(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774585
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】送信機アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
H04B 1/04 20060101AFI20150820BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20150820BHJP
H03F 1/32 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
H04B1/04 R
H03F3/24
H03F1/32
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-517676(P2012-517676)
(86)(22)【出願日】2010年6月23日
(65)【公表番号】特表2012-531815(P2012-531815A)
(43)【公表日】2012年12月10日
(86)【国際出願番号】US2010039612
(87)【国際公開番号】WO2010151569
(87)【国際公開日】20101229
【審査請求日】2012年2月20日
(31)【優先権主張番号】12/490,264
(32)【優先日】2009年6月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】アパリン、ブラディミア
【審査官】
石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−140785(JP,A)
【文献】
特開2007−174252(JP,A)
【文献】
特開2001−060903(JP,A)
【文献】
再公表特許第2003/103166(JP,A1)
【文献】
再公表特許第2007/013177(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/04
H03F 1/00− 3/45
H03G 1/00− 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信送信機中で送信(TX)出力信号を生成させるための方法において、
前記方法は、
ベースバンドTX信号を生成させることと、
前記ベースバンドTX信号をアップコンバートおよび増幅して、前記TX出力信号を生成させることと、
前記TX出力信号の一部をダウンコンバートして、フィードバック信号を生成させることと、
前記フィードバック信号から、再構築された干渉信号を生成させることと、
前記ベースバンドTX信号をアップコンバートおよび増幅するのに先立って、前記ベースバンドTX信号から、前記再構築された干渉信号を減算することと
を含み、
前記再構築された干渉信号を生成させることは、
前記フィードバック信号から導出された第1の信号を、前記ベースバンドTX信号を含む基準信号と相関させて、相関出力を生成させることと、ここで、前記相関させることは、前記第1の信号を前記基準信号の複素共役と乗算することと、前記乗算の結果を積分することを含む、
前記基準信号および前記相関出力を処理させ、前記再構築された干渉信号を生成させることと
を備え、
前記基準信号および前記相関出力を処理させることは、
前記相関出力により、前記基準信号をスケーリングすることと、
前記フィードバック信号から前記スケーリングされた相関出力を減算して、第2の信号を生成させることと、
前記第2の信号を調整して、前記再構築された干渉信号を生成させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ベースバンドTX信号を増幅することは、電力増幅器に結合されたドライバ増幅器を使用することを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記アップコンバートすることは、TX局部発振器(LO)と混合することを含み、前記ダウンコンバートすることは、同じTX LOと混合することを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ダウンコンバートすることは、前記ダウンコンバートの出力をローパスフィルタリングすることをさらに含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第2の信号を調整することは、前記第2の信号の振幅を調節することを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第2の信号を調整することは、前記第2の信号の位相を調節することを含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記調整することは、前記第2の信号を時間的に整列させることを含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記相関出力により前記基準信号をスケーリングすることは、前記相関出力を前記基準信号と乗算することを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記第2の信号は、前記第1の信号に等しい請求項1記載の方法。
【請求項10】
通信送信機中で送信(TX)出力信号を生成させる装置において、
前記装置は、
ベースバンドTX信号から前記TX出力信号を生成させるように構成されているフィードフォワードパスと、
ダウンコンバージョンのために、前記TX出力信号の一部を結合する結合器と、
前記結合器の出力をダウンコンバートして、フィードバック信号を生成させるダウンコンバータと、
前記フィードバック信号から、再構築された干渉信号を生成させる干渉再構築ブロックと、
を備えるフィードバックパスと、
を具備し、
前記干渉再構築ブロックは、
第1の信号を基準信号の複素共役と乗算することと、前記乗算の結果を積分することによって、前記フィードバック信号から導出された前記第1の信号を、前記ベースバンドTX信号を含む前記基準信号と相関させるように構成されている相関器、
をさらに具備し、
前記装置はさらに、
前記フィードフォワードパスに先立って、前記ベースバンドTX信号から、前記再構築された干渉信号を減算する減算器
を具備し、
前記相関器は、
前記フィードバック信号から導出された第1の信号を基準信号と乗算するように構成されている第1の乗算器と、
