【文献】
The Journal of Biological Chemistry,1997年,Vol.272,No.34,p.21201-21206
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配列番号3、4及び5にそれぞれ示される軽鎖相補性決定領域(CDR)1、2及び3のアミノ酸配列と、配列番号6、7及び8にそれぞれ示される重鎖CDR1、2及び3のアミノ酸配列とを含む、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP−1R)と反応する単離された抗体。
配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)と、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(VH)とを含む、グルカゴン様ペプチド1受容体(GLP−1R)と反応する単離された抗体。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に引用する、特許及び特許出願を含むがそれらに限定されない刊行物はすべて、それらがあたかも本明細書に完全に記載されているのとまったく同様に本願に援用するものである。
本明細書で使用される用語「アンタゴニスト」は、何らかの機構によって、受容体又はリガンドなどの別の分子の作用を部分的又は完全に阻害する分子を意味する。アンタゴニストは、GLP−1Rの生物学的活性を直接又は間接的に、実質的に相殺し、又は低減し、又は阻害することが可能である。アンタゴニストは、抗体、タンパク質、ペプチドなどであってもよい。例えば、抗体アンタゴニストは、GLP−1Rに直接結合し、GLP−1Rの生物学的活性を阻害することができる。
【0016】
用語「と反応する」は、抗体が所定の抗原と、他の抗原又はタンパク質に対して有する親和性よりも高い親和性で結合することを指す。典型的には、反応する抗体は、解離定数(K
D)が10
−7M以下で結合し、非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン、又はその他任意の特定ポリペプチド)に関するK
Dに比べ、少なくとも10分の1のK
Dで、所定の抗原に結合する。「抗原を認識する抗体」及び「抗原に特異的な抗体」という表現は、本明細書において、用語「抗原と反応する抗体」、例えばGLP−1Rと反応する抗体、と同義的に使用される。解離定数は後述するような標準的な方法を用いて測定することができる。
【0017】
用語「抗体」は、本明細書において広義に用いられ、ポリクローナル抗体と、マウス、ヒト、ヒト適合化、ヒト化及びキメラモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体と、抗体フラグメントとを含む、免疫グロブリン又は抗体分子を含む。
一般に抗体とは、特定の抗原に対する結合特異性を示すタンパク質又はペプチド鎖である。完全な抗体とは、2個の同じ軽鎖と2個の同じ重鎖とからなるヘテロ4量体の糖タンパク質である。通常、それぞれの軽鎖は1個の共有ジスルフィド結合によって重鎖と結合しているが、ジスルフィド結合の数は免疫グロブリンのアイソタイプが異なる重鎖の間で異なる。それぞれの重鎖及び軽鎖はまた、規則的な間隔をおいた鎖内ジスルフィド架橋も有する。それぞれの重鎖は可変領域(VH)を一端に有し、これに多数の定常領域が続く。それぞれの軽鎖は一端に可変領域(VL)を有し、もう一方の端に定常領域を有する。軽鎖の定常領域は重鎖の第1の定常領域と整列し、軽鎖の可変領域は重鎖の可変領域と整列している。あらゆる脊椎動物種の抗体の軽鎖は、定常領域のアミノ酸配列に基づいてカッパ(κ)及びラムダ(λ)という2つの明確に異なるタイプのうちの1つに帰属させることができる。
【0018】
免疫グロブリンは、重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つの大きなクラスに帰属させることができる。IgA及びIgGは、IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4のアイソタイプに更に分類される。
用語「抗体フラグメント」は、損なわれていない抗体の部分、通常は、損なわれていない抗体の抗原結合領域又は可変領域を意味する。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fvフラグメント、二重特異性抗体、単鎖抗体分子、及び少なくとも2つの損なわれていない抗体から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0019】
