特許第5774609号(P5774609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5774609医療用具のインビトロ試験のための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5774609
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】医療用具のインビトロ試験のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/28 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   G09B23/28
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-552981(P2012-552981)
(86)(22)【出願日】2011年2月10日
(65)【公表番号】特表2013-519919(P2013-519919A)
(43)【公表日】2013年5月30日
(86)【国際出願番号】US2011024291
(87)【国際公開番号】WO2011100393
(87)【国際公開日】20110818
【審査請求日】2014年1月23日
(31)【優先権主張番号】12/704,607
(32)【優先日】2010年2月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506105814
【氏名又は名称】マクニール−ピーピーシー・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ホー・マリ
(72)【発明者】
【氏名】ジュニオ・ジョセフ
【審査官】 佐藤 久則
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/002648(WO,A2)
【文献】 特表2009−545339(JP,A)
【文献】 特表2009−543606(JP,A)
【文献】 特開2004−085718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B1/00−9/56
17/00−19/26
23/00−29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の膣を含むヒト女性下腹腔内に配置された解剖学的構造をシミュレートするための装置であって、
a)圧力チャンバであって、
i)内部と、
ii)前記圧力チャンバに流体圧力を提供する第1の手段と、
iii)前記圧力チャンバ内にて局所的な流体圧力を提供する第2の手段と、を備えるものである、圧力チャンバと、
b)前記圧力チャンバの前記内部に配置され、壁を含む膣モデルであって、前記壁が、
i)前記圧力チャンバの外面を貫通してボアに付随する膣開口部から頸部ポートに隣接する膣円蓋へと内向きに延びる膣ルーメンを画定し、
ii)膣前面及び膣後面を含む外面を有し、
iii)流体を前記頸部ポートに供給するための少なくとも1つの通路を有するものである、膣モデルと、
c)流体を前記頸部ポートに供給するための前記少なくとも1つの通路に液体を送達する手段と、を備え
前記圧力チャンバ内部にて局所的な流体圧力を提供する前記第2の手段が、空気加圧システムを備え、
前記空気加圧システムが、前記膣モデルの前記膣前面に近接した空気送達ノズルを備える、装置。
【請求項2】
流体圧力を提供する前記第1の手段が、空気加圧システムを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
局所的な流体圧力を提供する前記第2の手段が、持ち上げること、咳をすること、笑うこと、歩くこと、深呼吸をすること、座ること、くしゃみをすることからなる群から選択される動的圧力を模倣するために、及びバルサルバ法によるなどして意図的に生成される圧力を模倣するために、圧力を送達するように制御される、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記圧力チャンバが枢軸の周囲を回転可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記膣モデルが、膣屈曲を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
プログラム可能なコントローラを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記膣ルーメンが、前記ボアを介して婦人衛生用品を受け入れるように配置及び構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
圧力チャンバ内に配置された膣モデル内の流体の流れをシミュレートするための方法であって、前記膣モデルは壁を有し、この壁は、(1)前記圧力チャンバの外面を貫通してボアに付随する膣開口部から頸部ポートに隣接する膣円蓋まで内向きに延びる膣ルーメンを画定し、(2)膣前面及び膣後面を備える外面を有し、(3)流体を前記頸部ポートに供給するための少なくとも1つの通路を有し、前記方法が、
a)前記圧力チャンバ内に第1の圧力を提供する工程と、
b)流体を前記頸部ポートに供給するための前記少なくとも1つの通路に液体を送達する工程と、
c)前記膣前面に第2の圧力を提供する工程と、を含む、方法。
【請求項9】
前記第1の圧力が、シミュレーション中に実質的に維持される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の圧力が、約1.96kPa(20cm HO)〜約4.9kPa(50cm HO)の間に維持される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の圧力が、前記シミュレーション中に約0.49kPa(5cm HO)以内の圧力中央値に維持される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の圧力が前記第1の圧力よりも大きい、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の圧力が少なくとも約4.9kPa(50cm HO)である、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の圧力が、シミュレーションの一部分に向けて提供される、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の圧力が、前記シミュレーション中に断続的に提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の圧力が、前記シミュレーション中に1回の適用ごとに約10秒未満の持続時間の間にずっと提供される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の圧力がシミュレーション中に変動する、請求項に記載の方法。
【請求項18】
