(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774591
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】差別化された外観を有する金属化仕上げエリアを備える部品の処理
(51)【国際特許分類】
B44C 1/22 20060101AFI20150820BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20150820BHJP
【FI】
B44C1/22 B
B23K26/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-526076(P2012-526076)
(86)(22)【出願日】2010年8月27日
(65)【公表番号】特表2013-503055(P2013-503055A)
(43)【公表日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】EP2010062558
(87)【国際公開番号】WO2011023798
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年8月2日
(31)【優先権主張番号】P200930637
(32)【優先日】2009年8月28日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】304034738
【氏名又は名称】サニーニ・オート・グルプ・ソシエダッド・アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(72)【発明者】
【氏名】アウグスト、マイエル、プハダス
(72)【発明者】
【氏名】ホセ、サナウハ、クロト
【審査官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−146558(JP,A)
【文献】
特開2000−118196(JP,A)
【文献】
特開2009−078494(JP,A)
【文献】
特開2008−073723(JP,A)
【文献】
米国特許第9017775(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 1/22
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光沢がある外観および艶消しされた外観を有する表面を作り出す、部品を処理する方法であって、
銅の第一層、ならびにニッケルの下位層および別のクロムの上位層を含む第二層であらかじめコーティングされた前記表面上で前記第二層の選択的エッチングが行なわれ、
前記第二層の前記選択的エッチングが、前記表面を渡って望ましいエリアを艶消しする波長が1064nmで出力が100WのYagレーザーを用いて、前記部品の他の部位に対して艶消しされるエリアに応じて行なわれ、
異なる質感を達成するために制御されたレーザーの時間および出力によって特徴づけられ、
前記選択的エッチングが、クロム層上において行われ、
前記選択的エッチングが行なわれた後に、ZrおよびCrを含んでなる非腐食性金属の別の層がPVDによって前記表面に適用される、方法。
【請求項2】
前記クロムの層の前記選択的エッチングが前記ニッケルの下位層に達するまで行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クロムが電気分解によって堆積される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記部品がプラスチック材料で作られている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記部品が金属で作られている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコーティングの分野に関するものである。より具体的には、本発明は全く同一の部品に異なる光沢仕上げおよび艶消し仕上げを組み合わせることを可能とする、部品の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電解槽によるクロムコーティングは、腐食を防ぐ装飾層として現在用いられている。これらのコーティングは一般的に電解槽で製造される。
【0003】
これらの従来の槽において、プラスチックは導体ではないため、コーティングを受けることを可能とするために複雑な前処理工程に付される必要がある。
【0004】
より毒性の低い製品を用いることを可能とする物理蒸着(PVD)を用いる、クロムめっきの新規な方法が現在開発されている。PVD技術は、堆積される固体材料から直接始まり、次いでこの材料が加熱またはエネルギーイオンの照射によって蒸気に変換される。形成された蒸気は基板の表面上で凝縮し、薄層を形成する。この工程は真空下または、制御された雰囲気下で行なわれ、金属蒸気と空気の相互作用を防ぐ。この方法を用いたコーティング方法は特許出願ES2239907A1に記載されている。
【0005】