免疫グロブリン軽鎖又は重鎖可変領域は、3つの「抗原結合部位」が割り込んだ「フレームワーク領域」からなっている。抗原結合部位は、以下の様々な表現を使用して定義されている。(i)相補性決定領域(CDR)は、配列多様性に基づいている(Wu and Kabat,J.Exp.Med.132:211〜250,1970)。一般に、抗原結合部位は、VH内の3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)とVL内の3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)との6つのCDRを有している(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)。(ii)用語「超可変領域」、「HVR」又は「HV」は、Chothia及びLesk(Chothia and Lesk,Mol.Biol.196:901〜917,1987)により定義されているように、構造において超可変性を有する抗体可変ドメイン領域を指す。一般に抗原結合部位は、VH内に3つ(H1、H2、H3)及びVL内に3つ(L1、L2、L3)の6つの超可変領域を有している。Chothia及びLeskは、構造的に保存されたHVを「正準構造(canonical structure)」と称している。CDR及びHVの付番体系及び注釈は、最近、Abhin及びMartinにより改訂された(Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.45:3832〜3239,2008)。(iii)Vドメインと、免疫グロブリン及びT細胞受容体との比較に基づいた、抗原結合部位を形成する領域の別の定義が、Lefranc(Lefranc et al.,Dev.Comp.Immunol.27:55〜77,2003)により提案されている。International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース(http:_//www_imgt_org)は、これらの領域の標準的な付番及び定義を提供している。CDR、HV及びIMGTの記述間の対応については、Lefranc et al.,Dev.Comp.Immunol.27:55〜77,2003に記載されている。(iv)抗原結合部位は、Almagro(Almagro,Mol.Recognit.17:132〜43,2004)による特異性決定残基の使用(Specificity Determining Residue Usage)(SDRU)に基づいて記述されてもよく、特異性決定残基(SDR)とは、抗原接触に直接関与する、免疫グロブリンのアミノ酸残基を指す。Almagroにより定義されるSDRUは、抗原抗体複合体の結晶構造の解析により定義される、異なるタイプの抗原に関するSDRの数及び分布の正確な測定である。
【0020】
本明細書で使用される用語「コンセンサンス領域」とは、Kabat、Chothia又はIMGTによって個別に記述されるすべてのアミノ酸残基又は他の任意の好適な抗原結合領域の記述を含むものとして定義される抗原結合部位を意味する。
「フレームワーク」又は「フレームワーク配列」は、可変領域から抗原結合部位を除いた残りの配列である。抗原結合部位の正確な定義は、上述したような様々な記述により決定され得るため、フレームワーク配列の意味は、それに対応して異なる解釈が為される。本明細書で使用されるフレームワーク配列とは、抗原結合部位配列により定義されるもの以外の、抗体の可変領域内のそれらの配列を意味する。
【0021】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」(mAb)とは、ほぼ均質な抗体の集団から得られる抗体(又は抗体フラグメント)を意味する。モノクローナル抗体は極めて特異性が高く、通常、単一の抗原決定基に対して作製される。「モノクローナル」という修飾語は、抗体のほぼ均質な性質を指して言うものであり、抗体がいずれかの特定の方法によって作製される必要はない。
本明細書で使用される用語「GLP−1Rの生物学的活性」とは、リガンド結合、例えばGLP−1(7−37)のGLP−1Rに対する結合の結果生じる任意の活性を指す。GLP−1R活性の例は、環状AMPの細胞内蓄積、カルシウム放出、インスリン分泌、又は標的タンパク質のキナーゼ仲介リン酸化である。GLP−1Rの生物学的活性を測定するアッセイは、当技術分野にて周知である。
【0022】
本明細書で使用される用語「GLP−1R」とは、ジェンバンク受入番号NP_002053(配列番号1)に示されるアミノ酸配列を有するヒトGLP−1Rタンパク質を指す。マウスGLP−1Rは、ジェンバンク受入番号NP_067307(配列番号2)に示されるアミノ酸配列を有する。
本明細書では以下のようにアミノ酸の慣習的な1文字及び3文字の略号を用いる。
【0024】
物質の組成
本発明は、ヒトGLP−1Rと反応する抗体、及びそのような抗体の使用に関する。そのようなGLP−1Rの抗体は、GLP−1R受容体に結合し、GLP−1R受容体仲介シグナル伝達を阻害する特性を有することができる。そのようなアンタゴニストにより阻害される、GLP−1Rシグナル伝達が阻害される機構の例は、リガンド結合の阻害、又は下流のシグナル伝達経路の阻害を含む。ヒトGLP−1Rと反応する抗体はまた、生物学的サンプル、例えば血清、組織、細胞、又は固定組織若しくは固定細胞内のGLP−1Rタンパク質の検出に使用され得る非中和抗体であってもよい。本発明の抗体は、例えば研究試薬、診断試薬として、GLP−1Rの生体内分布の評価、及び薬力学研究において有用である。例えば、GLP−1R抗体は、血液脳関門を交差する可能性が低い。したがって、アンタゴニストのGLP−1R抗体は、動物に投与された際、例えば食物摂取に関する、中枢GLP−1活性ではなく末梢GLP−1活性を選択的に遮断する効果を測定するのに使用されることができる。更に、GLP−1Rに特異的な抗体は、脳の様々な区分内及び迷走神経内の受容体レベルを測定するのに役立ち、これは、それらのいずれか内のGLP1−Rの発現が、GLP−1の食物摂取上の効果に寄与し得るためである。