立位の女性、仰臥位の女性と一致するように前記膣モデルを配向させる、又はそれらの間で変化させる工程を更に含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膣腔に挿入されるように設計された医療用具のインビトロ試験のための方法及び装置に関する。本装置は、定圧及び、生体内における腹腔内圧を模倣した突発的圧力の増加が可能である。加えて、本装置は、膣から排出された体液を収集する外用製品の試験にも使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ヒトの体内器官及び組織は、正常な体圧下にある間に機能する。概して、正常な体圧は定圧であるが、運動、咳、睡眠などのような活動によって変化し得る。圧力の変化は徐々に生じることも突然生じることもあり得る。
【0003】
膣は、子宮、膀胱、直腸のような他の器官に囲まれた、畳まれた管様の構造体である。また、膣は接続組織、筋肉、靭帯によって定位置に保持されている。この懸架システムの相互作用は、とりわけ妊娠中の子宮による膣の変形及び移動を可能にする。膣は、膣管内に挿入される製品又は陰唇に隣接して体外に装着されるように設計された製品の開発を複雑にする非常に複雑かつ動的なシステムである。製品が正しく機能するためには、製品は、膣及び周囲の組織が圧力の増加を受けるときの膣における突発的又は漸進的な変化に対して可撓性である必要がある。
【0004】
商用のタンポンには、FDA(37 CFR 801.430)によって開発された試験によって測定可能な比吸収性を有することをラベル表示する場合がある。この試験はシンジナ(Syngyna)試験として既知であり、温度制御された水槽からポンプ供給された水を満たしたガラスチャンバ内に無潤滑コンドームを配置することを含む。次いで、注入管を通してシンジナ(Syngyna)流体をタンポンへとポンプ供給する。試験中、タンポンはガラスチャンバ内で水の圧力下に置かれる。
【0005】
月経及び/又は失禁をシミュレートするためのインビトロ装置及び試験方法は、上述した多様な問題の全てを考慮する必要がある。それは、実生活の状況を可能にするために十分に丈夫でなくてはならない。例えば、女性の場合、くしゃみをしたときに激しく月経液を噴出することがあり得る。腹筋の弱い女性の場合、咳き込んでいる間に応力失禁を経験することがあり得る。月経液は、仰臥位か座位かで膣を通る流れ方が異なる場合がある。
【0006】
他にも、膣モデルとして使用可能であり、これらの問題の幾つかを克服するための製品を設計するために使用可能であるバイオメカニカルモデルを設計するニーズへの取り組みは行われてきた。例えば、米国特許第7166085号(Gannら)は、タンポン及びアプリケータシステムのインビトロ試験のための装置の開示を主張している。この特許では、アプリケータ内に包含されたタンポンをインビトロ受け器に排出することによって達成される標的の所定位置がある。圧縮空気を使用して、このインビトロ受け器を周囲の大気圧より高く加圧することができる。これは、タンポンの膣内送達に対する抵抗を作り出す。国際公開特許WO 2009002648号(Doughertyら)は、月経時のタンポンシステムのインビトロ測定の開示を主張している。この公開公報には、圧力容器組立て品、スタンド、経血のような体液を送達するためのポンプ、及び制圧器を含む試験装置がある。この組立て品のチャンバ内の静的圧力の動作範囲は、約0〜138kPa(0〜20psig)の範囲に及ぶ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、動的な腹腔内圧の結果としてもたらされる体液の問題を取り扱うことのできるタンポン及び失禁用具のような製品を設計するための装置及び方法を提供することによって、月経及び失禁症状のある女性が経験する問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、膣腔内に挿入されるように設計された医療用具のインビトロ試験に使用するための、女性の膣をシミュレートするための方法及び装置を発明した。
【0009】
本発明の一実施形態では、女性の膣をシミュレートするための装置は、圧力チャンバと、圧力チャンバに配置される膣モデルと、膣モデルに液体を送達する手段と、を含む。圧力チャンバは、内部と、圧力チャンバに流体圧を提供する第1の手段と、圧力チャンバ内に局所的流体圧を提供する第2の手段と、を含む。膣モデルは壁を含み、この壁は、(1)圧力チャンバの外側表面を貫通してボアに付随する膣開口部から頸部ポートへと内向きに延びる膣ルーメンを画定し、かつ(2)膣前面及び膣後面を含む外面を有し、かつ(3)流体を頸部ポートに供給するための少なくとも1つの通路を有する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、圧力チャンバ内に配置された膣モデル内の流体の流れをシミュレートするための方法に関する。この膣モデルは壁を有し、この壁は、(1)圧力チャンバの外側表面を通ってボアに付随する膣開口部から頸部ポートに隣接する膣円蓋へと内向きに延びる膣ルーメンを画定し、かつ(2)膣前面及び膣後面を含む外面を有し、かつ(3)頸部ポートに流体を供給するための少なくとも1つの通路を有する。この方法は、(a)圧力チャンバに第1の圧力を提供する工程と、(b)流体を頸部ポートに供給するための少なくとも1つの通路に液体を送達する工程と、(c)膣前面に第2の圧力を提供する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】膣、子宮、膀胱、尿道、及び関係する構造体の場所及び配向を示す、女性の腹部の断面図。
図2】本発明の一実施形態による、失禁及び月経のシミュレーション装置(「SIMA」)システムの略図。
図3】本発明に有用な膣モデルの斜視図。
図4】枢軸に装着された本発明の圧力チャンバの斜視図。
図5】本発明に有用な膣モデルを収容する、図4の圧力チャンバの正面図。
図6図4の圧力チャンバの側面図。
図7】周辺機器を伴うSIMAシステムの略図。
図8】本発明に有用な空気制御パネルの実施形態の略図。
図9】本発明に有用な流体送達システムの図。
図9A図9に図示した流体送達カニューレの拡大詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、動的な腹腔内圧の存在下において流体をより効率的に吸収し得る膣内製品の試験及び設計のための装置及び方法に関する。失禁及び月経のシミュレーション装置「SIMA」というこの装置は、膣内タンポン及び、体液のような液体を吸収したそれらのタンポンとともに使用することができる。加えて、本発明は、米国公開特許第20080009662号、同第20080033230号、同第20080009931号、及び同第20080009814号に開示されているもののような失禁用具とともに使用することができ、それらの開示は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0013】
SIMAに適用される圧力には2つのタイプがある。体圧及び腹腔内圧である。本明細書及び請求項で使用されるとき、用語「体圧」及びその変形語は、睡眠中も含め体に印加されたインサイチュの静水圧である圧力に関する。この圧力は女性の位置(座位、立位、仰臥位など)に依存して変化することが測定により示されてきた。SIMAは、一定の圧力をチャンバに印加することによってこの圧力をシミュレートする。また、座る、横になるなど「実生活での」変化又は動作に対応するようにこの圧力を変えることもできる。これはまた、(所与の体位に関して)概して静的な背景圧力であるともみなされ得る。
【0014】
