(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
駅舎やビルなどの監視業務は一般に、人件費を削減するために監視される側の被監視サイトには常駐警備員を配置せず、監視カメラやカメラ画像の記録装置を設置し、駅舎の監視拠点やビルのオーナーの事務所等の監視する側である監視サイトからパソコン等の端末装置を用いて、監視者が被監視サイトの画像を確認するようにしている。この被監視サイトの画像から監視者が、被監視サイトへの不正侵入や、被監視サイトに備えられる機器の故障等の異常状況を確認したときには、監視者は警備会社や巡回担当者に連絡し、被監視サイトに向かわせるように対応している。
【0003】
一方、被監視サイトの異常は、関連する機器の異常信号や、センサーによる信号の取り込みにより検知し、それらの信号をトリガとして異常発生時の画像を保存し、任意に確認可能とするのが一般的である。
【0004】
特許文献1には、被監視サイトの状況を遠隔的に詳細に把握するために、単独の監視カメラの画像だけでなく、複数の監視カメラの画像や、関連する機器の動作状態を、監視者が一括して確認できるような映像監視システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、被監視サイトにおける不正侵入や機器の故障の遠隔監視機能を備えた映像監視システムにあって、不正侵入や機器の故障の発生時の画像から現地の異常状況を確認するとき、異常発生前後の状況確認や、異常発生前後の状況と発生時の状況との比較が必要になる。この場合従来では、異常の発生した状況によっては、対象とすべき情報である映像データを探すのに時間がかかったり、また、異常状況の発生時から時間が経過しているために、比較すべき必要な映像データの変化や消滅が生じ、これに伴って正確な状況を把握するために必要となる映像データの取得や表示が困難になる問題があった。
【0007】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、被監視サイトへの不正侵入や被監視サイトの機器の故障に関する異常状況を、迅速且つ正確に把握することができる映像監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る映像監視システムは、被監視サイトと、この被監視サイトと通信回線を介して遠隔的に接続される監視サイトとを備え、前記被監視サイトは、この被監視サイトの異常状態を検出するセンサーと、このセンサーに対応して設けられる監視カメラと、この監視カメラで撮影した映像を記録する記録装置とを有し、前記監視サイトは、前記監視カメラの映像及び前記記録装置に記録された映像を表示する監視画面を有する端末装置を備えた映像監視システムにおいて、前記監視サイトの前記端末装置の前記監視画面は、前記被監視サイトの前記センサーが異常を検出したときの前記監視カメラが撮影した静止画を表示する静止画表示エリア
と、前記監視カメラが撮影するリアルタイムの映像データ
を表示し、前記監視サイトからの再生要求信号を前記被監視サイトが受信すると、前記リアルタイムの映像データから切り替えられた前記記録装置によって再生した映像データを表示し、前記監視サイトからの再生終了信号を前記被監視サイトが受信したときに、前記記録装置によって再生した映像データの表示を停止し、その後リアルタイムの映像データの表示を継続する動画表示エリアと、前記記録装置に記録される映像データに対する頭出し部位を指定する日時情報入力エリア、及びこの日時情報入力エリアで指定した頭出しを実行指令する検索ボタンを有し、前記動画表示エリアに表示する前記記録装置に記録される映像データの頭出しを指定する動画表示開始設定部と、前記監視カメラを特定するカメラ名表示部、及び前記センサーが異常を検出した時刻を表示する発生日時表示部、及び前記異常
に関する対応