【0025】
本発明の1つの実施形態は、配列番号3、4及び5にそれぞれ示されるアミノ酸配列を有する軽鎖相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列(LCDR1)、(LCDR2)及び(LCDR3)と、配列番号6、7及び8にそれぞれ示されるアミノ酸配列を有する重鎖相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列(HCDR1)、(HCDR2)及び(HCDR3)とを有する、GLP−1Rと反応する単離された抗体である。
別の態様において、本発明は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、配列番号10に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域とを含む、GLP−1Rと反応する単離された抗体を提供する。
【0026】
別の態様において、本発明は、配列番号11及び12に示されるアミノ酸配列を有する単離された軽鎖と、配列番号13及び14に示されるアミノ酸配列を有する単離された重鎖とを提供する。
本発明の別の実施形態は、単離されたアンタゴニストのGLP−1R抗体である。GLP−1Rに対するアンタゴニストの抗体を生成するには、受容体内のGLP−1結合ドメインを標的とする必要がある。GLP−1Rは、7回膜貫通G−タンパク質共役受容体のサブクラスに属し、過去、このタイプの受容体に対する抗体を開発することは困難であった(Michel at al.,Naunyn−Schmied Arch Pharmacol.379:385〜388,2009;Sangawa et.al.,Hybridoma 27:331〜335,2008;Huang et.al.,J.Mol.Recog.18:327〜333,2005)。GLP−1Rは、比較的大きい細胞外N−末端ドメインを含み、そのドメインは、GLP−1結合親和性の主要な決定基であることが明かになっている(Wilmen et al.,Feder.Europ.Biochem.Soc.398:43〜47,1996)。したがって、N−末端ドメインに対して産生された抗体は、結合に関してGLP−1Rアゴニストと競合し、その結果下流効果を阻害する可能性がある。
【0027】
抗体の例は、アイソタイプがIgG、IgD、IgGA又はIgMである抗体である。加えて、こうした抗体は、グリコシル化、異性化、脱グリコシル化、又はポリエチレングリコール部分の付加(ペグ化)及び脂質化などの自然界には存在しない共有結合修飾などの処置によって翻訳後修飾されることができる。こうした修飾はインビボあるいはインビトロで行ってよい。例えば、本発明の抗体はポリエチレングリコールと結合(ペギレート)させることによって薬物動態的なプロファイルを向上させることができる。結合は当業者には周知の方法によって行うことができる。治療抗体のPEGとの結合は、機能を妨害することなく薬力学を向上させることが示されている(Deckert et al.,Int.J.Cancer 87:382〜390,2000;Knight et al.,Platelets 15:409〜418,2004;Leong et al.,Cytokine 16:106〜119,2001;及びYang et al.,Protein Eng.16:761〜770,2003)。
【0028】
本発明の抗体の薬物動態的性質は、当業者には周知の技法により、Fc修飾によって向上させることも可能である。例えばIgG4アイソタイプの重鎖は、ヒンジ領域に重鎖間又は重鎖内ジスルフィド結合を形成することが可能なCys−Pro−Ser−Cys(CPSC)というモチーフを含んでいる。すなわち、CPSCモチーフ内の2個のCys残基が他の重鎖の対応するCys残基とジスルフィド結合する(重鎖間)か、あるいは特定のCPSCモチーフ内の2個のCys残基が互いにジスルフィド結合し得る(重鎖内)。生体内のイソメラーゼ酵素は、IgG4分子の重鎖間結合を重鎖内結合に変換し、またその逆反応を行うことが可能であると考えられている(Aalberse及びSchuurman、Immunology 105:9〜19、2002)。したがって、ヒンジ領域に重鎖内結合を有するこうしたIgG4分子内の重鎖:軽鎖の各ペアは互いに共有結合していないことからHLモノマーに解離し、更に他のIgG4分子に由来するHLモノマーと再結合して、2重特異性のヘテロダイマーのIgG4分子を形成する。2重特異的なIgG抗体では、抗体分子の2個のFabの結合するエピトープが異なる。IgG4のヒンジ領域のCPSCモチーフのSer残基をProで置換することによって「IgG1様挙動」が生じる。すなわち、これらの分子は重鎖同士の間に安定したジスルフィド結合を形成するために他のIgG4分子とのHL交換が起きない。1つの実施形態では、本発明の抗体はCPSCモチーフ内にS→Pの突然変異を有するIgG4のFcドメインを有する。CPSCモチーフの位置付けは通常、成熟した重鎖の残基228に見いだされるが、CDRの長さに応じて変化し得る。