前記第1の乗算器の出力を積分するように構成されている積分器と
を具備し、
前記干渉再構築ブロックは、
前記積分器の出力を前記基準信号の複素共役と乗算するように構成されている第2の乗算器と、
前記第1の信号を調整して、前記再構築された干渉信号を生成させるように構成されている調整器と
をさらに具備する、装置。
【請求項11】
前記フィードバックパスは、前記ダウンコンバータの出力を前記フィードバック信号に結合させるローパスフィルタをさらに備える請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記第1の信号は、前記フィードバック信号と、前記第2の乗算器の出力との間の差から成る請求項10記載の装置。
【請求項13】
通信送信機中で送信(TX)出力信号を生成させる装置において、
前記装置は、
ベースバンドTX信号を生成させる手段と、
前記ベースバンドTX信号をアップコンバートおよび増幅して、前記TX出力信号を生成させる手段と、
前記TX出力信号の一部をダウンコンバートして、フィードバック信号を生成させる手段と、
前記フィードバック信号から、再構築された干渉信号を生成させる手段と、
前記ベースバンドTX信号をアップコンバートおよび増幅するのに先立って、前記ベースバンドTX信号から、前記再構築された干渉信号を減算する手段と
を具備し、
前記生成させる手段は、
前記フィードバック信号から導出された第1の信号を、前記ベースバンドTX信号を含む基準信号と相関させ、相関出力を生成させる手段であって、ここで、前記相関させることは、前記第1の信号を前記基準信号の複素共役と乗算することと、前記乗算の結果を積分することを含む、手段と、
前記基準信号および前記相関出力を処理し、前記再構築された干渉信号を生成する手段と、
を具備し、
前記基準信号および前記相関出力を処理する手段は、
前記相関出力により、前記基準信号をスケーリングする手段と、
前記フィードバック信号から前記スケーリングされた相関出力を減算して、第2の信号を生成する手段と、
前記第2の信号を調整して、前記再構築された干渉信号を生成する手段と
を含む、装置。
【請求項14】
前記再構築された干渉信号を生成させる手段は、前記フィードバック信号から希望信号を減算する手段をさらに備える請求項13記載の装置。
【請求項15】
通信送信機中でベースバンドTX信号をコンピュータに生成させるためのコードを記憶しているコンピュータ読み取り可能記憶媒体において、
前記通信送信機は、前記ベースバンドTX信号からTX出力信号を生成させるように構成されているフィードフォワードパスを具備し、
前記通信送信機は、ダウンコンバージョンのために、前記TX出力信号の一部を結合する結合器と、前記結合器の出力をダウンコンバートして、フィードバック信号を生成させるダウンコンバータとを備えるフィードバックパスをさらに具備し、
前記コードは、
前記フィードバック信号から、再構築された干渉信号をコンピュータに生成させるためのコードと、
前記フィードフォワードパスに先立って、前記ベースバンドTX信号から、前記再構築された干渉信号をコンピュータに減算させるためのコードと
を具備し、
前記コンピュータに、前記再構築された干渉信号を生成させるためのコードは、
前記コンピュータに、第1の信号を基準信号の複素共役と乗算することと、前記乗算の結果を積分することとによって、前記フィードバック信号から導出された第1の信号を前記ベースバンドTX信号を含む前記基準信号と相関させて、相関出力を生成させるためのコードと、
前記コンピュータに、前記基準信号および前記相関出力を処理させ、前記再構築された干渉信号を生成させるためのコードと
を含み、
前記コンピュータに、前記基準信号および前記相関出力を処理させるためのコードは、
前記コンピュータに、前記相関出力により前記基準信号をスケーリングさせるためのコードと、
前記コンピュータに、前記フィードバック信号から前記スケーリングされた相関出力を減算して第2の信号を生成させるためのコードと、
前記コンピュータに、前記第2の信号を調整して、前記再構築された干渉信号を生成させるためのコードと、
を含む、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項16】
前記第1の信号は、前記フィードバック信号から前記積分の結果を引いたものを含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記第1の信号は、前記フィードバック信号から前記積分の結果を引いたものを含む、請求項10記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本開示は一般に、通信送信機に関し、より詳細には、通信送信機によって生成される信号の品質を向上させるための技術に関する。
【0002】
通信システムにおいて、送信機は、情報を処理して、変調された送信(TX)信号を生成させて、通信チャネルにより、変調信号を受信機に送信する。送信機において、生成されたTX信号は、干渉により、例えば、送信機回路中で生成される雑音により、または、コンポーネントの非線形性から生じる歪みにより、破損される可能性がある。そのような干渉を緩和するための先行技術は、送信機の電力消費を増加させること、および/または、費用のかかるファクトリーキャリブレーションを必要とする複雑なTX事前処理スキームを導入することを含む。
【0003】
干渉の存在下で、送信機により生成されるTX信号の品質を向上させるために、単純で電力効率のよい技術を提供することが望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、先行技術の送信機に対する、単純化した信号処理チェーンを図示する。
【
図1A】
図1Aは、送信機上での雑音および歪みの影響をより明瞭に示す、概念化されたブロック図を図示する。
【
図2】
図2は、本開示にしたがった、送信機の例示的な実施形態を図示する。
【
図2A】
図2Aは、システム中に存在するいくつかの雑音源に対して
図2の送信機によって実行される処理の効果の、概念化されたブロック図を図示する。
【
図2B】
図2Bは、一般にハイパス特性を有するように選ばれる、
図2の送信機中のフィードバックパスの例示的な周波数応答B(f)を図示する。
【
図2C】
図2Cは、
図1Aおよび2A中で示したブロック図のシステムに対する、周波数に対するN
outの電力スペクトル密度(PSD)を図示する。
【
図2D】
図2Dは、