についての検討がまだなされていない未対応、または検討がなされたが、後で詳細を確認して対応部署への連絡を判断することになった対応保留のいずれかを表示する対応状況表示部を備えた履歴エリアとを有することを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、被監視サイトへの不正侵入や被監視サイトの機器の故障に関係する異常状況の発生時の静止画と、発生前後の動画とを監視サイトに備えられる端末装置の同一の監視画面において確認することができる。これにより本発明は、被監視サイトの異常状況を迅速且つ正確に把握することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被監視サイトへの不正侵入や被監視サイトの機器の故障に関係する異常状況の発生時の静止画と、発生前後の動画とを監視サイトに備えられる端末装置の同一の監視画面において確認することができる。これにより本発明は、被監視サイトの異常状況を迅速且つ正確に把握することができ、従来に比べて精度の高い映像監視業務を実現させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る映像監視システムの実施の形態を図に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に係る映像監視システムの一実施形態の基本構成を示すブロック図、
図2は本実施形態に備えられる監視サイトの端末装置の監視画面を示す図である。
【0016】
図1に示すように、駅舎やビル等の本実施形態の被監視サイト20は、広域ネットワーク網を形成する通信回線1を介して監視サイト10と遠隔的に接続されている。この被監視サイト20は、通信回線1との接続を行う通信装置21と、第1監視カメラ27a及び第2監視カメラ27bと、これらの監視カメラ27a,27bの画像データを取り込み、通信装置21を介して通信回線1に画像データを送信するカメラサーバー22と、監視カメラ27a,27bの画像データを録画する映像記録装置23と、この録画した画像データを格納する第2記憶部25とを有している。
【0017】
また、被監視サイト20は、この被監視サイト20において生じる不正侵入や機器の故障を検知可能なセンサー26と、カメラサーバー22の指令により第1,第2監視カメラ27a,27bが撮影した静止画像を格納する第1記憶部24とを備えている。前述の監視カメラ27a,27bは、センサー26に対応させて配置されている。第1記憶部24に静止画像が格納されるタイミングは、センサー26からの出力信号であるイベント信号がカメラサーバー22に取り込まれたときであり、センサー26からイベント信号が入力されたときカメラサーバー22は、第1記憶部24に監視カメラ27a,27bが撮影した静止画像の格納を指令する。
【0018】
また、カメラサーバー22は、第2記憶部25に格納された画像データを再生する映像記録装置23へ指令信号を出力するとともに、映像記録装置23が再生した第2記憶部25の再生画像を取り込み、通信装置21及び通信回線1を介して監視サイト10へ送信する。
【0019】
また、監視サイト10は、通信回線1との接続を行う通信装置11と、被監視サイト20のカメラサーバー22に対し、遠隔的に画像データの取り込みを指令し、後述するイベント確認画面30へ取り込んだ画像データを表示する端末装置13とを有している。なお、端末装置13は、監視サイト10の監視者12の操作によって、画像データの取り込み指令処理を行うようになっている。
【0020】
端末装置13の監視画面であるイベント確認画面30は、監視対象となる被監視サイト名記載エリア31と、イベント発生時のカメラ画像を表示する静止画表示エリア32と、発生したイベントの一覧を表示する履歴エリアである発生イベント一覧部35と、発生したイベントに対して対応が完了したのか、保留としたのかを、イベント確認画面30に触れることで入力する完了ボタン33及び保留ボタン34とを有している。
【0021】
またイベント確認画面30は、第1,第2監視カメラ27a,27bが撮影する現在のリアルタイム映像と、第2記憶部25に記憶される画像とを切り替え表示可能な動画表示エリア36と、映像記録装置23に接続される第2記憶部25に記録されている画像を、頭出し指令するときに指定する日時情報入力エリア39と、この日時情報入力エリア39で指定した日時に対して、第2記憶部25に記憶されている画像の頭出しを実施する検索ボタン40とを有している。
【0022】
またイベント確認画面30は、動画表示エリア36に再生表示される第2記憶部25の映像データの逆再生、再生、早送り、巻き戻しを指令する再生指令ボタン37と、動画表示エリア36に表示され、第2記憶部25に記憶される画像再生を終了し、監視カメラ27a,27bが撮影する現在のリアルタイム映像に切り替える再生映像終了ボタン38とを有している。前述した日時情報入力エリア39と検索ボタン40とによって、動画表示エリア36に表示する動画の頭出しを指定する動画表示開始設定部が構成されている。