クロムめっきをプラスチックまたは金属のいずれかの表面上に作り出すために、銅が製品の表面に最初に堆積される。この層は約20〜25ミクロンの厚さである。次いで、約15ミクロンのニッケルの堆積が行なわれ、最後にクロムが約0.5ミクロンの典型的な厚さで適用される。艶消し外観が付与される場合には、クロムを適用する前にニッケルの最終層は艶消しされる。しかし、その部品が艶消しおよび光沢エリアを有することになっているときは、部品の大部分と異なる外観を有するエリアは別々に挿入されるべきであり、追加の複雑さを生じる。現在、艶消しエリアはクロムめっきされた光沢のある表面上に、有機層を部分的に適用することで達成され得る。この解決法は異なる仕上げの境界における鮮明度の問題、および自動車用途において求められる付着力やひっかき抵抗性などの屋外での要求についての抵抗力の問題を有する。
【0006】
本発明の目的は、前項で言及された技術的問題を解決することにある。そのために本発明は、表面に異なる艶出し仕上げおよび光沢仕上げを与える部品の処理方法を提案することである。この方法は、銅の第一層および金属の第二層であらかじめコーティングされた表面上で、第二層の選択的エッチングを行なうことを含み、ここでこの選択的エッチングが部品の他の部位に対して艶消しされるエリアに応じて行なわれる。
【0007】
選択的エッチングは、表面を渡って望ましいエリアを艶消しするレーザーを用いて行なわれ得る。レーザーは、好ましくは波長が1064nmで出力が100WのYagレーザーである
。金属の第二層は、ニッケル、またはニッケルとその上にクロムがあるものであってもよい。一番目の場合はニッケルの層がエッチングされ、一方で、二番目の場合ではクロムの層がエッチングされる。選択的エッチングの後に、非腐食性金属(再度クロム、スチールまたは、Zr、Au、Pt、Rt、Inなどの金属)の別の層が適用される。これらの金属は、PVDまたは他の好適な技術によって部品に適用されることができる。クロムも電気分解によって、エッチングが行なわれる前と最終工程のいずれにおいても、適用されることができる。
【0008】
本発明の方法は、プラスチック材料および金属でできた部品、例えばクロムめっきプロセスの準備として銅およびニッケルの層で処理された部品、に適用される。第一の態様において、部分的な表面エッチングがニッケルの層に行なわれ、これにより異なる質感/光沢を有する近接するエリアが得られる。この部品は次いで、例えば電解クロム(galvanic chromium)で、クロムめっきされる。
【0009】
別の態様において、部品は銅、ニッケルおよびクロムの層を有し、クロムの層が表面的にエッチングされる。
【0010】
いずれの場合においても選択的エッチングは
、レーザーを用
いて行うことができ、あらかじめ保護されていたエリアと異なる質感または光沢(艶)を付与することができる。
【0011】
エッチングが化学的であるかまたはスクレイピングによって行なわれる場合、処理されてはならないエリアおよび光沢を有するようになるエリアは保護物またはマスクで保護され、これらの保護物は後ほど除去される。
【0012】
最後に、非腐食性金属の層がPVD技術(スパッタリングやアークなど)を用いて適用されることができ、得られた異なるレベルの光沢または質感の保存が上記のように保証される。この最終工程で用いられる金属は、クロム、チタン、ジルコニウム、インジウム、ルテニウムまたは、金もしくは白金のような貴金属である。異なる金属が異なる色を有する仕上げを部品に与え、選択的エッチングによってあらかじめ処理されたエリアの艶出しした外観が尊重され、さらに部品は外部からの攻撃から保護される。非光沢エリアの最終的な仕上げは異なるメッシュまたは幾何学的形態を有していてもよく、レーザーの使用がこの特別な例に対して好ましい。縞模様の仕上げに関しては、スクレイピングによるエッチングが好ましい。
【0013】
中間工程および最終工程の両方で適用されたクロムは、電解クロムまたはPVDによって適用されたクロムであってよい。
【0014】
この方法を用いることにより、全く同一の部品が異なる仕上げを有するエリアを有し、主要部の異なるエリアに取り外し可能な要素を導入するかまたは金属上に部分的に適用される有機層を使用する必要無しに達成され、部品の表面が均質であり、かつ、例えば自動車産業の要求のような、屋外および屋内要求への抵抗を促進する。したがって、仕上げはエッチング時間および用いる方法に依存する異なる光沢(鏡のような光沢から艶消しまでであり、艶のある状態および全ての中間の色調を含む)を有するエリアを備え、その厚さの違いは人間の目では視覚補助具無しで観測することができない。
【0015】
選択的エッチングによって、処理されるエリアはあらかじめ選択され、あらかじめ堆積されたニッケルまたはクロムの層の質感および光沢が部分的に修正されるように変更されることが分かる。これにより選択された表面に、ベースの光沢のある外観とは異なる外観が与えられる。
【0016】
レーザーを用いた選択的エッチングが、例えば、波長が1064nmで出力が100WのYagレーザーを用いて実施される。
【0017】
同様な特徴を有する他のタイプのレーザーを適用することも可能であろう。
【0018】
レーザーの出力および活動時間を制御することで、種々の仕上げが達成され得るものであり、これにより、より鏡のような色調(光沢エリア)から多少艶消しされた仕上げ、または特有な質感といった、異なるニュアンスが部品に与えられる。