図2中で示した送信機の例示的な実施形態において生成される希望信号および近接歪みの例示的なスペクトルの処理を図示する。
【
図3】
図3は、“カルテシアンフィードバック”として知られている技術を用いる送信機中で生成される希望信号および近接歪みの例示的なスペクトルの処理を図示する。
【
図3A】
図3Aは、
図3中で示した送信機上での歪みの影響の概念化されたブロック図を図示する。
【
図4】
図4は、本開示にしたがった、送信機の代替の例示的な実施形態を図示する。
【
図4A】
図4Aは、
図4中で示される送信機によって実行される動作の概念化されたブロック図を図示する。
【
図5】
図5は、希望信号の再構築ブロックの例示的な実施形態を含む、
図4中で示される送信機の例示的な実施形態を図示する。
【
図6】
図6は、本開示にしたがった方法の例示的な実施形態を説明する。
【
図6A】
図6Aは、本開示にしたがった方法の例示的な実施形態を説明する。
【0005】
添付図面に関連して以下で示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態の説明として向けられており、本発明を実施できる唯一の例示的な実施形態を表すように向けられていない。本記述全体を通して使用される用語“例示的な”は、“例、事例、または、例示として役割を果たす”ことを意味し、必ずしも、他の例示的な実施形態より好ましい、あるいは、他の実施形態より利点があるものとして解釈すべきではない。詳細な説明は、発明の例示的な実施形態の完全な理解を提供する目的のために、特定の詳細な説明を含む。本発明の例示的な実施形態を、これらの特定の詳細な説明なしで実施してもよいことは、当業者に明らかであろう。ここで与えられる例示的な実施形態の新規性を曖昧にすることを回避するために、いくつかの例において、よく知られている構造およびデバイスは、ブロック図の形態で示される。
【0006】
図1は、先行技術の送信機100に対する、単純化した信号処理チェーンを図示する。説明を容易にするために、いくつかの詳細が、送信機100から省略されていることを当業者が理解することに注目すべきである。
図1において、ベースバンド(BB)TX信号101aが、ベースバンドフィルタ(BBF)102に入力される。BBF102の出力は、ミキサー104に結合され、ミキサー104は、TX局部発振器(TX LO)103aと混合することを実行する。TX LO 103aは、例えば、無線周波数(RF)搬送波信号であってもよい。そのケースにおいて、ミキサー104は、アップコンバージョン動作を実行するものと理解してもよく、それによって、フィルタリングされたTX BB信号101aが、ベースバンドからRFに、周波数において上方に変換される。ミキサー104の出力は、ドライバ増幅器(DA)106に結合され、DA 106は次に、電力増幅器(PA)108を駆動する。DA 106およびPA 108は、TX出力信号100aとして、例えば、(示していない)アンテナを介して無線によって、外部に送信するのに先立って、TX信号にゲインを提供してもよい。ミキサー104、DA 106およびPA 108の組み合わせはまた、フィードフォワードパス210として、ここでは表されている。フィードフォワードパス210は一般に、フィルタ、ゲイン素子などのような、示していない他の素子を含んでいてもよいことを当業者は理解するであろう。
【0007】
TX出力信号100aは、歪み、雑音およびスプリアスレスポンスのような、不要な干渉を含み得ることが理解される。
図1Aは、送信機100上での雑音および歪みの影響をより明瞭に示す、概念化されたブロック
図100Aを図示する。フィードバックを利用してTX信号の品質を向上させる、以下でさらに説明する“閉ループ”送信機と区別するために、ブロック
図100Aによって表される送信機は、“開ループ”送信機と呼ばれることもある。
【0008】
図1Aにおいて、
図1中の入力信号101aに対応してもよい、希望信号S
inは、加算器101Aによって、付加雑音N
addと結合される。加算器101Aの出力は、ゲイン素子210Aに入力され、ゲイン素子210Aは、ゲインA
0をその入力に適用する。例えば、ゲイン素子210Aは、
図1中のフィードフォワードパス210のゲインをモデル化してもよい。ゲイン素子210Aの出力は、加算器104Aによって、歪み成分Dと結合される。送信機の出力信号は、S
outとして表され、
図1中の出力信号100aに対応してもよい。
【0009】
加算器101Aおよび104Aが、雑音および/または歪みをTX信号に持ち込むための何らかのメカニズムをモデル化するために理解され、加算を実行するように特別に設計されている任意のシステムブロックに対応するする必要がないことを、当業者は認識するであろう。
【0010】
先の記載を考慮すると、当業者は、システム100Aを次のように特徴づけてもよいことを認識するであろう。
【数1】
【0011】
上述した雑音N
addおよび歪みDの影響を緩和するために、従来の技術を用いて、高線形性および低雑音を有するように、送信機ブロックを設計してもよい。これは一般に、より高い電力消費、および/または、より大きな設計の複雑さを必要とする。
【0012】
図2は、本開示にしたがった、送信機の例示的な実施形態200を図示する。
図1および2中で同じようにラベル表示されている素子は一般的に、特にことわらない限り、同様の機能を実行してもよいことに注目すべきである。
【0013】
図2において、送信機200は、示されている素子を有する、フィードフォワードパス210と、フィードバックパス220.1とを含む。送信機200は、TX出力信号200aを生成させる。TX出力信号200aは、RF結合器204を介して、信号204aとしてミキサー206の入力に結合される。例示的な実施形態において、RF結合器204は、信号200aの一部を信号204aに結合する、伝送線路結合器であってもよい。ミキサー206は、アップコンバージョンミキサー104によって使用される、同じTX LO 103aのバージョンと、信号204aとを混合する。ミキサー206は、ダウンコンバージョン動作を実行するものとして理解してもよく、それによって、信号204aは、RFからベースバンドに、周波数において下方に変換されて、ここでは“フィードバック信号”としても表される信号206aが生成される。例示的な実施形態において、(示していない)ローパスフィルタ(LPF)を設けて、信号206aをフィルタリングして、206からの高周波数混合生成物を拒否し、および/または、安定余裕を向上させてもよい。