概して静的な背景体圧のほかに、SIMAは腹腔内圧も提供することができる。本明細書及び請求項で使用されるとき、用語「腹腔内圧」及びその変形語は、下方へ向けて骨盤システムに印加される動的圧力に関係する。これらの圧力は、限定はされないが、持ち上げること、咳をすること、笑うこと、歩くこと、深呼吸をすること、座ること、くしゃみをすることのような正常な日常の活動に関係する圧力、及び例えばバルサルバ法によって生成されるような意図的な圧力を含むことができる。バルサルバ法は、息を止めながら強制的に吐息しようとすることであると通常は定義され、もともと、耳と副鼻腔を等圧化させるために使われていた。排便動作を起こすための押し、又は咳若しくはくしゃみの間の腹筋の収縮も、この定義に含まれる。このタイプのバルサルバ圧力は、0〜21.6kPa以上(0〜220cm HO、0〜3.129psi)の範囲で変化し、骨盤器官の下降を引き起こす(咳は約9.81kPa(100cm HO)の圧力をもたらす)。SIMAは膣解剖学的構造に向かう直接的な下向きの圧力を印加することによって、これらの動作から派生する圧力をシミュレートする。
【0015】
これらの動作は「応力タイプ」のイベントに伴う場合もあり、これらは応力型失禁、又は膣内に既に存在している月経液流の噴出をもたらす場合がある。この動作は突発的(瞬間的)である又は短い持続時間である場合がある。
【0016】
体圧は、活動及び位置(座っている、立っている、横になっている)によって変化する。SIMAは、0より大きく21.6kPa超まで(0〜220cm HO、0〜3.13psi)のこれらの体圧の変化をシミュレートすることができる。影響を及ぼさない活動での体圧は、通常、約1.96kPa(20cm HO)〜約4.9kPa(50cm HO)の範囲である。平均すると、体圧は座位で約2.26kPa(23cm HO)、立位で2.65kPa(27cm HO)であり、仰臥位で寝た体位では約0.24kPa(2.4cm HO)である。様々な因子が体圧に影響し得ることに留意する必要がある。例えば、肥満指数(BMI)は体圧に影響し得る。BMIの増加につれて、腹部の体圧もまた増加する。これは、骨盤に関係する腹部の上部及び周囲のボディマス及び骨盤領域に位置付けられた器官にかかる重力による引きの増加によるものと考えられる。
【0017】
運動中又はジャンプをしている間、腹腔内圧は筋肉が及ぼす下方への圧力の増加及び/又は骨盤の器官に下向きにかかるボディマスの移動によって増す。この腹腔内圧の増加の例として、約8.63kPa(88cm HO)(立位)の平均バルサルバ圧、及び階段を上っているときに測定される約9.22kPa(94cm HO)の平均圧力が挙げられる。これらの体圧及び腹腔内圧の値は、Journal of Surgical Research,v.129,pp.231〜235(2005)(Cobbら)に見出すことができる。
【0018】
上述のように、腹腔内圧又は瞬間的圧力は、くしゃみ/咳をすることのような突発的応力イベントによってもたらされ、また、バルサルバのようなやや長時間にかけての強烈な圧力によってももたらされる。これらのタイプの圧力は、SIMAシステムでシミュレートすることができる。SIMAでは、咳をすることは、典型的には1〜2秒である短期間にわたって圧力を膣解剖学的構造に印加することによってシミュレートすることができる(7.35〜14.7kPa)(75〜150cm HO、1.07〜2.13psi)。しかし、SIMAは、0.5秒以下のようなより短時間にわたって圧力を印加するようにプログラムすることもできる。バルサルバ法は、SIMAでは、より長い期間(5〜10秒)にわたって圧力を膣解剖学的構造に印加することによってシミュレートすることができる(4.90〜8.83kPa)(50〜90cm HO)(0.71〜1.28psi)。もちろん、重要なのは、静的すなわち背景的体圧と比べて腹腔内圧が圧力を比較的短い期間の間に増加させることである。これらの圧力もまた、所定の期間内に繰り返され得る。例えば、咳をすることは、1秒間の突発的圧力をそれぞれ2秒間隔で3回連続することによって再現することができる。
【0019】
これらの腹腔内圧又は瞬間的圧力をシミュレートすることは、月経液の流れ、及びその流れの解剖学的構造並びに医療用具との相互作用を理解するために有用である。図1を参照すると、月経液の流れは子宮2の頸部1を出て、膣3の上部3分の1に概して溜まる。ほとんどの女性に関し、膣3のこの部分は立位のときにほぼ水平である。この溜まった流体は、次いで、女性が咳をする、くしゃみをする、又は笑うなどして、若しくは座っている、立っている、又は横になっている位置から位置を変えるときに、腹腔内圧が及ぼされて膣開口部4及び陰唇部5に向かって下向きに移動する。この下向きの圧力は前方及び後方の膣壁6、7をともに圧搾して、流体の移動を引き起こす。加えて、膀胱8及び尿道9を含む近くの解剖学的構造の状態が、流体の移動及び膣内部に置かれた用具に影響する又は影響される。これらの動的圧力は、体液のような液体の移動を含むそのような試験方法において、とりわけタンポン及び/又は医療用具のための試験方法において、シミュレートされる重要な現象である。
【0020】
腹腔内圧は、泌尿器の応力失禁のための膣内失禁用具の試験のためのシミュレーションにおいてもまた重要である。泌尿器応力失禁の研究のために、咳をする、笑う、又はくしゃみをするなどの膀胱及び尿道からの尿の漏出にしばしば至る応力イベントのモデル作ることは有用である。これらのイベントの間にもたらされた下向きの腹腔内圧のシミュレーションは、ペッサリーのような失禁用具の試験を(例えば定位置に置かれたそれらの装置の能力を決定するために)シミュレートするのに重要である。
【0021】
SIMAシステムは3Dコンピュータモデルから複製された膣解剖学的構造を含む。この3Dモデルは2D MRIをもとに再構築されたものである。膣解剖学的構造の実際の立体形状が分かることは、失禁用ペッサリーのような膣内用具が膣内にどのように適合及び配置されるかを理解する上で重要な観点である。
【0022】
膣内の失禁用具の場所は、効果的な用具において重要な因子である。用具の作動セクションは、隣接する泌尿器系の所望の部分に適用されなくてはならない。SIMAシステムでアプリケータを開発及び試験して、それらが膣モデル内で所望の失禁用具を所望の場所に供給できるかどうかを決定することができる。尿道−膀胱(UV)接合部に配置されるように幾つかの用具を設計し、尿道中間部に位置するように他の用具を配置することができる。SIMAは実際の女性と同様に、加圧された環境における膣解剖学的構造に対する完全な外陰唇を有するので、SIMAは、多様なアプリケータプロトタイプがこの場所に用具を送達する能力を試験するのに有用なシミュレーション試験方法である。
【0023】
本明細書で使用されるとき、用語「医療用具」は、機能を実行するために女性の体に挿入することができる用具を意味するものとする。例えば、膣タンポン、座薬、IUD及び避妊ペッサリーのような妊娠調節用具、内部失禁用具及びペッサリー、膣洗浄器、パーソナル潤滑剤アプリケータ及び酵母菌感染アプリケータなどは全て、SIMAを併用して研究することが可能な医療用具の例である。
【0024】
また、SIMAを用いてナプキン及びライナーのような他の外用製品の開発をすることもできる。流体の量及び流体の流れを制御することによって、ナプキン及びパンティライナーの機能を調査することができる。とりわけ、改善されたシステムの急速吸収材を有するナプキンの開発において、ナプキンのような製品がどのように流体の噴出を扱うかをモデル化することの有用性が実証される可能性がある。