【0029】
更に、本発明の抗体において、アミノ酸配列は、FcRnサルベージ受容体以外のFc受容体に対する結合に影響を与えるFcドメイン内で変更又は除去されてもよい。例えば、本発明の抗体において、ADCC活性に関与する抗体Fc領域を除去することができる。例えば、IgG1のヒンジ領域のLeu234/Leu235のL234A/L235Aへの突然変異、又はIgG4のヒンジ領域のPhe235/Leu236のP235A/L236Aへの突然変異によって、FcRへの結合が最小となり、補体依存性細胞傷害活性及びADCCを媒介する免疫グロブリンの能力が低減する。1つの実施形態では、本発明の抗体は、P235A/L236A突然変異を有するIgG4 Fcドメインを含むであろう。上記で特定したこれらの残基の位置付けは成熟した重鎖においては典型的なものであるが、CDRの長さに応じて変化し得る。
【0030】
本発明の抗体アンタゴニストは、約10
−7、10
−8、10
−9、10
−10、10
−11又は10
−12M以下のK
dでGLP−1Rと結合することができる。GLP−1Rに対する所定の分子の親和力は、任意の好適な方法を用いて実験的に決定することができる。こうした方法では、当業者には周知であるバイアコア(Biacore)機器又はKinExa機器、ELISA又は競合的結合アッセイを使用することができる。
GLP−1Rと所望の親和性で結合するアンタゴニスト抗体分子は、抗体親和性成熟を含む方法によって変異体又はフラグメントのライブラリから選択することができる。アンタゴニスト抗体は、任意の適当な方法を用いて、GLP−1Rの生物学的活性の阻害に基づいて同定することができる。そのような方法は、レポーター遺伝子検査、又は当業者に既知の、細胞内環状AMP生成を測定する検査を使用することができる。分布及び薬力学試験のための好適な抗体は、免疫組織化学的検査又はELISAアッセイなどの通常の方法論を用いて試験することができる。
【0031】
本発明の抗体は、多様な方法により、例えばKohler et al.,Nature 256:495〜497,1975のハイブリドーマ法により産生することができる。受容体抗体(通常、別の哺乳動物種、例えばヒト)に由来する軽鎖及び重鎖定常領域と関連してドナー抗体(通常はマウス)に由来する軽鎖及び重鎖可変領域を含有するキメラmAbは、米国特許第4,816,567号に開示されている方法によって調製することができる。非ヒトドナー免疫グロブリン(通常はマウス)に由来するCDR、及び1つ以上のヒト免疫グロブリンに由来する分子の部分を抽出した免疫グロブリンの残部を有するCDRグラフト化mAbを、米国特許第5,225,539号に開示されるような当業者には周知の方法によって作製することができる。グラフト化に有用なヒトフレームワーク配列は、当業者であれば関連するデータベースから選択することができる。場合により、CDRグラフト化mAbは、更に、Queen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),86:10029〜10032,1989及びHodgson et al.,Bio/Technology,9:421,1991に開示されている技術により、変更されたフレームワーク支持残基を組み込んで結合親和性を保存することによりヒト化されてもよい。ヒト以外のいかなる配列も持たない完全なヒトmAbは、例えば、Lonbergら、Nature 368:856〜859,1994、Fishwildら、Nature Biotechnology 14:845〜851,1996、及びMendezら、Nature Genetics 15:146〜156,1997に参照される方法により、ヒト免疫グロブリン遺伝子導入マウスから作製することができる。ヒトmAbはまた、ファージディスプレイライブラリを元に、例えばKnappik et al.,J.Mol.Biol.296:57〜86,2000;及びKrebs et al.,J.Immunol.Meth.254:67〜84 2001に参照された技法によって調製及び最適化することができる。
【0032】
免疫原性抗原の調製、及びモノクローナル抗体の生成は、組み換えタンパク質生成などの任意の好適な技術を用いて行うことができる。免疫原性抗原は、精製タンパク質、又は全細胞若しくは細胞若しくは組織抽出物を含むタンパク質混合物の形態で動物に投与されてもよく、又は抗原は、動物の身体内で、前記抗原又はその一部をコードする核酸から新規に形成されてもよい。
【0033】