【0014】
信号206aは、周波数応答H(f)により特徴づけられるフィルタ208に入力される。フィルタ208の出力は、加算器202を使用して、BBF102の出力から減算される。以下の記述に照らして明らかになるように、フィルタ208の周波数応答H(f)を選択することにより、および/または、フィードフォワードパス210およびフィードバックパス220.1により適用される最終的なゲインを選ぶことにより、TX信号出力200a中に存在する雑音および/または歪みを有利に低減させてもよい。
【0015】
図2Aは、システム中に存在するいくつかの雑音源に対して送信機200により実行される処理の効果をより明瞭に示す、概念化されたブロック
図200Aを図示する。
図2Aにおいて、示されている信号および変換機能は、周波数領域において表されている。
図2Aの記述は、
図1Aのブロック
図100A中の、同様にラベル表示された素子の記述に従い、信号の用語S
inはゼロに設定され、歪みの用語Dは、説明を容易にするために省略されていることに注目すべきである。
【0016】
図2Aにおいて、ブロック
図200Aの出力において存在している信号は、N
outとして表されている。例えば、N
outは、信号入力101aがゼロに設定され、かつ、送信機コンポーネントがいかなる歪みDも持ち込まないときの、
図2中のフィードフォワードパス210の出力において存在している信号200aに対応してもよい。N
outは、観念的に周波数応答B(f)により特徴づけられるフィードバック素子220.1Aに結合されて、信号B(f)・N
outが生成される。フィードバック素子220.1Aは、
図2中のフィードバックパス220.1の最終的な効果をモデル化してもよい。B(f)・N
outは、加算器202に結合され、加算器202は、入力信号S
inからB(f)・N
outを減算する。
【0017】
S
inは、ゼロであると仮定されていることから、加算器202の出力は、−B(f)・N
outとして表されてもよい。−B(f)・N
outはさらに、加算器101Aによって、雑音源N
addと結合される。加算器101Aの出力は、N
add−B(f)・N
outとして表されてもよく、続いて、ゲイン素子210Aに入力される。ゲイン素子210Aは、ゲインA
0を適用して、信号N
outを生成させる。
【0018】
先の記載を考慮すると、当業者は、システム200Aを次のように特徴づけてもよいことを認識するであろう。
【数2】
【0019】
図2Bは、フィードバックパス220.1の例示的な周波数応答B(f)を図示し、B(f)は、一般的にハイパス特性を有するように選ばれる。
図2B中の、フィードバックパス220に対する周波数応答B(f)は、周波数応答H(f)を有するフィルタ208の効果を含み、説明のためだけに示されている。示されている周波数応答は、本開示の範囲を、何らかの特定の周波数応答特性を有するフィルタ208に限定することを意味するものではない。
【0020】
図2Cは、システム100Aおよび200Aに対する、周波数に対するN
outの電力スペクトル密度(PSD)を図示し、N
addの電力スペクトル密度が、おおよそ“白色”、すなわち、対象となる周波数範囲に対して一定であることを仮定している。しかしながら、当業者は、本開示の技術を一般に、周波数に対する何らかの特徴を有する雑音N
addに適用してもよいことを認識するであろう。
【0021】
図2Cにおいて、第1の特性221Cは、開ループシステム100A中のN
outの電力スペクトル密度を表し、信号の用語S
inはゼロに設定され、歪みの用語Dは省略されている。N
outのPSDは、単にA
0|N
add|と見なされる。
【0022】
図2Cにおいて、第2の特性222Cは、閉ループシステム200A中に存在するN
outのPSDを表す。特性222Cは、先の等式2によって与えられるN
outを記述する関係にしたがってグラフ化され、さらに、フィードバックパス220.1が
図2B中で示した特定の周波数応答を有していると仮定している。ゼロ(DC)よりも大きい周波数において、222C中のN
outの電力スペクトル密度は、221C中の対応するN
outの電力スペクトル密度よりも小さい。これは、フィードバックパス220.1により実行されるN
outのハイパスフィルタリングと、加算器202による、TX入力からの、ハイパスフィルタリングされた信号の後続の減算とに起因することが認識されるであろう。
【0023】
以上の開示を踏まえると、当業者は、周波数応答B(f)を適切に選ぶことにより、送信機200は、TX出力200aから帯外域雑音を有効に消すことができることを認識するであろう。いくつかのケースにおいて、“近接の”干渉または歪みとして知られている、いくつかの不要成分は、周波数において希望信号の近くに位置し、適切な周波数応答B(f)を選択して、希望信号を乱すことなく、不要成分だけを取り除くことを困難にするか、さもなければ、実行不可能にする。例えば、TX信号における非線形歪みは、希望信号の帯域幅の近くに(例えば、帯域幅の3倍内に)かなりの電力を有する、“スペクトラル・リグロース”(spectral regrowth)として知られている不要信号の一種を生成させ得る。
【0024】
図2Dは、それぞれ、送信機200の例示的な実施形態200.1中で生成され得る、希望信号および近接の歪みの、例示的なスペクトル290.1および290.2の処理を図示する。
図2Dにおいて、BBF102の出力におけるスペクトル205aは、歪みを有さない、希望TX信号に対応する。TX出力信号が、フィードバックパス220.1中を伝播する前に、加算器202およびミキサー104の後のスペクトル205aの形状は、210aとして保たれる。ミキサー104の出力は、DA106およびPA108によって増幅され、すると、歪みが、希望信号に取り込まれ得る。この歪みは、希望信号スペクトル290.1上への歪みスペクトル290.2の重ね合わせとして示されているように、フォワードパス210の出力において、スペクトル200a中に描写されている。
【0025】
信号200aは、結合器204を介して、ミキサー206に結合され、スペクトル204aを有する。ミキサー206は、スペクトル204aのダウンコンバージョンを実行して、スペクトル206aを生成させ、スペクトル206aは次に、フィルタ208に入力される。フィルタ208の出力は、加算器202によって、BBF102の出力から減算される。歪みスペクトル290.2が、周波数において希望信号スペクトル290.1の近くに位置していることから、2つを有効に分離できる、フィルタ208に対する特性H(f)を選ぶことは困難であるかもしれない。
