(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1は、通常の半導体パッケージを製造する場合の被封止体、すなわち、矩形の平板状のプリント基板やリードフレーム等であって、その寸法も或る程度規格化されて、その厚さ自体も小さく大きな差がないような被封止体では、樹脂封止工程前の搬送時に、被封止体を一方側から面的に加熱することによって、予熱することができる。
【0007】
しかしながら、近年、被封止体として、特殊な形状や熱容量が異なる材質部分を有する被封止体を樹脂封止する必要が生じている。例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)では、被封止体として、半導体素子等が搭載された回路基板に加えて、樹脂製の筒状のコネクタ部分及び金属製の放熱板を有するものがあり、かかる被封止体では、放熱板の一部及びコネクタ部分を除く回路基板の部分を樹脂で封止する必要がある。
【0008】
このように、金属と樹脂のように熱容量が異なる材質で構成された部分を有し、更に、平板状の回路基板等に対して、筒状といった特殊な形状のコネクタ部分を有するような被封止体では、搬送過程で一方側から面的に加熱する上記特許文献1では、被封止体の各部を所要の温度に予熱するのは困難である。
【0009】
すなわち、上記被封止体では、樹脂製のコネクタ部分と回路基板の部分を封止する封止樹脂との境界部で剥離が生じないように、樹脂製のコネクタ部分を所要の温度まで十分予熱する必要があるが、一方側から面的に加熱する特許文献1では、筒状のコネクタ部分を、その全周に亘って均一に加熱するのは困難であると共に、熱容量の大きな樹脂製のコネクタ部分を所要の温度まで短時間で加熱しようとすると、回路基板等が急激に加熱されて回路基板にクラックが生じ、このため、回路基板のクラックを防止するためには、予熱時間を長くせざるを得ない。
【0010】
このように特殊な形状部分や熱容量が異なる材質部分を有するような被封止体では、各部分を所要の温度に短時間で予熱するのは困難である。
【0011】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、特殊な形状部分や異なる材質部分を有するような被封止体であっても、各部分を適切な温度に効率的に予熱できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0013】
(1)本発明の樹脂封止装置は、被封止体を予熱する予熱機構を備え、該予熱機構によって予熱された被封止体を、樹脂封止用の成形型によって樹脂封止する樹脂封止装置であって、前記予熱機構は、前記被封止体が前記樹脂封止用の成形型へ搬送される搬送経路の途中に設けられ、前記予熱機構は、前記被封止体を加熱する加熱面をそれぞれ有する二つの加熱手段を備え、前記両加熱手段の前記両加熱面は、互いに対向し、前記両加熱面によって、前記被封止体を両側から加熱するものであり、前記両加熱手段の
うち一方の加熱手段は、前記被封止体
の一部に臨む加熱面
の一部が前記被封止体
の前記一部に近接する方向に突出する
第1凸状加熱部を有し、他方の加熱手段は、前記被封止体の前記一部に臨む加熱面の一部が前記被封止体の前記一部に近接する方向に突出する第2凸状加熱部と、前記被封止体の他部に臨む加熱面の他部が前記被封止体の前記他部に近接する方向に突出する第3凸状加熱部とを有し、前記第3凸状加熱部は、先端部に窪んだ凹部を有する。
【0014】
予熱機構は、被封止体を樹脂封止用の成形型へ搬送する搬送経路の途中に、固定的に設けてもよいし、搬送経路に沿って移動可能に設けてもよい。予熱機構を、搬送経路に沿って移動可能に設ける場合には、当該予熱機構で予熱しながら、被封止体を搬送するのが好ましい。
【0015】
凸状加熱部は、加熱面が被封止体に近接する方向に突出していればよく、その形状に特に制限はないが、例えば、円柱状、直方体等の角柱状、あるいは、円錐台や角錐台等の切頭錐体状等を基本の形状とすることができ、これら形状の各面を所要の形状にすることができる。凸状加熱部は、その加熱面が、被封止体の少なくとも一部に臨んで被封止体を加熱するものであるから、被封止体の加熱すべき部分に対面するような形状とすればよい。
【0016】
また、凸状加熱部は、加熱面が、被封止体に近接する方向に突出するものであればよく、当該凸状加熱部の加熱面が被封止体に接触して加熱してもよいし、被封止体に接触することなく、近接して加熱してもよく、あるいは、加熱面の一部が被封止体に接触して加熱するものであってもよい。