本発明の別の実施形態は、本発明の抗体をコードする単離されたポリヌクレオチド、又はそれらの相補体である。特定のポリヌクレオチドの例を本明細書に開示するが、遺伝子コードの縮重及び特定の発現系におけるコドンの選択性を考慮すると、本発明の抗体をコードする他のポリヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。単離されたポリヌクレオチドの例は、配列番号15又は16に示される配列を有するポリヌクレオチドを含む。本発明の単離された核酸は、当技術分野にて周知のように、(a)組み換え方法、(b)合成技術、(c)精製技術、又はそれらの組み合わせを使用して形成することができる。モノクローナル抗体をコードするDNAは、容易に単離され、当技術分野にて既知である方法を用いて配列決定される(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)。ハイブリドーマを産生する場合、かかる細胞は、かかるDNA源として機能し得る。あるいは、例えばファージ又はリボソームディスプレイライブラリなどのコード配列及び翻訳産物が連結しているディスプレイ技術を用いると、結合剤及び核酸の選択が簡略化される。ファージ選択後、ファージに由来する領域をコードする抗体を単離し、ヒト抗体又は任意の他の所望の抗原結合断片を含む抗体全体を生成するために用い、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、及び細菌を含む任意の所望の宿主内で発現させることができる。
【0034】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1つの本発明のポリヌクレオチドを含むベクターである。かかるベクターは、プラスミドベクター、ウイルスベクター、トランスポゾンに基づいたベクター、又は任意の手段によって特定の生物又は遺伝子的バックグラウンドに本発明のポリヌクレオチドを導入するのに適した他の任意のベクターであってもよい。本発明のポリペプチドを発現させるためのベクターの例は、CMVプロモーター、T7結合部位、VHリーダー配列、BGHポリA部位、f1複製開始点、ColE1開始点、CMVプロモーター及びβ−ラクタマーゼからなり、抗体定常領域、例えばマウスγ2a定常領域をコードするポリヌクレオチドを含んでもよい。
【0035】
本発明の別の実施形態は、配列番号11に示されるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖、又は配列番号13に示されるアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドなどの、本発明の任意のポリヌクレオチドを含む宿主細胞である。かかる宿主細胞は、真核細胞、細菌細胞、植物細胞又は古細菌細胞(archeal cells)であってもよい。真核細胞の例としては、哺乳動物、昆虫、鳥類又は他の動物由来のものであり得る。哺乳動物真核細胞としては、SP2/0(ATCC(American Type Culture Collection),Manassas,VA,CRL−1581)、NS0(ECACC(European Collection of Cell Cultures),Salisbury,Wiltshire,UK,ECACC No.85110503)、FO(ATCC CRL−1646)及びAg653(ATCC CRL−1580)マウス細胞株などのハイブリドーマ又はミエローマ細胞株などの不死化細胞株が挙げられる。ヒトミエローマ細胞株の一例には、U266(ATTC CRL−TIB−196)がある。他の有用な細胞株としては、CHO−K1SV(Lonza Biologics)、CHO−K1(ATCC CRL−61、Invtrogen)のようなチャイニーズハムスターに由来する卵巣(CHO)細胞又はDG44が挙げられる。
【0036】
本発明の別の実施形態は、本発明の宿主細胞を培養する工程と、その宿主細胞によって産生された抗体を回収する工程とを含む、GLP−1Rと反応する抗体の製造方法である。抗体を製造して精製する方法は当技術分野では周知のものである。
本発明の別の実施形態は、本発明の抗体を産生するハイブリドーマ細胞株である。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
可溶性GLP−1Rタンパク質の生成
ヒトGLP−1受容体のアミノ酸24〜145(配列番号1)及びマウスGLP−1受容体のアミノ酸21〜143(配列番号2)に対応する可溶性ヒト及びマウスGLP−1受容体をコードするcDNAを、遺伝子合成技術(米国特許第6,670,127号、同第6,521,427号)を用いて調製した。合成可溶性受容体の発現のためのプラスミドを、標準的な分子生物学技術を用いて調製した。各プラスミドは、Kozak配列、ヒト成長ホルモンシグナル配列、ヒト又はマウスGLP−1Rの可溶性領域、及び精製を容易にするためのC−末端6xHisタグをコードしていた。標準的な方法を用いてベクターをHEK293T細胞内に一過的にトランスフェクトし、分泌されたタンパク質を、Talon樹脂を使用してIMACにより精製した。
【0038】