【0026】
図3は、それぞれ、“カルテシアンフィードバック”として知られている技術を用いる送信機300中で生成され得る、希望信号および近接の歪みの、例示的なスペクトル300.1および300.2の処理を図示する。送信機300は、送信機300のフィードバックパス220.2が周波数に依存せず、例えば、
図2Dの送信機200.1において見出されるようなフィルタ208を欠いていることを除いて、
図2D中で描写されている送信機200.1に類似している。
【0027】
図3Aは、
図3中で示されている送信機300上での歪の影響をより明瞭に示す、概念化されたブロック
図300Aを図示する。
図3Aにおいて、付加雑音N
addは、説明を容易にするために省略されていることに注目すべきである。
【0028】
図3Aにおいて、出力信号S
outは、フィードバック素子220.2Aに結合されて、信号B・S
outが生成され、ここで、Bは、
図3中のフィードバックパス220.2の(周波数に依存しない)ゲインをモデル化する。B・S
outは、加算器202に結合され、加算器202は、希望信号S
inからB・S
outを減算する。S
inは、例えば、
図3中のBBF102の出力信号に対応する。加算器202の出力は、S
in−B・S
outとして表され、ゲイン素子210Aに入力される。ゲイン素子210Aは、フィードフォワードパス210のゲインをモデル化する。ゲイン素子210Aは、ゲインA
1を適用して、信号A
1・[S
in−B・S
out]を生成させる。ゲイン素子210Aの出力は、加算器104Aによって歪み成分Dと結合されて、S
outが生成される。
【0029】
先の記述を考慮すると、当業者は、システム300Aを次のように特徴づけてもよいことを認識するであろう:
【数3】
【0030】
等式3から理解できるように、信号S
inに適用されるゲインA
1は、フィードバックパス220.2に起因する係数(1+A
1B)によって有効に低減される。S
inに適用されるゲインをA
0、すなわち、開ループ送信機100Aのゲインと等しく維持するために、ゲイン素子210AのゲインA
1を次のように選んでもよい:
【数4】
【0031】
ここで、A
0は、開ループ送信機100Aのフィードフォワードパス210のゲインに対応し、フィードバックゲインBは、(1−A
0B)<<1であるように選ばれる。システム300Aを次のように特徴づけてもよい:
【数5】
【0032】
等式5を等式1と比較することから、カルテシアンフィードバックを使用することにより、等式5中の歪みDのレベルが、等式1に比べて(1−A
0B)の係数によって低減され、一方、入力信号S
inに適用されるゲインは、A
0で一定に保たれることが認識される。しかしながら、等式4から理解されるように、これは、開ループ送信機100Aの対応する利得A
0に対して係数
【数6】
【0033】
により300Aの閉ループ送信機のフォワードゲインA
1を増加させるという犠牲を払って達成される。
【0034】
図4は、本開示にしたがった、送信機400の代替の例示的な実施形態を図示する。
図2および4中で同様にラベル表示されている素子は、一般に、特にことわらない限り同様の機能を実行し得ることに注目すべきである。
図4において、例示的な実施形態400は、示されている素子を有する、フィードフォワードパス210と、フィードバックパス220.3とを含む。
【0035】
図4において、送信機400の出力信号400aは、結合器204を介して、信号204aとしてミキサー206に提供される。ミキサー206は、信号204aをベースバンドにダウンコンバートして、信号206aを生成させ、信号206aは次に、干渉再構築ブロック208.3に入力される。ブロック208.3は、加算器405と、希望信号再構築ブロック410と、信号調整ブロック420とを含み、これらの動作は、以下でさらに説明する。
【0036】
希望信号再構築ブロック410は、出力信号S
out中に存在する希望信号の推定410aを再構築するように構成されている。例示的な実施形態において、希望信号再構築ブロック410には、例えば、BBF102の出力から導出される、または、基準信号として使用するのに適していると考えられる他の任意の信号から導出される基準信号Refが提供される。再構築された推定410aは次に、加算器405によって、信号206aから減算される。ブロック410による、希望信号のかなり正確な再構築を仮定すると、加算器405により出力される残差信号450aは、主として、信号206aに存在する不要干渉成分によって構成されていると予期される。
図4において、これは、450aのスペクトル中の希望信号の欠如により示されている。残差信号450aは、信号調整ブロック420に入力され、信号調整ブロック420は、信号450aの振幅、位相および/またはタイミングを調整して、再構築された干渉信号208.3aを生成させるように構成されていてもよい。信号208.3aは、加算器202によって、BBFの出力から減算される。
【0037】
図4Aは、
図4中で示されている送信機400によって実行される動作の概念化されたブロック
図400Aを図示する。
図4Aにおいて、出力信号S
outは、フィードバック素子220.3Aに結合される。フィードバック素子220.3Aは、送信機400のフィードバックパス220.3をモデル化する。フィードバック素子220.3Aは、素子219.3Aを含み、素子219.3Aは、例えば、結合器204およびミキサー206の組み合わせのゲインをモデル化し得る。B・S
outとして表現されている、素子219.3Aの出力は、加算器405に結合される。加算器405への入力は、A
2B・S
inとして表現され、ここで、A
2は、送信機400のフィードフォワードパス210中のゲインに対応する。ブロック410に関して先に記述したように、信号A
2B・S
inは、TX出力信号S
outへの希望信号の寄与の推定であり、例えば、
図4中の希望信号再構築ブロック410の出力410aに対応してもよい。
【0038】
加算器405の出力は、B・(S
out−A
2S
in)として表現され、さらに、加算器202によって、希望信号S
inから減算される。S
in−B・(S
out−A
2S
in)として表現される、加算器202の出力は、フィードフォワード素子210AのゲインA
2によってさらに乗算され、加算器104Aによって歪み成分Dに結合されて、S
outが生成される。