【0017】
被封止体に近接する方向へ突出する凸状加熱部は、その突出高さや形状によって、凸状加熱部の加熱面と被封止体との距離を規定することができ、前記距離の大小によって、被封止体に対する加熱の度合いを設定することができる。凸状加熱部は、その加熱面が、被封止体の少なくとも一部に臨むので、該凸状加熱部の前記突出高さや形状によって、被封止体の前記少なくとも一部の加熱の度合いを設定することができる。すなわち、加熱手段の凸状加熱部の突出高さや形状等を選択することによって、予熱すべき被封止体の少なくとも一部の加熱の度合いを選択することができる。
【0018】
本発明の樹脂封止装置によると、互いに対向する加熱面を有する両加熱手段によって被封止体を両側から加熱するので、例えば、一方側のみから被封止体を加熱する場合のように、一方側から加熱しながら他方側からは放熱するといったことがなく、所望の温度まで加熱することができると共に、被封止体の前記一方側と前記他方側との温度差を抑制することができる。また、予熱に要する時間を短縮することができる。
【0019】
更に、本発明の樹脂封止装置によると、両加熱手段の少なくとも一方の加熱手段は、被封止体に臨む加熱面の少なくとも一部が封止体に近接する方向に突出する凸状加熱部を有するので、この凸状加熱部の突出高さや形状によって、被封止体の少なくとも一部と凸状加熱部の加熱面との距離を設定して加熱の度合いを設定することができる。したがって、例えば、被封止体の熱容量が大きい部分は、凸状加熱部の突出高さを高くして、凸状加熱部の加熱面を、被封止体に接触あるいは近接させて十分に加熱する一方、被封止体の急激な加熱や過度な加熱を抑制すべき部分は、凸状加熱部の突出高さを低くして、該凸状加熱部の加熱面を、被封止体から離間させて急激な加熱や過度の加熱を防ぐことが可能となる。
【0020】
このように被封止体の、例えば熱容量が大きい部分は、効率的に十分加熱することができる一方、被封止体の急激な加熱や過度な加熱を抑制すべき部分は、加熱を抑制することができ、被封止体の各部分を適切、かつ効率的に予熱することができる。
更に、本発明の樹脂封止装置によると、両加熱手段が、被封止体に近接する方向に加熱面が突出する凸状加熱部をそれぞれ有するので、被封止体の少なくとも一部を、両加熱手段の凸状加熱部によって両側から挟むようにして加熱するといったことが可能となり、例えば被封止体の加熱しにくい熱容量の大きな部分を、集中的に予熱することが可能となる。
更に、本発明の樹脂封止装置によると、複数の凸状加熱部を有するので、各凸状加熱部によって、被封止体を部分毎に加熱することができ、各凸状加熱部の突出高さや形状を異ならせて、被封止体に対する加熱の度合いを異ならせるといったことが可能となる。すなわち、被封止体を、複数の部分毎に加熱の度合いを異ならせて予熱することができる。
凹部の形状に特に限定はなく、例えば、被封止体の少なくとも一部の外形形状に応じた形状とし、凹部によって被封止体の前記少なくとも一部を囲む、あるいは、嵌め込むようにして加熱できるようにしてもよい。また、凹部の底面までの深さによって、被封止体との距離を確保し、例えば、凹部の深さを深くすることによって、被封止体との間の距離を大きくして、凹部に臨む被封止体の部分の加熱の度合いを弱めるようにしてもよい。
更に、本発明の樹脂封止装置によると、凸状加熱部は、突出端である先端部に窪んだ凹部を有するので、凹部を、被封止体の少なくとも一部の外形形状に応じた形状とし、該凹部によって被封止体の少なくとも一部を囲む、あるいは、嵌め込むようにして集中的に加熱したり、逆に、凹部の底面までの深さによって、被封止体との距離を確保し、凹部の深さを深くすることによって、被封止体との間の距離を大きくして、凹部に臨む被封止体の部分の加熱の度合いを弱めたりすることができる。
【0021】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記両加熱手段の対向する両加熱面は、近接方向及び離間方向に相対移動可能であって、前記両加熱手段は、両加熱面の間に搬送部材によって搬入される前記被封止体を加熱するものであり、前記両加熱手段の少なくとも一方の加熱手段には、発熱体が設けられる。
【0022】
両加熱手段は、その両方の加熱面が共に移動可能であってもよいし、一方の加熱面のみが、他方の加熱面に対して移動可能であってもよい。
【0023】
この実施態様によると、両加熱手段の両加熱面を離間移動させた状態で、両加熱面の間に被封止体を搬送部材によって搬入し、両加熱面を近接移動させて被封止体を予熱することができる。