【0025】
SIMAシステムは、ソフトで透明な延伸性材料で作製された外陰唇解剖学的構造を含む。好ましい実施形態では、陰唇解剖学的構造は女性からモデル化され、所望の材料で注型成形される。陰唇に沿った流体の移動及び噴出は、外用衛生ナプキンがどのように解剖学的構造と相互作用するかを理解する上で重要な態様である。流体の移動及び噴出は、SIMAシステムでシミュレートすることができる。
【0026】
SIMAで使用可能な流体の例としては、限定はしないが、シンジナ(Syngyna)流体又は好適な人工月経液が挙げられる。Syngyna流体は21 CFR §801.430に記載のように調製される。別の好適な流体の例は、米国公開特許第20070219520号(Rosenfeldら)に見出すことができる。この開示では、体液をシミュレートするように試験液は以下の混合液から作製される。0.9%塩化ナトリウム溶液49.5%(VWRカタログ番号VW 3257−7)、グリセリン(Emery 917)49.05%、フェノキシエタノール(Clariant Corporation Phenoxetol(登録商標))1%、及び塩化ナトリウム(Baker塩化ナトリウム結晶9624−05)0.45%。
【0027】
本発明において、SIMAは少なくとも(1)初期圧力に曝されるインビトロ膣モデルと、(2)2次的圧力を提供するための手段と、を含む。医療用具試験にSIMAを用いるために、初期圧力下で試験用具を挿入することができる。次いでその後に2次圧力を印加することになる。
【0028】
別の実施形態で、SIMAは、1)圧力チャンバと、2)体圧を提供する手段と、3)腹腔内圧を提供する手段と、4)膣モデルと、5)流体の流れを膣モデルへ提供し制御する手段と、6)双方の圧力を調節する手段と、7)流体の影響を可視化する手段と、8)シミュレートされたイベントを制御及び記録する手段と、を含む。
【0029】
本発明の一実施形態で、シミュレートされる全てのイベントの記録及びモニタリングは、データ収集システムの適用によって達成され得る。データ収集システムの要件は、1)グラフィカルユーザーインターフェイス(「GUI」)端末、2)パーソナルコンピュータ(「PC」)のようなローカルコンピュータ、3)プログラマブルロジカルコントローラ(「PLC」)、4)関連づけられたセンサー、及び5)制御構成機器を含むことができる。センサー及び制御構成機器の信号はPC/PLC入力・出力に入力される。データはPC/PLCによって読取り及び処理可能である。データはGUI端末に自動的にかつリアルタイムで表示することができる。データはPCによってPCメモリに保存することができる。PCを有するシステムを用いることの1つの利点は、ユーザーによるデータ管理、アーカイビング、グラフィカル表現、及びレポート作成を可能にし、全てのデータを保存及び検索できることである。データ収集には1)体圧、2)腹腔内圧、3)流体の流れ、4)タイミング及び脈動間隔、5)日付及び時刻印、6)試験名及びユーザー名などが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
SIMAは、正常な体圧を複製するために初期に一定の均一な体圧を有することができ、また、突発的な腹腔内圧の増加を複製する能力も有し、咳、くしゃみ、及び他の任意の例えばバルサルバ法又は他の腹腔内圧変化のような動作をシミュレートすることができる。多様な電子コントローラを使用することによって、1回の咳を模倣する又は一連の咳を繰り返すようにSIMAをプログラムすることができる。この能力は、検査者が膣モデルを通る流体の流れを検査及び研究することを可能にする。
【0031】
これについては実施例の項でより詳細に説明する。図2を参照すると、本発明のシミュレーション装置の一実施形態の略図が示されている。この実施例で、SIMA 10は、圧力チャンバ30内に収容された膣モデル20、及び空気制御パネル40と電気制御パネル50とパーソナルコンピュータ(PC)52と流体ポンプ54とグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)端末56とを含む制御装置要素を含む。空気制御パネル40は、体圧空気ライン58及び動的圧力空気ライン60を通して圧力チャンバ30に接続され、動的圧力空気ライン60はモニタリングされ、及び/又は、ソレノイド空気弁(咳弁)62、体圧/腹腔内圧変換器64、及び圧力逃がし弁66によって制御される。流体は流体ポンプ54から流体送達ライン68を介して圧力チャンバ30に送達され得る。
【0032】
本発明のインビトロ膣モデル20(図3に詳細に図示)は、内部膣ルーメン21と、膣モデル20への流体送達のために近位端部に頸部ポート24を伴う前面22及び後面23を含む膣外形と、陰唇25と、を含む。好ましい実施形態では、膣モデルは単一の構造体として成型される。膣モデルは任意の色で作製され得るが、光学的に透明なモデルが好ましいことがわかっている。それは、試験中に任意の流体又は用具の通り道を観察することを可能にする。
【0033】
本発明の膣解剖学的構造は生きている女性被験者のMRIデータをもとに開発された。具体的には、未経産(経膣出産経験のない)女性のMRIを仰臥位にて入手した。市販の入手可能なソフトウェアを用いて、内部膣ルーメン及び膣の外形を膣入口から頸部までトレースした。撮像スキャンを解析する能力のあるそのようなソフトウェアプログラムの例は、Able Software(マサチューセッツ州Billerica)から入手可能な3D−Doctor(商標)である。3D−Doctor(商標)ソフトウェアは、MRI、CT、PET、顕微鏡、科学用、及び工業用などの3次元撮像を含む(ただし限定せず)多様な撮像アプリケーションのための高度な3次元モデリング、画像処理、及び次元解析を提供する。3D−Doctor(商標)ソフトウェアは、DICOM及び他の画像ファイルフォーマットに保存されたグレースケール及びカラー画像の両方に対応し、十分なグラフィック機能を有するコンピュータ上で、リアルタイムに撮られた2つ以上の2次元断面画像から表面モデル画像及びボリュームレンダリングを創出することができる。単純なトレーシングによって、特定の解剖学的特徴部を別個に見ることができる。次いで、トレーシングを3D幾何学形状にロフトし、.stlファイルに変換した。次にこの3Dモデルを使って膣部位の成形型を開発した。膣モデルを形成するために、2回以上出産経験のある女性のMRIを使用してもよい。この装置に使用される実際の膣モデルの成形では、現実的なモデルを提供するために注意が払われた。硬化後の成形型からのモデルの取り外しが難しかったため、側面26(図3に図示)はモデルの作製に使用された実際の膣より厚い。しかし、MRIスキャンに使用された実際の膣を表現するために、適切な厚さを有する正確な前壁を提供するように注意が払われた。このことの重要性は以下で明白となる。本発明の陰唇解剖学的構造は、生きている女性由来の注型品から開発された。次いで、デジタル化プローブを用いて、成形型を開発するためにその注型品を3D CAD(コンピュータ支援描画)ファイルに変換した。次いで、得られた陰唇情報を膣の幾何学形状と組み合わせて一体成形型を作り出した。その一体成型型を用いて、最終的なインビトロ膣モデル20を作り出した。
【0034】