【0039】
先の記述を仮定すると、システム400Aを次のように特徴づけてもよい:
【数7】
【0040】
例示的な実施形態において、フィードフォワード素子210AのゲインA
2は、開ループ送信機100AのゲインA
0に等しいように設定されてもよく、そのため、等式6を次のように書き直してもよい:
【数8】
【0041】
等式7に基づいて、送信機400において、歪みDは、係数(1+A
0B)によって有利に低減され、一方、フィードフォワードパス中で入力信号S
inに適用されるゲインA
0は、開ループ送信機100A中で適用される先のゲインを増加させる必要がないことが認識される。
【0042】
図5は、
図4中の送信機400の例示的な実施形態400.1を図示し、希望信号再構築ブロック410の例示的な実施形態410.1を含んでいる。実施形態410.1は、単に説明のために示されており、本開示の範囲を、希望信号再構築ブロック410の何らかの特定の実施形態に限定することを意味するものではないことに注目すべきである。
図5において、送信機400.1は、フィードフォワードパス210と、フィードバックパス220.4とを含む。
【0043】
希望信号再構築ブロック410.1において、乗算器510および積分器520が、信号450aを基準信号Refと相関させるように構成されている。例示的な実施形態において、基準信号Refは、BBF102の出力から導出されてもよく、または、基準信号として使用するのに適していると考えられる他の任意の信号から導出されてもよい。乗算器510はまた、基準信号REfをLOポートに適用するミキサーとして実現されてもよい。例示的な実施形態において、積分器520は、ローパスフィルタとして実現してもよい。積分器520の希望出力信号は、フィードフォワードパスのゲインと、フィードバックパスのゲインとの積に関連したDC信号である。この信号および基準信号Refは、第2の乗算器530に供給され、第2の乗算器530の出力は、観念的に、フィードバック信号206a中の希望信号の正確なレプリカであるはずである。希望信号の、この再構築されたレプリカは、加算器405aによって、206aから減算される。加算器405aの出力信号450aは、歪みおよび雑音のような、干渉成分を含んでいる。これらの干渉成分は、信号調整ブロック420にパスされ、さらに、加算器202によって、ベースバンドTX信号から減算される。
【0044】
例示的な実施形態において、TX出力信号400.1aは、複素数であり、すなわち、同相成分と直交成分とを含み、乗算器510に入力される基準信号Refは、ベースバンドTX信号の複素共役から導出されてもよいことを、当業者は認識するであろう。そのような例示的な実施形態は、本開示の範囲内であると考えられる。
【0045】
当業者はさらに、ここで開示した技術を、完全にアナログ領域で実現してもよく、または、適宜アナログ−デジタルコンバータ(ADC)およびデジタル−アナログコンバータ(DAC)を使用することにより、部分的にアナログ領域で、かつ、部分的にデジタル領域で実現してもよいことを認識するであろう。例えば、
図4中で示されている送信機400の例示的な実施形態において、ADCをミキサー206に続いて設けてもよく、基準信号Refは、(示していない)デジタルベースバンドTX処理回路から提供されるデジタルバージョンであってもよく、干渉再構築ブロック208.3および208.4によって実行される動作は、完全にデジタル領域で実行されてもよい。そのような例示的な実施形態において、干渉再構築ブロック208.3および208.4の出力、または、ブロック420の出力は、DACを使用してアナログ領域に再度コンバートされて、さらなる処理を容易にしてもよい。そのような例示的な実施形態は、本開示の範囲内であると考えられる。
【0046】
図6および
図6Aは、本開示にしたがった、方法600の例示的な実施形態を説明する。方法は、単に説明のために示されており、本開示の範囲を、説明されている方法の特定の例示的な実施形態に限定することを意味するものではないことに注目すべきである。
【0047】
図6中で、ブロック610において、ベースバンドTX信号が生成される。
【0048】
ブロック620において、ベースバンドTX信号は、アップコンバートおよび増幅されて、TX出力信号が生成される。
【0049】
ブロック630において、TX出力信号の一部がダウンコンバートされて、フィードバック信号が生成される。
【0050】
ブロック640において、再構築された干渉信号が、フィードバック信号から生成される。
【0051】
ブロック650において、再構築された干渉信号が、ベースバンドTX信号をアップコンバートおよび増幅するのに先立って、ベースバンドTX信号から減算される。
【0052】
図6Aは、方法600のブロック640において実行される動作の例示的な実施形態640.1を説明する。
【0053】
ブロック641において、フィードバック信号から導出された第1の信号が、基準信号と相関されて、相関出力が生成される。
【0054】
ブロック642において、基準信号が、相関出力によりスケーリングされる。
【0055】
ブロック643において、相関出力がフィードバック信号から減算されて、第2の信号が生成される。
【0056】
ブロック644において、第2の信号が調整されて、再構築された干渉信号が生成される。例示的な実施形態において、調整は、ある振幅、位相および/または遅延を第2の信号に提供して、再構築された干渉信号を生成させることを含んでいてもよい。
【0057】
当業者は、(示していない)代替の例示的な実施形態において、他の技術を適用して、用語S
outへの希望信号の寄与を推定および減算してもよいことを認識するであろう。そのような代替の例示的な実施形態は、本開示の範囲内であると考えられる。
【0058】
本明細書および特許請求の範囲において、素子が別の素子に“接続される”または“結合される”ものとして参照されるとき、素子は、他の素子に直接に、接続または結合でき、あるいは、介在する素子が存在してもよいことが理解されるであろう。逆に、素子が、別の素子に“直接接続される”または“直接結合”されるものとして参照されているとき、介在する素子は存在しない。
【0059】
さまざまな異なる技術および技法のいずれかを使用して情報および信号を表わしてもよいことを、当業者は理解するであろう。例えば、電圧、電流、電磁波、磁界または磁気粒子、光領域または光粒子、あるいはそれらの任意の組み合わせにより、上の記述を通して参照されているデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボルおよびチップを表わしてもよい。