【0024】
また、両加熱手段の内の一方の加熱手段のみにヒータ等の発熱体を設け、被封止体の予熱の前に、予め、他方の加熱手段を、発熱体を設けた前記一方の加熱手段に近接あるいは接触させて加熱しておくことによって、その後、一方の加熱手段の発熱体からの発熱と他方の加熱手段の余熱とによって被封止体を両側から加熱することができる。
【0025】
(3)上記(2)の実施態様では、前記加熱手段は、前記被封止体を搬送する前記搬送部材を、前記加熱面と前記被封止体との間に介在させることなく、直接加熱するようにしてもよい。
【0026】
この実施態様によると、被封止体を搬送するための搬送部材を、加熱面と被封止体との間に介在させることなく、被封止体を直接加熱するので、搬送部材を介して加熱する場合に比べて、被封止体の予熱時間を短縮することができる。
【0031】
(4)本発明の樹脂封止装置は、被封止体を予熱する予熱機構を備え、該予熱機構によって予熱された被封止体を、樹脂封止用の成形型によって樹脂封止する樹脂封止装置であって、前記予熱機構は、前記被封止体が前記樹脂封止用の成形型へ搬送される搬送経路の途中に設けられ、前記予熱機構は、前記被封止体を加熱する加熱面をそれぞれ有する二つの加熱手段を備え、前記両加熱手段の前記両加熱面は、互いに対向し、前記両加熱面によって、前記被封止体を両側から加熱するものであると共に、前記両加熱手段の少なくとも一方の加熱手段は、前記被封止体に臨む加熱面に前記被封止体に近接する方向に突出する複数の凸状加熱部を有するものであり、かつ、前記複数の凸状加熱部の少なくとも一つの凸状加熱部が、他の凸状加熱部とは異なる材質で構成される。
【0032】
異なる材質としては、熱伝導率が異なる材質であるのが好ましく、例えば、熱伝導率が小さい材質で凸状加熱部を構成することによって、当該凸状加熱部で加熱される被封止体の部分の加熱の度合いを弱めることができ、逆に、熱伝導率が大きい材質で凸状加熱部を構成することによって、当該凸状加熱部で加熱される被封止体の部分の加熱の度合いを強めることができる。
【0033】
この実施態様によると、複数の凸状加熱部の少なくとも一つの凸状加熱部の材質を、他の凸状加熱部に比べて、例えば熱伝導率が小さい材質で構成することによって、前記一つの凸状加熱部によって加熱される被封止体の部分は、他の凸状加熱部によって加熱される被封止体の部分よりも加熱を抑制することができ、逆に、熱伝導率が大きい材質で構成することによって、前記一つの凸状加熱部によって加熱される被封止体の部分は、他の凸状加熱部によって加熱される被封止体の部分よりも十分に加熱することができる。
【0036】
(5)本発明の更に他の実施態様では、前記加熱手段は、発熱体によって発熱する発熱ブロックと、該発熱ブロックに着脱可能に装着されると共に、前記加熱面を有する加熱体とを備える。
【0037】
発熱ブロックは、単一のブロックに限らず、複数のブロックを連結したものであってもよい。
【0038】
加熱体は、加熱面の少なくとも一部が被封止体に近接する方向に突出する凸状加熱部を有している。
【0039】
この実施態様によると、凸状加熱部を有する加熱体は、発熱ブロックに対して着脱可能であるので、予熱すべき被封止体の種類に応じて、突出高さや形状等の異なる凸状加熱部を有する加熱体を複数準備しておき、予熱する被封止体に応じて、発熱ブロックに装着する加熱体を交換することによって、各種の被封止体に容易に対応することができる。
【0040】
(6)本発明の樹脂封止方法は、被封止体を予熱して樹脂封止する樹脂封止方法であって、被封止体を樹脂封止用の成形型へ搬送する搬送経路の途中で、前記被封止体を予熱する工程と、予熱した被封止体を、前記樹脂封止用の成形型で樹脂封止する工程とを含み、前記予熱する工程は、前記被封止体を加熱する加熱面をそれぞれ有する二つの加熱手段の互いに対向する前記両加熱面によって、前記被封止体を両側から加熱するものであって、前記両加熱手段の
うち一方の加熱手段
は、前記被封止体
の一部に臨む加熱面
の一部が、前記被封止体
の前記一部に近接する方向に突出する
第1凸状加熱部を有し、他方の加熱手段は、前記被封止体の前記一部に臨む加熱面の一部が前記被封止体の前記一部に近接する方向に突出する第2凸状加熱部と、前記被封止体の他部に臨む加熱面の他部が前記被封止体の前記他部に近接する方向に突出する第3凸状加熱部とを有し、前記第3凸状加熱部は、先端部に窪んだ凹部を有する。
【0041】
本発明の樹脂封止方法によると、互いに対向する加熱面を有する両加熱手段によって被封止体を両側から予熱するので、効率的に予熱を行うことができる。
