【実施例】
【0011】
図1は、駆動用IC内蔵型蛍光表示管の一部の断面図であり、
図2は、
図1の一部分の拡大図である。
図1において、
図1(a)は、
図1(b)のY13−Y13の断面図であり、
図1(b)は、
図1(a)のY12−Y12の断面図である。
蛍光表示管の外囲器(真空気密容器)は、アノード基板31、アノード基板31に対向する基板(図示せず)、両基板の間に介在する側面板(側面部材)32を低融点ガラス(フリットガラス)で接着(封着)した構造からなる。外囲器内には、電子を放出するフィラメントF(陰極)、フィラメントFから放出された電子の射突により発光する蛍光体膜を形成したアノード電極35、フィラメントFとアノード電極35の間に配設されてフィラメントFから放出された電子を制御する制御電極(図示せず)、蛍光表示管の駆動用IC34を設けてある。駆動用IC34は、ボンディングワイヤー(図示せず)によりアノード基板31上に形成された配線(図示せず)に接続されている。フィラメントFの端部は、押え板41とサポート42からなるフィラメント端部支持部材に取付け固定してある。
押え板41は、アノード基板31の内面に取り付けてあり、押え板41には、サポート42を取付け、サポート42には、フィラメントFの端部を取付け固定してある。
【0012】
押え板41は、アノード基板31に固定する平板状の両端部(固定部)、その両端部にそれぞれ接続した立ち上り部411、2つの立ち上がり部411の間に接続した平板状部412からなる。押え板41は、平板状部412を上底として、両端部(両端部を結んで形成される仮想線)を下底とする台形状(矩形状等でもよい)に形成している。押え板41の両端部は、アノード基板31と側面板(側面部材)32の接合部Y11から外囲器の外へ引出してある。サポート42は、平板状の部材からなり、平板状部421にスリット(開口部)421sを形成してある。スリット421sは、フィラメントF毎に設け、櫛状に形成してある。そしてスリット421sは、フィラメントFと対向し、フィラメントFの端部と反対の側(アンカー(図示せず)側で、
図1(a)の場合右側)を開放して、コ字状に形成してある。
サポート42は、押え板41の平板状部412にスポット溶接してある。フィラメントFは、一端部をサポート42の平板状部421とリボン43の間に挟み、リボン43をサポート42の平板状部421にスポット溶接して固定してある。またフィラメントFの他端部は、弾性を有する金属板からなるアンカ−(図示せず)に固定してある。アンカ−は、SUS304やSUS631等のステンレス製のバネ材が用いられるのが一般的である。
なおサポート42とフィラメントFの溶接位置については、後述する。
【0013】
サポート42は、平板状であって従来のサポートのように立体構造でないから、本実施例のフィラメント端部支持部材は、フィラメントFとアノード基板31の距離(フィラメントの高さ)が小さく(低く)なる。フィラメントFとアノード基板31の距離(フィラメントの高さ)は、押え板41の立ち上り部411の高さとサポート42の平板状部421の板厚で決まるから、サポート42を用いても従来の押え板41に直接フィラメントを取付けた場合よりも、押え板41の板厚分だけ大きく(高く)なるだけである。
サポート42は、平板状であるから構造が簡単であり、またスリット421sは、プレスにより型抜きするか或いはエッチングにより形成できるから、加工が簡単になり、製造コストを低減できる。またサポート42は、スリット421sを形成しても、押え板41が補強材の役目をするから、強度が低下することはない。したがってサポート42は、薄く形成できる。
図1の駆動用IC内蔵型蛍光表示管の各部材及び部材間の寸法の一例は、次の通りである。
アノード基板31とフィラメントFの距離(アノード基板31の表面に絶縁層が形成されている場合、アノード基板31上の絶縁層とフィラメントFの距離)は1mm、アノード基板31と押え板41の下面の距離は0.6mm、押え板41の材厚(板厚)は0.2mm、サポート42の材厚(板厚)は0.1mm、駆動用ICの厚みは0.2mm(押え板41が浮き上がるので、余裕をもたせている)である。
【0014】
図2により、フィラメントFとサポート42のスリット421sの位置関係を詳述する。
図2(a)は、押え板41、サポート42、リボン43部分の拡大平面図、