上述のように、膣モデル20を圧力チャンバ30に設置する。この設置は、図4〜6により詳細に示す。インビトロ膣モデル20は、一連のフランジ及び/又はクランプによって圧力チャンバ30の底床30a及び後壁30bに取り付けられる。膣ルーメン21を膣モデル20内に示す。インビトロ膣モデル20の上部は角度αで圧力チャンバ30の底床30aに位置づけられる。平均的なヒトの膣の場所及び向きを正確にモデル化するために、膣モデルは頸部ポート24に近接する膣ルーメンと底床30aとの間に約40°の角度αをもたらすように設置した。
【0035】
図6は、圧力チャンバ30内に設置された膣モデル20の側面図を示す。膣モデル20の上部は、カニューレ31を介して頸部の場所に対応する膣モデル20の頂部で流体が膣ルーメン21に注入され得るように圧力チャンバ30の後壁30bに固定した。膣モデル20の下部は、膣モデル20の陰唇25が床30aの開口部を超えて延びるようなやり方で開口部に取り付けた。このようにすると、カニューレ31から送達される流体は膣ルーメン21を通って流れることができ、陰唇25の開口部を経由して膣モデルを出ることができる。図6の実施形態では、流体送達は、流体送達ライン68を介して比較的安定した流体供給を送達するための第1の流体供給と、流体の噴出を送達するための第2の流体供給33と、を含むことができる。
【0036】
動作中、圧力チャンバ30は上述の体圧である背景空気圧を維持するために適切に密封される。この圧力は、1つ以上の空気供給ポート34を通過する空気の適用によって確定される。
【0037】
体圧は、活動及び位置(座っている、立っている、横になっている)によって変化する。SIMAは、0より大きく21.6kPa超(0〜220cm HO、0〜3.13psi)のこれらの体圧の変化をシミュレートすることができる。影響を及ぼさない活動での体圧は、通常、約1.96kPa(20cm HO)〜約4.9kPa(50cm HO)の範囲である。平均すると、体圧は座位で約2.26kPa(23cm HO)、立位で2.65kPa(27cm HO)であり、仰臥位で寝た体位では約0.24kPa(2.4cm HO)である。好ましくは、SIMAシステムにおける背景圧又は第1の圧力は、仰臥位の女性での圧力のように約0kPa(0cm HO)より高く維持され、より好ましくは、背景圧は約1.96kPa(20cm HO)より高く維持される。好ましくは、背景圧は約4.9kPa(50cm HO)未満である。したがって、好ましい第1の圧力の範囲は約0kPa(0cm HO)から約4.9kPa(50cm HO)の間となる。より好ましい範囲は、約1.96kPa(20cm HO)から約4.9kPa(50cm HO)の間であろう。第1の圧力の範囲は、試験シミュレーション中に比較的一定に維持される。好ましくは、第1の圧力変異幅又は背景圧変異幅は、約0.49kPa(5cm HO)以内に維持され、より好ましくは約0.2kPa(2cmHO)以内に維持され、最も好ましくは約0.1kPa(1cm HO)以内に維持される。
【0038】
図6に図示したように、動的な腹腔内圧は、可撓性ホース35及びノズル36を通って流れる空気によってインビトロ膣モデル20の中央部の膣前面22上にもたらされる。先に述べたように、膣前面22は撮像された実際の未経産女性の膣にできるだけ似せてモデル化された。
【0039】
圧力チャンバ30は、立位から仰臥位又は仰向けに寝ているまでの範囲又は配向における女性をシステムがモデル化することを可能にするように、旋回する支持体上に取り付けられる。これは、所望の配向を維持するために解放ピン38で枢軸37に取り付けられた圧力チャンバ30を示す図4に図示されている。
【0040】
上で詳述し、かつ図示したように、膣は、近位端部(上部円蓋)が遠位端部(膣入口)より広い円錐形の構造体として特徴付けることができる。また、膣の前壁及び後壁は、たとえ膣内用具が置かれていても、ともに畳まれる。しかし、これらの壁は女性の位置、筋肉構造、及び活動に依存して開閉することもできる。膣内圧はこれらの壁をともに圧縮することによって、これらの壁の間を流体が移動するのを助ける。また、膣は矢状断(側面)図でも湾曲している。膣は膣入口から「膣屈曲」まで概して縦に延び、そこで水平から約40°の角度に曲り始める。αでこの膣屈曲27は、膣モデル20のもととなった被験者に基づくSIMAモデルにおいては膣入口の約5cm上である。この差は、膣内用具が膣内にどのように置かれるか、及びしたがって知覚される用具着用の快適さに影響する場合がある。膣の膣屈曲に影響する因子としては、遺伝、筋肉の構造及び強度、並びに筋肉構造と接合する靭帯及び腱、及び骨盤骨構造が挙げられる。図3〜6に図示した好ましい実施形態では、膣モデルは未経産の膣の注型品を収容し、その寸法は長さ9cm、幅5cm(近位端部の最も幅の広い場所で)である。
【0041】
他の実施形態では、初産婦の膣及び/又は2回以上出産を経験した膣を収容する場合もあり、それらは主に膣の幅及び支持構造(角度)において、未経産の膣と異なる。2回以上出産を経験した女性のMRI検査は、膣の最も広い部分(円蓋近くの近位端部)の膣の幅が3.5cm〜5.7cmの範囲であることを示した。膣の支持構造は、出産、遺伝、手術、体重増加、及び他の因子によって骨盤床の筋肉が外傷を受けるに伴い強度が減少する場合がある。SIMAモデルは、インビトロ膣モデルの角度を変えることによって、支持構造におけるこの変化をシミュレートすることができる。加えて、膣の長さは女性によって大きく異なる場合がある。他の実施形態では、SIMAシステムは、月経液の流れ並びに月経液とタンポン又は膣解剖学構造及び失禁用具との相互作用にこれらの因子がどのように影響するかをよりよく理解するためにこれらの解剖学的な差をシミュレートすることができる。
【0042】
任意の材料を用いて、膣モデル完成品を作製することができる。成形可能であるが特定の可撓性を維持し得る材料が好ましい。膣モデルの作製に有用な他の材料としては、限定はしないが、シリコーン(室温加硫性のシリコーンゴムを含む)、ポリエチレン、注型可能なポリウレタン、可塑化ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエン、熱可塑性エラストマー、ゴムラテックスなどが挙げられる。好ましい材料としては、Santoprene(商標)ブランドの熱可塑性加硫物(TPV)(供給元:米国テキサス州Houston所在のExxon Mobil Chemical)などの熱可塑性エラストマー材料が挙げられる。1つの好ましい実施形態では、膣モデルはDS−302とDS−303(カリフォルニア州Pomona所在のCalifornia Medical Innovations)を30:60で配合した配合物から作製される。成形可能であるが硬化後に透明である材料もまた好ましい。
【0043】
液化するまでそれらの材料を加熱してから成形型に注ぎ入れることができる。充填された成形型を炉に入れて所定の期間の間に硬化させることができる。次いで、膣モデルを成形型から取り出す。いったん冷却してから、膣モデルを支持プラットホームに装着する。
【0044】
成形された陰唇は、医療用具の挿入中に女性に通常見られる抵抗性をもたらす。また、膣モデルは、モデルが(女性の体においてのように)ある角度で提供され、内部の壁が平らな円錐様の形であるので、医療用具に対して現実的な抵抗性をもたらす。膣モデルの作製に選択される材料は、成形された陰唇及び成形された膣の可撓性に影響し得るので重要である。インビトロSIMA膣の骨盤検査を行った医師(泌尿器科医)は、インビトロSIMA膣が一般的な女性患者にとって実際的なものであることを見出した。