【0023】
また、前述した発生イベント一覧部35は、対象となる領域を撮影する監視カメラ27a,27bを特定するカメラ名表示部35aと、イベント発生時刻を表示する発生日時表示部35bと、発生したイベント信号に対して、静止画表示エリア32及び動画表示エリア36の画像確認で一旦は対応したが、その後に保留ボタン34を押して保留状態とした旨を表示するか、あるいは、未対応で保留ボタン34も完了ボタン33も押していない未対応状況である旨を表示する対応状況表示部35cとを有している。
【0024】
以上のように構成した本実施形態の動作を
図3,4に基づいて説明する。
図3は本実施形態における被監視サイト側の動作を示すフローチャート、
図4は本実施形態における監視サイト側の動作を示すフローチャートである。
【0025】
監視カメラ27a,27bが撮影した映像データは、継続的に映像記録装置23を介して第2記憶部25に記憶される。このような状態において、被監視サイト20でセンサー26が例えば不正侵入を検出し(
図3のステップS101)、センサー26から出力されたイベント信号を受信した(ステップS102)カメラサーバー22は、イベント信号発生時の例えば監視カメラ27aが撮影した静止画像データを第1記憶部24に格納するとともに(ステップS103)、通信装置21及び通信回線1を介して、イベント信号を監視サイト10へ送信する。
【0026】
監視サイト10の端末装置13は、ステップS104で送信されたイベント信号を、通信装置11を介して受信し(
図4のステップS201)、イベント発生時の監視カメラ27aが撮影した静止画像データに対し、送信を要求する画像要求信号を、通信装置11及び通信回線1を介して被監視サイト20へ送信する(ステップS202)。
【0027】
被監視サイト20のカメラサーバー22は、ステップS202で送信された画像要求信号の有無を判断し、通信装置21を介して受信を確認すると(
図3のステップS105)、第1記憶部24に格納されたイベント発生時の監視カメラ27aが撮影した静止画像データを抽出するとともに、イベント信号検出時の日時情報や、イベント信号に対応する監視カメラ27aを特定する監視カメラ番号を、通信装置21及び通信回線1を介して、監視サイト10へ送信する(ステップS106)。
【0028】
監視サイト10の端末装置13は、ステップS106で被監視サイト20から送信されたイベント発生時の監視カメラ27aが撮影した静止画像データを、通信装置11を介して受信すると(
図4のステップS203)、イベント確認画面30を表示させるとともに、静止画表示エリア32に、送信された静止画像データを表示し、発生イベント一覧部35のカメラ名表示部35aに、第1監視カメラ27aの監視カメラ番号であるIF No.1を表示し、発生日時表示部35bに、日時情報である2010/12/31 12:34:56を表示し、対応状況表示部35cに
、異常に関する対応についての検討がまだなされていない未対応であるので「未」を表示し、日時情報入力エリア39に、発生日時表示部35bと同じく2020/12/31 12:34:56を表示する(ステップS204)。ここで、イベントが発生した第1監視カメラ27aが撮影しているリアルタイムの映像データを動画表示エリア36に表示させる処理が行われる。
【0029】
監視サイト10の監視者12は、被監視サイト名記載エリア31でイベントが発生した被監視サイト20を確認するとともに、静止画表示エリア32に表示されるイベント発生時の静止画像を確認し、発生イベント一覧部35の最上段に表示されている2010/12/31 12:34:56を選択し(
図4のステップS205)、検索ボタン40を選択する(ステップS206)。端末装置13は、ステップS205における発生イベント一覧部35の選択と、ステップS206における検索ボタン40の選択とを検出すると、通信装置11と通信回線1を介して被監視サイト20のカメラサーバー22へ、第1監視カメラ27aが撮影し、映像記録装置23を介して第2記憶部25に記憶されている2010/12/31 12:34:56からの映像データを送信する再生要求信号を送信する(ステップS207)。
【0030】
被監視サイト20のカメラサーバー22は、通信装置21を介して端末装置13から再生要求信号を受信すると(