EZ link Sulfo−NHS−LC−ビオチンを使用して、製造業者の指示書に従って可溶性ヒトGLP−1R抗原(#3527)をビオチンで標識した(Pierce Chemical Company,St.Louis,MO)。CNTO736、GLP−1ミメティボディ(商標)構築物(Picha et al.,Diabetes 57:1926〜34,2008)を使用して、ビオチン標識3527の活性を確認した。96ウェルMaxisorpプレートを、5μg/mLのビオチン標識又は非標識3527のいずれかで被覆し(100μl/ウェル)、4℃で一晩インキュベートした。プレートをTBSTで洗浄し、300μl/ウェルの1X Chemiblockerを用いて室温で1時間ブロックした。プレートをTBSTで洗浄した。CNTO736又はCNTO1996のいずれかの連続希釈物(1:3)(GLP−1ペプチドを欠いた負の対照)を10μg/mlから開始して作製し、プレート内の適切なウェルに加え(100μl/ウェル)、室温で1時間結合させた。プレートをTBSTで洗浄した。プレートを、TBSTで1:5000に希釈した、100μl/ウェルのヤギ抗ヒトIgG(H+L)−AP検出抗体を用いて、室温で1時間処理した。AttoPhos基質(1:5)は、AP活性を検出した。ビオチン標識3527は非標識3527に対して類似の結合プロファイルを維持した(データは示さず)。
【0039】
(実施例2)
抗ヒトGLP−1R抗体の同定
(Rothe et al.,J.Mol.Biol.376:1182〜1200,2008;Steidl et al.,Mol.Immunol.46:135〜144,2008)に記載されているビオチン標識抗原−ストレプトアビジン磁気ビーズ捕集方法を用いて、ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリGOLD(HuCAL GOLD)の溶液パニング(solution panning)を3回連続で行った。選択の最後の回から回収したFabを、Myc及びHis6タグを含むpMORPHx9_Mx_MH Fab発現ベクター内にサブクローニングした(Rauchenberger et al.,J.Biol.Chem.278:38194〜38205,2003)。電気穿孔を介して大腸菌TG1細胞(#200123,Stratagene,La Jolla,CA)を形質転換し、細菌によりFabが産生された。
【0040】
3527に対する結合に関してFabをスクリーニングした(Rauchenberger et al.,J.Biol.Chem.278:38194〜38205,2003)。バックグラウンドの5倍を上回って3527に結合したFabを配列決定して、ユニークFabクローンの数を決定した。39個のFabが、配列決定のために選択された。配列決定した39個のクローンから、PHD191が3回、又は全ヒットの8%と同定された。PHD191のCDR並びに軽鎖及び重鎖可変領域のアミノ酸配列を、配列番号3〜10に示す。
【0041】
(実施例3)
PHD 191 Fabは、可溶性ヒトGLP−1Rに対するGLP−1の結合を阻害する。
96ウェルMaxisorpプレートをPBS中の5μg/mlの可溶性ヒトGLP−1R(shGLP1−R)で被覆し(100μl/ウェル)、4℃で一晩インキュベートした。プレートをTBSTで洗浄し、300μl/ウェルの1X Chemiblockerを用いて室温で1時間ブロックした。プレートをTBSTで洗浄した。混合物は、PHD 191 Fabの25μg/mlから出発した連続希釈物(1:2)と、75ng/mlで一定に保ったビオチン標識ヒトGLP−1ペプチドとからなっていた。この混合物をプレートに加え(100μl/ウェル)、室温で1時間インキュベートした。プレートをTBSTで洗浄した。TBSTで1:2000に希釈した、100μl/ウェルのStrep−AP検出抗体によりプレートを室温で1時間処理した。AttoPhos基質(1:5)は、AP活性を検出した。PHD 191は、可溶性ヒトGLP−1Rに対するヒトGLP−1ペプチドの結合を阻害した(
図1)。
【0042】
(実施例4)
ヒトIgG1/ヒトIgκ及びマウスIgG2a/マウスIgκ形式へのPHD 191の移動
PHD 191を完全長免疫グロブリン発現ベクター内にサブクローニングした(Krebs et al.,J.Immunol.Meth.254:67〜84,2001)。PHD 191マウスIgκ、ヒトIgG1及びヒトIgκ構築物に関して、同様の構築物を形成した。
【0043】
完全長重鎖及び軽鎖ベクターを、製造業者の指示書に従って、DH10B細胞内へ形質転換した。個々のコロニーを、正確な可変領域の挿入に関して、PCR及び配列分析によりスクリーニングした。正確なクローンのそれぞれについてDNAを単離し、標準的な手順を用いたトランスフェクションに使用し、挿入断片を配列決定した。得られた軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列を、配列番号11〜14に示す。
適切な重鎖及び軽鎖パートナーをコードするベクターを、HEK293E細胞内にコトランスフェクトした。分泌された抗体を含有する上清を、タンパク質A樹脂を使用して、標準的なプロトコルに従って親和性精製した。