【0042】
更に、本発明の樹脂封止方法によると、両加熱手段の少なくとも一方の加熱手段は、被封止体に臨む加熱面の少なくとも一部が被封止体に近接する方向に突出する凸状加熱部を有するので、この凸状加熱部の突出高さや形状によって、被封止体の少なくとも一部と凸状加熱部の加熱面との距離を設定して加熱の度合いを設定することができ、これによって、被封止体を部分毎に適切に予熱にすることができる。
【0043】
(7)本発明の好ましい実施態様では、前記両加熱手段の対向する両加熱面は、近接方向及び離間方向に相対移動可能であって、前記両加熱手段の一方の加熱手段は、発熱体を有し、前記予熱する工程に先立って、前記両加熱手段の前記両加熱面を近接方向へ移動させて前記一方の加熱手段によって他方の加熱手段を加熱する工程を含む。
【0044】
この実施態様によると、予熱する工程に先立って、他方の加熱手段を、発熱体を有する一方の加熱手段によって加熱しておくことで、その後の予熱する工程では、被封止体を一方の加熱手段の発熱体からの発熱と他方の加熱手段の余熱とによって加熱することができる。
【0045】
(8)本発明の樹脂封止方法は、被封止体を予熱して樹脂封止する樹脂封止方法であって、被封止体を樹脂封止用の成形型へ搬送する搬送経路の途中で、前記被封止体を予熱する工程と、予熱した被封止体を、前記樹脂封止用の成形型で樹脂封止する工程とを含み、前記予熱する工程は、前記被封止体を加熱する加熱面をそれぞれ有する二つの加熱手段の互いに対向する前記両加熱面によって、前記被封止体を両側から加熱するものであって、前記両加熱手段の少なくとも一方の加熱手段の前記被封止体に臨む加熱面に、前記被封止体に近接する方向に突出する複数の凸状加熱部を有すると共に、前記複数の凸状加熱部の少なくとも一つの凸状加熱部が、他の凸状加熱部とは異なる材質で構成される。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、互いに対向する加熱面を有する両加熱手段によって被封止体を両側から予熱するので、短時間で効率的に予熱することができる。また、両加熱手段の少なくとも一方の加熱手段は、被封止体に臨む加熱面の少なくとも一部が封止体に近接する方向に突出する凸状加熱部を有するので、この凸状加熱部によって、被封止体の少なくとも一部の加熱の度合いを設定することがで、これによって、被封止体を部分毎に適切に予熱にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0050】
図1は、本発明の一実施形態の樹脂封止装置の概略平面図である。
【0051】
この実施形態の樹脂封止装置は、搬入ユニット1と、2つの成形ユニット2と、搬出ユニット3とを備える。搬入ユニット1は、前工程から樹脂封止すべき後述の被封止体(図示せず)を受け取る。成形ユニット2は、搬入ユニット1から受け取った被封止体を樹脂封止することによって樹脂封止体を形成する。搬出ユニット3は、成形ユニット2から受け取った樹脂封止体に所定の後処理を施して個別のパッケージを完成させ、それらのパッケージを払い出す。
【0052】
搬入ユニット1は、被封止体を受入れる受入部4と、被封止体を予熱する予熱部5と、被封止体が配置されるトレイ9を冷却するトレイ冷却部6と、トレイ貯留部7とを備える。受入部4は、前工程から受け取った被封止体をトレイ9の所定の位置に配置する。予熱部5は、受入部4からトレイ9を受け取り、トレイ9に配置された被封止体を予熱する。トレイ冷却部6は、予熱された被封止体が成形ユニット2に搬送された後に、空になったトレイ9を冷却する。トレイ貯留部7は、室温程度まで冷却されたトレイ9を積み重ねて貯留する。
【0053】
被封止体が配置されたトレイ9は、図示しない移送機構によって予熱部5に移送される。予熱部5で予熱された被封止体が成形ユニット2に搬送された後の空になったトレイ9は、図示しない移送機構によって、トレイ冷却部6を経由してトレイ貯留部7まで移送される。
【0054】
この実施形態では、予熱部5は、トレイ9に配置された被封止体を下面側から予熱する第1予熱機構10と、トレイ9に配置された被封止体を、後述のようにして上下両面側から予熱する第2予熱機構11とを備えており、第1予熱機構10は、二つ備えられている。
【0055】
