 (吸気口8の)ルーバ
20 カバー部
21 (カバー部の)開口
22 (カバー部の)下面
23 (筐体の)上面
24 ファン部
25 仕切り板
26,27 水滴落し板
28 (吸気口9の)小吸気口
29 (吸気口9の)ルーバ
30 ルーバ付きカバー部
31 内部吸気口
32 内部ルーバ
33 (ルーバ付きカバー部の)下面
35 内部ルーバカバー部
36 (内部ルーバカバー部の)上部開口
37 (内部ルーバカバー部の)下部開口
38,39 フィルタ
80 (比較用の)パワーコンディショナ装置
81 筐体
82 扉
83 固定金具
84 (筐体の)背面
85 (背面の)吸気口
86 カバーボックス部
87 (カバーボックス部の)吸気口
200 太陽電池
300 変圧装置
500 太陽光発電システム
C 流路