【0044】
(実施例5)
PHD 191の特徴付け
マウスGLP−1Rとの交差反応性
2つの異なるELISAアッセイ形式を用いて、PHD 191の結合特異性を特徴付けた。両方のアッセイ形式は、PHD 191がヒトGLP−1Rに結合し、マウスGLP−1Rとも交差反応することを示した。最初の特徴付けアッセイは、ニュートラアビジン捕捉アッセイであった。96ウェルMaxisorpプレートを、PBS中の5μg/mlのニュートラアビジンで被覆し(100μl/ウェル)、4℃で一晩インキュベートした。被覆したプレートを、TBSTで洗浄した。2μg/mlのビオチン標識可溶性マウスGLP−1R(3445)、又はビオチン標識可溶性ヒトGLP−1R(3527)、又は他のビオチン標識対照タンパク質(マウスIL−23、マウスIL−12、マウスIL−18、ラットトランスフェリン)を加え(100μl/ウェル)、ニュートラアビジンに対して室温で1時間結合させた。プレートをTBSTで洗浄し、300μl/ウェルの1X Chemiblockerを用いて室温で1時間ブロックした。プレートをTBSTで洗浄した。PHD 191 mAbの連続希釈物(1:2)を、5μg/mlから出発して作製し、プレートに加え(100μl/ウェル)、室温で1時間結合させた。プレートをTBSTで洗浄した。TBSTで1:5000に希釈した100μl/ウェルのヤギ抗ヒトIgG(H+L)−AP検出抗体により、プレートを室温で1時間処理した。AttoPhos基質(1:5)は、AP活性を検出した。ヒト可溶性GLP−1Rに特異的に結合したPHD 191は、マウス可溶性GLP−1Rと交差反応し、非関連ビオチン標識タンパク質には結合しなかった(ヒト及びマウス可溶性GLP−1Rのそれぞれについて0.4nM及び2.5nM)。
【0045】
PHD 191のマウスGLP−1Rに対する交差反応性を確認するために、プレート上に直接被覆した非標識受容体を使用して、第2の特徴付けアッセイを行った。96ウェルMaxisorpプレートを、PBS中5μg/mlの非標識マウス又はヒトGLP−1Rで被覆し(100μl/ウェル)、4℃で一晩インキュベートした。被覆プレートをTBSTで洗浄し、300μl/ウェルの1X Chemiblockerを用いて室温で1時間ブロックした。プレートをTBSTで洗浄した。PHD 191 Mabの連続希釈物(1:3)を30μg/mlから出発して作製し、プレートに加え(100μl/ウェル)、室温で1時間結合させた。プレートをTBSTで洗浄した。TBSTで1:5000に希釈した100μl/ウェルのヤギ抗ヒトIgG(H+L)−AP検出抗体により、プレートを室温で1時間処理した。AttoPhos基質(1:5)は、AP活性を検出した。直接被覆アッセイは、PHD 191が可溶性マウスGLP−1Rと交差反応することを確認した(ヒト及びマウス可溶性GLP−1Rのそれぞれについて0.8nM及び11.9nM)。
【0046】
ヒトGLP−1Rに対するGLP−1の結合の阻害
125I GLP−1結合アッセイを用いて、PHD 191が細胞上に発現されたヒト受容体に対するGLP−1の結合を阻害できるか否かを決定した。ヒトGLP−1受容体を過剰発現しているHEK293細胞を、PHD 191の投与量調整試験(dose titration)と共に、3nM
125I GLP−1の存在下4℃で一晩インキュベートした。未結合
125I GLP−1を洗浄除去し、細胞に関連した数を測定した。データを双曲線にフィッティングさせて、48.5nMのIC
50を得た(
図2)。ヒトGLP−1Rに結合するGLP−1の3nMのKd(以前に測定)と、競合的阻害とを仮定すると、このデータは、PHD 191のKiがおよそ20nMであることを示す。
【0047】
GLP−1による環状AMP刺激の阻害
2つのアッセイ形式を使用して、PHD 191がGLP−1仲介によるcAMP蓄積を阻害することを示した。第1の表示形式では、ヒトGLP−1R受容体を過剰発現しているHEK293F細胞に、0.3nM GLP−1ペプチドの存在下でPHD 191の投与量調整試験を加えた。第2の表示形式では、GLP−1R過剰発現細胞に、1μM PHD 191の存在下でGLP−1ペプチドの用量反応試験(dose response)を加えた。両方のケースにおいて、刺激から7分後の総cAMP蓄積を、PerkinElmer LANCE cAMPアッセイキットを使用して定量化した。PHD 191の投与量調整試験は、GLP−1依存性cAMP蓄積を用量依存的に低下させ、抗体の存在下でGLP−1ペプチドのシグナル伝達が低減することを示した。単一結合事象を記述する等式にデータをフィッティングさせ、3.3nMのIC
50が得られた。PHD 191はまた、GLP−1ペプチドがcAMPアッセイで試験された際、EC
50を0.3から1.5nMに変更した。
【0048】
(実施例6)
ヒトGLP−1Rの組織内分布
正常な組織内でのヒトGLP−1Rのタンパク質発現を、免疫組織化学的検査により評価した。GLP−1Rタンパク質を、膵島、CNSニューロン、及び消化管の上皮細胞内に検出した。