二つの第1予熱機構10と、一つの第2予熱機構11が、トレイ9の移送方向に沿って設けられている。被封止体が配置されたトレイ9を順次二つの第1予熱機構10の上に移動させて、それぞれの予熱機構10の上に順次配置して予熱する。これによって、トレイ9に配置された被封止体を徐々に加熱することができる。各予熱機構10は、ヒータブロック等を使用して、トレイ9に配置された被封止体を、トレイ9を介することなく直接予熱する。第2予熱機構11については、後述する。
【0056】
また、トレイ冷却部6には三つの冷却機構12が空のトレイ9の移送方向に沿って設けられている。
【0057】
この実施形態の樹脂封止装置は、二つの成形ユニット2を備えており、各成形ユニット2には、相対向する上型と下型とからなる1対の成形型13を有するプレス機構14が設けられている。また、予熱された被封止体を、図示しないピックアップ手段によって、搬入搬出機構29に移載し、成形型13に移送して搬入する一方、成形型13から樹脂封止後の樹脂封止体をそれぞれ搬出して搬出ユニット3に搬出する。
【0058】
成形型13は、上型及び下型に加えて、更に中間型を有するように構成されてもよい。この成形型13は、周知のトランスファ成形技術を使用して樹脂封止するための成形型である。成形型13の構成要素について簡単に説明する。下型には、樹脂材料が貯留されるポットと、ポットにおいて昇降自在に嵌め込まれ流動性樹脂を押圧するプランジャとが設けられている。上型には、樹脂材料が溶融して形成された流動性樹脂が流動する空間であるカルと、流動性樹脂が移送される通路であるランナと、流動性樹脂が充填される空間であるキャビティとが設けられている。
【0059】
搬出ユニット3には、成形ユニット2から樹脂封止後の樹脂封止体を受け取って樹脂封止体から不要な部分を分離することによって、個別のパッケージを形成する分離部15と、完成品である個別のパッケージを次工程に払い出す払出部16とを備えている。
【0060】
次に、この実施形態の樹脂封止装置によって樹脂封止される被封止体及び樹脂封止後の樹脂封止体の不要部分を除去した完成品であるパッケージについて説明する。
【0061】
図2は、被封止体8を示す図であって、同図(a)はその正面図であり、同図(b)は平面図である。
【0062】
被封止体8は、例えば、輸送機器用の電子制御ユニットであって、半導体素子等の図示しない部品が搭載された基板18と銅板等からなる放熱板19とを有する。更に、基板18には、電源及び信号を授受するためのコネクタ20が取り付けられている。コネクタ20は、樹脂製のハウジングからなり、ピン17を有し、このピン17を介して基板18に電気的に接続される。コネクタ20のハウジングは、筒状部20aと矩形の鍔部20bとを備えている。コネクタ20における基板18側の端部は、封止後の封止樹脂23との間の境界部となる。放熱板19は、封止後の樹脂封止体を取付けるための取付孔21を有する。
【0063】
被封止体8の基板18は、ガラスエポキシ基板等の基材に樹脂を含む基板であってもよいし、メタルベース基板等の金属を基材とする基板であってもよく、セラミック基板やシリコン等の半導体基板であってもよく、更に、リードフレーム等であってもよい。
【0064】
図3は、樹脂封止後の樹脂封止体から不要部分を分離した完成品であるパッケージを示す図であって、同図(a)はその正面図であり、同図(b)は平面図である。
【0065】
パッケージ22は、硬化樹脂からなる封止樹脂23を有する。封止樹脂23は、コネクタ20のピン17と、基板18と、基板18に搭載された部品とを完全に覆うようにして形成されている。
【0066】
パッケージ22は、樹脂封止体から不要樹脂が分離されることによって完成する。封止樹脂23は、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂材料が用いられる。
【0067】
次に、この実施形態の第2予熱機構11による被封止体8の予熱について説明する。
【0068】
図4は、第2予熱機構11によって被封止体8を予熱する状態を示す断面図であり、
図5は、
図4のA−A線に沿う断面図である。
【0069】
搬送部材としてのトレイ9は、被封止体8の周縁部を支持して搬送するものであって、被封止体8のコネクタ20及び基板18等に対応した開口24が形成されている。
【0070】
第2予熱機構11は、上ヒータブロック25と下ヒータブロック26とを有しており、両ヒータブロック25,26は、上下方向に近接、離間移動可能である。各ヒータブロック25,26には、それぞれカートリッジヒータ等(図示せず)の発熱体が設けられており、発熱体を制御して各ヒータブロック25,26の温度を調節することができる。
【0071】