【実施例】
【0045】
以下の実施例は、上述の膣モデルをどのように使用するかを詳細に説明する。
【0046】
実施例1
この実施例では、図2に示した図を用いてSIMAの実施例を構成した。以下は、その詳細及び構成要素の説明である。
【0047】
図7に概略を示した好ましい一実施形態では、圧力チャンバ30、流体ポンプ54、及びGUI端末56は安全フード70内に設置された。安全フード70に加えて、付随する構成要素は、空気制御パネル40、電気制御パネル50、ローカルコンピュータ例えばPC52、及びプリンター72を保有する。この実施例では安全圧力逃がし弁(例えば66)が使用されたが、なお圧力チャンバ30は安全目的のためにフッド70内に配置された。
【0048】
図2のように、圧力チャンバ30はインビトロ膣モデル20が背景体圧及び動的腹腔内圧を再現する圧力に曝されるのを可能にする閉じた環境を提供した。体圧は、圧力チャンバ30の内部を一定の圧力下に維持することによって提供された。腹腔内圧は、インビトロ膣モデル20の膣前面22上に向けた空気圧として導入された。これらの圧力は両方とも、空気制御パネル40及び下記に説明する付随する制御によって提供された。図2の体圧空気ライン58は、図4〜6の空気供給ポート34への空気を供給した。図2の動的圧力空気ライン60は、図4〜6の動的腹腔内圧を膣前面22に向けて方向付けるために可撓性空気供給ホース35及びノズル36へ空気を供給した。
【0049】
図2に示されるように、腹腔内圧シミュレーション要素の空気圧を測定するために圧力変換器64は空気ソレノイド弁62に接続された。圧力チャンバ内の(背景体圧をモデル化する)空気圧、及び動的圧力空気ライン60を介して膣モデル20に供給される動的(内腹)圧又は衝撃圧の両方を、この圧力変換器で測定した。
【0050】
図8は、SIMA装置の残りの部分の下に設置できる空気制御パネル40の概略図である。空気制御パネル40は、制圧器42に接続された、加圧空気供給41を有する。制圧器42の下流で、ソレノイド弁43は加圧された空気を2つの比例弁のいずれかに送達する。第1の比例弁44は、体圧システムに関係する制圧のための一体圧力センサーを有し、空気供給ポート34(図4〜6)への体圧空気ライン58(図2)を介して体圧を圧力チャンバ30に送達する。比例弁を使用して、一定の体圧を提供するため、及び試験終了後に圧力を解放するために、圧力を調整した。
【0051】
第2の比例弁は腹腔内圧システムに関係する制圧のための一体圧力センサーを有し、加圧空気を空気ライン46を介してアキュムレータタンク47へ送達した。ここでも、一定の腹腔内圧を供給するため、及び試験終了後に圧力を解放するために、比例弁でアキュムレータタンク47内の圧力を調整した。アキュムレータタンク47は、動的圧力空気ライン60を介して圧力チャンバ30で圧力チャンバソレノイド空気弁(咳弁)62(図2)に接続された。インビトロ膣モデル20に腹腔内圧パルスを送達するために、圧力チャンバソレノイド空気弁62は一定の間隔でスイッチを「オン」「オフ」切り替えすることができる。空気アキュムレータタンク47の出口に設置された圧力逃がし弁48は、万一の過剰加圧からシステムを保護するために使用される。
【0052】
SIMA加圧システムは圧力チャンバ30(体圧)内部の空気圧の正確な制御を可能にする。動的腹腔内圧をシミュレートするために空気が圧力チャンバ30に導入されると、圧力チャンバ30内の空気圧(体圧)は瞬時に増加した。いったん腹腔内圧の送達が終わると、体圧は自動的に徐々に再調節されて元の体圧設定に戻った。圧力チャンバ30の頂部に設置された圧力逃がし弁66(図2)は、チャンバ30の万一の過剰加圧に対する追加的な保護を提供した。
【0053】
図9に示されるように、流体ポンプ54はシミュレーション月経液を送達するために圧力チャンバ30の近くに設置された。任意のポンプを使用することができるが、流体の送達を正確に制御することが重要である。例えば、ポンプは一定の速度で流体を供給すること又は流体を噴出すること(湧出を模倣するために)が可能であった。リザーバ54aからの流体は流体ポンプ54によって管68を通して送達された。図9Aに示されるように、接合部54bは管68をカニューレ31に連結し、流体をインビトロ膣モデル20の頸部ポート24へ供給した。また、接合部54bは、代替流体の注入のためのシリンジを受け入れる第2の流体投入口54cも有する(68を介しての流体送達から独立に又はそれと併用して)。
【0054】
好適な流体ポンプの一例は、この実施例で使用したPump Head Model 505L付きのWatson−Marlow Model 520 Diである。タンポンのような医療用具に対しては人工月経液が好ましいが、他の流体で代用してもよい。
【0055】
図4に示されるように、圧力チャンバ30を枢軸37上に装着した。これは、あたかも立位、座位、又は仰臥位にあるようにインビトロ膣モデル20を配向することができるように圧力チャンバ30を回転することを可能にした。代替実施形態では(図示せず)、横を向くこと又は眠ることを模倣するために第2の枢軸手段で箱を回転することができる。図示した実施形態では、枢軸手段は解放ピン38が係合される所望の位置まで圧力チャンバ30全体を回転した。試験の終了時、解放ピン38は外されて、圧力チャンバ30が元の位置に戻ることを可能にした。
【0056】
インビトロ膣モデル20は膣ルーメン21と、頸部ポート24と、陰唇25とを含む。腹腔内圧ノズル36はインビトロ膣モデル20(図4〜6)の膣前面22の中央部分に隣接して配置された。
【0057】
合成月経液はカニューレ31を介して頸部ポート24を通して送達され、膣ルーメン21内を流れ、陰唇25を通って排出された(図4〜6)。医療用具の試験中、用具は合成月経液の導入の前に膣モデル20に挿入された。
【0058】
図示した実施形態では、温度は室温であったが、追加的な制御を設置して、膣モデル及び流体を含むことになる箱の内部の温度を上昇又は下降させてもよい。
【0059】
SIMAは、手動及び自動の2つの動作モードを可能にする。これらのモードについては実施例2及び3で詳述する。
【0060】
SIMAのようなシステムのもう1つの利点は、データを取得する能力である。また、膣モデルは透明であり得るので、ビデオ録画装置で試験をモニタリングすること及び/又は試験中に写真撮影をすることも可能である。
【0061】
試験を開始するときは常に、データ取得システムも自動的に開始することができる。データ取得システムは、特定のサンプリング速度でイベントの記録をすること、及び日付、時刻、試験名、ユーザー名、体圧、アキュムレータタンクでの腹腔内圧、膣モデルに送達される腹腔内圧、月経液ポンプ流量及び月経液ポンプ流イベントを記録することが可能であるが、これらに限定されない。記録期間中、データは、割り当てられたファイル名でPCハードドライブに保存される。データはCSVとも呼ばれるコンマ区切りフォーマットで保存され、Excelスプレッドシートにインポートされ得る。データをExcelスプレッドシートにインポートして、更なるデータ可視化、データ管理、データアーカイビング、グラフィック表現、及びレポート作成することができる。
【0062】
データ取得プロセスの間、取得されたデータをリアルタイムでグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)端末に表示することができる。一時停止ボタンのいずれかの側の矢印を使用する場合に、早送り及び巻き戻しが可能である。一時停止ボタンを再度押すと、トレンド画面はリアルタイムモニタリングに戻る。また、画面印刷機能の実行能力もある。