図2(b)は、
図2(a)のY14方向の一部分の側面図、
図2(c)は、サポート42のスリット421s部分の斜視図である。
スリット421sの平面形状は、コ字状で、フィラメントFの端部或いはリボン43から遠い側(アンカー(図示せず)側)は、開放されている。フィラメントFは、スリット421sに対向し、スリット421sの長手方向へ延在するように配置してある。サポート42には、スリット421sを形成してあるから、フィラメントFを平板状のサポート42に固定しても、フィラメントFは、リボン43の近傍を除いてサポート42に接触することがない。したがってサポート42にフィラメントFの端部を直接固定しても、フィラメントFがサポート42に接触する範囲は狭くなるから、エンドクールの領域も狭くなる。
フィラメントFは、直径数μmから数十μmのタングステン等の芯線の表面に、例えばアルカリ土類金属の炭酸塩からなる電子放出物質を被着させたものである。アルカリ土類金属の炭酸塩としては、例えばBaCO3
、SrCO3 、CaCO3 を所定の配合割合で混合した三元炭酸塩が用いられる。
なお電子放出物質の被着範囲については、後述する。
【0015】
また押え板41の平板状部412とサポート42は、駆動用IC34を覆っているから、駆動用IC34をフィラメントFの放射電子から遮蔽する機能も有している。即ち押え板41とサポート42からなるフィラメント端部支持部材は、駆動用IC34の遮蔽部材にもなる。なおフィラメントFは、サポート42のスリット421sの長手方向(スリット421sのフィラメントFの張架方向に沿った方向であってスリット421sの開放されている部分を通る方向と定義する)に延在しているが、スリット421sのフィラメントFと反対の側は、押え板41の平板状部412により塞がれているから、フィラメントFから放射された電子がスリット421sを通って駆動用ICに到達することはない。即ちサポート42にスリット421sを形成しても、押え板41とサポート42の遮蔽効果が損なわれることはない。
【0016】
押え板41とサポート42の材料は、従来それらに使用されている材料を使用できる。即ち押え板41には、熱膨張係数がガラス製接着剤(フリットガラス)の熱膨張係数に近い42−6合金を用い、水素中で加熱処理してCrの酸化皮膜を形成して使用する。またサポート42には、42−6合金の外、36合金、SUS430、SUS304等を用いる。それらの材料は、水素中で加熱処理せずに用いる。
【0017】
次に
図3(a)により、フィラメントFの電子放出物質の被着範囲、及びサポート42とフィラメントFの溶接位置について説明する。
図3(a)は、
図2(a)に対応する図である。
フィラメントFは、タングステン等の芯線Fwの表面に電子放出物質Feを被着してある。電子放出物質Feは、サポート42のスリット421sの端部(非開放側の端部)と芯線Fwの端部の間を除き、フィラメントFがスリット421sに対向する位置まで被着してある。電子放出物質Feは、最初芯線Fwの全面に被着し、後に不要部分を剥がして芯線Fwが露出するように形成してもよいし、或いは電子放出物質Feの不要部分には、最初から芯線Fwに電子放出物質Feを被着しないように形成してもよい。
サポート42等の溶接は、まずサポート42の平板状部421を押え板41の平板状部412に溶接し、次に各フィラメントFの芯線Fwの端部を、サポート42の平板状部421とリボン43の間に挟み、溶接位置43yにおいてリボン43をサポート42の平板状部421にスポット溶接してフィラメントFを挟み込んで固定してある。
またサポート42は、平板状部421のスリット421sとスリット421sの間の部分(櫛歯相当部分)を、押え板41の平板状部412にスポット溶接してある。このスポット溶接により平板状部421の櫛歯相当部分は、強度が増す。
【0018】
次に
図3(b1)、(b2)により、補強部を形成した押え板41について説明する。
図3(b1)は、
図3(b2)のY16―Y16の断面図であり、
図3(b2)は、
図3(b1)のY15方向の側面図(アノード基板のみ断面図)である。
押え板41の平板状部412のアンカー側の端部は、アノード基板31の側に折り曲げて補強部4121を形成してある。押え板41の平板状部412は、端部を折り曲げて補強部4121を形成してあるから、強度が増し、変形し難くなる。