被封止体8は、上述のように、熱容量の大きな樹脂製のコネクタ20を有すると共に、このコネクタ20は、基板18や放熱板19のような平板状とは異なる筒状部20aや鍔部20bを有するものであって、封止樹脂との境界部での剥離を防止するために、十分に予熱する必要がある。一方、半導体素子等が搭載された基板18は、急激に加熱されないようにする必要がある。
【0072】
この実施形態では、特殊な形状部分や熱容量の異なる材質部分を有する被封止体8を、効率的に、かつ、部分毎に適切に予熱できるように次のように構成している。
【0073】
各ヒータブロック25.26には、被封止体8を加熱する加熱面を有する上下の加熱体としての予熱ブロック27,28が、着脱可能にそれぞれ装着されており、両予熱ブロック27,28の加熱面(表面)が、互いに対向している。
【0074】
上ヒータブロック25及び上予熱ブロック27によって、一方の加熱手段が構成され、下ヒータブロック26及び下予熱ブロック28によって、他方の加熱手段が構成される。
【0075】
図4及び
図5は、互いに離間した状態の上下の予熱ブロック27,28間に、被封止体8が配置されたトレイ9が所定位置に搬送された後、上下の予熱ブロック27,28を近接方向に移動させて被封止体8を支持して上下両側から予熱する状態を示している。
【0076】
この実施形態の第2予熱機構11は、被封止体8を、コネクタ20の部分、基板18部分といったように部分的に加熱の度合いを異ならせて予熱するものである。
【0077】
具体的には、上下の各予熱ブロック27,28は、被封止体8に臨む加熱面を部分的に被封止体8に近接する方向に突出させた凸状加熱部27a,28a,28bをそれぞれ有している。
【0078】
すなわち、上予熱ブロック27は、被封止体8の樹脂製のコネクタ20の部分を、基板18や放熱板19に比べて集中的に加熱できるように、コネクタ20に臨む部分が、コネクタ20へ近接する方向(下方)へ突出した略直方体状の第1凸状加熱部27aを有している。
【0079】
また、下予熱ブロック28は、被封止体8の樹脂製のコネクタ20の部分を、基板18や放熱板19に比べて集中して加熱できるように、コネクタ20に臨む部分が、コネクタ20に近接する方向(上方)へ突出した略直方体状の第2凸状加熱部28aを有している。また、下予熱ブロック28は、放熱板19に臨む部分が、放熱板19へ近接する方向へ突出した第3凸状加熱部28bを有している。
【0080】
上予熱ブロック27の第1凸状加熱部27aは、被封止体8のコネクタ20の筒状部20a及び鍔部20bを、上方及び左右から囲むように、突出端である先端部が窪んだ凹部27a
1を有している。
【0081】
下予熱ブロック28の第2凸状加熱部28aは、突出端である先端部が被封止体8のコネクタ20の下部を受けるように浅く窪んだ凹部28a
1を有している。
【0082】
また、下予熱ブロック28の第3凸状加熱部28bは、放熱板
19上の基板18を急激に加熱しないように、放熱板
19との間に隙間を保つように下方に窪んだ凹部28b
1を有する。この凹部28b
1は、放熱板
19上の基板18に対応するように形成されている。更に、上予熱ブロック27の基板18に臨む加熱面には、基板18へ近接する方向へ突出する凸状加熱部は設けられておらず、上予熱ブロック27と基板18との間には、十分な間隔が確保されており、基板18が急激に加熱されないようにしている。
【0083】
かかる構成の第2予熱機構11では、上下の予熱ブロック27,28が互いに離間した状態で、被封止体8がトレイ9によって両予熱ブロック27,28の間に搬入される。
【0084】
次に、両予熱ブロック27,28が互いに近接移動し、上下の予熱ブロック27,28の間に、被封止体8のコネクタ20の部分を挟み込むと共に、被封止体8の放熱板19の周縁部分を支持する。
【0085】
上下のヒータブロック25,26による発熱が、上下の予熱ブロック27,28の凹部27a
1,28a
1を有する第1,第2凸状加熱部27a,28aを介して被封止体8のコネクタ20の部分に直接伝導する。これによって、樹脂製のコネクタ20の部分を集中的に予熱できる一方、放熱板19は、下予熱ブロック28の第2凸部28bを介して加熱され、放熱板19上の基板18の部分は、第2凸部28bの凹部28b
1によって空間が確保されているので、急激に加熱されるのを防止することができる。
【0086】