【0063】
実施例2−手動モード
工程A−装置の使用の前に、人工月経液を米国特許公開US 20070219520号にしたがって調製する。コンピュータ、モニター、及び流体ポンプのスイッチを入れる。内部の膣腔は、綿棒を用いて前の試験からの残留月経液を全て取り除き、ホースが清浄になるまでポンプを水洗する。次いで、試験前に膣腔を人工月経液で下塗りする。流体ポンプを較正し、カニューレを膣モデルの頸部開口部内に配置する。次いで、箱を閉じ、所望の試験位置(座位、立位、又は仰臥位)に設定する。セロラップを外したタンポンを計量する(例えば、McNeill Consumer Products製の普通吸収力のo.b.(登録商標)タンポン)。KYゲル(登録商標)の少量(約0.1〜0.2グラム)をタンポンの先端に置く(挿入を容易にするため)。KY付きのタンポンを計量し、重量を記録する。タンポンを陰唇部分の開口部に挿入する。タンポンは典型的には膣の側壁(左又は右)に配置されるので、場合によっては、タンポンを膣の左側面に配置することが好ましい。タンポンの配置が記録され、頸部からの距離が測定される。好ましい実施形態では、タンポンは頸部から下の約10mmに配置される。
【0064】
工程B−タッチスクリーン制御装置で、「手動モード」動作を選択する。所望の体圧を選択する(cm HO単位)。好ましい実施形態では、立位のシミュレーションのために2.65kPa(27cm HO)を選択した。緑色のスイッチ「オン」(「体圧」と記載された見出しの隣)を押圧して体圧を連動させる。咳圧力を選択する(cm HO単位)。好ましい一実施形態では、14.3kPa(146cm HO)を選択した。加えて、「1回の咳」及び「全サイクル時間の咳」を選択する。「1回の咳」は、1回の咳の持続時間を表し、好ましい実施形態では1.0秒を選択した。「全サイクル時間の咳」は咳が生じる期間を表す。好ましい実施形態では、10秒を選択した。これらの設定は、14.3kPa(146cm HO)の咳圧力に対して1秒の咳を10秒ごとにもたらす。緑色のスイッチ「オン」(「咳圧力」と記載された見出しの隣)を押圧して咳圧力を連動させる。次いで、mL/分単位で月経液を入力する。好ましい実施形態では、1mL/分を入力する。流れの持続時間である「フローオン時間」を入力する。好ましい実施形態では、10秒を選択した。「全サイクル時間の流れ」を入力する。好ましい一実施形態では、20秒を選択する。この設定は20秒ごとに10秒間の流体の流れをもたらす。ポンプの較正値を入力し、緑色の「オン」ボタン(「月経流」と記載された見出しの隣)を押圧して月経流を連動させる。
【0065】
工程C−スタートボタンを押圧して試験工程を開始する。試験中、ビデオ録画及び/又はデジタル写真を入手することができる。試験工程を停止するには、停止ボタンを押圧する。
【0066】
工程D−試験終了時に、タンポンを慎重に取り出し、染みのパターン及び重量を記録する。膣内解剖学的構造の膣モデルを綿棒で掃除し、流体ポンプ/ホースを用いて水洗する。
【0067】
実施例3−自動モード
実施例2の工程Aを繰り返す。
【0068】
工程B−タッチスクリーン制御装置の「自動モード」動作を押圧する。この動作モードは、ユーザーが以前に設定した「レシピ」を再実行すること又は新しい設定のパラメータを入力することを可能にする。本明細書で使用するとき、用語「レシピ」は、圧力(体圧、腹腔内圧)、タイムシーケンス、及び流れの組合せを意味するものとし、全ては予め設定された時間間隔で生じる。初めてのレシピの場合は、ユーザーが情報を入力し、レシピの名前又は番号を作成してから保存する。例えば、手動モードの工程Bの条件を入力し、新しいレシピとして保存する。体圧及び工程の長さ(入力した体圧を何秒間実行したいかを表す時間)のようなパラメータを入力する。同様に、cm HO単位での咳圧力、秒単位での1回の咳、回数(所望のサイクルの実行回数)、及び工程の長さ(回数×全サイクル時間)を含む咳圧力レシピを選択する。月経流レシピは、mL/分単位での月経流レシピ、秒単位での1回の流れ、秒単位での全サイクル時間、回数(サイクルの実行回数)、及び工程の長さ(回数×全サイクル時間)として入力される。画面上部の保存ボタンを連動させレシピを保存する。
【0069】
工程C−スタートボタンを押圧して試験工程を開始する。試験中、ビデオ録画及び/又はデジタル写真を入手することができる。適宜、システムに自動的にそのサイクルを完了させるか、手動でシステムを停止する。
【0070】
工程D−試験の終了時に、タンポンを慎重に取り出し、染みのパターン及び重量を記録する。膣内解剖学的構造の膣モデルを綿棒で掃除し、流体ポンプ/ホースを用いて水洗する。
【0071】
ユーザーは、以前に入力した「レシピ」を他のサイクル、トレンドなどを含むものに編集又は実行することもできる。
【0072】
SIMAの実行が手動モードであっても自動モードであっても、瞬間的圧力を手動で繰り返すこと又は自動的にプログラムして特定の時間間隔で繰り返すことができる。例えば、SIMAを使用して、それぞれの咳の持続時間を1秒として、60秒ごとに咳の影響を調査することができる。これは、SIMAの膣モデルが2.94kPa(30cm HO)の「体圧」下に60秒間置かれ、「腹腔内圧」が14.7kPa(150cm HO)に1秒間到達する可能性があることを意味する。この傾向変動化(trending)は、月経中又は失禁中の女性が咳(強烈で短い体の作用)をしたときの身体力学を再現することを目的とする。
【0073】
実施例4−外用衛生製品との使用
SIMAシステムは、女性をもとに注型された、ソフトで透明の伸縮可能な材料製の外陰唇解剖学的構造を含む。陰唇に沿った流体の移動及び噴出は、外用衛生ナプキンがどのように解剖学的構造と相互作用するかを理解する上で重要な態様である。流体の移動及び噴出は、SIMAシステムでシミュレートすることができる。
【0074】
このSIMAシステムは、実施例1〜3で使用されているパラメータのいずれかと同じパラメータで設定される。体圧は2.65kPa(27cm HO)でシステムに印加され、咳圧力は14.3kPa(146cm HO)(1回の咳は1秒、全サイクル時間は10秒)に設定され、月経液の流れは、1mL/分に設定され、20秒間サイクルにかけて流れを10秒間オンにする。3分間流れた後、シリンジを使用して噴出(3mL)もシステムに導入される。Stayfree(登録商標)超薄型標準サイズのナプキンをSIMAシステムに手動で適用し、流体の動き及び解剖学的構造との相互作用を観察する。漏れが生じるまでの時間及び追加物(グラム単位)を記録する。流体が体に沿ってどのように動き、ナプキンとどのように相互作用するかを観察する。これらの観察はナプキンの吸収材システム及び漏れがどのように生じ得るかに関する新しい洞察を展開させるのに重要である。
【0075】
実施例5−膣内失禁用具での使用
SIMAシステムは3D膣コンピュータモデルから複製された膣解剖学的構造を含む。この3Dモデルは2D MRIをもとに再構築されたものである。膣解剖学的構造の実際の立体形状を有することは、失禁用ペッサリーのような膣内用具が膣内にどのように装着及び配置されるかを理解する上で重要な態様である。
【0076】