【0060】
電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたは両方の組み合わせとして、ここで開示した例示的な実施形態に関して記述したさまざまな実例となる論理ブロック、モジュール、回路およびアルゴリズムステップを実現してもよいことを、当業者はさらに理解するであろう。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明瞭に説明するために、さまざまな実例となるコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップをそれらの機能の点から一般的に上述した。このような機能がハードウェアまたはソフトウェアとして実現されるかどうかは、特定の用途およびシステム全体に課される設計制約に依存する。当業者は、各特定の用途に対して、さまざまな方法で、記述した機能を実現するかもしれないが、そのような実現の決定は、本発明の例示的な実施形態の範囲からの逸脱を生じさせるものとして解釈すべきではない。
【0061】
汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP),特定用途向け集積回路(ASIC),フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)または他のプログラム可能論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、あるいはここで記述した機能を実行するために設計された、これらの任意の組み合わせにより、ここで開示した例示的な実施形態に関して記述した、さまざまな実例となる、論理ブロック、モジュールおよび回路を実現または実行してもよい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサでもよいが、代わりに、プロセッサは任意の従来のプロセッサ、制御装置、マイクロ制御装置、または状態遷移機械であってもよい。計算デバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連した1つ以上のマイクロプロセッサ、または他の任意のこのような構成として、プロセッサを実現してもよい。
【0062】
ここで開示した例示的な実施形態に関して記述した方法またはアルゴリズムのステップを、ハードウェア中で直接、プロセッサにより実行されるソフトウェアモジュール中で、またはその2つの組み合わせ中で具体化してもよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバルディスク、CD−ROM,または技術的に知られている他の任意の形態の記憶媒体中に存在してもよい。プロセッサが記憶媒体から情報を読み取ることができ、記憶媒体に情報を書き込むことができるように、例示的な記憶媒体はプロセッサに結合されている。代わりに、記憶媒体はプロセッサと一体化されていてもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC中に存在してもよい。ASICはユーザ端末中に存在してもよい。代わりに、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末中にディスクリートコンポーネントとして存在してもよい。
【0063】
1つ以上の例示的な設計において、記述した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせ中で実現してもよい。ソフトウェアにおいて実現する場合、コンピュータ読み取り可能媒体上に、1つ以上の命令またはコードとして、機能を記憶させてもよく、または機能を送信してもよい。コンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ記憶媒体と、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする何らかの媒体を含む通信媒体との両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによりアクセスできる任意の利用可能な媒体であってもよい。一例として、限定ではないが、そのようなコンピュータ読み取り可能媒体は,RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、あるいは、命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを搬送または記憶するために使用でき、そして、コンピュータによりアクセスできる他の任意の媒体を備えることができる。さらに、いくつかの接続は、適切にコンピュータ読み取り可能媒体と呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア線、デジタル加入者線(DSL)、または、赤外線、無線、およびマイクロ波のようなワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバまたは他のリモート情報源から送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア線、DSL、または、赤外線、無線、およびマイクロ波のようなワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。ここで使用されるディスク(Diskおよびdisc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は通常、磁気的にデータを再生し、一方、ディスク(disc)は、レーザにより光学的にデータを再生する。上述の組み合わせもまた、コンピュータ読み取り可能媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0064】
いかなる当業者であっても本発明を実施しまたは使用できるように、開示した例示的な実施形態の記述をこれまでに提供している。これらの例示的な実施形態に対してさまざまな修正が当業者に容易に明らかであり、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、ここで規定した一般的な原理を、他の例示的な実施形態に適用してもよい。したがって、本発明は、ここで示した例示的な実施形態に限定されるように意図されていないが、ここで開示した原理および新規な特徴に矛盾しない最も広い範囲に一致すべきである。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