このように熱容量が大きく、筒状部20a等を有する樹脂製のコネクタ20の部分は、第1凸状加熱部27aと第2凸状加熱部28aとによって、その外形を挟み込むように加熱するので、短時間で十分に加熱することができる。これによって、成形ユニット2における樹脂封止の際に、コネクタ20の部分と封止樹脂との境界部分の温度差を低減することが可能となり、コネクタ20の樹脂と封止樹脂との密着性を向上させて境界部での剥離を防止することができる。
【0087】
また、放熱板9上の基板18部分は、第3凸状加熱部28bの凹部28b
1によって、空間が確保されているので、基板18の部分が急激に加熱されるのを防止することができる。
【0088】
上下の予熱ブロック27,28は、上下のヒータブロック25,26に着脱可能に装着される。そこで、予め、予熱すべき被封止体8の種類に応じて、形状や材質(すなわち、熱伝導率)等が異なる複数種類の予熱ブロック27,28を準備しておく。樹脂封止する被封止体8を切換える場合には、ヒータブロック25,26に装着する予熱ブロック27,28を、被封止体8に対応したものに交換する。このことによって、種類の異なる被封止体8にも容易に対応することができる。
【0089】
この実施形態では、下予熱ブロック28の第3凸状加熱部28bは、放熱板
19上の基板18を急激に加熱しないように、放熱板
19との間に隙間を保つように窪んだ凹部28b
1を有する構成としたけれども、本発明の他の実施形態として、例えば、
図6に示すように、第3凸状加熱部28cを他の部分よりも熱伝導率の小さな材質、例えば、フッ素樹脂やセラミック等で構成し、これによって、基板18の部分が急激に加熱されないようにしてもよい。
【0090】
次に、この実施形態の樹脂封止方法を、
図1〜
図5を参照して説明する。まず、
図1に示されるように、被封止体に合わせて製作されたトレイ9を複数個準備する。これらのトレイ9をトレイ貯留部7に積層して配置する。
【0091】
次に、
図1に示されるように、トレイ貯留部7から受入部4に1個のトレイ9を移送する。この工程では、作業者がトレイ9を移送してもよく、適当な移送手段を使用してもよい。
【0092】
次に、トレイ9に複数個の被封止体を配置する。なお、予め複数個の被封止体がそれぞれ配置された複数個のトレイ9を、トレイ貯留部7に積層して配置しておいてもよい。この場合には、被封止体が配置された1個のトレイ9を、トレイ貯留部7から受入部4に移送する。また、被封止体が配置された1個のトレイ9を、前工程から受入部4に移送してもよい。
【0093】
次に、図示しない移送機構を使用して、三つの第1,第2予熱機構10,10,11を有する予熱部5に、被封止体が配置されたトレイ9を移送する。予熱部5には第1予熱機構10としてヒータブロックが設けられている。図示しない移送機構を使用して、第1予熱機構10,10のヒータブロックの上に、被封止体が配置されたトレイ9を順次移送する。これにより、トレイ9に配置された被封止体が徐々に加熱される。
【0094】
更に、第2の予熱機構11によって、上述のように予熱される。
【0095】
すなわち、第2予熱機構11では、
図4及び
図5に示される上下の予熱ブロック27,28が互いに離間した状態で、被封止体8がトレイ9によって両予熱ブロック27,28の間に搬入される。
【0096】
次に、両予熱ブロック27,28が互いに近接移動し、上下の予熱ブロック27,28の間に、被封止体8のコネクタ20の部分を挟み込む共に、放熱板19の周縁部を支持して加熱する。
【0097】
このとき、上下のヒータブロック25,26によって生成された熱が、上下の予熱ブロック27,28の第1,第2凸状加熱部27a,28aを介して被封止体8のコネクタ20の部分に直接伝導し、樹脂製のコネクタ20の部分を集中的に予熱できる一方、放熱板19は、下予熱ブロック28の第2凸部28bを介して予熱され、放熱板19上の基板18の部分は、第2凸部28bの凹部28b
1によって空間が確保されて過度に予熱されることがない。
【0098】
次に、適当な移送機構を使用して、予熱された被封止体が配置されたトレイ9を、
図1に示す予熱部5からトレイ冷却部6に移送する。
【0099】
次に、図示しないピックアップ手段によって、予熱された被封止体をトレイ9から搬入搬出機構29によって移載し、それらの被封止体を、成形型13の下型における所定の位置まで搬入して配置する。
【0100】
次に、配置された被封止体を、下型の型面に固定する。そして、成形型13を型締めすることにより、被封止体の上面に装着された部品を、上型に設けられたキャビティに収容する。その後に、キャビティに流動性樹脂を充填する。
【0101】