SIMAシステムは実施例1〜3で使用されたのと同じ圧力パラメータに設定する。体圧は2.65kPa(27cm HO)でシステムに印加し、咳圧力は14.3kPa(146cm HO)(1回の咳を1秒、全サイクル時間を10秒)に設定する。失禁用具の試験工程では月経液の流れはオフにする。失禁用具を膣内に挿入し、定位置に置かれた用具の能力を記録及び観察する。
【0077】
上記の仕様及び実施形態は、本明細書にて開示する本発明を完全にかつ非限定的に理解するのを支援するために提示されたものである。本発明の多数の変形形態及び実施形態が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能となるため、本発明は、本願の以下に添付する特許請求の範囲に帰するものである。
【0078】
〔実施の態様〕
(1) 女性の膣を含むヒト女性下腹腔内に配置された解剖学的構造をシミュレートするための装置であって、
a)圧力チャンバであって、
i)内部と、
ii)前記圧力チャンバに流体圧力を提供する第1の手段と、
iii)前記圧力チャンバ内にて局所的な流体圧力を提供する第2の手段と、を備えるものである、圧力チャンバと、
b)前記圧力チャンバの前記内部に配置され、壁を含む膣モデルであって、前記壁が、
i)前記圧力チャンバの外面を貫通してボアに付随する膣開口部から頸部ポートに隣接する膣円蓋へと内向きに延びる膣ルーメンを画定し、
ii)膣前面及び膣後面を含む外面を有し、
iii)流体を前記頸部ポートに供給するための少なくとも1つの通路を有するものである、膣モデルと、
c)流体を前記頸部ポートに供給するための前記少なくとも1つの通路に液体を送達する手段と、を備える、装置。
(2) 流体圧力を提供する前記第1の手段が、第1の流体加圧サブシステムを備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第1の流体加圧サブシステムが、空気加圧システムを備える、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記圧力チャンバ内部にて局所的な流体圧力を提供する前記第2の手段が、第2の加圧サブシステムを備える、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記第2の流体加圧サブシステムが、空気加圧システムを備える、実施態様4に記載の装置。
(6) 前記第2の流体加圧サブシステムが、前記膣モデルの前記膣前面に近接した空気送達ノズルを備える、実施態様4に記載の装置。
(7) 前記第2の流体加圧サブシステムが、持ち上げること、咳をすること、笑うこと、歩くこと、深呼吸をすること、座ること、くしゃみをすることからなる群から選択される動的圧力を模倣するために、及びバルサルバ法によるなどして意図的に生成される圧力を模倣するために、圧力を送達するように制御される、実施態様4に記載の装置。
(8) 前記圧力チャンバが枢軸の周囲を回転可能である、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記膣モデルが、前記圧力チャンバの外側に配置され、前記ボアに隣接して配置及び構成される陰唇を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記膣モデルが、膣屈曲を更に備える、実施態様1に記載の装置。
【0079】
(11) 前記液体を頸部ポートに送達するための手段が、流体ポンプ及びシリンジからなる群から選択される少なくとも1つの送達要素を備える、実施態様1に記載の装置。
(12) プログラム可能なコントローラを更に備える、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記プログラム可能なコントローラがローカルコンピュータを備える、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記膣ルーメンが、前記ボアを介して婦人衛生用品を受け入れるように配置及び構成される、実施態様1に記載の装置。
(15) 前記膣モデルが立位の女性と一致するように配向される場合に、前記頸部ポートに近接する前記膣ルーメンが水平面から約40°傾斜される、実施態様1に記載の装置。
(16) 圧力チャンバ内に配置された膣モデル内の流体の流れをシミュレートするための方法であって、前記膣モデルは壁を有し、この壁は、(1)前記圧力チャンバの外面を貫通してボアに付随する膣開口部から頸部ポートに隣接する膣円蓋まで内向きに延びる膣ルーメンを画定し、(2)膣前面及び膣後面を備える外面を有し、(3)流体を前記頸部ポートに供給するための少なくとも1つの通路を有し、前記方法が、
a)前記圧力チャンバ内に第1の圧力を提供する工程と、
b)流体を前記頸部ポートに供給するための前記少なくとも1つの通路に液体を送達する工程と、
c)前記膣前面に第2の圧力を提供する工程と、を含む、方法。
(17) 前記第1の圧力が、シミュレーション中に実質的に維持される、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記第1の圧力が、約1.96kPa(20cm HO)〜約4.9kPa(50cm HO)の間に維持される、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記第1の圧力が、前記シミュレーション中に約0.49kPa(5cm HO)以内の圧力中央値(median pressure)に維持される、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記第2の圧力が前記第1の圧力よりも大きい、実施態様16に記載の方法。
【0080】
(21) 前記第2の圧力が少なくとも約4.9kPa(50cm HO)である、実施態様16に記載の方法。
(22) 前記第2の圧力が少なくとも約7.35kPa(75cm HO)である、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記第2の圧力が、シミュレーションの一部分に向けて提供される、実施態様16に記載の方法。
(24) 前記第2の圧力が、前記シミュレーション中に断続的に提供される、実施態様23に記載の方法。
(25) 前記第2の圧力が、前記シミュレーション中に1回の適用ごとに約10秒未満の持続時間の間にずっと提供される、実施態様24に記載の方法。
(26) 前記第2の圧力が、前記シミュレーション中に1回の適用ごとに約5秒未満の持続時間の間にずっと提供される、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記第2の圧力がシミュレーション中に変動する、実施態様16に記載の方法。
(28) 立位の女性と一致するように前記膣モデルを配向させる工程を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(29) 仰臥位の女性と一致するように前記膣モデルを配向させる工程を更に含む、実施態様16に記載の方法。
(30) 立位と仰臥位との間で前記膣モデルの配向を変化させる工程を更に含む、実施態様16に記載の方法。
【0081】
(31) 前記膣モデルがヒトの膣開口部に対応する入口ポートを更に備え、かつ実施態様16の方法が前記入口ポートを通して前記膣ルーメン内に医療用具を挿入する工程を更に含む、実施態様16に記載の方法。
図1
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図9A