図3のステップS107)、映像記録装置23を起動し、第1監視カメラ27aが撮影した2020/12/31 12:34:56からの映像データを再生し(ステップS108)、通信装置21、通信回線1、通信装置11を介して端末装置13へ送信する(ステップS109)。ここで、ステップS107において端末装置13からの再生要求信号が送信されなかったときは、終了して被監視サイト20の監視を継続する。
【0031】
端末装置13は、動画表示エリア36への表示を、第1監視カメラ27aが撮影しているリアルタイムの映像データから、被監視サイト20から送信された第1監視カメラ27aが撮影した2010/12/31 12/:34:56からの映像データへ切り替え(
図4のステップS208)、監視者12は、この動画表示エリア36に表示される第1監視カメラ27aが撮影した2010/12/31 12:34:56からの映像データを確認し、静止画表示エリア32に表示されるイベント発生時の静止画像に対する動画表示エリア36への動画の継続の有無を判断し(ステップS209)、動画を継続的に見たい場合はステップS208へ戻る。また、動画での判断が不要、またはサイド確認したい場合は、再生映像終了ボタン38を選択する。端末装置13は、通信装置11と通信回線1を介して被監視サイト20のカメラサーバー22へ、再生終了信号を送信する(ステップS210)。
【0032】
カメラサーバー22は、通信回線1及び通信装置21を介して再生終了信号の受信の有無を判定し(
図3のステップS110)、再生終了信号を受信していないとき、ステップS108とステップS109により、再生した映像データを監視サイト10へ送信し続け、再生終了信号を受信すると、第2記憶部25に記憶されている映像データの再生動作の停止信号を映像記録装置23へ出力し(ステップS111)、終了後、被監視サイト20の監視を継続する。
【0033】
また、端末装置13がステップS210において再生終了信号を被監視サイト20へ送信した後、ステップS206における検索ボタン40の選択を端末装置13が検出しなかった場合、監視サイト10の監視者12は、2010/12/31 12:34:56に発生したイベントに対し、静止画表示エリア32及び動画表示エリア36の画像確認で、異常無しの判断や、不正侵入有りで異常と判断して対応部署へ連絡した場合のイベント完了と、後で詳細を確認して
対応部署への連絡について判断する場合のイベント保留とを検討する(
図4のステップS211)。イベント完了の場合には、完了ボタン33を選択すると(ステップS212)、端末装置13は、発生イベント一覧部35に表示される2010/12/31 12:34:56の列を削除する(ステップS213)。
【0034】
また、ステップS211で、イベント保留と判断した監視者12が保留ボタン34を選択すると(
図4のステップS214)、端末装置13は、2010/12/31 12:34:56の列の対応状況表示部35cを「未」から「保留」に切り替える(ステップS215)。
【0035】
ステップS213における発生イベント一覧部35の列の削除や、ステップS215における対応状況表示部35cの表示の切り替えがなされると、端末装置13は、発生イベント一覧部35のイベント情報の有無を判断し(ステップS216)、有りの場合はステップS205へ戻り、無の場合は終了する。この終了後には被監視サイト20の監視が継続される。
【0036】
なお、発生イベント一覧部35の対応状況表示部35cが「保留」と表示されている行を選択すると、この「保留」と表示された行の発生日時表示部35bに表示されるイベント発生時刻に対し、カメラ名表示部35aに表示される監視カメラ27aが撮影した静止画を、静止画表示エリア32に表示するとともに、その監視カメラ27aが現在撮影している映像を、動画表示エリア36に表示する。ここで、映像データの取得に関する説明は、前述した説明と同様であるので省略する。
【0037】
本実施形態によれば、被監視サイト20への不正侵入や被監視サイト20に備えられる機器の故障であるイベント発生時の静止画を静止画表示エリア32で確認できるとともに、イベント発生前後の動画を動画表示エリア36にて確認できるので、被監視サイトの異常状況を、迅速且つ正確に把握することができ、精度の高い映像監視業務を実現させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、不正侵入や機器の故障の全イベントを発生イベント一覧表35に一覧表示するとともに、
未対
応や対応保留を対応状況表示部35cに表示するようにしたので、イベントに対し、優先度を設けた対応が可能となる。