次に、引き続き成形型13を型締めした状態で、流動性樹脂を硬化させる。これにより、封止樹脂23と不要樹脂とを含む硬化樹脂を形成する。
【0102】
次に、成形型13を型開きする。そして、搬入搬出機構29を使用して、成形ユニット2から搬出ユニット3の分離部15に、樹脂封止体を搬出する。
【0103】
次に、分離部15において、分離用治具を使用してそれぞれの樹脂封止体から不要樹脂を分離する。この分離は、ゲートカット、ディゲート等と呼ばれる周知の方式によって行う。この工程によって、樹脂封止体から
図3に示すパッケージ22を完成させる。
【0104】
次に、適当な移送機構を使用して、パッケージ22を分離部15から払出部16に移送して、次工程に払い出す。
【0105】
以上のようにして、前工程から受け取った被封止体を予熱部5で予熱し、成形型13を使用して被封止体を樹脂封止して樹脂封止体を形成し、樹脂封止体から不要樹脂を分離することによってパッケージ22を完成させることができる。
【0106】
この実施形態では、被封止体8を、成形ユニット2の成形型13に搬入するまでに、予熱部5の第1,第2予熱機構10,10,11によって、被封止体8を、直接かつ徐々に加熱するので、被封止体8を、十分な温度まで効率よく、かつ、熱衝撃を与えることなく予熱することができる。更に、第2予熱機構11では、樹脂製のコネクタ20の部分を、集中的に予熱できるので、
図3に示す封止樹脂23と樹脂製のコネクタ20との間の境界部において温度勾配を小さくすることができる。これによって、封止樹脂
23とコネクタ
20との間の密着性を向上させることができ、封止樹脂23の剥離を抑制することができる。
【0107】
この実施形態では、上下の各ヒータブロック25,26には、ヒータ等の発熱体をそれぞれ内蔵させて上下の予熱ブロック27,28を加熱したけれども、本発明の他の実施形態として、一方のヒータブロック25(26)のみに発熱体を内蔵させてもよい。この場合は、他方のヒータブロック26(25)の予熱ブロック28(27)は、被封止体8を予熱する前に、各予熱ブロック27,28を近接移動させて接触させる。このことによって、発熱体を有する一方のヒータブロック25(26)によって他方のヒータブロック26(25)の予熱ブロック28(27)を加熱し、他方のヒータブロック26(25)の予熱ブロック28(27)は、その余熱によって被封止体8を加熱するようにしてもよい。この他の実施形態によれば、加熱に要する電力の節減を図ることができる。
【0108】
上述の実施形態では、第2予熱機構11は、予熱部5の最終段に設けたけれども、成形ユニット2の樹脂封止用の成形型13までの搬送経路のいずれの位置に設けてもよく、例えば、成形ユニット2の直前のトレイ冷却部6や成形ユニット2に設けてもよい。
【0109】
この実施形態の樹脂封止装置では、成形ユニット2が二つ設けられたけれども、二つに限らず、一つまたは三つ以上の成形ユニット2を設けるようにしてもよい。これによって、樹脂封止装置の製造能力を容易に調整することができる。
【0110】
また、上述の実施形態では、トランスファ成形を使用したが、これに限らず、射出成形又は圧縮成形を使用してもよい。
【0111】
圧縮成形を使用する場合には、成形型13の下型にキャビティを設けて、次のようにして樹脂封止する。まず、キャビティに、粉状、粒状、フレーク状(薄片状)、塊状、シート状等の樹脂材料を供給する。次に、樹脂材料を加熱することによって溶融させて、流動性樹脂を生成する。これによって、キャビティを流動性樹脂によって充填された状態にする。次に、成形型13を型締めすることによって、上型に固定された被封止体の下面に装着された部品を、キャビティに充填された流動性樹脂に浸漬する。次に、流動性樹脂を引き続き加熱して硬化させることにより、硬化樹脂を形成する。ここまでの工程によって、樹脂封止体が形成される。なお、常温で液状である樹脂(液状樹脂)をキャビティに供給してもよい。この方法によっても、キャビティを流動性樹脂によって充填された状態にすることができる。
【0112】
上述の実施形態では、被封止体として、輸送機器用の電子制御ユニットに適用して説明した。これに限らず、本発明を、内燃機関、電動機、制動機構等の各種用途に使用される電子制御ユニットに適用できる。また、本発明は、電子制御ユニットに限らず、特殊な形状部分や異なる材質部分等を有する被封止体に好適である。このような例として、電力制御用の電力制御ユニットに使用される被封止体が挙げられる。更に、本発明を、特殊な形状部分や熱容量の異なる材質部分等を有しない通常の被封止体に適用することもできる。