通信送信機中で送信(TX)出力信号を生成させるための方法において、
前記方法は、
ベースバンドTX信号を生成させることと、
前記ベースバンドTX信号をアップコンバートおよび増幅して、前記TX出力信号を生成させることと、
前記TX出力信号の一部をダウンコンバートして、フィードバック信号を生成させることと、
前記フィードバック信号から、再構築された干渉信号を生成させることと、
前記ベースバンドTX信号をアップコンバートおよび増幅するのに先立って、前記ベースバンドTX信号から、前記再構築された干渉信号を減算することとを含む方法。
[C2]
前記再構築された干渉信号を生成させることは、前記フィードバック信号をハイパスフィルタリングすることを含む請求項1記載の方法。
[C3]
前記フィードバック信号をハイパスフィルタリングすることは、前記フィードバック信号をデジタル化することと、デジタル領域中で、前記デジタル化したフィードバック信号をフィルタリングすることとを含む請求項2記載の方法。
[C4]
前記ベースバンドTX信号を増幅することは、電力増幅器に結合されたドライバ増幅器を使用することを含む請求項1記載の方法。
[C5]
前記アップコンバートすることは、TX局部発振器(LO)と混合することを含み、前記ダウンコンバートすることは、同じTX LOと混合することを含む請求項1記載の方法。
[C6]
前記ダウンコンバートすることは、前記ダウンコンバートの出力をローパスフィルタリングすることをさらに含む請求項5記載の方法。
[C7]
前記再構築された干渉信号を生成させることは、
前記フィードバック信号から導出された第1の信号を基準信号と相関させて、相関出力を生成させることと、
前記相関出力により、前記基準信号の複素共役をスケーリングすることと、
前記フィードバック信号から前記相関出力を減算して、第2の信号を生成させることと、
前記第2の信号を調整して、前記再構築された干渉信号を生成させることとを含む請求項1記載の方法。
[C8]
前記第2の信号を調整することは、前記第2の信号の振幅を調節することを含む請求項7記載の方法。
[C9]
前記第2の信号を調整することは、前記第2の信号の位相を調節することを含む請求項7記載の方法。
[C10]
前記調整することは、前記第2の信号を時間的に整列させることを含む請求項7記載の方法。
[C11]
前記基準信号は、前記ベースバンドTX信号の複素共役を含む請求項7記載の方法。
[C12]
前記第1の信号を前記基準信号と相関させることは、前記第1の信号を前記基準信号と乗算することと、前記乗算の結果を積分することとを含む請求項7記載の方法。
[C13]
前記相関出力により前記基準信号をスケーリングすることは、前記相関出力を前記基準信号と乗算することを含む請求項7記載の方法。
[C14]
前記第2の信号は、前記第1の信号に等しい請求項7記載の方法。
[C15]
通信送信機中で送信(TX)出力信号を生成させる装置において、
前記装置は、
ベースバンドTX信号から前記TX出力信号を生成させるように構成されているフィードフォワードパスと、
ダウンコンバージョンのために、前記TX出力信号の一部を結合する結合器と、
前記結合器の出力をダウンコンバートして、フィードバック信号を生成させるダウンコンバータと、
前記フィードバック信号から、再構築された干渉信号を生成させる干渉再構築ブロックと、
を備えるフィードバックパスと、
前記フィードフォワードパスに先立って、前記ベースバンドTX信号から、前記再構築された干渉信号を減算する減算器とを具備する装置。
[C16]
前記干渉再構築ブロックは、ハイパスフィルタを備える請求項15記載の装置。
[C17]
前記フォードバックパスは、前記ダウンコンバータの出力を前記フィードバック信号に結合させるローパスフィルタをさらに備える請求項15記載の装置。
[C18]
前記干渉再構築ブロックは、
前記フィードバック信号から導出された第1の信号を基準信号と乗算するように構成されている第1の乗算器と、
前記第1の乗算器の出力を積分するように構成されている積分器と、
前記積分器の出力を前記基準信号の複素共役と乗算するように構成されている第2の乗算器と、
前記第2の乗算器の出力を調整して、前記再構築された干渉信号を生成させるように構成されている調整器とを具備する請求項15記載の装置。
[C19]
前記第1の信号は、前記フィードバック信号と、前記第2の乗算器の出力との間の差から成る請求項18記載の装置。
[C20]
通信送信機中で送信(TX)出力信号を生成させる装置において、
前記装置は、
ベースバンドTX信号を生成させる手段と、
前記ベースバンドTX信号をアップコンバートおよび増幅して、前記TX出力信号を生成させる手段と、
前記TX出力信号の一部をダウンコンバートして、フィードバック信号を生成させる手段と、
前記フィードバック信号から、再構築された干渉信号を生成させる手段と、
前記ベースバンドTX信号をアップコンバートおよび増幅するのに先立って、前記ベースバンドTX信号から、前記再構築された干渉信号を減算する手段とを具備する装置。
[C21]
前記再構築された干渉信号を生成させる手段は、ハイパスフィルタリングする手段を備える請求項20記載の装置。
[C22]
前記再構築された干渉信号を生成させる手段は、前記フィードバック信号から希望信号を減算する手段を備える請求項20記載の装置。
[C23]
通信送信機中でベースバンドTX信号をコンピュータに生成させるためのコードを記憶しているコンピュータ読み取り可能記憶媒体において、
前記通信送信機は、前記ベースバンドTX信号からTX出力信号を生成させるように構成されているフィードフォワードパスを具備し、
前記通信送信機は、ダウンコンバージョンのために、前記TX出力信号の一部を結合する結合器と、前記結合器の出力をダウンコンバートして、フィードバック信号を生成させるダウンコンバータとを備えるフィードバックパスをさらに具備し、
前記コードは、
前記フィードバック信号から、再構築された干渉信号をコンピュータに生成させるためのコードと、
前記フィードフォワードパスに先立って、前記ベースバンドTX信号から、前記再構築された干渉信号をコンピュータに減算させるためのコードとを含む、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。