正常なドナーからの脳試料をAnalytical Biological Services,Inc.から得た。脳解体を行い、神経生物学者(Analytical Biological Services,Inc)により品質評価された。他の正常なヒト組織の試料はQualTek組織バンクから獲得し、病理学者により品質評価された。以下の方法で、ヒト組織の免疫組織化学的検査を行った。ホルマリン固定パラフィン包埋ブロックから4マイクロメートルの組織切片を切り取り、スライドガラス上に配置し、60℃で乾燥した。これらを5分間のキシレン交換4回と、それに続く段階的な一連のアルコール〜蒸留水により脱ろう(dewax)した。以下のプロトコルを用いて、PHD 191に対する免疫組織化学的反応性に関して全組織試料を試験した。手短に言えば、sHIER 2を用いて組織を20分間前処理した後、Pro Kにより1:15希釈にて10分間消化した。続いて、組織試料を一次抗体、PHD 191と共に、5μg/ml又は7.5μg/mlのいずれかにて、4℃で63時間インキュベートした。ブロッキング実験のために、20モル過剰のGLP−1R細胞外ドメインの存在下で、組織をPHD 191と共にインキュベートした。マウス非特異性アイソタイプ対照抗体を使用して、染色の特異性を確認した。Techmate上でのMIPEプロトコルを用いたABC検出システムを使用して、結合した一次抗体を標識した。染色後、スライドを一連のアルコール〜絶対エタノールと、それに続くキシレンによる濯ぎにより脱水した。スライドをガラスカバースリップ及びパーマウントにより恒久的にカバースリップ被覆した。スライドを顕微鏡下で調べて、染色を評価した。ポジティブ染色は、茶色色原体(DAB−HRP)反応生成物の存在により示された。ヘマトキシリン対比染色は、細胞及び組織形態を評価するための青色核染色を提供した。Olympus BX60顕微鏡に取り付けたOlympus Microfireデジタルカメラ(M/N S97809)を用いて代表的な画像を獲得し、Dellフラットパネルモニター上に、DPIを96に設定し、画面の解像度を1152×864画素に設定して表示した。Koehler照明を使用して、画像の焦点をはっきり合わせた。40x以上の対物レンズにより作られたいくつかの画像を、視野の集束範囲にわたる連続として撮影し、Image−Pro Plus 5.1(MediaCybernetics)拡張焦点深度(extended depth of field)機能と組み合わせて、画像の視野全体でしっかりと合った焦点を有する複合画像を得た。
【0049】
ヘマトキシリン対比染色後、組織学的評価に基づいて、膵島をヒト膵臓区分内で同定した。ヒト膵臓のIHC解析は、島細胞内のヒトGLP−1Rの存在を示した。染色の特異性は、PHD191のGLP−1Rの細胞外ドメインとの前インキュベーションが染色を完全に阻害したブロッキング実験にて確認された。GLP−1Rは扁桃体、視床下部、弓状核及び最後野内のニューロンにおいても検出された。GLP−1Rは、脳皮質の2つの試料中には検出されなかった。染色は、マウス非特異性アイソタイプ対照抗体で染色した脳切片のいずれにおいても検出されなかった。
【0050】
上皮を含む組織試料において、染色は上皮細胞中に時折見られた。14個の肺試料中の4つにおいて、気管支気道のいくつかは、管腔表面に染色を有する上皮細胞と、基底細胞内に核周囲染色を有した。4つの結腸試料中の2つにおいて、管腔表面は強力な染色を有した。3つの乳房試料中の1つにおいて、管を裏打ちする細胞内に核周囲染色が見られた。これらの試料において、負の対照内では反応性が見られなかった。
3つの小腸試料中の1つと、4つの結腸試料中の2つにおいて、単離された陰窩細胞内で反応性が見られた。結腸及び小腸内のこれらの染色陰窩細胞の位置付け及び頻度は、腸管内分泌細胞と一致している。
【0051】
組織の大部分において、反応する免疫細胞が観察された。これらは一般に、血管内の多形核顆粒球、又はマクロファージ若しくは肥満細胞の形態を有する細胞であった。染色の特異性を確認するために、試料のサブセットを用いて、過剰の抗原(GLP−1RのN−末端ドメイン)の存在下でIHCを繰り返した。これらの条件下で、ニューロン、上皮、及び膵島細胞内でのPHD 191反応性は有意に阻害された。免疫細胞内ではPHD 191反応性の部分的な阻害のみが観察され、したがって免疫細胞内でのPHD 191染色の特異性は、未だ決定されていない。
【0052】
本明細書に記載したデータは、PHD 191の発見及び特徴付けを詳述している。PHD 191はマウスGLP−1Rと交差反応し、細胞上に発現されたヒトGLP−1Rに結合した。PHD 191はヒトIgG1又はマウスIgG2a形式のいずれかにクローニングされた。PHD 191は、ヒトGLP−1受容体に対するGLP−1の結合を阻害し、GLP−1仲介によるcAMP蓄積を阻害した。これらの性質を有する抗体は、商業的な供給源からは入手できない。
以上、本発明の全容を述べたが、付属の「特許請求の範囲」の趣旨又は範囲を逸脱することなく本発明に多くの変更及び改変をなし得ることは、当業者にとって明白であろう。